JP2931726B2 - 板ガラス成形体及びその製造法 - Google Patents

板ガラス成形体及びその製造法

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JP2931726B2
JP2931726B2 JP27338692A JP27338692A JP2931726B2 JP 2931726 B2 JP2931726 B2 JP 2931726B2 JP 27338692 A JP27338692 A JP 27338692A JP 27338692 A JP27338692 A JP 27338692A JP 2931726 B2 JP2931726 B2 JP 2931726B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築用及び一般産業用
としての板ガラス成形体及びその製造法に関し、より詳
しくは曲げ部分に継目のない複数の平面により構成され
る一枚の板ガラス成形体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、板ガラスは、建築外装用及び内装
用又は一般産業用として、例えば窓、ショーウインド
ウ、壁面材、ドア、パーティション、ディスプレイケー
ス、水槽、家具等の多種の用途において数多く使用され
ている。従来、窓、ショーウインドウ、ディスプレイケ
ース等のコーナー部分は、二枚の板ガラスを金属、木
材、プラスチック等のフレームを用いて所定の角度に結
合し、それぞれの板ガラスとフレームの接合部をシリコ
ーンゴム等のコーキング材及びシーリング材によりを接
着していた。しかし、該方法では、フレームの存在によ
りコーナー部分の外観及び透視性が悪く、またコーナー
部分にステンレス製のフレーム等を使用した場合にはコ
ストが上昇し経済的にも好ましくないという欠点があっ
た。一方、上記フレームを用いず二枚の板ガラスを突き
合わせて、該突き合わせ部分をシリコーンゴム等のコー
キング材及びシーリング材で接合する方法がある。しか
し、該方法ではコーナー部分の外観及び透視性は改善さ
れず、接合した突き合わせ部分は強度的に弱い。またコ
ーキング材及びシーリング材の耐候性等に限界があるた
めに、一般的に接合部の寿命が比較的短いという欠点も
あった。上記欠点を除去する方法として、一枚の板ガラ
スに熱加工を施して所定の角度を有する曲げ部分を作る
ことが知られている。例えば、所定の角度を有する曲げ
部分を持つ型枠の上部に通常のフロート板ガラスを水平
に載せ、該板ガラス全体を500〜580℃程度に加熱
し、更に曲げ部分については局部的に700〜750℃
程度に加熱して、重力又は他の外力により型枠上に成形
して所定の曲げ部分を作ることが行われている。しか
し、該方法では、その曲げ部分は比較的大きな曲率半径
を有し(例えば、板ガラスの厚さが4mmの場合、曲率
半径は最小で35〜40mm程度である)、窓、水槽、
ショーウインドウ、ディスプレイケース等の用途に使用
した場合には物体が大きく歪んで見えることから好まし
くない。また、板ガラスの曲げ部分付近を相当の範囲に
わたってなまし温度以上の高温にさらすため、成形後の
板ガラスの曲げ部分付近に相当の範囲にわたって歪みが
生じ、平面部分の歪みが大きいという欠点を有してい
た。図5に上記方法により成形した曲げ部分を有する板
ガラスの曲げ方向の断面の一例を示す。曲げ部分B1
おける曲率半径は板ガラスの厚さの約10倍程度であ
り、AB1 及びAB2 部分は平面部分A1、A2 と曲げ
部分B1 の中間的部分として厚さdの数倍の長さにわた
って生じる歪みのある光学特性の悪い部分であり、ま
た、平面であるA1 及びA2 部分も高温にさらされた結
果、熱加工前の平面性を維持することができず、光学的
透視歪み及び反射歪みがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、曲げ部分に
継目のない複数の平面により構成される一枚の板ガラス
成形体において、曲げ部分に直角な方向における曲面の
外周の曲率半径が著しく小さく、かつ各ガラス平面の光
学的透視歪みが極めて小さい板ガラス成形体及び該板ガ
ラス成形体の製造法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した従
来の板ガラスの曲げ加工方法による欠点を除去すべく、
鋭意研究を重ねた結果、板ガラス上に描いた折り曲げ線
部分のみを高温加熱し、他の部分は適切な温度に保って
曲げ加工を行う板ガラス成形体の製造法を完成した。ま
た、板ガラスの曲げ部分が非常にシャープで、かつ平面
部分に歪みがない板ガラス成形体を完成した。
【0005】即ち、本発明は、少なくとも一の直線的曲
げ部分を有する、複数の平面部により構成される一枚の
板ガラス成形体を作る方法において、板ガラス上の曲げ
るべき箇所に導電性材料を用いて折り曲げ線を描き、該
折り曲げ線部のガラスを該板ガラスの軟化点以上の温度
に電気的に加熱した後、該折り曲げ線に沿って該板ガラ
スを曲げることを特徴とする板ガラス成形体の製造法で
ある。また、本発明は、少なくとも一の直線的曲げ部分
を有する、複数の平面部により構成される一枚の板ガラ
ス成形体において、上記曲げ部分に直角な方向における
曲面の外周の曲率半径が平面部における板ガラスの厚さ
の1〜4倍であり、かつ平面部の板ガラス面が実質的に
平坦であることを特徴とする板ガラス成形体である。
【0006】本発明の方法によれば、板ガラス上に描か
れた折り曲げ線部のガラスを電気的に加熱するという方
法を採用するため、板ガラスを極めて局部的に所定の温
度に加熱することができる。従って該加熱箇所以外の平
面部分は不必要な高温加熱を受けることがなく、熱変形
が完全に防止されて、曲げ加工後もその平面性が維持さ
れる。好ましくは上記折り曲げ線部分以外も輻射加熱及
び/又は伝熱加熱によりガラス軟化点以下の所定の温度
に加熱することにより、加熱中に生ずる板ガラス中の二
次元内部応力を低下して、曲げ加工時の板ガラスの破損
を防止することができる。また、折り曲げ線に沿って軟
化点近傍に加熱される領域の幅が狭いので、その曲げ部
分を非常にシャープにすることができる。
【0007】即ち、本発明の方法により製造された板ガ
ラス成形体は、その曲げ部分は非常にシャープであり,
かつ相隣り合う二平面の平面性は曲げ部分の近傍まで極
めて良好である。これは、従来品からは想像することも
できない驚くべき優れた特質である。
【0008】まず、本発明の板ガラス成形体の製造法に
おいて、折り曲げ線を描くために使用する導電性材料と
しては、公知のいずれのものも用いることができる。該
導電性材料としては、好ましくはカーボン系又は銀、パ
ラジウム、白金等の金属系若しくは酸化すず等の酸化物
系等の導電性塗料あるいは金属又は合金例えば鉄‐ニッ
ケル‐クロム系合金、銅‐すず合金、アルミニウム合金
等が挙げられる。カーボン系の導電性塗料としては日本
黒鉛商事(株)製バニーハイト(F−525W−1)等
が、また銀系の導電性塗料としては北陸塗料(株)製H
9100又は藤倉化成(株)製D−1230(改)等が
挙げられる。これらのうちから、板ガラスの大きさ、厚
さ、曲げ角度、曲げ速度、使用電圧等に応じて、適宜選
択することができる。
【0009】ペースト状の導電性塗料は、スクリーン印
刷法、凸版印刷法、吹き付けあるいは転写を用いて板ガ
ラスの表面上に線状に描かれる。金属又は合金は、金属
溶射法、CVD、あるいはパイロリティク法により施与
されうる。金属溶射法においては、折り曲げ線に対応す
るスリットを有するマスクをガラス板上に置き、導電性
材料として上記金属を使用して、該金属を電気アーク又
は火炎により溶融し、圧搾空気でノズルより吹き出さ
せ、板ガラス表面に溶射して折り曲げ線を描く。上記し
たいずれの方法においても、描かれた折り曲げ線は板ガ
ラスの表面上に密着して、かつ予め定められた箇所に正
確にプリントすることができる。スクリーン印刷法及び
金属溶射法が、正確性及び簡便性の故に好ましい。該折
り曲げ線の数は、製品として要求される板ガラス成形体
の曲げ部分の数と同じであり、一枚の板ガラス上に少な
くとも一本が描かれる。該折り曲げ線を複数描く場合に
は、所望する製品の形状によって互いに平行に、又は非
平行に描かれる。製品の形状の例を図4に示す。
【0010】該折り曲げ線の幅は、上記した要素(即
ち、板ガラスの大きさ、厚さ、曲げ角度、曲げ速度、使
用電圧等)により異なるが、好ましくは平面部における
板ガラスの厚さの0.3〜3倍であり、特に好ましくは
0.5〜1.5倍である。該折り曲げ線の幅が平面部に
おける板ガラスの厚さの3倍を越えると、軟化点近傍に
加熱される板ガラスの範囲が広すぎ、曲げ部分がシャー
プにならない。該幅が0.3倍未満では、十分な加熱が
行えず、かつ曲げ部分の肉厚が減少するので好ましくな
い。該折り曲げ線の厚みは、導電性材料の種類、折り曲
げ線を描くために使用する方法によって異なるが、所定
温度まで所定時間で安定にガラスを加熱することができ
ればよく、好ましくは0.1〜数100μmであり、例
えばスクリーン印刷法では10〜100μm、溶射法で
は30〜300μmが好ましい。
【0011】該折り曲げ線は、板ガラスの片面上、両面
上、片面及び両端面上、あるいは両面と両端面上を結ぶ
ループ状のいずれに描いてもよい。一般的には、板ガラ
スが薄い場合には、該板ガラスを曲げる際に外側となる
面上のみに折り曲げ線が描かれる。板ガラスが厚い場合
には、両面上に折り曲げ線を描くことが好ましい。後述
する誘電加熱を行う場合には、ループ状に連続して折り
曲げ線を描くことが必要である。
【0012】本発明で使用する板ガラスは、建築用ある
いは一般産業用に使用するもの等である。該板ガラスは
公知のいずれの方法によって製造されたものでもよい
が、本発明の方法により製造される板ガラス成形体の平
面部分に歪みがないことの必要性から、融解すず金属上
で成形されたフロート板ガラスを使用することが好まし
い。使用する板ガラスの板厚、形状、寸法は目的に応じ
て定められ、特に制限はない。その組成についても特に
制限はなく、一般に使用されているソーダ石灰ガラス、
ほうけい酸ガラス、高強度結晶化ガラス等の種々の軟化
点を有する板ガラスを使用することができる。また、該
板ガラスの種類についても特に制限はなく、普通板ガラ
ス、網入板ガラス、磨き板ガラス、形板ガラス等が使用
される。また、上記板ガラスに熱線反射コート、無反射
コート、特定のパターン印刷、表面のエッチング加工等
の各種の表面処理を施したものであってもよい。
【0013】板ガラス上に描いた折り曲げ線部のガラス
を電気的に加熱する方法としては、好ましくは以下に記
載した方法が使用される。即ち、適当な形状の固体電極
を板ガラスの端で上記折り曲げ線に接触させて給電し加
熱する方法、リチウムイオン等を発生する導電性高温ガ
スフレームを板ガラスの端で上記折り曲げ線に接触させ
該フレームを通じて給電し加熱する方法、あるいは折り
曲げ線をループ状に描き高周波電流を用いて誘電加熱す
る方法である。上記方法に使用する電流は、一般商用と
して用いられている50又は60Hzの交流電流、10
0KHz〜50MHzの高周波電流又は直流電流が用い
られる。上記の固体電極を使用する方法では、上記いず
れの種類の電流も使用し得るが、導電性高温ガスフレー
ムを使用する方法では、高周波電流が好ましく、誘電加
熱では高周波電流のみが使用できる。この使用電流の種
類の選定は、上記の折り曲げ線部を加熱する方法の種類
のほか、板ガラスの寸法等も考慮して決定される。ま
た、該電気的加熱の制御は、使用する板ガラスの厚さ、
寸法、折り曲げ線の幅、板ガラス全面の温度分布、成形
時の板ガラスの曲げ速度及び最終曲げ角度等を考慮し
て、好ましくは通電時間を制御することで行われる。制
御因子には上記のような多数のパラメーターが含まれ、
かつ板ガラス全面の温度分布は時間的にも変化するの
で、好ましくはコンピューターコントロールにより温度
制御が行われる。通常、30秒〜5分間、特に1〜3分
間の通電で折り曲げ線長さ10cm当たり数10〜数1
00Wの加熱ができ、これで十分である(従来の曲げガ
ラス製造法において、加熱には20分間も要した)。
【0014】上記加熱方法により、板ガラス上に描かれ
た折り曲げ線部が所定の温度に加熱される。該温度は、
折り曲げ線部の板ガラスの温度が使用した板ガラスの軟
化点以上であり、特に好ましくは軟化点〜軟化点プラス
140℃の範囲である。上記範囲を越える温度では、曲
げ加工後の折り曲げ線近傍の平面部に歪みが生じ、また
経済性の面からも好ましくない。ここで板ガラスの軟化
点とは、ガラスの粘度が約108 ポイズに相当し、ガラ
スが自重で変形する温度をいう(普通フロートガラスで
は約740℃である)。
【0015】また、本発明の方法を更に好適に達成する
ためには、折り曲げ線部の加熱により発生する不均一な
温度分布によって板ガラス中に一時的に発生する二次元
内部応力による板ガラスの破損を防止しなければならな
い。本発明の方法においては、エッジテンションを破壊
強度以下に制御するために以下に記載した加熱方法を併
用することが好ましい。
【0016】即ち、上記折り曲げ線近傍の板ガラスを輻
射加熱することが好ましい。該輻射加熱は、好ましくは
シーズヒーター又はハロゲンランプを用いて行われる。
例えば、直径15mmの棒状のシーズヒーターを、折り
曲げ線から板ガラス面に対して直角方向に約40mm離
れた部分に折り曲げ線と平行に設置して加熱する。ま
た、更に板ガラス全体を輻射加熱及び/又は伝熱加熱す
ることが好ましい。該伝熱加熱は、好ましくは板ガラス
の折り曲げ線近傍以外を加熱板ではさむことによって行
われる。例えば、伝熱用のフレキシブルヒーターをガラ
スの両面に接触させ、更にその上に設置した保温材によ
りフレキシブルヒーターをガラス表面にはさみつけるこ
とにより加熱する。
【0017】 上記のような加熱により、好まし
くは上記折り曲げ線から直角方向に左右それぞれ3cm
以上の範囲の板ガラス部分の温度を、使用した板ガラス
の軟化点より200〜500℃低い温度とし、該折り曲
げ線から直角方向に左右それぞれ3cm未満(例えば2
cmでもよい)の範囲の板ガラス部分を、上記3cm以
上の範囲の板ガラス部分より高い温度かつ軟化点より低
い温度とし、かつ該折り曲げ線部の板ガラスを、該板ガ
ラスの軟化点以上の温度とする。更に好ましくは、上記
折り曲げ線及びそれと向かい合う周縁の間の温度勾配を
設ける。例えば、周縁部から該折り曲げ線方向に5cm
以内の板ガラス部分を、板ガラスの軟化点より400〜
500℃低い温度とし、該折り曲げ線から直角方向に左
右それぞれ3cm以上、かつ該折り曲げ線と向かい合う
周縁部分から該折り曲げ線方向に5cmを超える範囲の
板ガラス部分を、上記周縁部分の温度以上とする。
【0018】本発明の方法により達成された板ガラス上
の温度分布の一例を図2に示す。図において、板ガラス
Gは縦400mm,横800mm、厚さ4mmであり、
軟化点は740℃である。板ガラスの横方向中央に折り
曲げ線Lが描かれている。これを本発明の方法に従って
加熱したとき、線XX′に沿うガラスの温度分布が図に
示されている。板ガラスG上の位置pは、温度分布上に
もpにより示されている。線XX′に沿う温度分布にお
いて、折り曲げ線Lの左右それぞれ約6mmの範囲は8
00℃近くになっている。その外側の輻射加熱された箇
所において、折り曲げ線Lから2.5cmまでの間で温
度が急に低下する。折り曲げ線Lから約10cmの位置
にある点pにおいては約450℃であり、周縁部分まで
その温度はほぼ一定である。即ち、本発明では折り曲げ
線近くのガラスの平面性を保持するために、折り曲げ線
L近傍において温度分布を極めてシャープにしたにも拘
らず、ガラス板全体の温度分布を適切にコントロールす
ることにより、ガラスの割れを防止できる。
【0019】また、上記の折り曲げ線に直角な方向の温
度分布に加えて、折り曲げ線に平行な方向においても、
所定の温度分布を与えることが好ましい(しかし、必須
ではない)。即ち、折り曲げ線から直角方向に左右それ
ぞれ10cmの箇所の該折り曲げ線に平行な方向の板ガ
ラスの温度分布において、板ガラス周縁部分の温度が中
心部分の板ガラス温度より30〜150℃高い温度、好
ましくは50〜100℃高い温度とすることが好まし
い。該温度分布を達成することにより、更に好適に二次
元内部応力による板ガラスの破損を防止することができ
る。このような折り曲げ線に平行な所定の温度分布は、
当該周縁部を加熱するための輻射加熱及び/又は伝熱加
熱により達成できる。
【0020】上記折り曲げ線に平行な方向の温度分布を
与えた温度分布の一例を図3に示す。図において、板ガ
ラスG1 は図2の板ガラスと同じである。これを本発明
の方法に従って加熱したとき、線X1 1 ′に沿うガラ
スの温度分布、及び線Y1 1 ′に沿うガラスの温度分
布が図に示されている。板ガラスG1 上の位置p1 は、
二つの温度分布上にもp1 により示されている。線X1
1 ′に沿う温度分布において、折り曲げ線L1 の左右
それぞれ約6mmの範囲は800℃近くになっており、
更に周縁方向に進むと温度がやや緩やかに低くなる。折
り曲げ線L1 から約10cmの位置にある点p1 におい
ては約350℃である。そこから、温度は更に緩やかに
低下し、周縁では約250℃である。一方、線Y
1 1 ′に沿う温度分布では、周縁部は中央より高い温
度とされ、これが二次元応力によるガラスの割れを防止
するために重要である。即ち、該発明では折り曲げ線近
くのガラスの平面性を保持するために、折り曲げ線L1
において温度分布を極めてシャープにしたにも拘らず、
ガラス板全体の温度分布を適切にコントロールすること
により、ガラスの割れを防止できるため好ましい。図3
の態様においては、図2に比べてガラス板を加熱する総
熱量が少なくてすむ。
【0021】本発明の方法における上記加熱は、通常空
気中で行われるが、これに限られない。
【0022】また、本発明の方法において好ましくは、
板ガラス全体を輻射加熱及び/又は伝熱加熱を行った
後、上記折り曲げ線近傍の板ガラス部分を輻射加熱し、
続いて該折り曲げ線部のガラスを電気的に加熱すること
が好ましい。この順で加熱することにより、折り曲げ線
部に適切なピークがある温度分布を容易に達成できる。
【0023】本発明の方法において、折り曲げ線に沿っ
て平面板ガラスを所定の角度に曲げる方法は、通常適当
に設計された板ガラス保持機構により行われる。その
際、曲げ速度、曲げ外力及び最終曲げ角度は、該保持機
構を通じて精密に制御される。これにより曲げ部分にお
けるクラックの発生が防止され、かつ曲げ部分の所定の
断面形状及び肉厚が得られる。平面部に対して輻射加熱
及び/又は伝熱加熱を使用した場合には該加熱に使用し
た装置に板ガラス保持機構を設けて、該ガラス保持機構
により板ガラスを所定の角度に曲げることが好ましい。
該板ガラス保持機構としては、例えば伝熱用のフレキシ
ブルヒーターをガラスの両面に接触させ、その上に保温
材を置き、更にその上から、アームに取り付けた板によ
ってサンドイッチ状にはさんで把持し、動力によってア
ームを動かすことにより所定の角度に板ガラスを曲げる
装置が挙げられる。これにより、隣り合う二の平面間の
内角を好ましくは60〜160度にする。該曲げ操作
は、非常に短時間の内に完了することができ、通常1〜
5分が好ましい。
【0024】上記の折り曲げ線を描いた導電性材料は、
通常上記の加熱成形後に除去される。導電性材料の成分
の多くは加熱中に徐々に燃焼又は飛散し、成形終了後に
は殆ど残っていないこともある。この点でカーボン系導
電性塗料が好ましい。導電性材料の種類又はその厚みに
よっては、完全に燃焼して除去されずガラス表面に残存
する場合もある。かかる場合には、加熱成形後に酸素を
吹き込んで完全に燃焼して除去するか、あるいはガラス
を冷却後に研磨等の適当な機械的方法又は化学的方法に
よって除去することができる。また、デザイン上の観点
から、完成した板ガラス成形体に導電性材料による線条
を残すことを希望する場合には、予め所望する色調が現
れるような所定の組成を有する導電性材料を使用して折
り曲げ線を描くことができる。
【0025】加熱成形後のガラスは、従来と同様に後処
理され、例えば徐冷又は急冷を施して徐冷品、強化品又
は倍強化品とすることができる。また熱線反射コート、
無反射コート、特定のパターン印刷、表面のエッチング
加工等の各種の表面処理を施すこともできる。
【0026】本発明の方法によって製造された少なくと
も一の直線的曲げ部分を有する、複数の平面部により構
成される一枚の板ガラス成形体において、上記曲げ部分
に直角な方向における曲面の外周の曲率半径が平面部に
おける板ガラスの厚さの1〜4倍であり、好ましくは1
〜3倍である。該曲率半径が板ガラスの厚さの4倍を越
える場合は、曲げ部分において、透視した物体の歪みが
大きくなり好ましくなく、著しい場合には、透視した物
体が拡大して見える。一方、曲率半径が1倍未満では、
コーナー部分の強度が小さく、かつ人間に対する安全性
の面から好ましくない。また、僅かに変形して平坦性を
失っている遷移領域が曲げ部分と平面部の間に存在して
もよく、該遷移領域の幅が好ましくは板ガラスの厚さの
2倍以下であり、特に好ましくは1倍以下である。該幅
が2倍を越える場合は、曲げ部分近傍の平面部において
透視した物体に歪みが生じ好ましくない。該板ガラス成
形体は、その平面部の板ガラス面が実質的に平坦であ
る。例えばフロート板ガラスを使用した板ガラス成形体
の場合には、曲げ加工前の該フロート板ガラスの平面性
をそのまま維持している。
【0027】本発明に従う板ガラス成形体の折り曲げ部
の曲げ方向の断面の例を図1に示す。図中のRが本発明
に従う曲率半径である。点P及びQは曲面が始まる点で
ある。本発明の板ガラス成形体の曲げ点P及びQの外側
に、見掛上は平坦であるが僅かに変形して平坦性を損な
っている光学的特性の比較的悪い部分、即ち遷移領域S
が存在してもよい。従来の曲げ部分を有する板ガラスに
おいては、図5に示したように曲率半径が著しく大き
く、かつ平面部と曲げ部分との境界が明瞭でなく、平面
部から曲げ部分に至る中間に、僅かに変形して平面性を
損なっている遷移領域が相当長さにわたって存在する。
これに比べて、本発明の板ガラス成形体は、顕著に異な
る。
【0028】上記板ガラス成形体は、少なくとも一のコ
ーナー部分を有するものを言い、例えば図4に示すよう
な種々の成形体が挙げられる。
【0029】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。
【0030】
【実施例1】縦400mm,横800mm、厚さ4mm
の長方形のフロート板ガラス(ソーダ石灰ガラス、軟化
点740℃)の横方向中央で縦方向に、銀系の導電性材
料(商標D‐1230(改)、藤倉化成(株)製)を使
用して、幅2mm、厚さ20μmの折り曲げ線をスクリ
ーン印刷法を用いて板ガラスの片面及び両端面上に描い
た。該折り曲げ線の端部に固体電極を設置した。次い
で、直径15mmの棒状のシーズヒーターを折り曲げ線
から板ガラス面に直角方向に40mm離れた位置に折り
曲げ線に平行に設置した。また、フレキシブルヒーター
から成る伝熱加熱装置を折り曲げ線から左右それぞれ5
cmを残して該板ガラス全面に設置した。該伝熱加熱装
置は板ガラスを両面からはさみつけるようにして設置さ
れ、板ガラス保持機構として機能する。次に、まず伝熱
加熱を開始して板ガラス全体を450℃に加熱した後、
折り曲げ線近傍を輻射加熱し、続いて折り曲げ線に50
Hz、AC38Vの電流を2分間流して、折り曲げ線部
の板ガラスを800℃に加熱した。板ガラス面は図2に
示す所定の温度分布となった。続いて、上記板ガラス保
持機構により、約1分間で二平面部が互いに直角になる
ように該板ガラスを曲げた。このようにして成形後、徐
冷して板ガラス成形体を製造した。
【0031】製造された板ガラス成形体の曲げ部分に直
角な方向における曲面の外周の曲率半径は、平面部にお
ける板ガラスの厚さの1.2倍の5mmであり、僅かに
変形して平坦性を失っている遷移領域は殆ど見られなか
った。また、該板ガラス成形体の平面部は、本発明の方
法に使用したフロート板ガラスの元のままの平面性を維
持しており、その光学的透視歪み及び反射歪みの増大は
全く認められなかった。
【0032】以上のように、本発明により製造された板
ガラス成形体の曲げ部分は非常にシャープであり、その
平面部は歪みがなく非常に透視性のよいものであった。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、曲げ部分に直角な方向
における曲面の外周の曲率半径が著しく小さく、かつ平
面部の光学的透視歪み及び反射歪みが極めて小さい、曲
げ部分を有する板ガラス成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板ガラス成形体の曲げ部分の曲げ方向
の断面図の一例である。
【図2】本発明の方法により達成された板ガラス上の温
度分布の一例である。
【図3】本発明の方法により達成された板ガラス上の温
度分布の一例である。
【図4】本発明の板ガラス成形体の例である。
【図5】従来法により製造された曲げ板ガラスの曲げ方
向の断面図の一例である。
【符号の説明】
R:曲げ部分に直角な方向における曲面の外周の曲率半
径 S:遷移領域 P、Q:曲げ部分の始まり点 d:板ガラスの厚さ G、G1 :板ガラス L、L1 :折り曲げ線 A1 、A2 :平面部分 AB1 、AB2 :平面部分A1 、A2 と曲げ部分B1
遷移領域 B1 :曲げ部分

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一の直線的曲げ部分を有す
    る、複数の平面部により構成される一枚の板ガラス成形
    体を作る方法において、板ガラス上の曲げるべき箇所に
    導電性材料を用いて折り曲げ線を描き、該折り曲げ線か
    ら直角方向に左右それぞれ3cm以上の範囲の板ガラス
    部分を、該板ガラスの軟化点より200〜500℃低い
    温度とし、該折り曲げ線から直角方向に左右それぞれ3
    cm未満の範囲の板ガラス部分を、上記3cm以上の範
    囲の板ガラス部分より高い温度かつ軟化点より低い温度
    とし、かつ該折り曲げ線部のガラスを該板ガラスの軟化
    点以上の温度に電気的に加熱した後、該折り曲げ線に沿
    って該板ガラスを曲げることを特徴とする板ガラス成形
    体の製造法。
  2. 【請求項2】 上記折り曲げ線と向かい合う周縁部分か
    ら該折り曲げ線方向に5cm以内の板ガラス部分を、板
    ガラスの軟化点より400〜500℃低い温度とし、該
    折り曲げ線から直角方向に左右それぞれ3cm以上、か
    つ該折り曲げ線と向かい合う周縁部分から該折り曲げ線
    方向に5cmを超える範囲の板ガラス部分を、上記周縁
    部分の温度以上とすることを特徴とする請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 板ガラス全体を輻射加熱及び/又は伝熱加
    熱し、かつ折り曲げ線近傍の板ガラス部分を輻射加熱す
    ることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一つに記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 板ガラス全体を輻射加熱及び/又は伝熱加
    熱し、次に折り曲げ線近傍の板ガラス部分を輻射加熱し
    た後、該折り曲げ線部分のガラスを電気的に加熱するこ
    とを特徴とする請求項1又は2のいずれか一つに記載の
    方法。
  5. 【請求項5】 板ガラス全体を輻射加熱及び/又は伝熱加
    熱するための装置に板ガラス保持機構を設けて、該保持
    機構により板ガラスを曲げることを特徴とする請求項3
    又は4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 【請求項6】 導電性材料で描かれた上記折り曲げ線の
    幅が平面部における板ガラスの厚さの0.3〜3倍であ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも一の直線的曲げ部分を有す
    る、複数の平面部により構成される一枚の板ガラス成形
    体において、上記曲げ部分に直角な方向における曲面の
    外周の曲率半径が平面部における板ガラスの厚さの1〜
    4倍であり、かつ平面部の板ガラス面が実質的に平坦で
    あることを特徴とする板ガラス成形体。
  8. 【請求項8】 上記曲率半径が平面部における板ガラス
    の厚さの1〜3倍であることを特徴とする請求項7記載
    の板ガラス成形体。
  9. 【請求項9】 僅かに変形して平坦性を失っている遷移
    領域が曲げ部分と平面部との間に存在し、該遷移領域の
    幅が板ガラスの厚さの2倍以下であることを特徴とする
    請求項7又は8のいずれか一に記載の板ガラス成形体。
  10. 【請求項10】 上記遷移領域の幅が板ガラスの厚さの
    1倍以下であることを特徴とする請求項9記載の板ガラ
    ス成形体。
  11. 【請求項11】 隣り合う二の平面間の内角が60〜1
    60度であることを特徴とする請求項7〜10のいずれ
    か一に記載の板ガラス成形体。
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