JP2858696B2 - 予見制御方法 - Google Patents

予見制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <発明の目的> 〔産業上の利用分野〕 本発明は順次入力される指令値に基づいて動作する制
御系の予見制御方法に係り、工作機械等に利用される位
置サーボや速度サーボ等の制御系の動作精度の向上に関
する。
〔従来の技術〕
従来より、高い動作精度を要求される制御系、例えば
NC工作機械の動作制御等には、指令プログラムにまとめ
られた指令値を順次読み込み、この指令値に基づいて動
作するとともに、サーボループにより精度補償を行うよ
うにしたサーボ制御系が多用されている。
このようなサーボ制御のなかでも高精度が得られるも
のとして、いわゆるソフトサーボ方式がある。このソフ
トサーボ方式は、最終的な位置精度を補償する位置制御
ループの内側に、動作状態を最適化するための速度制御
ループを設けた2重ループで構成される。
例えば、第6図に示す位置制御系では、位置指令値発
生手段1等から順次入力される指令値に基づいて動作す
る制御対象2は、前述の2重ループを含むソフトサーボ
方式の制御手段3により制御されている。
このようなソフトサーボ方式では、速度制御ループの
ゲインωを高めて高速応答性を確保し、外乱やパラメ
ータの変動等に対するサーボ剛性を高めている。また、
位置制御ループのゲインωを低くして制御系の安定性
を向上し、機械系に過度の衝撃や加速度を与えないよう
にしている。このため、ソフトサーボ式の工作機械等に
おいては、加工プログラムの作成にあたって外乱等に対
する配慮や機械系の過負荷防止等に特別な配慮をしなく
ともよく、指令プログラムの生産性を高めることができ
る。
一方、近年の工作機械等では、空間位置制御や姿勢制
御といった複雑な動作を実現するために、複数の移動軸
を備え、各軸の連係動作により所望の動作を実現する多
軸制御が行われている。
このような多軸制御系の一例として、平面位置制御等
に多用される2軸制御系は、第5図に示すように、系に
与えられた位置指令値信号R(x,y)に応じて各軸毎の
指令値Rx,Ryを出力する位置指令値発生手段1と、各軸
毎の駆動手段を含む制御対象2x,2yとを備えており、各
制御対象2x,2yには制御手段3x,3yが設けられている。
これらの制御手段3x,3yとしては、各々通常の一軸制
御と同様なソフトサーボが利用され、指令値Rx,Ryに応
じた最適な値に調整された制御入力Ux,Uyを出力し、指
令値Rx,Ryに基づいて制御対象2x,2yを忠実に制御する。
このため、各軸動作の連係は位置指令値発生手段1によ
って図られ、例えば円軌跡のx軸,y軸成分を制御手段3
x,3yに与えれば、制御対象2x,2yの合成動作が円軌跡を
描くように位置制御が行われる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、前述のような各サーボ制御系において精度
向上を図ろうとすると、特にソフトサーボでは2重の制
御ループ間の関係調整の難しさから精度向上が制約され
るという問題があり、多軸化した際には一層複雑な調整
が要求され、高精度化を阻害する要因となっていた。
まず、各サーボ制御系自体の問題について説明する。
前述のようなソフトサーボを採用した各位置制御系に
おいては、速度制御ループによる応答性と位置制御ルー
プによる安定性とを独立して設定することができなかっ
た。このため、制御系全体として応答性または安定性の
何れもが完全に調整された状態とすることは難しく、ま
た、両者のバランスを考慮して調整を行う際に多大の労
力と時間とを必要とするものであった。さらに、このよ
うな制御系では、位置精度が位置制御ループのゲインω
の最大値によって規制され、より以上の高精度化に対
応できないという問題があった。
このループゲインの問題について詳述すると、前記第
6図に示した従来の位置制御系においては、速度制御ル
ープのゲインωが位置制御ループのゲインωより大
きく(通常4〜20倍)設定されることから、系全体とし
ては一次遅れのソフトサーボとして扱われる。このた
め、当該位置制御系の特性は、 ただし、Sはラプラス変換子と近似することができる ここで、段階状の速度指令値(Vo/S、Voは指令速度)
に対する速度の応答特性は、 V(t)=Vo(1−ep) ……(2) ただし、p=−ωot となるから、ここで必要とされる加速度a(t)は式(2)
を一回微分することにより、 a(t)=Vo・ω・ep ……(3) として求められる。
このため、例えば切削用工作機械において、機械系の
最大切削送り速度をVo maxとすれば、制御系の発生する
最大加速度は、 amax=Vo max・ω ……(4) で規定される。しかし機械系の側から見ると、許容最大
加速度Amaxは機械系自体の構成によって定まるから制御
系の最大加速度amaxとの関係はamax≦Amaxでなければな
らない。
従って、位置制御ループのゲインの最大値は、 ωo max=Amax/Vo max ……(5) のように制約されることになる。
以上から、式(1)で近似される制御系では、機械系
によって許容最大加速度Amaxおよび最大切削送り速度Vo
maxの上限が決定され、これに伴ってゲインωの上限
も式(5)のような最大値ωo maxに制約され、それ以
上に高くとることができない。
次に、ループゲインと位置精度との関係について詳述
すると、例えば真円を描いたときの動作位置精度を半径
減少率δで表すならば、指令円の半径R(mm)、半径の
減少量ΔR(mm)、切削速度Vo(mm/min)として、 で求められる。
従って、式(6)から一定の切削速度Voで一定の半径
Rの円を描いた場合、半径減少率δすなわち位置精度は
1/ωo 2に比例し、あるいはωo2に反比例するといえる。
ところが、制御系のゲインωの上限が機械系によっ
て制約されることは前述の通りである。従って、半径減
少率δはゲインの最大値ωo maxに基づく精度以上に高
めることはできず、より高い形状精度を得ることは困難
であった。
以上、サーボ制御ループ自体の問題について述べた
が、2軸以上の多軸制御においては、各軸毎の位置精度
に加えて各軸のサーボ制御系毎の連係が重要となり、問
題はさらに複雑になる。
すなわち、従来の多軸制御においては、各軸について
のサーボ制御系が全く独立して動作を行っており、例え
ば、前記第5図に示した2軸制御系では、各軸間の連係
は位置指令値発生手段1によって行われ、各制御手段3
x,3yは与えられた指令値Rx,Ryに忠実に従って制御対象2
x,2yを制御するだけであった。
従って、各軸毎の制御手段および制御対象の機械的あ
るいは電気的特性が完全に均一でないと、おおもとの位
置指令値信号R(x,y)に対して特定の軸が先行し、あ
るいは遅れるといった事態が生じ、正確な真円を描くこ
とができないなど、経路誤差が発生するという問題があ
った。
本発明の目的は、応答性および安定性を向上できると
ともに、多軸制御においても位置精度を向上できる予見
制御方法を提供することにある。
<発明の構成> 〔課題を解決するための手段〕 本発明は、動作毎に順次入力されていた指令値を、予
め所定の予見期間にわたり先読み(フィードフォワー
ド)することにより各サーボ制御系に与えられる入力ベ
クトルを最適制御理論に基づいて最適化するものであ
る。この際、最適化を行う評価関数に各時点での系の状
態に応じた重み関数を用いて予見特性の改善を図るとと
もに、各状態量等を指令値に基づく関数として表す。さ
らに、先読みにあたって複数の各軸の状態を含む総合的
な系の状態を判定することにより、多軸制御における各
軸間の連係をも最適化しようとするものである。
すなわち、順次入力される指令値R(k)に基づいて
連係制御される複数軸を有する動作制御系の状態は、通
常の連続時間系では次の微粉方程式 (t)=A・x(t)+B・u(t) ただし、x(t):系の状態変数ベクトル u(t):制御入力ベクトル によって表されるが、予見制御に利用されるサンプリン
グ周期Ts毎の離散時間系においては次式 X(k+1)=Φ(k)・X(k)+G(k)・U(k)+D(k) ただし、X (k):複数軸の制御系の状態変数ベクトル U (k):制御対象に与えられる制御入力ベクト
ル Φ(k):制御対象の係数行列 G (k):入力行列 D (k):外乱ベクトル で表される。
本発明では、指令R(k)の関数として与えられる誤差重
み関数Q(i)および入力重み関数H(j)を用い、現時点kか
ら予見期間Mにわたって先読みを行う評価関数 を設定し、この評価関数Ic(k)を最小化または最大化す
るように制御入力ベクトルU(k)を計算し、このU(k)を制
御対象に与えることにより制御を行う。
このような制御を行うにあたっては、通常の制御系の
指令値発生部分と指令値により動作する制御対象との間
に本発明に基づく予見制御を実行する制御手段を介在さ
せ、指令値の先読みおよび制御入力の最適化等を行うよ
うにすればよい。
具体的には、第1図に示すように、位置制御の場合、
位置指令値発生手段10およびサーボループを含む制御対
象20(例えば前記第6図のような構成)との間に予見制
御用の制御手段30を介在させ、この制御手段30により位
置指令値発生手段10から位置指令値R(k)およびM個のR
(k+1)〜R(k+M)を先読みするとともに、制御対象20にお
ける他の軸を含めた状態量(例えばサーボ制御系で検出
されるk時点での各軸毎の位置、速度、加速度等)から
状態変数ベクトルX(k)を決定し、これらに基づいて評価
関数Ic(k)を計算し、最適化された制御入力ベクトルU
(k)を制御対象20に出力することにより、本発明に基づ
く最適制御を実現することができる。
なお、外乱ベクトルD(k)としては、制御系中の機械部
分に発生する摩擦抵抗や誤差要因のうち既知の要素をま
とめたもの等が利用できる。この外乱ベクトルD(k)は、
該当する外乱要素がない場合には省略してよく、状態式
中に利用する場合には指令値R(k)の関数として表すとい
うことである。例えば、クローン摩擦力は、+方向へ移
動する時は+C1、一方向へ移動する時は−C1となり、指
令値R(k)に基づく移動方向により決まるから、指令値R
(k)の関数として表すことができる。他の要素もこのよ
うな関連を用いて指令値R(k)の関数としてまとめればよ
い。
また、行列演算にあたって、指令値R(j)の次元と状態
変数の数とを合わせるため、値0の要素を補って指令値
R(j)を拡張した拡大指令値Ro(j)を用いる。
また、評価関数Ic(k)に用いる重み関数Q(j),H(j)は、
指令値R(k)の関数とした際の最適化の効果が薄い場合な
ど適宜定数で代用してもよく、重み関数Q(j),H(j)の何
れを定数化するか等は実施時にあたって選択することが
好ましい。
さらに、制御入力ベクトルU(k)の計算にあたっては、
例えばDP法(Dynamic Programinng 法)等を用い、離散
化された評価関数Ic(k)および状態式X(k)を最適化する
ようなU(k)を計算すればよい。
〔作用〕
このように構成された本発明においては、評価関数Ic
(k)により予見期間Mにわたる先読みを行い、各時点の
系の状態に応じた最適な制御入力ベクトルU(k)を制御対
象に与えることにより予見制御を行い、対象となるサー
ボ制御系に対して応答性および安定性に優れかつ精度の
高い制御を実現する。
また、評価関数Ic(k)には、固定化された定数による
重み関数を用いるのではなく、各時点での系の状態に応
じた重み関数Q(j),H(j)を用いて予見特性を改善し、一
層の高精度を実現する。
さらに、評価関数Ic(k)および状態変数ベクトルX(k)
等を複数の各軸の状態に対応したものとし、総合的な系
の状態を判定することにより各軸の各サーボ制御系の連
係を最適化し、経路誤差の回避等、多軸制御における精
度向上をも実現し、これらにより前記目的を達成する。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明す
る。
第2図において、本実施例の制御系は、x軸およびy
軸についての2軸制御を行う制御系であり、各軸毎の指
令値を発生する位置指令値発生手段10と、各軸毎に配置
された従来の独立したサーボ制御系による制御対象21,2
2とを備えている。これら位置指令値発生手段10と各制
御対象21,22との間には、各軸毎の演算手段31,32を含む
制御手段30が設けられている。
この制御手段30は、本発明の予見制御方法に基づく予
見制御を行うように構成されたものであり、サンプリン
グ周期Ts毎に予見期間としてM周期分の先読みを行い、
当該時点kにおける最適な制御を行うように構成された
ものである。このために制御手段30は、各軸毎の演算手
段31,32に位置指令値発生手段1からの指令値Rx(j),Ry
(j)(j=k,k+1,…k+M)を読み込み、制御対象21,2
2から状態量Xx(),Xy(k)を読み戻すとともに、各演
算手段31,32間で状態量等を相互参照して総合的な状態
変数ベクトルX(k)を決定し、この状態変数ベクトルX(k)
および各々における評価関数Ic(k)に基づいて制御入力U
x(k),Uy(k)を調整し、制御対象21,22の動作位置Cx,Cyを
最適化するように構成されている。
以下に具体的な制御実行手順を説明する。まず、時点
kにおけるx軸位置をx1、x軸速度をx2、y軸位置を
x3、y軸速度をx4とし、演算手段31に与えられるx軸電
流指令値をu1、演算手段32に与えられるy軸電流指令値
をu2としたとき、第2図の制御系の状態式は、 (x)=A・x(t)+B・u(t) ただし、 xT (t)=〔x1,x2,x3,x4〕, uT (t)=〔u1,u2〕, で表される。この状態式を制御手段30におけるサンプリ
ング周期Tsに対応した離散時間系の表現に直すと、 X(k+1)=Φ(k)・X(k)+G(k)・U(k) ただし、 xT (t)=〔x1,x2,x3,x4〕, UT (t)=〔u1,u2〕, で表される。なお、これらのΦ(k)およびG(k)は、サン
プリング周期Ts毎の離散値であり、各時点での指令値R
に1対1で対応させることにより、各指令値の関数とし
て扱うようにしてもよい。すなわち、本発明では他の軸
を含む複数軸の予見制御を行うのであり、制御系のモデ
ル(X(k))には指令値Rに基づいて刻々変化する他の軸
の状態が含まれる。従って、系のモデル化の要素である
これらのΦ、G、Dを指令値の関数とすることで、一層
精度を向上することができる。
一方、演算手段31が読み込んだ指令値Rx(j)および演
算手段32が読み込んだ指令値Ry(j)(j=k,k+1,…k+
M)に基づくx軸位置指令をR1(j)、y軸位置指令をR
2(j)、x軸位置指令増分をRi1(j)、y軸位置指令増分を
Ri2(j)としたとき、評価関数は、 ただし、 で表される。
このような評価関数Ic(k)をDP法(Dynamic Programin
ng法)を用いて解き、各軸について評価関数Ic(k)を最
小化(または最大化)するような制御入力ベクトルU(k)
を計算し、このU(k)に基づく制御入力Ux(k),Uy(k)(具
体的には電流指令値u1,u2)を制御対象21,22に与え、制
御対象21,22の動作を高精度に制御する。
このような本実施例によれば、制御手段20においてM
周期にわたる指令値の先読みを行うことにより、x軸お
よびy軸の制御対象21,22の応答性および安定性を高く
維持し、かつ各々における位置精度を高めることができ
る。
また、制御手段20における予見制御ではx軸およびy
軸の指令値や状態量を相互参照するため、制御対象21,2
2の連係を最適化して経路誤差等を解消することができ
る。
ここで、前記実施例による位置精度向上の具体例を説
明する。なお、以下の説明中、前記実施例に基づく動作
結果等は本発明系nとして示し、単なるソフトサーボ制
御によるものは従来系cとして示してある。
(第1実験例) 第1実験例は、第3図(C)に示すようなコーナー部
を描く場合である。このコーナー部は、x軸の移動10mm
に続くy軸の10mm移動によって描かれる。
第3図(A)に示すように、x軸の位置指令値Rxは10
mmの移動を示すランプ(傾斜)状である。このような位
置指令値Rxに基づく動作において、本発明系nおよび従
来系cの送り速度、加速度、位置を測定した。
従来系cの加速度X2cは、動作開始時および停止時に
急峻なピークおよびディップを示し、そのピーク値も大
きい。これに対し、予見制御を行う本発明系nの加速度
X2nは動作開始の立ち上がりが緩やかであり、停止時に
はやや不規則な変化を示すが、全体を通して見ても最大
値は従来系cのピーク値の半分程度である。
このような加速度の特性により、従来系cの速度X1c
は急激に立ち上がり示し、徐々に最大値に近づいたの
ち、停止時に急激に減少するが、完全に停止するまでに
はかなりの遅れを示している。これに対し、本発明系n
の速度X1nは滑らかな増加を示し、停止時に一旦増加す
るがその後は滑らかに減少し、停止時間も短くなってい
る。
その結果、本発明系nのx軸位置X3nは、従来系cの
x軸位置X3cに比べて移動開始が緩やかであるが、従来
系cおりも先に目標の10mmに達しており、機械系に無理
な負担を与えることなく高速応答が行えることが明らか
である。
一方、第3図(B)に示すように、y軸の位置指令値
Ryも10mmの移動を示すランプ(傾斜)状である。
ここで、従来系cの加速度Y2c、速度Y1c、y軸位置Y
3nは、それぞれx軸と略同様のカーブを示しており、こ
れは従来系cではx軸およびy軸の制御系が各々独立と
なっていることに起因するものである。
これに対し、本発明系nでは加速度Y2nおよび速度Y1n
がx軸の場合と大きく異なっている。これは、本発明系
nがx軸の指令値Rxや状態量等をも参照する評価関数Ic
を利用して制御を行うため、完全な停止状態から動作開
始するx軸の場合と、x軸側が停止しきらない状態で動
作開始するy軸の場合とで条件が異なり、この相違に基
づいて加速度Y2nおよび速度Y1nを最適化した結果であ
る。
このため、本発明系nにおいては、y軸動作開始時の
加速度Y2nは、変化が緩やかであるが最大値が加速度X2n
より大きくなるように制御され、速度Y1nの変化も速度X
1nより急速に行われており、追従性を高めてx軸の移動
終了に続くy軸動作の連続性を改善している。また、y
軸動作終了時の加速度Y2nは、x軸動作開始時のX2nと略
対称をなすように緩やかに抑えられ、速度Y1nは大きめ
に維持され、かつ滑らかに停止に至るように制御されて
いる。その結果、本発明系nのy軸位置Y3nは、従来系
cのy軸位置Y3cに比べて従来系cよりも先に目標の10m
mに達している。
従って、本発明系nではx軸およびy軸を相互参照す
る評価関数Icを用いた予見制御を行うことにより、x軸
およびy軸の各々が高速で動作できるとともに、x軸お
よびy軸の動作連続性を高めて総合的な動作の合理化お
よび高速化が可能であることが理解される。
また、本実験例では評価関数Icの解析のため、サンプ
リング周期Ts=200mSecとしたが、これに応じて各軸の
送り速度Fを調整し、F=3m/minとすることにより経路
誤差を最小とすることができた。このような設定におけ
る本発明系nの動作経路は第3図(C)に示すようなも
のであり、従来系cに比べて経路誤差が充分に小さく、
本発明系nによって位置精度の改善が図れることも理解
される。
(第2実験例) 第2実験例は、第4図に示すような円軌跡を描く場合
であり、指令半径Rc,Rnを10mm、送り速度を3.77m/minと
し、制御対称における位置ループゲインωを20rad/se
cとした。
その結果、従来系cの半径減少率ΔRcが約423μmで
あるのに対し、本発明系nのΔRnは約76μmとなり、お
よそ5.6倍の改善が見られた。
このように、前記実施例によれば、先読みした各軸毎
の指令値Rx,Ryや状態量Xx,Xyを相互参照し、総合的な系
の状態を表す状態変数Xと評価関数Icとの解析によって
各軸毎の制御入力Ux,Uyを最適な値に調整するような予
見制御を行うとしたため、機械系の構成や増大加速度を
従来と同一としたままでも系の安定性および応答性を向
上でき、かつ各軸間の連係をより正確に維持して経路誤
差等を排除し、従来にない高精度を達成することができ
る。
なお、前記実施例では2軸の位置制御系について説明
したが、通常のソフトサーボに含まれる速度制御ループ
等に適用してもよく、あるいはソフトサーボの2重ルー
プの各々に適用してもよく、本発明は各状態量を総合的
な状態変数Xにまとめ、評価関数Icとともに解析するも
のであるため、制御する系が1軸ないし多軸であっても
広範囲に適用でき、各々において高精度で安定性および
応答性に優れた制御を実現することがきる。
<発明の効果> 以上に説明したように、本発明によれば、総合的な系
の状態を表す状態変数Xおよび評価関数Icを用いて予見
制御を行うことにより、系の安定性および応答性を向上
するとともに、従来にない高い位置精度を実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を具体化する構成の概要を示すブロック
図、第2図は本発明の一実施例の構成を示すブロック
図、第3図(A),(B),(C)はそれぞれ前記実施
例の第1実験例を示すグラフ、第4図は前記実施例の第
2実験例を示すグラフ、第5図は従来の2軸制御系の構
成を示すブロック図、第6図は従来のソフトサーボ制御
系の構成を示すブロック図である。 10……位置指令値発生手段、21,22……制御対象、30…
…本発明の予見制御方法に基づく制御手段、31,32……
演算手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】順次入力される指令値R(k)に基づいて連係
    制御される複数軸を有する動作制御系において、 前記複数軸のうち任意の軸の制御に別の軸の状態変数を
    利用するために、複数の各軸を総合した前記制御系の特
    性を、 X(k+1)=Φ(k)・X(k)+G(k)・U(k)+D(k) ただし、 X (k):複数軸の制御系の状態変数ベクトル U (k):制御対象に与えられる制御入力ベクトル Φ(k):制御対象の係数行列 G (k):入力行列 D (k):外乱ベクトル で表すとともに、 前記指令値R(k)の関数として与えられる誤差重み関数Q
    (j)および入力重み関数H(j)を用いた評価関数 を設定し、この評価関数Ic(k)を最小化または最大化す
    る制御入力ベクトルU(k)を計算し、このU(k)を制御対象
    の各軸に与えて制御することを特徴とする予見制御方
    法。
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