JP2856821B2 - コーヒー液製造方法 - Google Patents

コーヒー液製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、焙煎したコーヒー豆から味の良いコーヒ
ー成分を効率よく抽出するコーヒー液の製造方法に関す
る。
(従来の技術とその問題点) 従来は、焙煎したコーヒー豆に湯又は水蒸気を供給し
てコーヒー成分を抽出し、コーヒー液を製造している。
しかし、この方法では、抽出済みのコーヒー豆に、なお
相当量のコーヒー成分が残存しており、効率が悪い難点
がある。
一般に、抽出固形量(抽出されるコーヒーエキス分)
を増加するには抽出温度を高く(通例95〜100℃)抽出
時間を長く(通例40分〜1時間)すればよいが、そうす
ると味を劣化させる油脂も同時に抽出されてしまうの
で、近年は、長径2〜3mm程度に荒びきされたコーヒー
豆を用い、短時間(通例20〜30分)での抽出を行い、味
の良いコーヒー抽出液を製造することが行なわれてい
る。しかし、この場合は、収量が低減しコスト高になる
し、やはり残渣中に多くの固形分が含有されていて、改
善の余地がある。
なお、焙煎コーヒー豆を加圧炭酸ガスで処理して、フ
レーバーエキス或いはそれを含む油脂分を抽出すること
も知られている技術である。
例えば、特開昭63−141550号公報には、抽剤として亜
臨界状態のCO2を用いて、焙煎コーヒーからコーヒーフ
レーバーエキスを抽出する方法が開示され、特開平1−
112949号公報は、特定量のエチルアルコール水溶液が加
えられている超臨界状態のCO2を用いて香味成分を抽出
し、さらに抽出成分をシリカゲル充填カラムが分画し、
所望の香味を有する画分を分取する方法を開示し、又、
特開平1−211449号公報には、焙煎コーヒーに予め極性
溶媒を添加、混合したあと、抽剤として亜臨界又は超臨
界状態のCO2を用いて、芳香成分を含むコーヒー油を抽
出する方法が示されている。
しかし、第1の方法は、フレーバーエキスの抽出を目
的とするもので油脂の抽出率は低く、仮に残渣からコー
ヒーを抽出しても冒頭で述べた従来法とあまり差のない
結果になる。第2の方法は、エントレーナーとしてエチ
ルアルコールを用いるので、残渣にそれが残った場合
は、残渣を常法により水や湯で抽出すると、通常のもの
とは異質の色、味のコーヒー液が抽出されることにな
る。又、第3の方法ではエントレーナーとして極性溶媒
を添加しているが、これら極性溶媒が添加されるとコー
ヒーフレーバーはほとんど抽出油脂に移行してしまい、
残渣はフレーバーの乏しいものになり、それからコーヒ
ー抽出液を製造すると、極端に味の劣化したものとな
る。
(問題を解決する手段) 本発明は、これら従来技術と異なり、コーヒー液の味
を劣化させる原因となる油脂類をあらかじめ焙煎コーヒ
ー豆から除去し、味の良いコーヒー抽出液を効率良く抽
出することを目的とするものであり、この目的は焙煎
し、長径0.6mm以下に粉砕したコーヒー豆を、温度が10
〜100℃で、圧力が50〜500Kg/cm2の範囲の二酸化炭素と
接触させてコーヒー豆に含有される油脂を除去した後
に、当該コーヒー豆から湯又は水によりコーヒー成分を
抽出することによって達成される。
本発明は、従来方法による抽出液のコーヒー豆に、な
お相当量のコーヒー成分が残存していることに着目し、
その改善を図ったものであり、本発明によるときは、従
来方法よりも効率よく、即ち、同一抽出時間であれば従
来方法のものよりも高濃度でしかも品質の良いコーヒー
液が得られ、同一濃度のコーヒー液ならば従来方法より
も少量のコーヒー豆で得ることが可能となる。
なお、本発明で使用される二酸化炭素は、温度10〜10
0℃、圧力50〜500Kg/cm2の範囲にあるが、これは、超臨
界状態と、その近傍の亜臨界状態と、その近傍の液体状
態のものである。圧力が50Kg/cm2未満では、油脂の抽出
率が低下し、500Kg/cm2超では装置コスト、使用エネル
ギーが増大し不経済である。温度が100℃超であると、
得られるコーヒー液の芳香が劣り、10℃未満の場合も良
質なコーヒー液が得られない。
また、焙煎コーヒー豆を、長径0.6mm以下に限定する
理由は、0.6mmを越えた場合には油脂の抽出率が悪くな
り、味の良いコーヒー液が得られないからである。
(作用) 本発明では、一定温度と一定圧力範囲内の二酸化炭素
と予め接触させて油脂を除去した焙煎コーヒー豆に、湯
又は水を供給してコーヒー成分を抽出するが、油脂分除
去によりコーヒー豆内を湯又は水が通り抜け易くなって
いるので、コーヒー成分の抽出が従来方法に比べて効率
よくなされ、しかも味を悪くする油脂分を除去してある
ので、抽出されたコーヒー成分も良質である。
(実施例1) 本発明方法を実施するための装置の一例のフローシー
トを第1図に示す。この図において、1はCO2貯蔵タン
ク、2は昇圧装置、3は熱交換器、4は油脂抽出器、5
は圧力調整弁、6は分離器である。
貯蔵タンク1内のCO2はパイプ7を通って昇圧装置2
に送られ所望の圧力に昇圧され、次いでパイプ8を通っ
て熱交換器3に送られ所望温度になされ、その後、油脂
抽出器4にパイプ9を通して供給される。油脂抽出器4
には焙煎され、0.6mm以下に粉砕されたコーヒー豆が充
填されていて、上記CO2は当該コーヒー豆と接触し油脂
等を抽出する。油脂を含有するCO2は、次いでパイプ1
0、圧力調整弁5、パイプ11を通って分離器6に入り、
ここで油脂等が分離され、分離された油脂等は分離器内
に残り、分離器から適宜手段で取り出される。一方、CO
2はパイプ12を通り回収される。
上記装置を用い、CO2を250Kg/cm2に加圧し且つ40℃に
なした後、油脂抽出器4に4時間連続供給して、焙煎し
粉砕(長径0.6mm以下)したコーヒー豆70gから油脂等を
抽出し、当該抽出済みのコーヒー豆61gを95℃の湯1
に10分間浸しコーヒー液を作った。
このコーヒー液の濃度は、デジタル屈折計RX−3P(株
式会社アタゴ製)で測定したところBrix1.81%であっ
た。
(実施例2〜6) 実施例1に準じて行ったものであり、表1にまとめて
示す。
但し、抽出済みのコーヒー豆量は実施例2,4,5では60
g、実施例3では62g、実施例6では68gである。
(比較例1〜7) 表1において、比較例1,4,5はCO2による処理がない場
合を示し、又、比較例2,3はコーヒー粒径において、比
較例6はCO2温度において、比較例7はCO2圧力におい
て、夫々、本発明条件から逸脱する場合を示す。
例えば、比較例4は、CO2と接触させることなく、上
記焙煎したコーヒー豆70gを直ちに95℃の湯1に10分
間浸しコーヒー液をつくった場合であり、このコーヒー
液の濃度はBrixl.58%であった。
これは、実施例1のコーヒー液はこの比較例のコーヒ
ー液の約1.18倍の濃度を有することを示す。
又、比較例6はCO2を250Kg/cm2に加圧、120℃とした
あと、4時間連続して油脂抽出器に供給し、焙煎、粉砕
(長径0.6mm以下)したコーヒー豆70gから油脂等を抽出
し、抽出済みコーヒー豆60gを、95℃の湯に10分間浸し
てコーヒー液を作った場合である。
(発明の効果) 本発明によれば、コーヒー豆からコーヒー液の味を悪
くする油脂分の大部分を除去してから水又は湯によって
コーヒー成分を抽出するので、良質のコーヒー液が得ら
れ、しかも、前処理の従来方法と比較して、水又は湯に
よって抽出されるコーヒー液が15%以上多く得られ、生
産効率(抽出効率)が向上する。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明を実施する油脂抽出装置の1例のフロー
シートである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焙煎し、長径0.6mm以下に粉砕したコーヒ
    ー豆を、温度が10〜100℃で、圧力が50〜500Kg/cm2の範
    囲の二酸化炭素と接触させてコーヒー豆に含有されてい
    る油脂を除去した後に、当該コーヒー豆から湯又は水に
    よりコーヒー成分を抽出することを特徴とするコーヒー
    液製造方法。
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