JP2856246B2 - 熱回収・供給装置 - Google Patents

熱回収・供給装置

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JP2856246B2
JP2856246B2 JP8294577A JP29457796A JP2856246B2 JP 2856246 B2 JP2856246 B2 JP 2856246B2 JP 8294577 A JP8294577 A JP 8294577A JP 29457796 A JP29457796 A JP 29457796A JP 2856246 B2 JP2856246 B2 JP 2856246B2
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water tank
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仁 長谷川
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和彦 後藤
祐士 斎藤
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Fujikura Ltd
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    • F28D15/02Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F28D20/00Heat storage plants or apparatus in general; Regenerative heat-exchange apparatus not covered by groups F28D17/00 or F28D19/00
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  • Heat-Pump Type And Storage Water Heaters (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、作動流体の潜熱
として熱輸送するヒートパイプを用いて熱源流体から熱
を採取して一旦蓄えた後、取り出して各種熱関連設備等
へ熱を供給することのできる熱回収・供給装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種の熱関連設備や製造設備等に
おいて、それらで消費された後排出される廃水から産業
用温排熱、都市廃熱等を回収して、その回収した熱を再
利用することが、省エネルギ化やエネルギ有効利用の観
点から広く行われている。すなわち機器を効率良く運転
させるために、回収した熱を再利用することが行われて
いる。また最近ではこの回収した熱を必要なときに取り
出せるように蓄熱する技術が研究され、回収した熱を溜
める技術も広く開発されている。
【0003】そして、その一例として、作動流体の潜熱
によって大量の熱輸送ができるヒートパイプにより排熱
を回収し、前記蓄熱槽あるいは蓄冷槽にその熱が蓄えら
れるように構成された熱回収装置がある。
【0004】このように構成された熱回収装置によれ
ば、ヒートパイプは、その加熱部となる一端部で得た所
定温度の熱を低下させることなく、目的とする箇所に輸
送することができるので熱効率が良く、また熱の移動は
ヒートパイプを介して生じるので、ヒートパイプを長尺
のものとすることによって、熱源から大きく離れた箇所
へ熱輸送する場合であっても効率の良い熱輸送を行うこ
とができ、所定温度の熱を蓄熱することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
熱回収装置では、熱回収効率を主眼として構成されてお
り、熱源媒体から低温の回収用熱媒体への熱伝達を行う
ことができるものの、この回収用熱媒体の温度は熱源媒
体の温度によって必ずしも一定にはならない。そのため
回収した熱を利用するにあたっては、利用箇所で供給さ
れる熱量あるいは温度等に応じて調温設備すなわち加熱
もしくは冷却の設備、さらには熱源媒体の形態の変更の
ための設備等を必要とし、熱回収することができるもの
の、その利用にあたってはさらに各種の装置、設備が必
要であり、全体としての構成が複雑化するとともに、設
備コストが高くなる不都合があった。
【0006】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、熱回収効率に優れ、しかも温度の異なる複数の熱
源を得ることのできる熱回収・供給装置を提供すること
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するためにこの発明は、単一の熱源流体が流動
する経路内に、複数のヒートパイプの一端部が前記熱源
流体の流動方向に沿って配列されるとともに、それらの
ヒートパイプの他端部が、各ヒートパイプごとに設けた
潜熱蓄熱材に熱授受可能に連結され、かつそれらの潜熱
蓄熱材の融点が、前記熱源流体の流動方向で上流側に一
端部を配置したヒートパイプに対応する潜熱蓄熱材ほど
高く設定されていることを特徴とする熱回収・供給装置
である。
【0008】したがって、この熱回収・供給装置によれ
ば、前記流動経路内の単一の熱源流体の流動方向に沿っ
て複数のヒートパイプの一端部が配置されているから、
それぞれのヒートパイプを介して、経路内の熱源流体の
熱が輸送される。すなわち、熱源流体は各ヒートパイプ
によって、その熱を奪われることになるので、熱源流体
はその流動方向に進むにつれて、その温度が徐々に低下
する。
【0009】そして、各ヒートパイプの他端部はそれぞ
れに対応する潜熱蓄熱材に熱授受可能に連結されている
から、前記経路内から輸送されてきた熱が、各潜熱蓄熱
材に向けて放出される。
【0010】なお、この場合、各潜熱蓄熱材の融点がそ
れぞれのヒートパイプが輸送してくる熱に対応して設定
されているから、すなわち熱源流体の流動方向で下流側
に一端部を配置したヒートパイプに対応する潜熱蓄熱材
ほど融点が低くなるようにして設定されているから、熱
源流体の温度が、各ヒートパイプによって奪われて、徐
々に温度低下したとしても、各ヒートパイプでの両端部
での温度差が一定に確保され、それぞれのヒートパイプ
の一端部における温度に対応した融点の潜熱蓄熱材への
熱輸送が生じる。
【0011】その結果、前記経路内の温度上昇がそれ以
上生じることなく、各ヒートパイプによって生じた流動
方向での温度変化が一定に維持され、各潜熱蓄熱材に各
ヒートパイプの配置位置に対応する温度で熱がそれぞれ
蓄熱される。
【0012】つまり、ある温度の熱源流体から、利用形
態にそった複数種の所要温度の熱が取り出されて各蓄熱
槽に蓄熱され、その結果、複数の温度の相違する熱源が
得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例の具体
例を図に示す実施例に基づいて具体的に説明する。図1
および図2に示す熱回収・供給装置は、この発明の一実
施例を示す図であり、熱源流体には、例えば熱関連設備
や製造設備等から排出される廃水1が採用されている。
【0014】この実施例では、熱源流体流動経路中に、
廃水1を所定量保持できる単一容器が配置されている。
この容器には、一例として、水槽2が採用されており、
その水槽2は防水加工や防錆加工等が施された金属板な
どの所定の耐食性材料によって凹形状にかつ水槽2の高
さ方向に所定の温度分布が生じる程度の深さに構成され
ている。そして水槽2の内部には廃水1が所定量溜めら
れている。
【0015】そして、水槽2の重力方向での上側すなわ
ち開口部には、この水槽2の内部に所定流量の温廃水1
が供給されるように温廃水供給管3が配置されている。
さらに水槽2の重力方向の端部すなわち底部分には、水
槽2の内部に溜められた廃水1を外部に排出する排水管
4が液密状態に接続されている。
【0016】なお、水槽2内の廃水1の容量は所定温度
分布が生じる程度に設定されており、常時一定に保つこ
とが好ましい。そのためには自動的に液面を保つ適宜の
システムを採用することが望ましく、その一例として、
排水管4の断面積の大きさを調整したり、排水管4にバ
ルブを設けてそのバルブの絞り具合により排水量を調整
したり、さらにはオーバーフロー管を連通させて、その
オーバーフロー管の上端高さによって液面高さを保持さ
せたりすること等が可能である。
【0017】したがって、前記水槽2の内部に所定量の
廃水1が常時維持できるように温廃水1の供給量が設定
されるとともに、適宜のシステムにより、排水量の調整
が図られている。すなわち、供給管3から供給される温
廃水1の流量に対して、廃水1が水槽2の内部に所定深
さ分、溜められるように構成されている。
【0018】つまり、供給管3から温廃水1が供給さ
れ、水槽2の内部の廃水1が所定量を越えた場合のみ、
その超過分が排出されるよう構成されている。
【0019】またこの場合、温廃水1の給排出によって
水槽2の内部に温度分布が生じかつその分布が維持され
るように供給量および排水量に対応して緩やかな流速が
得られるように供給管3および排水管4の径や流速等が
設定されて、水槽2の内部の廃水1の表面層に緩やかに
温廃水1が供給されるとともに緩やかに水槽2内から廃
水1が排出されるように構成されている。なお、廃水1
が接触する水槽2の壁面および管内部の荒さ、廃水1の
粘性、比重なども考慮して所定流量が得られるように供
給管3や排水管4等が形成されている。
【0020】前記水槽2の側壁部には、一例として3本
のヒートパイプ5の蒸発部6となる一端部がその外壁面
を貫通してその内部に挿入されている。すなわち、熱源
流体流動経路となる水槽2内に各ヒートパイプ5の一端
部が配置されている。そしてこれらのヒートパイプ5は
水槽2に対して高さ方向に間隔を開けて3段となるよう
にかつ該水槽2の廃水面とほぼ平行に配列されている。
【0021】具体的には、水槽2の内部に滞留した廃水
1は深度が深い程、その温度が低くなるので、ヒートパ
イプ5を配置する位置によって伝達される熱が異なる。
すなわち前述したように温廃水1を給排出することによ
って得られる温度分布に対して所定温度が取り出せる位
置に各ヒートパイプ5の蒸発部6が挿入されている。
【0022】そして前記水槽2の側壁部のヒートパイプ
5が貫通している部分には、例えばパッキンなどのシー
ル手段7が設けられており、これにより貫通部分での液
漏れを防止している。すなわちヒートパイプ5が水槽2
に対して液密状態にかつ廃水1と熱授受可能に挿入され
ている。
【0023】なお、ヒートパイプ5としては、ここでは
円形断面の単管タイプのものが採用されており、そのコ
ンテナ8の内部に封入する作動流体としては、後述する
各蓄熱槽9に充填されている蓄熱媒体10の蓄熱開始温
度に近い動作開始温度のものが選定されている。
【0024】また具体的には、一例としてそれまで収集
した熱エネルギが逆流しないように作用し、蒸発部6か
ら凝縮部11に向けてのみ熱輸送を行う熱ダイオード型
のヒートパイプすなわち熱サイフォン式ヒートパイプが
採用されている。このヒートパイプ5は、例えば真空脱
気した密閉管の内部に所定温度が取り出せるように選定
された水、フロン、アルコールなどの目的温度範囲で蒸
発・凝縮する流体を作動流体として封入し、高温部側で
蒸発した作動流体を低温部側で凝縮させることにより低
温部側にその潜熱を与えて熱輸送を行うものであり、特
に熱ダイオード型のヒートパイプ5は液相の作動流体を
重力の作用で蒸発部6に還流されるように構成されてい
る。
【0025】前記ヒートパイプ5の他端部すなわち凝縮
部11となる端部は、前記水槽2から外部に突出し、か
つそれぞれに対応して設けられた各蓄熱槽9の内部に挿
入されている。
【0026】したがって、各蓄熱槽9の内部の蓄熱媒体
10と各ヒートパイプ5の凝縮部11とが熱授受可能に
構成され、ヒートパイプ5を介して水槽2の内部の廃水
1の熱が蓄熱槽9の内部の蓄熱媒体10に熱伝達される
ようになっている。すなわち各ヒートパイプ5が得た水
槽2の深度に対応した温度がそれぞれの蓄熱槽9におい
て蓄熱されるようになっており、ヒートパイプ5を介し
て水槽2の内部と蓄熱槽9の内部とが熱授受可能となっ
ている。
【0027】各蓄熱槽9は、その外周部が蓄熱媒体10
から周囲への熱放出や蓄熱槽9の内部への水等の侵入を
防止する断熱性に優れた断熱材で覆われた矩形容器の内
部に、所定量に蓄熱媒体10を封入したのものであり、
図1に示す具体例では、3個の蓄熱槽9が備えられてい
る。
【0028】そしてこれら蓄熱槽9は水槽2の内部に生
じた温度分布に対応した各配置箇所の温度に従って融点
の異なる蓄熱媒体10が選定されている。すなわち、水
槽2内の廃水1の温度は、比重差に基づいて水槽2の深
度が深くなるに従って低くなるので、各ヒートパイプ5
の配置箇所の深度が深いほど、各蓄熱槽9内に充填され
る蓄熱媒体10の融点が低くなるように設定されてい
る。
【0029】なお、この蓄熱媒体10には、一例として
潜熱蓄熱材が採用されており、所要の温度での熱を得る
ためにそれぞれ融点が異なり、熱伝導率が高くかつ蓄熱
性が大きい潜熱蓄熱材がそれぞれ選定されている。例え
ば、温廃水1の温度が80℃である場合、融点は図1の
左側の蓄熱媒体10から順に60℃,50℃,40℃に
設定されている。
【0030】また、蓄熱媒体10の量は熱源流体となる
廃水1から供給される熱によって全部が融解されない程
度の量である。すなわちこの場合、供給管3から供給さ
れた温廃水1から得られた熱によって蓄熱槽9の内部の
全ての蓄熱媒体10が溶解されない程度すなわち蓄熱媒
体10の状態変化のみに供給熱が利用される程度の量が
蓄熱槽9に充填されているので、蓄熱媒体10自体の温
度上昇に供給熱が使われることにはならない。つまり顕
熱には利用されないので、各蓄熱槽9の内部が所定温度
以上に温度上昇されずに各蓄熱槽9に蓄熱されるから、
所定温度が維持される。なお、各蓄熱槽9に充填する蓄
熱媒体10の容量は、入熱量に応じて入熱量と出熱量と
のバランスの上で設定されており、それに合せて各蓄熱
槽9の大きさも設定されている。
【0031】また、蓄熱槽9の外壁のヒートパイプ5の
貫通部分にも、例えばパッキンなどのシール手段12が
設けられており、これによりヒートパイプ5の貫通部分
における蓄熱槽9の液密性が担保されている。
【0032】そして、各蓄熱槽9に蓄えられた所要温度
の熱を外部に伝達させるために熱伝達管路13がそのヒ
ートパイプ5が挿入された側と反対側の端部に設けら
れ、各蓄熱槽9からそれぞれ使用目的に応じた何等かの
手段や装置等に熱伝達されるように構成されている。す
なわちこの各蓄熱槽9の内部の各蓄熱媒体10が複数段
の所要温度での熱を得て複数熱源となるよう構成されて
いる。
【0033】また、水槽2の内部に温度分布を生じさせ
てその状態を維持できるように、供給管3および排水管
4から給排出される廃水1の流量が設定されるととも
に、水槽2内の熱をヒートパイプ5によって輸送させ、
蓄熱槽9側に放熱させるよう構成しているが、この場
合、ヒートパイプ5は基本的には温度差によって動作す
るから、入熱温度と蓄熱媒体10の状態変化温度との間
である一定の温度差が保てるように入熱温度との比較の
上で各部材やその容量等が設定されている。すなわち、
入熱量に応じて入熱量と出熱量とのバランスの上でこの
廃水1の水槽2への供給量、給排水管3,4の断面積、
廃水の水槽2からの排出量、ヒートパイプ5等を設定す
ればよい。
【0034】次に上記のように構成された熱回収・供給
装置の作用について説明する。まず、水槽2に対して供
給管3から温廃水1が少量づつ供給され、また排出管4
から同量の廃水1が排出される。すなわち水槽2の内部
で撹拌作用が生じない程度にゆっくりと廃水1が給排さ
れる。この廃水1の温度(例えば、80℃)に対して各
蓄熱槽の蓄熱媒体10の融点が低く設定されているの
で、廃水1から各蓄熱媒体10に対してヒートパイプ5
を介した熱輸送が生じる。
【0035】そして、各蓄熱槽9の蓄熱媒体10に熱を
奪われることによって廃水1の温度が次第に低下する
が、水槽2の内部では廃水1の撹拌流動が実質的には生
じていないので、温度の低下に伴って比重の増大した廃
水1が、水槽2の底に向かって次第に下降する。その結
果、水槽2の内部に温度分布が生じる。
【0036】このようにして生じた温度分布に対応して
各蓄熱槽9の蓄熱媒体10の融点が水槽2の深度が深く
なるに従って低く設定されているので、深度に応じて3
段階に配置されたヒートパイプ5に対応して3種類の温
度での熱が得られる。
【0037】具体的には、各蓄熱槽9の内部の蓄熱媒体
10は、それぞれ水槽2の内部のヒートパイプ5を介し
て熱を受けてその融点に到達すると次第に溶解し、溶解
熱として熱を吸収する。なおこの場合、水槽2内の温度
分布によって深度方向に温度が低く、またそれに従って
ヒートパイプ5が水槽2の上・中・下に所要温度(例え
ば、60℃,50℃,40℃)での熱が得られるように
配置されているから、それぞれのヒートパイプ5を介し
て伝達されてくる熱と、各蓄熱槽9内の蓄熱媒体10の
融点との温度差は均一である。そして各蓄熱槽9内では
蓄熱媒体10の溶解している間は、その融点に維持さ
れ、従前と同様な温度差で水槽2の内部を冷却するとと
もに、水槽2の内部の温水の保有する温度が蓄熱され
る。なおこの場合、供給熱に対して全体が溶解されない
程度に蓄熱媒体10の量が蓄熱槽9内に充填されている
から、供給された熱が顕熱として消費されることはな
い。すなわち各ヒートパイプ5を介して水槽2の内部の
廃水1の熱が各蓄熱媒体10に輸送され、水槽2内の廃
水1の上層部から下層部にかけての3種類の熱が蓄熱さ
れて、各蓄熱槽9がそれぞれ水槽2の深度に対応した別
々の所要温度を保有する。
【0038】したがって、水槽2の高さ方向に生じた温
度分布によって供給された一定温度(例えば、80℃)
の単一廃水1から使用目的に応じて複数の温度(例え
ば、60℃,50℃,40℃)が有効に取り出され、各
蓄熱槽9に溜められる。その結果、各蓄熱槽9が熱源と
なるので、単一熱源から複数熱源が得られる。
【0039】なお、水槽2の内部に温廃水1の供給が停
止された後に、水槽2の内部の温度が蓄熱槽9の内部の
蓄熱媒体10の温度より低下したとしても、各ヒートパ
イプ5には熱ダイオード型の熱サイフォン式ヒートパイ
プが採用されているから、このヒートパイプ5によって
蓄熱槽9内の所要温度の熱が水槽2の内部に逆輸送され
ることはない。
【0040】以上の説明から明らかなように、この実施
例の熱回収・供給装置によれば、熱源流体の給排出によ
って容器内に生じる温度分布を利用して、単一熱源を複
数段階に温度分配し多段階の所要温度を取り出すことが
できるから、複数の利用目的に応じた所要温度での熱を
得ることができる。すなわち単一熱源を複数の熱源に変
換することができ、複数の利用目的に合った所要温度の
熱を供給することができる。
【0041】次に、パイプ内部の流体に対して連続的に
加熱と冷却とを繰り返すことにより流体に流れを作る従
来一般的に使用されている熱駆動ポンプ14を、熱源流
体流動経路として、この熱駆動ポンプ14を上記実施例
に記載の熱回収・供給装置に適用した場合について図2
を参照して説明する。
【0042】熱駆動ポンプ14は熱を利用して熱と液体
との同時輸送を行う装置であって、図2に示すように、
上下に平行に配設された上部加熱管15と下部加熱管1
6との各一端である吐出端17,18を結んで上方に延
びた後、下方に垂下する一連の吐出管19、同じく吸込
端20,21を結んだ吸込管22を、それぞれ吐出管1
9、吸込管22の屈曲部23,24が上部加熱管15よ
り上方位置になるように設けられている。そして吐出管
19には屈曲部23に逆止弁25、吸込管22にはその
端部に逆止弁26が介設されるとともに、吐出管19、
吸込管22の端部をそれぞれ温度供給装置の水槽2の上
層、下層に連通されている。なお、上部加熱管15と下
部加熱管16とは機能的に加熱部27を形成している。
【0043】前記吐出管19の水槽2側に向けた端部
は、温度供給装置の水槽2の上部の開口部から水槽2の
内部に溜められた熱源流体となる水28に挿入されてお
り、前記吸込管22の水槽2側に向けた端部は温度供給
装置の水槽2の下部に液密状態に挿入されている。
【0044】なお水槽2、蓄熱槽9およびそれらを接続
するヒートパイプ5の基本構成は図1に示す実施例と同
様であり、水槽2の内部に深さ方向に間隔を開けて3本
のヒートパイプ5の蒸発部6となる一端部が配置され、
その各ヒートパイプ5のそれぞれの凝縮部11となる他
端部が対応する3つの蓄熱槽9内にそれぞれ熱授受可能
に接続されている。
【0045】また、この場合においても、水槽2の内部
の温度分布が維持されるように熱駆動ポンプ14では、
給排水量、吐出・吸引速度等が設定されるとともに、温
度供給装置では、それに対応するように入熱量と出熱量
とのバランスの上で各ヒートパイプ5や、各蓄熱槽9の
容量、蓄熱材、各部材の材質等が設定されている。
【0046】次に上記のように構成された装置の作用に
ついて説明する。まず熱駆動ポンプ14において、各種
熱発生装置からの供給熱、高温排ガス等任意の熱源によ
って上部加熱管15と下部加熱管16とを加熱する。す
ると上部加熱管15および下部加熱管16の内部の水2
8が沸騰し、発生した気泡がこの両加熱管15,16内
あるいは加熱管15,16を出た際、圧力の変化を生
じ、上部加熱管15から水28を吸引するとともに、下
部加熱管16にも水28が流入する。そして水槽2では
その内部の水28が吸込管内に流入するとともに、吐出
管から上部加熱管15および下部加熱管16で加熱を受
けた水28すなわち温水が供給される。このような動作
が連続的に繰り返されることにより、水28が熱を吸収
しながら輸送されることになる。なお、この場合、吸い
込まれる水28は水槽2の内部から吸引されるがその同
量が熱駆動ポンプ14の内部を循環し、水槽2の内部に
供給されることになるから、水槽2の内部の水28は所
定量に維持されている。
【0047】そして、水槽2の内部で撹拌作用が生じな
い程度にゆっくりと水28が給排されると、この水28
の温度に対して各蓄熱槽9の蓄熱媒体10の融点が低く
設定されているので、水28から各蓄熱媒体10に対し
てヒートパイプ5を介した熱輸送が生じる。
【0048】そして、各蓄熱槽9の蓄熱媒体10に熱を
奪われることによって廃水1の温度が次第に低下する
が、水槽2の内部では水28の撹拌流動が実質的には生
じていないので、温度の低下に伴って比重の増大した水
28が、水槽2の底に向かって次第に下降する。その結
果、水槽2の内部に温度分布が生じる。
【0049】このようにして生じた温度分布に対応して
各蓄熱槽9の蓄熱媒体10の融点が水槽2の深度が深く
なるに従って低く設定されているので、深度に応じて3
段階に配置されたヒートパイプ5に対応して3種類の温
度での熱が得られる。
【0050】したがって、パイプ内部の流体に対して連
続的に加熱と冷却とを繰り返すことにより、流体に流れ
を作る熱駆動ポンプ14と本発明とを組み合わせること
によって、無動力で輸送された単一熱源から多段階温度
を取り出すことができる。すなわち単一熱源から複数熱
源を得ることができるシステムを構築することができ
る。
【0051】次に、図3に示す他の実施例について説明
する。図3に示す実施例は、上記実施例の熱源流体の流
動経路中の構成を変更したものである。すなわち、熱源
流体流動経路中に、廃水1が所定量保持できる容器が一
例として3個連なって配置されている。
【0052】この3個の容器には、図3に示すように、
矩形断面の水槽29が採用されており、これら水槽29
は、前記実施例と同様に、防水加工や防錆加工等が施さ
れた金属板などの所定の耐食性材料によって構成されて
いる。
【0053】そして、各水槽29の長手方向での一端部
には、この各水槽29の内部に所定流量の温廃水1が供
給されるように温廃水供給孔30が形成され、さらに各
水槽29の他端部には、各水槽29の内部を流通した廃
水1を排出する排出孔31が形成されるとともに、それ
らの孔に流通管32が接続されて、各水槽29同士が液
密状態に連結されている。
【0054】すなわち、各水槽29内において、供給さ
れてきた廃水1が、その一端部から他端部に向けて流動
できるように、供給孔30および排出孔31の位置が設
定されている。
【0055】なお、各水槽29内の廃水1の容量は所定
温度が維持できる程度に設定されており、常時一定に保
つことが好ましい。そのためには自動的に水槽29内の
液量を保つ適宜のシステムを採用することが望ましく、
一例として、流通管32の断面積の大きさを調整した
り、流通管32にバルブを設けてそのバルブの絞り具合
により排水量を調整したり等が可能である。
【0056】したがって、前記各水槽29の内部に所定
量の廃水1が常時維持できるように温廃水1の供給量が
設定されるとともに、適宜のシステムにより、各水槽2
9からの排水量の調整が図られている。すなわち、供給
孔30から供給される温廃水1の流量に対して、廃水1
が各水槽29の内部に所定量溜められるように構成され
ている。
【0057】つまり、供給孔30から温廃水1が供給さ
れ、各水槽29の内部の廃水1が所定量を越えた場合の
み、その超過分が次の水槽29に向けて排出されるよう
構成されている。
【0058】またこの場合、供給量および排水量に対応
し、かつ廃水1が接触する各水槽29の壁面および流通
管32の内部の荒さ、廃水1の粘性、比重なども考慮し
て、各水槽29内で所定流速および所定流量が得られる
ように流通管32が形成されている。
【0059】そして前記各水槽29の側壁部には、一例
としてヒートパイプ5の蒸発部6となる一端部がその外
壁面を貫通して、それぞれその内部に挿入されており、
具体的には、各水槽29内を流動する廃水1の流動方向
と、ヒートパイプ5の長手方向とがほぼ一致するように
挿入されている。
【0060】そして前記各水槽29の側壁部のヒートパ
イプ5が貫通している部分には、例えばパッキンなどの
シール手段33がそれぞれ設けられており、これにより
貫通部分での液漏れを防止している。すなわち各ヒート
パイプ5が各水槽29に対して液密状態にかつ廃水1と
熱授受可能に挿入されている。
【0061】したがって、各水槽29内に、それぞれヒ
ートパイプ5の蒸発部6が配置されることによって、各
水槽29内を流動する廃水1の温度が、流動方向に進行
するに従って低くなるようになっている。すなわち水槽
29の配列順に伴って、廃水1の流動方向における下流
であるほど、廃水1の温度が低くなり、下流側のヒート
パイプ5の蒸発部6で得られる温度が低くなることにな
り、水槽29の配列順によってヒートパイプ5に伝達さ
れる熱が異なるようになっている。
【0062】すなわち各水槽29内に各ヒートパイプ5
の蒸発部6が挿入された流動経路中を温廃水1が流動す
ることによって、温廃水1の温度が低下し、各水槽29
で得られる温度変化に対応して複数の所定温度がヒート
パイプ5によって取り出せるようになっている。
【0063】なお、ヒートパイプ5としては、前記実施
例と同様に、円形断面の単管タイプのものが採用されて
おり、そのコンテナ8の内部に封入する作動流体として
は、後述する各蓄熱槽9に充填されている蓄熱媒体10
の蓄熱開始温度に近い動作開始温度のものが選定されて
いる。そして具体的には、前記実施例と同様に、熱の逆
流すなわち蓄熱槽9から水槽29内に向かっての熱輸送
を防止するため、一例として熱ダイオード型のヒートパ
イプすなわち熱サイフォン式ヒートパイプが採用されて
いる。
【0064】前記ヒートパイプ5の他端部すなわち凝縮
部11となる端部は、前記各水槽29から外部に突出
し、かつ前記実施例と同様に、それぞれに対応して設け
られた各蓄熱槽9の内部に挿入されている。なお、各蓄
熱槽9には、前記実施例と同様なものが採用され、3個
の蓄熱槽9が備えられている。
【0065】したがって、各蓄熱槽9の内部の蓄熱媒体
10と各ヒートパイプ5の凝縮部11とが熱授受可能に
構成され、各ヒートパイプ5を介して各水槽29の内部
の廃水1の熱が各蓄熱槽9の内部の各蓄熱媒体10に熱
伝達されるようになっている。すなわち各ヒートパイプ
5が得た各水槽29に対応した温度での熱がそれぞれの
蓄熱槽9において蓄熱されるようになっており、各ヒー
トパイプ5を介して各水槽29の内部と各蓄熱槽9の内
部とが熱授受可能となっている。
【0066】そしてこれら蓄熱槽9は各水槽29の内部
の廃水1から得られる温度に対応して、融点の異なる蓄
熱媒体10が選定されている。すなわち、廃水1の温度
は、流動経路中に、ヒートパイプ5を備えた各水槽29
を配置することによって、流動方向下流側に向かって低
くなるので、流動方向における水槽29の配置順序が下
流側であるほど、そこでのヒートパイプ5によって得ら
れる温度が低くなる。したがって各蓄熱槽9内に充填さ
れる蓄熱媒体10の融点は、それに連結されるヒートパ
イプ5が得られる温度に合わせて設定されている。
【0067】なお、この蓄熱媒体10には、前記実施例
と同様に一例として潜熱蓄熱材が採用されており、所要
の温度での熱を得るためにそれぞれ融点が異なり、熱伝
導率が高くかつ蓄熱性が大きい潜熱蓄熱材がそれぞれ選
定されている。例えば、温廃水1の温度が80℃である
場合、融点は図3の左側の蓄熱媒体10から順に60
℃,50℃,40℃に設定されている。
【0068】また、蓄熱媒体10の量は熱源流体となる
廃水1から供給される熱によって全部が融解されない程
度の量が使用されている。すなわちこの場合においても
前記実施例と同様に、蓄熱媒体10の状態変化のみに供
給熱が利用される程度の量が各蓄熱槽9に充填されてい
る。つまり顕熱に利用されない程度の量が、各蓄熱槽9
の内部に充填されているので、各蓄熱槽9の内部が、所
定温度以上に温度上昇されずに、各蓄熱槽9に蓄熱され
所定温度が維持される。
【0069】なお、各蓄熱槽9に充填する蓄熱媒体10
の容量は、入熱量に応じて入熱量と出熱量とのバランス
の上で設定されており、それに合せて各蓄熱槽9の大き
さも設定されている。
【0070】また、各蓄熱槽9の外壁のヒートパイプ5
の貫通部分にも、前記実施例と同様に例えばパッキンな
どのシール手段12が設けられており、これによりヒー
トパイプ5の貫通部分における各蓄熱槽9の液密性が担
保されている。
【0071】そして、各蓄熱槽9に蓄えられた所要温度
の熱を外部に伝達させるために熱伝達管路13が、その
ヒートパイプ5が挿入された側と反対側の端部に設けら
れ、各蓄熱槽9からそれぞれ使用目的に応じた何等かの
手段や装置等に熱伝達されるように構成されている。す
なわち各蓄熱槽9に熱伝達管路13を設けることによっ
て、各蓄熱槽9内に充填された蓄熱媒体10から所定温
度で熱を取り出すことができるように、つまり、その各
蓄熱媒体10が複数段の所要温度の熱源となるように構
成されている。
【0072】また、各水槽29の内部の所定温度が維持
できるように、流通管32から給排出される廃水1の流
量が設定されるとともに、各水槽29内の熱をヒートパ
イプ5が輸送し、蓄熱槽9側に放熱するよう構成してい
るが、この場合、ヒートパイプ5は基本的には温度差に
よって動作するから、入熱温度と蓄熱媒体10の状態変
化温度との間で、ある一定の温度差が保てるように入熱
温度との比較の上で各部材やその容量等が設定されてい
る。すなわち、入熱量に応じて入熱量と出熱量とのバラ
ンスの上でこの廃水1の各水槽29への供給量、流通管
32の断面積、廃水1の各水槽29からの排出量、ヒー
トパイプ5等を設定すればよい。
【0073】次に上記のように構成された熱回収・供給
装置の作用について説明する。まず、流動方向における
最初の水槽(以下、第1水槽)29に対して温廃水1が
供給孔30を介して供給される。第1水槽29に供給さ
れた温廃水1は、その水槽29内をその供給孔30の形
成された一端部から排出孔31が形成された他端部に向
けて流動する。
【0074】そして廃水1の流動に伴って、第1水槽2
9内に配置したヒートパイプ5の蒸発部6となる一端部
に、その廃水1が保有する熱が伝達される。この場合、
ヒートパイプ5の放熱部11となる他端部は、第1水槽
29内に供給される廃水1の温度(例えば、80℃)に
対応した融点(例えば、60℃)の蓄熱媒体10内に挿
入されているため、第1水槽29内とそれに対応する蓄
熱槽9内との温度差は所定の温度差に保たれ、蒸発部6
で得た熱が放熱部11を介して蓄熱槽9内に伝達され
る。
【0075】なお、この場合、廃水1は、その流動に伴
ってヒートパイプ5によって徐々に熱を奪われることに
なるから、排出孔31の形成された他端部に到達するま
での間に徐々に温度が低下することになる。
【0076】そしてヒートパイプ5によって前記蓄熱槽
9へ伝達された廃水1の熱は、その蓄熱槽9の内部に放
出される。そしてその温度が蓄熱槽9の内部の蓄熱媒体
10の融点に到達すると、蓄熱媒体10が次第に融解
し、そのときの融解熱が蓄熱される。
【0077】そして第1水槽29を流通した廃水1は、
その排出孔31から排出され、排出された廃水1は、流
通管32を経由して、次の水槽(以下、第2水槽)29
内に供給される。
【0078】なお、この場合、第1水槽29内で撹拌作
用等が生じていたとしても流通管32を経由した後、第
2水槽29に廃水1が供給されることになるので、第1
水槽内での流動変動が第2水槽29内に伝達されること
はなく、第2水槽29内の温度が第1水槽29内の撹拌
等によって変動することはない。
【0079】また、第2水槽29に、その供給孔30を
介して供給される廃水1は、前記第1水槽29内を流通
した後、すなわち前述したように第1水槽29内のヒー
トパイプ5によって所定量の熱を奪われた後、供給され
るため、幾分温度が低下して、所定の温度(第1水槽2
9に対応する蓄熱媒体10の融点に近い温度)となって
いる。すなわち第1水槽29へ流入する前に保有してい
た温度よりも温度の低い廃水1が供給される。
【0080】そして廃水1の流動に伴って、第2水槽2
9内に配置したヒートパイプ5の蒸発部6となる一端部
に、その廃水1が保有する熱が伝達される。この場合、
ヒートパイプ5の放熱部11となる他端部は、その第2
水槽29で得られる温度に対応して、第1水槽29に対
応する蓄熱槽9よりも融点の低く設定された蓄熱媒体1
0(例えば、融点50℃)に挿入されているため、第2
水槽29で得られる温度とそれに対応する蓄熱槽9との
温度差が、所定の温度差に保たれ、蒸発部6で得た熱が
放熱部11を介して蓄熱槽9内に伝達される。
【0081】なお、この場合も、第1水槽29と同様に
第2水槽29の一端部から他端部へ向けて廃水1が流動
し、その際に、ヒートパイプ5に廃水1の熱が奪われ
る。
【0082】そして、そのヒートパイプ5が連結された
蓄熱槽9内の蓄熱媒体10へ伝達された廃水1の熱は、
その蓄熱槽9の内部に放出されて、その温度が蓄熱槽9
の内部の蓄熱媒体10の融点に到達すると、蓄熱媒体1
0が次第に融解し、そのときの融解熱が蓄熱される。
【0083】そして、第2水槽29で熱伝達された分、
さらに温度低下した廃水1は排出孔31を介して排出さ
れて、流通管32を経由して、最後の水槽(以下、第3
水槽)29内に供給される。
【0084】なお、この場合においても、第2水槽29
内で撹拌作用等が生じていたとしても流通管32を経由
して廃水1が供給されるので、第3水槽29内の温度が
第2水槽29内の撹拌等による影響を受けることはな
い。
【0085】また、第3水槽29に、その供給孔30を
介して供給される廃水1は、前記第2水槽29内のヒー
トパイプ5によって所定量の熱を奪われた後、供給され
るため、さらに温度が低下して、所定の温度(第2水槽
29に対応する蓄熱媒体10の融点に近い温度)となっ
ている。すなわち第2水槽29へ流入する前に保有して
いた温度よりも温度の低い廃水1が供給される。
【0086】そして廃水1の流動に伴って、第3水槽2
9内に配置したヒートパイプ5の蒸発部6となる一端部
に、その廃水1が保有する熱が伝達される。この場合、
ヒートパイプ5の放熱部11となる他端部は、その第3
水槽29で得られる温度に対応して、第1および第2水
槽29に対応する蓄熱槽9よりも融点が低く設定された
蓄熱媒体10(例えば、融点40℃)内に挿入されてい
るため、第3水槽29で得られる温度とそれに対応する
蓄熱槽9との温度差が、所定の温度差に保たれ、蒸発部
6で得た熱が放熱部11を介して蓄熱槽9内に伝達され
る。
【0087】なお、この場合も、第3水槽29の一端部
から他端部へ向けて廃水1が流動し、その際に、ヒート
パイプ5に熱が奪われ、そのヒートパイプ5が連結され
た蓄熱槽9内の蓄熱媒体10へ伝達された廃水1の熱
は、その蓄熱槽9の内部に放出されて、その温度が蓄熱
槽9の内部の蓄熱媒体10の融点に到達すると、蓄熱媒
体10が次第に融解し、そのときの融解熱が蓄熱され
る。
【0088】すなわち廃水1は、順に各水槽29を経由
するにつれて、各水槽29に挿入されたヒートパイプ5
によって、その保有熱が奪われて各蓄熱槽9内に輸送さ
れ、各蓄熱媒体10の融解温度すなわち融点(例えば、
60℃,50℃,40℃)に到達した際に、各蓄熱媒体
10が次第に融解し、その時の融解熱が蓄熱される。
【0089】したがって、それぞれの水槽29で得られ
る温度に対応した融点に各蓄熱槽9内の蓄熱媒体10が
設定されているから、熱源流体流動経路中に流動方向に
順に配置した各水槽29内の廃水1の上流から下流にか
けての3種類の温度での熱が蓄熱されて、各蓄熱槽9が
それぞれ各水槽29に対応した別々の所要温度(例え
ば、60℃,50℃,40℃)での熱を得る。
【0090】つまり、廃水1の流動方向に順に配置した
これら水槽29内を流動する廃水1は、流動方向下流に
なるに従って低くなるから、それに対応して、各蓄熱槽
9の蓄熱媒体10の融点が設定され、流動方向への水槽
29の配置順に配置された各ヒートパイプ5に対応して
上・中・下流での3種類の温度での熱が得られる。
【0091】なお、廃水1の流動方向に沿って、上・中
・下流に配置された各水槽29内を廃水1が流動するに
伴って、その保有熱がヒートパイプ5によって奪われ、
各蓄熱槽9内に熱輸送されることによって、廃水1の温
度が次第に低下するが、各水槽29の内部では廃水1が
順次供給されるとともに、排出されるから、各水槽29
内の温度は一定に保たれている。また、各蓄熱槽9で
は、各ヒートパイプ5の配置位置で得られる所要温度で
の熱に対応した融点の蓄熱媒体10がそれぞれ選択され
ているから、各ヒートパイプ5を介して伝達されてくる
熱と、各蓄熱槽9内の蓄熱媒体10の融点との温度差は
均一に保たれている。
【0092】また、各蓄熱槽9内では蓄熱媒体10の溶
解している間は、その融点に維持され、従前と同様な温
度差で各水槽29の内部を冷却するとともに、各水槽2
9の内部の温水の保有する温度が蓄熱される。なおこの
場合、供給熱に対して全体が溶解されない程度に蓄熱媒
体10の量が蓄熱槽9内に充填されているから、供給さ
れた熱が顕熱として消費されることはない。
【0093】したがって、3個の水槽29をその廃水1
の流動方向での上・中・下流の三箇所に配置し、かつ各
水槽29内にヒートパイプ5の一端部を配置し、その流
動経路内に廃水1を流動させることによって、一定温度
(例えば、80℃)の単一の廃水1から使用目的に応じ
た3種類の温度(例えば、60℃,50℃,40℃)が
ヒートパイプ5によって有効に取り出され、各蓄熱槽9
に溜められる。その結果、各蓄熱槽9が熱源となるの
で、単一の熱源から3つの熱源が得られる。
【0094】なお、この実施例の場合においても、これ
ら水槽29の内部に温廃水1の供給が停止された後に、
各水槽29の内部の温度が各蓄熱槽9の内部の各蓄熱媒
体10の温度より低下したとしても、各ヒートパイプ5
には熱ダイオード型の熱サイフォン式ヒートパイプが採
用されているから、このヒートパイプ5によって蓄熱槽
9内の所要温度の熱が各水槽29の内部に逆輸送される
ことはない。
【0095】また、この実施例の熱回収・供給装置にお
いても前記実施例と同様に、熱駆動ポンプ14と組み合
わせることができ、単一の熱源から複数の熱源を取り出
すことができるシステムを構築することができ、図2と
同様な効果が得られる(図4参照)。
【0096】以上の説明から明らかなように、この実施
例の熱回収・供給装置によれば、熱源流体となる廃水1
の流動経路中に、複数の水槽29を配置し、かつその内
部にそれぞれヒートパイプ5を配置して廃水1を水槽2
9に対して給排出することによって、単一熱源を複数段
階に温度分配し多段階の所要温度を取り出すことができ
るから、複数の利用目的に応じた所要温度での熱を得る
ことができる。すなわち単一熱源を複数の熱源に変換す
ることができ、複数の利用目的に合った所要温度の熱を
供給することができる。
【0097】また、流動方向上流から順に、各水槽29
に廃水1が供給されるが、その場合、各水槽29への廃
水1の供給は、各水槽29を連結している流通管32を
介して行われるので、各水槽29内で廃水1に撹拌作用
が生じたとしても、流動経路に対する流動方向への温度
変動には影響せず、撹拌作用が生じないように廃水1の
流速を設定しなくとも良い。すなわち、各水槽29内で
撹拌作用が生じたとしても、各水槽29内で各ヒートパ
イプ5によって得られる温度が、その撹拌作用によって
変化することはない。したがって、供給する廃水1の流
速等を考慮した細かな設計をしなくとも良く、前記実施
例に比べ、熱回収・供給装置を比較的容易に設計するこ
とができる。
【0098】なお、上記各実施例においてヒートパイプ
5および蓄熱槽9をそれぞれ3つ設けたが、これに限定
されず、使用目的に応じて複数設けてあれば良い。
【0099】また、上記各実施例において熱源となる流
体に廃水1あるいは水28が採用されているが、これら
に限定されず、利用目的に準じた温度の熱を保有する熱
源流体であれば良く、任意に熱源流体を選択できる。ま
たそれに合わせて、容器、蓄熱槽、蓄熱媒体、ヒートパ
イプ等の所要の部材を選定すれば良い。
【0100】さらに、上記各実施例においてヒートパイ
プ5には、熱の逆流すなわち蓄熱槽9から水槽2,29
内に向かっての熱輸送を防止するため、熱ダイオード型
の熱サイフォン式ヒートパイプを採用したが、この温度
供給装置の使用目的、使用状況に応じて、熱輸送を行っ
ているヒートパイプに何等かの手段を施すことによって
所定温以上に熱を受けないように熱流を遮断するよう構
成された可変コンダクタンスヒートパイプ(VCHP)
や熱スイッチ型のヒートパイプを採用することもでき
る。また、適宜手段によってフィンを取り付けたり、コ
ンテナ8としてコルケード管等を採用することもでき、
またそれらによって供給熱の調整を図っても良い。
【0101】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明の熱回収・供給装置によれば、単一の熱源流体が流動
する経路内に、その流動方向に沿って複数のヒートパイ
プの一端部が配列されることによって、単一の熱源流体
の温度を複数段階の温度に変換することができるととも
に、その多段階の所要温度での熱を取り出すことができ
る。
【0102】また各ヒートパイプの他端部が、各ヒート
パイプごとに設けた潜熱蓄熱材に熱授受可能に連結さ
れ、かつそれらの潜熱蓄熱材の融点が、前記熱源流体の
流動方向で上流側に一端部を配置したヒートパイプに対
応する潜熱蓄熱材ほど高く設定されているから、各ヒー
トパイプの一端部から取り出した多段階の所要温度での
熱を各潜熱蓄熱材に蓄熱すなわち回収することができ
る。
【0103】つまり、この発明の熱回収・供給装置によ
れば、単一の熱源を複数の温度の熱源に変換することが
でき、利用目的に合った複数の温度の熱源を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す概略図である。
【図2】この発明の実施例における温度供給装置と熱駆
動ポンプとを組み合わせた場合の一例を示す概略図であ
る。
【図3】この発明の他の実施例を示す概略図である。
【図4】この発明の他の実施例における温度供給装置と
熱駆動ポンプとを組み合わせた場合の一例を示す概略図
である。
【符号の説明】
1…廃水、 2,29…水槽、 3…供給管、 4…排
水管、 5…ヒートパイプ、 6…蒸発部、 7,1
2,33…シール手段、 8…コンテナ、 9…蓄熱
槽、 10…蓄熱媒体、 11…凝縮部、 13…熱伝
達管路、 14…熱駆動ポンプ、 30…供給孔、 3
1…排出孔、 32…流通管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 正孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式 会社フジクラ内 (72)発明者 益子 耕一 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式 会社フジクラ内 (72)発明者 後藤 和彦 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式 会社フジクラ内 (72)発明者 斎藤 祐士 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式 会社フジクラ内 審査官 千壽 哲郎 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F28D 15/02 F28D 20/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の熱源流体が流動する経路内に、複
    数のヒートパイプの一端部が前記熱源流体の流動方向に
    沿って配列されるとともに、それらのヒートパイプの他
    端部が、各ヒートパイプごとに設けた潜熱蓄熱材に熱授
    受可能に連結され、かつそれらの潜熱蓄熱材の融点が、
    前記熱源流体の流動方向で上流側に一端部を配置したヒ
    ートパイプに対応する潜熱蓄熱材ほど高く設定されてい
    ることを特徴とする熱回収・供給装置。
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