JP2852713B2 - 電子顕微鏡及びその使用方法 - Google Patents
電子顕微鏡及びその使用方法Info
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Description
使用方法に係り、特に、電界放出型電子銃を備え、ED
X、EELS、あるいはCBEDによる試料分析の可能
な電子顕微鏡およびその使用方法に関するものである。
して、熱電子放出型の電子銃に代わって電界放出型の電
子銃が用いられるようになってきた。電界放出型電子銃
を用いると、熱電子放出型の電子銃の場合に比べて電子
電流(Ie )が約2桁増加し、電子のエネルギ広がり
(ΔE)は約1桁減少する。
m)絞っても十分な電子電流を確保でき、電子顕微鏡の
視野が明るくなるので、色収差による電子ビーム周辺部
のボケが小さくなり、エネルギ分散型X線分析(ED
X)では微小領域(約1nm)の元素分析が可能にな
る。
電子のエネルギ広がり(ΔE)がスペクトル吸収端のエ
ネルギ精度に影響するため、電界放出型透過電子顕微鏡
(FE−TEM)を用いて電子のエネルギ広がり(Δ
E)を抑えることにより、上記スペクトル吸収端のエネ
ルギ一を0.6eVの精度で得られるようになる。
は、電子電流(Ie )の増加によって高い輝度が得られ
るようになり、かつエネルギ広がり(ΔE)の減少によ
って電子相互間の干渉性が向上するので、従来より鮮明
なパタ−ンが得られるようになる。
得るために大きな電子電流(Ie )が要求されるが、エ
ネルギ広がり(ΔE)は分析に大きな影響を及ぼさな
い。これに対してEELS測定では、誤差を少なくする
ために小さなエネルギ広がり(ΔE)が要求されるが、
電子電流(Ie )は測定に大きな影響を及ぼさない。ま
た、CBED観察では、鮮明なパタ−ンを得るために電
子電流(Ie )およびエネルギ広がり(ΔE)が共にあ
る程度の範囲内にあることが望ましい。
4、5に示したように、電子電流(Ie )およびエネル
ギ広がり(ΔE)が、共に電子銃の引出電圧(V0 )に
大きく依存する(V1 :加速電圧)。したがって、電子
電流Ie を増加させるために電子銃の引出電圧V0 を大
きくすると、これに応じて電子のエネルギ広がりΔEも
大きくなってしまう。またその逆に、電子のエネルギ広
がりΔEを小さくするために引出電圧V0 を小さくする
と、これに応じて電子電流Ie が減少してしまう。
るために電子電流(Ie )を大きくすると、エネルギ広
がり(ΔE)も大きくなってEELS測定では誤差が増
加したり、CBED観察ではパタ−ンが不鮮明になると
いう問題が生じる。また、EELSにおいて誤差を減少
させるために電子電流(Ie )を小さくすると、EDX
では感度が不足したり、分析に長時間を要することにな
る。
析では、その分析内容によって最適な電子電流(Ie
)、エネルギ広がり(ΔE)が異なるため、分析内容
に応じて電子銃の引出電圧V0 を適宜に変更・修正しな
ければならず、操作が繁雑であるという問題があった。
点を解決して、電子顕微鏡を利用した分析において、そ
の分析内容に最適な観察条件が自動的に得られる電子顕
微鏡およびその使用方法を提供することにある。
ために、本発明では、電界放出型電子銃から放出された
電子線を試料上に照射して試料分析を行う電子顕微鏡に
おいて、分析内容に応じて電子線の電子電流およびエネ
ルギ広がりの少なくとも一方を優先的に予定値に設定す
る手段を具備した点に特徴がある。
小が分析精度や分析時間などに大きな影響を及ぼす試料
分析では電子電流(Ie )が優先的に予定値に設定さ
れ、エネルギ広がり(ΔE)の大小が大きな影響を及ぼ
す試料分析ではエネルギ広がり(ΔE)が優先的に予定
値に設定されるので、分析内容に応じて最適な観察条件
が得られるようになる。
る。
電子電流Ie を増加させるためにはエネルギ広がりΔE
を犠牲にせざるを得ない。このため、エネルギ広がりΔ
Eが分析精度や分析時間などに大きな影響を及ぼさない
EDX分析では、図3に示したように、Ie ≧30μA
なる領域1だけを選択的に使用することにより、高感度
かつ短時間の分析が可能となるようにした。
に大きな影響を及ぼさないEELS及びCBED分析で
は、それぞれエネルギ広がりΔE≦0.25なる領域2
だけを使用することで、高精度の分析が可能となるよう
にした。
に、電子電流(Ie )およびエネルギ広がり(ΔE)は
電子銃の引出電圧(V0 )に依存するため、本発明で
は、電子電流(Ie )およびエネルギ広がり(ΔE)を
引出電圧(V0 )によって制御する。
の分解能をTEMの引出電圧V0 の関数として示した図
である。
V以上とすれば、測定時間を一点当り100秒以下に抑
えることができる。電子電流(Ie )が30μA近辺で
減少しても、電子電流Ie と時間の積が一定となるよう
に測定時間を増加させれば、およそ同じ感度の分析が可
能である。一方、EELS測定では、引出電圧(V0)
を0.7KV以下にすれば、0.2eV以下の分解能が
得られる。
する。
のブロック図である。本発明の電子顕微鏡は、一般的な
電子顕微鏡が有する構成を全て備えているが、ここで
は、本発明の説明に必要な構成のみを示している。
び加速電極3は電界放出型電子銃を構成し、陰極1の先
端はタングステン(W)の(310)面から成る。陰極
1と引出電極2との間には引出電圧電源14が接続さ
れ、陰極1と加速電極3との間には加速電圧電源13が
接続されている。加速電極3と収束レンズ5との間には
偏向レンズ4a、4bが取り付けられている。
度でX線を検出するEDX用のX線pin検出器6が取
り付けられている。試料7の下方には、蛍光板8および
写真撮影用フィルム9が収納自在に取り付けられてお
り、その下方には、EELS用検出器16が取り付けら
れ、その後段にはスリット10を介してフォトマル11
が取り付けられている。
はコントローラ15によって制御せれ、その検出信号は
CRT12へ出力される。引出電極2、加速電極3、お
よび偏向レンズ4a、4bはコントローラ15に接続さ
れている。
カル以下に保たれている。当該装置の分解能は、加速電
圧(V1 )200kVにおいて0.1 nm、カメラ長は0.2m
から1.2mである。
ら放出された電子ビーム50は収束レンズ5で収束され
て試料7に照射される。試料7を透過した電子ビーム5
0aは、蛍光板8上に観察像を結ぶ。電子ビーム照射に
よって試料7から発生したX線はX線pin検出器6に
検出され、検出結果はCRT12に出力される。また、
蛍光板8が収納された状態では、試料7を透過した電子
ビーム50aはEELS検出器16を介してフォトマル
11により検出され、検出結果はCRT12に出力され
る。
ら、当該電子顕微鏡の使用方法を説明する。
部17から所望の測定・分析内容を指定する。ここでE
ELS測定が指定されると、ステップS102ではコン
トローラ15が加速電圧V1 を100kVに設定する。
Eが0.2〜0.25 eVの範囲内に収まるように、コ
ントローラ15が引出電圧V0 を設定する。エネルギ広
がりΔEは、電子電流Ie の値に基づいて判断する。発
明者等の実験結果によれば、エネルギ広がりΔEが0.
2〜0.25 eVとなるときの引出電圧V0 は約0.7
kV以下である。
を調整するボリューム等の可変範囲が、エネルギ広がり
ΔEの0.2〜0.25 eVに対応するようにし、エネ
ルギ広がりΔEの微調整が可能なようにしても良い。
電子ビームが放出されて試料7に照射される。EELS
による分析時には蛍光板8が収納されているので、試料
7を透過した電子線はEELS検出器16を介してフォ
トマル11により検出され、分析・測定結果がCRT1
2に表示される。
乱エネルギ損失の値を、上記した観察条件でEELSに
より分析した結果について説明する。
てシリコン上にW(0.2μm)を堆積し、この方向に900
オングストロームの厚さまで薄片化したものを用いた。
TEMの加速電圧は100KV、電子電流は5μA、電
子のエネルギ広がりは0.3eVである。また、EEL
Sのチャネル数は1024個、1チャネル当り0.2e
Vおよび0.05eVの2つエネルギ、一回当りの取り
込み時間0.05秒、積算回数100回、エネルギ範囲
は−4.8eVから200eVである。
性散乱エネルギ損失の吸収端は、タングステンとの界面
付近では98.6eVであるが、距離が約0.2μmに
なると99.2eVにシフトし、さらに距離が離れて
0.5μm以上では99.0eVとなることが明らかに
なった。これは、シリコンとタングステン界面付近では
圧縮応力が存在し、距離が少し離れると引っ張り応力に
変わり、さらに距離が離れると、応力が緩和していくこ
とを示している。
Xが指定されると、ステップS202ではコントローラ
が加速電圧V1 を200kVに設定する。
0〜40μAの範囲内に収まるように、コントローラ1
5が引出電圧V0 を設定する。発明者等の実験によれ
ば、電子電流Ie が30〜40μAとなるときの引出電
圧V0 は約1.9kV以上である。
調整するボリューム等の可変範囲が、電子電流Ie の3
0〜40μAに対応するように変化し、電子電流Ie の
微調整が可能なようにしても良い。
電子ビームが放出されて試料7に照射される。ステップ
S205では、試料から発生したX線がX線pin検出
器6で検出される。
オングストロームの多結晶シリコンの粒界におけるPの
偏析量を、上記した観察条件でEDXにより分析した結
果について説明する。
ム径を2.5nmまで絞って分析を行った。一点の測定
時間は100秒で、粒界に対して直角方向に電子ビ−ム
を走査した。その結果、結晶粒内では5×1019のP原
子が観測され、一方、結晶粒界では2×1020のP原子
が観測された。この観察結果から、粒界ではリンが約4
倍に濃縮していることがわかる。
強度I(a)に基づいてa原子の濃度を算出するために、次
式(1) で表される換算係数Kを用いる。
から出る特性X線強度である。一般に、電子電流(Ie
)が小さいときにKはIeに依存しないが、FE−TE
Mを用いることによって電子電流(Ie )が約20μA以
上になると、換算係数Kは次式(2) によって表されるこ
とがわかった。
なわち、従来の換算係数Kを本発明による分析に利用す
ると、原子番号が大きいほど、また電子電流が大きいほ
ど濃度を過少評価してしまうので、電子電流(Ie )を
約20μA以上とした場合には、前記式(2) を換算係数
Kとして利用することが望ましい。
EDが指定されると、ステップS302ではコントロー
ラが加速電圧V1 を100kVに設定する。ステップS
303では、電子電流Ie が11〜30μAの範囲内に
収まり、かつエネルギ広がりΔEが0.25〜0.33
eVの範囲内に収まるように、コントローラ15が引出
電圧V0 を設定する。
電子ビームが放出されて試料7に照射され、試料7を透
過した電子ビームは蛍光板8上に照射されて結像する。
このとき、必要に応じてフィルム8を感光して写真撮影
を行う。
としたときの、経過時間tと実際の電子電流Ie との関
係を示している。図示したように、電界放出型電子銃で
は、長時間の使用によって陰極1が汚染され、引出電圧
V0 を一定に保っても電子電流Ie が増加してしまう。
電流Ie を監視して電子電流Ie が予定値を越えると分
析を一時中断して陰極1の先端を自動的にフラッシング
し、その後、再び分析を開始するようにしている。
すことなく、長時間に渡って分析を行えるようになるの
で、常に引出電圧V0 によって電子電流Ie を正確に制
御できるようになる。
顕微鏡を用いたEDX、EELS、CBEDなどの分析
・測定内容に最適な電子電流あるいはエネルギ広がりと
いった観察条件が自動的に設定されるので、各分析・測
定が最適条件で行えるようになる。
ク図である。
ートである。
した図である。
る。
した図である。
である。
分解能との関係を示した図である。
極、4a、4b…偏向レンズ、5…収束レンズ、6…X
線pin検出器、7…試料、8…蛍光板、9…写真撮影
用フィルム、10…スリット、11…フォトマル、12
…CRT、13…加速電圧電源、14…引出電圧電源、
15…コントローラ、16…EELS用検出器、100
…電子銃
Claims (5)
- 【請求項1】 電界放射型電子銃から放出された電子線
を試料上に照射して試料分析を行う電子顕微鏡におい
て、共に電子銃の引出電圧の関数であって、分析時の適正値
に対応する引出電圧が相反する電子線の電子電流および
エネルギ広がりのいずれか一方を それぞれの適正値に
設定して行われる複数種の分析ごとに設けれれた複数の
分析手段と、 適正値に設定すべき観察条件として、前記電子電流およ
びエネルギ広がりのいずれか一方を、指定された分析の
種類に応じて選択する手段と、 前記選択された観察条件が その適正値に設定されるよ
うに前記引出電圧を制御する制御手段とを具備した こと
を特徴とする電子顕微鏡。 - 【請求項2】 前記電子線のエネルギ広がりを電子電流
に基づいて検出することを特徴とする請求項1に記載の
電子顕微鏡。 - 【請求項3】 前記電子線の電子電流が予定値を越える
と、分析を一時中断して電子銃の陰極の先端をフラッシ
ングし、その後、分析を再開することを特徴とする請求
項1または2に記載の電子顕微鏡。 - 【請求項4】 前記電子線の電子電流に基づいて、ED
X分析における濃度換算係数を設定することを特徴とす
る請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子顕微
鏡。 - 【請求項5】 電界放出型電子銃から放出された電子線
を試料上に照射して試料分析を行う電子顕微鏡の使用方
法において、 共に電子銃の引出電圧の関数であって、その適正値に対
応する引出電圧が相反する電子線の電子電流およびエネ
ルギ広がりのいずれか一方を優先的にそれぞれの 適正値
に設定して行われる複数種の分析のいずれかを行う際
に、行おうとする分析の種類に応じて、前記電子電流お
よびエネルギ広がりのいずれか一方が、優先的にそれぞ
れの適正値に設定されるように前記引出電圧を制御する
ことを特徴とする電子顕微鏡の使用方法。
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JPH05266844A JPH05266844A (ja) | 1993-10-15 |
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JP4092442A Expired - Fee Related JP2852713B2 (ja) | 1992-03-19 | 1992-03-19 | 電子顕微鏡及びその使用方法 |
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JPS58102452A (ja) * | 1981-12-14 | 1983-06-18 | Jeol Ltd | 電界放射型電子銃 |
JP2818014B2 (ja) * | 1990-07-04 | 1998-10-30 | 日本電子株式会社 | 電界放射形電子銃 |
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1992
- 1992-03-19 JP JP4092442A patent/JP2852713B2/ja not_active Expired - Fee Related
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