JP2852708B2 - パレット分配システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はパレット分配システム
に関するものであり、さらに詳しくはワークに加工を施
す工作機械とパレットのストッカーとワークに段取りを
施す段取り台との間でワークを載置したパレットの移送
を行うに当たり、工作機械および段取り台から引き渡さ
れたパレットのストッカー上での移送分配を自動的に行
うシステムに関するものである。

【０００２】上記のようなパレット分配システムとして
は従来から周行型のものと並設型のものとが一般に知ら
れているが、いずれもスペース的に大型であり、それ故
に駆動動力の消費が大きいという共通の欠点を有してい
る。これらの欠点を除いたものとして、本出願人は別途
提出の出願により新規なパレット分配システムを提案し
た。

【０００３】この提案のパレット分配システムにおいて
は、複数のパレットをアドレス指定可能に収容するべく
水平方向に延在する少なくとも１組のストッカーを工作
機械近傍に位置させ、ストッカーの延在方向に往復動可
能にストッカー上方にキャリア機構を跨設し、ストッカ
ーの延在方向と直交する方向（Ｘ）に往復動可能にシフ
ター機構をキャリア機構に載設し、上下方向に往復動可
能にリフター機構をシフター機構に載設し、パレットを
保持解放するフック機構をリフター機構に載設し、工作
機械近傍においてバッファーをストッカーに付設し、ス
トッカーに段取り台を付設したものである。

【０００４】上記のパレット分配システムにおいては、
段取り台により段取りされた未加工ワークが載置された
パレット（以下未加工パレットという）は、ストッカー
に引き渡されて所定のアドレスの位置に載置される。ス
トッカー上の未加工パレットは、キャリア機構により工
作機械近傍のバッファー（パレットを工作機械との間で
受渡しするためのステーション）に移送され、バッファ
ーでは工作機械から加工済みワークが載置されたパレッ
ト（以下加工済みパレットという）が受け渡されるとと
もに、移送された未加工パレットが工作機械に引き渡さ
れる。このバッファー上の加工済みパレットは、キャリ
ア機構によりストッカー上の段取り台に臨むアドレスに
移送され、段取り台上の未加工パレットと入れ替えられ
る。

【０００５】ところでキャリア機構によるパレットの移
送は、ストッカー上のアドレス単位で行われるものであ
り、予め設定された順序に基づき所定のアドレスへ順次
移送されるものである。このようなものにおいて従来で
は、ストッカー上のアドレスはピンなどの位置決め機構
により設定されていた。この故にパレットのストッカー
への移載はかなり複雑なものとなり、その遂行には高度
の精度が要求される。それ故にキャリア機構はそのよう
な高度の移載精度を得るには複雑で精密な制御機構を必
要とし、設備コストが増大する事を免れない。しかもス
トッカーへのパレットの載置位置はパレットの大きさに
無関係にストッカー上の位置決め機構の位置で決定され
るので自由度がなかった。このためストッカーのアドレ
スが有効に活用されていないという問題があった。この
発明の目的はストッカーへのパレットの載置位置に自由
度を持たせ、かつパレット移載作業を簡略化することに
ある。

【０００６】このためこの発明においては、工作機械の
近傍で複数のパレットを水平方向に並置可能に設けられ
たストッカーと、ストッカーの上方で水平方向に移動可
能に設けられたキャリア機構と、上下方向に往復動可能
に付設されてパレットを保持可能な機構を具えたリフタ
ー機構と、システム全体の動作を制御する動作制御機構
とを具え、工作機械およびワーク段取り台から引き渡さ
れたパレットのストッカー上での移送を行うようにし
て、上記ストッカーが複数のパレットを任意の位置に載
置可能に構成され、上記動作制御機構が各パレットが載
置された任意の位置をストッカー上のアドレスとして記
憶する位置記憶機構を具え、上記キャリア機構の移動を
記憶されたアドレスに基づいて制御することを要旨とす
る。

【０００７】一旦ストッカーの任意の位置にパレットを
載置すると、その位置を載置されたパレットに対応する
アドレスとしてシステム制御装置がその位置を学習記憶
し、その後キャリア機構などがそのアドレスにパレット
を載置する際には自動的に所定の位置にパレットが載置
される。

【０００８】図１および図２にこの発明のパレット分配
システムの一実施例を示す。工作機械Ｍの前面に臨む床
面上には、パレットを載置するためのストッカー５が敷
設されている。このストッカー５は、２本で１組の水平
方向に延在するストッカーレール１０を少なくとも１組
具えて構成されるものである。図示の例では２組が互い
に平行に具えられている。このストッカー５の上方に
は、ストッカー５の延在方向（以下これをＹ方向とい
う）に往復動可能なキャリアー機構１が跨設状に設けら
れている。すなわちこのキャリアー機構１の側方に延び
る部分にはピニオン１０２が設けられていて、このピニ
オン１０２が固定スタンド９上に設けられたラック９０
１と噛み合い係合することによりキャリアー機構１全体
が移動する。またキャリアー機構１の下方に延びる部分
に取付けられたローラー１０１がスタンド９に対応する
レール９０２に回転係合している。

【０００９】キャリアー機構１にはストッカー５の延在
方向と直交する方向（これを「Ｘ」方向と呼ぶ）に往復
動可能にシフター機構２が付設されている。またこのシ
フター機構２には上下方向（これを「Ｚ方向」と呼ぶ）
に往復動可能にリフター機構３が載設されている。この
リフター機構３の四隅にはそれぞれフック機構４が水平
方向に揺動可能に設けられており、フック４０１がワー
クＷを載置したパレットＰの保持および解放位置に揺動
するようになっている。

【００１０】工作機械Ｍの前面に臨むパレットの受渡し
位置に対応する位置において、バッファー６が、ストッ
カー５の工作機械Ｍに近い方のストッカーレール５０１
に付設されており、このバッファー６はＹ方向に往復動
可能に構成されている。またストッカー５の工作機械Ｍ
から離れた方のストッカーレール５０１には、その端部
に臨んでワークの段取り台７が設けられている。なお図
中Ｃ１はシステム全体の動作制御装置、Ｃ２は工作機械
周りの動作制御装置、Ｃ３は段取り台周りの動作制御装
置である。図中丸印で示した番号は、パレットのための
ストッカー上のアドレスであって、図示の例では０〜７
アドレスが示されており、キャリアー機構１およびシフ
ター機構２の移動はこのアドレスに基づいて動作制御さ
れる。なお図示のものは飽くまで説明の便宜上定めた一
例であって、アドレスの個数および配置はこれに限定さ
れるものではない。

【００１１】このようなパレット分配システムにおいて
は、例えばキャリア機構などによりストッカー５上のア
ドレス３に位置する未加工パレットをバッファー６（ア
ドレス２）へ移送後、段取り台７からアドレス０へ受け
取った新たな未加工パレットをアドレス３に移送するも
のとする。この場合動作制御装置Ｃ１にはパレットが載
置されるストッカー上の複数の位置がアドレスとして予
め学習記憶されており、動作制御装置Ｃ１はこの記憶内
容におけるアドレス３、アドレス２およびアドレス０に
基づいてキャリア移動およびリフター機構などの動作を
制御し、アドレス３からの未加工パレットの移送および
新たな未加工パレットのアドレス３への移送を行うもの
である。なお動作制御装置Ｃ１にストッカー上のパレッ
トが載置されている位置を学習記憶させる方法は種々あ
るが、以下にそのうちの代表的な２例を説明する。

【００１２】第１の方法としては、まず最初にストッカ
ー５上の任意の位置に載置されたパレットの上方へ目測
しながら手動によりキャリア機構１を移動させ、この位
置をアドレスとして動作制御装置Ｃ１に学習記憶させ
る。このようにしてストッカー上の複数のパレットの各
位置をストッカー５の各アドレスとして順次動作制御装
置Ｃ１に学習記憶させる。また第２の方法としては、キ
ャリア機構１にパレットの有無を検出できるセンサーを
具え、キャリア機構１が最初にパレットを受け取るとき
にその位置を検出して動作制御装置Ｃ１に学習記憶させ
る。なおこの場合、バッファー６の位置は別の手段によ
り記憶されているものとし、キャリア機構により受け取
られたパレットはバッファー６に移送される。以後同様
にしてストッカー５上の複数のパレットを検出しつつ移
送を行い、各位置をストッカー５の各アドレスとして順
次動作制御装置Ｃ１に学習記憶させる。

【００１３】

【発明の効果】この発明によればストッカー上のパレッ
ト載置位置はパレットの大きさなどが変更されたときに
は、ストッカ上のパレット載置位置をその都度システム
制御装置Ｃ１に変更記憶させることができる。このよう
にストッカーへのパレットの載置位置に自由度を持たせ
たのでストッカーのスペースを有効に活用でき、パレッ
ト移載作業が大幅に簡略化され、それに伴うコストの増
加もない。

【００１４】

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のパレット位置記憶機構を使用したパ
レット分配システムに一例を示す平面図である。

【図２】同じく側面図である。

【符号の説明】

１ キャリア機構 ２ シフター機構 ３ リフター機構 ４ フック機構 ５ ストッカー ６ バッファー ７ 段取台 ９ スタンド Ｍ 工作機械 Ｐ パレット Ｗ ワーク Ｃ１ システム制御装置

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】工作機械の近傍で複数のパレットを水平方
   向に並置可能に設けられたストッカーと、ストッカーの
   上方で水平方向に移動可能に設けられたキャリア機構
   と、上下方向に往復動可能に付設されてパレットを保持
   可能な機構を具えたリフター機構と、システム全体の動
   作を制御する動作制御機構とを具え、工作機械およびワ
   ーク段取り台から引き渡されたパレットのストッカー上
   での移送を行う型式であって、上記ストッカーが複数の
   パレットを任意の位置に載置可能に構成され、上記動作
   制御機構が各パレットが載置された任意の位置をストッ
   カー上のアドレスとして記憶する位置記憶機構を具え、
   上記キャリア機構の移動を記憶されたアドレスに基づい
   て制御することを特徴とするパレット分配システム。