JP2852405B2 - Bi▲下2▼(Sr,Ca)▲下3▼ Cu▲下2▼ O▲下8▼単結晶の溶液引き上げ法による製造方法 - Google Patents

Bi▲下2▼(Sr,Ca)▲下3▼ Cu▲下2▼ O▲下8▼単結晶の溶液引き上げ法による製造方法

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JP2852405B2 JP4351314A JP35131492A JP2852405B2 JP 2852405 B2 JP2852405 B2 JP 2852405B2 JP 4351314 A JP4351314 A JP 4351314A JP 35131492 A JP35131492 A JP 35131492A JP 2852405 B2 JP2852405 B2 JP 2852405B2
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邦彦 岡
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、溶液引き上げ法によ
るBi2(Sr,Ca)3Cu2O8の純度の良い大型単結晶の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】銅酸ビスマス・ストロンチュウム・カル
シュウムのSrとCaの比が2:1 の物質であるBi2Sr2CaCu2O
8 は80K で超伝導を示す物質で、安価な液体窒素中で超
伝導体となり、更にイットリウム系超伝導体が湿気に弱
いという欠点があるのに対し、水にも安定性を示し、超
伝導デバイスとしての応用が期待されている。
【0003】図3は、Bi2(Sr,Ca)x+1CuxOyの相平衡図で
あり、これより明らかなようにx=2の組成であるBi
2(Sr,Ca)3Cu2O8は865 ℃でBi2(Sr,Ca)4Cu3O10 と液相に
分解され[H.Komats et al.;Physica C 190(1991)14-1
7]、したがってBi2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶と同一組成の
原料から単結晶を製造することができない。
【0004】そのため静置徐冷法[ J.Z.Liu et al.;Phy
s.Lett.127(1988)444.L.F.Schneemeyer et al.;Nature
332(1988)422.]及び溶媒移動帯溶融法[ S.Takekawa et
al.;J.Cryst.Growth 92(1988)687] がBi2Sr2CaCu2O8
結晶の製造方法に多く用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このうち、静置徐冷法
は図3の相平衡図に示すように、液相線x=1.1 〜0.85間
の組成に混合した原料を865 ℃〜835 ℃において加熱溶
融した後、融液を徐々に降温させると融液の組成は液相
線に沿って図の左方にずれて行き、Bi2(Sr,Ca)3Cu2O8
が固相となって析出する原理を使用したものであるが、
この方法では溶剤から単結晶を取り去ることが極めて困
難である。
【0006】また、溶媒移動帯溶融法は原料棒と種子結
晶の間にある溶媒の溶融帯を順次移動させて種子結晶上
にBi2(Sr,Ca)3Cu2O8の単結晶を析出させるものである
が、この方法では原料棒と種子結晶との間に溶媒の溶融
帯を保持させるため、溶融帯の粘度を一定以上に保持す
る必要があり、このため製造できるBi2(Sr,Ca)3Cu2O8
結晶径は精々8mm φ程度にしかならないという欠点があ
る。
【0007】更に、微結晶を空冷したシャフトに集めて
育成し、育成後に溶液から単結晶を切り離す静置徐冷法
を改良した報告[ K.Shigematsu et al.;J.Cryst.Growth
100(1990)661.] もあるが、これについても前記同様に
大きな結晶が得られない。
【0008】また、引き上げ法でもマイクロチョクラル
スキー法[ A/Kurosaka et al.Appl.Phys.Lett.55(1989)
390.] 、ペデスタル法[ D.Gazit et al.;J.Cryst.Growt
h 91(1988)318.] が報告されているが、これについても
結晶径は1ミリ以上にならない。
【0009】そこで、本願発明者は大型のBi2(Sr,Ca)3C
u2O8単結晶を得る目的で、溶液引き上げ法について再度
検討を行った。この結果、図3の相平衡図ではx=1.1 〜
0.85間がBi2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶の析出する液相線にな
っているが、本願発明者の行った結晶育成実験によれば
図1に示す組成範囲、即ち成分比にして酸化ビスマスが
33.0〜37.9% 、酸化ストロンチュウムと酸化カルシュウ
ムの混合物が33.7〜40.5% 、酸化銅が21.6〜29.2% の組
成範囲の溶液から溶液引き上げ法によるBi2(Sr,Ca)3Cu2
O8単結晶の育成が可能であることを見出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記知見に
基づいて成分比にして酸化ビスマスが33.0〜37.9% 、酸
化ストロンチュウムと酸化カルシュウムの混合物が33.7
〜40.5% 、酸化銅が21.6〜29.2% の組成範囲で混合し、
高温度に加熱して全体を溶融せしめた後に融液を降温さ
せることにより、融液中に析出するBi2(Sr,Ca)3Cu2O8
結晶を融液に接触させた種結晶上に結晶化させ、これを
育成させながら、引き上げるBi2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶の
製造方法を提案するものである。
【0011】なお、従来の静置徐冷法ではBi2(Sr,Ca)3C
u2O8単結晶だけを取り出すことは困難であり、この発明
においても析出してきたBi2(Sr,Ca)3Cu2O8結晶をそのま
ま冷却しても、融液の固化物とは分離できない。
【0012】このため、この発明においては同一のBi
2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶の種子上に析出してきたBi2(Sr,C
a)3Cu2O8単結晶を育成させながら、同時に引き上げる方
法を採用するものである。
【0013】これにより種子結晶によって望みの方向に
任意の大きさの良質な単結晶を得ることができる。
【0014】
【実施例】以下、この発明を図示の実施例に基づいて詳
細に説明する。図2はこの発明の一実施例を説明するた
めのBi2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶の製造装置であり、1は空
冷ステンレスシャフト、2は蓋、3は観測石英窓、4は
白金空冷シャフト、5は白金ロジュウム空冷シャフト、
6は発熱体、7は発熱体保護管、8は炉壁保護円筒、9
は白金るつぼ、10は熱電対、11はるつぼ支持台、12は出
発原料、13はBi2(Sr,Ca)3Cu2O8の種子結晶である。
【0015】次に製造方法について説明すると、出発原
料12は一例として、Bi2O3 とSrCO3とCaCO3 とCuO をモ
ル比にして1.2:1.5:1.0:1.8 になるように混合し、図2
に示す口径50mmφ、 高さ35mmの白金るつぼ9に入れ、約
870 ℃まで加熱して溶融させた後、種子結晶であるBi
2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶13を融液表面に接触させる。
【0016】融液を徐々に降温させると、融液中で最も
温度の低い種子結晶と接している融液の界面にBi2(Sr,C
a)3Cu2O8微結晶が少しずつ析出してきて種子結晶上に結
晶化し、このようにして成長した単結晶を融液から徐々
に引き上げる。
【0017】即ち、この発明では融液を降温しながら、
育成された単結晶の引き上げを同時に行っていくのであ
る。
【0018】この時の製造条件としては、種子結晶13の
引き上げ速度は0.5 〜1mm/hr、 融液降温速度1 〜2 ℃/h
r、結晶回転数20〜30rpm 、雰囲気は大気中である。
【0019】また、Bi2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶の育成を完
了するまでに要する時間は、直径10mm、長さ10mmで約4g
の単結晶を得るのに30時間要しただけであり、更に得ら
れた単結晶は磁化測定から86K の超伝導を示した。
【0020】なお、この製造方法では結晶中のビスマス
原子の位置やストロンチュウム及びカルシュウム原子の
位置や銅原子の位置に他の何らかの異種元素が少量混合
したときにも、相平衡図が図3のBi2(Sr,Ca)x+1CuxOy
x=0〜∞の相平衡図と本質的に変わらない場合には、
上記と全く同様な方法、条件によって、この異種元素を
混合したBi2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶を製造することも可能
である。
【0021】また、従来の静置徐冷法では単結晶製造後
に溶剤と分離する操作が必要となり、溶媒移動帯溶融法
では育成結晶の径の制限があるが、この発明ではるつぼ
を大きくすることにより充填する原料の増量ができ、ど
のような大型単結晶でも短時間に得ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上要するに、この発明によれば融液と
分離して、しかも所望の方向に任意の大きさの良質なBi
2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明者の結晶育成実験から得られた溶液引
き上げ法によるBi2(Sr,Ca)3Cu2O8単結晶の製造可能な組
成範囲図
【図2】この発明の実施例で使用するBi2(Sr,Ca)3Cu2O8
単結晶の製造装置の構成図
【図3】Bi2(Sr,Ca)x+1CuxOyのx=0〜∞の相平衡図
【符号の説明】
1 空冷ステンレスシャフト 2 蓋 3 観測石英窓 4 白金空冷シャフト 5 白金ロジュウム空冷シャフト 6 発熱体 7 発熱体保護管 8 炉壁保護円筒 9 白金るつぼ 10 熱電対 11 るつぼ支持台 12 出発原料 13 Bi2(Sr,Ca)3Cu2O8の種子結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01B 13/00 565 H01B 13/00 565D

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分比にして酸化ビスマスが33.0〜
    37.9%、酸化ストロンチュウムと酸化カルシウムの
    混合物が33.7〜40.5%、酸化銅が21.6〜2
    9.2%の組成範囲で混合し、高温度に加熱して全体を
    溶融せしめた後に融液を降温させると共に、該融液にB
    (Sr,Ca) Cu の種結晶を接触させて
    引き上げ速度0.5〜1mm/hrで引き上げることを
    特徴とするBi(Sr,Ca)Cu単結晶の
    溶液引き上げ法による製造方法。
JP4351314A 1992-12-07 1992-12-07 Bi▲下2▼(Sr,Ca)▲下3▼ Cu▲下2▼ O▲下8▼単結晶の溶液引き上げ法による製造方法 Expired - Lifetime JP2852405B2 (ja)

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