JP2852370B2 - 薄膜軽量型電波吸収体およびその使用方法 - Google Patents

薄膜軽量型電波吸収体およびその使用方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶、航空機、橋梁、
高層建造物などにおける電波反射による偽像など画像障
害を防止でき、かつ吸収帯域幅の広い薄膜軽量型電波吸
収体およびその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】近年、我々を取巻く社会
環境において、電磁波(以下、「電波」ということがあ
る。)による障害はさまざまな形で発生している。例え
ば、船舶や航空機においては、構築物からの電波の反射
によるレーダーの偽像障害のために運行の安全性がおび
やかされる。また都会部では高層建築物の出現により、
高層建築物からの電波の反射によるテレビ画面の偽像障
害が起こる。これらの電波障害を解決するため電波の吸
収周波数帯域に応じて種々の電波吸収体が使用されてい
る。
【0003】従来、電波吸収体は一般に、フェライト焼
結体やフェライト、またはフェライトに誘電材料として
金属粉、金属繊維、カーボンなどを混入した材料が使用
されており、いずれにおいても比重の大きいフェライト
が主成分となっており、厚くて重いという欠点があって
実用面で大きな問題となっている。
【0004】特に航空機に適用する場合、軽量薄膜化が
強く要求される。従来の航空機用のXバンドに対する電
波吸収体では重量7kg/m2 以上、厚さ7mm以上と
なり、航空機にとってこの重量と厚さは大きな問題とな
っており、電波吸収体の適用は主要な部分のみに限定さ
れるのが実状である。また建造物に適用されるテレビ電
波の偽像防止用電波吸収体は、吸収対象電波の波長が長
いため重量が45kg/m2 、厚さ7〜9mmにも達す
るものが実用化されている。このように重くて厚い材料
を建造物の壁面に設置する場合には、施工性、安全性の
ほか、設置後の建造物全体の重量が重くなるため、建造
物の強度など設計面での考慮の必要性が新たに生じる。
【0005】上記のように、航空機、船舶、橋梁、建造
物などにおいて、従来、電波吸収体はその重量と厚さが
大きな問題となっており、軽量化および薄膜化が強く望
まれている。電波吸収体の軽量化、薄膜化のため、透磁
率の大きいニッケル系フェライトを用いたり、フェライ
ト粉末表面にニッケルめっきしたものを用いたりして電
波吸収効率の向上が試みられているが自ら限界があり本
質的な解決にはなっていない。また電波吸収材料をパタ
ーン化することも行なわれているが、電波吸収効率の面
で充分な性能が得られていないのが実情である。また従
来、軽量で薄膜の電波吸収体が提案されているが、吸収
帯域幅(比帯域)が狭いため実用上問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、軽量
薄膜型であって、かつ吸収帯域幅の広い電波吸収体を得
るべく鋭意研究の結果、薄膜の磁性層の2層の間に高誘
電体を挟んだものを用いることによって上記目的を達成
できることを見出し本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、第1に、磁性を有する
単一金属または合金からなる1層の厚さが2〜100n
mの磁性層(A)の2層の間に厚さ10〜1000nm
の高誘電体層(B)が挟まれており、該層(A)の2層
のうちの1層の、層(B)と反対側の面に、支持層
(C)が積層されてなる積層体を1単位として、該積層
体単位を複数個積層してなる複数単位積層体を電波反射
体層(D)上に積層してなる構造を有することを特徴と
する電波吸収体を提供するものである。
【0008】また本発明は、第2に、前記電波吸収体に
おいて、磁性を有する単一金属または合金が、遷移金属
および希土類金属から選ばれる少なくとも1種の単一金
属または合金である電波吸収体を提供するものである。
【0009】本発明は、第3に、前記電波吸収体を、該
電波吸収体の電波反射体層(D)が構造体に面するよう
に、該構造体上に形成することを特徴とする該電波吸収
体の使用方法を提供するものである。
【0010】本発明は、第4に、金属表面を有する電波
反射構造体に、前記電波吸収体から電波反射体層(D)
を除いた複数単位積層体を形成することを特徴とする該
電波吸収体の使用方法を提供するものである。
【0011】
【作用】本発明電波吸収体において、磁性層(A)は磁
性を有する単一金属または合金からなる層であり、磁性
を有する単一金属としては、鉄(Fe)、ニッケル(N
i)、コバルト(Co)などの遷移金属;テルビウム
(Tb)、ガドリニウム(Gd)、イットビウム(Y
b)、ネオジミウム(Nd)、セリウム(Ce)などの
希土類元素などが挙げられ、磁性を有する合金として
は、上記磁性を有する単一金属を少なくとも1種含む合
金である。また磁性層(A)の厚さは2〜100nm、
好ましくは5〜30nmである。磁性層(A)の厚さが
2nm未満では電波の透過率が大きくなり過ぎ、一方1
00nmを超えると電波の反射率が大きくなり過ぎる。
【0012】本発明においては、高誘電体層(B)が上
記磁性層(A)の2層の間に挟まれて存在する。該磁性
層(A)の2層はそれぞれ同一であっても異なっていて
もよい。高誘電体層(B)は、誘電性の高い材料の層で
あり、例えば一般式M1 (M2 )O3 又はM1 (M3
4 〔式中、M1 はGa、Sr又はBaを、M2 はTi
又はZrを、M3 はMg、Zn、Co、Ni、Fe又は
Mnを表わす。〕で表わされる化合物を挙げることがで
きる。一般式M1 (M2 )O3 で表わされる化合物は、
一般にペロブスカイト系と呼ばれる化合物であり、例え
ばチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどを挙
げることができる。一般式M1 (M3 )F4 で表わされ
る化合物は弗化物系高誘電材であり、例えば四弗化マグ
ネシウム・バリウムなどを挙げることができる。高誘電
体層(B)の厚さは10〜1000nm、好ましくは5
0〜500nmである。高誘電体層(B)の厚さが10
nm未満では薄すぎて層(B)の内部におけるエネルギ
ー変換が小さく誘電損失効果が十分でなくなり、一方1
000nmを超えると層(B)の内部におけるエネルギ
ー変換能は大きくなるが、誘電体層(B)での電波の反
射が大きくなって、電波吸収体全体での誘電損失効果が
逆に小さくなるため、いずれも電波吸収効率が低下す
る。
【0013】本発明において、支持層(C)は、上記磁
性層(A)および高誘電体層(B)を支持する層であっ
て、支持層(C)としては、例えばポリイミド、ポリフ
ェニレンサルファイド、ロジン、セラック、エステルゴ
ム、ハイパロン(クロロスルホン化ポリエチレン)ゴ
ム、塩化ゴム、クロロブレンゴム、ポリオレフィン樹
脂、炭化水素樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン系樹
脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂などの樹脂のシ
ートが挙げられる。支持層(C)は、さらに、上記樹脂
又は樹脂溶液中に、フェライト、カーボン、金属粉およ
び導電性金属酸化物から選ばれた少なくとも1種の粉末
および必要に応じて高誘電材を分散させた分散物を、シ
ート状に成型することによっても得ることができる。支
持層(C)の厚さは特に限定されるものではないが、通
常約10〜200μm、好ましくは50〜150μmの
範囲である。
【0014】上記樹脂又は樹脂溶液に分散されることが
できるフェライトとしては、従来、電波吸収体に使用さ
れているフェライトが使用でき、代表例としてヘマタイ
ト(Fe2 3 )、マグネタイト(Fe3 4 )、一般
にMO・Fe2 3 なる組成で表わされる異種金属元素
を含む鉄酸化物(MはMn、Co、Ni、Cu、Zn、
Be、Mgなど)が挙げられる。フェライトの粒径は特
に限定されるものではないが、一般に粒径が100μm
以下であることが分散性などの点から望ましい。
【0015】上記樹脂又は樹脂溶液中に分散されること
ができるカーボンとしては、誘電性を有するカーボンが
好ましく、いわゆる導電性カーボンや炭素繊維などが挙
げられる。カーボンの粒径は特に限定されるものではな
いが、一般に粒径または繊維の直径が100μm以下で
あることが分散性などの点から好ましい。上記樹脂又は
樹脂溶液中に分散されることができる金属粉としては、
金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄などの
金属粉が挙げられ、導電性金属酸化物としては、酸化錫
や酸化インジウムを挙げることができる。これらは、粒
子状であっても繊維状であってもよく、また粒子状もし
くは繊維状をした高分子粉末や無機粉末上に蒸着などに
よって薄膜状に形成されたものであってもよい。金属粉
および導電性金属酸化物の粒径または繊維の直径は特に
限定されるものではないが、一般に粒径または繊維の直
径が100μm以下であることが分散性などの点から好
ましい。
【0016】また上記樹脂又は樹脂溶液中に必要に応じ
て含有させることができる高誘電材としては、チタン酸
バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコニ
ウム、チタン酸カリウムなどの粒子又はウィスカーなど
であるチタン酸化合物、シリコンカーバイド、チッ化ケ
イ素などを挙げることができる。これらの高誘電材は粒
子状であっても繊維状であってもよく、その粒径または
繊維の直径は特に限定されるものではないが、一般に1
00μm以下であることが分散性などの点から好まし
い。
【0017】樹脂又は樹脂溶液中に上記粉末を分散する
に際して、樹脂粉末と上記粉末との混練による分散を加
熱下に行なうことができ、また必要に応じて樹脂を溶解
もしくは分散させる溶剤を配合し、混練、攪拌などによ
り上記粉末を分散させるなど公知の方法によって行なう
ことができる。またこれらの分散物中にはアミノプラス
ト、ポリイソシアネートなどの硬化剤を配合してもよ
い。
【0018】本発明電波吸収体において、層(A)、層
(B)および層(C)を積層する方法は、層(A)の2
層の間に層(B)が挟まれ、該層(A)の2層のうちの
1層の、層(B)と反対側の面に、支持層(C)が積層
される限り特に限定されるものではない。例えば、上記
支持層(C)上に、磁性層(A)を形成する前記磁性を
有する単一金属および合金の1種又は2種以上を蒸着、
スパッタリングまたはイオンプレーティングなどを行な
うことによって層(C)上に層(A)を形成でき、さら
にこの層(A)上に前記高誘電体層(B)を形成する材
料を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティング
などを行なうことによって層(A)上に層(B)を形成
でき、さらにこの層(B)上に磁性層(A)を形成する
前記磁性を有する単一金属および合金の1種又は2種以
上を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティング
などを行なうことによって層(B)上に層(A)を形成
でき、これによって層(C)−層(A)−層(B)−層
(A)が順次積層された積層体を得ることができる。ま
た上記方法において、支持層(C)のかわりにテフロン
フィルムのような離型性支持フィルムを用い、この支持
フィルム上に同様にして層(A)−層(B)−層(A)
を形成し、さらにこの層(A)上に、支持層(C)を形
成する塗料をスプレー法、カーテンフローコーター法、
ロールコータ法などによって塗装、乾燥したり、成膜さ
れた支持層(C)を接着することによって、離型性支持
フィルム上に層(A)−層(B)−層(A)−層(C)
を形成した後、離型性支持フィルムを剥離することによ
っても得ることができる。
【0019】本発明電波吸収体においては、上記のよう
にして、層(C)−層(A)−層(B)−層(A)と順
次積層してなる構造を有する積層体を1単位として、該
積層体単位を複数個積層してなる複数単位積層体が電波
反射体層(D)上に積層された構造を有する。上記複数
単位積層体を形成する積層体単位の積層数は特に限定さ
れるものではないが、通常5〜30、好ましくは8〜2
0である。積層数をあまり大きくしても電波反射防止効
果のさらなる向上はあまりなく、かえって重量、厚さの
面で不利となってくる。また複数単位積層体を形成する
ための積層体単位の積層の際の向きは特に限定されるも
のではない。積層体単位を複数個積層することによって
効果的に電波の反射を防止できる周波数帯域を広くでき
る。
【0020】上記電波反射体層(D)は、入ってきた電
波を100%ないしは、ほぼ100%(約99%以上)
反射することができる金属製の層であればよく、一般に
金属シートが用いられる。金属シートは金属箔も包含す
るものである。金属シートの種類としては、ブリキ、真
ちゅう、銅、鉄、ニッケル、ステンレススチール、アル
ミニウムなどの金属のシートが挙げられる。金属シート
の膜厚は特に限定されるものではないが、強度、軽量化
の観点から5〜500μm程度が好ましい。
【0021】本発明電波吸収体において、電波が吸収さ
れる機構としては、磁性層(A)の2層の間に高誘電体
層(B)が挟まれたサンドイッチ構造による電波の誘電
損失効果、サンドイッチ構造が複数個重ねられており、
磁性層(A)で電波の透過と反射が適度に行なわれるの
で電波の多重反射によって行路長が長くなることによる
エネルギー損失の増大効果、磁性層(A)が超薄膜であ
ることによる超薄膜量子効果、界面分極による損失効果
などを挙げることができる。
【0022】本発明電波吸収体において、前記複数単位
積層体を形成する各積層体単位間および複数単位積層体
と電波反射体層との間は、接着剤によって接着されてい
てもよい。また本発明の電波吸収体は、電波吸収体の防
食性、耐候性、美粧性、材料特性の保持性の向上などの
ため、層(D)と反対側の最上層の層上に、クリヤまた
は着色塗膜層を塗装などによって設けてもよい。この塗
膜層を形成する樹脂種としては例えば、エポキシ樹脂、
ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ゴム
系樹脂などが挙げられる。
【0023】本発明の電波吸収体の使用方法において
は、電波を吸収すべき構造体に上記本発明の電波吸収体
を接着剤などによって貼着することによって電波の吸収
を効果的に行なうことができる。また本発明の電波吸収
体の使用方法において、電波を吸収すべき構造体が金属
表面を有する電波反射構造体である場合には、この電波
反射構造体が、前記本発明の電波吸収体の電波反射体層
(D)と同様に電波の遮蔽などの働きを行なうことがで
きるので、この電波反射構造体上には、前記電波吸収体
から電波反射体層(D)を除いた積層体を形成すること
によっても効果的に電波吸収を行なうことができる。
【0024】また本発明の電波吸収体の電波反射体層
(D)の面に前もって粘着剤を塗布し、その上に離型紙
を積層しておくことによって施工現場にて剥離紙をはが
して貼着するだけで構造体上に電波吸収体を形成するこ
とができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。なお、以下「部」は重量基準によるものとす
る。
【0026】実施例1 厚さ1mmのテフロン製シート上に、鉄とニッケルとを
同時にスパッタリング法によって成膜し、厚さ7nmの
磁性合金層(Fe:Niの原子数比が60:40)を形
成した。次いでこの層上にチタン酸バリウムをスパッタ
リング法によって成膜し、厚さ800nmの高誘電体層
を形成した。さらにこの高誘電体層上に、上記と同じ方
法で厚さ7nmの磁性合金層(Fe:Niの原子数比が
60:40)を形成して3層構造の薄膜を得た。次いで
エポキシ樹脂100部に対してフェライトを200部含
有する塗料をスプレー法にて上記薄膜上に乾燥膜厚が8
0μmとなるよう塗装し乾燥させた後、テフロン製シー
トから剥離して3層構造の薄膜およびフェライト含有支
持層からなる積層体単位を得た。この積層体単位を20
単位接着剤を用いて厚さ50μmのアルミニウム板上に
積層して電波吸収体を得た。この吸収体を厚さ約2m
m、重量約4kg/m2 であり、吸収のピークは10.
3GHzで、−20dBでの比帯域は2GHzであっ
た。電波吸収体がエポキシ樹脂100部に対してフェラ
イト200部を含有する塗料の硬化物からなる場合、上
記とほぼ同じ吸収性能を有するためには、厚さ3.5m
m、重量6kg/m2 が必要であった。
【0027】実施例2 厚さ2mmのテフロン製シート上に、テルビウムとコバ
ルトとを同時にスパッタリング法によって成膜し、厚さ
80nmの磁性合金層(Tb:Coの原子数比が90:
10)を形成した。次いでこの層上に、四弗化マグネシ
ウム・バリウムをスパッタリング法によって成膜し、厚
さ200nmの高誘電体層を形成した。さらにこの高誘
電体層上に、上記と同じ方法で厚さ80nmの磁性合金
層(Tb:Coの原子数比が90:10)を形成して3
層構造の薄膜を得た。次いでウレタン樹脂100部に対
してカーボン5部およびフェライト100部を含有する
塗料を上記薄膜上に乾燥膜厚が100μmとなるように
バーコータにて塗装、乾燥させた後、テフロン製シート
から剥離して3層構造の薄膜およびカーボン・フェライ
ト含有支持層からなる積層体単位を得た。この積層体単
位を15単位接着剤を用いて厚さ50μmのアルミニウ
ム板上に積層して電波吸収体を得た。この吸収体は厚さ
1.8mm、重量2.7kg/m2 であり、吸収のピー
クは12GHzで、−20dBでの比帯域は2.2GH
zであった。電波吸収体がウレタン樹脂100部に対し
てカーボン5部およびフェライト100部を含有する塗
料の硬化物からなる場合、上記とほぼ同じ吸収性能を有
するためには、厚さ2.8mm、重量5.2kg/m2
が必要であった。
【0028】実施例3 厚さ1mmのテフロン製シート上に、鉄、ガドリニウム
およびコバルトを同時にスパッタリング法によって成膜
し、厚さ12nmの磁性合金層(Fe:Gd:Coの原
子数比が60:30:10)を形成した。次いでこの層
上にチタン酸ストロンチウムをスパッタリング法によっ
て成膜し、厚さ500nmの高誘電体層を形成した。さ
らにこの高誘電体層上に、上記と同じ方法で厚さ12n
mの磁性合金層(Fe:Gd:Coの原子数比が60:
30:10)を形成して3層構造の薄膜を得た。次いで
ポリブタジエンゴム100部に対してカーボンを10部
含有する塗料を自動スプレー法にて上記薄膜上に乾燥膜
厚が60μmとなるように塗装し乾燥させた後、テフロ
ン製シートから剥離して3層構造の薄膜およびカーボン
含有支持層からなる積層体単位を得た。この積層体単位
を25単位接着剤を用いて厚さ50μmのアルミニウム
板上に積層して電波吸収体を得た。この吸収体は厚さ約
1.7mm、重量約2.3kg/m2 であり、吸収のピ
ークは15.2GHzで、−20dBでの比帯域は2.
4GHzであった。電波吸収体がポリブタジエンゴム1
00部に対してカーボン5部およびフェライト100部
を含有する塗料の硬化物からなる場合、上記とほぼ同じ
吸収性能を有するためには、厚さ2.6mm、重量4.
4kg/m2 が必要であった。
【0029】実施例4 実施例2で得た電波吸収体を、300mm×300mm
×100mmの鋼製柱である構造体上に、電波吸収体の
アルミニウム板面が面するように接着した。得られた構
造体は実施例2におけると同様の良好な電波吸収能を有
していた。
【0030】実施例5 実施例3において、アルミニウム板のかわりに300m
m×300mm×100mmの鋼製柱である金属表面を
有する構造体を使用する以外は実施例3と同様にして電
波吸収構造体を作成した。得られた構造体は実施例3に
おけると同様の良好な電波吸収能を有していた。
【0031】
【発明の効果】本発明電波吸収体は、超薄膜の磁性層の
2層の間に薄膜の高誘電体層が挟まれたサンドイッチ構
造の薄膜が支持層上に形成されてなる積層体単位が電波
反射体上に複数単位積層されている。本発明電波吸収体
においては、サンドイッチ構造の薄膜による電波の誘電
損失効果やサンドイッチ構造の薄膜が複数個積層されて
いることによる電波の多重反射による電波のエネルギー
損失の増大効果などによって、実施例に示したように、
サンドイッチ構造の薄膜がない場合の電波吸収体に比較
して軽量、薄膜で、電波反射による偽像などの画像障害
を防止でき、かつ吸収帯域幅の広い、良好な電波吸収効
果を発揮することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性を有する単一金属または合金からな
    る1層の厚さが2〜100nmの磁性層(A)の2層の
    間に厚さ10〜1000nmの高誘電体層(B)が挟ま
    れており、該層(A)の2層のうちの1層の、層(B)
    と反対側の面に、支持層(C)が積層されてなる積層体
    を1単位として、該積層体単位を複数個積層してなる複
    数単位積層体を電波反射体層(D)上に積層してなる構
    造を有することを特徴とする薄膜軽量型電波吸収体。
  2. 【請求項2】 磁性を有する単一金属または合金が、遷
    移金属および希土類金属から選ばれる少なくとも1種の
    単一金属または合金である請求項1記載の電波吸収体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の電波吸収体を、
    該電波吸収体の電波反射体層(D)が構造体に面するよ
    うに、該構造体上に形成することを特徴とする該電波吸
    収体の使用方法。
  4. 【請求項4】 金属表面を有する電波反射構造体上に、
    請求項1又は2に記載の電波吸収体から電波反射体層
    (D)を除いた複数単位積層体を形成することを特徴と
    する該電波吸収体の使用方法。
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