JP2851145B2 - 絶縁劣化診断方法 - Google Patents

絶縁劣化診断方法

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JP2851145B2 JP20689890A JP20689890A JP2851145B2 JP 2851145 B2 JP2851145 B2 JP 2851145B2 JP 20689890 A JP20689890 A JP 20689890A JP 20689890 A JP20689890 A JP 20689890A JP 2851145 B2 JP2851145 B2 JP 2851145B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、回転電機等の電気絶縁劣化診断方法に係
り、特に、交流電流急増点を求めて劣化を判定する方法
の改良に関するものである。
(従来の技術) 従来より、回転電機等の電気絶縁特性を診断する手段
の1つとして、交流電流急増点を求めて劣化を判定する
方法が広く用いられている。
この方法は、回転電機の巻線口出ターミナルとフレー
ム間に交流電圧を印加すると、その充電電流は印加電圧
に比例して直線的に上昇するが、途中巻線の絶縁層間に
ボイドが発生しているとここで放電して電流が急増しは
じめ(第1次電流急増点、以下、電流急増点Pi1とい
う)、さらに上昇すると2回目の急増が見られる(第2
次電流急増点、以下、電流急増点Pi2という)。これら
の電流急増点Pi1とPi2と破壊電圧の間には相関関係があ
り、絶縁劣化の判定に用いられている。
ところで、電流急増点Pi1とPi2は、従来第3図に示す
ような方法で判断していた。まず、同図に示すように電
圧−電流座標面上に被診断物に交流電圧を印加して得ら
れる電流値をデータ〜のように順次プロットする。
次に、これらのデータを直線近似し、直線に折れ曲がり
があれば、これを電流急増点とする訳であるが、この直
線近似を同図面上で定規をあてながら視覚的に判断して
いた。
同図に示す直線1〜3がこのようにして求められた直
線であり、直線1は、原点またはデータ,からデー
タ,,の付近を狙って引かれている。また、直線
2は、データ,,の付近から、データ,,
の付近を狙って引かれ、さらに、直線3は、データ,
,の付近からデータ,の付近を狙い定規をあて
視覚的に直線を引いたものである。
電流急増点Pi1またはPi2はそれぞれ直線1と2または
直線2と3の交点を与える電圧値をx軸から読取り求め
ていた。
(発明が解決しようとする課題) 上述したように電流急増点Pi,Pi2を求める従来方法に
おいては、直線近似を図面上で各個人の視覚判断に頼っ
て行っていた。このため、直線1〜3は、例えば熟練者
と初心者間等で個人差が生じ求められることが多かっ
た。また、同一人の判断でも、時と場合により、視覚判
断が異なり、その都度、異なる直線が引かれる可能性が
あった。
したがって、これら直線1〜3をよりどころとし、各
直線の交点として求められる電流急増点Pi1,Pi2は、判
断する人や時と場合によって微妙に異なるこになり、き
わめて重要な絶縁診断の根拠とするには非合理的な値と
なっていた。
また、同図にも示すように図面上に電圧と電流値の全
データをプロットし、直線を引いてPi1,Pi2を判断する
従来方法は、比較的長時間の処理時間を必要としてい
た。
そこで、本発明の目的は、電流急増点Pi1,Pi2を合理
的かつ短時間に判断し求める絶縁劣化診断方法を提供す
るものである。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明は、電流急増点を求めて被測定物の絶縁劣化を
判定する絶縁劣化診断方法において、印加電圧に対する
充電電流の値をコンピュータにインプットして、点線グ
ラフを作り、この点線グラフの隣接点間を直線近似する
ことで仮りの電流急増点を求めると同時にその電流急増
点の前後の電流値の増加傾向の比較により、近似直線の
折れ曲がりの有無を判断し、電流増加率の値からこの折
れ曲がりが真の電流急増点か否かを判定し、真の電流急
増点の場合には自動的にコンピュータで前記近似直線の
交点からその電流急増点の値を求めて劣化を判断するよ
うにしたものである。
(作用) 電流急増点Pi1,Pi2を求めるためのよりどころとなる
電圧電流データに対する近似直線をコンピュータにより
自動的に決定する。また、電流急増点Pi1,Pi2の前後の
近似直線の傾きと電流増加率から、電流急増点Pi1,Pi2
の存在とその値をコンピュータで自動的に求め、劣化を
判断する。このため、個人差がなく、いつ、どのような
状況のもとで求めても、必ず一致した電流急増点Pi1,P
i2の存在に対する判断ができ、同じ値が得られるので、
合理的となる。さらに、コンピュータでこれらの作業を
全て実施するので、きわめて短時間に電流急増点Pi1,P
i2が求められるという効果も得られる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
実施例1 第1図において、〜は電圧と電流のデータであ
る。本実施例では、データ3個以上で直線近似を行うよ
うにし、この直線近似は最小二乗近似を用いる。被測定
物がいかなる場合も電圧0の時は電流0であるので、デ
ータの中で(0,0)、つまり同図において、データに
ついては他のデータに比べ1000倍の重みづけを行い、直
線近似を行う。
直線に折れ曲がりがあるか否かは、直線近似したデー
タの次に発生する3点の電流増加傾向から判断する。同
図において、直線1Aはデータ〜に対し最小二乗近似
で求められた直線である。ΔI1,ΔI2,ΔI3は、直線1Aの
電流とデータ,,の電流値の差を示す。ここで、
ΔI1>0,ΔI2−ΔI1>0、ΔI3−ΔI2>0の条件が満た
されているため、データ,,は、直線1AよりもΔ
I/ΔVが大きな別の直線2Aの上に存在すると判断してい
る。もし、上記条件が満たされない場合は、直線1Aはデ
ータとの間に折れ曲がりを持たないと判断し、デー
タを近似直線1Aに用いたデータ群の中に取込み、再度
データ〜に対し最小二乗近似直線1Bを求める。次に
この直線1Bに対するデータ,,のΔIを求め、上
述と同じ判断を繰り返している。
同図において、直線2Aと3Aの判断、つまり電流急増点
Pi2も、直線1Aと2Aの判断を行う方法と全く同様に進め
られる。
以上のようにして直線に折れ曲がりが有ると判断され
ても、これを実際の電流急増点Pi1,Pi2と見なされない
場合もある。これは、電流の増加率があまりにも小さ
く、例えば熟練者が視覚判断したとき、同一直線で近似
しても良い場合である。そこで、電流増加率を規定して
おく必要がある。例えば本実施例では、この電流増加
率、つまり同図においてΔI/Iが3%以上の場合を電流
急増点が有ると判断するようにしている。すなわち、同
図において、ΔI/Iが5.2%となり、3%を越えたため、
直線1Aと直線2Aの間の折れ曲がりは、対象としている電
流急増点Pi1であると見なしている。最終的に電流急増
点Pi1は、直線1Aと直線2Aの交点を与える電圧値とし
て、容易にコンピュータで計算できる。電流急増点Pi2
も全く同様にして求められる。
以上のように実施例1では、電圧電流のデータの近似
直線を最小二乗近似で求め、直線の折れ曲がりを電流増
加傾向より判断し、その電流増加率が3%以上の場合、
実際の電流急増点Pi1,Pi2が存在するものとし、各直線
の交点を電流急増点Pi1,Pi2として求めるようにした。
その判断は、コンピュータを用いると短時間に実施で
き、しかもいつ如何なる場合も、同じ結果が得られ合理
的である。
実施例2 回転電機の絶縁診断実績によると、電流急増点Pi2
存在する場合、この電流急増点Pi2は、電流急増点Pi1
2倍迄の間に観測されるとする場合がある。そこで、こ
のような条件を、上述した実施例1の中に付加し、電流
急増点Pi1,Pi2を判断する。この場合には、実施例1に
おいて求められる電流急増点Pi1,Pi2相互の比較を行
い、Pi2>2Pi1となった場合、近似直線1Aのデータ群
に、近似直線2Aの最初のデータを移し、後は順次実施例
1に従って作業を進める。
実施例3 回転電機の絶縁診断実績によると、かなり低い電圧で
電流急増点Pi1が検出されると、その時の試験電圧の最
大値が電流急増点Pi1の2.5倍以上の場合には、必ず電流
急増点Pi1も検出されるとする場合がある。この場合に
は、上述した実施例1において、電流急増点Pi1のみが
有ると判断されたとき、電流急増点Pi1と最高試験電圧
(Vmax)との比較を行い、Vmax≧2.5Pi1のとき出力を停
止し、試験方法に誤りがないか、電流ノイズが重畳して
いないか等再検討を行うように指示する判断結果とす
る。
実施例4 本発明では、電圧電流特性から電流急増点Pi1,Pi2
コンピュータで自動判断するが、これらの結果につい
て、従来通り電圧−電流座標面上で確認したい場合があ
る。この場合には、コンピュータ内に電圧電流の各デー
タ、求められた近似直線と電流急増点を記憶しておき、
最終的にディスプレイ表示すれば良い。第2図は、この
ようにして求めた結果を示すもので、電圧電流の各デー
タ、近似された電流急増点Pi1,Pi2が電圧−電流座標面
上にアウトプットされている。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、電流急増点Pi1,
Pi2を求めるため、コンピュータに電圧電流データをイ
ンプットし、電流急増点Pi1,Pi2の前後のデータ群を直
線近似すると同時に、電流急増点Pi1,Pi2前後の電流増
加傾向と、電流増加率の値を求め、電流急増点Pi1,Pi2
の有無を判断すると共に、その値を自動的に求めるよう
にしているので、個人差がなく、いつどこで求めても合
理的な同じ判断が行える。
また、全計算はコンピュータで行われ、これら結果に
ついても即座にグラフ表示できるので、短時間に電流急
増点Pi1,Pi2の有無とその値とを判断し求めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す説明図、第2図は本発
明の他の実施例を示す説明図、第3図は従来の絶縁劣化
診断方法を示す説明図である。 Pi1……第一次電流急増点 Pi2……第二次電流急増点

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電流急増点を求めて被測定物の絶縁劣化を
    判定する絶縁劣化診断方法において、印加電圧に対する
    充電電流の値をコンピュータにインプットして、点線グ
    ラフを作り、この点線グラフの隣接点間を直線近似する
    ことで仮りの電流急増点を求めると同時にその電流急増
    点の前後の電流値の増加傾向の比較により、近似直線の
    折れ曲がりの有無を判断し、電流増加率の値からこの折
    れ曲がりが真の電流急増点か否かを判定し、真の電流急
    増点の場合には自動的にコンピュータで前記近似直線の
    交点からその電流急増点の値を求めるようにしたことを
    特徴とする絶縁劣化診断方法。
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