JP2006023119A - 静電破壊防止用材料の評価方法および静電破壊防止用材料の評価装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 静電気による半導体デバイス又は電子機器の破壊を回避するために用いられる物の構成材料である被評価材料について、複数値の電圧を該被評価材料に印加して該複数値の電圧毎に該被評価材料に流れる電流を測定する電圧対電流特性の測定処理(ステップS10)と、ステップS10での測定処理の結果に、非直線性を示す箇所があるか否かを判断する処理(ステップS20)と、被評価材料の帯電量を測定する処理(ステップS30)とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
また、本発明は、CDM静電破壊試験において10ボルト以下で破壊される電子機器に対しても、静電破壊から効果的に回避できる物の構成材料となり得るか否かを、正確に判断できる静電破壊防止用材料の評価方法および静電破壊防止用材料の評価装置を提供することを目的とする。
本発明に係る静電破壊防止用材料の評価方法は、静電気による半導体デバイス又は電子機器の破壊を回避するために用いられる物の構成材料である被評価材料について、複数値の電圧を該被評価材料に印加して該複数値の電圧毎に該被評価材料に流れる電流を測定する電圧対電流特性の測定処理と、前記電圧対電流特性の測定処理の結果に、非直線性を示す箇所があるか否かを判断する処理と、前記被評価材料の帯電量を測定する処理とを有することを特徴とする。
本発明によれば、被評価材料の電圧対電流特性及び帯電量を把握できるので、その被評価材料が電子機器を静電破壊から効果的に回避する物(トレイ又は導電マットなど)の構成材料となり得るか否かを、正確に判断することが可能となる。
例えば、電圧対電流特性が直線的であっても、その特性から導かれる抵抗が低すぎる場合は、被評価材料及び電子機器を通る放電電流が過大となるので、その被評価材料は好ましくないこととなる。また、電圧対電流特性から導かれる抵抗が高すぎる場合は、その被評価材料に電荷が溜まり易くなるので、その被評価材料も好ましくないこととなる。ここで、前記抵抗における好ましい範囲は、例えば10KΩから100MΩである。
また、電圧対電流特性に非直線性を示す箇所がある場合も、その被評価材料は好ましくない。この場合は、印加電圧の値に応じて被評価材料の抵抗値が変化することとなる。例えば、印加電圧が低いときは高抵抗となっているが、印加電圧がある閾値(ブレークダウン電圧)を超えると急に低抵抗となる。したがって、印加電圧が低いときにその被評価材料に電荷が溜まり、印加電圧がブレークダウン電圧を超えたときに被評価材料及び電子機器に過大な放電電流が流れることとなる。これらにより、本発明によれば、半導体デバイスなどの電子機器が載せられるトレイ又は導電マットの構成材料とされる被評価材料が、その半導体デバイスなどを静電破壊から効果的に回避できるか否かを、正確に判断することが可能となる。
MRヘッドとは、磁気抵抗効果を応用したハードディスクの読み取り装置(ヘッド)である。MRヘッドには外部磁界の変動に応じて電気抵抗が変化する素子が使われており、従来よりも感度が高いためより記録密度を高めることができる。コバルト系の素子を使ってさらに感度を高めたヘッドがGMRヘッドであり、本発明はGMRヘッド用のトレイの構成材料を評価するものとしても好適である。
突起形状電極を用いて前記電圧対電流特性(抵抗)を測定すると、その被評価材料における測定箇所によって、測定結果が数10倍から数100倍も異なることがある。すなわち、測定箇所によって電圧対電流特性の測定結果が大きくばらつく。一方、平面的な電極を用いて前記電圧対電流特性(抵抗)を測定すると前記「バラツキ」が平均化されてしまう。そこで、本発明は、静電破壊防止用材料としての評価をより正確に行うことが可能となる。
また、本発明によれば、CDM静電破壊試験において10ボルト以下で破壊される電子機器に対しても、静電破壊から効果的に回避する物の構成材料として、被評価材料がなり得るか否かを正確に判断することができる。
(静電破壊防止用材料の評価装置)
図1は、本発明の実施形態に係る静電破壊防止用材料の評価装置の概要構成を示す模式図である。
本静電破壊防止用材料の評価装置は、静電気による半導体デバイス又は電子機器などの破壊を回避するために用いられる物の構成材料である被評価材料1について評価する装置である。すなわち、被評価材料1は、例えばトレイ、導電マット、ピンセット、グローブ、床などの構成材料として、適切なものであるか否か評価されるものである。ここで、トレイは半導体デバイスなどが載せられるものであり、導電マット、ピンセット、グローブ、床は電子機器の製造ラインで用いられるものとすることができる。被評価材料1は、例えば板形状となっており、導電体2の上に置かれている。そして、導電体2は、グランド(GND)に接続されている。したがって、被評価材料1の底面全体が接地されている状態となっている。
次に、上記構成の静電破壊防止用材料の評価装置によって実行される本発明に係る静電破壊防止用材料の評価方法について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る静電破壊防止用材料の評価方法の概要手順を示すフローチャートである。
先ず、制御手段15は、被評価材料1についての電圧対電流(V−I)特性の測定処理をする(ステップS10)。
すなわち制御手段15は、電源11を制御して複数値の電圧を被評価材料1に印加し、その複数値の電圧毎に被評価材料1に流れる電流を測定する。この電圧対電流特性の測定では、少なくとも10ボルト未満の印加電圧に対する電流値について測定することが好ましい。さらに、印加電圧は、正の電圧と負の電圧とを交互に被評価材料1に印加するものであって、その正の電圧及び負の電圧について絶対値を順次増大させ、その印加毎に電流を測定することが好ましい。例えば、0V,+1V,−1V,+2V,−2V,+3V,−3V…というように、印加電圧を段階的に変化させる。そして、制御手段15は、電圧対電流特性の測定結果をグラフとして表示することが好ましい。
このステップS20において、制御手段15は、非直線性の度合いが所定の基準値よりも大きい場合に、被評価材料1について静電破壊防止用材料としての評価を下げることが好ましい。そして、制御手段15は、その評価結果を表示することが好ましい。また、ステップS20において、制御手段15は、電圧対電流特性の測定結果において、印加電圧相互間の変化量とその印加電圧に対応する電流相互間の変化量との比が基準値以上に急激に変化する箇所であるブレークダウンがあるか否か判断する。換言すれば、電圧対電流特性をなす曲線の傾きの変化量(電圧対電流特性の微分値の変化量)が基準値以上である箇所があるか否か判断する。そして、ブレークダウンがあると判断したときは、被評価材料1について静電破壊防止用材料としての評価を下げることが好ましい。
この帯電量を測定する処理は、上記ステップS10又はステップS20と時間的に並列に行ってもよく、ステップS10又はステップS20の以前に行ってもよい。そして、ステップS30において、制御手段15は、帯電量が所定の基準帯電量以上であると判断したときは、被評価材料1について静電破壊防止用材料としての評価を下げることが好ましい。上記ステップS20,S30の評価結果について、制御手段15は表示手段に表示させる又はプリントアウトさせることとしてもよい。
図3から図5は、前記ステップS10で測定した3種類の被評価材料1それぞれの電圧対電流特性の例を示す図である。
図3に示す電圧対電流特性例では、横軸の電圧の単位が[V]であり、縦軸の電流の単位が[μA]と[mA]である。この電圧対電流特性には、直線に近い特性となっており、非直線性を示す箇所(ブレークダウン)はないといえる。そして、この電圧対電流特性では20[V]の変化で約1000[μA]変化するので、被評価材料1の抵抗が約20[KΩ]であることがわかる。この20[KΩ]という値は、電子機器を静電破壊から効果的に回避するトレイなどの構成材料の抵抗値としては低すぎるおそれがある。すなわち、図3に示す特性の被評価材料1は、電圧対電流特性が直線的であっても、MRヘッドなどのCDM静電破壊試験での耐性の低い電子機器に使用されるトレイなどの構成材料としては好ましくなく。
図7は、上記ステップS10における電圧対電流特性の測定処理の具体例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、正の電圧と負の電圧とを交互に被評価材料1に印加するとともに、その印加電圧の絶対値を順次増大させ、印加毎に電流を測定するものである。そして、測定電流Iが所望のプラス側の基準電流値Ia又はマイナス側の基準電圧Ibの絶対値を超えたときは、超えた側(プラス側又はマイナス側)の計測を終了することとしている。
次に、被評価材料1の測定部位による測定結果のバラツキとその対処法について、図1を参照して説明する。図1に示すように、突起形状電極14を用いて上記電圧対電流特性を測定すると、その被評価材料1における測定箇所によって、測定結果が大きく異なることがある。例えば、被評価材料の部位1aに突起形状電極14を点接触させたときと、被評価材料の部位1bに突起形状電極14を点接触させたときとでは、電流値が数10倍から数100倍も異なることがある。これが、被評価材料1における測定箇所によるバラツキである。このバラツキは、被評価材料1の抵抗を調整するための導電性物質などがその被評価材料1のなかで分散配置されていることなどで生じると考えられる。
Claims (11)
- 静電気による半導体デバイス又は電子機器の破壊を回避するために用いられる物の構成材料である被評価材料について、複数値の電圧を該被評価材料に印加して該複数値の電圧毎に該被評価材料に流れる電流を測定する電圧対電流特性の測定処理と、
前記電圧対電流特性の測定処理の結果に、非直線性を示す箇所があるか否かを判断する処理と、
前記被評価材料の帯電量を測定する処理とを有することを特徴とする静電破壊防止用材料の評価方法。 - 前記電圧対電流特性の測定は、少なくとも10ボルト未満の電圧に対する電流値について測定することを特徴とする請求項1に記載の静電破壊防止用材料の評価方法。
- 前記電圧対電流特性の測定は、正の電圧と負の電圧とを交互に前記被評価材料に印加するものであって、該印加において該正の電圧及び負の電圧について絶対値を順次増大させ、該印加毎に前記電流を測定するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電破壊防止用材料の評価方法。
- 前記電圧対電流特性の測定処理の結果における非直線性の度合いが所定の基準値よりも大きい場合は、該結果に対応する前記被評価材料について、静電破壊防止用材料としての評価を下げることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の静電破壊防止用材料の評価方法。
- 前記電圧対電流特性の測定処理の結果において、前記複数値の電圧相互間の変化量と該複数値の電圧に対応する前記電流相互の変化量との比が基準値以上に変化する箇所であるブレークダウンがあると判断したときは、該判断に対応する前記被評価材料について、静電破壊防止用材料としての評価を下げることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の静電破壊防止用材料の評価方法。
- 前記帯電量が所定の基準帯電量以上であると判断したときは、該判断に対応する前記被評価材料について、静電破壊防止用材料としての評価を下げることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の静電破壊防止用材料の評価方法。
- 前記被評価材料は、トレイ、導電マット、ピンセット、グローブ、床のいずれかの構成材料とされることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の静電破壊防止用材料の評価方法。
- 前記電圧対電流特性の測定は、前記被評価材料に対してほぼ点接触させた箇所に前記電圧を印加して前記電流を測定するものであるとともに、該測定を該被評価材料における複数の箇所について行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の静電破壊防止用材料の評価方法。
- 前記被評価材料に対する複数の箇所についての電圧対電流特性の測定での少なくとも1箇所の測定結果で、非直線性の度合いが所定の基準値よりも大きい場合は、該結果に対応する前記被評価材料について、静電破壊防止用材料としての評価を下げることを特徴とする請求項8に記載の静電破壊防止用材料の評価方法。
- 静電気による半導体デバイス又は電子機器の破壊を回避するために用いられる物の構成材料である被評価材料について評価する静電破壊防止用材料の評価装置であって、
複数値の電圧を該被評価材料に印加する電圧印加手段と、
前記複数値の電圧の印加毎に前記被評価材料に流れる電流を測定する電流測定手段と、
前記複数値の電圧に対する前記電流の値である電圧対電流特性において、非直線性を示す箇所があるか否かを判断する非直線性判断手段と、
前記被評価材料の帯電量を測定する帯電量測定手段とを有することを特徴とする静電破壊防止用材料の評価装置。 - 前記電圧印加手段は、前記被評価材料にほぼ点接触して前記電圧を印加する突起形状電極を有することを特徴とする請求項10に記載の静電破壊防止用材料の評価装置。
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