JP2850220B2 - 窯業用転写紙の製造方法 - Google Patents

窯業用転写紙の製造方法

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JP2850220B2 JP10347096A JP10347096A JP2850220B2 JP 2850220 B2 JP2850220 B2 JP 2850220B2 JP 10347096 A JP10347096 A JP 10347096A JP 10347096 A JP10347096 A JP 10347096A JP 2850220 B2 JP2850220 B2 JP 2850220B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陶磁器、ガラス、
ホウロウ等のセラミックス製品の表面に絵付けを施すた
めの窯業用転写紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の窯業用転写紙としては、例えば、
吸水性紙または吸水性紙の上面にコート層を設けたもの
を原紙に用い、この原紙の上面に遅水溶性再湿糊料層と
速水溶性再湿糊料層を順次に形成すると共に、原紙の下
面にカール、ブロッキング防止層を形成して転写用台紙
を構成し、この転写用台紙の上面に絵柄層及び絵柄層の
支持フィルム(担体)を順次に設けて構成した窯業用ス
ライド式水貼転写紙が知られている。
【0003】また、その他の例として、例えば、上質紙
の上面にポリエチレンラミネート層及びブチラール樹脂
層を順次に形成して転写用台紙を構成し、この転写用台
紙の上面に絵柄層を印刷して構成した窯業用アルコール
貼転写紙が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】而して、上記従来例中
の前者の窯業用スライド式水貼転写紙の場合は、転写用
台紙の基材として吸水性紙を用いているため、次のよう
な問題点がある。
【0005】原紙抄造時の問題点 (1) パルプ結合剤等の吸水を妨げる薬剤類は一切使
用できないため、紙切れ、水分むら、地合むら等を生じ
易く、製紙としては非常に困難な特殊紙となっている。 (2) パルプ繊維の絡みのみで抄造しているため古紙
が使用できず、貴重な針葉樹等のバージンパルプが使用
されている関係から、貴重な天然資源の無駄づかいとな
っている。 (3) コート剤等の表面改良剤が紙に含浸してしまう
ので、抄造時にサイズプレス・ゲートロールでのコーテ
ィングが非常に困難であって、表面平滑度が上げられ
ず、オンマシンでの紙質向上ができない。
【0006】加工時の問題点 吸水性の原紙に水溶性糊料を塗布しているため、下糊 5
000cps以上の高粘度にしなければ糊料が紙に含浸してし
まって糊層を形成できない関係から糊料が澱粉系に限定
され、塗布後の表面が粗く、また、カールの発生問題を
生じると共に、コーティング方法も限定される。
【0007】印刷時の問題点 (1) 吸水紙の上面に吸湿性の良い糊料が塗布してあ
るため、印刷室の湿度に非常に敏感であり、伸縮・カー
ル発生等の問題が多い。 (2) 焼成用の場合、無機顔料を使用するため、重ね
刷りができず、平均10〜20版を要するので刷り上が
る迄日数が掛かり、湿度変化に触れる期間が長く、伸縮
による印刷不良の問題を生じる。 (3) 主にスクリーン印刷を行うため、インクが遅乾
性溶剤(沸点160℃以上)を使用している関係から乾
燥ラインが20〜25mと長く、熱風で強制乾燥させる
と転写用紙がカール・伸縮して印刷不良となり、上糊が
ひび割れを起こして転写時のスライドが不良となる。 (4) 印刷室の温・湿度を厳密にコントロールする必
要が有って、加湿・除湿を繰り返す大型の空調機を使用
するので、ランニングコストが高くかかる。
【0008】その他の問題点 (1) 印刷後に鋏で絵柄部分をカットして使用してい
るが、転写用紙が厚いため、一度に2〜3枚しかカット
出来ない。 (2) 重量が相対的に大きいため、輸送その他の取扱
いが困難である。 (3) 一度しか使用できないため、森林資源の多大な
無駄であり、とりわけ高級パルプを使用しているにも拘
らず再生できずに、現状では全て焼却処分されていて、
その不経済性は甚大である。
【0009】また、上記従来例中の後者の窯業用アルコ
ール転写紙の場合は、次のような問題点がある。 (1) 絵柄を形成するインキ用の樹脂溶解液が、転写
用台紙のブチラール樹脂層を溶かすため、石油系溶剤の
使用が制限されてアルキッド樹脂系のものしか使用でき
ない問題があり、また、ブチラール樹脂層が被転写体で
ある陶磁器等の面と顔料との間に存在することになるた
め、高級品用の金・銀・白金等の顔料による華飾に適さ
ず、光沢や鮮明度も悪い。 (2) アルコール溶着のため、転写の位置決めが困難
であると共に、置き直しが困難である。 (3) ブチラール樹脂層は柔軟性がないため、三次元
表面を備えた被転写体に対する転写が困難であって、高
級品には使用できない。 (4) 全面フィルムであるため、各絵柄ごとにカット
しなければならない。
【0010】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
ることを課題として研究開発されたもので、湿度変化に
影響されることなく、伸縮性が無く平滑性も非常によい
ため、極めて鮮明な印刷が可能であって、陶磁器類の高
級品化及び品質向上に寄与し得ると共に、経済的であり
且つ森林資源の保護に大きく寄与できる等の特長を有す
る窯業用転写紙の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決し、そ
の目的を達成する手段として、本発明は、少なくとも表
面をプラスチックフィルムで構成した湿度に対して伸縮
性の少ない台紙の表面に、剥離促進剤層を介在させて絵
柄層を印刷形成し、該絵柄層の表面に、水溶性と熱溶融
性を備えた分離剤層を介在させて対湿潤強度性のある吸
水性薄葉紙を当接し、加熱加圧処理を施して上記台紙の
表面から該吸水性薄葉紙に上記絵柄層を転移して製造す
ることを特徴とする窯業用転写紙の製造方法を提供する
ものである。
【0012】また、本発明は、上記のように構成した窯
業用転写紙の製造方法において、絵柄層と分離剤層との
間に該絵柄層を保護し、接着性を高めるための坦体剤層
が設けられている窯業用転写紙の製造方法、及び絵柄層
と剥離促進剤層との間に該絵柄層を保護し、接着性を高
めるための坦体剤層が設けられている窯業用転写紙の製
造方法並びに糊引機により分離剤層を形成した窯業用転
写紙の製造方法をそれぞれ提供するものである。
【0013】
【発明の実施例】以下に、本発明の好適な実施例のいく
つかを添付図面を参照にして説明する。
【0014】(実施例1)図1に示すように、厚さ100
μmのポリエステルフィルム1の上面に、下記組成の剥
離促進剤をロールコーターにより13g/m2塗布して、
樹脂量1.8g/m2の剥離促進剤層2を形成し、その上面
に市販の窯業用無機顔料及び窯業用金ペーストを用い
て、300メッシュ版を使用してシルクスクリーン印刷に
て絵柄層3を形成し、さらに、その上に絵柄支持のため
にオーバープリントラッカー(O.P.L.)として使
用する下記組成の担体剤を絵柄層3の全体に70メッシ
ュ版でシルクスクリーン印刷をして、厚さ8μの担体剤
層4を設けた、絵柄層3を有する印刷済転写台紙Dを作
成した。次に、この印刷済転写台紙Dの担体剤層4の上
面に、下記組成の分離剤を樹脂量2.6g/m2で上記担体
剤層4の形成時に使用したのと同じ版にてシルクスクリ
ーン印刷して分離剤層5を形成し、さらに、その上面に
吸水性薄葉紙6(19g/m2)をあて、熱プレス機を用
いて90℃にて5秒間加熱圧着した。然る後、吸水性薄
葉紙6を剥がしたところ、軽く、綺麗に図1のラインL
(ポリエステルフイルム1と剥離促進剤層2の間)の個
所より剥離され、剥離促進剤層2、絵柄層3及び担体剤
層4は分離剤層5を媒体として吸水性薄葉紙6側に移行
し、薄葉の窯業用転写紙Eが出来上がった。
【0015】剥離促進剤の組成 水溶性熱溶融接着剤エコマイティHM−501 14.0重量
%、デイアセトンアルコール(DAA) 24.0重量%、
テルペン系溶剤 8.0重量%、界面活性剤 6.3重量%、水
47.7重量%の組成の溶解混合液 なお、上記各成分の実施可能な数値の範囲は次のとおり
である。水溶性熱溶融接着剤エコマイティHM−501 7.
0〜18.0重量%、デイアセトンアルコール(DAA) 1
2.0〜27.7重量%、D−ディモネン 6.0〜14.0重量%、
界面活性剤エマルゲン123P 4.5〜11.5重量%、水 70.5
〜28.8重量%
【0016】O.P.L.担体剤の組成 メタアクリル酸共重合高分子 40.0重量%、非シリコン
系消泡剤 1.5重量%、高沸点ナフサ 54.0重量%、可塑
剤 4.5重量%の組成の溶解混合液 なお、上記各成分の実施可能な数値の範囲は次のとおり
である。メタアクリル酸共重合高分子 35.0〜40.0重量
%、非シリコン系消泡剤 0.28〜1.50重量%、高沸点ナ
フサ 60.82〜54.00重量%、可塑剤 3.9〜4.5重量%
【0017】分離剤の組成 ポリビニルピロリドン(PVP) 12.5重量%、ポリエ
チレングリコール(PEG♯4000) 0.5重量%、ブ
チルセロソルブ 45.0重量%、イソプロピルアルコール
(IPA) 18.0重量%、非シリコン系消泡剤 0.02重量
%、水 23.98重量%の組成の溶解混合液 なお、上記各成分の実施可能な数値の範囲は次のとおり
である。ポリビニルピロリドン(PVP) 8.0〜14.0重
量%、ポリエチレングリコール(PEG♯4000)
0.4〜1.1重量%、ブチルセロソルブ 24.0〜45.0重量
%、イソプロピルアルコール(IPA) 11.5〜18.0重
量%、非シリコン系消泡剤 0.01〜0.10重量%、水 56.0
9〜23.00重量%
【0018】使用方法 上記の薄葉の窯業用転写紙Eは、図1に示すように、水
中に40秒浸漬させ、矢印Aで示すように、該剥離促進
剤層2の下面を被転写体である磁器Cの表面に貼着し、
吸水性薄葉紙6をスライドさせたところ、分離層5は溶
解しているため、絵柄層3と担体剤層4を磁器Cの表面
へ残したまま、綺麗に分離、除去でき、絵柄層3を転写
したい位置にスライドさせて、ゴムヘラにて絵柄層3と
磁器面Cの間の気泡・水分を除去して良く密着させた
後、乾燥のため一昼夜常温にて放置し、830℃にて焼
成したところ、絵柄面の艶も良く何ら問題無く仕上がっ
た。
【0019】(実施例2)図2に示すように、吸水性薄
葉紙6に下記組成の分離剤を巻取式糊引機(グラビアコ
ータ)にて22.5g/m2(樹脂量2.8g/m2)を塗布し
て、分離剤層5を設けた吸水性薄葉紙6を作成し、分離
剤層5の面を実施例1で作成したものと同一の印刷済転
写台紙Dの担体剤層4の面にあて、後は、実施例1と同
様に熱プレス機を用い、90℃にて5秒間加熱加圧し、
吸水性薄葉紙6を剥がしたところ、軽く、綺麗に図2の
ラインL(ポリエステルフイルム1と剥離促進剤層2の
間)の個所より剥離され、剥離促進剤層2、絵柄層3及
び担体剤層4は分離剤層5を媒体として吸水性薄葉紙6
側に移行して薄葉の窯業用転写紙Eが出来上がった。
【0020】分離剤の組成 ポリビニルピロリドン(PVP) 12.5重量%、ポリエ
チレングリコール(PEG♯4000) 0.5重量%、メ
チルアルコール 10.0重量%、非シリコン系消泡剤 0.02
重量%、水 76.98重量%の組成の溶解混合液 なお、上記各成分の実施可能な数値の範囲は次のとおり
である。ポリビニルピロリドン(PVP) 8.0〜14.0重
量%、ポリエチレングリコール(PEG♯4000)
0.4〜1.1重量%、メチルアルコール 6.7〜16.8重量%、
非シリコン系消泡剤 0.01〜0.10重量%、水 84.89〜32.
00重量%
【0021】使用方法 実施例1と同じ
【0022】(実施例3)図3に示すように、実施例1
で作成したものと同一の印刷済転写台紙Dに実施例2で
使用したものと同一組成の分離剤を平版式糊引機(ロー
ルコーター)にて20g/m2(樹脂量2.5g/m2)を塗
布したのち、吸水性薄葉紙6を分離剤層5の面にあて、
後は実施例1と同様に熱プレス機を用い90℃にて5秒
間加熱加圧した。吸水性薄葉紙6を剥がしたところ、軽
く、綺麗に図3のラインL(ポリエステルフィルム1と
剥離促進剤層2の間)の個所より剥離され、剥離促進剤
層2、絵柄層3及び担体剤層4は分離剤層5を媒体とし
て吸水性薄葉紙6側に移行し薄葉転写紙Eが出来上がっ
た。
【0023】使用方法 実施例1と同じ
【0024】上記の実施例1〜3の結果から明らかなよ
うに、分離剤層5は、担体剤層4側へスクリーン印刷し
ても、或は塗布しても、若しくは吸水性薄葉紙6へあら
かじめ塗布しても、その結果は総て同様に良好である事
が判ったが、吸水性薄葉紙6に塗布する場合は、分離剤
が吸水性薄葉紙6に少し含浸する分(樹脂量1.5〜2.0g
/m2)だけ塗布量を多くする必要の有る事が判明し
た。
【0025】また、実施例1〜3の使用済みポリエステ
ルフィルム1を洗浄後、再度薄く剥離促進剤層2を形成
した後、実施例1と同様に印刷済転写台紙Dを作成した
ところ、10回繰り返して使っても何ら問題無く使用出
来、転写台紙Dのポリエステルフィルム1は繰り返し再
利用出来る事を確認した。
【0026】(実施例4)図4に示すように、放電加工
により表面を荒くしたポリエステルフィルム1の該荒面
1aに、下記組成の剥離促進剤を巻取式糊引機により塗
布(樹脂量0.8g/m2)し、150℃にて80秒熱硬化
させた剥離促進剤層2を形設した剥離性転写台紙Gを作
成し、実施例1と同様に絵柄層3、実施例1で使用した
ものと同一組成の担体剤層4及び分離剤層5を順次に形
成した後、この分離剤層5の上面に吸水性薄葉紙6を5
秒間加熱圧着し、然る後に吸水性薄葉紙6を剥がしたと
ころ、軽く、綺麗に図4のラインL(剥離促進剤層2と
絵柄層3の間)の個所より剥離され、絵柄層3及び担体
剤層4は分離剤層5を媒体として吸水性薄葉紙6側に移
行し、薄葉の窯業用転写紙Eが出来上がった。
【0027】剥離促進剤の組成 離型紙用シリコーン 26.0重量%、非離型性シリコーン
10.0重量%、架橋剤CAT 0.11重量%、トルオール 6
3.89重量%の組成の混合液 なお、上記各成分の実施可能な数値の範囲は次のとおり
である。離型紙用シリコーン(20%) 16.0〜10.18重量
%、非離型性シリコーン(45%)1.78〜4.36重量%、架橋
剤CAT 0.71〜0.58重量%、トルオール 81.51〜84.88
重量%
【0028】使用方法 実施例1と同じ
【0029】使用結果 剥離促進剤層2はポリエステルフィルム1の側に残って
おり、転写台紙Gを10回繰り返し使用したが問題は無
く、使用の都度、洗浄及び分離剤を塗布する必要が無く
再利用出来る事を確認した。また、印刷インキのメジュ
ウム組成により下記のように印刷性・剥離性の良い比率
を選ぶ必要がある。 ・離型紙用シリコーン 90 80 70 ・非離型紙用シリコーン 10 20 30 …………………………………………………………………… ・印刷性 △ ○ ◎ ・剥離性 ◎ ○ △
【0030】(実施例5)図5に示すように、ポリエス
テルフィルム1の上面に、剥離促進剤として、下記組成
のワックスを熱溶融させながら巻取式糊引機によりワッ
クス量3.0g/m2を塗布して剥離促進剤層2を形成した
転写台紙Hを作成し、実施例1と同様に絵柄層3、実施
例1で使用したものと同じ組成の担体剤層4及び分離剤
層5を順次に設けた後、吸水性薄葉紙6を加熱圧着さ
せ、この吸水性薄葉紙6を剥がしたところ、図5のライ
ンL(ポリエステルフィルム1と剥離促進剤層2の間)
の個所より綺麗に剥離され、剥離促進剤層2、絵柄層3
及び担体剤層4は分離剤層5を媒体として吸水性薄葉紙
6側に移行し、薄葉の窯業用転写紙Eが出来上がった。
【0031】剥離促進剤の組成 ロジンエステルワックス 85.0重量%、シェラックワッ
クス 15.0重量%の組成の熱溶融ワックス なお、上記各成分の実施可能な数値の範囲は次のとおり
である。ロジンエステルワックス 75.0〜90.0重量%、
シェラックワックス 10.0〜25.0重量%
【0032】使用方法 この実施例による薄葉の窯業用転写紙Eは、図5に矢印
Aで示すように、タイルCに剥離促進剤層2の面をあ
て、温度80℃、圧力200g/cm2、時間60秒の条件
で加熱加圧してタイルCと剥離促進剤層2とを接着させ
た後、吸水性薄葉紙6の裏面より十分水を含浸させ、分
離剤層5が溶解してから吸水性薄葉紙6を剥がしたとこ
ろ、絵柄層3は綺麗にタイルC側に転写され、そのタイ
ルCを780℃にて焼成したところ、絵柄面の艶も良く
何ら問題無く仕上がった。
【0033】(実施例6)図6に示すように、実施例1
と同様に、厚さ100μmのポリエステルフィルム1の
上面に、実施例1と同一組成の剥離促進剤を同一条件下
で塗布して、同一樹脂量の剥離促進剤層2を形成し、そ
の上面に実施例1と同一組成の担体剤を同一条件下でシ
ルクスクリーン印刷して、同一厚さの担体剤層4を形成
し、さらに、その上に実施例1と同一条件下で絵柄層3
を印刷して印刷済転写台紙Dを作成した。次に、実施例
2と同一組成の分離剤を同一条件下で吸水性薄葉紙6の
下面に塗布して、分離剤層5を設けた吸水性薄葉紙6を
作成し、その分離剤層5の面を上記転写台紙Dの絵柄層
3の面にあて、後は、実施例2と同一条件下で加熱加圧
したところ、軽く、綺麗に図6のラインL(ポリエステ
ルフィルム1と剥離促進剤層2の間)の個所から剥離さ
れ、絵柄層3、担体剤層4及び剥離促進剤層2は分離剤
層5を媒体として吸水性薄葉紙6側に移行して薄葉の窯
業用転写紙Eが出来上った。
【0034】使用方法 上記の薄葉転写紙Eを、水中に約40秒間浸漬させた
後、吸水性薄葉紙6の表面を被転写体である磁器Cの表
面に貼着して、該吸水性薄葉紙6をスライドさせたとこ
ろ、分離剤層5は溶解しているため、絵柄層3と担体剤
層4を磁器Cの表面に残したまま、該吸水性薄葉紙6を
綺麗に分離、除去できた。なお、絵柄層3と担体剤層4
を、磁器Cの転写したい位置にスライドさせて、ゴムヘ
ラで絵柄層3と磁器Cの間の気泡・水分を除去し、乾燥
のために一昼夜常温にて放置した後、830℃にて焼成
したところ、絵柄面の艶も良く、何らの問題もなく仕上
った。
【0035】使用結果 前記実施例1〜6の結果により、分離剤の条件として、
水溶性で灰分が少なく、且つ480℃以内で消滅し、8
0〜100℃で熱溶融する樹脂若しくは混合品であれば
総て使用できることを解明し得た。
【0036】本発明のポリエステルフィルム1と従来の
転写用紙との比較 (伸縮性) 試験器: 本州製紙(株)製 全自動HK式伸縮試験器 試験方法: 恒温にて各湿度環境中、55%より80%
迄、各湿度中30分放置後の数値 数値の単位: mm/m
【0037】表面の面差度(表面粗さ) 試験器: (株)ミツトヨ製 サーフテスト201 試験方法: 触針法(12.5mm) 数値の単位: ミクロン
【0038】以上、本発明の主要な実施例を説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発
明の目的を達成でき且つ発明の要旨を逸脱しない範囲内
で種々の変更が可能であることは当然である。
【0039】
【発明の効果】本発明は、少なくとも表面をプラスチッ
クフィルムで構成した湿度に対して伸縮性の少ない台紙
の表面に、剥離促進剤層を介在させて絵柄層を印刷形成
し、該絵柄層の表面に、水溶性と熱溶融性を備えた分離
剤層を介在させて対湿潤強度性のある吸水性薄葉紙を当
接し、加熱加圧処理を施して上記台紙の表面から該吸水
性薄葉紙に上記絵柄層を転移して製造することを特徴と
する窯業用転写紙の製造方法に係わるものであって、上
記のようにして使用するものであるから、次の優れた諸
効果を奏する。
【0040】1. 絵柄層の形成時に台紙として使用さ
れるプラスチックフィルム(表面にプラスチックをラミ
ネート加工した紙を含む)は薄葉紙に絵柄層を転移した
後に、反覆使用出来る経済的利点があると共に、プラス
チックフィルムを使用する事により、温、湿度の変化に
よる伸縮、反り(カール)が非常に減少し、空調が楽に
なり、且つ絵柄形成時の印刷精度が大変良くなる。
【0041】2. 分離剤層の使用により、従来不可能
であったアクリル樹脂系のインキを用いた絵柄層を形成
できるので、転写紙の貼付時にスライドによる位置合わ
せ、伸展圧着による複曲面(三次元面)への転写を正確
に出来る。
【0042】3. 薄葉紙に絵柄層を転移させる事によ
り、プラスチックフィルムの反覆使用を可能にするだけ
でなく下記の利点を生じる。 (1) 分離剤層に水溶性を持たせ、吸水性を備えた薄
葉紙を用いると、 (イ) 水分を含んだスポンジの上に転写紙を乗せて分離
剤層を溶かした後に絵柄層を取り出して貼りつける方法 (ロ) 浸潤した薄葉紙を被転写体の表面に乗せ、絵柄層
を滑らせて貼りつける方法(水貼りスライド方式) (ハ) 絵柄層が被転写物の表面に直接、接触するように
乗せ、水を与えて薄葉紙を透し、分離剤層を溶かして薄
葉紙を除去する方法 上記の各方法を、絵柄層の大きさ、形状等により、或い
はさらに被転写体の大きさ、形状により自由に選択出
来、絵付工程の効率化が計かれる。
【0043】(2) また、薄葉紙に絵柄層を転移して
製造した転写紙は、裏面から絵柄層を透視出来るから、
裏返して貼付けする場合の位置ぎめに支障を生じない。
【0044】(3) さらに、薄葉紙に絵柄層を転移し
て製造した転写紙は、重量が著しく軽減されるから取扱
いが容易であると共に、輸送コスト(特に航空貨物によ
る海外輸出の場合)を大幅に低減できる。
【0045】(4) また、従来の転写紙は保管中の転
写紙同志の感圧付着を防止するために、合紙を挾む必要
があり、これを殆ど手作業で行っていたが、薄葉紙に転
移した転写紙は合紙不要で、しかも機械化作業により薄
葉紙に転移出来るので、作業工程の合理化、省力化に大
いに寄与出来る。
【0046】(5) さらに、従来、転写紙の製造にお
いて、原価の大巾な割合を占めると共に、一回限りで使
い捨てされていた台紙を無くし得るので、費用を著しく
節約できるのみでなく、紙資源(特に良質の紙パルプ)の
節約による社会的利益への貢献度は計り知れない程大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例1により製造された窯業
用転写紙の拡大断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例2により製造された窯業
用転写紙の拡大断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例3により製造された窯業
用転写紙の拡大断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例4により製造された窯業
用転写紙の拡大断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例5により製造された窯業
用転写紙の拡大断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例6により製造された窯業
用転写紙の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ポリエステルフィルム 2 剥離促進剤層 3 絵柄層 4 担体剤層 5 分離剤層 6 吸水性薄葉紙 C 磁器(被転写体) D 印刷済転写台紙 E 薄葉の窯業用転写紙 L 剥離ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−300896(JP,A) 特開 平5−24395(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B44C 1/165 - 1/175 C04B 41/86

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面をプラスチックフィルム
    で構成した湿度に対して伸縮性の少ない台紙の表面に、
    剥離促進剤層を介在させて絵柄層を印刷形成し、該絵柄
    層の表面に、水溶性と熱溶融性を備えた分離剤層を介在
    させて対湿潤強度性のある吸水性薄葉紙を当接し、加熱
    加圧処理を施して上記台紙の表面から該吸水性薄葉紙に
    上記絵柄層を転移して製造することを特徴とする窯業用
    転写紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 絵柄層と分離剤層との間に該絵柄層を保
    護し、接着性を高めるための坦体剤層が設けられている
    請求項1に記載の窯業用転写紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 絵柄層と剥離促進剤層との間に該絵柄層
    を保護し、接着性を高めるための坦体剤層が設けられて
    いる請求項1に記載の窯業用転写紙の製造方法。
  4. 【請求項4】 糊引機により分離剤層を形成した請求項
    1に記載の窯業用転写紙の製造方法。
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