JP2848699B2 - 食物および飼料 - Google Patents

食物および飼料

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Description

【発明の詳細な説明】 技術的分野 本発明はヒトおよび動物用のケト酸を含む食物および
飼料に関する。
本発明の目的は、タンパク質含有量が低下しているが
タンパク質生成およびエネルギー供給物質を入手するた
めの動物の要求を依然として満たす食物および飼料を得
ることにある。さらに、その飼料は非必須アミノ酸から
誘導される生体分子を入手するという要求を満たすであ
ろう。本発明は更に生物からの窒素の排出を減少するこ
とを目ざすものである。
発明の背景 水性食肉類、例えばサケ、および陸上に基礎を置く食
肉類、例えばミンクは、30〜55%のタンパク質(90%D
S)からなる食餌で、天然の条件のもとに生きているこ
とはよく知られている。食物の選択は生きている時期お
よび種に依存している。非常に大量のこのタンパク質は
エネルギー供給化合物、例えばATP(アデノシン三リン
酸)を生成するように酸化され、これが環境への窒素の
排出を生じる。例えば魚およびミンクの激しい養殖でこ
のことは環境上の問題をひき起こす。
自然の状態にいる雑食動物は15〜30%のタンパク質か
らなる食餌(90%DS)で生きている。ある状態の間この
タンパク質はエネルギーを供給するために使用される。
身体の最もエネルギーを要求する組織は筋肉であり、
それは血液経由で直接にまたは血液経由で肝臓からグル
コースの形で食物からその炭水化物エネルギーを得てい
る。グルコースはとりわけ筋肉のタンパク質の脱成分
(decomponent)によって肝臓で生成される。このよう
にグルコースを生成する化合物は実質的にアラニンおよ
びその対応するケト酸である。ある必須アミノ酸の対応
するケト酸、例えばα−ケトイソカプロエート(KIC)
は、アミノ酸の前駆物質、例えばロイシンのKICであり
うることをも示されてきた。
α−ケトイソカプロエート(KIC)を卵に添加するこ
とは卵の量を増大して生産される卵の品質を改良する雌
鳥を産み出し、ミルクに添加することはミルクの量を増
大して生産されるミルクの品質を改良する家畜を産み出
すことがヨーロッパ特許公開第237,061号および同第23
7,959号により従前知られていた。それによればKICの飼
料組成物の乾燥重量に基づて計算して0.01〜2重量%、
好ましくは0.05〜1.5重量%の量が添加される。KIFはア
ミノ酸から生成されるケト酸の唯一のケト原子ケト酸で
ある。
米国特許第4,548,937号および同第4,645,764号から治
療的に有効量のピルビン酸塩ヒトおよび動物に投与する
ことが知られている。この化合物の投与で体重が減少
し、脂肪の堆積が減少し、肝臓のグルコーゲンの量が増
大する。これらの特許のいずれも食物タンパク質の効率
の増大を開示していなかった。
米国特許第4,361,570号から過乳酸血症を治療するた
めに餌料にピリドキシン−α−ケトグルタレート(PA
K)を添加すること、それによってPAKはピリドキシとα
−ケトグルタレートの間の抱合体であることが以前に知
られている。この分子は遊離α−ケトグルタレートと化
学的に匹敵することができない。
タンパク質の合成に使用されないアミノ酸は生物内に
貯蔵することができない。それらはその後主に脂肪にま
たはケト酸経由で炭水化物に再生される。これらの両方
の巨大分子はエネルギー代謝に関与することができる。
肝臓と筋肉の間の代謝的相互作用(第1図参照)はアミ
ノ酸からの炭素物質の重要さを示す。KICはアミノ酸か
ら生成されるケト酸の唯一の純粋なケト原性ケト酸であ
る。α−ケトグルタレート(KG)およびピルビン酸塩は
糖源性ケト酸として分類される。後者のケト酸は前記の
相互作用において中心的位置を有する。KICの異化作用
は第2図から図式的に明白である。第3図においていろ
いろなアミノ酸とクエン酸サイクルのそれらの代謝生成
物の間のつながりが示されている。
KGは次の文によって例示される代謝の重要な部分であ
る: (i)NH4 +は反応NH4 ++KG+NADPHグルタメート+NADP+
+H2Oによってアミノ酸に結合される。
グルタメートはたいていの非必須アミノ酸の合成におい
てαアミノ基を供給する; (ii)非必須アミノ酸の合成において与えられる炭素骨
格はすべてグリコーリシス、ペントース・−リン酸シャ
ントまたはクエン酸サイクルの中間体であり、それによ
ってピルベートまたはKGから誘導することができる(第
5図参照) (iii)生理的ストレス、過大なエネルギードラフト、
製造条件および他の低エネルギー情況で、アミノ酸の酸
化は出発過程に属するアミノレセプターとしてKGまたは
PYによる脱アミノ化を増大させる(第6図参照); (iv)コラーゲンの合成でKGはプロリンのヒドロキシル
化に不可欠である。
ピルベートは代謝の中心であり(第4図参照)、そこで
は次の段階をはっきり認めることができる: (i)好気性条件の間じゅうNAD+によるグリコーリシス
を与えるためラクテートの生成; (ii)クエン酸サイクル中の脂肪酸の合成または消化の
ためのアセチル−CoAの生成; (iii)高濃度のアセチル−CoAはオキサロアセテートの
生成を増加させ、それは中間体[低濃度のATP(アデノ
シン三リン酸)で]によるクエン酸サイクルを与えるか
または糖新生(高ATP濃度で)において基質になる; (iv)糖新生においてピルベートは多分NADPHが生成さ
れる(幾つかの同化過程、すなわち非必須アミノ酸の合
成において不可欠な)ペントースーリン酸シャフトおよ
びヌクレオチドの合成における基質であるリボース−5
−リン酸に貢献する; (v)ピルベートが炭素骨格と共に貢献する他の非必須
アミノ酸と同様アラニンの生成。
発明の記述 今や驚くべきことに、本発明によって、タンパク質の
生成を維持しながら、食物と餌料のタンパク質の一部を
置き換えることによって動物およびヒトからの窒素の排
出を減少させることができることが示された。本発明
は、入って来るタンパク質をαケトグルタル酸;αケト
グルタル酸とピリビン酸の組合せ;オキサロアセテー
ト、またはオキサロアセテートとαケトグルタル酸もし
くはピルビン酸塩もしくは式R−CO−COOX(ただし、R
は非必須アミノ酸の一部を示し、そしてXは水素、アル
カリ金属、アルカリ土類金属または有機塩基またはこれ
らの非毒性前駆物質もしくは中間体を示す)に従う別の
ケト酸との組合せによって置き換えられることが特徴で
ある。
上記ケト酸は一般に式R−CO−COOXによって示すこと
ができ、式中、Rは必須アミノ酸の一部を示し、そして
Xは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属または有機
塩基または前記ケト酸の非毒性前記物質もしくは中間体
である。これらのケト酸は入って来るタンパク質の乾燥
物の1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で存在
する。
それ以外の特徴は添付の請求の範囲から明白になるで
あろう。
投与は食肉類、雑食動物および草食動物に適用できる
場合に、窒素の排出を減少させしかもまたタンパク質節
約効果を達成することを可能とする。
このように本発明によって非必須アミノ酸のケト酸の
形の基質がこれらのアミノ酸から誘導されるタンパク質
または他の生体分子の生成のために供給される。細胞の
ミトコンドリア中の好気性状態の間じゅう代謝可能なケ
ト酸はエネルギーを供給および減少する化合物を作る。
これらの両方の型の化合物は活性な生命現象に不可欠で
ある。ミリコンドリア中で中間体がケト酸、すなわちス
クシニル−CoAの代謝の間に生成される。スクシニル−C
oAはヘモグロビンおよびミオグロビン中のポリフィリン
分子の合成で与えられる。ケト酸が生物に加えられたと
き、生物はタンパク質の生成以外の目的のために、アミ
ノ酸を使用する代わりに非必須アミノ酸のケト酸を使用
することができるので、タンパク質節約効果が得られ
る。それによって添加されたタンパク質の効率が増大す
る。上記のケト酸の1種、KGはNH4 +の結合において、ま
たはその後の非必須アミノ酸の合成において中心位置を
占める。非必須アミノ酸の色々なケト酸は、脱アミノ化
の必要が全く起らなくて生物からのエネルギーを要求す
る排出を減少するのでアミノ酸そのものよりも効果的な
基質である。以下の実施例1から明白なように、稚魚が
ケト酸を10%補われた飼料を得た場合、窒素の排出を20
%以上減少する。
本発明はまた異化作用の場合、例えばやけど損傷のよ
うな大きな外傷の場合や腎臓障害の場合でも非経口栄養
物供与のために使用することもできる。
魚が主にその筋肉タンパク質を利用する生殖段階の間
に、代わりに添加されたケト酸、例えばピルビン酸塩、
場合によってはKGと組合せたピルビン酸塩を利用するこ
とができる。その方法でさもなければ大きな筋肉タンパ
ク質の損失を減少することができる。更に、窒素の排出
が減少される。
本発明は次に実施例を参照して更に詳細に記述される
が、これに限定されるものではない。
実施例 1 成長試験 サケの1夏の稚魚に対し一部は非常に若いサケを対象
とした対照飼料を、一部は対照飼料と同じ原料を基準に
して更に5%のピルビン酸Na塩および5%αケトグルタ
ル酸(KG)を含み、それによって対照飼料中に存在する
魚粉の形タンパク質の10%がケト酸によって置き換えら
れた本発明に係る飼料を5週間給餌した。試験は1つの
桶の中の500匹の稚魚が対照飼料を得る一方別の桶の中
の500匹の稚魚が本発明に係る飼料を得るような方法で
行った。サケの稚魚は試験の開始時におのおの約4gの平
均重量があった。成長、窒素排出、全分析およびタンパ
ク質分析を行った。稚魚の巨視的研究もまた行った。
このように試験飼料のケト酸は飼料の10%およびアミ
ノ酸の置換率20%であり、従って約16%窒素含量が減少
した。飼料および魚のアミノ酸分析は公定EEC−法に従
って行なった。
結果は各50匹の稚魚に基づく3回の分析の平均値であ
る。グループ間の相違は顕著でなかった。
窒素排出試験 窒素の排出を測定するために各グループの10匹の稚魚
を酸素を入れた水を満たした密閉桶の中で生き長らえさ
せた。稚魚はこの環境中で90分間生存した後殺し、秤量
して解剖した。すべての稚魚の胃と腸は飼料で十分満た
されていた。NH3およびNH4の排出は給餌、殺魚および最
終サンプリングの時間差が均一であるような方法で2つ
の桶からの水のサンプルについて分析した。アンモニア
はパーソン(Parson)等の海水分析の化学的および生物
学的方法のマニュアル、Pergamon Press出版、15〜16頁
(ISBN−0−08−030288−2)に従って分析した。初期
生育試験の最終試験としての試験を魚が約20週の年令の
時を行った。対照と試験グループの間の死亡数の相違は
試験期間中全く認められなかった。
試験結果 試験グループ間の窒素の排出の相違は28%であり、学
生t−試験に従う統計的有意はn=20,P0.01であっ
た。
稚魚の巨視的分析 稚魚の解剖は肝臓の状態、内臓脂肪の胃−腸充満およ
び蓄積に関してグループ間に全く相違を示さなかった。
対照グループの稚魚は試験の当初に3.40gの平均体
重、試験の終了時に3.95gの平均体重があったが、本発
明に係る飼料を給飼したグループは試験の当初に3.56g
の平均体重、試験の終了時に4.11gの平均体重があっ
た。このように成長は等しかった。
実施例 2 穀物、他の炭水化物、魚タンパク質、脂肪、ミネラ
ル、およびビタミンからなる対照飼料のEggum(Eggum,
B.O.;ラットと豚におけるタンパク質利用に影響するあ
る因子の研究、National institute of Animal Science
(1937),P406)による最近脈の見えたラットを使用す
る試験において、0.6重量%のピルビン酸と0.8重量%の
α−ケトグルタレートを、1.4重量%の魚タンパク質に
置き換え、そして魚タンパク質の含量減少によって表わ
れる脂肪含量の相違を埋め合わせるために0.15重量%大
豆油を添加した試験飼料を対照飼料と比較して、次の結
果を得た: 飼料の全体の量(g DS)が2グループの動物で等しい
ような方法で行った試験は、対照餌料中のタンパク質の
1.4重量%がケト酸によって置き換えられたという事実
にもかかわらず成長の有意差を全く示さなかった。
それ自身のタンパク質を高めるために加えられたタン
パク質を動物が利用する確率を示す正味タンパク質利用
率は、表1から明らかなように、試験グループの良好な
生物価(BV)に主に依存して有意差を示した。タンパク
質向上効果は、この場合には、α−ケトグルタレートと
ピルビン酸塩の組合せの添加によって説明される。
肝臓、腎臓、および他の内臓の腰巨視的研究は動物の
グループ間に全く相違を示さなかった。
上記に従ってタンパク質の大きな部分をケト酸によっ
て置き換えられた本発明に係る飼料の組成においては、
塩の量は電解質の障害を避けるために制限されるべきで
ある。このようにカリウム塩、マグネシウム塩、および
カルシウム塩のようなケト酸のナトリウム塩以外の塩が
存在しうる。遊離酸もまた使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 オリン、トーマス スウェーデン国タビィー、エス―183 46、エンバッケン、33番地 (56)参考文献 特開 昭62−212325(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンパク質の生成を維持しながらヒトおよ
    び動物からの窒素の排出を減少させるためにケト酸を含
    む食物および飼料を調製する方法において、該食物およ
    び飼料のタンパク質をαケトグルタル酸または酸および
    /またはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくは
    有機塩基の塩の形で存在するαケトグルタル酸とピルビ
    ン酸の組合せによって置き換え、それによってケト酸
    が、存在するタンパク質乾燥物の1〜20重量%、好まし
    くは1〜10重量%の量で存在することを特徴とする食物
    および飼料を調製する方法。
  2. 【請求項2】ケト酸を含むヒトおよび動物用食物および
    飼料において、該食物および飼料のタンパク質をαケト
    グルタル酸またはαケトグルタル酸とピルビン酸の組合
    せによって置き換え、それによってケト酸が、存在する
    タンパク質乾燥物の1〜20重量%、好ましくは1〜10重
    量%の量で存在することを特徴とする食物および飼料。
  3. 【請求項3】該タンパク質がα−ケトグルタル酸によっ
    て置き換えられたことを特徴とする請求の範囲第2項記
    載の食物および飼料。
  4. 【請求項4】ピルビン酸およびα−ケトグルタル酸がケ
    ト酸として存在することを特徴とする請求の範囲第2項
    記載の食物および飼料。
  5. 【請求項5】ケト酸が酸および/またはアルカリ金属
    塩、アルカリ土類金属塩もしくは有機塩基の塩の形で存
    在することを特徴とする請求の範囲第2項〜第4項記載
    の食物および飼料。
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