JP2843418B2 - 光磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光磁気記録媒体の製造方法に関する。
〔従来の技術〕 情報の消去および書き換えが必要な光磁気記録媒体
は、一般には透明基板上に保護膜、垂直磁気異方性を有
する磁性膜および保護膜をこの順に積層した構造を有す
るか、または上記の保護膜上にさらに反射膜を積層した
構造を有している。
光磁気記録媒体の磁性膜としては、稀土類元素と遷移
金属とのアモルフアス合金が好ましく、例えばTbFeCo、
NdDyFeCo、GdTbFeなどの合金が用いられている。
光磁気記録媒体におけるオーバーライト方式として
は、磁性膜の温度がそのキユリー温度以上になるような
一定の強度を有するレーザ光照射下で、電磁石などによ
り磁性膜に与える外部磁界の向きを情報に応じて反転さ
せることにより記録する磁界変調方式が採用されている
ことが多い。上記の稀土類元素と遷移金属とのアモルフ
アス合金からなる磁性膜を備える光磁気記録媒体を用い
て磁界変調方式によりオーバーライトを行う際に印加さ
れる外部磁界は、通常、200〜400Oeの範囲である。
〔発明が解決しようとする課題〕
磁性膜が有する磁化の向きが一定の方向になるように
初期化された光磁気記録媒体に印加される外部磁界と記
録された情報を再生して得られるCNRとの関係を第4図
に示す。第4図においてCNRが飽和する外部磁界(以
下、これを飽和磁界と称する)をHsで表し、CNRがOに
なる外部磁界(以下、これを消失磁界と称する)をHoで
表す。
磁界変調方式によりオーバーライトを行う際、飽和磁
界と消失磁界との間で外部磁界の向きを反転させる必要
がある。したがつて飽和磁界と消失磁界との差(以下、
これを反転磁界と称する)が小さい光磁気記録媒体を用
いることが、反転する磁界の幅が小さく、オーバーライ
トの高速化、電磁石の軽量化が可能になる点で好適であ
る。
光磁気記録媒体への情報の記録時における磁性膜およ
びその周辺の磁化の向きを表す模式図を第5図に示す。
第5図に示すように、情報の記録時にレーザ光が照射さ
れる領域には、電磁石などによる外部磁界Hexと、レー
ザ光照射領域の周囲にあり、消去方向の磁化を有する磁
性膜による反磁界Hdとが加わる。上記の消失磁界は反磁
界を打ち消すだけの大きさが必要であり、上記の反転磁
界の大きさは反磁界の大きさに依存する。
反磁界を小さくするためには、補償組成になるように
稀土類元素と遷移金属との組成比を調整して磁性膜を形
成することが必要であるが、組成比のずれが生じやすい
ために、補償組成を有する磁性膜を安定して形成するこ
とは困難である。
本発明の目的は、磁界変調方式によってオーバーライ
トを行うに適した光磁気記録媒体を容易に製造する方法
を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、上記の目的は、基板上に誘電体から
なる保護膜と、稀土類元素および遷移金属を含む磁性膜
とが積層されてなる構造を備える光磁気記録媒体を製造
するにあたり、基板上に上記の保護膜を積層したのち
に、スパツタエツチングに際して投入される電力密度ω
〔W/cm2〕とスパツタエツチング時間t〔sec〕との積ω
・t(以下、これをスパツタエツチング強度と称する)
が20〜130〔W・sec/cm2〕の範囲になるように保護膜の
表面を不活性ガスを用いてスパツタエツチングし、つい
で保護膜上に上記の磁性膜を形成することを特徴とする
光磁気記録媒体の製造方法を提供することにより達成さ
れる。
上記の電力密度はスパツタエツチングに際して投入さ
れる電力を基板の面積で除することにより得られる値で
ある。
〔実施例〕 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 本発明により製造される光磁気記録媒体の1例の概略
断面図を第1図に示す、第1図に示す断面図構造を有す
る光磁気記録媒体は、基板1上に、誘電体からなる保護
膜2、稀土類元素と遷移金属とを含む磁性膜3、誘電体
からなる保護膜4、および反射膜5が順次積層されてな
る。情報を記録、再生または消去するために基板1側か
ら光が照射される。
ポリカーボネート樹脂からなる基板1上に、Si50N50
(原子数比)からなる保護膜2(膜厚:1100Å)、Tb19F
e73Co8(原子数比)からなる磁性膜3(膜厚:200Å)、
Si50N50(原子数比)からなる保護膜4(膜厚:350Å)
およびAl97Ti3(原子数比)からなる反射膜5(膜厚:35
0Å)が順次積層されてなる第1図に示す断面構造を有
する光磁気記録媒体を製造するにあたり、基板1上に保
護膜2を形成したのちに、Arガスをガス圧が0.1Paにな
るように導入し、スパツタエツチングに際して投入する
電力密度ωおよびスパツタエツチング時間tを変えて保
護膜2の表面をスパツタエツチングし、ついで磁性膜3
を形成する。得られた光磁気記録媒体が有する消失磁界
を測定し、スパツタエツチング強度と消失磁界との関係
を第2図に示す。第2図より明らかなように、20〔W・
sec/cm2〕以上のスパツタエツチング強度で保護膜2の
表面をスパツタエツチングすることによつて小さな消失
磁界を有する光磁気記録媒体が得られる。第2図に示す
測定点(a)〜(f)はそれぞれ第1表に示す電力密度
ω〔W/cm2〕およびスパツタエツチング時間t〔sec〕で
スパツタエツチングして得られた光磁気記録媒体につい
ての測定結果である。
スパツタエツチング強度を変えて得られる光磁気記録
媒体について、磁性膜3が有する磁化の向きが一定の方
向になるように初期化された光磁気記録媒体に記録のた
めに印加される外部磁気と記録された情報を再生して得
られるCNRとの関係を第3図に示す。第3図に示す実線
(e)および破線(f)はそれぞれ第1表に示す測定点
(e)および(f)における上限でスパツタエツチング
して得られる光磁気記録媒体による測定結果である。第
3図から明らかなように、スパツタエツチング強度が14
7〔W・sec/cm2〕である場合には、300Oe以上の外部磁
界に対するCNRが低下し、これによつてジツターが悪化
する。なお、測定は線速10m/S、記録周波数3.7MHz、デ
ユーテイー30%、記録に用いるレーザ光のパワー9mWの
条件で記録された情報を再生して行つた。
以上のことにより明らかなように、基板上に形成され
た保護膜2の表面をスパツタエツチング強度が20〜130
〔W・sec/cm2〕の範囲になるようにスパツタエツチン
グし、ついで磁性膜3を積層して得られた光磁気記録媒
体は磁界変調方式によるオーバーライトに適する。消失
磁界が特に小さく、しかもジツターが良好である光磁気
記録媒体を得るためには、スパツタエツチング強度を40
〜130〔W・sec/cm2〕の範囲から選ぶことが好ましい。
またスパツタエツチングする際の電力密度は0.2〜0.4
〔W/cm2〕の範囲にあることが、スパツタエツチングに
要する時間が短かく、しかも基板の温度上昇によるガス
放出が少ない点で好ましい。また、スパツタエツチング
に要する時間は50〜300secの範囲にあることが、同様の
理由により好ましい。
スパツタエツチングに際して導入される不活性ガスと
してはArガスのほかに、Neガス、Xeガス、Krガスなどが
用いられる。不活性ガスは、通常、ガス圧が0.05〜0.4P
aの範囲になるように導入される。
上記の基板1としてアモルフアスポリオレフイン樹
脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ガ
ラスなどを用いることもできる。保護膜2および保護膜
4を形成する誘電体はSiNのほかにAlN、AlSiN、AlSiO
N、SiO、ZnSなどであつてもよい。磁性膜3としてはTbF
e、TbDyFe、GdDyFe、GdTbFe、GdFeCoなどの稀土類元素
と遷移金属とからなるアモルフアス合金または、これら
の稀土類元素と遷移金属にCr、Tiなどが添加されてなる
アモルファス合金が用いられる。反射膜5を形成する材
料としては、Au、Al、Ag、Pt、Al−Ti合金、Al−Cr合
金、Al−In合金、Al−Cu合金などが用いられる。
第1図に示した断面構造を有する光磁気記録媒体が有
する保護膜、磁性膜および反射膜の膜厚はこれらの光学
的特性および熱伝導率に応じて設定することができる
が、保護膜2の膜厚が400〜1200Åの範囲にあり、磁性
膜3の膜厚が100〜400Åの範囲にあり、保護膜4の膜厚
が300〜1200Åの範囲にあり、反射膜5の膜厚が200〜80
0Åの範囲にある場合が好ましい。
本発明により製造される光磁気記録媒体は、保護膜4
および/または反射膜5を備えていないものも含まれる
が、保護膜4を備える光磁気記録媒体は耐高温・高湿性
を有している点で好適であり、また反射膜5を備える光
磁気記録媒体は高い記録特性を有している点で好適であ
る。
〔発明の効果〕
本発明によれば、磁界変調方式によつてオーバーライ
トを行うに適した光磁気記録媒体が容易に製造される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明により製造される光磁気記録媒体の1例
の概略断面図、第2図はスパツタエツチング強度と消失
磁界との関係を示す図、第3図は初期化された光磁気記
録媒体に記録のために印加される外部磁界と記録された
情報を再生して得られるCNRとの関係を示す図、第4図
は上記の外部磁界とCNRとの関係を表す模式図、第5図
は光磁気記録媒体への情報の記録時における磁性膜およ
びその周辺の磁化の向きを表す模式図である。 1……基板、2,4……保護膜、3……磁性膜、 5……反射膜、Hs……飽和磁界、Ho……消失磁界、 Hex……外部磁界、Hd……反磁界。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪狩 徳夫 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会 社クラレ内 審査官 梅岡 信幸 (56)参考文献 特開 昭63−113836(JP,A) 特開 昭63−34754(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 11/10 541

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に誘電体からなる保護膜と、稀土類
    元素および遷移金属を含む磁性膜とが積層されてなる構
    造を備える光磁気記録媒体を製造するにあたり、基板上
    に上記の保護膜を積層したのちに、スパツタエツチング
    に際して投入される電力密度ω〔W/cm2〕とスパツタエ
    ツチング時間t〔sec〕との積ω・tが20〜130〔W・se
    c/cm2〕の範囲になるように保護膜の表面を不活性ガス
    を用いてスパツタエツチングし、ついで保護膜上に上記
    の磁性膜を形成することを特徴とする光磁気記録媒体の
    製造方法。
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