JP2842989B2 - Sawスペクトル拡散復調器及びその構成方法 - Google Patents

Sawスペクトル拡散復調器及びその構成方法

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    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H9/00Networks comprising electromechanical or electro-acoustic devices; Electromechanical resonators
    • H03H9/46Filters
    • H03H9/64Filters using surface acoustic waves
    • H03H9/6406Filters characterised by a particular frequency characteristic

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  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Surface Acoustic Wave Elements And Circuit Networks Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面弾性波(SAW)
マッチドフィルタを用いてスペクトル拡散信号をスペク
トル拡散復調するSAWスペクトル拡散復調器に関し、
さらにはその構成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スペクトル拡散方式は、信号の秘匿性が
高くかつ他の信号源からの干渉に強い無線通信方式であ
る。スペクトル拡散方式としてはいくつかの方式が知ら
れているが、例えば直接変調方式においては、送信機に
搭載される符号変調器により送信信号が位相変調され、
受信機に搭載される符号復調器により受信信号が復調さ
れる。この変復調(スペクトル拡散変復調)の際に用い
られる符号は擬似雑音(PN)符号と呼ばれ、所定の規
則に従って時間配列された一連のチップを繰り返す符号
であり、この符号により変調を行うと送信信号のスペク
トル分布が拡散する。従って、スペクトル拡散変調が施
された送信信号(スペクトル拡散信号)を他者が受信し
たとしても、変調の際に用いたPN符号を知らない限り
復調することができない(信号の秘匿性)。また、他の
信号源から近接した帯域の無線信号が発せられていて
も、スペクトルが拡散しているためその干渉を受けにく
い。
【0003】スペクトル拡散方式の特質のうち信号の秘
匿性は、特に、情報の秘匿が重要な軍事関連通信機器に
おいて重視されている。さらに、この秘匿性に加え、干
渉に強いという特質は、各種民生機器において重視され
ている。第1に、近年では無線システムの高周波化が進
行しており、マルチパス干渉による受信信号品質の劣化
が大きな問題となっているが、この問題は、干渉に対し
て強いスペクトル拡散方式により緩和乃至解決すること
ができる。第2に、周波数資源を有効利用するため他の
無線システムとの無線周波数共用化を実現しようとする
場合、送信信号のスペクトルを拡散させるスペクトル拡
散方式が有効である。
【0004】スペクトル拡散方式を実施する際には、送
信機に符号変調器(スペクトル拡散変調器)を、受信機
に符号復調器(スペクトル拡散復調器)を、それぞれ搭
載する。スペクトル拡散復調器においては、送信機にお
いて使用した符号との同期を獲得する必要がある。同期
を獲得する方法としては、例えば、同期するまで復調を
繰り返す方法や、同期獲得及びスペクトル拡散復調を並
行して実行する方法がある。しかし、これらの方法にお
いては、同期獲得に時間を必要とするという問題点や、
受信機の構成が複雑となるという問題点がある。
【0005】この種の問題を発生させないスペクトル拡
散復調器としては、SAWコンボルバを用いた構成があ
る。すなわち、スペクトル拡散変調器において使用した
符号と同一の符号を時間反転してSAWコンボルバに入
力し、受信した信号との相関を求め、相関値がピークと
なったときにデータを復調する方法により、上述した問
題を発生させずにスペクトル拡散復調することができ
る。しかし、このような構成を使用する場合、スペクト
ル拡散変調器において使用した符号を時間反転した符号
が必要になる。また、SAWコンボルバの効率はさほど
よくなく、挿入損失が大きい。
【0006】スペクトル拡散復調器の他の構成として
は、SAWマッチドフィルタを用いた構成がある。SA
Wフィルタは、一般に圧電基板上に入力電極及び出力電
極を被着形成した構成を有している。SAWフィルタの
入力電極に電気信号が入力されると、これによって入力
電極は圧電基板表面を励振しSAWを発生させ、発生し
たSAWは圧電基板表面を伝搬する。出力電極はこれを
受波し電気信号に変換する。従って、SAWフィルタの
伝達関数は、入力電極の伝達関数(電気音響変換)、圧
電基板表面の伝達関数(SAW伝搬遅延)及び出力電極
の伝達関数(音響電気変換)の積によって表される。S
AWマッチドフィルタは、SAW伝搬遅延を利用して実
現されたマッチドフィルタである。
【0007】マッチドフィルタとは、入力される信号の
周波数特性H(ω)に対して複素共役の伝達関数H
(ω)を有するフィルタである。SAWマッチドフィ
ルタを実現する際には、この伝達関数H(ω)に含ま
れる負時間が実現されるよう入出力電極間の距離を定め
SAW伝搬遅延を付与すると共に、負時間以外の因数成
分を入力電極及び出力電極のパターン(電極構造及び配
置)によって定める。入力電極及び出力電極の構造及び
配置を決定するに当たっては、まず、入力電極及び出力
電極両者の協働で実現すべき伝達関数を2個の部分の積
の形式で表現し、各部分を入力電極と出力電極とに割振
る。入力電極及び出力電極の構造及び配置は、割振りを
受けた伝達関数部分が実現されるよう決定する。
【0008】このようにして構成されたSAWマッチド
フィルタにスペクトル拡散信号を入力すると、入力され
た信号に係るスペクトル拡散符号と、入力電極及び出力
電極のパターン(すなわちこれによって表現される符
号)との相関を示す電気信号が、出力電極から得られ
る。従って、この相関がピークとなるタイミング(位
相)を検出することにより、受信信号をスペクトル拡散
復調することができる。このような構成を用いた場合、
SAWコンボルバのように時間反転した符号は必要でな
く、また挿入損失も比較的良好となる。
【0009】ところで、SAWマッチドフィルタにおい
ては、必要な伝達関数を入力電極及び出力電極両者に割
り振る際の割振り方は任意であるため、目的とする伝達
関数が得られるような入力電極及び出力電極の構造及び
配置の組合わせは1通りではなく、実現の比較的容易な
ものに限っても一般に多数の組合わせが存在する。その
中でも広く用いられている組合わせとしては、電極長が
1チップ長に相当する入力電極と、間隔が1チップ長に
相当する複数の符号化電極(一般には電極指対)を有す
る出力電極と、の組合わせ(以下、第1の構成という)
や、その逆に間隔が1チップ長に相当する複数の符号化
電極を有する入力電極と、電極長が1チップ長に相当す
る出力電極と、の組合わせ(以下、第2の構成という)
がある。第1の構成における出力電極や第2の構成にお
ける入力電極は、スペクトル拡散符号におけるチップ数
に対応して、多数の符号化電極数を有している。なお、
第2の構成は第1の構成と同一の特性となるため、以下
の説明では記載の簡略化のため第1の構成を例にとる。
【0010】この構成においては、符号化電極の相互の
間隔がスペクトル拡散符号の1チップ長に相当する距離
に設定されており、また複数の符号化電極の出力(すな
わち受波したSAWを符号化した信号)が、スペクトル
拡散信号を搬送するキャリアのレベルで同相加算され
る。このような構成により相関ピークを良好に検出でき
るキャリア周波数は、そのN周期(N:正の半整数,す
なわち2倍すると正の整数になる数)が符号の1チップ
に等しいような周波数fである。このようなキャリア
周波数fに適するSAWマッチドフィルタにおいて
は、次のような周波数f又はfを有する疑似キャリ
アが入力されると問題が生じる。
【0011】
【数4】f=(N−1)/N・f=(N+1)/N・f このように、同一の符号によりスペクトル拡散された信
号が、そのN−1周期又はN+1周期が符号の1チップ
に等しいような疑似キャリアによって搬送され入力電極
に入力された場合も、同様に、出力電極に同期加算によ
る強い出力が現れ相関ピークが検出される。
【0012】しかし、上述の第1の構成においては、入
力電極の電極長が1チップ長相当、すなわち周波数f
のキャリアのN周期に設定されている。このような設定
の下では入力電極の伝達関数はsinc関数となり、そ
の中心周波数に最も近い零点は、中心周波数から、中心
周波数の1/Nだけ離れた周波数に存在する。入力電極
伝達関数の中心周波数をキャリア周波数fに選んだ場
合、この零点の周波数fN1及びfN2は、次のような
周波数となる。
【0013】
【数5】 fN1=f−f/N=(N−1)/N・f=fN2=f+f/N=(N+1)/N・f=f 従って、上述した周波数f及びfの疑似キャリアが
入力されたとしても、入力電極において阻止されてしま
うため、疑似キャリアによって搬送されたスペクトル拡
散信号の復調を好適に防ぐことができる。
【0014】このような構成は、周波数の異なる複数の
キャリアを用いてスペクトル拡散通信を行う場合に適用
可能である。すなわち、隣接するチャネルのキャリア周
波数を、入力電極の零点fN1及びfN2とすることに
より、原理的には、隣接するチャネルからの干渉を抑制
することができる。これは、第2の構成についても同様
である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような構
成により隣接チャネルのキャリアからの干渉を十分に抑
制するのは、実際には困難である。すなわち、あるチャ
ネルのスペクトル拡散復調器にとって疑似キャリアとし
て作用する周波数は、他のチャネルのキャリア周波数で
あり、それ自体レベルが高い。従って、当該他のチャネ
ルのキャリアを入力電極伝達関数の零点で十分にキャン
セルすることは難しい。
【0016】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを課題としてなされたものであり、第1に、相関特性
を顕著に劣化させない範囲で符号化電極間隔をずらすこ
とにより、疑似キャリアに対する相関出力を低減させ、
これにより複数のキャリアを使用したスペクトル拡散通
信に適する高性能のスペクトル拡散復調器を実現するこ
とを目的とする。第2に、このようなスペクトル拡散復
調器の構成方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明のSAWスペクトル拡散復調器は、圧
電基板上に形成された第1の電極と、表面弾性波の伝搬
方向に沿って互いに間隔するよう圧電基板上に配列形成
され出力端子に共通接続されたn個(n:2以上の整
数)の符号化電極を有する第2の電極と、を備え、スペ
クトル拡散符号により変調された信号が所定周波数f
のキャリアによって搬送され第1の電極に入力された場
合に、第1の電極によって圧電基板上に励振された表面
弾性波を各符号化電極によって受波し、その結果各符号
化電極から得られる信号出力を第2の電極において合成
し相関信号として出力端子から出力するSAWスペクト
ル拡散復調器において、隣接する符号化電極の間隔に順
に番号iを付与して表した場合に、上記n個の符号化電
極の間隔が、次の式
【数6】d=M/f・v 但し、M=N+k/2:正の半整数、 N:スペクトル拡散符号の1チップ長に含まれるキャリ
ア周期数に最も近い正の半整数、 k:整数、で示されるdであり、kが奇数である
間隔については、当該隣接する符号化電極の片側にある
全ての符号化電極を、位相が反転した構成とすることを
特徴とする。
【0018】また、本発明のSAWスペクトル拡散復調
器は、圧電基板上に形成された第1の電極と、表面弾性
波の伝搬方向に沿って互いに間隔するよう圧電基板上に
配列形成され出力端子に共通接続されたn個(n:2以
上の整数)の符号化電極を有する第2の電極と、を備
え、スペクトル拡散符号により変調された信号が所定周
波数fのキャリアによって搬送され第2の電極に入力
された場合に、各符号化電極によって圧電基板上に励振
された速度vの表面弾性波を第1の電極によって受波
し、その結果第1の電極から得られる信号出力を相関信
号として出力端子から出力するSAWスペクトル拡散復
調器において、隣接する符号化電極の間隔に順に番号i
を付与して表した場合に、上記n個の符号化電極の間隔
が、次の式
【数7】d=M/f・v 但し、M=N+k/2:正の半整数、 N:スペクトル拡散符号の1チップ長に含まれるキャリ
ア周期数に最も近い正の半整数、 k:整数、で示されるdであり、kが奇数である
間隔については、当該隣接する符号化電極の片側にある
全ての符号化電極を、位相が反転した構成とすることを
特徴とする。
【0019】そして、本発明のSAWスペクトル拡散復
調器の構成方法は、第1の電極を圧電基板上に形成し、
n個(n:2以上の整数)の符号化電極を有し出力端子
に共通接続された第2の電極を、符号化電極が表面弾性
波の伝搬方向に互いに間隔するよう圧電基板上に配列形
成するSAWスペクトル拡散復調器の構成方法におい
て、隣接する符号化電極の間隔に順に番号iを付与して
表した場合に、上記n個の符号化電極の間隔を、次の式
【数8】d=M/f・v 但し、M=N+k/2:正の半整数、 N:スペクトル拡散符号の1チップ長に含まれるキャリ
ア周期数に最も近い正の半整数、 k:整数、で示されるdに設定し、kが奇数であ
る間隔については、当該隣接する符号化電極の片側にあ
る全ての符号化電極を、位相が反転した構成とすること
を特徴とする。
【0020】
【作用】本発明のSAWスペクトル拡散復調器において
は、符号化電極の間隔(第i番目)を定める係数M
が、スペクトル拡散符号の1チップ長N/fに係る
係数Nに対しk/2だけ、ずれた値に設定される。す
なわち、符号化電極の間隔が、N/f・vに対し、
(k/2)/f・vだけ、ずれた値に設定され
る。従って、周波数fのキャリアによって搬送されス
ペクトル拡散符号により変調された信号からは、符号化
電極の間隔がN/f・vに設定される場合と同様、
加算合成に係る相関信号が得られる。これに対し、異な
る周波数のキャリア(疑似キャリア)によって搬送され
た信号は、同一のスペクトル拡散符号により変調されて
いても、加算合成に係る相関信号は発生させない。従っ
て、Nに対しk/2が十分小さくなるよう、kを例
えば0、±1、±2等の値に設定することにより、相関
検出性能を実質的に損なうことなく、疑似キャリアの干
渉を受けない高性能のSAWスペクトル拡散復調器が得
られる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に
基づき説明する。
【0022】図1には、本発明の一実施例に係るSAW
スペクトル拡散復調器の構成が示されている。この実施
例においては、励振によりSAWが発生し伝搬する圧電
基板1の表面に、入力電極2及び符号化出力電極3が被
着形成されている。入力電極2には、入力端子4を介し
てスペクトル拡散信号が入力され、これにより、入力電
極2は圧電基板1の表面にSAWを励振する。このSA
Wは、符号化出力電極3を構成しかつ符号化出力電極3
から伸展された所定対数の符号化電極(図ではそれぞれ
電極指対)3−1,3−2,3−3,…3−nそれぞれ
によって受波・符号化され、符号化出力電極3によって
加算される。これにより得られた電気信号(加算出力)
は、出力端子5を介して後段の回路に出力される。
【0023】この実施例の特徴は、符号化出力電極3の
構造、特に符号化電極3−1,3−2,3−3,…3−
n相互の間隔d(i:1,2,3,…n−1)であ
る。
【0024】いま、キャリア周波数をfとし、スペク
トル拡散符号の1チップ長がこのキャリアのN周期
(N:正の半整数)=N/fであるとする。入力電極
2については、従来と同様に、その電極長をスペクトル
拡散符号の1チップ長相当の距離dに設定する。距離
は、次のように表現できる。但し、vは圧電基板
1の表面におけるSAWの伝搬速度である。
【0025】
【数9】d=N/f・v 先に示した従来技術においては、図2(a)に示される
ように、符号化電極3−1,3−2,3−3,…3−n
相互の間隔はいずれもスペクトル拡散符号の1チップ長
相当の距離dに設定されている。従って、入力端子4
を介して入力電極2に印加される信号が、先に示した周
波数f、f等の疑似キャリアによって搬送されてい
る場合には、入力電極2の電極長設定により低減される
ものの、無視できない相関出力が符号化出力電極3から
得られる。
【0026】これに対し、本実施例においては、図2
(b)又は(c)に示されているように、符号化電極3
−1,3−2,3−3,…3−n相互の間隔は次の式で
示される値dに設定されている。さらに、kが奇数
である場合には、その右にある全ての符号化電極の配置
位相(各符号化電極を構成する電極指の順序:すなわ
ち、図中上側の電極指が入力電極2側にくるのかそれと
も逆か)が、図2(a)に比べて反転されている。無
論、左側を位相反転してもよい。
【0027】
【数10】d=M/f・v 但し、M=N+k/2 k:整数 このように設定した場合、周波数fのキャリアによっ
て搬送され入力されたスペクトル拡散信号から好適に相
関を検出でき、かつ、先に述べた周波数f、f等の
疑似キャリアによって搬送され入力されたスペクトル拡
散信号については相関出力を顕著に抑圧できる。
【0028】まず、符号変化点以外を考える。この場
合、kが偶数であれば、全ての符号化電極3−1,3
−2,3−3,…3−nの符号化出力についてキャリア
が同相となり、符号化出力電極3から出力端子5を介し
て出力される加算出力が同相加算出力となる。kが奇
数である場合には、奇数のkに係る符号化電極3−i
のうち一方の配置位相を反転すれば、やはり全ての符号
化電極3−1,3−2,3−3,…3−nの符号化出力
についてキャリアが同相となり、その加算出力が同相加
算出力となる。
【0029】符号変化点を考えた場合、加算に係る位相
が不一致となり、厳密には同相加算とはならない。しか
し、本実施例においては、Nに対するMのずれを1/
2を単位として与えているため、不一致の程度は最大で
もキャリアの1/4周期にとどまる。SAWマッチドフ
ィルタにおいては、一般に、容易に送受できるよう、ス
ペクトル拡散符号の符号速度(1チップ長の逆数)に対
しキャリア周波数fが十分高く設定されているから、
相関ピークの幅は1チップ長程度の時間長となる。従っ
て、符号変化点における相関ピーク検出の不確かさが上
述のようにキャリアの1/4周期であったとしても、さ
ほど問題にはならない。
【0030】また、周波数f、f等の疑似キャリア
が入力されている場合には、符号化電極3−1,3−
2,3−3,…3−nの符号化出力について、キャリア
は一般に同相とはならず、従って加算出力は同相加算出
力とはならない。
【0031】このように、本実施例によれば、符号化電
極3−1,3−2,3−3,…3−nの間隔dを、相
関特性を顕著に劣化させない範囲で、スペクトル拡散符
号の1チップ長相当の距離dからずらすようにしてい
るため、疑似キャリアに対する応答を低減できる。ま
た、これにより、複数のキャリアを使用したスペクトル
拡散通信に適する高性能のスペクトル拡散復調器を実現
することができる。
【0032】図2(b)に示される例は、特に、M
N,M=N+1/2,…の例であり、図2(c)に示
される例は、特に、M=N,M=N+1,…の例で
ある。しかし、本発明は、このような設定に限定される
ものではない。すなわち、相関特性を顕著に劣化させな
い範囲であれば、Mを適宜設定できる。kは負の整
数でもよい。また、前述の第1の構成に則って本発明を
説明したが、本発明は第2の構成にも適用できる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のSAWス
ペクトル拡散復調器によれば、符号化電極の間隔を定め
る係数Mを、スペクトル拡散符号の1チップ長N/f
に係る係数Nに対しk/2だけ、ずれた値に設定す
るようにしたため、周波数fのキャリアによって搬送
されスペクトル拡散符号により変調された信号からは、
加算合成に係る相関信号を得ることができる。これに対
し、異なる周波数のキャリアによって搬送された信号に
係る相関出力は、同一のスペクトル拡散符号により変調
されていても、加算合成に係る出力とならないため、N
に対しk/2が十分小さくなるよう、kを例えば
0、±1、±2等の値に設定することにより、相関検出
性能を実質的に損なうことなく、疑似キャリアの干渉を
受けない高性能のSAWスペクトル拡散復調器が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るSAWスペクトル拡散
復調器の構成を示す斜視図である。
【図2】この実施例の構成と従来の構成とを対比して示
す図であり、(a)は従来における符号化電極間隔を示
す図、(b)及び(c)は実施例における符号化電極間
隔を示す図である。
【符号の説明】 1 圧電基板 2 入力電極 3 符号化出力電極 3−1,3−2,3−3,…3−n 符号化電極 4 入力端子 5 出力端子

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電基板上に形成された第1の電極と、
    表面弾性波の伝搬方向に沿って互いに間隔するよう圧電
    基板上に配列形成され出力端子に共通接続されたn個
    (n:2以上の整数)の符号化電極を有する第2の電極
    と、を備え、スペクトル拡散符号により変調された信号
    が所定周波数fのキャリアによって搬送され第1の電
    極に入力された場合に、第1の電極によって圧電基板上
    に励振された表面弾性波を各符号化電極によって受波
    し、その結果各符号化電極から得られる信号出力を第2
    の電極において合成し相関信号として出力端子から出力
    するSAWスペクトル拡散復調器において、 隣接する符号化電極の間隔に順に番号iを付与して表し
    た場合に、上記n個の符号化電極の間隔が、次の式 【数1】d=M/f・v 但し、M=N+k/2:正の半整数、 N:スペクトル拡散符号の1チップ長に含まれるキャリ
    ア周期数に最も近い正の半整数、 k:整数、で示されるdであり、 kが奇数である間隔については、当該隣接する符号化
    電極の片側にある全ての符号化電極を、位相が反転した
    構成とすることを特徴とするSAWスペクトル拡散復調
    器。
  2. 【請求項2】 圧電基板上に形成された第1の電極と、
    表面弾性波の伝搬方向に沿って互いに間隔するよう圧電
    基板上に配列形成され出力端子に共通接続されたn個
    (n:2以上の整数)の符号化電極を有する第2の電極
    と、を備え、スペクトル拡散符号により変調された信号
    が所定周波数fのキャリアによって搬送され第2の電
    極に入力された場合に、各符号化電極によって圧電基板
    上に励振された速度vの表面弾性波を第1の電極によ
    って受波し、その結果第1の電極から得られる信号出力
    を相関信号として出力端子から出力するSAWスペクト
    ル拡散復調器において、 隣接する符号化電極の間隔に順に番号iを付与して表し
    た場合に、上記n個の符号化電極の間隔が、次の式 【数2】d=M/f・v 但し、M=N+k/2:正の半整数、 N:スペクトル拡散符号の1チップ長に含まれるキャリ
    ア周期数に最も近い正の半整数、 k:整数、で示されるdであり、 kが奇数である間隔については、当該隣接する符号化
    電極の片側にある全ての符号化電極を、位相が反転した
    構成とすることを特徴とするSAWスペクトル拡散復調
    器。
  3. 【請求項3】 第1の電極を圧電基板上に形成し、n個
    (n:2以上の整数)の符号化電極を有し出力端子に共
    通接続された第2の電極を、符号化電極が表面弾性波の
    伝搬方向に互いに間隔するよう圧電基板上に配列形成す
    るSAWスペクトル拡散復調器の構成方法において、隣
    接する符号化電極の間隔に順に番号iを付与して表した
    場合に、上記n個の符号化電極の間隔を、次の式 【数3】d=M/f・v 但し、M=N+k/2:正の半整数、 N:スペクトル拡散符号の1チップ長に含まれるキャリ
    ア周期数に最も近い正の半整数、 k:整数、で示されるdに設定し、 kが奇数である間隔については、当該隣接する符号化
    電極の片側にある全ての符号化電極を、位相が反転した
    構成とすることを特徴とするSAWスペクトル拡散復調
    器の構成方法。
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