JP2842769B2 - 直流アーク炉の電源装置 - Google Patents

直流アーク炉の電源装置

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JP2842769B2
JP2842769B2 JP5239536A JP23953693A JP2842769B2 JP 2842769 B2 JP2842769 B2 JP 2842769B2 JP 5239536 A JP5239536 A JP 5239536A JP 23953693 A JP23953693 A JP 23953693A JP 2842769 B2 JP2842769 B2 JP 2842769B2
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signal
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永治 上向井
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  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スクラップ等を溶解
する製鋼用の直流アーク炉に直流電源を供給する直流ア
ーク炉の電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図12は例えば1990年発行の刊行物
「電熱」発行No.54に示された従来の直流アーク炉
の電源装置を示す構成図である。同図において、1は交
流電源、2は交流電源1からの交流電圧を所定の電圧に
変圧する変圧器、3は変圧器2を介して入力される交流
電力を、サイリスタ等の出力電圧を制御できる電気弁で
直流電力に変換するための整流回路であり、上記変圧器
2と共に直流電源装置を構成する。
【0003】4は整流回路3の出力側に接続され、アー
ク短絡等により負荷インピーダンスが急変した場合に負
荷電流を規制する直流リアクトル、5はスクラップ等を
溶解するアーク炉であり、直流リアクトル4に接続され
た電極6と、この電極6に対向して設けられて溶鋼を貯
留するポット7とを有し、整流回路3の直流出力により
アーク5aを発生させ、そのアーク5aによりスクラッ
プを溶解する。なお、上記直流リアクトル4とアーク炉
5とで負荷回路を構成する。
【0004】8は整流回路3を介して負荷回路に流れる
負荷電流Id を間接的に検出するための変流器で、変圧
器2の2次側に設けらて上記変圧器2から整流回路3に
流れる電流を検出する。9は変流器8により出力される
交流電流信号を変換して負荷電流Id に応じた電流検出
信号Id'を出力する電流変換器、10は運転パターン毎
に設定される上記負荷電流Iの負荷電流設定信号I
drefを発生するコンピュータや可変抵抗器等の電流設定
信号発生器、11は上記電流検出器9からの電流検出信
号Id'と上記電流設定信号発生器10からの負荷電流設
定信号Idrefとの差をとる減算器である。
【0005】12は上記減算器11の出力信号に基づい
て整流回路3の点孤位相を制御するための定電流位相制
御信号を出力する定電流位相制御回路であり、制御系の
安定性のため、比例積分要素、積分要素又は一次遅れ要
素を持たせている。13は定電流位相制御回路12から
出力される定電流位相制御信号に基づいて整流回路3へ
の点弧パルスを発生する点弧パルス発生器である。
【0006】次に、動作について説明する。交流電源1
から供給される交流電力は、その電圧が変圧器2により
所定の値に変換された後、整流回路3を介して直流電力
に変換されて、直流リアクトル4及びアーク炉5を有す
る負荷回路に供給される。
【0007】一方、電流設定信号発生器10からの負荷
電流設定信号Idrefと、変流器8により検出され電流変
換器9によって所定の信号に変換された電流検出信号I
d'とが減算器11で減算されて、その偏差が定電流位相
制御回路12に供給され、定電流位相制御回路12は、
減算器11の出力信号に基づいて整流回路3の点弧位相
を制御するための定電流位相制御信号を点弧パルス発生
器13に供給する。
【0008】上記点弧パルス発生器13は、定電流位相
制御回路12から供給された定電流位相制御信号に基づ
いた所定の点孤位相角で整流回路3へ点弧パルスを出力
することにより整流回路3の動作を制御する。これによ
って、アーク炉5へ供給される負荷電流Id は、電流設
定信号発生器10からの負荷電流設定信号Idrefに基づ
いて一定となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の直流アーク炉の
電源装置は以上のように構成されているので、アーク短
絡等により負荷インピーダンスが急変した場合、無効電
力が急激に変化するという問題があった。すなわち、負
荷回路の直流アーク炉5に供給される有効電力−無効電
力の特性は、整流回路3に入力される交流入力電圧Es
と負荷電流Id が一定とすると、整流回路3の入力側の
皮相電力√2・Es ・Iが一定となって、図13の軌跡
aに示すような1/4円周上で変化することになる。
【0010】例えば、ある定常状態において、アーク電
圧として直流電圧EA 及び負荷電流として直流電流Id
で運転しているときに、有効電力と無効電力が図13の
軌跡a上の点Aの値P1、Q1であるとする。この状態
で運転しているときに、アーク短絡によるアークインピ
ーダンスの低下でアーク電圧が急減してアーク電圧がE
B まで急減したときには、図12に示す構成による定電
流制御では、変圧器2の2次側出力電圧Es が一定であ
れば、図13に示すように、皮相電力√2・ES ・Id
が一定となるので、整流回路3のサイリスタ等の電気弁
の点孤位相角が絞られて、有効電力と無効電力は、図1
3の軌跡a上の点Bの値P2、Q2まで移動することに
なり、この結果、無効電力はQからQへ急激に変化
することになる。
【0011】ここで、交流電源1の系統電圧のフリッカ
(ちらつき)について考えると、系統電圧のフリッカ
は、整流回路3の入力側での電流変動によって生じるの
ではなく、無効電流の変動によって大きく生じると考え
られている。このため、定電流制御状態で上述した負荷
インピーダンスの変動が生じると、無効電力Qが急変
し、この結果、交流電源1の系統電圧にフリッカを生じ
させて交流電源1に接続される一般需要家の蛍光灯など
の電気機器にフリッカ障害を与えるという問題点があっ
た。
【0012】一般に、直流アーク炉は、交流アーク炉に
比べてフリッカの発生が小さいと言われているが、それ
でも電源系統が弱く、また、アーク炉5の容量が例えば
100(ton)程度と大きくなると、上記の理由で交
流電源1側の系統電圧にフリッカが生じて同じ交流電源
1の系統に接続されている他の機器に影響を与える。
【0013】また、交流電源1のインピーダンスが大き
い場合には、割合小さな無効電力の変化に対してもフリ
ッカが大きくなるので、この場合には、無効電力を補償
するために交流電源1に無効電力補償装置を接続するこ
とを必要とし、装置の製作に多大な費用がかかると共
に、装置の設置に広範囲なスペースが必要であるという
問題点があった。
【0014】この発明はこのような問題点を解決するた
めになされたもので、直流アーク炉の負荷インピーダン
スが急変しても、無効電力を一定に制御することによ
り、交流電源系統のフリッカを低減することができると
共に、交流電源のインピーダンスが大きい場合に交流電
源に接続される無効電力補償装置の容量を小さくして安
価で小型に構成されることができる直流アーク炉の電源
装置を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る直流アーク炉の電源装置は、交流電源からの交流電圧
を所定の電圧に変換する変圧器と、上記変圧器からの交
流出力を整流して直流アーク炉の負荷回路に供給する整
流回路とを有する直流電源装置を備えると共に、上記負
荷回路に流れる電流を検出する電流検出手段と、その電
流検出信号と負荷電流設定信号との差に応じた定電流位
相制御信号を出力する定電流位相制御回路と、上記定電
流位相制御信号に基づいて上記整流回路の点孤位相を制
御するための点弧パルスを出力する点孤パルス発生器と
を有する制御回路とを備えた直流アーク炉の電源装置に
おいて、上記制御回路に、上記負荷回路のアーク電圧を
検出するアーク電圧検出手段と、上記負荷回路の運転条
件として、負荷電流設定信号、上記整流回路への交流入
力電圧設定信号、上記アークを除く負荷回路と上記直流
電源装置との総合抵抗設定信号と総合インピーダンス設
定信号、及びアーク電圧設定信号を発生する運転条件設
定信号発生器と、上記アーク電圧検出手段によるアーク
電圧検出信号と上記運転条件設定信号発生器により設定
された運転条件及び上記整流回路の整流素子に流れる電
流が微少な状態での電圧降下信号とに基づいて定無効電
力位相制御信号を演算出力する定無効電力位相制御回路
と、上記定電流位相制御信号と上記定無効電力位相制御
信号とを加算する加算手段とを備えると共に、上記点弧
パルス発生器を、上記加算手段による加算結果に基づい
て上記整流回路への点弧パルスを発生する構成としたこ
とを特徴とするものである。
【0016】また、請求項2に係る直流アーク炉の電源
装置は、交流電源からの交流電圧を所定の電圧に変換す
る変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流して直流
アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有する直流
電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる電流を
検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負荷電流
設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出力する
定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号に基づ
いて上記整流回路の点孤位相を制御するための点弧パル
スを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回路とを
備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制御回路
に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク電圧検
出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷電流設
定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信号
sref、上記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置
との総合抵抗設定信号Rrefと総合インピーダンス設定
信号Zref、及びアーク電圧設定信号を発生する運転条
件設定信号発生器と、上記負荷電流設定信号、上記交流
入力電圧設定信号、上記アーク電圧設定信号、上記総合
抵抗設定信号、及び上記整流回路の整流素子に流れる電
流が微少な状態での電圧降下信号ep に基づいた基準無
効電力をQref 、上記アーク電圧検出手段によるアーク
電圧検出信号Earc として、下記に示す漸化式を満たす
変数Ez を求め、
【数4】 その変数、上記アーク電圧検出手段によるアーク電圧検
出信号、上記整流回路の整流素子に流れる電流が微少な
状態での電圧降下信号、及び上記交流入力電圧設定信号
に基づいて定無効電力位相制御信号を演算出力する定無
効電力位相制御回路と、上記定電流位相制御信号と上記
定無効電力位相制御信号とを加算する加算手段とを備え
ると共に、上記点弧パルス発生器を、上記加算手段によ
る加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パルスを発
生する構成としたことを特徴とするものである。
【0017】また、請求項3に係る直流アーク炉の電源
装置は、交流電源からの交流電圧を所定の電圧に変換す
る変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流して直流
アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有する直流
電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる電流を
検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負荷電流
設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出力する
定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号に基づ
いて上記整流回路の点孤位相を制御するための点弧パル
スを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回路とを
備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制御回路
に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク電圧検
出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷電流設
定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信号、上記
アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との総合抵抗
設定信号と総合インピーダンス設定信号、及びアーク電
圧設定信号を発生する運転条件設定信号発生器と、上記
負荷電流設定信号、交流入力電圧設定信号、及びアーク
電圧設定信号に基づいて基準無効電力を求め、その基準
無効電力、総合インピーダンス設定信号、交流入力電圧
設定信号、及び上記アーク電圧検出手段によるアーク電
圧検出信号に基づいて定無効電力位相制御信号を演算出
力する定無効電力位相制御回路と、上記定電流位相制御
信号と上記定無効電力位相制御信号とを加算する加算手
段とを備えると共に、上記点弧パルス発生器を、上記加
算手段による加算結果に基づいて上記整流回路への点弧
パルスを発生する構成としたことを特徴とするものであ
る。
【0018】また、請求項4に係る直流アーク炉の電源
装置は、交流電源からの交流電圧を所定の電圧に変換す
る変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流して直流
アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有する直流
電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる電流を
検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負荷電流
設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出力する
定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号に基づ
いて上記整流回路の点孤位相を制御するための点弧パル
スを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回路とを
備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制御回路
に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク電圧検
出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷電流設
定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信号、上記
アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との総合抵抗
設定信号と総合インピーダンス設定信号、及びアーク電
圧設定信号を発生する運転条件設定信号発生器と、定無
効電力位相制御信号cosαを、負荷電流設定信号I
dref及びアーク電圧設定信号Earcrefを中心としてテー
ラ展開の1次近似を行い線形化した下式に従い、
【数5】 上記負荷電流設定信号Idref、交流入力電圧設定信号E
sref、アーク電圧設定信号Earcref、総合抵抗設定信号
ref、総合インピーダンス設定信号Zref、上記整流回
路の整流素子に流れる電流が微少な状態での電圧降下信
号ep 、上記アーク電圧検出器によるアーク電圧検出信
号Earc 及び負荷電流検出信号Id に基づいて演算出力
する定無効電力位相制御回路と、上記定電流位相制御信
号と上記定無効電力位相制御信号とを加算する加算手段
とを備えると共に、上記点弧パルス発生器を、上記加算
手段による加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パ
ルスを発生する構成としたことを特徴とするものであ
る。
【0019】また、請求項5に係る直流アーク炉の電源
装置は、交流電源からの交流電圧を所定の電圧に変換す
る変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流して直流
アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有する直流
電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる電流を
検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負荷電流
設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出力する
定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号に基づ
いて上記整流回路の点孤位相を制御するための点弧パル
スを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回路とを
備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制御回路
に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク電圧検
出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷電流設
定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信号、上記
アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との総合イン
ピーダンス設定信号、及びアーク電圧設定信号を発生す
る運転条件設定信号発生器と、定無効電力位相制御信号
cosαを、負荷電流設定信号Idref及びアーク電圧設
定信号Earcrefを中心としてテーラ展開の1次近似を行
い線形化した下式に従い、
【数6】 上記負荷電流設定信号Idref、交流入力電圧設定信号E
sref、アーク電圧設定信号Earcref、総合インピーダン
ス設定信号Zref 、及び上記アーク電圧検出器によるア
ーク電圧検出信号Earcに基づいて演算出力する定無効
電力位相制御回路と、上記定電流位相制御信号と上記定
無効電力位相制御信号とを加算する加算手段とを備える
と共に、上記点弧パルス発生器を、上記加算手段による
加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パルスを発生
する構成としたことを特徴とするものである。
【0020】また、請求項6に係る直流アーク炉の電源
装置は、交流電源からの交流電圧を所定の電圧に変換す
る変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流して直流
アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有する直流
電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる電流を
検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負荷電流
設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出力する
定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号に基づ
いて上記整流回路の点孤位相を制御するための点弧パル
スを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回路とを
備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制御回路
に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク電圧検
出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷電流設
定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信号、上記
アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との総合イン
ピーダンス、及びアーク電圧設定信号を発生する運転条
件設定信号発生器と、この運転条件設定信号発生器から
の設定信号に基づいた運転パターン毎の増幅率を選択
し、その選択された増幅率により上記アーク電圧検出手
段によるアーク電圧検出信号を増幅して定無効電力位相
制御信号を演算出力する定無効電力位相制御回路と、上
記定電流位相制御信号と上記定無効電力位相制御信号と
を加算する加算手段とを備えると共に、上記点弧パルス
発生器を、上記加算手段による加算結果に基づいて上記
整流回路への点弧パルスを発生する構成としたことを特
徴とするものである。
【0021】さらに、請求項7に係る直流アーク炉の電
源装置は、交流電源からの交流電圧を所定の電圧に変換
する変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流して直
流アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有する直
流電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる電流
を検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負荷電
流設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出力す
る定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号に基
づいて上記整流回路の点孤位相を制御するための点弧パ
ルスを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回路と
を備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制御回
路に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク電圧
検出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷電流
設定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信号、上
記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との総合イ
ンピーダンス設定信号、及びアーク電圧設定信号を発生
する運転条件設定信号発生器と、この運転条件設定信号
発生器からの設定信号に基づいた固定増幅率により上記
アーク電圧検出手段により検出されるアーク電圧検出信
号を増幅して定無効電力位相制御信号を演算出力する定
無効電力位相制御回路と、上記定電流位相制御信号と上
記定無効電力位相制御信号とを加算する加算手段とを備
えると共に、上記点弧パルス発生器を、上記加算手段に
よる加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パルスを
発生する構成としたことを特徴とするものである。
【0022】
【作用】この発明の請求項1に係る直流アーク炉の電源
装置においては、定無効電力位相制御回路により、アー
ク電圧検出手段によるアーク電圧検出信号と運転条件設
定信号発生器により設定された運転条件及び整流回路の
整流素子に流れる電流が微少な状態での電圧降下信号と
に基づいて定無効電力位相制御信号が演算出力され、加
算手段により、定電流位相制御信号と上記定無効電力位
相制御信号とが加算されて、その加算結果が点弧パルス
発生器に与えられ、点孤パルス発生器により、上記加算
結果に基づいて上記整流回路への点弧パルスを発生する
ことにより、定電流位相制御と定無効電力位相制御がな
される。
【0023】また、請求項2に係る直流アーク炉の電源
装置においては、定無効電力位相制御回路により、アー
ク電圧検出手段によるアーク電圧検出信号Earc と、運
転条件設定信号発生器による負荷電流設定信号、交流入
力電圧設定信号、アーク電圧設定信号、及び総合抵抗設
定信号と、整流回路の整流素子に流れる電流が微少な状
態での電圧降下信号ep に基づいた基準無効電力Qref
が求められると共に、下記に示す漸化式を満たす変数E
z が求められ、
【数7】 その変数、上記アーク電圧検出手段によるアーク電圧検
出信号、上記整流回路の整流素子に流れる電流が微少な
状態での電圧降下信号、及び上記交流入力電圧設定信号
に基づいて定無効電力位相制御信号が演算出力され、加
算手段により、定電流位相制御信号と上記定無効電力位
相制御信号とが加算されて、その加算結果が点弧パルス
発生器に与えられ、点孤パルス発生器により、上記加算
結果に基づいて上記整流回路への点弧パルスを発生する
ことにより、定電流位相制御と定無効電力位相制御がな
される。
【0024】また、請求項3に係る直流アーク炉の電源
装置においては、定無効電力位相制御回路により、アー
ク電圧検出手段によるアーク電圧検出信号と、運転条件
設定信号発生器からの負荷電流設定信号、交流入力電圧
設定信号、及びアーク電圧設定信号に基づいて基準無効
電力が求められると共に、その基準無効電力、総合イン
ピーダンス設定信号、交流入力電圧設定信号及びアーク
電圧検出信号に基づいて定無効電力位相制御信号が演算
出力され、加算手段により、定電流位相制御信号と上記
定無効電力位相制御信号とが加算されて、その加算結果
が点弧パルス発生器に与えられ、点孤パルス発生器によ
り、上記加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パル
スを発生することにより、定電流位相制御と定無効電力
位相制御がなされる。
【0025】また、請求項4に係る直流アーク炉の電源
装置においては、定無効電力位相制御回路により、運転
条件設定信号発生器からの負荷電流設定信号Idref及び
アーク電圧設定信号Earcrefを中心としてテーラ展開の
1次近似を行い線形化した下式に従い、
【数8】 定無効電力位相制御信号cosαが、運転条件設定信号
発生器からの負荷電流設定信号Idref、交流入力電圧設
定信号Esref、アーク電圧設定信号Earcref、総合抵抗
設定信号Rref、総合インピーダンス設定信号Zref、上
記整流回路の整流素子に流れる電流が微少な状態での電
圧降下信号ep 、アーク電圧検出器によるアーク電圧検
出信号Earc 及び負荷電流検出信号Id に基づいて演算
出力され、加算手段により、定電流位相制御信号と上記
定無効電力位相制御信号とが加算されて、その加算結果
が点弧パルス発生器に与えられ、点孤パルス発生器によ
り、上記加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パル
スを発生することにより、定電流位相制御と定無効電力
位相制御がなされる。
【0026】また、請求項5に係る直流アーク炉の電源
装置においては、定無効電力位相制御回路により、運転
条件設定信号発生器からの負荷電流設定信号Idref及び
アーク電圧設定信号Earcrefを中心としてテーラ展開の
1次近似を行い線形化した下式に従い、
【数9】 定無効電力位相制御信号cosαが、運転条件設定信号
発生器からの負荷電流設定信号Idref、交流入力電圧設
定信号Esref、アーク電圧設定信号Earcref、総合イン
ピーダンス設定信号Zref 、及びアーク電圧検出器によ
るアーク電圧検出信号Earcに基づいて演算出力され、
加算手段により、定電流位相制御信号と上記定無効電力
位相制御信号とが加算されて、その加算結果が点弧パル
ス発生器に与えられ、点孤パルス発生器により、上記加
算結果に基づいて上記整流回路への点弧パルスを発生す
ることにより、定電流位相制御と定無効電力位相制御が
なされる。
【0027】また、請求項6に係る直流アーク炉の電源
装置においては、定無効電力位相制御回路により、運転
条件設定信号発生器からの設定信号に基づいた運転パタ
ーン毎の増幅率によってアーク電圧検出手段によるアー
ク電圧検出信号を増幅することにより定無効電力位相制
御信号が演算出力され、加算手段により、定電流位相制
御信号と上記定無効電力位相制御信号とが加算されて、
その加算結果が点弧パルス発生器に与えられ、点孤パル
ス発生器により、上記加算結果に基づいて上記整流回路
への点弧パルスを発生することにより、定電流位相制御
と定無効電力位相制御がなされる。
【0028】さらに、請求項7に係る直流アーク炉の電
源装置においては、定無効電力位相制御回路により、運
転条件設定信号発生器からの設定信号に基づいた固定増
幅率によってアーク電圧検出手段により検出されるアー
ク電圧検出信号を増幅することにより定無効電力位相制
御信号が演算出力され、加算手段により、定電流位相制
御信号と上記定無効電力位相制御信号とが加算されて、
その加算結果が点弧パルス発生器に与えられ、点孤パル
ス発生器により、上記加算結果に基づいて上記整流回路
への点弧パルスを発生することにより、定電流位相制御
と定無効電力位相制御がなされる。
【0029】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図に基づいて説
明する。図1はこの発明の実施例1に係る直流アーク炉
の電源装置を示す全体構成図である。図1において、図
12と対応する部分には同一符号を付し、その重複説明
を省略する。10Aはコンピュータや可変抵抗器等によ
る運転条件設定信号発生器であり、負荷回路の運転条件
として、負荷電流設定信号Idref、アーク電圧設定信号
arcref、整流回路3の交流入力電圧設定信号Esref
アーク5aを除く負荷回路と直流電源装置との総合抵抗
設定信号Rref 及び総合インピーダンス設定信号Zref
を設定し出力する。
【0030】14はアーク電圧を検出するアーク電圧検
出器、15はアーク電圧検出器14により検出されたア
ーク電圧を所定の信号レベルに変換して出力するアーク
電圧変換器、16は定無効電力位相制御回路であり、他
の運転条件として整流回路3の整流素子の電流が微少な
状態での電圧降下設定信号(整流方式と整流素子の特性
による固定値)eprefを予め記憶してなり、アーク電圧
変換器15により出力されるアーク電圧検出信号Earc
に応答し、該アーク電圧検出信号Earc と上記運転条件
設定信号発生器10Aからの各種運転条件に基づいて、
基準無効電力Qref を求めると共に実際の無効電力Qを
求め、アーク電圧検出信号Earc に応じて実際の無効電
力Qと基準無効電力Qref とが等しくなるように、負荷
電流Idを制御することにより無効電力を一定に制御す
べく、整流回路3に対する定無効電力位相制御信号co
sαを出力する。
【0031】17は定電流位相制御回路12からの定電
流位相制御信号と定無効電力位相制御回路16からの定
無効電力位相制御信号とを加算した加算値を点孤パルス
発生器13に出力する加算器であり、点孤パルス発生器
13は、その加算結果に基づいて整流回路3への点孤パ
ルスを発生するようになされ、これにより、定電流制御
と定無効電力制御がなされるようになっている。ここ
で、上記点孤パルス発生器13には、加算器17による
定電流位相制御回路12からの定電流位相制御信号(例
えばcosα12)と定無効電力位相制御回路16からの
定無効電力位相制御信号(例えばcosα16)とを加算
した余弦値でなる信号(例えばcosα17)が与えら
れ、定電流制御と定無効電力制御とを組み合わせるよう
になっていて、点孤パルス発生器13は、加算した余弦
値でなる信号cosα17に基づいた点孤位相角α17で整
流器3への点孤パルスを出力することになるが、これ
は、定無効電力制御のみでは、負荷の状況によっては所
要エネルギーを投入できない可能性があり、これを補正
するためのもので、上記定電流制御は積分要素又は一時
遅れ要素をもったフィードバック制御を行っており、設
定値の演算に基づく定無効電力制御に比較して、非常に
ゆっくりとした制御で、負荷電流Idを負荷電流設定信
号Idrefに合わせるように制御し、従って、初期の段階
では、電流変換器9の出力Id'が運転条件設定信号発生
器10Aからの負荷電流設定信号Idrefよりも大きくな
り、定電流位相制御回路12の出力がマイナスとなって
電流を抑制し、負荷電流設定信号の値となるように制御
することになる。また、上記点孤パルス発生器13への
入力cosα17が1より大きくなった場合、例えば、ア
ーク炉5でのアーク長が急激に長くなり、負荷電流Id
が負荷電流設定信号Idrefの値よりも下回った場合に、
加算器17から点孤パルス発生器13への入力信号co
sα17が1よりも大きくなる可能性があるが、cosα
17が1の場合が整流器3の最大出力に対応し、上記点孤
パルス発生器13には、リミッタが内蔵されていて、余
弦値が1以上となった場合でも、余弦値が1の場合より
も大きな出力を得ることはできなく、その場合、整流器
3への点孤位相角α17を、α17=0として点孤パルスを
発生することになる。通常は、点孤パルス発生器13内
の信号に高調波が重畳した場合の誤点孤防止のために、
余弦値cosα17がある値以上となった場合に、点孤位
相角α17がリミッタ値以下にならないように点孤位相角
α17を得ている。
【0032】なお、整流回路3への交流入力電圧Es
変圧器2の変圧比によって決まるため、設定された変圧
比下において変圧器2のインピーダンスは一定である。
また、上記総合抵抗R及び総合インピーダンスZにはア
ーク5aのインピーダンスが含まれないので、アーク炉
5でのスクラップ等の溶解推移に伴ってアークインピー
ダンスが変動しても、交流入力電圧Es と総合抵抗R及
び総合インピーダンスZとは一定な値である。
【0033】このため、運転条件設定信号発生器10A
から出力される交流入力電圧設定信号Esrefと総合抵抗
設定信号Rref及び総合インピーダンス設定信号Zref
は、それぞれ設定された変圧比に基づく交流入力電圧E
s と総合抵抗R及び総合インピーダンスZの値であり、
変圧器2の変圧比の設定が変わると、変圧器2のインピ
ーダンスが変わるため、整流回路3への交流入力電圧E
s が変わると共に、アーク5aを除く負荷回路と直流電
源装置との総合抵抗R及び総合インピーダンスZが変わ
る。
【0034】よって、変圧器2が1つの変圧比しか持た
ない場合には、運転条件設定信号発生器10Aから出力
される上記交流入力電圧設定信号Esrefと総合抵抗設定
信号Rref 及び総合インピーダンス設定信号Zref は、
その1つの変圧比に応じた交流電圧Es と総合抵抗R及
び総合インピーダンスZの値に固定して運転条件設定信
号発生器10Aから出力する。
【0035】他方、変圧器2がタップ付変圧器のような
変圧比を可変できる場合には、設定されている変圧比が
外部から運転条件設定信号発生器10Aに入力されるこ
とにより、上記交流入力電圧設定信号Esrefと総合抵抗
設定信号Rref 及び総合インピーダンス設定信号Zref
は、設定された変圧比に応じた上記交流入力電圧ES
総合抵抗R及び総合インピーダンスZの値で運転条件設
定信号発生器10Aから出力される。
【0036】また、整流回路3の整流素子の電流が微少
な状態での電圧降下ep は、整流方式と整流素子とによ
って決まる整流回路3の固有値であるので、変圧器2の
変圧比とアークインピーダンスの変動に関係なく一定の
値であるので、定無効電力位相制御回路16に記憶され
る電圧降下設定信号eprefは固定値epをもつ。即ち、
sref=Es、Rref=R、Zref=Z、epref=ep
ある。また、運転条件設定信号発生器10Aから出力さ
れるアーク電圧設定信号Ear crefは、負荷電流設定信号
drefと同じく運転パターン毎に異なり、各々の運転パ
ターンにおいて一定である。
【0037】次に、図1に示す実施例1の構成に係る動
作について説明する。まず、この実施例1による定無効
電力制御の概念を説明する。負荷回路に供給される皮相
電力P1 は、整流回路3への交流入力電圧Es と、負荷
電流としての直流電流Id とを用いて下記の (1)式のよ
うに表される。 P1 =√2・Es・I (1) また、有効電力Pd は、アーク電圧検出信号Earc 、定
格出力時の整流回路3の電圧降下ea 、変圧器2の抵抗
分電圧降下ert、アーク5aを除く負荷回路での電圧降
下ebus 、定格出力電流Idr、整流素子の電流が微少な
状態での電圧降下ep を用いて下記の (2)式のように表
わせる。 Pd={Earc+ep+(ea+ert+ebus−ep)・Id/Idr}・Id (2)
【0038】また、アーク5aを除いた負荷回路と直流
電源装置との総合抵抗Rは、下記の(3) 式のように表わ
せる。 R=(ea+ert+ebus−ep)/Idr (3) 従って、(2)式及び(3)式より、有効電力Pd は、下記の
(4)式のようになる。 pd =(Earc+ep +R・Idr)・Id (4)
【0039】また、無効電力Q=√(P1 2−Pd 2)を、
(1)式及び(4)式を用いて表わすと、下記の(5)式のよう
になる。 Q=√(P1 2−Pd 2)=Id√{2Es 2−(Earc+ep+R・Id2} (5) ここで、運転条件設定信号発生器10Aからの負荷の運
転条件に基づいて定無効電力位相制御回路16において
演算される基準無効電力Qref は、運転条件として、負
荷電流設定信号Idref、アーク電圧設定信号Earcref
整流回路3への交流入力電圧設定信号Esref、 (3)式に
対応するアーク5aを除く全体の総合抵抗設定信号R
ref{Rref=(earef+ertref+ebusref−epref
/Idrref}とに基づいて、上記 (5)式に従って下記(1
0)式で表され、設定する運転条件で一定である。 Qref=Idref√{2Esref 2−(Earcref+epref+Rref・Idref2} (6)
【0040】一方、実際の無効電力Qは、 (5)式に示さ
れるように、負荷電流Id と、整流回路3への交流入力
電圧Es と、アーク電圧Earc と、整流素子の電流が微
少な状態での整流回路3の電圧降下ep と、アーク5a
を除く全体の総合抵抗Rとの関数であるが、ここで、上
記整流回路3への交流入力電圧Es は設定運転条件で一
定値であり、整流素子の電流が微少な状態での整流回路
3の電圧降下ep 及びアーク5aを除く全体の総合抵抗
Rについても設定運転条件では一定である。
【0041】従って、実際の無効電力Qは、アークイン
ピーダンスの変動によるアーク電圧Earc の変動と負荷
電流Id の変動により変化することになるので、アーク
インピーダンスの変動によるアーク電圧Earc の変動に
応じて負荷電流Id を制御すれば、無効電力Qを一定と
することができることになる。すなわち、アークインピ
ーダンスの変動によりアーク電圧検出信号Earc が変化
した場合、(5)式に示す実際の無効電力Qと(6)式に示す
基準無効電力Qref とが等しくなるように、負荷電流I
d を制御すれば良い。
【0042】なお、(5)式と(6)式は、実際の電圧、電
流、抵抗等を制御系で比較演算できるように、ある信号
レベルに変換したものとなるが、ここでは、説明の都合
上、同一の値を示すものとする。また、ここで、上記負
荷電流Id の制御は、アーク短絡等による急峻なアーク
電圧の変動に対して素早く対応する必要があり、実際の
負荷電流の制御を、整流回路3の点孤位相角を直接制御
することによって行うことにより、高速の定無効電力制
御が行い得る。
【0043】今、定格出力時の直流電源装置の転流イン
ピーダンスによる電圧降下をex とすると、通常、アー
ク炉用直流電源設備の整流回路3に使用される3相ブリ
ッジ結線では、点孤位相角αと負荷電流Id の関係は下
記の(7)式で表わせる。 1.35 Escosα=Earc+ep+(ea+ert+ebus+ex-ep)Id/Idr (7) ここで、この (7)式の右辺第3項は、アーク5aを除く
負荷回路と直流電源装置との総合インピーダンスZを示
し、下記の (8)式のようになる。 Z=(ea+ert+ebus+ex−ep)/Idr (8) この(8)式を上記 (7)式に代入して整理すると、負荷電
流Iは下記の (9)式で表される。 Id = (1.35Es cosα−Earc−ep)/Z (9) ここで、(9)式を(5)式に代入すると、無効電力Qは下記
の(10)式で表される。
【0044】
【数10】
【0045】この(10)式において、整流回路3の交流入
力電圧Es は設定する運転条件により決まる値であり、
(6)式に示すEsrefと同値である。また、整流素子の電
流が微少なときの整流回路3の電圧降下ep と、アーク
5aを除く全体の総合抵抗Rについても設定する運転条
件によらず一定の値となり、 (6)に示すepref、Rre f
と同値である。さらに、アーク5aを除く全体の総合イ
ンピーダンスZについても設定する運転条件によらず一
定の値となり、これらの値は、運転条件設定信号発生器
10Aに入力することにより与えられる。
【0046】従って、(10)式は、アークインピーダンス
の変化に伴って変動するアーク電圧Earc と点孤位相角
αの関数となる。絶えず変動するアーク電圧検出信号E
arcをアーク電圧検出器14により検出し、アーク電圧
変換器15により所定の信号レベルに変換して定無効電
力位相制御回路16に入力し、この定無効電力位相制御
回路16により、(10)式に示す無効電力Qが (6)式に示
す基準無効電力Qrefとなるような点孤位相角αに係る
定無効電力位相制御信号cosαを演算して点孤パルス
発生器13に与えることにより、点孤パルス発生器13
は、無効電力Qが基準無効電力Qref となるような点孤
パルスを発生することになる。すなわち、 (6)式=(1
0)式として、(11)式を満足する定無効電力位相制御信号
cosαを演算し、点孤パルスの位相を制御する。
【0047】
【数11】
【0048】そして、定無効電力位相制御回路16で求
めた定無効電力位相制御信号cosαを定電流位相制御
回路12が発生する定電流位相制御信号に加算器17に
より補助信号として加算し、その加算結果を点弧パルス
発生器13に出力し、整流回路3を動作させる。
【0049】このように、従来の定電流制御に定無効電
力制御を付加することにより、ある瞬間の負荷電流Id
は無効電力制御により、負荷電流設定信号Idrefとの間
に差が生じることになるが、その差分については、定電
流位相制御回路12を主体とする定電流制御ループによ
り比較的ゆっくりとした応答時間で補正されて、負荷電
流と運転時間の積は従来の定電流制御回路12のみの場
合とほぼ同じとなる。
【0050】また、人間が最もフリッカを感じる周波数
は、約10Hzであり、それより十分ゆっくりした変動
に関しては、あまり気にならなくなるという特性をもっ
ている。また、直流アーク炉では、一般的に、1操業サ
イクルは約1時間程度の長さがあり、定電流制御の応答
速度は、1〜3秒程度でもまったく影響はない。したが
って、比較的ゆっくりした応答速度の定電流制御と、十
分に速い応答速度の定無効電力制御の組み合せにより、
発生フリッカが少なく、しかも、定電流制御された直流
アーク炉用電源が得られる。
【0051】なお、上記実施例1では、交流入力電圧設
定信号Esrefと総合抵抗設定信号Rref 及び総合インピ
ーダンス設定信号Zref を運転条件設定信号発生器10
Aから出力するが、それら設定信号は、アークインピー
ダンスが変わっても一定であるので、電圧降下設定信号
prefのように定無効電力位相制御回路16に記憶させ
ても良い。また、電圧降下設定信号eprefを、運転条件
設定信号発生器10Aから出力するようにしても良い。
【0052】また、上記実施例1では、定無効電力制御
を従来技術の定電流制御と組み合わせて整流回路3の点
弧位相を制御しているが、定無効電力制御は、定電流制
御のみならず公知技術である定有効電力制御や定電流時
間積制御、定有効電力時間積制御等、目的に応じて他の
制御方式と組み合わせてもよい。
【0053】以上のように、上記実施例1によれば、従
来の定電流制御に並行して、運転条件設定信号発生器1
0Aからの各種運転条件に基づいて、基準無効電力Q
ref を求めて、アーク電圧検出信号Earc に応じて実際
の無効電力Qと基準無効電力Qref とが等しくなるよう
に整流回路3の点孤位相角を直接制御して負荷電流Id
を制御することにより無効電力を一定に制御する定無効
電力制御回路を備えたので、アーク短絡等により負荷イ
ンピーダンスが急変した場合でも無効電力を高速に一定
制御することができ、これに伴う電源系統のフリッカを
低減することができる。また、電源系統にフリッカの規
制がある場合、フリッカ防止のために、無効電力補償装
置を設置する必要が生じるが、その無効電力補償装置の
容量を小さくすることができ、条件によっては不要とす
ることができ、直流アーク炉設備の製作費用及び設置ス
ペース等を大幅に削減できる。
【0054】実施例2.上述した実施例1では、定無効
電力位相制御回路16の基本方式について述べたが、こ
の実施例2では、定無効電力位相制御回路16の具体例
について説明する。図2は実施例2に係るもので、図1
に示す定無効電力位相制御回路16の具体的構成図であ
り、図中の各入出力信号は図1の対応する信号と同一で
ある。まず、この実施例2の概念について説明する。上
記(11)式で表される等価式において、 Ez=1.35Escosα−Earc−ep (12) とおくと、 (6)、(11)式より下記の(13)式によって
示される漸化式が導かれる。 Ez=Z・Qref/√[2Es 2−{Earc+ep+(R/Z)・Ez2] (13)
【0055】さらに、(12)式において無効電力の時間変
化に寄与しない成分ep を無視して下記の(14)式のよう
に変形する。 cosα=(Ez+Earc+ep)/1.35Es (14) この(14)式において、変数EZ が求まれば、定無効電力
位相制御信号cosαを求めることができる。そこで、
この実施例2では、(13)式に示す変数Ez を図2に示す
回路により漸化式として求めることにより、整流回路3
の定無効電力位相制御信号cosαを求める。
【0056】次に、上述した概念に基づいて定無効電力
位相制御信号cosαを演算する定無効電力位相制御回
路を図2に基づいて具体的に説明する。同図において、
16Aは、第1の演算ブロック18と第2の演算ブロッ
ク19とで構成される定無効電力位相制御回路である。
上記第1の演算ブロック18は、運転条件設定信号発生
器10Aより出力される運転条件としての各種運転条件
設定信号に基づいて、定無効電力制御の基準信号となる
(13)式のZ・Qref ,R/Z,2Es 2の各種信号を演
算して出力する。上記各種運転条件設定信号としての
Z、Qref 、R、Es は、頻繁に変動するアークインピ
ーダンスに依存せず一定であるため、上記Z・Qref
R/Z,2Es 2の演算を高速で行う必要がないので、第
1の演算ブロック18を運転条件設定信号発生器10A
に組み入れてもよい。
【0057】第2の演算ブロック19は、第1の演算ブ
ロック18の出力するZ・Qref 、R/Z,2ES 2の各
種の信号と、アークインピーダンスの変動により頻繁に
変動するアーク電圧変換器15からのアーク電圧検出信
号Earc とにより、直流電源装置の発生する無効電力Q
が基準無効電力Qref で一定となるように、整流回路3
の点弧位相を、アーク電圧検出信号Earc の変動にでき
る限り追従するよう高速で演算し、定無効電力位相制御
信号cosαを出力する。
【0058】まず、第1の演算ブロック18の詳細につ
いて述べる。18aは負荷電流設定信号Idrefと、アー
ク5aを除く負荷回路と直流電源装置との総合インピー
ダンスZとを乗算してIdref・Zを出力する乗算器、1
8bは負荷電流設定信号Idrefと、アーク5aを除く負
荷回路と直流電源装置との総合抵抗Rとを乗算してI
dref・Rを出力する乗算器、18cは整流回路3の交流
入力電圧設定信号ESref=ES を2乗すると共に2倍し
て2ES 2を出力する2乗2倍器である。
【0059】18dは乗算器18bの出力信号Idref
Rとアーク電圧設定信号Earcref及び予め記憶している
整流回路3の整流素子の電流が微少な状態での電圧降下
pとを加算してその加算結果(Earcref+Idref・R
+ep )を出力する加算器、18eはこの加算器18d
の出力を2乗して(Earcref+Idref・R+ep2を出
力する2乗器である。
【0060】18fは上記2乗2倍器18cの出力2E
S 2より2乗器18eの出力(Earcr ef+Idref・R+e
p2を減算して{2ES 2−(Earcref+Idref・R+e
P2}を出力する減算器、18gはこの減算器18fの
出力{2ES 2−(Earcref+Idref・R+eP2}の平
方根を演算して√{2ES 2−(Earcref+Idref・R+
P2}を演算して出力する平方根器である。
【0061】18hは上記平方根器18gの出力√{2
S 2−(Earcref+Idref・R+eP2}と乗算器18
aの出力Idref・Zとを乗算してZ・Idref・√{2E
S 2−(Earcref +Idref・R+eP2}を出力する乗
算器である。ここで、乗算器18hの出力は、 (6)式に
示すZ・Qref となる。また、18iはアークを除く負
荷回路と直流電源装置との総合抵抗Rを総合インピーダ
ンスZで除算して、R/Zを出力する除算器である。
【0062】次に、第2の演算ブロック19の詳細につ
いて述べる。ここで、19a〜19fについては信号系
がループを形成しており、単純に各機器の出力を明示す
ることは困難で、そこで、まず、除算器を示す符号19
aの出力信号をXとして説明する。すなわち、19aは
第1の演算ブロック18の2乗回路18hの出力Z・Q
ref を後述する平方根器19fの出力で除算した結果を
Xとして出力する除算器、19bはこの除算器19aの
出力Xと上記第1の演算ブロック18の除算器18iの
出力R/Zとを乗算する乗算器である。
【0063】19cはこの乗算器19bの出力(R/
Z)・Xと、アーク電圧変換器15からのアーク電圧検
出信号Earc と、予め記憶された整流回路3の整流素子
に流れる電流が微少な状態での電圧降下ep とを加算し
て、出力(R/Z)・X+Ear c+eP を得る加算器、
19dはこの加算器19cの出力(R/Z)・X+E
arc+eP を2乗して{(R/Z)・X+Earc +e
P2 を得る2乗器、19eは上記第1の演算ブロック
18の2乗2倍器18cの出力2ES 2から上記2乗器1
9dの出力{(R/Z)・X+Earc+eP2 を減算し
て出力2ES 2−{(R/Z)・X+Earc+eP2 を得
る減算器、19fはその減算器19eの出力2ES 2
{(R/Z)・X+Earc+eP2 を1/2乗して出力
√[2ES 2−{(R/Z)・X+Earc+eP2]を得
る平方根器である。
【0064】従って、上記除算器19aは、第1の演算
ブロック18の2乗回路18hの出力Z・Qref を平方
根器19fの出力√[2ES 2−{(R/Z)・X+E
arc+eP2]で除算することになり、出力Xは下記の
(15)式を満たす値となる。 X=Z・Qref/√[2ES 2−{(R/Z)・X+Earc+eP2] (15) ここで、(15)式と(13)式とを比較すると、(15)式のXは
(13)式の変数EZ に相当することが判る。つまり、19
a〜19fにより(13)式に示す漸化式における変数EZ
が求まることになる。
【0065】また、19gは除算器19aの出力EZ
アーク電圧変換器15からのアーク電圧検出信号Earc
とを加算してEZ+Earcを出力する加算器、19hは加
算器19gの出力EZ+Earcを1.35で除算すると共に、
運転条件設定信号発生器10Aから出力される整流回路
3への交流入力電圧設定信号Esref=Es で除算して
(Ez+Earc)/(1.35Es )を出力する除算器であ
り、除算器19hの出力(Ez+Earc)/(1.35Es
は、(14)式に示すように、定無効電力位相制御信号co
sαとなる。
【0066】ここで、交流入力電圧設定信号Esref=E
s =500V、負荷電流設定信号Idref=100(k
A)とし、制御遅れ時間を0と仮定した場合のアーク電
圧検出信号Earcの変化に対する無効電力Qの値を図3
に示す。図3において、例えば、アークインピーダンス
の変動によりアーク電圧Earcが500Vから±100
V変化した場合を考えると、無効電力Qは、従来の定電
流制御のみの場合では、最大73MVar、最小57M
Varとなり、変化幅が16MVarであるのに対し
て、この実施例2では、無効電力Qはほぼ66MVar
で一定とすることができ、フリッカの発生抑制に非常に
大きな効果が得られる。
【0067】以上のように、上記実施例2によれば、変
数Ez に関する漸化式を使用して該漸化式に基づいて変
数Ez を求めることによりアークインピーダンスの変動
に高速に追従して整流回路3の定無効電力位相制御信号
cosαを求めることができる定無効電力位相制御回路
16Aを備えたので、アーク電圧の大きな変動に対して
も高い精度で定無効電力制御が行い得ることができ、ア
ーク短絡等により負荷インピーダンスが大きく急変した
場合でも無効電力を高速に一定制御することができる。
【0068】実施例3.まず、この実施例3の概念を説
明する。上記実施例2において、アーク5aを除く負荷
回路と直流電源装置との総合抵抗Rによる電圧降下がア
ーク電圧Earc に比べて充分小さい場合には、 (5)式に
おいて、R≒0とし、整流回路3の整流素子の電流が微
少な状態での電圧降下epをep≒0として、 (5)式を下
記の(16)式のように表せる。 Q≒I√(2Es 2−Earc 2) (16)
【0069】また、同様に、(6)式は、epref=ep
0、Rref=R≒0として下記の(17)式で表される。 Qref≒Idref√(2Esref 2−Earcref 2) (17) ここで、無効電力Q=基準無効電力Qref とすると、 Id=Qref/√(2ES 2−Earc 2) (18) となる。そして、(9)式を用いてcosαについて解け
ば下記の(19)式が得られる。
【0070】
【数12】
【0071】この(19)式において、無効電力の時間変化
に寄与しない成分epを無視すると、cosαは下記の
(20)式で表される。
【0072】
【数13】
【0073】そこで、この実施例3では、アーク5aを
除く負荷回路と直流電源装置との総合抵抗R≒0、整流
回路3の整流素子の電流が微少な状態での電圧降下e
≒0と近似して、負荷電流設定信号Idref、アーク5a
を除く負荷回路と直流電源装置との総合インピーダンス
設定信号Zref =Z、アーク電圧設定信号Earcref、交
流入力電圧設定信号ESref=Eに基づいて近似的に定
無効電力位相制御信号cosαを求める。
【0074】次に、上述した概念に基づいて定無効電力
位相制御信号cosαを演算する定無効電力位相制御回
路を図4に基づいて具体的に説明する。図4は図1の定
無効電力位相制御回路16の実施例3に係る構成図であ
り、図中の各入出力信号線は図1の対応する信号と同一
である。図4において、16Bは、第1の演算ブロック
18Aと第2の演算ブロック19Aとで構成される定無
効電力位相制御回路である。
【0075】第1の演算ブロック18Aは、運転条件設
定信号発生器10Aより出力される各種運転条件設定信
号に基づいて所定の運転条件における定無効電力制御の
基準値としてZ・Qref 、2Es 2の信号を演算出力する
もので、これら出力信号は、所定の運転条件においてア
ークインピーダンスの変動に依存せず一定であるため、
高速で演算処理する必要はなく、従って、第1の演算ブ
ロック18Aを運転条件設定信号発生器10Aに組み入
れてもよい。
【0076】第2の演算ブロック19Aは、第1の演算
ブロック18Aの出力するZ・Qre f 及び2Es 2と、運
転条件設定信号発生器10Aの出力する交流入力電圧設
定信号Esref=Es と、アークインピーダンスの変動に
より頻繁に変化するアーク電圧変換器15によるアーク
電圧検出信号Earc とにより、直流電源装置の発生する
無効電力Qが基準無効電力Qref で一定となるように、
整流回路3の点弧位相角を、アーク電圧検出信号Earc
の変動にできる限り追従するよう高速で演算して定無効
電力位相制御信号cosαを出力する。
【0077】まず、第1の演算ブロック18Aの詳細に
ついて述べる。18Aaは負荷電流設定信号Idrefと、
アーク5aを除く負荷回路と直流電源装置との総合イン
ピーダンスZとを乗算してIdref・Zを出力する乗算
器、18Abはアーク電圧設定信号Earcrefを2乗しE
arcref 2 を出力する2乗器、18Acは整流回路3への
交流入力電圧設定信号Esref=Esを2乗すると共に2
倍して2Es 2を出力する2乗2倍器である。
【0078】18Adは2乗2倍器18Acの出力2E
s 2より2乗器18Abの出力2Ear cref 2を減算して2
s 2−Earcref 2を出力する減算器、18Aeは減算器
18Adの出力2Es 2−Earcref 2を1/2乗して√
(2Es 2−Earcref 2)を出力する平方根器、18Af
は乗算器18Aaの出力Idref・Zと平方根器18Ae
の出力√(2ES 2−Earcref 2)とを乗算してIdref
Z・√(2ES 2−Earcref 2)を出力する乗算器であ
る。ここで、乗算器18Afの出力は上記(17)式よりZ
・Qrefである。
【0079】次に、第2の演算ブロック19Aの詳細に
ついて述べる。19Aaはアーク電圧変換器15が出力
するアーク電圧検出信号Earc を2乗する2乗器、19
Abは2乗2倍器18Acの出力2Es 2から2乗器19
Aaの出力Earc 2を減算して2Es 2−Earc 2を出力する
減算器、19Acは減算器19Abの出力2Es 2−E
arc 2を1/2乗して√(2ES 2−Earc 2)を出力する平
方根器である。
【0080】19Adは乗算器18Afの出力信号Z・
ref を平方根器19Acの出力√(2Es 2−Earc 2
で除算してZ・Qref /√(2Es 2−Earc 2)を出力す
る除算器、19Aeは除算器19Adが出力するZ・Q
ref /√(2Es 2−Earc 2)とアーク電圧変換器15か
らのアーク電圧検出信号Earcとを加算して{Z・Qre f
/√(2ES 2−Earc 2)}+Earc を出力する加算器で
ある。
【0081】19Afは加算器19Aeの出力{Z・Q
ref /√(2ES 2−Earc 2)}+Ea rc を、運転条件設
定信号発生器10Aより出力される整流回路3への交流
入力電圧設定信号ESref=ES で除算すると共に係数1.
35で除算して、上記(20)式で示す定無効電力位相制御信
号cosαを出力する除算器である。
【0082】ここで、上記実施例3の効果の一例とし
て、上記実施例2で述べた条件下で、この実施例3を用
いた場合のアーク電圧検出信号Earc と無効電力Qとの
関係を図5に示す。例えば、アークインピーダンスの変
動によりアーク電圧検出信号Earc が500Vから±1
00V変化した場合を考えると、無効電力Qは、従来の
定電流制御のみの場合では最大73MVar、最小57
MVarとなり、変化幅が16MVarであるのに対し
て、この実施例3では、最大67MVar、最小64M
Varで、変化幅は3MVarとなり、従来の定電流制
御のみの場合の20%程度になるので、フリッカの抑制
に大きな効果が得られる。
【0083】従って、上記実施例3によれば、前述した
実施例2において、アーク電圧に比べて、アーク5aを
除く負荷回路と直流電源装置との総合抵抗Rの負荷電流
による電圧降下が充分小さいと考えられる場合は、アー
ク5aを除く負荷回路と直流電源装置との総合抵抗Rを
無視して定無効電力位相制御信号cosαを求める定無
効電力位相制御回路16Bを備えたので、実施例2に比
較して演算回路を安価で、かつ簡単化することができ、
アークインピーダンスの変動に高速に追従して定無効電
力制御を行い得ることができ、無効電力を一定制御する
ことができる。
【0084】実施例4.上述した実施例2では、漸化式
を用いて定無効電力位相制御信号cosαを求めたが、
この実施例4では、(10)式において、Earc
arcref,Id=Idrefを中心としてテーラー展開の1
次近似を行い、線形化して定無効電力位相制御信号co
sαを求める。
【0085】まず、この実施例4の概念について説明す
る。(10)式において、定無効電力位相制御信号cosα
を、Earc=Earcref,Id=Idrefを中心としてテーラ
ー展開の1次近似を行うと、下記の(21)式のようにな
る。
【0086】
【数14】
【0087】ここで、定無効電力位相制御信号cosα
は、Earc=Earcref,Id=Idrefとして、(9)式より
下記の(22)式で表される。
【0088】
【数15】
【0089】また、定無効電力位相制御信号cosαの
アーク電圧検出信号Earc に関する微分値dcosα/
dEarcは、(10)式をアーク電圧検出信号Earcで微分し
て下記の(23)式で表される。
【0090】
【数16】
【0091】(22)式及び(23)式を(21)式に代入すると、
下記の(24)式を得る。
【0092】
【数17】
【0093】上記(24)式において、無効電力の時間変化
に寄与しない定数項(時間変化するアーク検出信号E
arc が含まれない項=(24)式の右辺第2項)を省略する
と、下記の(25)式のようになり、定無効電力位相制御信
号cosαを求めることができる。
【0094】
【数18】
【0095】次に、上述した概念に基づいて定無効電力
位相制御信号cosαを求める実施例4に係る定無効電
力位相制御回路を図6に基づいて具体的に説明する。同
図において、16Cは、第1の演算ブロック18Bと第
2の演算ブロック19Bで構成される定無効電力位相制
御回路である。第1の演算ブロック18Bは、運転条件
設定信号発生器10Aより出力される各種運転条件設定
信号に基づいて、無効電力が一定となるような定無効電
力位相制御信号cosαを得るための基準信号を発生す
る。上記各種運転条件設定信号はアークインピーダンス
の変動に依存せず一定であるため、上記基準信号の演算
を高速で行う必要がないので、第1の演算ブロック18
Bを運転条件設定信号発生器10Aに組み入れてもよ
い。
【0096】第2の演算ブロック19Bは、第1の演算
ブロック18Bが出力する基準信号とアーク電圧変換器
15からのアーク電圧検出信号Earc とに基づいて、実
際に負荷回路に供給される無効電力Qが所定の運転条件
によって決まる基準無効電力Qref で一定となるよう
に、アーク電圧検出信号Earc の変動にできる限り追従
するよう、定無効電力位相制御信号cosαを高速に演
算出力する。
【0097】まず、第1の演算ブロック18Bの詳細に
ついて述べる。18Baは運転条件設定信号発生器10
Aから出力される負荷電流設定信号Idrefと、アークを
除く負荷回路と直流電源装置との総合インピーダンスZ
とを乗算してZ・Idrefを出力する乗算器、18Bbは
負荷電流設定信号Idrefと、アークを除く負荷回路と直
流電源装置との総合抵抗Rとを乗算してR・Idrefを出
力する乗算器、18Bcは乗算器18Bbの出力信号R
・Idrefを2倍して2R・Idrefを出力する2倍器であ
る。
【0098】18Bdは予め記憶している整流回路3の
整流素子に流れる電流が微少な状態での電圧降下信号e
p と、2倍器18Bcの出力信号2R・Idref、及び運
転条件設定信号発生器10Aから出力されるアーク電圧
設定信号Earcrefとを加算して2R・Idref+Earcref
+ep を出力する加算器である。
【0099】18Beは乗算器18Bbの出力R・I
drefと、アーク電圧設定信号Earcref、及び整流回路3
の電圧降下信号ep とを加算してR・Idref+Earcref
+epを出力する加算器、18Bfは乗算器18Baの
出力Z・Idrefと、加算器18Beの出力R・Idref
arcref+ep とを乗算してZ・Idref・(R・Idref
+Earcref+ep)を出力する加算器である。
【0100】18Bgは加算器18Beの出力R・I
dref+Earcref+ep と、加算器18Bdの出力2R・
dref+Earcref+eP とを乗算して(R・Idref+E
arcref+eP)(2R・Idref+Earcref+eP)を出力
する乗算器、18Bhは運転条件設定信号発生器10A
から出力される整流回路3への交流入力電設定信号Es
を2乗すると共に2倍して2Es 2を出力する2乗2倍器
である。
【0101】18Biは2乗2倍器18Bhの出力2E
s 2より乗算器18Bgの出力(R・Idref+Earcref
p )(2R・Idref+Earcref+eP)を減算して2
s −(R・Idref+Earcref+eP)(2R・Idref
+Earcref+ep)を出力する減算器、18Bjは乗算
器18Bfの出力Z・Idref(R・Idref+Earcref
p)を減算器18Biの出力2ES 2−(R・Idref
arcref+ep)(2R・Idref+Earcref+e)で
除算して、{Z・Idref(R・Idref+Earcref
)}/{2Es −(R・Idref+Earcref+ep
(2R・Idref+Earcr ef+e)}を出力する除算器
である。
【0102】18Bkは除算器18Bjの出力{Z・I
dref(R・Idref+Earcref+e)}/{2E
(R・Idref+Earcref+e)(2R・Idref+E
arcref+e)}に1.0を加算して、{Z・Idref(R
・Idref+Earcref+e)}/{2ES 2−(R・I
dref+Earcref+e)(2R・Idref+Earcref+e
)}+1を出力する加算器、18Blは加算器18B
kの出力{Z・Idref(R・Idref+Earcref
)}/{2ES 2−(RIdref+Earcref+e)(2
R・Idref+Earcref+eP)}+1を、運転条件設定
信号発生器10Bから出力される整流回路3への交流電
圧設定信号Es で除算すると共に1.35で除算して、1/
1.35ES[{Z・Idref(R・Idref+Earcref+ep)}
/{2ES 2-(R・Idr ef+Earcref+ep)(2R・I
dref+Earcref+ep )}+1]を出力する除算器であ
り、第1の演算ブロック18Bはこの信号を出力する。
【0103】次に、第2の演算ブロック19Bの詳細に
ついて述べる。19Baは第1の演算ブロック18Bの
出力信号1/1.35Es [{Z・Idref(R・Idref+E
arcref+ep)}/{2ES 2-(R・Idref+Earcref
p)(2R・Idref+Earcref+ep)}+1]と、ア
ーク電圧変換器15からのアーク電圧検出信号Earc
を乗算して、Earc/1.35ES[{Z・Idref(R・I
dref+Earcref+ep)}/{2ES 2-(R・Idref+E
arcref+ep)(2R・Idref+Earcref+ep)}+
1]を出力する乗算器で、この乗算器19Baの出力は
(25)式の右辺と同一となり、定無効電力位相制御信号c
osαとなる。
【0104】ここで、上記実施例4の効果の一例とし
て、上記実施例2で述べた条件下で、この実施例4を用
いた場合のアーク電圧検出信号Earcと無効電力Qとの
関係を図7に示す。例えばアークインピーダンスの変動
により、アーク電圧が500Vから±100V変化した
場合を考えると、無効電力Qは、従来の定電流制御のみ
の場合では最大73MVar、最小57MVarとな
り、変化幅が16MVarであるのに対して、この実施
例4では、最大66MVar、最小63MVarで、変
化幅は3MVarであり、従来の定電流制御のみの場合
の20%程度になるので、フリッカの抑制に大きな効果
が得られる。
【0105】従って、上記実施例4によれば、Earc
arcref,Id=Idrefを中心としてテーラー展開の1
次近似を行い、線形化して定無効電力位相制御信号co
sαを求める定無効電力位相制御回路16Cを備えたの
で、アークインピーダンスの変動が大きい場合は、発生
する無効電力Qと基準無効電力Qref との間の差が大き
くなるが、実施例2に比べて、回路構成が簡単になり、
アークインピーダンスの変動に高速に追従して無効電力
を一定に制御できる。
【0106】実施例5.まず、この実施例5の概念につ
いて説明する。上記実施例4において、アーク5aを除
く負荷回路と直流電源装置との総合抵抗Rの負荷電流I
dによる電圧降下がアーク電圧Earcに比べて充分小さい
とすれば、上記実施例3の(18)式及び(19)式が成立し、
これらの式より下記の(26)式が得られる。
【数19】
【0107】ここで、定無効電力位相制御信号cosα
を、Earc=Earcref ,I=Idr efを中心としてテー
ラー展開の1次近似を行ない線形化すると、(21)式とな
る。この(21)式で、定無効電力位相制御信号cosα
は、Earc=Earcref,I=Idrefとして、(26)式よ
り、
【0108】
【数20】
【0109】となり、また、dcosα/dEarcは、
(26)式をEarcで微分して下記の(28)式で表される。
【0110】
【数21】
【0111】(27)式と(28)式を(21)式に代入すると、
【0112】
【数22】
【0113】となり、無効電力の時間変化に寄与しない
定数項を省略すると、
【0114】
【数23】
【0115】となり、定無効電力位相制御信号cosα
を求めることができる。
【0116】次に、上述した概念に基づいて定無効電力
位相制御信号cosαを演算する実施例5に係る定無効
電力位相制御回路を図8に基づいて具体的に説明する。
図8において、16Dは、第1の演算ブロック18Cと
第2の演算ブロック19Cとで構成される定無効電力位
相制御回路である。第1の演算ブロック18Cは、運転
条件設定信号発生器10Aより出力される各種運転条件
設定信号に基づいて、無効電力が一定となるような位相
制御角を求めるための基準信号を発生するもので、上記
各種運転条件設定信号はアークインピーダンスの変動に
依存せず一定であるため、上記基準信号の演算を高速で
行う必要がなく、従って、この第1の演算ブロック18
Cを運転条件設定信号発生器10Aに組み入れてもよ
い。
【0117】第2の演算ブロック19Cは、第1の演算
ブロック18Cの出力する基準信号とアーク電圧変換器
15からのアーク電圧検出信号Earc とに基づいて、実
際の負荷回路に供給される無効電力Qが所定の運転条件
によって決まる基準無効電力Qref で一定となるよう
に、アーク電圧検出信号Earc の変動にできる限り追従
するよう、定無効電力位相制御信号cosαを高速に演
算出力する。
【0118】まず、第1の演算ブロック18Cの詳細に
ついて述べる。18Caは運転条件設定信号発生器10
Aから出力される負荷電流設定信号Idrefと、アーク5
aを除く負荷回路と直流電源装置との総合インピーダン
スZを乗算してZ・Idrefを出力する乗算器、18Cb
は乗算器18Caの出力信号Z・Idrefと運転条件設定
信号発生器10Aから出力されるアーク電圧設定信号E
arcrefとを乗算してZ・Idref・Earcrefを出力する乗
算器である。
【0119】18Ccは運転条件設定信号発生器10A
から出力されるアーク電圧設定信号Earcrefを2乗して
arcref 2 を出力する2乗器、18Cdは運転条件設定
信号発生器10Aから出力される整流回路3への交流入
力電圧信号Es を2乗すると共に2倍して2Es 2を出力
する2乗2倍器である。
【0120】18Ceは2乗2倍器18Cdの出力2E
s 2より2乗器18Ccの出力Earcr ef 2を減じて2Es 2
−Earcref 2を出力する減算器、18Cfは乗算器18
Cbの出力Z・Idref・Earcrefを減算器18Ceの出
力信号2Es 2−Earcref 2 で除算して(Z・Idref・E
arcref)/(2Es 2−Earcref 2)を出力する除算器であ
る。
【0121】18Cgは除算器18Cfの出力(Z・I
dref・Earcref)/(2Es 2−Earc ref 2)に1を加算し
て(Z・Idref・Earcref)/(2Es 2−Earcref 2)+
1を出力する加算器、18Chは加算器18Cgの出力
(Z・Idref・Earcref)/(2ES 2−Earcref 2)+1
を運転条件設定信号発生器10Aの出力する整流回路3
への交流電圧設定信号ESで除算すると共に1.35で除算
して(1/1.35Es){(Z・Idref・Earcref)/(2
s 2−Earcref 2)+1}を出力する除算器であり、第
1の演算ブロック18Cは、この信号を第2の演算ブロ
ック19Cに出力する。
【0122】次に、第2の演算ブロック19Cの詳細に
ついて述べる。19Caは第1の演算ブロック18Cの
出力信号(1/1.35Es){(Z・Id ref ・Earcref
/(2Es 2−Earcref 2)+1}とアーク電圧変換器15
からのアーク電圧検出信号Earc とを乗じて(Earc
1.35Es){(Z・Idref・Ear cref)/(2Es 2−E
arcref 2)+1}を出力する乗算器であり、この乗算器
19Caの出力は(32)式の右辺と同一であり、定無効電
力位相制御信号cosαとなる。
【0123】ここで、上記実施例5の効果の一例とし
て、上記実施例2で述べた条件下で、この実施例5を用
いた場合のアーク電圧検出信号Earcと無効電力Qとの
関係を図9に示す。例えばアークインピーダンスの変動
により、アーク電圧検出信号Earc が500Vから±1
00V変化した場合を考えると、無効電力Qは、従来の
定電流制御のみの場合では最大73MVarで最小57
MVarとなり、変化幅が16MVarであるのに対し
て、この実施例5では、最大66MVar、最小63M
Varとなり、変化幅は3.5MVarであり、従来の
定電流制御のみの場合の20%程度になるので、フリッ
カの抑制に大きな効果が得られる。
【0124】従って、上記実施例5によれば、前述した
実施例4において、アーク電圧に比べて、アーク5aを
除く負荷回路と直流電源装置との総合抵抗Rの負荷電流
による電圧降下が充分小さいと考えられる場合は、アー
ク5aを除く負荷回路と直流電源装置との総合抵抗Rを
無視して定無効電力位相制御信号cosαを求める定無
効電力位相制御回路16Dを備えたので、実施例4に比
較して演算回路を安価で、かつ簡単化することができ、
アークインピーダンスの変動に高速に追従して定無効電
力制御を行い得ることができ、無効電力を一定制御する
ことができる。
【0125】実施例6.まず、この実施例6の概念につ
いて説明する。上記実施例4及び5では、定無効電力位
相制御回路の第1の演算ブロックより出力される基準信
号とアーク電圧変換器15からのアーク電圧検出信号E
arc とを第2の演算ブロックで乗算して定無効電力位相
制御信号cosαを出力しているが、直流アーク炉の運
転パターンは、ボーリング期、主溶解期、メルトダウン
・精錬昇温期などと限られていて、各運転パターン毎に
アークインピーダンスの変動の度合が異なるので、運転
パターン毎に増幅率が変更可能な増幅器を設置し、アー
ク電圧検出信号Earc を各々の運転パターン毎に増幅率
を変更して増幅することにより定無効電力位相制御信号
cosαを出力してもよい。
【0126】まず、この実施例6の概念について説明す
る。前述した実施例4での(25)式(定無効電力位相制御
信号cosαを、Earc=Earcref及びI=Idref
中心としてテーラ展開の1次近似を行った式)と、実施
例5での(32)式(アーク5aを除いた負荷回路と直流電
源装置との総合抵抗Rの負荷電流による電圧降下がアー
ク電圧に比べて充分小さとして簡略化して定無効電力制
御信号cosαを同じくテーラ展開の一次近似した式)
について考える。
【0127】上記(25)式及び上記(32)式で示されるよう
に、定無効電力位相制御信号cosαは、アーク電圧検
出信号Earc と各種運転条件設定信号Es、Z、
dref、Ea rcrefの関数との積となる。上記各種運転条
件設定信号Es、Z、Idref、Earcr efは、運転パター
ン毎に異なり、かつ各運転パターンにおいては、アーク
インピーダンスの変動に依存せず一定であるので、運転
パターン毎に、(25)式及び(32)式の右辺におけるアーク
電圧検出信号Earc を除いた各種運転条件設定信号
s、Z、Idref、Earcrefの関数の部分を増幅率とす
る増幅率が可変な増幅器を設けることにより、運転パタ
ーン毎に、該当する増幅率でアーク電圧検出信号Ear c
を増幅して、定無効電力位相制御角信号cosαを求め
ることができる。
【0128】次に、上述した概念に基づいて定無効電力
位相制御信号cosαを求める実施例6に係る定無効電
力位相制御回路を図10に基づいて具体的に説明する。
図10において、16Eは、第1の演算ブロック18D
と増幅率が切り換え可能な増幅率可変式増幅器19Dと
で構成される定無効電力位相制御回路である。第1の演
算ブロック18Dは、運転条件設定信号発生器10Aよ
り出力される各種運転条件設定信号を用いた演算結果に
基づいて運転パターンを判別し、その判別結果に応じて
増幅率を選択するための増幅率選択信号を出力する。上
記運転条件設定信号は、各運転パターンにおいてはアー
クインピーダンスの変動に依存せず一定であるため、各
種運転条件設定信号を用いた演算を高速で行う必要はが
ないので、運転条件設定信号発生器10Aに組み入れて
もよい。
【0129】増幅率可変式増幅器19Dは、第1の演算
ブロック18Dからの増幅率選択信号に応じて増幅率を
切り換え設定し、設定された増幅率でアーク電圧変換器
15からのアーク電圧検出信号Earc を増幅して出力す
る。
【0130】まず、第1の演算ブロック18Dの詳細に
ついて述べる。18Daは運転条件設定信号発生器10
Aから出力される負荷電流設定信号Idrefとアーク5a
を除く負荷回路と直流電源装置との総合インピーダンス
Zとを乗算してZ・Idrefを出力する乗算器、18Db
は運転条件設定信号発生器10Aから出力されるアーク
電圧設定信号Earcrefと上記乗算器18Daの出力信号
Z・Idrefとを乗算してEarcref・Z・Idrefを出力す
る乗算器、18Dcはアーク電圧設定信号Earcref
2乗してEarcref 2を出力する乗算器である。
【0131】18Ddは運転条件設定信号発生器10A
から出力される整流回路3への交流電圧設定信号ES
2乗すると共に2倍して2ES 2を出力する2乗2倍器、
18Deは2乗2倍器18Ddの出力2ES 2から2乗器
18Dcの出力Earcref 2 を減じて2ES 2−Earcref 2
を出力する減算器、18Dfは乗算器18Dbの出力E
arcref・Z・Idrefを減算器18Deの出力2Es 2−E
arcref 2 で除算して(Earcref・Z・Idref)/(2E
s 2−Earcref 2) を出力する除算器である。
【0132】18Dgは除算器18Dfの出力(E
arcref・Z・Idref)/(2Es 2−Ear cref 2) を運転
条件設定信号発生器10Aから出力される整流回路3へ
の交流電圧設定信号Es で除算すると共に1.35で除算し
て(1/1.35Es ){(Earcref・Z・Idref)/(2
s 2−Earcref 2 )}を出力する除算器、18Dhは除
算器18Dgの出力信号(1/1.35Es ){(Earcref
・Z・Idref)/(2ES 2−Earcref 2)}に応じて増
幅率選択信号を出力する増幅率選択回路である。
【0133】次に、増幅率可変式増幅器19Dの詳細に
ついて述べる。19Dは、例えば“OPアンプ回路の設
計”(CQ出版株式会社、昭和48年8月10日初版発
行、昭和55年8月20日第15版発行)の90ペー
ジ、図5−3に示すような一般的に使用されている増幅
率が切り換え可能な増幅率可変式増幅器で、この増幅器
19Dの構成要素として、20はアンプ、21は入力抵
抗、22はフィードバック抵抗、23及び24−1ない
し24−nは出力電圧分圧抵抗、25−1ないし25−
nは出力分圧抵抗24−1ないし24−nにそれぞれ接
続され、第1の演算ブロック18Dの増幅率選択回路1
8Dhからの指令に基づいて入切することにより、出力
電圧分圧抵抗24−1ないし24−nを基準電位(通常
はアース電位)に接続するスイッチであり、出力分圧抵
抗24−1ないし24−nのうちの入にされたスイッチ
につながるものの合成抵抗と出力分圧抵抗23とにより
総合の出力抵抗値を得る。
【0134】ここで、入力抵抗21の抵抗値をRs 、フ
ィードバック抵抗22の抵抗値をRf 、出力電圧分圧抵
抗23の抵抗値をR1 とする。また、第1の演算ブロッ
ク18Dからの増幅率選択信号に応じたスイッチ25−
1から25−nまでのオンオフによる出力分圧抵抗24
−1ないし24−nの合成抵抗値をR2 とすると、増幅
率可変式増幅器19Dの増幅率ANFは、前述の“OPア
ンプ回路の設計”の90ページに示すように、ANE
(Rf/RS)・{(R1+R2)/R2}となる。
【0135】従って、各運転条件に応じて増幅率選択回
路18Dhの増幅率選択信号によりスイッチ25−1か
ら25−nを入切し、出力電圧分圧抵抗の総合抵抗値を
変化させることにより、増幅率ANFの値が(25)式及び(3
2)式の右辺におけるアーク電圧検出信号Earc を除いた
各種運転条件設定信号E、Z、Idref、Earcrefの関
数の部分を増幅率となるような各種抵抗を設置しておく
ことにより、増幅率可変式増幅器18Dの出力が定無効
電力制御における定無効電力位相制御信号cosαとな
る。
【0136】なお、図10の中に示している増幅率可変
式増幅器19Dは、増幅器の一例であり、出力電圧分圧
抵抗を固定値としてフィードバック抵抗を数種類設置
し、それぞれにスイッチを設けて、第1の演算ブロック
18Dhからの増幅率選択信号によりスイッチを切り換
えて増幅率を変更するようにしてもよい。
【0137】また、この実施例6では、第1の演算ブロ
ック18Dは、各種運転条件設定信号を用いた演算結果
に基づいて運転パターンを判別し、増幅率可変式増幅器
19Dに増幅率選択信号を出力するが、運転パターン毎
の各種運転条件設定信号を第1の演算ブロック18Dに
予め記憶させておき、第1の演算ブロック18Dに入力
された各種運転条件設定信号の値に応じて運転パターン
を判別し、増幅率選択信号を出力するようにしてもよ
い。
【0138】従って、上記実施例6によれば、運転条件
設定信号発生器10Aからの各種運転条件設定信号に基
づいて運転パターンに応じた増幅率でアーク電圧検出信
号Earc を増幅することにより定無効電力位相制御信号
cosαを求める定無効電力位相制御回路16Eを備え
たので、運転パターンが数種類に固定されている場合
に、各々運転条件で無効電力が一定となるようなアーク
電圧検出信号と点孤位相角の関係を予め設定して定無効
電力位相制御信号を求めるようにすることにより、上記
実施例4及び5と同様な効果がより簡単な回路構成で実
現できる。
【0139】実施例7.まず、この実施例7の概念につ
いて説明する。上記実施例6では、増幅率可変式増幅器
19Dは、アーク電圧検出信号Earcを、運転条件設定
信号発生器10Aからの各種運転条件設定信号に基づい
て運転パターンに応じた増幅率で増幅することにより、
定無効電力位相制御信号cosαを決定しているが、直
流アーク炉での無効電力の変化によるフリッカの最も激
しい運転パターン(ボーリング期と主溶解期)での増幅
率を固定に持つ増幅器であっても十分な効果を得ること
ができる。
【0140】そこで、この実施例7では、増幅率可変式
増幅器19Dに替えて、(25)式及び(32)式の右辺におけ
るアーク電圧検出信号Earc を除いた各種運転条件設定
信号Es、Z、Idref、Earcrefの関数の部分に相当す
る増幅率がフリッカの最も激しい運転条件における値に
固定されている増幅率固定式増幅器を設けて、定無効電
力位相制御信号cosαを求める。
【0141】次に、上述した概念に基づいて定無効電力
位相制御信号cosαを求める実施例7に係る無効電力
位相制御回路を図11に基づいて具体的に説明する。図
11において、16Fはアーク電圧変換器15からのア
ーク電圧検出信号Earc を増幅して定無効電力位相制御
信号cosαを出力する無効電力位相制御回路であり、
アーク電圧検出信号Earc を所定の増幅率ANFで増幅す
る増幅率固定式増幅器19Eを有する。
【0142】増幅率固定式増幅器19Eにおいて、20
Aはアンプ、21Aは入力抵抗、22Aはフィードバッ
ク抵抗、26は出力電圧分圧可変抵抗である。上記入力
抵抗21Aの抵抗値をRs 、フィードバック抵抗22A
の抵抗値をRf とし、出力電圧分圧可変抵抗26のフィ
ードバック抵抗22Aの出力部と基準電位間の抵抗値を
2 、フィードバック抵抗22Aの出力部とアンプ20
Aの出力部の間の抵抗値をR1 とすると、この増幅率固
定式増幅器19Eの増幅率ANFは、実施例6と同じく、
NE=(Rf/Rs)・{(R1+R2)/R2}となる。
【0143】ここで、増幅率固定式増幅器19Eの増幅
率ANFは、フリッカの最も激しい運転パターンにおける
運転条件設定信号発生器10Aからの負荷電流設定信号
dr efと、アーク電圧設定信号Earcrefと、整流回路3
への交流電圧設定信号ES と、アーク5aを除く負荷回
路と直流電源装置との総合インピーダンスZ及び総合抵
抗Rと、整流回路3の整流素子に流れる電流が微少なと
きにおける電圧降下信号ep とに基づいて決まる(25)式
の右辺におけるアーク電圧検出信号Earc を除いた各種
運転条件設定信号E、Z、Idref、Earcrefの関数の
部分に相当する値である。
【0144】すなわち、ANF=(1/1.35ES)[{Z
・Idref(Earcref+ep+R・Idr ef)}/{2ES 2-
(Earcref+ep+R・Idref)(Earcref+ep+2R
・Id ref)}+1]である。よって、この増幅率ANF
足する抵抗値をもつ入力抵抗21A及びフィードバック
抵抗22Aが設けられると共に、出力電圧分圧可変抵抗
26の目盛が設定される。
【0145】また、(25)式を簡略した(32)式を用いる場
合は、ANF=(1/1.35ES){(Z・Idref・E
arcref)/(2ES 2−Earcref 2)+1}となるので、
この増幅率ANFを満足するような抵抗値をもつ入力抵抗
21A及びフィードバック抵抗22Aが設けられると共
に、出力電圧分圧可変抵抗26の目盛が設定される。な
お、図11に示している増幅率固定式増幅器19Eは、
増幅率が固定な増幅回路の一例を示すものであり、増幅
率が固定であれば他の回路構成でもよい。
【0146】従って、上記実施例7によれば、アーク電
圧検出信号Earc を除いた各種運転条件設定信号Es
Z、Idref、Earcrefの関数の部分に相当する増幅率が
フリッカの最も激しい運転条件における値に固定されて
いる増幅率固定式増幅器19Eを設けて、定無効電力位
相制御信号cosαを求める定無効電力位相制御回路1
6Fを備えたので、簡単な回路構成で、実施例6の運転
パターンのうち、最もフリッカの激しいパターンで最も
効果が得られ、交流電源のインピーダンスが大きい場合
に交流電源に接続される無効電力補償装置の容量を小型
にしてフリッカが最大のときでもフリッカを許容値内に
収まるようにすることができる。
【0147】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項1に係
る直流アーク炉の電源装置によれば、従来の定電流制御
に並行して、アークインピーダンスの変動によるアーク
電圧の変動に応答してアーク電圧検出信号に基づき実際
の無効電力と運転条件設定信号発生器からの各種運転条
件に基づいた基準無効電力とが等しくなるように整流回
路の点孤位相角を直接制御して負荷電流を制御すること
により無効電力を一定に制御する定無効電力制御回路を
備えたので、アーク短絡等により負荷インピーダンスが
急変した場合でも無効電力を高速に一定制御することが
でき、これに伴う電源系統のフリッカを低減することが
できると共に、交流電源のインピーダンスが大きい場合
に交流電源に接続されるフリッカ防止のための無効電力
補償装置を小容量で、かつ安価なもので構成でき、条件
によっては不要とすることができ、直流アーク炉設備の
製作費用及び設置スペース等を大幅に削減できるという
効果を奏する。
【0148】また、請求項2に係る直流アーク炉の電源
装置によれば、変数に関する漸化式を使用して該漸化式
に基づいて変数を求めることによりアークインピーダン
スの変動に高速に追従して整流回路の定無効電力位相制
御信号を求めることができる定無効電力位相制御回路を
備えたので、アーク電圧の大きな変動に対しても高い精
度で定無効電力制御が行い得ることができ、アーク短絡
等により負荷インピーダンスが大きく急変した場合でも
無効電力を高速に一定制御することができるという効果
を奏する。
【0149】また、請求項3に係る直流アーク炉の電源
装置によれば、アーク電圧に比べて、アークを除く負荷
回路と直流電源装置との総合抵抗の負荷電流による電圧
降下が充分小さいと考えられる場合に、アークを除く負
荷回路と直流電源装置との総合抵抗を無視して、請求項
2に係る漸化式を簡略化した式により定無効電力位相制
御信号を求める定無効電力位相制御回路を備えたので、
請求項2に比較して演算回路の構成を安価で、かつ簡単
化することができ、アークインピーダンスの変動に高速
に追従して定無効電力制御を行い得ることができ、無効
電力を一定制御することができるという効果を奏する。
【0150】また、請求項4に係る直流アーク炉の電源
装置によれば、定無効電力位相制御信号を、アーク電圧
設定信号と負荷電流設定信号を中心としてテーラー展開
した1次近似式に基づいて線形化して定無効電力位相制
御信号を求める定無効電力位相制御回路を備えたので、
請求項2に比べて、演算回路の構成が簡単になり、アー
クインピーダンスの変動に高速に追従して無効電力を一
定に制御できるという効果を奏する。
【0151】また、請求項5に係る直流アーク炉の電源
装置によれば、前述した請求項4において、アーク電圧
に比べて、アークを除く負荷回路と直流電源装置との総
合抵抗の負荷電流による電圧降下が充分小さいと考えら
れる場合に、アークを除く負荷回路と直流電源装置との
総合抵抗を無視して定無効電力位相制御信号を求める定
無効電力位相制御回路を備えたので、請求項4に比較し
て演算回路を安価で、かつ簡単化することができ、アー
クインピーダンスの変動に高速に追従して定無効電力制
御を行い得ることができ、無効電力を一定制御すること
ができるという効果を奏する。
【0152】また、請求項6に係る直流アーク炉の電源
装置によれば、運転条件設定信号発生器からの各種運転
条件設定信号に基づいて運転パターンに応じた増幅率で
アーク電圧検出信号を増幅することにより定無効電力位
相制御信号を求める定無効電力位相制御回路を備えたの
で、演算回路が縮小され演算処理時間が短縮されると共
に、運転パターンが数種類に固定されている場合に、各
々運転条件で無効電力が一定となるようなアーク電圧検
出信号と点孤位相角の関係を予め設定して定無効電力位
相制御信号を求めるようにすることにより、請求項4及
び5と同様な効果がより簡単な回路構成で実現できると
いう効果を奏する。
【0153】さらに、請求項7に係る直流アーク炉の電
源装置によれば、各種運転条件設定信号の関数の部分に
相当する増幅率をフリッカの最も激しい運転条件におけ
る値に固定してアーク電圧検出信号を増幅することによ
り定無効電力位相制御信号を求める定無効電力位相制御
回路を備えたので、簡単な回路構成で、運転パターンの
うち、最もフリッカの激しいパターンで最も効果が得ら
れ、交流電源のインピーダンスが大きい場合に交流電源
に接続される無効電力補償装置の容量を小型にしてフリ
ッカが最大のときでもフリッカを許容値内に収まるよう
にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に係る直流アーク炉の電源
装置を示す全体構成図である。
【図2】この発明の実施例2に係るもので、図1の定無
効電力位相制御回路の詳細な内部回路の構成図である。
【図3】この発明の実施例2に係るアーク電圧検出信号
と無効電力との関係を示す特性図である。
【図4】この発明の実施例3に係るもので、図1の定無
効電力位相制御回路の詳細な内部回路の構成図である。
【図5】この発明の実施例3に係るアーク電圧検出信号
と無効電力との関係を示す特性図である。
【図6】この発明の実施例4に係るもので、図1の定無
効電力位相制御回路の詳細な内部回路の構成図である。
【図7】この発明の実施例4に係るアーク電圧検出信号
と無効電力との関係を示す特性図である。
【図8】この発明の実施例5に係るもので、図1の定無
効電力位相制御回路の詳細な内部回路の構成図である。
【図9】この発明の実施例5に係るアーク電圧検出信号
と無効電力との関係を示す特性図である。
【図10】この発明の実施例6に係るもので、図1の定
無効電力位相制御回路の詳細な内部回路の構成図であ
る。
【図11】この発明の実施例7に係るもので、図1の定
無効電力位相制御回路の詳細な内部回路の構成図であ
る。
【図12】従来の直流アーク炉の電源装置を示す構成図
である。
【図13】従来の直流アーク炉に供給される有効電力と
無効電力との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 交流電源 2 変圧器 3 整流回路 5 アーク炉 5a ア−ク 8 変流器 9 電流変換器 10A 運転条件設定信号発生器 12 定電流位相制御回路 13 点弧パルス発生器 14 アーク電圧検出器 15 アーク電圧変換器 16 定無効電力位相制御回路 16A 定無効電力位相制御回路 16B 定無効電力位相制御回路 16C 定無効電力位相制御回路 16D 定無効電力位相制御回路 16E 定無効電力位相制御回路 16F 定無効電力位相制御回路 19D 増幅率可変式増幅器 19E 増幅率固定式増幅器

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流電源からの交流電圧を所定の電圧に
    変換する変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流し
    て直流アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有す
    る直流電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる
    電流を検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負
    荷電流設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出
    力する定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号
    に基づいて上記整流回路の点孤位相を制御するための点
    弧パルスを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回
    路とを備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制
    御回路に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク
    電圧検出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷
    電流設定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信
    号、上記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との
    総合抵抗設定信号と総合インピーダンス設定信号、及び
    アーク電圧設定信号を発生する運転条件設定信号発生器
    と、上記アーク電圧検出手段によるアーク電圧検出信号
    と上記運転条件設定信号発生器により設定された運転条
    件及び上記整流回路の整流素子に流れる電流が微少な状
    態での電圧降下信号とに基づいて定無効電力位相制御信
    号を演算出力する定無効電力位相制御回路と、上記定電
    流位相制御信号と上記定無効電力位相制御信号とを加算
    する加算手段とを備えると共に、上記点弧パルス発生器
    を、上記加算手段による加算結果に基づいて上記整流回
    路への点弧パルスを発生する構成としたことを特徴とす
    る直流アーク炉の電源装置。
  2. 【請求項2】 交流電源からの交流電圧を所定の電圧に
    変換する変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流し
    て直流アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有す
    る直流電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる
    電流を検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負
    荷電流設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出
    力する定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号
    に基づいて上記整流回路の点孤位相を制御するための点
    弧パルスを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回
    路とを備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制
    御回路に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク
    電圧検出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷
    電流設定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信号
    sref、上記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置
    との総合抵抗設定信号Rrefと総合インピーダンス設定
    信号Zref、及びアーク電圧設定信号を発生する運転条
    件設定信号発生器と、上記負荷電流設定信号、上記交流
    入力電圧設定信号、上記アーク電圧設定信号、上記総合
    抵抗設定信号、及び上記整流回路の整流素子に流れる電
    流が微少な状態での電圧降下信号ep に基づいた基準無
    効電力をQref 、上記アーク電圧検出手段によるアーク
    電圧検出信号Earc として、下記に示す漸化式を満たす
    変数Ez を求め、 【数1】 その変数、上記アーク電圧検出手段によるアーク電圧検
    出信号、上記整流回路の整流素子に流れる電流が微少な
    状態での電圧降下信号、及び上記交流入力電圧設定信号
    に基づいて定無効電力位相制御信号を演算出力する定無
    効電力位相制御回路と、上記定電流位相制御信号と上記
    定無効電力位相制御信号とを加算する加算手段とを備え
    ると共に、上記点弧パルス発生器を、上記加算手段によ
    る加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パルスを発
    生する構成としたことを特徴とする直流アーク炉の電源
    装置。
  3. 【請求項3】 交流電源からの交流電圧を所定の電圧に
    変換する変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流し
    て直流アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有す
    る直流電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる
    電流を検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負
    荷電流設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出
    力する定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号
    に基づいて上記整流回路の点孤位相を制御するための点
    弧パルスを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回
    路とを備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制
    御回路に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク
    電圧検出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷
    電流設定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信
    号、上記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との
    総合抵抗設定信号と総合インピーダンス設定信号、及び
    アーク電圧設定信号を発生する運転条件設定信号発生器
    と、上記負荷電流設定信号、交流入力電圧設定信号、及
    びアーク電圧設定信号に基づいて基準無効電力を求め、
    その基準無効電力、総合インピーダンス設定信号、交流
    入力電圧設定信号、及び上記アーク電圧検出手段による
    アーク電圧検出信号に基づいて定無効電力位相制御信号
    を演算出力する定無効電力位相制御回路と、上記定電流
    位相制御信号と上記定無効電力位相制御信号とを加算す
    る加算手段とを備えると共に、上記点弧パルス発生器
    を、上記加算手段による加算結果に基づいて上記整流回
    路への点弧パルスを発生する構成としたことを特徴とす
    る直流アーク炉の電源装置。
  4. 【請求項4】 交流電源からの交流電圧を所定の電圧に
    変換する変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流し
    て直流アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有す
    る直流電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる
    電流を検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負
    荷電流設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出
    力する定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号
    に基づいて上記整流回路の点孤位相を制御するための点
    弧パルスを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回
    路とを備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制
    御回路に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク
    電圧検出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷
    電流設定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信
    号、上記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との
    総合抵抗設定信号と総合インピーダンス設定信号、及び
    アーク電圧設定信号を発生する運転条件設定信号発生器
    と、定無効電力位相制御信号cosαを、負荷電流設定
    信号Idref及びアーク電圧設定信号Earcrefを中心とし
    てテーラ展開の1次近似を行い線形化した下式に従い、 【数2】 上記負荷電流設定信号Idref、交流入力電圧設定信号E
    sref、アーク電圧設定信号Earcref、総合抵抗設定信号
    ref、総合インピーダンス設定信号Zref、上記整流回
    路の整流素子に流れる電流が微少な状態での電圧降下信
    号ep 、上記アーク電圧検出器によるアーク電圧検出信
    号Earc 及び負荷電流検出信号Id に基づいて演算出力
    する定無効電力位相制御回路と、上記定電流位相制御信
    号と上記定無効電力位相制御信号とを加算する加算手段
    とを備えると共に、上記点弧パルス発生器を、上記加算
    手段による加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パ
    ルスを発生する構成としたことを特徴とする直流アーク
    炉の電源装置。
  5. 【請求項5】 交流電源からの交流電圧を所定の電圧に
    変換する変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流し
    て直流アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有す
    る直流電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる
    電流を検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負
    荷電流設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出
    力する定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号
    に基づいて上記整流回路の点孤位相を制御するための点
    弧パルスを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回
    路とを備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制
    御回路に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク
    電圧検出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷
    電流設定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信
    号、上記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との
    総合インピーダンス設定信号、及びアーク電圧設定信号
    を発生する運転条件設定信号発生器と、定無効電力位相
    制御信号cosαを、負荷電流設定信号Idref及びアー
    ク電圧設定信号Earcrefを中心としてテーラ展開の1次
    近似を行い線形化した下式に従い、 【数3】 上記負荷電流設定信号Idref、交流入力電圧設定信号E
    sref、アーク電圧設定信号Earcref、総合インピーダン
    ス設定信号Zref 、及び上記アーク電圧検出器によるア
    ーク電圧検出信号Earcに基づいて演算出力する定無効
    電力位相制御回路と、上記定電流位相制御信号と上記定
    無効電力位相制御信号とを加算する加算手段とを備える
    と共に、上記点弧パルス発生器を、上記加算手段による
    加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パルスを発生
    する構成としたことを特徴とする直流アーク炉の電源装
    置。
  6. 【請求項6】 交流電源からの交流電圧を所定の電圧に
    変換する変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流し
    て直流アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有す
    る直流電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる
    電流を検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負
    荷電流設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出
    力する定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号
    に基づいて上記整流回路の点孤位相を制御するための点
    弧パルスを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回
    路とを備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制
    御回路に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク
    電圧検出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷
    電流設定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信
    号、上記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との
    総合インピーダンス、及びアーク電圧設定信号を発生す
    る運転条件設定信号発生器と、この運転条件設定信号発
    生器からの設定信号に基づいた運転パターン毎の増幅率
    を選択し、その選択された増幅率により上記アーク電圧
    検出手段によるアーク電圧検出信号を増幅して定無効電
    力位相制御信号を演算出力する定無効電力位相制御回路
    と、上記定電流位相制御信号と上記定無効電力位相制御
    信号とを加算する加算手段とを備えると共に、上記点弧
    パルス発生器を、上記加算手段による加算結果に基づい
    て上記整流回路への点弧パルスを発生する構成としたこ
    とを特徴とする直流アーク炉の電源装置。
  7. 【請求項7】 交流電源からの交流電圧を所定の電圧に
    変換する変圧器と、上記変圧器からの交流出力を整流し
    て直流アーク炉の負荷回路に供給する整流回路とを有す
    る直流電源装置を備えると共に、上記負荷回路に流れる
    電流を検出する電流検出手段と、その電流検出信号と負
    荷電流設定信号との差に応じた定電流位相制御信号を出
    力する定電流位相制御回路と、上記定電流位相制御信号
    に基づいて上記整流回路の点孤位相を制御するための点
    弧パルスを出力する点孤パルス発生器とを有する制御回
    路とを備えた直流アーク炉の電源装置において、上記制
    御回路に、上記負荷回路のアーク電圧を検出するアーク
    電圧検出手段と、上記負荷回路の運転条件として、負荷
    電流設定信号、上記整流回路への交流入力電圧設定信
    号、上記アークを除く負荷回路と上記直流電源装置との
    総合インピーダンス設定信号、及びアーク電圧設定信号
    を発生する運転条件設定信号発生器と、この運転条件設
    定信号発生器からの設定信号に基づいた固定増幅率によ
    り上記アーク電圧検出手段により検出されるアーク電圧
    検出信号を増幅して定無効電力位相制御信号を演算出力
    する定無効電力位相制御回路と、上記定電流位相制御信
    号と上記定無効電力位相制御信号とを加算する加算手段
    とを備えると共に、上記点弧パルス発生器を、上記加算
    手段による加算結果に基づいて上記整流回路への点弧パ
    ルスを発生する構成としたことを特徴とする直流アーク
    炉の電源装置。
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