JP2842070B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents
燃料噴射弁Info
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- JP2842070B2 JP2842070B2 JP22290492A JP22290492A JP2842070B2 JP 2842070 B2 JP2842070 B2 JP 2842070B2 JP 22290492 A JP22290492 A JP 22290492A JP 22290492 A JP22290492 A JP 22290492A JP 2842070 B2 JP2842070 B2 JP 2842070B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】ニードルの頂面上に背圧室を形成すると
共にニードルの頂面に対向する背圧室の頂面の中央部を
燃料孔を介して圧力制御室に連結し、燃料で満たされた
圧力制御室の容積をアクチュエータにより制御して圧力
制御室の容積が増大せしめられたときにはニードルが上
昇してノズル口を開口すると共にこのときニードルの頂
面が背圧室頂面の周縁部に当接してニードルの最大リフ
ト量が規制され、圧力制御室の容積が減少せしめられた
ときにはニードルが閉弁方向に付勢されてノズル口を閉
鎖する燃料噴射弁が公知である(特開昭60−1369
号公報参照)。
共にニードルの頂面に対向する背圧室の頂面の中央部を
燃料孔を介して圧力制御室に連結し、燃料で満たされた
圧力制御室の容積をアクチュエータにより制御して圧力
制御室の容積が増大せしめられたときにはニードルが上
昇してノズル口を開口すると共にこのときニードルの頂
面が背圧室頂面の周縁部に当接してニードルの最大リフ
ト量が規制され、圧力制御室の容積が減少せしめられた
ときにはニードルが閉弁方向に付勢されてノズル口を閉
鎖する燃料噴射弁が公知である(特開昭60−1369
号公報参照)。
【0003】この燃料噴射弁では圧力制御室の容積が増
大せしめられてニードルの頂面に作用する燃料圧が低下
せしめられるとニードルが上昇し、その結果ニードルが
ノズル口を開口するので燃料噴射が開始される。次いで
圧力制御室の容積が減少せしめられると今度はニードル
の頂面に作用する燃料圧、即ち背圧室内の燃料圧が上昇
せしめられる。その結果ニードルが閉弁方向に付勢させ
てノズル口を閉鎖し、斯くして燃料噴射が停止せしめら
れる。
大せしめられてニードルの頂面に作用する燃料圧が低下
せしめられるとニードルが上昇し、その結果ニードルが
ノズル口を開口するので燃料噴射が開始される。次いで
圧力制御室の容積が減少せしめられると今度はニードル
の頂面に作用する燃料圧、即ち背圧室内の燃料圧が上昇
せしめられる。その結果ニードルが閉弁方向に付勢させ
てノズル口を閉鎖し、斯くして燃料噴射が停止せしめら
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところでこの燃料噴射
弁では燃料噴射を停止すべく圧力制御室の容積が減少せ
しめられてもニードルがただちに下降せず、斯くして背
圧室内の燃料圧が急激に上昇する。その結果背圧室内の
燃料圧が高圧となるためにニードルが高速度で閉弁方向
に付勢されることになる。しかしながらこのようにニー
ドルが高速度で閉弁方向に付勢されるとニードルが高速
度で弁座に衝突するために衝突作用の反力によりニード
ルは閉弁した後に再び開弁し、斯くして好ましくない、
いわゆる2次噴射現象を生じることになる。
弁では燃料噴射を停止すべく圧力制御室の容積が減少せ
しめられてもニードルがただちに下降せず、斯くして背
圧室内の燃料圧が急激に上昇する。その結果背圧室内の
燃料圧が高圧となるためにニードルが高速度で閉弁方向
に付勢されることになる。しかしながらこのようにニー
ドルが高速度で閉弁方向に付勢されるとニードルが高速
度で弁座に衝突するために衝突作用の反力によりニード
ルは閉弁した後に再び開弁し、斯くして好ましくない、
いわゆる2次噴射現象を生じることになる。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明によれば、ニードルの頂面上に背圧室を形成
すると共にニードルの頂面に対向する背圧室の頂面の中
央部を燃料孔を介して圧力制御室に連結し、燃料で満た
された圧力制御室の容積をアクチュエータにより制御し
て圧力制御室の容積が増大せしめられたときにはニード
ルが上昇してノズル口を開口すると共にこのときニード
ルの頂面が背圧室頂面の周縁部に当接してニードルの最
大リフト量が規制され、圧力制御室の容積が減少せしめ
られたときにはニードルが閉弁方向に付勢されてノズル
口を閉鎖する燃料噴射弁において、少くともニードルの
下降時にはニードルの頂面中央部に一体的に連結されて
ニードルと共に下降する摺動部材を燃料孔内に摺動可能
に挿入して摺動部材周りのニードル頂面周辺部と背圧室
頂面周辺部間に摺動部材により圧力制御室から分離され
た環状室を形成するようにしている。
めに本発明によれば、ニードルの頂面上に背圧室を形成
すると共にニードルの頂面に対向する背圧室の頂面の中
央部を燃料孔を介して圧力制御室に連結し、燃料で満た
された圧力制御室の容積をアクチュエータにより制御し
て圧力制御室の容積が増大せしめられたときにはニード
ルが上昇してノズル口を開口すると共にこのときニード
ルの頂面が背圧室頂面の周縁部に当接してニードルの最
大リフト量が規制され、圧力制御室の容積が減少せしめ
られたときにはニードルが閉弁方向に付勢されてノズル
口を閉鎖する燃料噴射弁において、少くともニードルの
下降時にはニードルの頂面中央部に一体的に連結されて
ニードルと共に下降する摺動部材を燃料孔内に摺動可能
に挿入して摺動部材周りのニードル頂面周辺部と背圧室
頂面周辺部間に摺動部材により圧力制御室から分離され
た環状室を形成するようにしている。
【0006】また、本発明によれば上記問題点を解決す
るために摺動部材がニードルの頂面中央部に固定されて
いる。更に本発明によれば上記問題点を解決するため
に、圧力制御室と摺動部材間に位置する燃料孔の断面積
を摺動部材が摺動する燃料孔部分の断面積よりも小さく
している。
るために摺動部材がニードルの頂面中央部に固定されて
いる。更に本発明によれば上記問題点を解決するため
に、圧力制御室と摺動部材間に位置する燃料孔の断面積
を摺動部材が摺動する燃料孔部分の断面積よりも小さく
している。
【0007】更に本発明によれば上記問題点を解決する
ために、摺動部材がニードルとは別個に形成されると共
に摺動部材がばね力により常時ニードル頂面中央部に圧
接され、摺動部材内に摺動部材の上端面から下端面まで
延びる絞り通路を形成している。
ために、摺動部材がニードルとは別個に形成されると共
に摺動部材がばね力により常時ニードル頂面中央部に圧
接され、摺動部材内に摺動部材の上端面から下端面まで
延びる絞り通路を形成している。
【0008】
【作用】請求項1に記載の発明では圧力制御室の容積が
減少せしめられて圧力制御室内の燃料圧が上昇するとニ
ードルが下降する。このとき摺動部材周りの環状室内に
は一時的に大きな負圧が発生するためにこの負圧によっ
てニードルには上向きの力が作用し、斯くしてニードル
の下降速度が低下せしめられる。
減少せしめられて圧力制御室内の燃料圧が上昇するとニ
ードルが下降する。このとき摺動部材周りの環状室内に
は一時的に大きな負圧が発生するためにこの負圧によっ
てニードルには上向きの力が作用し、斯くしてニードル
の下降速度が低下せしめられる。
【0009】請求項2に記載の発明でもニードルが下降
する際に摺動部材周りの環状室内には一時的に大きな負
圧が発生するためにニードルの下降速度が低下せしめら
れる。更に請求項2に記載の発明では圧力制御室の燃料
圧が低下してニードルが上昇する際に摺動部材周りの環
状室内には一時的に大きな正圧が発生し、それによって
ニードルの上昇速度が低下せしめられる。
する際に摺動部材周りの環状室内には一時的に大きな負
圧が発生するためにニードルの下降速度が低下せしめら
れる。更に請求項2に記載の発明では圧力制御室の燃料
圧が低下してニードルが上昇する際に摺動部材周りの環
状室内には一時的に大きな正圧が発生し、それによって
ニードルの上昇速度が低下せしめられる。
【0010】請求項3に記載の発明でもニードルが下降
する際に摺動部材周りの環状室内には一時的に大きな負
圧が発生するためにニードルの下降速度が低下せしめら
れる。更に請求項3の発明では圧力制御室と摺動部材間
に位置する燃料孔の断面積が摺動部材の位置する燃料孔
部分の断面積よりも小さくされているので圧力制御室の
燃料圧が上昇したときに燃料がこの断面積の小さい燃料
孔部分内を高速で流れ、このときの燃料の慣性によって
摺動部材が位置する燃料孔部分内の燃料圧が断面積を小
さくしなかった場合に比べて高くなる。それによってニ
ードルの下降開始時期が安定化せしめられる。
する際に摺動部材周りの環状室内には一時的に大きな負
圧が発生するためにニードルの下降速度が低下せしめら
れる。更に請求項3の発明では圧力制御室と摺動部材間
に位置する燃料孔の断面積が摺動部材の位置する燃料孔
部分の断面積よりも小さくされているので圧力制御室の
燃料圧が上昇したときに燃料がこの断面積の小さい燃料
孔部分内を高速で流れ、このときの燃料の慣性によって
摺動部材が位置する燃料孔部分内の燃料圧が断面積を小
さくしなかった場合に比べて高くなる。それによってニ
ードルの下降開始時期が安定化せしめられる。
【0011】請求項4に記載の発明では圧力制御室の容
積が減少せしめられて圧力制御室内の燃料圧が上昇する
と摺動部材がニードル頂面に圧接された状態でニードル
が下降する。従って請求項4に記載の発明でもニードル
が下降する際に摺動部材周りの環状室内には一時的に大
きな負圧が発生するためにニードルの下降速度が低下せ
しめられる。更に請求項4に記載の発明では圧力制御室
の燃料圧が低下したときに摺動部材がニードル頂面から
離れ、摺動部材周りの環状室内の燃料が摺動部材に形成
された絞り通路を介して燃料孔内に流出する。このとき
の流出速度は絞り通路の断面積によって変化し、絞り通
路の断面積が大きいときには流出速度が速いために環状
室内の燃料圧がただちに低下してニードルは急速に上昇
し、これに対して絞り通路の断面積が小さいときには流
出速度が遅いために環状室内の燃料圧はゆっくりと低下
してニードルが比較的低速で上昇する。
積が減少せしめられて圧力制御室内の燃料圧が上昇する
と摺動部材がニードル頂面に圧接された状態でニードル
が下降する。従って請求項4に記載の発明でもニードル
が下降する際に摺動部材周りの環状室内には一時的に大
きな負圧が発生するためにニードルの下降速度が低下せ
しめられる。更に請求項4に記載の発明では圧力制御室
の燃料圧が低下したときに摺動部材がニードル頂面から
離れ、摺動部材周りの環状室内の燃料が摺動部材に形成
された絞り通路を介して燃料孔内に流出する。このとき
の流出速度は絞り通路の断面積によって変化し、絞り通
路の断面積が大きいときには流出速度が速いために環状
室内の燃料圧がただちに低下してニードルは急速に上昇
し、これに対して絞り通路の断面積が小さいときには流
出速度が遅いために環状室内の燃料圧はゆっくりと低下
してニードルが比較的低速で上昇する。
【0012】
【実施例】図1を参照すると1は燃料噴射弁ハウジン
グ、2はその先端部にノズル口3を具えたノズルホル
ダ、4はノズルホルダ2内に配置されたニードル、5は
ハウジング1内に嵌着されたピストンホルダ、6はピス
トンホルダ5のピストン挿入孔7内に摺動可能に挿入さ
れたピストン、8はディスク状圧電素子板の積層体から
なる圧電素子、9は圧電素子8を案内するためのスリー
ブ、10は圧電素子ホルダを夫々示す。
グ、2はその先端部にノズル口3を具えたノズルホル
ダ、4はノズルホルダ2内に配置されたニードル、5は
ハウジング1内に嵌着されたピストンホルダ、6はピス
トンホルダ5のピストン挿入孔7内に摺動可能に挿入さ
れたピストン、8はディスク状圧電素子板の積層体から
なる圧電素子、9は圧電素子8を案内するためのスリー
ブ、10は圧電素子ホルダを夫々示す。
【0013】ピストンホルダ5および圧電素子ホルダ1
0はハウジング1に螺着されたリテーナ11によってハ
ウジング1内の正規の位置に固定され、ノズルホルダ2
はハウジング1に螺着されたリテーナ12によってハウ
ジング1内の正規の位置に固定される。ピストンホルダ
5内に形成されたピストン挿入孔7内にはピストン6の
下端面により画定された圧力制御室13が形成され、こ
の圧力制御室13内にはピストン6を上方に向けて押圧
する皿ばね14が挿入されている。
0はハウジング1に螺着されたリテーナ11によってハ
ウジング1内の正規の位置に固定され、ノズルホルダ2
はハウジング1に螺着されたリテーナ12によってハウ
ジング1内の正規の位置に固定される。ピストンホルダ
5内に形成されたピストン挿入孔7内にはピストン6の
下端面により画定された圧力制御室13が形成され、こ
の圧力制御室13内にはピストン6を上方に向けて押圧
する皿ばね14が挿入されている。
【0014】一方、ニードル4の円錐状受圧面15周り
には燃料溜まり16が形成される。この燃料溜まり16
は一方ではノズル口3に連結され、他方では燃料供給口
18に連結される。図1および図2(A)に示されるよ
うにニードル4の頂面19上には背圧室20が形成さ
れ、背圧室20の頂面21の中央部には上方に延びる燃
料孔22が形成される。この燃料孔22は圧力制御室1
3内に連結される。また、背圧室20の頂面21の周辺
部は環状をなす平坦面から形成されている。ニードル4
の頂面19上には円柱状の摺動部材23が一体形成され
ており、この摺動部材23は燃料孔22内に摺動可能に
挿入されている。従って摺動部材23周りの背圧室20
の頂面21の周辺部とニードル4の頂面19の周辺部間
には環状室24が形成される。
には燃料溜まり16が形成される。この燃料溜まり16
は一方ではノズル口3に連結され、他方では燃料供給口
18に連結される。図1および図2(A)に示されるよ
うにニードル4の頂面19上には背圧室20が形成さ
れ、背圧室20の頂面21の中央部には上方に延びる燃
料孔22が形成される。この燃料孔22は圧力制御室1
3内に連結される。また、背圧室20の頂面21の周辺
部は環状をなす平坦面から形成されている。ニードル4
の頂面19上には円柱状の摺動部材23が一体形成され
ており、この摺動部材23は燃料孔22内に摺動可能に
挿入されている。従って摺動部材23周りの背圧室20
の頂面21の周辺部とニードル4の頂面19の周辺部間
には環状室24が形成される。
【0015】一方、燃料溜まり16と環状室24間に位
置するニードル4の膨大部とノズルホルダ2間には環状
をなす間隙25が形成されており、この間隙25は燃料
溜まり16と環状室24の頂面周縁部とを連通する絞り
通路を形成している。従って燃料供給口18から燃料溜
まり16内に供給された高圧燃料の一部が絞り通路25
を介して環状室24内に供給される。なお、圧力制御室
13および燃料孔22も高圧の燃料で満たされている。
置するニードル4の膨大部とノズルホルダ2間には環状
をなす間隙25が形成されており、この間隙25は燃料
溜まり16と環状室24の頂面周縁部とを連通する絞り
通路を形成している。従って燃料供給口18から燃料溜
まり16内に供給された高圧燃料の一部が絞り通路25
を介して環状室24内に供給される。なお、圧力制御室
13および燃料孔22も高圧の燃料で満たされている。
【0016】圧電素子8に充電された電荷が放電されて
圧電素子8が軸線方向に収縮すると図2(B)に示すよ
うにピストン6が上昇せしめられる。ピストン6が上昇
せしめられてもニードル4はただちに上昇せず、従って
このとき圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
急激に低下する。従って圧力制御室13内の燃料圧が低
下すると摺動部材23の頂面に加わる燃料圧がただちに
低下することになる。摺動部材23の頂面に加わる燃料
圧が低下するとニードル4は受圧面15に加わる燃料圧
によって上昇せしめられ、その結果ニードル4がノズル
口3を開口するために燃料噴射が開始される。
圧電素子8が軸線方向に収縮すると図2(B)に示すよ
うにピストン6が上昇せしめられる。ピストン6が上昇
せしめられてもニードル4はただちに上昇せず、従って
このとき圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
急激に低下する。従って圧力制御室13内の燃料圧が低
下すると摺動部材23の頂面に加わる燃料圧がただちに
低下することになる。摺動部材23の頂面に加わる燃料
圧が低下するとニードル4は受圧面15に加わる燃料圧
によって上昇せしめられ、その結果ニードル4がノズル
口3を開口するために燃料噴射が開始される。
【0017】ニードル4が上昇すると環状室24内の燃
料が圧縮されて環状室24内が高圧となる。その結果ニ
ードル4が上昇すると環状室24内の燃料によりニード
ル4に下向きの力が与えられる。次いで環状室24内の
燃料は摺動部材23と燃料孔22間の間隙を通って燃料
孔22内に流出し、それに伴なってニードル4が上昇す
る。従ってニードル4の上昇速度が低下せしめられるこ
とになる。次いでニードル4は図2(B)に示されるよ
うにニードル4の最大リフト量を規制する環状室24の
頂面に当接するがこのときのニードル4の速度は遅く、
斯くしてニードル4が環状室24の頂面に衝突してはね
返るのが阻止される。
料が圧縮されて環状室24内が高圧となる。その結果ニ
ードル4が上昇すると環状室24内の燃料によりニード
ル4に下向きの力が与えられる。次いで環状室24内の
燃料は摺動部材23と燃料孔22間の間隙を通って燃料
孔22内に流出し、それに伴なってニードル4が上昇す
る。従ってニードル4の上昇速度が低下せしめられるこ
とになる。次いでニードル4は図2(B)に示されるよ
うにニードル4の最大リフト量を規制する環状室24の
頂面に当接するがこのときのニードル4の速度は遅く、
斯くしてニードル4が環状室24の頂面に衝突してはね
返るのが阻止される。
【0018】一方、圧電素子8に電荷が充電されて圧電
素子8が軸線方向に伸長すると図2(A)に示されるよ
うにピストン6が下降せしめられ、その結果圧力制御室
13の容積が減少せしめられる。圧力制御室13の容積
が減少せしめられてもニードル4はただちに下降せず、
斯くして圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
上昇する。その結果ニードル4は閉弁方向に付勢され、
斯くしてニードル4が下降を開始する。
素子8が軸線方向に伸長すると図2(A)に示されるよ
うにピストン6が下降せしめられ、その結果圧力制御室
13の容積が減少せしめられる。圧力制御室13の容積
が減少せしめられてもニードル4はただちに下降せず、
斯くして圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
上昇する。その結果ニードル4は閉弁方向に付勢され、
斯くしてニードル4が下降を開始する。
【0019】ニードル4が下降を開始すると環状室24
の容積が大巾に増大する。ニードル4が下降している
間、環状室24内にはほとんど燃料が流入せず、しかも
上述したように環状室24の容積が大巾に増大するので
環状室24内は負圧となる。その結果、この負圧によっ
てニードル4には上向きの力が作用する。ニードル4が
下降するにつれて圧力制御室13および燃料孔22内の
燃料圧は若干低下し、しかもニードル4が下降するほど
環状室24内の負圧が大きくなるのでニードル4の閉弁
速度が低下せしめられる。その結果、ニードル4が弁座
に当接するときの速度が遅くなるためにニードル4が弁
座ではね返ることがなくなり、斯くして2次噴射現象が
生じるのを阻止することができることになる。
の容積が大巾に増大する。ニードル4が下降している
間、環状室24内にはほとんど燃料が流入せず、しかも
上述したように環状室24の容積が大巾に増大するので
環状室24内は負圧となる。その結果、この負圧によっ
てニードル4には上向きの力が作用する。ニードル4が
下降するにつれて圧力制御室13および燃料孔22内の
燃料圧は若干低下し、しかもニードル4が下降するほど
環状室24内の負圧が大きくなるのでニードル4の閉弁
速度が低下せしめられる。その結果、ニードル4が弁座
に当接するときの速度が遅くなるためにニードル4が弁
座ではね返ることがなくなり、斯くして2次噴射現象が
生じるのを阻止することができることになる。
【0020】ニードル4が弁座に当接して燃料噴射が停
止せしめられると燃料孔22内の燃料は摺動部材23の
外周面周りを通って環状室24内に徐々に流出し、斯く
して圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧は環状
室24内の燃料圧とほぼ等しくなる。図3に別の実施例
を示す。なお、図3(A)はピストン6が下降せしめら
れたときを示しており、図3(B)はピストン6が上昇
せしめられたときを示している。
止せしめられると燃料孔22内の燃料は摺動部材23の
外周面周りを通って環状室24内に徐々に流出し、斯く
して圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧は環状
室24内の燃料圧とほぼ等しくなる。図3に別の実施例
を示す。なお、図3(A)はピストン6が下降せしめら
れたときを示しており、図3(B)はピストン6が上昇
せしめられたときを示している。
【0021】この実施例では摺動部材23がニードル4
とは別個に形成されており、この摺動部材23は燃料孔
22内に挿入された圧縮ばね26のばね力によって常時
ニードル4の頂面中央部に圧接せしめられる。この実施
例ではピストン6が下降したときには摺動部材23がニ
ードル4と一体となって下降するために環状室24内に
大きな負圧が発生し、斯くしてニードル4の下降速度が
低下せしめられる。これに対してピストン6が上昇した
ときには圧縮ばね26のばね力の強さによって摺動部材
23の動きが異なる。
とは別個に形成されており、この摺動部材23は燃料孔
22内に挿入された圧縮ばね26のばね力によって常時
ニードル4の頂面中央部に圧接せしめられる。この実施
例ではピストン6が下降したときには摺動部材23がニ
ードル4と一体となって下降するために環状室24内に
大きな負圧が発生し、斯くしてニードル4の下降速度が
低下せしめられる。これに対してピストン6が上昇した
ときには圧縮ばね26のばね力の強さによって摺動部材
23の動きが異なる。
【0022】即ち、圧縮ばね26のばね力が強いときに
は図3(A)に示す状態からピストン6が上昇しても摺
動子23はニードル4の頂面上に圧接され続ける。次い
でニードル4が上昇するとそれに伴なって摺動部材23
が上昇する。これに対して圧縮ばね26のばね力が弱い
ときには図3(A)に示す状態からピストン6が上昇す
るとそれに伴なって摺動部材23も上昇し、次いでニー
ドル4が上昇する。
は図3(A)に示す状態からピストン6が上昇しても摺
動子23はニードル4の頂面上に圧接され続ける。次い
でニードル4が上昇するとそれに伴なって摺動部材23
が上昇する。これに対して圧縮ばね26のばね力が弱い
ときには図3(A)に示す状態からピストン6が上昇す
るとそれに伴なって摺動部材23も上昇し、次いでニー
ドル4が上昇する。
【0023】図4は更に別の実施例を示す。なお、図4
(A)はピストン6が下降せしめられたときを示してお
り、図4(B)はピストン6が上昇せしめられたときを
示している。この実施例では図1および図2に示す実施
例と同様に摺動部材23がニードル4の頂面上に一体形
成されているので基本的にはニードル4は第1図および
第2図に示す実施例と同様な動き方をする。即ち、図4
(A)に示す状態からピストン6が上昇せしめられたと
きにはニードル4が上昇を開始すると環状室24内の燃
料圧が上昇するためにニードル4の上昇速度が低下せし
められ、図4(B)に示す状態からピストン6が下降せ
しめられたときにはニードル4が下降する間、環状室2
4内には大きな負圧が発生するためにニードル4の下降
速度が低下せしめられる。
(A)はピストン6が下降せしめられたときを示してお
り、図4(B)はピストン6が上昇せしめられたときを
示している。この実施例では図1および図2に示す実施
例と同様に摺動部材23がニードル4の頂面上に一体形
成されているので基本的にはニードル4は第1図および
第2図に示す実施例と同様な動き方をする。即ち、図4
(A)に示す状態からピストン6が上昇せしめられたと
きにはニードル4が上昇を開始すると環状室24内の燃
料圧が上昇するためにニードル4の上昇速度が低下せし
められ、図4(B)に示す状態からピストン6が下降せ
しめられたときにはニードル4が下降する間、環状室2
4内には大きな負圧が発生するためにニードル4の下降
速度が低下せしめられる。
【0024】しかしながらこの実施例では圧力制御室1
3と摺動部材23間に位置する燃料孔部分22aの径は
摺動部材23が摺動する燃料孔部分22bの径よりも小
さく形成されており、即ち圧力制御室13と摺動部材2
3が摺動する燃料孔部分22bとの間には絞り通路22
aが設けられており、この絞り通路22aを設けたこと
によってニードル4の動作が図1および図2に示すニー
ドル4の動作と若干異なっている。
3と摺動部材23間に位置する燃料孔部分22aの径は
摺動部材23が摺動する燃料孔部分22bの径よりも小
さく形成されており、即ち圧力制御室13と摺動部材2
3が摺動する燃料孔部分22bとの間には絞り通路22
aが設けられており、この絞り通路22aを設けたこと
によってニードル4の動作が図1および図2に示すニー
ドル4の動作と若干異なっている。
【0025】即ち、圧力制御室13および燃料孔部分2
2bのような2つの部屋を絞り通路22aのような管路
で接続した場合には一方の部屋の圧力を上昇させると各
部屋内の圧力は振動しながら次第に平衡状態となる。即
ち、一方の部屋の圧力を上昇させるとこの部屋内の燃料
が管路内を高速度で流れ、管路内を流れる燃料の慣性に
よって他方の部屋内の圧力は平衡状態になったときの圧
力も一時的に高くなる。云い換えると2つの部屋を管路
により連結すると一方の部屋の圧力を上昇させたときに
他方の部屋の圧力を管路を設けない場合、即ち2つの部
屋を直接接続した場合に比べて一時的に高くすることが
できる。従って図4に示されるような絞り通路22aを
設けると図4(B)に示す状態からピストン6が下降し
たときに燃料孔部分22b内の燃料圧は絞り通路22b
を設けない場合に比較して高くなり、斯くしてこのとき
ニードル4は絞り通路22bを設けない場合に比べて閉
弁方向に大きな力で付勢されることになる。
2bのような2つの部屋を絞り通路22aのような管路
で接続した場合には一方の部屋の圧力を上昇させると各
部屋内の圧力は振動しながら次第に平衡状態となる。即
ち、一方の部屋の圧力を上昇させるとこの部屋内の燃料
が管路内を高速度で流れ、管路内を流れる燃料の慣性に
よって他方の部屋内の圧力は平衡状態になったときの圧
力も一時的に高くなる。云い換えると2つの部屋を管路
により連結すると一方の部屋の圧力を上昇させたときに
他方の部屋の圧力を管路を設けない場合、即ち2つの部
屋を直接接続した場合に比べて一時的に高くすることが
できる。従って図4に示されるような絞り通路22aを
設けると図4(B)に示す状態からピストン6が下降し
たときに燃料孔部分22b内の燃料圧は絞り通路22b
を設けない場合に比較して高くなり、斯くしてこのとき
ニードル4は絞り通路22bを設けない場合に比べて閉
弁方向に大きな力で付勢されることになる。
【0026】ところでニードル4が閉弁方向に付勢され
る力は燃料孔部分22b内の燃料圧と燃料溜まり16内
の燃料圧との差圧で決まり、燃料溜まり16内の燃料圧
は燃料の噴射作用により発生する圧力波によって脈動し
ているが燃料孔部分22b内の燃料圧が高められると燃
料圧が高められた分だけニードル4の閉弁方向の付勢力
は燃料溜まり16内の圧力脈動の影響を受けなくなる。
その結果、圧電素子8が伸長せしめられてから燃料噴射
が停止されるまでの時間が常に一定し、斯くして良好な
噴射量調量精度を得ることができることになる。なお、
この場合、下降初期のニードル4の下降速度は速くなる
がニードル4が下降すれば環状室24内に大きな負圧が
発生するのでニードル4の弁座への衝突速度は低下せし
められ、斯くしてニードル4の弁座でのはね返りが抑制
される。従ってニードル4の閉弁方向への付勢力が高め
られてもニードル4は弁座からはね返ることがなく、斯
くして良好な噴射量調量精度を確保しつつ2次噴射の発
生を阻止することができることになる。
る力は燃料孔部分22b内の燃料圧と燃料溜まり16内
の燃料圧との差圧で決まり、燃料溜まり16内の燃料圧
は燃料の噴射作用により発生する圧力波によって脈動し
ているが燃料孔部分22b内の燃料圧が高められると燃
料圧が高められた分だけニードル4の閉弁方向の付勢力
は燃料溜まり16内の圧力脈動の影響を受けなくなる。
その結果、圧電素子8が伸長せしめられてから燃料噴射
が停止されるまでの時間が常に一定し、斯くして良好な
噴射量調量精度を得ることができることになる。なお、
この場合、下降初期のニードル4の下降速度は速くなる
がニードル4が下降すれば環状室24内に大きな負圧が
発生するのでニードル4の弁座への衝突速度は低下せし
められ、斯くしてニードル4の弁座でのはね返りが抑制
される。従ってニードル4の閉弁方向への付勢力が高め
られてもニードル4は弁座からはね返ることがなく、斯
くして良好な噴射量調量精度を確保しつつ2次噴射の発
生を阻止することができることになる。
【0027】図5および図6に更に別の実施例を示す。
なお、図5は燃料噴射弁全体を示しており、図6(A)
はピストン6が下降したところを示しており、図6
(B)はピストン6が上昇したところを示している。こ
の実施例では摺動部材23がニードル4とは別個に形成
されており、しかもこの摺動部材23は中空円筒状をな
している。この摺動部材23は燃料孔22内に配置され
た圧縮ばね26のばね力によって常時ニードル4の頂面
中央部に圧接されており、この摺動部材23によって環
状室24が画定される。なお、ニードル4の頂面19上
には圧縮ばね26の下端部が摺動部材23の頂部から脱
落しないようにするためのピン27が固定されている。
図6(A)に示されるように摺動部材23はその下方部
に小径部を有し、この小径部の上端部には環状をなす受
圧面28が形成されている。
なお、図5は燃料噴射弁全体を示しており、図6(A)
はピストン6が下降したところを示しており、図6
(B)はピストン6が上昇したところを示している。こ
の実施例では摺動部材23がニードル4とは別個に形成
されており、しかもこの摺動部材23は中空円筒状をな
している。この摺動部材23は燃料孔22内に配置され
た圧縮ばね26のばね力によって常時ニードル4の頂面
中央部に圧接されており、この摺動部材23によって環
状室24が画定される。なお、ニードル4の頂面19上
には圧縮ばね26の下端部が摺動部材23の頂部から脱
落しないようにするためのピン27が固定されている。
図6(A)に示されるように摺動部材23はその下方部
に小径部を有し、この小径部の上端部には環状をなす受
圧面28が形成されている。
【0028】圧電素子8に充電された電荷が放電されて
圧電素子8が軸線方向に収縮すると図6(B)に示すよ
うにピストン6が上昇せしめられる。ピストン6が上昇
せしめられてもニードル4はただちに上昇せず、従って
このとき圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
急激に低下して環状室24内の燃料圧よりもかなり低く
なる。その結果、摺動部材23の受圧面28に作用する
環状室24内の燃料圧によって摺動部材23がただちに
上昇せしめられ、即ち摺動部材23がニードル4の頂面
19からただちに離れ、斯くして環状室24内の燃料圧
も急激に低下する。従って圧力制御室13内の燃料圧が
低下するとニードル4の頂面19全体に加わる燃料圧が
ただちに低下することになる。
圧電素子8が軸線方向に収縮すると図6(B)に示すよ
うにピストン6が上昇せしめられる。ピストン6が上昇
せしめられてもニードル4はただちに上昇せず、従って
このとき圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
急激に低下して環状室24内の燃料圧よりもかなり低く
なる。その結果、摺動部材23の受圧面28に作用する
環状室24内の燃料圧によって摺動部材23がただちに
上昇せしめられ、即ち摺動部材23がニードル4の頂面
19からただちに離れ、斯くして環状室24内の燃料圧
も急激に低下する。従って圧力制御室13内の燃料圧が
低下するとニードル4の頂面19全体に加わる燃料圧が
ただちに低下することになる。
【0029】ニードル4の頂面19に加わる燃料圧が低
下するとニードル4は受圧面15に加わる燃料圧によっ
て上昇せしめられ、その結果ニードル4がノズル口3を
開口するために燃料噴射が開始される。ニードル4が上
昇すると圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
若干上昇し、このとき環状室24内の燃料圧が圧力制御
室13および燃料孔22内の燃料圧よりも高くなれば摺
動部材23がニードル4の頂面19から離れるのでニー
ドル4が上昇している間は環状室24内の燃料圧は圧力
制御室13および燃料孔22内の燃料圧とほぼ等しい圧
力に維持される。即ち、この実施例ではニードル4が上
昇するときにはニードル4の頂面19に作用する圧力は
摺動部材23が設けられていない場合とほぼ等しくな
り、斯くしてニードル4は急速に上昇せしめられること
になる。次いでニードル4は図6(B)に示されるよう
にニードル4の最大リフト量を規制する背圧室20の頂
面21の周辺部に当接して停止する。
下するとニードル4は受圧面15に加わる燃料圧によっ
て上昇せしめられ、その結果ニードル4がノズル口3を
開口するために燃料噴射が開始される。ニードル4が上
昇すると圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
若干上昇し、このとき環状室24内の燃料圧が圧力制御
室13および燃料孔22内の燃料圧よりも高くなれば摺
動部材23がニードル4の頂面19から離れるのでニー
ドル4が上昇している間は環状室24内の燃料圧は圧力
制御室13および燃料孔22内の燃料圧とほぼ等しい圧
力に維持される。即ち、この実施例ではニードル4が上
昇するときにはニードル4の頂面19に作用する圧力は
摺動部材23が設けられていない場合とほぼ等しくな
り、斯くしてニードル4は急速に上昇せしめられること
になる。次いでニードル4は図6(B)に示されるよう
にニードル4の最大リフト量を規制する背圧室20の頂
面21の周辺部に当接して停止する。
【0030】一方、圧電素子8に電荷が充電されて圧電
素子8が軸線方向に伸長すると図6(A)に示されるよ
うにピストン6が下降せしめられ、その結果圧力制御室
13の容積が減少せしめられる。圧力制御室13の容積
が減少せしめられてもニードル4はただちに下降せず、
斯くして圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
上昇する。このとき摺動部材23は摺動部材23の頂面
に加わる燃料圧によってニードル4の頂面19に強力に
圧接せしめらる。また、圧力上昇した燃料圧が摺動部材
23の中心に形成されている円孔29を通ってニードル
頂面19上に作用する。その結果ニードル4は閉弁方向
に付勢され、斯くしてニードル4が下降を開始する。
素子8が軸線方向に伸長すると図6(A)に示されるよ
うにピストン6が下降せしめられ、その結果圧力制御室
13の容積が減少せしめられる。圧力制御室13の容積
が減少せしめられてもニードル4はただちに下降せず、
斯くして圧力制御室13および燃料孔22内の燃料圧が
上昇する。このとき摺動部材23は摺動部材23の頂面
に加わる燃料圧によってニードル4の頂面19に強力に
圧接せしめらる。また、圧力上昇した燃料圧が摺動部材
23の中心に形成されている円孔29を通ってニードル
頂面19上に作用する。その結果ニードル4は閉弁方向
に付勢され、斯くしてニードル4が下降を開始する。
【0031】ニードル4が下降を開始すると環状室24
の容積が大巾に増大する。ニードル4が下降している
間、摺動部材23はニードル4の頂面19上に強力に圧
接され続けるので環状室24内にはほとんど燃料が流入
せず、しかも上述したように環状室24の容積が大巾に
増大するので環状室24内は負圧となる。その結果、こ
の負圧によってニードル4には上向きの力が作用する。
ニードル4が下降するにつれて圧力制御室13および燃
料孔22内の燃料圧は若干低下し、しかもニードル4が
下降するほど環状室24内の負圧が大きくなるのでニー
ドル4の閉弁速度が低下せしめられる。その結果、ニー
ドル4が弁座に当接するときの速度が遅くなるためにニ
ードル4が弁座ではね返ることがなくなり、斯くして2
次噴射現象が生じるのを阻止することができることにな
る。
の容積が大巾に増大する。ニードル4が下降している
間、摺動部材23はニードル4の頂面19上に強力に圧
接され続けるので環状室24内にはほとんど燃料が流入
せず、しかも上述したように環状室24の容積が大巾に
増大するので環状室24内は負圧となる。その結果、こ
の負圧によってニードル4には上向きの力が作用する。
ニードル4が下降するにつれて圧力制御室13および燃
料孔22内の燃料圧は若干低下し、しかもニードル4が
下降するほど環状室24内の負圧が大きくなるのでニー
ドル4の閉弁速度が低下せしめられる。その結果、ニー
ドル4が弁座に当接するときの速度が遅くなるためにニ
ードル4が弁座ではね返ることがなくなり、斯くして2
次噴射現象が生じるのを阻止することができることにな
る。
【0032】ニードル4が弁座に当接して燃料噴射が停
止せしめられると圧力制御室13および燃料孔22内の
燃料は摺動部材23の外周面周りを通って環状室24内
に徐々に流出し、斯くして圧力制御室13および燃料孔
22内の燃料圧は環状室24内の燃料圧とほぼ等しくな
る。図7は摺動部材23の別の実施例を示しており、こ
の実施例では摺動部材23はその全長に亘って一様な断
面形状の中空円筒体から形成されている。このような形
状の摺動部材23を用いても環状室24内の燃料圧は摺
動部材23とニードル4の頂面19間にもかなり作用す
るので圧力制御室13内の燃料圧が低下したときには摺
動部材23はニードル4の頂面から離れ、斯くして低下
した燃料圧がニードル4の頂面19の全体に作用するこ
とになる。
止せしめられると圧力制御室13および燃料孔22内の
燃料は摺動部材23の外周面周りを通って環状室24内
に徐々に流出し、斯くして圧力制御室13および燃料孔
22内の燃料圧は環状室24内の燃料圧とほぼ等しくな
る。図7は摺動部材23の別の実施例を示しており、こ
の実施例では摺動部材23はその全長に亘って一様な断
面形状の中空円筒体から形成されている。このような形
状の摺動部材23を用いても環状室24内の燃料圧は摺
動部材23とニードル4の頂面19間にもかなり作用す
るので圧力制御室13内の燃料圧が低下したときには摺
動部材23はニードル4の頂面から離れ、斯くして低下
した燃料圧がニードル4の頂面19の全体に作用するこ
とになる。
【0033】図8は摺動部材23の更に別の実施例を示
している。この実施例では摺動部材23の上方部にも小
径部が形成されており、この小径部によって圧縮ばね2
6の下端部の脱落が阻止されている。従ってこの実施例
では図5から図7に示すようなピン27を設ける必要が
なくなる。図9に更に別の実施例を示す。なお、図9
(A)はピストン6が下降したところを示しており、図
9(B)はピストン6が上昇したところを示している。
している。この実施例では摺動部材23の上方部にも小
径部が形成されており、この小径部によって圧縮ばね2
6の下端部の脱落が阻止されている。従ってこの実施例
では図5から図7に示すようなピン27を設ける必要が
なくなる。図9に更に別の実施例を示す。なお、図9
(A)はピストン6が下降したところを示しており、図
9(B)はピストン6が上昇したところを示している。
【0034】この実施例では図5および図6に示す実施
例と同様に摺動部材23がニードル4とは別個に形成さ
れ、摺動部材23内には円孔29が形成されているがこ
の実施例では図5および図6に示す実施例と異なって円
孔29内に絞り通路30が形成されている。このような
絞り通路30を設けても図9(B)に示す状態からピス
トン6が下降した際には摺動部材23がニードル4の頂
面19上に圧接されるので環状室24内には大きな負圧
が発生し、斯くしてニードル4の下降速度が低下せしめ
られる。従ってニードル4が下降する際のニードル4の
動作は図5および図6に示される実施例と同じになる。
例と同様に摺動部材23がニードル4とは別個に形成さ
れ、摺動部材23内には円孔29が形成されているがこ
の実施例では図5および図6に示す実施例と異なって円
孔29内に絞り通路30が形成されている。このような
絞り通路30を設けても図9(B)に示す状態からピス
トン6が下降した際には摺動部材23がニードル4の頂
面19上に圧接されるので環状室24内には大きな負圧
が発生し、斯くしてニードル4の下降速度が低下せしめ
られる。従ってニードル4が下降する際のニードル4の
動作は図5および図6に示される実施例と同じになる。
【0035】しかしながら円孔29内に絞り通路30を
設けるとニードル4が上昇する際のニードル4の動作が
図5および図6に示される実施例と若干異なる。即ち、
ピストン6が上昇して圧力制御室13内の燃料圧が低下
すると依然として高圧となっている絞り通路30下方の
円孔29内の燃料圧によって摺動部材23がニードル4
の頂面19から離れ、斯くして絞り通路30下方の円孔
29内の燃料および環状室24内の燃料が絞り通路30
を介して燃料孔22内に流出を開始する。しかしながら
この場合、絞り通路30の絞り作用によって絞り通路3
0下方の円孔29内の燃料圧および環状室24内の燃料
圧、即ちニードル4の頂面全体に作用する燃料圧は比較
的ゆっくりと低下し、斯くしてニードル4の上昇速度が
低下せしめられることになる。なお、この場合、ニード
ル4の上昇速度は絞り通路30の断面積を変えることに
よって任意に変化させることができる。従ってこの実施
例ではニードル4の上昇速度を遅くしてニードル4のは
ね返りを阻止しうるばかりでなく、絞り通路30の断面
積を変えることによって燃料噴射開弁時における燃料噴
射率の立上りを任意に変化させることができる。
設けるとニードル4が上昇する際のニードル4の動作が
図5および図6に示される実施例と若干異なる。即ち、
ピストン6が上昇して圧力制御室13内の燃料圧が低下
すると依然として高圧となっている絞り通路30下方の
円孔29内の燃料圧によって摺動部材23がニードル4
の頂面19から離れ、斯くして絞り通路30下方の円孔
29内の燃料および環状室24内の燃料が絞り通路30
を介して燃料孔22内に流出を開始する。しかしながら
この場合、絞り通路30の絞り作用によって絞り通路3
0下方の円孔29内の燃料圧および環状室24内の燃料
圧、即ちニードル4の頂面全体に作用する燃料圧は比較
的ゆっくりと低下し、斯くしてニードル4の上昇速度が
低下せしめられることになる。なお、この場合、ニード
ル4の上昇速度は絞り通路30の断面積を変えることに
よって任意に変化させることができる。従ってこの実施
例ではニードル4の上昇速度を遅くしてニードル4のは
ね返りを阻止しうるばかりでなく、絞り通路30の断面
積を変えることによって燃料噴射開弁時における燃料噴
射率の立上りを任意に変化させることができる。
【0036】図10は図9の摺動部材23の別の実施例
を示している。なお、図10(A)はピストン6が下降
したところを示しており、図10(B)はピストン6が
上昇したところを示している。この実施例では摺動部材
23の外周面下端部に円錐状の受圧面28が形成され
る。従って圧力制御室6内の燃料圧が低下したときには
絞り通路30下方の円孔29内の燃料圧に加えて受圧面
28に加わる燃料圧によって摺動部材23がニードル4
の頂面から離れる。その他のニードル4の動作について
は図9に示す実施例と同じであるので説明を省略する。
を示している。なお、図10(A)はピストン6が下降
したところを示しており、図10(B)はピストン6が
上昇したところを示している。この実施例では摺動部材
23の外周面下端部に円錐状の受圧面28が形成され
る。従って圧力制御室6内の燃料圧が低下したときには
絞り通路30下方の円孔29内の燃料圧に加えて受圧面
28に加わる燃料圧によって摺動部材23がニードル4
の頂面から離れる。その他のニードル4の動作について
は図9に示す実施例と同じであるので説明を省略する。
【0037】
【発明の効果】燃料噴射停止時にニードルの閉弁速度を
遅くして2次噴射現象の発生を阻止することができる。
遅くして2次噴射現象の発生を阻止することができる。
【図1】燃料噴射弁の側面断面図である。
【図2】図1に示す燃料噴射弁のA部の拡大側面断面図
である。
である。
【図3】別の実施例を示す燃料噴射弁の一部の拡大側面
断面図である。
断面図である。
【図4】更に別の実施例を示す燃料噴射弁の一部の拡大
側面断面図である。
側面断面図である。
【図5】燃料噴射弁の更に別の実施例を示す側面断面図
である。
である。
【図6】図5に示す燃料噴射弁のA部の拡大側面断面図
である。
である。
【図7】更に別の実施例を示す燃料噴射弁の一部の拡大
側面断面図である。
側面断面図である。
【図8】更に別の実施例を示す燃料噴射弁の一部の拡大
側面断面図である。
側面断面図である。
【図9】更に別の実施例を示す燃料噴射弁の一部の拡大
側面断面図である。
側面断面図である。
【図10】更に別の実施例を示す燃料噴射弁の一部の拡
大側面断面図である。
大側面断面図である。
4…ニードル 6…ピストン 8…圧電素子 13…圧力制御室 20…背圧室 22…燃料孔 23…摺動部材 24…環状室
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−1369(JP,A) 特開 昭60−53660(JP,A) 特開 平2−125960(JP,A) 実開 昭62−20165(JP,U) 実開 平3−68559(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02M 47/00 - 47/02 F02M 51/00 F02M 51/06 F02M 61/10 F02M 61/20
Claims (4)
- 【請求項1】 ニードルの頂面上に背圧室を形成すると
共にニードルの頂面に対向する背圧室の頂面の中央部を
燃料孔を介して圧力制御室に連結し、燃料で満たされた
圧力制御室の容積をアクチュエータにより制御して圧力
制御室の容積が増大せしめられたときにはニードルが上
昇してノズル口を開口すると共にこのときニードルの頂
面が背圧室頂面の周縁部に当接してニードルの最大リフ
ト量が規制され、圧力制御室の容積が減少せしめられた
ときにはニードルが閉弁方向に付勢されてノズル口を閉
鎖する燃料噴射弁において、少くともニードルの下降時
にはニードルの頂面中央部に一体的に連結されてニード
ルと共に下降する摺動部材を上記燃料孔内に摺動可能に
挿入して該摺動部材周りのニードル頂面周辺部と背圧室
頂面周辺部間に該摺動部材により圧力制御室から分離さ
れた環状室を形成するようにした燃料噴射弁。 - 【請求項2】 上記摺動部材がニードルの頂面中央部に
固定されている請求項1に記載の燃料噴射弁。 - 【請求項3】 上記圧力制御室と上記摺動部材間に位置
する上記燃料孔の断面積を該摺動部材が摺動する燃料孔
部分の断面積よりも小さくした請求項1の記載の燃料噴
射弁。 - 【請求項4】 上記摺動部材がニードルとは別個に形成
されると共に該摺動部材がばね力により常時ニードル頂
面中央部に圧接され、該摺動部材内に該摺動部材の上端
面から下端面まで延びる絞り通路を形成した請求項1に
記載の燃料噴射弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22290492A JP2842070B2 (ja) | 1991-12-25 | 1992-08-21 | 燃料噴射弁 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34297791 | 1991-12-25 | ||
JP3-342977 | 1991-12-25 | ||
JP22290492A JP2842070B2 (ja) | 1991-12-25 | 1992-08-21 | 燃料噴射弁 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05231264A JPH05231264A (ja) | 1993-09-07 |
JP2842070B2 true JP2842070B2 (ja) | 1998-12-24 |
Family
ID=26525159
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22290492A Expired - Lifetime JP2842070B2 (ja) | 1991-12-25 | 1992-08-21 | 燃料噴射弁 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2842070B2 (ja) |
-
1992
- 1992-08-21 JP JP22290492A patent/JP2842070B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05231264A (ja) | 1993-09-07 |
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