JP2841438B2 - 短時間熱処理方法 - Google Patents

短時間熱処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、特に、半導体結晶基板の高均一・高信頼短
時間熱処理方法に関する。
(従来の技術) 近年、III−V族化合物半導体材料に用いた高速デジ
タル集積回路の開発が進むにつれて、短時間熱処理法の
重要性がますます高まってきている。すなわち、ヘテロ
接合バイポーラ・トランジスタやヘテロ接合電解効果ト
ランジスタなどのヘテロ接合デバイスの製造プロセスに
おいては、微細構造を持つヘテロ接合に大きな結晶損傷
を与えない熱処理法が要求されるが、この目的に現在最
も適した方法が短時間熱処理法である。また、この短時
間熱処理法は電解効果トランジスタの性能を高めるため
に重要な浅く高濃度の動作層の形成にも適している。こ
の方法を用いることにより、動作層の不純物の再分布が
抑えられるばかりでなく、高い電気的活性化率が得られ
ることが知られている。
通常、イオン注入されたIII−V族化合物半導体基板
を短時間熱処理する方法としては、第3図に示すよう
に、石英ガラス製炉芯管5の内部に孤立して設置された
半導体基板試料2を、アルゴンや窒素ガスなどの雰囲気
ガス3中で、炉芯管の外部からランプ1で照射する方法
が一般的であり、ランプの直接的な照射により試料の加
熱を行なっている。第3図において、4は基板を支持す
るための石英製ピン、6はランプ光の反射板である。
(発明が解決しようとする問題点) しかし上記のように、雰囲気ガス中で、半導体基板を
単一で短時間熱処理すると、ガスの対流効果及び半導体
基板周辺端部からの放熱効果(エッヂ効果)により基板
面内の温度が不均一になり、基板の反り及びスリップ線
が発生したり、例えば注入されたイオンの電気的活性化
率が基板面内で大きく変動したりする問題があった。
本発明は以上述べたような従来の問題点を解決するた
めになされたものであり、ランプ照射に伴う基板面内の
温度の不均一性を抑制できる短時間熱処理方法を提供す
ることにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明の方法は、熱処理用ランプを備えた熱処理装置
を用いて短時間熱処理を行う方法において、被熱処理物
の雰囲気を10-4Torr以下の真空とし、且つ前記被熱処理
物の周囲にランプ光を吸収する材料からなる耐熱物を前
記被熱処理物と非接触状態で被熱処理物の周辺端部を囲
むように設置したことを特徴とする。この場合、前記耐
熱物は放射効率の極めて優れたグラファイトを用いるこ
とが望ましい。
(作用) 本発明の原理は、被熱処理物を10-4Torr以下の真空中
におくことにより、従来技術で問題となっていた雰囲気
ガスの対流効果を抑制している。また、被熱処理物の周
囲にランプ光を吸収する材料からなる耐熱物を前記被熱
処理物と非接触で設置し、前記耐熱物から放射される熱
の効果を利用して、被熱処理物の周辺端部からの放熱効
果を抑制している。このような場合には、被熱処理物は
ランプ光の吸収と近傍に設置された耐熱物からの熱放射
により加熱されるため、一様なランプ照射光の基では、
被熱処理物の温度分布は極めて均一になる。このような
基板面内に於ける温度分布の均一化は、例えば、GaAsME
SFETを製作した場合、基板面内の電流しきい値電圧Vt
相互コンダクタンス等のデバイス特性の均一化に直接的
につながる。その結果、回路設計の自由度増大、ICの高
速化を図ることができる。また、このような均一化は、
大量生産時の歩留りを改善するため、デバイス及びICの
低価格化にも結びつく。
(実施例) 以下に本発明の一実施例について詳細に説明する。
第1図(a)及び第1図(b)、本発明の熱処理方法
を概念的に示す断面図及び試料近傍の平面図であり、第
3図に示した従来技術の様に石英ガラス炉芯管5内に雰
囲気ガスN2を導入する代わりに、ポンプで真空(〜10-4
Torr)にひいている。また、エッヂ効果抑制のためにグ
ラファイトから成る耐熱物(ガードリング)7を、GaAs
基板2の周囲に約3mmの間隔をあけて設置している。こ
のカードリング7の厚さtは、GaAs基板2の厚さに比
べ、同等以上が望ましい。また、間隔も基本的には任意
であるが、できるだけ狭い方が望ましい。GaAs基板2及
びカードリング7は石英ガラス炉芯管5内に置かれ、石
英製ピン4で支持されている。1はランプ、6はランプ
光の反射板である。本実施例においては、面方位<100
>LEC(Liquid Encapsulated Czochralski)法アンドー
プ半絶縁性GaAs基板2に注入エネルギー100KeVでSi+
5×1012cm-2注入した後、ハロゲン・ランプ1を用いて
950℃で5秒間熱処理した。
第2図は基板の周辺の温度T1,T3と中央付近の温度T2
との温度差ΔTを、従来技術と本発明の技術の場合で比
較したものである。制御温度T1であり、N2ガスは、オリ
エンテッド・フラットネス(OF)側から導入している。
ここで、ΔT1=T2−T1、ΔT2=T3−T1と定義した。尚、
N2ガスを導入している場合には、前記ガードリングは用
いていない。第2図からも明らかなように、従来技術に
おいては、N2ガスの流量を変化させても温度差にはほと
んど変化なく、ΔT1=20〜30℃、ΔT2=40℃と比較的大
きな温度差を生じている。これに対し本発明における温
度差は例えば10-4torrの真空の場合、ΔT1、ΔT2共に約
10℃に抑えられていることが分かる。このことはN2ガス
の対流効果及びエッヂ効果が温度差の増大を誘発してい
たことを示唆している。以上の結果から、本発明による
方法が基板面内の温度の均一化にきわめて有効であるこ
とは明らかである。
尚、本発明は、あらゆる基板材料からなる試料に適応
できることは明白である。例えば、Si、AlGaAs、InP、I
nGaAs、Ge等である。また、試料の支持法も、本実施例
で述べたピン支持法以外のすべての支持法に対して有効
である。例えば、既に知られているSi基板サポート法等
がある。これについては、R.T.Bluntらによるアプライ
ドフィジックスレター(Appl.Phys.Lett.)のVol.47,N
o.3,pp.304−306、1985または、A.Tamuraらによる第14
回GaAsと化合物のシンポジウムのプロシーディング(Pr
oc.14th.Int.Symp.GaAs and Related Compouds,pp.533
−538,Sept.1986)に記載されている。更に、本発明
は、GaAsMESFET以外の高電子移動度トランジスタ(HEM
T)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)など他
のデバイスの製作についても同様に有効である。また、
任意の寸法をもつ基板試料についても、本発明は適用で
きる。尚、真空度についても、10-4Torr以下であれば任
意である。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の短時間熱処理方法によ
れば、真空中で熱処理を行うので熱処理雰囲気の対流が
抑制される。さらに基板周囲にランプ光を吸収するため
の耐熱物を設置しているので、基板周辺端部からの放熱
効果が抑制される。このため、半導体基板面内の温度分
布が一様となるため、基板面内のデバイス特性を極めて
均一化できる効果がある。その結果、回路の雑音余裕度
が大幅に改善され、ICの高速化が可能となる。更に、歩
留り向上の効果もあり、デバイス及びICの低価格化を実
現できる。
【図面の簡単な説明】 第1図(a)及び第1図(b)は本発明の短時間熱処理
方法の概略図、第2図は基板の周辺の温度と中央付近の
温度との温度差を従来技術と本発明の技術の場合で比較
した図、第3図は従来の短時間熱処理方法の概略図であ
る。 1……ランプ、2……GaAs基板、3……N2ガス流、 4……石英ガラス製ピン、5……石英ガラス製炉芯管、 6……反射板、7……ガードリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−271922(JP,A) 特開 昭62−128525(JP,A) 特開 昭62−2614(JP,A) 特開 昭63−273315(JP,A) 特開 昭64−50524(JP,A) 特開 昭63−143814(JP,A) 実開 昭59−112938(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ランプを用いて熱処理を行う短時間熱処理
    方法において、被熱処理物の雰囲気を10-4Torr以下の真
    空とし、且つ前記被熱処理物の周囲にランプ光を吸収す
    る材料からなる耐熱物を前記被熱処理物と非接触状態で
    被熱処理物の周辺端部を囲むように設置して熱処理を行
    うことを特徴とする短時間熱処理方法。
  2. 【請求項2】前記被熱処理物を点接触で支持する支持台
    上に設置して熱処理を行う請求項1に記載の短時間熱処
    理方法。
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