JP2838831B2 - 分散型el用蛍光体の被覆処理方法 - Google Patents

分散型el用蛍光体の被覆処理方法

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JP2838831B2 JP6325321A JP32532194A JP2838831B2 JP 2838831 B2 JP2838831 B2 JP 2838831B2 JP 6325321 A JP6325321 A JP 6325321A JP 32532194 A JP32532194 A JP 32532194A JP 2838831 B2 JP2838831 B2 JP 2838831B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、面光源などに応用され
る分散型ELに好適な蛍光体の被覆処理方法に関し、特
に防湿性を高め長時間にわたって高輝度を維持できる蛍
光体を実現するための被覆処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】分散型ELは、アルミニウムなどの金属
箔からなる背面電極に、チタン酸バリウム等の高誘電体
をシアノエチルプルラン等の有機バインダに分散させた
反射絶縁層、蛍光体粒子をシアノエチルプルラン等の有
機バインダ中に分散させた発光層、ITOなどの光透過
性導電層を形成した透明導電シートを順次積層し、この
積層体の背面電極及び透明導電シートからリードを導出
したもので、この分散型ELは上記積層体のみでも動作
するが、蛍光体が吸湿すると劣化して発光輝度が低下し
短時間で実用にならなくなるため、上記積層体を良好な
防湿性を有するニトフロン等からなる外皮フイルムにて
挟持し、さらに防湿性を高めるため、外皮フイルムと積
層体の間にナイロンなどの防湿性を有するシートを挿入
している。
【0003】このような構造の分散型ELは、防湿のた
め外皮フイルム及び防湿シートで積層体を挟持する必要
があって、全体の厚み寸法が大きくなり、それぞれ材料
として高耐湿性を有するものを選択しているが、より効
果を高めようとするとさらに厚くする必要があり、薄型
化の障害となっていた。一方、高耐湿性の材料としてフ
ロンを含むものが容易に入手でき一般的に使用されてい
るが環境汚染防止の観点から脱フロン材料を使用するこ
とが望ましい。しかしながら、脱フロン材料で直ちに置
換可能な材料がなく、耐湿性の劣る材料に置換するとそ
の厚みをより厚くする必要があり薄型化の要請に逆行
し、光透過面の厚みが厚くなると輝度が低下するという
問題もあった。このような問題を一挙に解決するため、
蛍光体に防湿性を有する皮膜を形成し蛍光体自体を防湿
処理することが知られている。例えば米国特許第458
5673号明細書には蛍光体の表面に熱CVD法により
酸化アルミニウムなどの防湿皮膜を形成することが開示
されている。これを図5から説明する。
【0004】図において、1は軸を上下に向けて配置さ
れた反応筒体で、上端が開口した円筒部1aの下端に漏
斗状部1bを接続した構造をしており、各部の接続部分
にはフイルタ2が挿入されている。3は漏斗状部1bの
下端に接続され、反応筒体1に第1の原料ガスを供給す
る第1のパイプで、図示しないが加熱手段が付設され第
1の原料ガスを所定の温度に加熱して反応筒体1に供給
する。4は円筒部1aの上端からその内部に挿入され、
反応筒体1に第2の原料ガスを供給する第2のパイプ
で、その下端は径大に形成され図示しないが周縁に多数
の吐出孔を開口して、円筒部1a内に一様にガスを吐出
できるようにしている。5は反応筒体1の外周に配置さ
れ、反応筒体1内に供給した蛍光体6、第1、第2のガ
スを加熱する加熱手段を示す。この加熱手段5は時間的
に少なくとも2段階の温度設定可能に制御される。この
装置を用いた蛍光体粒子への皮膜形成方法を以下に説明
する。まず、反応筒体1を加熱手段5にて比較的低温、
例えば60℃乃至150℃の温度に加熱しつつ、反応筒
体1内に蛍光体粒子6を供給する。
【0005】次いで、第1のパイプ3より第1のガス
が、蛍光体粒子6が円筒部1a内のフイルタ2上で上
昇、落下を繰返し浮動するように圧力調整されて供給さ
れる。さらに、第2のパイプ4より第2のガスを供給す
ると、第1、第2のガスの混合ガス内で、蛍光体粒子6
が浮動し、その全面が混合ガスと接触した状態で蛍光体
粒子6の温度が加熱手段5により設定された所定の温度
に上昇する。この状態から、加熱手段5の温度を第1、
第2のガスの原料成分が分解し反応する比較的高温に設
定し、浮動状態の蛍光体粒子6の全面に均一な防湿皮膜
を形成する。この後、第1、第2のガスの供給と加熱手
段5による加熱をそれぞれ停止し反応筒体1より表面に
防湿皮膜を形成した蛍光体粒子を得る。蛍光体粒子の表
面に防湿皮膜を形成する他の方法として、例えば特開昭
63−278990号公報あるいは特開平1−1290
90号公報に開示された技術が知られている。
【0006】これを図6から説明する。図において、7
は軸を上下に向けて配置された反応筒体で、上端が開口
した円筒部7aの下端に漏斗状部7bを接続した構造を
しており、各部の接続部分には図示しないがフイルタが
挿入されている。8は漏斗状部7bの下端に接続され、
反応筒体7に原料ガスを供給するガス供給パイプ、9は
反応筒体7内に配置された高周波コイルで、図示しない
高周波電源に接続されている。10は反応筒体7を覆い
減圧環境とする気密容器でパイプ10aは真空ポンプ
(図示せず)に接続されている。11は反応筒体7内に
供給された蛍光体粒子を示す。図示省略するが反応筒体
7内の蛍光体粒子11を約200℃に加熱する赤外線ラ
ンプも配置されている。
【0007】以下に、この装置を用いた蛍光体粒子への
防湿膜形成方法を説明する。先ず、気密容器10を開い
て反応容器7内に蛍光体粒子11を供給し、続いて気密
容器10を閉じてパイプ10aより排気しその内部を
1.3乃至2670Pa好ましくは6.7乃至667P
aに減圧する。そして、ガス供給パイプ8よりキャリア
ガスとともに原料ガス(窒素ガスとシランガスの混合ガ
ス)を供給して蛍光体粒子11を浮動させその表面全面
に原料ガスを接触させる。さらに高周波コイル9に高周
波電流を通電して、コイル9内を含窒素ガスプラズマ状
態とし、この内部を浮動する蛍光体粒子11の温度を室
温乃至500℃に設定しその表面に反応生成物である窒
化珪素の防湿皮膜を形成する。この状態で所定時間(1
〜500分)保ち、蛍光体粒子11の表面に防湿皮膜を
形成した後、高周波電流の供給を停止し、パイプ8から
のガス供給を停止し、気密容器10を開いて、処理済の
蛍光体粒子を取り出す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図5で説明
した方法では、蛍光体粒子6の全面に皮膜を形成するた
めに、蛍光体粒子6を第1のガスにより浮動させている
が、このガス圧によって反応筒体1内での第2のガスの
適正濃度が影響される。即ち反応筒体1に供給する蛍光
体粒子6の量だけでなく、反応生成物の付着によって増
大する蛍光体粒子6の重量によって蛍光体粒子を浮動さ
せるためのガス圧を変化させなければならず、第1、第
2のガスの供給量の調整が煩雑であるという問題があっ
た。一方、反応筒体1内の蛍光体粒子6は加熱手段5か
らの輻射熱によって加熱されるが、ガスの反応を良好に
するためには、例えば400℃乃至650℃に加熱する
必要がある。
【0009】しかしながら、原料ガスが未分解の状態で
蛍光体粒子6が400℃を越える温度に曝されると、蛍
光体自体の発光特性が劣化し、防湿性は良好でも発光輝
度や発光色の面から品質が劣るという問題もあつた。図
6で説明した方法では、原料ガスの分解、反応が高周波
コイル9の内部でのみ効率よく行われ、高周波コイル9
から外れたところでは反応生成物が充分な厚さで被覆さ
れていない状態で蛍光体粒子の素地が直接的に高温に曝
され蛍光体自体の発光特性が劣化する虞があった。ま
た、反応は高周波コイル9の近傍に限定されるため、処
理に時間がかかり、コイル9内を通る蛍光体粒子が偏る
と、個々の蛍光体粒子11と高周波コイル9との距離を
一定に保つことができず、処理時間を十分長くしても防
湿皮膜の厚さにばらつきを生じるという問題もあった。
【0010】また、高周波コイル9の径を大きくすれ
ば、処理の偏りを改善できるが、大容量の高周波電源が
必要で、処理コストが増大するという問題もあった。こ
のように、従来の技術では蛍光体粒子の表面に防湿皮膜
を形成することはできても、製造過程で、蛍光体粒子そ
のものが熱的に劣化して、輝度が低下し、その結果寿命
も短くなるという問題があるため製造過程での制御が煩
雑であった。この他に、図5、図6の従来技術では、い
ずれも蛍光体粒子を下から吹き上げるガス流と蛍光体粒
子の自重により反応容器内で上昇、下降を繰り返させて
浮動させるようにしているため、一括して大量の蛍光体
粒子を処理しようとすると堆積した蛍光体の重量以上の
ガス圧を加えなければならず、ガス圧の印加が急激であ
ると蛍光体粒子が発散する虞があり、これを防止するに
は、処理量に比して大容量の反応容器が必要になり、そ
れに付属する装置も大型化するという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
し耐湿性に優れ、高輝度、長寿命の蛍光体を得ることを
目的として提案されたもので、蛍光体を収容する容器内
に蛍光体粒子を供給して加熱し容器を振動させるなどし
て転動させるとともに第1・第2の原料ガスを容器内の
蛍光体粒子と接触するように供給して容器の外方に対向
配置した一対の電極間に高周波電圧を印加するなどの手
段により容器内をプラズマ状態とし、第1・第2の原料
ガスから生成される化合物を転動する蛍光体粒子表面に
被覆するようにしたことを特徴とする分散型EL用蛍光
体の被覆処理方法を提供する。第1の原料ガスがエトキ
シ基を有する化合物とし、第2の原料ガスが酸素または
窒素の少なくとも一方の原子を含むガスとすることによ
り蛍光体粒子表面に良質の皮膜を形成できる。この場
合、蛍光体粒子の加熱温度を、原料ガスの蒸気化温度か
ら200℃の範囲に設定する。平面形状が円形をなしそ
の中央部が周縁部より突出した容器底部の周縁に、終端
が底部の中央部上方に位置する螺旋状の搬送路を接続
し、この搬送路を経由して蛍光体粒子を循環させること
により蛍光体粒子表面に均質な皮膜を形成できる。
【0012】
【作用】上記構成により、被覆処理される蛍光体粒子は
下部電極上に安定支持されて移動し、またこの蛍光体粒
子はプラズマ雰囲気を作り出す一対の電極に対してその
位置も安定するため、蛍光体粒子表面に均質な皮膜を形
成することができる。
【0013】
【実施例】以下に本発明の実施例を図1に示す処理装置
を用いて説明する。図において、12はベース、13は
ベース12上の円周上の等間隔位置から同一方向に傾斜
して延びる少なくとも3本の板バネで、その内2本が図
示されている。14はベース12の上方に配置され板バ
ネ13に支持されたボウル(容器)で、中央部が周縁部
より突出し平面形状が円形の底部14aに上方に向かっ
て径大の筒状周壁14bを接続した構造をしており、少
なくとも底部14aは導電部材よりなる。この底部14
aは外部の電源(図示せず)に接続され下部電極(第1
の電極)として機能する。15はボウル14の底部14
a外面に固定されボウル14を加熱する加熱手段、16
はボウル14の内部に配置された搬送路で、その始端1
6aはボウルの底部14a周縁に接続され、中間部16
bがボウル周壁14bの内周面に螺旋状に固定され、終
端16cが底部14a中央部上方に位置する。この搬送
路16の中間部16bと終端16cの接続部には一端が
ボウル周壁14bと接続された側壁16dが設けられて
いる。17はボウル14の底部14aの外面に固定され
た磁気吸着片、18は磁気吸着片17に対向してベース
12に固定された電磁石で、磁気吸着片17と電磁石1
8とでボウル14を振動させる加振手段を構成する。こ
の加振手段によりボウル14は上下に振動するが、板バ
ネ13が円周方向に傾斜してボウル14を支持している
ため、上下方向の振動と円周方向の振動の合成振動に変
換され、加振手段による振動を鋸歯状または正弦半波状
の振動とすることにより、ボウル14内の部材は斜め上
方の力を受け前進力が付与され、ボウルの底部14aに
あった部材は螺旋状の搬送路16を経由して再度底部1
4aに戻りボウル14内を循環する。19はボウル14
の周壁14bの開口端上に環状配置されボウル内に第1
の原料ガスを供給するガス吐出口19aを多数開口した
第1のパイプ、20はボウル14内に第2の原料ガスを
供給する第2のパイプで、第1のパイプ19の上方で環
状配置され、ボウル14内にガス吐出口20aを開口し
ている。21はボウル14の開口部上方に配置されボウ
ルの底部14aと対向した上部電極(第2の電極)、2
2はベース12に支持されたボウル14、第1、第2の
パイプ19、20、上部電極21を囲み、その内部を減
圧環境に保つ外囲器(気密容器)を示す。
【0014】この装置は、外囲器22の外部に、下部電
極(底部)14aと上部電極21に高周波電圧を供給す
る電源、加熱手段15を制御する制御手段、第1、第2
のパイプ19、20にそれぞれ原料ガスを供給するガス
供給源、加振手段を制御する制御手段、外囲器22内を
減圧状態にする真空ポンプなどが付設されているが図示
省略している。以下にこの装置を用いた蛍光体の被覆処
理方法を説明する。先ず図1装置の外囲器22を開い
て、加熱手段15により予熱されたボウル14内に蛍光
体粒子23を供給し、加振手段を作動させボウル14内
の蛍光体粒子23を搬送路16を経由して循環させる。
このとき搬送路16を含むボウル14内で蛍光体粒子2
3が毎分4回程度循環するように加振手段の電磁石18
に供給する制御電流の周波数、振幅を調整する。この状
態で蛍光体粒子23は斜め前方の微小な振動を受けて移
動するためボウル14内で転動し、移動中に全ての面を
順にボウル14開口面側に向ける。次に、外囲器22を
閉じ、真空ポンプを作動させ外囲器22内に閉じ込めら
れた空気を追い出し外囲器22内を1.3Pa程度の圧
力に減圧する。蛍光体粒子23の温度が130℃に落ち
着いてきた時点で、第2のパイプ20より酸素ガスを供
給流量350SCCMに保って供給する。そして上下電
極14a、21間に例えば周波数13.56MHz、2
50W程度の高周波源より高周波電圧を印加して電極1
4a、21間に酸素ガスプラズマを発生させる。
【0015】続いて、第1のパイプ19より第1の原料
ガス、例えばテトラエトキシシランガスを供給流量1S
CCMに保って供給し、第1、第2の原料ガスが供給さ
れた状態で外囲器22内の圧力を13乃至40Paに保
つ。酸素ガスプラズマ状態の雰囲気に供給されたテトラ
エトキシシランガスは蛍光体粒子23の表面に吸着さ
れ、プラズマ励起された酸素原子と反応して酸化珪素を
生じ、その表面に皮膜を形成する。蛍光体粒子23はボ
ウル14内で転動しその表面を酸素ガスプラズマ雰囲気
に曝しながら移動するため、酸化珪素の皮膜は蛍光体粒
子23の全表面に形成され、処理時間によって皮膜の厚
さが制御される。皮膜の厚さは、この蛍光体が使用され
る分散型ELの耐湿構造、発光輝度などに合わせて適宜
設定される。重量200gの蛍光体を処理温度を変えて
それぞれ840分(14時間)処理したものと、被覆処
理していない蛍光体とを用いて、アルミニウムからなる
背面電極上に、チタン酸バリウムからなる絶縁層、高誘
電体からなるバインダに上記蛍光体を分散させた発光
層、透明電極を順次積層形成して、本発明品と従来品の
2種類のELパネルをそれぞれ作成し従来品に対する比
較を行った。
【0016】恒温高湿槽を用い、各ELパネルに800
Hz、140Vの正弦波交流電圧を印加し、高温点灯試
験では、50℃、無加湿状態で点灯し、高湿点灯試験で
は、70℃、90%RHの雰囲気内に91時間放置した
後、50℃、90%RHの状態で点灯して、図2乃至図
4に示す結果を得た。図において、横軸は処理温度を、
縦軸はそれぞれ従来品に対する輝度半減時間の倍率、従
来品に対する発光効率の倍率、色度yをそれぞれ示す。
例えば、130℃で被覆処理した蛍光体は、高湿点灯試
験での初期輝度に対する輝度半減時間を比較したところ
本発明品は従来品に対して3.86倍となり、高温点灯
試験では輝度半減時間は2.09倍となった。また発光
効率は従来品に比して1.84倍に上昇し、色度yの変
動は認められなかった。
【0017】処理温度が180℃の蛍光体では、高湿点
灯試験は3.73倍、高温点灯試験では2.17倍、発
光効率2.02倍といずれも従来品より改善され、色度
yの変動は認められなかった。しかしながら、処理温度
を220℃に設定し14時間処理したものでは、高湿点
灯試験では3.28倍を維持したが、高温点灯試験では
従来品より20%低下し改善がみられなかった。また色
度yも0.019上昇し発光色の変動が認められた。ま
た、処理温度130℃で12時間処理した後、引続き温
度220℃、2時間処理したものでは、高湿点灯試験で
2.25倍、高温点灯試験で1.72倍、発光効率1.
86倍と改善されるものの、色度yは0.016変動
し、変色が認められた。
【0018】いずれも、処理温度の下限は原料ガスとな
る液体を気化させる温度で決定されテトラエトキシシラ
ンの場合、外囲器22内でガスの安定状態を保つため7
5℃以上に設定することが好ましい。また処理温度の上
限は図2乃至図4から220℃を越えると各特性は急激
に悪化する。これは、蛍光体が被覆処理されない状態で
直接的に加熱されると蛍光体自体が劣化するためと考え
られる。したがって、処理温度の上限は200℃が好ま
しい。処理時間は、例えば数g程度の蛍光体粒子に対し
ては数分の処理でも顕著な改善効果が得られた。また、
一括処理量を200gとした場合には28時間連続処理
しても、高湿保管、高温保管での輝度半減時間は改善さ
れ、被覆厚の増加による輝度低下もわずかであった。し
たがって、処理時間は一括処理する蛍光体粒子の量によ
って数分乃至28時間の範囲で適宜設定すればよい。上
記実施例では、第1の原料ガスをテトラエトキシシラン
ガスで説明したが、この他にテトラエトキシチタン、ト
リエトキシアルミニウムなどエトキシ基を有するガスを
用いることができ、また第2の原料ガスも酸素ガスだけ
でなく、窒素原子を含むガス、例えば窒素ガス、アンモ
ニアガスなどを用いることができ、それぞれの組み合わ
せにより、酸化膜あるいは窒化膜を得ることができる。
【0019】また、第1、第2の原料ガスの供給流量
は、未反応物質や中間生成物の発生を抑えるために、プ
ラズマガスの原料となる第2の原料ガスの流量を1とし
た場合、第1の原料ガスの流量は1以下に設定すること
が望ましい。上記実施例では、上下一対の電極14a、
21を用い、この電極に高周波電圧を印加してプラズマ
ガスを発生させるようにしたが、導電コイルに高周波電
流を通電してプラズマガスを発生させるようにしてもよ
い。また、蛍光体粒子の加熱手段15は反応を促進する
ために付設したもので、処理開始時にのみ作動させても
よく、プラズマ雰囲気の発生にともなう発熱によって、
蛍光体粒子を所定の温度範囲に設定できるならば省くこ
ともできる。
【0020】また、蛍光体粒子はその全面に皮膜を効率
よく形成するため転動させるが、これも円周方向だけで
なく、直線方向に転動させてもよい。さらには、蛍光体
粒子を供給する第1の電極を兼ねるボウルの回転軸を水
平面に対して傾斜させ、このボウルを連続的に回転させ
るようにしてもよい。また、対設した一対の電極間に、
石英などからなり蛍光体粒子を収容する容器を挿入し、
この容器内に第1、第2の原料ガスを供給して軸回りに
回転あるいは揺動させるようにしてもよい。この場合、
容器は供給した蛍光体粒子が処理中に保持できる構造な
らば箱状でも円筒や多角筒などの筒状でもよく、その回
転軸は水平面に対して平行でも非平行でもよい。このよ
うに蛍光体粒子を収容する容器は種々の形状が可能であ
るが、容器内を相対的に移動する蛍光体粒子の転動を助
長するためにその移動経路に突起や凹部を形成してもよ
い。蛍光体粒子を収容する容器を筒状容器とした場合
は、容器内壁に螺旋状の突起または溝を設け、管軸を水
平面よりやや傾斜させて軸回りに回転させることによ
り、容器内に供給した蛍光体粒子を転動させながら一端
から他端に移動させることができ、連続処理が可能とな
る。また、電極と蛍光体粒子を収容する容器とを別設し
た場合には、対向させた一対の電極の姿勢も上下方向に
対向配置するだけでなく任意の姿勢に設定できる。
【0021】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、蛍光体
粒子が被覆処理中に容器によって支持されているため、
蛍光体粒子をガス圧によって浮動させる必要がなく、一
括処理量を任意にでき、原料ガスの供給量も処理する蛍
光体の量に合わせ皮膜生成に必要な量に設定でき、未反
応物質、中間生成物の発生を抑えることができる。ま
た、プラズマCVD法にて皮膜形成を行うようにしたた
め、エトキシ基を有する化合物が低温度で反応し、蛍光
体自体の発光特性を劣化させることなく、防湿皮膜を形
成でき高輝度の蛍光体を得ることができる。さらには、
皮膜が形成される蛍光体粒子は、電極に対する位置がほ
ぼ一定しているため、各蛍光体粒子に対する皮膜の生成
状態が均一となり、処理時間が短くても均一な皮膜を形
成することができ、処理時間によって皮膜の厚さを制御
できる。また、大量の蛍光体粒子に対して一括処理でき
るため、処理コストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による蛍光体被覆処理方法を説明する
ための処理装置の要部側断面図
【図2】 本発明により被覆処理された蛍光体を用いた
ELと従来品との処理温度に対する輝度半減時間の比較
【図3】 本発明により被覆処理された蛍光体を用いた
ELと従来品との処理温度に対する発光効率の比較図
【図4】 本発明により被覆処理された蛍光体の処理温
度に対する色度yの特性図
【図5】 熱CVD法を利用した蛍光体の被覆処理装置
の側断面図
【図6】 プラズマCVD法を利用した蛍光体の被覆処
理装置の側断面図
【符号の説明】
14 容器(ボウル) 14a 第1の電極(下部電極、容器底部) 15 加熱手段、 16 搬送路 17 磁気吸着片(加振手段) 18 電磁石(加振手段) 19 第1の原料ガスを供給する第1のパイプ 20 第2の原料ガスを供給する第2のパイプ 21 第2の電極(上部電極) 22 外囲器(気密容器) 23 蛍光体粒子

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】容器内に供給した蛍光体粒子を加熱して転
    動させるとともに第1・第2の原料ガスを供給して容器
    内をプラズマ状態とし、第1・第2の原料ガスから生成
    される化合物を転動する蛍光体粒子表面に被覆する分散
    型EL用蛍光体の被覆処理方法において、平面形状が円
    形をなしその中央部が周縁部より突出した容器底部の周
    縁に、終端が底部の中央部上方に位置する螺旋状の搬送
    路を接続し、この搬送路を経由して蛍光体粒子を循環さ
    せるようにしたことを特徴とする分散型EL用蛍光体被
    覆処理方法。
JP6325321A 1994-12-27 1994-12-27 分散型el用蛍光体の被覆処理方法 Expired - Lifetime JP2838831B2 (ja)

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