JP2837948B2 - 船舶用舵 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は船舶用の舵に関するものである。

〔従来の技術〕

船舶の推進効率を向上させる一手段として、舵の中心
線に対して対称にフィンを舵から横方向に延出して設
け、プロペラ後流の回転エネルギを回収して推力に変換
するものが、例えば特開昭47−15895等で開示されてい
る。また、そのフィンの形状を改良したものとして実開
平02−28000に開示されているものもある。例えば後者
の場合、その機能を十分に発揮させるために、添付図面
の第２図（Ａ）〜（Ｄ）に示されるように、フィン51の
取付位置に関し、プロペラ軸中心線52上において舵53の
前縁とフィンの前縁の位置を一致させるか、もしくはそ
の近傍、すなわち舵53の前縁よりもプロペラ54の直径の
５％以内の距離の範囲にフィン51の前縁を位置させるよ
うになっている。

〔発明が解決しようとする課題〕

このようにして、プロペラ後流の回転エネルギをプロ
ペラの直ぐ近くに配置されているフィンによって回収
し、その揚力の前向き成分を推力として利用可能にな
る。

しかしながら、船舶の設計において、プロペラとフィ
ンの前縁とが、上述のごとく至近しているとは限らず、
その間隔が大きいと上記回転エネルギの回収が少なくな
ってしまう。

本発明は、かかる問題を解決し、プロペラとフィン前
縁との上記間隔が多少大きくとも、プロペラ後流の回転
流を有効な推力として回収して推進効率の向上を図るこ
とのできるフィン付きの船舶用舵を提供することを目的
とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明によれば、上記目的は、 船舶の縦方向に延びる舵の両面から横方向に延出する
フィンを有するものにおいて、 舵の前縁でフィンの取付位置に、プロペラボスキャッ
プに近接するように前方に略半球面をもつように突出し
た突部を設け、 上記突部はフィンの前縁と後縁の間の範囲に収まるよ
うに設けられている、 ことにより達成される。

〔作用〕

かかる構成の本発明にあっては、プロペラ後流の流場
はプロペラの直ぐ後流位置に、設けられた突部により半
径方向に押し拡げられ、有効伴流が増加し、フィンに発
生する揚力も増大する。その結果、該揚力の船舶進行方
向成分が推力となる。

〔実施例〕

以下、添付図面の第１図（Ａ）〜（Ｄ）にもとづいて
本発明の実施例を説明する。

図において、１は船尾でありプロペラ２が設けられて
いて、該プロペラ２にはプロペラボスキャップ３が取付
けられている。

上記船尾１の後方位置には、縦軸４まわりに回動自在
な舵５が設けられている。該舵５には、プロペラ２の中
心高さ位置にて横方向に延出するフィン6A,6Bが取付け
られている。両フィン6A,6Bは、回転するプロペラ後流
を受けてそれぞれフィンで等しい揚力を発生するよう
に、互のキャンバが上下反対に設けられている。

上記舵５の前縁には、プロペラ中心高さ位置にてプロ
ペラボスキャップ３に近接するように前方に略半球面を
もつように突出せるバルブ状の突部７が設けられてい
る。上記突部７は、第１図（Ｂ），（Ｃ），（Ｄ）から
も明らかなように、フィンの前縁と後縁の間の範囲に収
まる長さに設定されている。そして、本実施例において
は、上記フィン6A,6Bはこの突部７の先端部から後退角
をもって形成されている。

かかる構成の本実施例にあっては、プロペラ２、すな
わちプロペラボスキャップ３と舵５の前縁との間隔が多
少大きくとも、突部７がプロペラボスキャップ３に至近
しているために、プロペラ２の回転せる後流は該突部７
によって半径方向に押し拡げられて、有効にフィン6A,6
Bに到達して該フィンにて揚力が発生する。この揚力の
船舶前進方向成分が推力の一部となり推進効率の向上が
図られる。

本実施例では、フィンの前縁はプロペラ中心軸線上に
おいて突部の先端に一致した例を示したが、上記突部が
ある限り、上記突部の先端よりも後方に位置しても、そ
の効果を得ることができる。なお、上記突部は当然のこ
とながら抵抗の少ない形状が望ましい。

本実施例について具体的数値をもってその効果を示す
と、例えば、プロペラ直径をＤとして、プロペラボスキ
ャップと舵の前縁との間隔が0.163Dである場合、舵の前
縁から先端まで0.153Dの突部を設け、すなわちプロペラ
ボスキャップと突部の先端との間隔を0.001D（すなわ
ち、プロペラ直径の１％の距離の間隔）とすれば、船舶
が満載状態で推進効率が2.9〜3.3％向上し、バラスト状
態でも約2.1％向上することが確認された。

〔発明の効果〕

本発明は以上のように、舵の前縁にプロペラボスキャ
ップに近接する突部を設けたので、舵の前縁とプロペラ
ボスキャップとの間隔が多少大きくともフィンにてプロ
ペラ後流を有効に推力として回収し、推進効率を向上さ
せることができるという効果をもたらす。また、既存の
船舶にあっても、舵の位置を変更することなく、単に上
記突部を設けるだけでフィンにおける推力改善を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図（Ａ）〜（Ｄ）は本発明の一実施例を示し、第１
図（Ａ）は正面図、第１図（Ｂ）は平面図、第１図
（Ｃ）は右側面図、第１図（Ｄ）は左側面図、第２図
（Ａ）〜（Ｄ）は従来例を示し、第２図（Ａ）は正面
図、第２図（Ｂ）は平面図、第２図（Ｃ）は右側面図、
第２図（Ｄ）は左側面図である。 ３……プロペラボスキャップ ５……舵 6A,6B……フィン ７……突部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−75898（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−278499（ＪＰ，Ａ) 実公 昭60−13760（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】船舶の縦方向に延びる舵の両面から横方向
   に延出するフィンを有するものにおいて、 舵の前縁でフィンの取付位置に、プロペラボスキャップ
   に近接するように前方に略半球面をもつように突出した
   突部を設け、 上記突部はフィンの前縁と後縁の間の範囲に収まるよう
   に設けられている、 ことを特徴とする船舶用舵。