JP2833727B2 - デカブロモジフエニルアルカン化合物の製法及びそれを含む難燃剤 - Google Patents

デカブロモジフエニルアルカン化合物の製法及びそれを含む難燃剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】背景 本発明はデカブロモジフエニルアルカンを主体とし、比
較的少量のドデカブロモジフエニルアルカンを含有する
難燃剤製品の製造方法に関する。
【0002】ポリブロモジフエニルアルカン、たとえ
ば、デカブロモジフエニルエタン、はポリスチレン及び
ポリスチレンに基づく配合物中で使用するための公知の
難燃剤である。工業的には、ポリブロモジフエニルアル
カンは、選択したポリブロモジフエニルアルカンを主体
とする生成物として配合に対して供給する。生成物は、
その製造のために用いる方法に特徴的な形態と不純物含
量を有するものと思われる。生成物の物理的性質、たと
えば熱安定性、が配合物の加工性を限定する場合には、
その製品に対する加工者の希望は、いくらよくても、限
定される。生成物の色が白か又は少なくとも白に近くな
いときは、その生成物は、一部の配合物中で使用するた
めには適しているけれども、白又は淡色であることを必
要とする配合物中でのその生成物の使用は許されない。
【0003】配合物中で使用する生成物の量は、その生
成物の臭素含量に依存する。一般に、配合物中の臭素含
量が高いほど、配合物の難燃性、熱安定性及び/又は紫
外安定性の程度が大となる。しかしながら、配合物中の
特定の臭素含量に対しては、脂肪族臭素化合物難燃剤生
成物を含有する配合物は本質的に芳香族臭素化合物から
成る難燃剤生成物を用いる配合物よりも熱及び/又は紫
外安定性がいくらか低い。
【0004】本発明 本発明の方法はデカブロモジフエニルアルカンを主体と
し、比較的少量のドデカブロモジフエニルアルカンを含
有する、白色又は白色に近い生成物を与える。本発明の
方法は:あらかじめ臭素化触媒と臭素が仕込んである反
応器中に、溶融したジフエニルアルカンを供給すること
によつて撹拌可能な反応物を形成させ、溶融したジフエ
ニルアルカンを供給以前に非酸化性の雰囲気下に保ち、
且つ臭素は(i) 約10ppm未満の不純物を含有す
るにすぎず、(ii) 供給するジフエニルアルカン1
モル当り約15〜約30モルの臭素を提供する量で仕込
み;供給の間に反応物を約15℃からほぼ還流までの範
囲の温度に保ち;供給の完了後に、反応物からデカブロ
モジフエニルアルカンを主体とする生成物を湿つたケー
キとして分離し;且つ分離した生成物を含有するケーキ
を比較的少量のドデカブロモジフエニルアルカンを含有
するデカブロモジフエニルアルカンを主体とする生成物
を形成させるために十分な時間と温度において熱処理す
ることから成つている。
【0005】臭素化したアルキレン結合を含有する臭素
化芳香族難燃剤生成物は、このような難燃剤を含有する
高分子配合物の物理的性質に悪影響を与えることが予想
される。配合物中の難燃剤のこのような影響は、その配
合物から調製した試験片の紫外及び/又は熱安定性の低
下によつて照明される。きわめて予想外な、驚くべきこ
ととして、本発明の難燃剤生成物を含有する高分子配合
物は、すぐれた物理的性質を示した。
【0006】本発明のデカブロモジフエニルアルカンの
製造の際には、ジフエニルアルカン反応成分は、式
【0007】
【化1】
【0008】によつて表わすことができ、ここでRは1
〜10炭素原子を含有するアルキレン基である。好適な
R基はメチレンとエチレンであり、それらは、それぞ
れ、好適な反応成分、ジフエニルメタンと1,2−ジフ
エニルエタンを与える。その他のジフエニルアルカンの
例は、1−メチル−1,2−ジフエニルエタン、1,4−
ジフエニルブタン、1,6−ジフエニルヘキサン、2,3
−ジメチル−1,4−ジフエニルブタン、2−エチル−
3−メチル−1,4−ジフエニルブタン、2−メチル−
1,7−ジフエニルヘキサン、1,9−ジフエニルノナン
及び1,10−ジフエニルデカンである。ジフエニルア
ルカン反応成分は種々の方法で製造することができる。
たとえば、CA 97 38651d(日本特許公開82
/45114)及びCA 46 7084gは三塩化アル
ミニウムの存在におけるベンゼンと二ハロゲン化エチレ
ンの反応によるジフエニルアルカンの合成を開示してい
る。ジフエニルアルカンの製造のための別の方法は金属
酸化物触媒の存在における少なくとも400℃の温度で
のトルエンの酸化二量化によるジフエニルエタンとジフ
エニルアルカンの生成を包含する。次いで後者の生成物
を水素化してオレフイン性不飽和を除く。
【0009】ジフエニルアルカン反応物が種々の不純物
を伴なつているということは、まれなことではない。こ
れらの不純物は、しばしば、色のよくない最終デカブロ
モジフエニルアルカン生成物を与える。これらの色を生
じる不純物の例は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼ
ン、ジフエニルメタン、1,2−ジフエニルエタンのメ
チル及びエチル誘導体などである。不純物含量の低下
は、通常の方法で行なうことができ、たとえば、ジフエ
ニルアルカンを再結晶することができる。
【0010】ジフエニルアルカンは溶融状態で反応器に
供給する。すなわち、ジフエニルアルカンはその融点よ
りも高いが、それが分解を生じるほど高くはない温度に
ある。ジフエニルエタンに対しては、融点は約53〜5
5℃であり、従つて、ジフエニルエタンは約55〜約8
0℃の温度で供給することが好ましい。溶融したジフエ
ニルエタンの粘度を低くすることができ、それによつて
反応器への供給がより好都合となることから、比較的高
い温度が好適である。約70℃〜約80℃の範囲の温度
がもつとも好適である。
【0011】反応器中に供給するまでジフエニルアルカ
ンに対して非酸化性の雰囲気を提供することがもつとも
望ましい。そのような雰囲気は大部分の不活性ガスによ
つて提供することができる。たとえば、窒素、アルゴ
ン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノンなどを用
いることができる。不活性雰囲気の提供によつて、生成
物の色特性が有利になることが認められている。
【0012】本発明の方法において使用する臭素は、生
成物の色特性に対する影響を、たとえあるとしても、き
わめて小さいものとするためには、有機不純物、たとえ
ば、油、グリース、カルボニル含有炭化水素、鉄などの
含有量が10ppm以下でなければならない。このよう
な純度を有する工業用臭素を使用することができる。そ
のようなものを入手することができないときは、臭素の
有機不純物と含水量を、3:1の容量比の臭素と濃(9
4〜98%)硫酸を混合することによつて、具合よく低
下させることができる。二相混合物が生成し、それを1
0〜16時間撹拌する。撹拌と沈降後に、不純物及び水
を伴なう硫酸相を臭素相から分離する。臭素の純度をさ
らに向上させるためには、回収した臭素相に蒸留を施せ
ばよい。本発明の方法において使用する臭素化触媒はA
lCl3及び/又はAlBr3であることが好ましいけれ
ども、単独で又は三ハロゲン化アルミニウム(類)と組
合わせて、アルミニウム粉、鉄粉、FeCl3及びFe
Br3を使用することもできる。遭遇するプロセス条件
下に必要な程度の臭素化を与えるために十分な触媒活性
を有している限りは、その他の臭素化触媒もまた適当で
ある。触媒量を使用する。一般には、プロセス中で使用
するジフエニルアルカン反応成分の重量に基づいて、約
0.1〜約20重量%の範囲内の量で触媒を使用する。
好適量は同じ基準で約8〜約15重量%の範囲内であ
り、約9.0〜約11.0重量%がもつとも好適である。
【0013】臭素化触媒と臭素は、任意の順序で、又は
一緒に、反応器に仕込むことができる。両者を、場合に
よつては、それらの仕込み前に、冷却又は加熱し、それ
によつて、ジフエニルアルカンの添加の間に反応物を保
持する温度か又は少なくともそれに近い温度の混合物を
形成させることが好ましい。上記のようにすることが好
ましいけれども、触媒と臭素が、仕込み前に、ジフエニ
ルアルカンの添加温度以外の温度にあることもまた、好
都合ではないかも知れないが、可能である。仕込み前
に、触媒と臭素の温度が添加温度よりも高いときは、反
応器中で生じる混合物の温度を低下させて望ましい添加
温度を得ることができる。しかしながら、このような温
度の低下の間に反応器中に大気中の湿気が侵入しないよ
うに注意しなければならない。反応器中の水分の存在
は、多くの臭素化触媒が水との触媒によつて不活性化す
ることにより有害である。
【0014】反応器に仕込んだ元素状臭素(Br2)の
量は、望ましい臭素化の程度を達成し且つ容易に撹拌で
きる反応物を与えるために十分な臭素を提供するもので
なければならない。一般に、ジフエニルアルカン供給物
1モル当たりに約15〜約30モルの臭素が適当であ
る。1モルのジフエニルアルカン当たりに約17〜約2
5モルの臭素を用いることが好ましい。もつとも好適な
量は1モルのジフエニルアルカン当たりに約18〜約2
3モルの臭素である。反応の完了後に、芳香環置換に用
いられない臭素は反応物の液体成分であり、撹拌できる
反応物を与えるための上記の目的に対して役立ち続け
る。
【0015】ジフエニルアルカンの添加は一般に一定の
時間にわたつて行ない、また添加の速度は反応の規模及
び温度を制御し且つ臭素化水素発生を処理するための能
力に依存する。工業的な規模においては、添加は約1.
0〜約10.0時間又はそれ以上とすることができる。
【0016】ジフエニルアルカンの添加の間に、反応物
の温度を約60℃以下、好ましくは15〜58℃の範囲
内に保つ。ジフエニルアルカンの臭素化は発熱的である
から、上記のような必要とする添加温度を保つためには
ジフエニルアルカン供給の間の反応物の冷却を必要とす
る。反応熱は、反応器を冷却することによつて、又は反
応物を還流条件下に置き、それによつて熱を頭頂の凝縮
器の使用により除去することによつて、反応物から除く
ことができる。ジフエニルアルカンの添加速度は選択し
た添加温度を保持するための装置の能力に依存する。
【0017】臭素化反応は常圧以下から常圧以上にわた
る圧力で達成することができる。選択する圧力は本発明
に対して限定的ではないけれども、操作の容易さの見地
から、常圧よりも僅かに高い圧力を用いることが望まし
い。圧力は約19psia以上であることが好ましく、
約20〜約30psiaの範囲の圧力がもつとも好まし
い。
【0018】臭素化反応は、臭素化すベきジフエニルア
ルカンが1,2−ジフエニルエタンであるときには、き
わめて迅速であることが認められている。それ故、反応
物へのジフエニルエタン反応成分の添加の完了後に、ジ
フエニルエタン反応成分の実質的に完全な芳香環置換を
確実にするために反応温度の近く又はそれ以上の温度で
反応物をさらに余分の時間保つ必要はほとんどない。し
かしながら、他のジフエニルアルカン反応成分の芳香環
臭素化のためには供給後の高い温度における余分の保持
時間が望ましいことがある。供給後の保持時間が望まし
い場合には、ジフエニルアルカン反応成分の添加の完了
後に反応物を約55℃から還流までの範囲内の温度に保
つ。
【0019】供給後の保持時間後に、又はジフエニルエ
タンの場合には、その添加完了の直後に、たとえば約2
又は3分後に、芳香環置換ジフエニルアルカンの平均臭
素数は一般に少なくとも約9.0である。平均臭素数は
生成物中の各臭素化ジフエニルアルカン分子上の芳香環
置換した臭素原子の平均数と定義する。それ故、9.0
という平均臭素数は、生成物中のジフエニルアルカン分
子の全部が完全に環臭素化しているのではなく、従つ
て、それよりも低級の臭素化同族体、たとえばノナブロ
モジフエニルアルカン、オクタブロモジフエニルアルカ
ンなどが生成物中に存在していることを示している。平
均臭素数が10.0に近付くにつれて、これらの低級臭
素化同族体の量が低下してデカブロモ同族体の量が増大
する。
【0020】ジフエニルアルカン反応成分の添加の実質
的な完了後に、反応物は液体−固体混合物から成つてい
る。固体は臭素化ジフエニルアルカン、触媒、同伴する
臭素及びその他の不純物から成つている。液体はほとん
ど臭素から成つている。臭素化ジフエニルアルカンは、
非同伴臭素を反応物から除いて触媒を不活性化するため
の、蒸気ストリツピングによつて生成物から分離するこ
とができる。次いで残存する固体を水性の塩基、たとえ
ばNaOH又はNa2CO3の水溶液で洗浄して、存在す
るHBrを中和して除去する。最終的な水洗段階後に主
成分として、すなわち50+重量%のデカブロモジフエ
ニルアルカンを含有する生成物を取得する。この生成物
は良好な色のものであるが、さらに処理して一層すぐれ
た色のものとすることができる。好適な生成物は85+
重量%、もつとも好ましくは90+重量%のデカブロモ
ジフエニルアルカンを含有するものである。
【0021】本発明の重要な特色は、反応物からのデカ
ブロモジフエニルアルカン生成物の分離に続いて行なう
熱処理段階である。生成物の熱処理は約200ppm未
満の遊離臭素を含有するのみの生成物を与える。この熱
処理段階は、生成物を乾燥し且つ/又は必要に応じ生成
物の粒度を低下させる前又は後に、行なうことができ
る。熱処理段階の間に、比較的少量のドデカブロモジフ
エニルアルカンを含有するのみのデカブロモジフエニル
アルカンを主体とする生成物を形成させるために十分な
温度と時間にわたつて生成物を保持する。比較的少量と
は、かくして取得した乾燥及び熱処理した生成物の全量
に基づいて約20重量%未満の量を意味する。ドデカブ
ロモジフエニルアルカンの量は約0.1重量%〜約10
重量%の範囲にあることが好ましく、約0.4重量%〜
約8重量%の範囲にあることがもつとも好ましい。
【0022】熱処理は約150℃〜約400℃の範囲の
温度で行なう。温度は約180℃〜約250℃の範囲に
あることが好ましく、約185℃〜約230℃がもつと
も好ましい。生成物をこの温度において、加熱段階のた
めの加熱器の設計と温度に依存して、30分又はそれ以
上の間保持する。一般に、約200ppm未満の遊離臭
素を含有するのみの望ましい生成物を取得するためには
5〜8時間又はそれ以上にわたつてこの温度に保持す
る。
【0023】理論によつて束縛されることを望むもので
はないが、デカブロモジフエニルアルカン分子中の臭素
は芳香環置換したジフエニルアルカンとの錯体の形態で
分子中に保持されるものと考えられる。この錯体のため
に、同伴する臭素の除去のために芳香環臭素化したジフ
エニルオキシド生成物に対して一般的に適用することが
できる乾燥及び磨砕方法は、同伴臭素の除去のためにデ
カブロモジフエニルアルカンに対して適用するときに
は、あまり有効ではないことが認められている。デカブ
ロモジフエニルアルカン分子中の同伴臭素の除去の代り
に、熱処理段階の間に臭素の少なくとも一部がアルキレ
ン架橋と反応してドデカブロモジフエニルアルカンを生
成する。デカブロモジフエニルアルカン生成物がデカブ
ロモジフエニルエタンであるときは、少量の1,2−ジ
ブロモ−ビス−ペンタブロモフエニルエタンが生成す
る。
【0024】本発明のデカブロモジフエニルアルカン生
成物は、ほとんどすべての易燃性材料との配合物中で難
燃剤として使用することができる。材料は、高分子、た
とえば、セルロース質材料又は重合体とすることができ
る。代表的な重合体は、架橋及び非架橋のオレフイン重
合体、たとえば、エチレン、プロピレン及びブチレンの
単独重合体;これらのアルキレン単量体の一つ以上とそ
の他の何らかの共重合可能な単量体との共重合体、たと
えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アク
リル酸エチル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル共重合
体;オレフイン性不飽和単量体、たとえば、ポリスチレ
ン、たとえば耐衝撃性ポリスチレン、及びスチレン共重
合体;ポリウレタン;ポリアミド;ポリイミド;ポリカ
ーボネート;ポリエーテル;アクリル樹脂;ポリエステ
ル、特にポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(ブ
チレンテレフタレート);エポキシ樹脂;アルキド樹
脂;フエノール樹脂;エラストマー、たとえば、ブタジ
エン/スチレン共重合体及びブタジエン/アクリロニト
リル共重合体;アクリロニトリル、ブタジエン及びスチ
レンの三元重合体;天然ゴム;ブチルゴム、及びポリシ
ロキサンである。重合体は種々の重合体のブレンドであ
つてもよい。さらに、重合体は、必要に応じ、化学的手
段又は照射によつて、架橋してあつてもよい。
【0025】配合物中で使用する生成物の量は、望まし
い難燃性を取得するために必要な量である。この分野の
専門家には、配合物中における生成物の割合は、特定の
難燃材料、他の添加剤の存在及び特定用途において所望
する難燃化の程度によつて異なるから、あらゆる場合に
対して、この割合についての単一な精密な価を与えるこ
とはできないということは、明白であろう。さらに、特
定の配合物中で所定の難燃性を達成するために必要な割
合は、配合物を成形する製品の形状に依存し、たとえ
ば、電気絶縁体、管及びフイルムは、それぞれ異なる挙
動を示す。しかしながら一般に配合物は、本発明の生成
物が配合物中の唯一の難燃性化合物である場合には、約
5〜約40重量%、好ましくは10〜30%の生成物を
含有することができる。
【0026】配合物中で無機化合物、特に酸化第二鉄、
酸化亜鉛、ほう酸亜鉛、V族元素、たとえば、ビスマ
ス、ひ素、りん及び特にアンチモンの酸化物と共に、本
発明の生成物を使用することが特に有利である。これら
の化合物の中で、酸化アンチモンが特に好適である。か
くして、配合物中にこれらの化合物が存在するときは、
所定の難燃性を達成するために必要な本発明の生成物の
量が低下する。一般に、本発明の生成物と無機化合物
は、約1:1乃至約7:1、好ましくは約2:1乃至約
4:1の重量比で存在させる。
【0027】本発明の生成物と上記の無機化合物から成
る難燃剤系を含有する配合物は、重量で約40%に至る
まで、好ましくは重量で20〜30%の難燃剤系を含有
することができる。
【0028】本発明の生成物を含有する配合物中では、
配合物中に一般的に存在する添加剤、たとえば可塑剤、
酸化防止剤、充填剤、顔料、紫外安定剤などを使用する
ことができる。
【0029】熱可塑性重合体と本発明の生成物を含有す
る配合物から成る熱可塑性製品は、常法によつて、たと
えば、射出成形、押出成形、圧縮成形などによつて、製
造することができる。
【0030】以下の実施例は単に以上に説明した本発明
を例証するものであつて、本発明を制限するためのもの
とみなすべきではない。
【0031】
【実施例】実施例1 5000ガロンのガラスライニング反応器に機械的撹拌
機、還流凝縮器、温度センサー、浸漬管添加管及び苛性
アルカリ洗浄器を取付けた。反応器に臭素(33,31
3ポンド、208.4モル)と無水塩化アルミニウム
(175ポンド、1.31モル)を仕込んだ。次いで反
応器を約54℃に加熱し、浸漬管を通じて反応器内容物
中に溶融したジフエニルエタン(DPE)(1,636
ポンド、8.98モル、99.3重量%DPE)を加え
た。DPEの添加は4時間を要した。この添加の間に、
反応器中の圧力を約5psigに保ち且つ反応器を約5
6℃の温度に保つように冷却した。DPE供給の完了の
14分後に採取した試料は、ガスクロマトグラフイー
(GC)分析によつて、91.5%の全体的収率に対し
て98.99重量%のデカブロモジフエニルエタンを示
した。
【0032】DPE供給の完了後に、反応器内容物を9
00ガロンの水を含有するストリツパー器に移した。次
いでストリツパー器内容物を温度が約98℃に達するま
で蒸気で加熱し、過剰の臭素を生成物から蒸留して凝縮
させた。遊離の水をストリツパー器にもどして、デカブ
ロモジフエニルエタンを主体とする生成物と水から成る
水性スラリーを生じさせた。臭素の除去後に、ストリツ
パー器内容物を冷却し、215ガロンの25%カセイア
ルカリ(2.01%過剰)を加えた。ストリツパー器内
容物をスラリータンクに送り、次いでスラリータンクか
らバツチ的に遠心分離機に送り、それによつて固体デカ
ブロモジフエニルエタンを主体とする生成物を湿つたケ
ーキとして回収した。この湿つたケーキを洗液のpHが
約8.0となるまで新しい水で洗浄したのち、レイモン
ドミル乾燥機/磨砕機中で湿つたケーキを乾燥及び磨砕
した。乾燥した生成物の分析は約6000ppmの遊離
臭素、約346〜359℃の融点範囲、及びL=83.
2〜84.2、Y.I.=42.0〜45.6、a=2.51
〜3.03、b=18.8〜20.1のハンター色値を示
した。この乾燥生成物を二重錐、転回乾燥機中で230
℃において40時間熱処理した。熱処理生成物は349
℃の融点とL=80.4、a=0.5、b=7.5、Y.
I.=17.2のハンター色値を有していた。熱処理生成
物のGC分析は約5.2重量%の1,2−ブロモ−ビス−
ペンタブロモフエニルエタンと94.8重量%のデカブ
ロモジフエニルエタンを示した。
【0033】実施例2 次の実施例はジフエニルエタンを精製するための方法を
例証する。
【0034】1lのビーカーにメタノール(300m
l)を入れた。次いで粗製ジフエニルエタン(300
g)を加えた。ビーカーの内容物を撹拌しながら65℃
に加熱し、生じた透明溶液を徐々に室温まで放冷した。
結晶性の固体が生じた。固体を濾過し、120mlのメ
タノールで1回洗浄したのち乾燥した。回収量は27
4.5g(91.5%)であつた。再結晶物質は50〜5
4℃の融点を有していたが、これは当初の出発ジフエニ
ルエタンに対する49〜50℃よりも僅かに高かつた。
出発ジフエニルエタンは33.2のY.I.(L=81.
2、a=2.9、b=16.1)を有していたのに対し
て、再結晶したジフエニルエタン物質は2.8のY.I.
を有していた(L=90.8、a=0.4、b=1.
4)。再結晶生成物は99.3重量%のジフエニルエタ
ン、13ppmのベンゼン、<10ppmのエチルベン
ゼン及び0.29重量%の不純物を含有した。
【0035】次の実施例は本発明の生成物を含有する配
合物の性質を例証する。
【0036】実施例3 ブラベンダー混合機を用いて4種の高分子配合物を調製
した。配合物Aは、ボルグーワーナー社(現在はジエネ
ラルエレクトリツク社)から市販のABS樹脂の一つで
ある100%のサイコラツクを含有した。比較のための
配合物Bはダウケミカル社から市販のABS樹脂78重
量%、難燃剤としてのオクタブロモジフエニルオキシド
18重量%、及びSb23 4重量%を含有した。配合
物Cはダウケミカル社から市販のABS樹脂78重量
%、Sb23 4重量%、及び5.2重量%の1,2−ジ
ブロモ−ビス−ペンタブロモフエニルエタンを含有する
本発明の難燃剤生成物18重量%を含有した。配合物D
は耐衝撃性ポリスチレン樹脂(ダウケミカル社からのH
IPS)5.2重量%、Sb23 4重量%、及び5.2
重量%の1,2−ジブロモ−ビス−ペンタブロモエチレ
ンをも含有する本発明の難燃剤生成物12重量%を含有
した。各配合物を175〜215℃で押出し、次いで、
入口における約200〜215℃から出口における約2
25〜240℃までの範囲の温度において1800ポン
ド/平方インチの成形圧力で射出成形して、試験片を形
成させた。これらの試験片を、その製造のために用いた
配合物に従つて、第1表中で同定する。
【0037】
【表1】
【0038】本発明の方法の変更は請求範囲の精神と範
囲内にある。
【0039】本発明の主な特徴および態様を記すと次の
とおりである。
【0040】1.(A) 非酸化性雰囲気下に保つてあ
る、1モルの割合の溶融したジフエニルアルカンを、臭
素化触媒及び10ppm以下の不純物を含有するのみの
15〜30モルの割合の臭素を含有する反応器に供給
し、供給の間に反応物を15℃から還流までの範囲の温
度に保ち、(B) 次いで反応物からデカブロモジフエ
ニルアルカンを主体とする生成物を分離し、且つ(C)
分離した生成物を、比較的少量のドデカブロモジフエ
ニルアルカンを含有するデカブロモジフエニルアルカン
を主体とする生成物を形成させるために十分な時間と温
度条件下に、熱処理することを特徴とする方法。
【0041】2.ジフエニルアルカンは1,2−ジフエ
ニルエタンである上記第1項記載の方法。
【0042】3.1モルのジフエニルアルカン当たりに
18〜23モルの臭素を使用する上記第1項記載の方
法。
【0043】4.(A) 非酸化性雰囲気下に保つてあ
る1モルの割合の溶融した1,2−ジフエニルエタンを
臭素化触媒及び10ppm以下の不純物を含有するのみ
の18〜23モルの割合の臭素を含有する反応器に供給
し、供給の間に反応物を15℃から還流までの範囲の温
度に保ち、(B) 次いで反応物からデカブロモジフエ
ニルエタンを主体とする生成物を分離し、且つ(C)分
離した生成物を200〜280℃で1〜20時間保持し
て比較的少量の1,2−ジブロモ−ビス−ペンタブロモ
フエニルエタンを含有するデカブロモジフエニルエタン
を主体とする生成物を形成させることを特徴とする方
法。
【0044】5.生成物は>90重量%のデカブロモジ
フエニルエタン及び少なくとも0.5重量%の1,2−ジ
ブロモ−ビス−ペンタブロモフエニルエタンを包含する
上記第4項記載の方法。
【0045】6.反応物から非同伴臭素を除くために反
応物を蒸気ストリツピングすることによつて反応物から
生成物を分離する上記第5項記載の方法。
【0046】7.デカブロモジフエニルアルカンと比較
的少量のドデカブロモジフエニルアルカンを包含する難
燃剤生成物。
【0047】8.デカブロモジフエニルアルカンはデカ
ブロモジフエニルエタンである上記第7項記載の難燃剤
生成物。
【0048】9.場合によつては難燃化共働剤としての
Sb23と組合わせた、難燃化量の上記第7項記載の生
成物を含有するABS又はHIPS配合物。
【0049】10.場合によつては難燃化共働剤として
のSb23と組合わせた、難燃化量の上記第8項記載の
生成物を含有するABS又はHIPS配合物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 非酸化性雰囲気下に保つてあ
    る、1モルの割合の溶融したジフエニルアルカンを、臭
    素化触媒及び10ppm以下の不純物を含有するのみの
    15〜30モルの割合の臭素を含有する反応器に供給
    し、供給の間に反応物を15℃から還流までの範囲の温
    度に保ち、(B) 次いで反応物からデカブロモジフエ
    ニルアルカンを主体とする生成物を分離し、且つ(C)
    分離した生成物を、比較的少量のドデカブロモジフエ
    ニルアルカンを含有するデカブロモジフエニルアルカン
    を主体とする生成物を形成させるために十分な時間と温
    度条件下に、熱処理することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 (A) 非酸化性雰囲気下に保つてある
    1モルの割合の溶融した1,2−ジフエニルエタンを臭
    素化触媒及び10ppm以下の不純物を含有するのみの
    18〜23モルの割合の臭素を含有する反応器に供給
    し、供給の間に反応物を15℃から還流までの範囲の温
    度に保ち、(B) 次いで反応物からデカブロモジフエ
    ニルエタンを主体とする生成物を分離し、且つ(C)分
    離した生成物を200〜280℃で1〜20時間保持し
    て比較的少量の1,2−ジブロモ−ビス−ペンタブロモ
    フエニルエタンを含有するデカブロモジフエニルエタン
    を主体とする生成物を形成させることを特徴とする方
    法。
  3. 【請求項3】 デカブロモジフエニルアルカンと比較的
    少量のドデカブロモジフエニルアルカンを包含する難燃
    剤組成物。
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