JP2832720B2 - 降雨時等の発破作業における飛石防止方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ａ）産業上の利用分野 この発明は、雨中、雪中または湧水時の発破作業に多
発する飛石現象を防止して、安全な発破作業を遂行し得
る方法に関する。

ｂ）従来の技術 従来から、込物が抵抗体として火薬装填後の孔内に注
入され、その材料は、孔の掘削時に掘り出された砂・砂
利・岩粉等をその侭、込物の素材として、広く使用して
おり、抵抗体として飛石を防止する込物としての機能
は、この自然の状態で現場で大量に得られる安価かつ入
手容易な素材の利用で充分に果されている。

従って、少くとも晴天時および曇天時における発破作
業の遂行において、この優れた自然物による込物素材を
使用せず、例えば、特開昭58−95200号公報に記載の人
工込物を使用する余地は、通常の作業条件下において
は、存在しない。

しかしながら、降雨時または湧水地域等で発破を行う
場合には、上述した良好な関係が一変し、今まで抵抗体
として有効に機能していた砂・砂利・岩粉等からなる込
物素材が含水し、泥流状態となると、火薬並びにその導
火線にとって最も相性の悪い湿気・水分が発火を阻害
し、不発に至らしめることもあり、或いは、湿気・水分
が抵抗値を減少させて、飛石事故となることもある。

ｃ）発明が解決しようとする課題 元来、込物は、穿孔内奥に装填された火薬の上端から
孔口に達する孔内に詰められる砂その他の物質であっ
て、火薬の爆破力が上方へ集中するのを防ぐ抵抗体とし
て作用し、込物から生ずる適切な上方への抵抗力が地盤
の有効な破砕を導き出すものとされている。

ところが、そのような込物に雨水が混入すると、込物
がぬかるみ（泥ねい）状となって、抵抗力を弱め、火薬
の爆破力が上方へ大きく働き、込物や孔口付近の土砂を
吹き上げ、多量の飛石が発生し、危険で作業ができな
い。

この発明の目的は、降雨降雪または湧水時であっても
安全かつ効率的に発破作業を遂行し得る極めて簡素低廉
な飛石防止方法を提案することである。

ｂ）課題を解決するための手段 この発明による飛石防止方法は、雨中、雪中または湧
水中の発破作業において、火薬装填後の発破孔内に、砂
・岩粉等からなる込物にセメント及びまたは岩粉を混入
させた混合物を注入し、その混合物で孔内及び込物自体
に含まれる水分を吸収するとともに、その混合物を固化
させて込物としての抵抗機能を回復させる、ことによっ
て達成される。

なお、込物内に混入させるセメント及びまたは岩粉の
量を、その込物の量の1/4から1/2の範囲に設定する。

ｅ）作用 込物内のセメントが降雨降雪湧水によって水分を含む
と、急速に固まっていき、込物全体がぬかるみ（泥ね
い）状とならず、抵抗力が強化され、通常乾燥時におけ
る込物の作業と大略同程度、またはそれ以上の効果が生
じ、飛石が防止される。

ｆ）実 施 例 第１図の第１実施例で示すように、例えば、孔１の穿
孔孔径Ｒ＝80mm、穿孔長Ｌ＝4m、装薬長L1＝2m、込物長
L2＝2mと仮定した場合に、込物３の総量が約8kgとな
る。

そこで、通常の降雨時には、前記込物３の総量8kgの
大略1/4、すなわち、約2kgのセメント４を込物３に混入
し、よく混合させた後、その混合物５を火薬２の装填さ
れた孔１内へ注入する。

降雨の激しい時には、前記混合率を適宜増量し、最大
込物の量の1/2程度までセメント４を増加し混合物５を
形成させる。

第２図で示す第２実施例は、孔１内に注入されるべき
込物の全量の例えば半分をセメントと混合させ、残りの
半分の込物は、あらかじめビニール、ポリエチレン等の
防水性の袋内に詰め、その袋詰め込物5bを火薬２の上部
に装入し、その上にセメント４と込物３との混合物5aを
注入する。前記防水袋詰め込物5bの長さと量は、込物全
体の約1/2程度が適当である。この第２実施例では、雨
水は上部のセメントと込物との混合物5a内に侵入し、下
部の防水袋詰め込物5b内には侵入せず、その部分は乾燥
した状態を維持する。

ｇ）発明の効果 このように、本発明は、孔内に装填されるべき込物３
の一部にセメント４を混入させ、それによって形成され
る混合物５または5aを孔内に注入するので、その混合物
５または5aが水を含むと急速に固まり始め、従来のよう
にぬかるみ（泥ねい）状にならないから、抵抗力が減少
せず、雨中等においても飛石が生じない安全な発破作業
を実施し得る。

しかも、セメントという極めて安価な物質を混入させ
ることにより経済的かつ簡易な方法で雨中の発破作業を
可能ならしめたので、作業の効率が著しく向上し、斯界
に果す役割極めて顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明方法の第１実施例を示す縦断面図、 第２図は、本発明方法の第２実施例を示す縦断面図であ
る。 １……孔、 ２……火薬、 ３……込物、 ４……セメント、 ５及び5a……込物とセメントの混合物、 5b……防水袋詰め込物。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】雨中、雪中または湧水中の発破作業におい
   て、火薬装填後の発破孔内に、砂・岩粉等からなる込物
   にセメント及びまたは岩粉を混入させた混合物を注入
   し、 その混合物で孔内及び込物自体に含まれる水分を吸収す
   るとともに、その混合物を固化させて込物としての抵抗
   機能を回復させる、 降雨時等の発破作業における飛石防止方法。
2. 【請求項２】込物内に混入させるセメント及びまたは岩
   粉の量を、その込物の量の1/4から1/2の範囲に設定した
   請求項１に記載の飛石防止方法。