JP2832413B2 - 異材接合方法 - Google Patents

異材接合方法

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JP2832413B2
JP2832413B2 JP5256249A JP25624993A JP2832413B2 JP 2832413 B2 JP2832413 B2 JP 2832413B2 JP 5256249 A JP5256249 A JP 5256249A JP 25624993 A JP25624993 A JP 25624993A JP 2832413 B2 JP2832413 B2 JP 2832413B2
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隆憲 黒木
靖 梅本
裕二 柳田
繁朋 松井
猛 山田
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Kuroki Kogyosho Co Ltd
Kawasaki Motors Ltd
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Kuroki Kogyosho Co Ltd
Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は筒状又は棒状の異材継
手、例えばアルミニウム又はその合金とステンレス鋼と
の接合に好適な異材接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】LNG船等に用いられるトランジション
インサート材を製造するのに好適な異材接合方法として
は、例えば特公平5−10193号公報に記載された方
法がある。この異材接合方法は、硬質金属の接合面端部
のエッジでもって軟質金属側の表面層を切削、除去する
ことにより軟質金属に新生面を形成すると共に、この新
生面には、上記切削、除去作業中においても、またその
作業終了後も継続して上記硬質金属の接合面を圧接さ
せ、これにより接合の終了に至るまで上記新生面への酸
素接触を防止しながら、上記硬質金属の接合面と軟質金
属の新生面とを500℃未満の温度条件下において圧接
することを特徴とするものである。この方法によれば、
良好な継手強度が得られると共に、低コストな接合作業
が行えることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところでトランジショ
ンインサート材等の異材継手部材としては、板状あるい
はブロック状のもののみならず、筒状又は棒状のものに
対しても、品質向上及び低コスト化の要望がある。
【0004】そのためこの発明においては、筒状又は棒
状の異材継手を上記同様に良好な継手強度でもって低コ
ストに形成することが可能な異材接合方法を提供するこ
とを主たる目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1の異材接
合方法は、硬質金属から成る棒状又は筒状の硬質部材
と、これよりも軟質な金属から成る筒状の軟質部材とを
接合するための異材接合方法であって、上記硬質部材の
先端部には、先細テーパ状のテーパ面と、テーパ面より
も先端側の位置にエッジ部とをそれぞれ周設し、上記硬
質部材と軟質部材とを略同軸上に配置すると共に、軸方
向に加圧することによって上記エッジ部で上記軟質部材
の内周部をその全周にわたって所定長さだけ切削して除
し、この切削除去によって環状の新生面を軟質部材に
形成し、この新生面と上記テーパ面とを押圧、接触させ
ることを特徴としている。
【0007】また請求項の異材接合方法は、上記硬質
部材はステンレス鋼、銅又はその合金、チタン又はその
合金のいずれかであり、上記軟質部材はアルミニウム又
はその合金であることを特徴としている。
【0008】さらに請求項の異材接合方法は、上記硬
質部材はステンレス鋼であり、上記軟質部材は銅又はそ
の合金あるいはチタン又はその合金であることを特徴と
している。
【0009】請求項の異材接合方法は、上記軟質部材
は硬質部材よりも高温に加熱されていることを特徴とし
ている。
【0010】請求項の上記軟質部材がアルミニウム又
はその合金であり、150℃〜450℃、好ましくは2
00℃〜350℃に加熱されていることを特徴としてい
る。
【0011】請求項の異材接合方法は、上記硬質部材
のテーパ面のテーパ角度は、30゜以下、好ましくは1
0゜〜15゜であることを特徴としている。
【0012】
【作用】上記請求項1の異材接合方法によれば、軟質部
材に形成された新生面とテーパ面とが、軟質部材の内周
側でその全周にわたって接触するが、この際、軸方向押
圧力が新生面とテーパ面とを密接させ、これによりこの
部分の酸素接触が防止される。
【0014】上記各方法によれば、請求項及び請求項
に列挙した各種金属の接合が可能である。
【0015】請求項のように軟質金属を加熱しておけ
ば、軟質金属がさらに軟化するため、硬質金属のエッジ
による切削作業を小さい押圧力で行うことが可能であ
る。さらに接合後においては、軟質金属が収縮して小径
化するので、この際の収縮力がテーパ面を押圧する方向
に作用し、新生面とテーパ面との間に完成後焼嵌応力が
残留して接合強度の向上に資すると共に、冷却途上にお
いても、この焼嵌応力が特に200℃以上の温度保持
し、又は徐冷によって同温度以上の領域の保持時間を長
くすることと相乗して冶金的な意味での接合強度の向上
にも役立つものである。
【0016】請求項5又は請求項のようにすれば、上
記方法の実施に好適である。
【0017】
【実施例】次にこの発明の異材接合方法の具体的な実施
例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】まず図1に基づいて概略構成について説明
する。同図(a)は接合途中の説明図、(b)は仕上げ
完了後の接合部の状態を示す図である。同図において、
10は硬質部材、20は軟質部材をそれぞれ示してい
る。硬質部材10は、鋼、ステンレス鋼(例えば、SU
S304)、銅又はその合金、チタン又はその合金等の
比較的硬質な金属より成る筒状の部材であって、その下
端外周部には下方ほど径小になるテーパ面11が周設
れると共に、さらにテーパ面11の下端面と内空内面と
の間にエッジ部12が周設されている。このテーパ面の
角度θは、10゜〜30゜の間において選択可能である
が、後述するエッジ部12による切削性及びエッジ部1
2の耐久性を考慮すると、10゜〜15゜の範囲にして
おくのが好ましい。なおテーパは二段にして、先端は0
゜〜5゜にし、それに続く部分を上記のようにより大き
なテーパ角度とすることもある。
【0019】一方、軟質部材20は、アルミニウム又は
その合金(例えば、A1050)等の上記軟質金属より
も軟質な金属より成る筒状の部材である。この軟質部材
20は、上記硬質部材10よりも、その内径がやや径小
で、かつその外径がやや径大となる寸法に形成されてい
る。
【0020】そして上記硬質部材10と軟質部材20と
を略同軸上に配置し、図1(a)で示すように、プレス
等によって硬質部材10を軸方向下方へと押圧Fする。
そうすると硬質部材10のエッジ部12が軟質部材20
の内部へ押込まれ、その内周側が所定長さだけ切削され
る。この切削に伴って、軟質部材20の内側部分は内方
へ、また外側部分は外方へと変形するが、このような変
形の結果、軟質金属20の内側部分は除去され、その全
周にわたって新生面21が形成される。そしてこのよう
にして形成された新生面21に硬質金属10のテーパ面
11が接触する。そしてこの際、軸方向押圧力Fはテー
パ面11と新生面21とを密接させる方向に作用し、こ
れによりテーパ面11と新生面21とは酸素接触の防止
された状態となされ、この結果、テーパ面11と新生面
21とが接合する。そして接合の完了した両部際10、
20の内外周面を切削等によって加工することにより、
図1(b)に示すような筒状のトランジションインサー
ト材を得る。
【0021】ここで留意する点は、上記接合作業に先立
って、上記軟質部材20を加熱しておくのが好ましいと
いうことである。例えば上記方法の実施に際しては、実
用上、硬質部材10がステンレス鋼(SUS304)、
軟質部材20がアルミニウム合金(A1050)である
のが好ましい訳であるが、このような場合に軟質部材2
0を150℃〜450℃、好ましくは200〜350℃
に加熱しておくのである。このような加熱によって、次
のような利点が期待できる。それはまず第1に、両部材
10、20の接合に際し、拡散を促進させ、継手強度を
改善できるということである。また第2には、硬質部材
10のエッジ部12で軟質部材20を切削する際に、軟
質金属の軟化によって切削抵抗が減少し、これにより小
さな押圧力で切削が可能となり、しかもエッジ部12の
損傷が低減できるということである。さらに第3には、
切削作業の終了後において、軟質部材20が収縮する
と、この収縮力が上記テーパ面11を締付ける(焼ばめ
効果)ことになり、これによっても接合強度の改善が行
えるということである。
【0022】図2には接合方法の他の実施例を示してい
る。これはテーパ治具30を用いるもので、テーパ治具
30の内周テーパ面31でもって軟質部材10を保持
し、これにより軸方向押圧力Fの有効活用を図ろうとす
るものである。この方法によれば、硬質部材10のテー
パ角度を小さくすることが可能である。さらに接合終了
後におけるワークの上方への離脱が容易になる。
【0023】また図3にはさらに他の実施例を示してい
る。これは切削時に、軟質部材20の上端部22を押圧
しておき、テーパ面11が押入する際に、この部分
22がテーパ面11の方向へ流動して巻込まれるのを防
止し、これにより接合性の改善を図ろうとするものであ
る。この方法によれば、軟質部材20上端の未接合部を
減少させることができると共に、硬質部材のテーパ角度
も小さくできる。ストレートでも可能である。
【0024】以上に示した実施例の他、この発明の異材
接合方法では、以下に示すように変更した実施が可能で
ある。すなわちそれは、上記軟質部材20を、常温では
硬質部材10よりも硬質な金属で構成しておき、その温
度を上昇させることで硬質を低下させて軟質部材20と
する方法である。具体例としては、硬質部材10を常温
の純銅とする一方、軟質部材20を高温に加熱したアル
ミニウム合金とし、常温における硬質関係を逆転させた
ような場合を挙げることができる。この場合、純銅のエ
ッジ部12の切削性を改善するため、当該エッジ部12
だけをさらに硬質な他の金属、あるいはセラミックス等
によって形成するのが好ましい。また硬質部材10の形
状にしても上記実施例に限定される訳ではなく、図4
(a)〜(c)に示すような各種形状のものを用いるこ
とができる。
【0025】
【発明の効果】上記請求項1の異材接合方法によれば、
軟質部材の内周側全周にわたって形成された新生面と
硬質部材のテーパ面とを酸素接触を防止しながら接合で
きるので、良好な継手強度が得られる。また上記新生面
とテーパ面との密接、接合が、軸方向押圧力の作用によ
って行われることから、接合コストを低減し得る。
【0027】上記各方法によれば、請求項及び請求項
に列挙した各種金属の接合が可能である。
【0028】請求項のように軟質金属を加熱しておけ
ば、軟質金属がさらに軟化するため、硬質金属のエッジ
による切削作業を小さい押圧力で行うことが可能であ
る。さらに接合後においては、軟質金属が収縮して小径
化するので、この際の収縮力がテーパ面を押圧する方向
に作用し、新生面とテーパ面との間に完成後焼嵌応力が
残留して接合強度の向上に資すると共に、冷却途上にお
いても、この焼嵌応力が特定温度以上の領域の保持時間
を長くすることと相乗して冶金的な意味での接合強度の
向上にも役立つものである。
【0029】請求項5又は請求項のようにすれば、上
記方法の実施に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の異材接合方法の一実施例を説明する
ための模式図である。
【図2】この発明の異材接合方法の他の実施例を説明す
るための模式図である。
【図3】この発明の異材接合方法のさらに他の実施例を
説明するための模式図である。
【図4】硬質部材の各種断面形状を表す模式図である。
【符号の説明】
10 硬質部材 11 テーパ面 12 エッジ部 20 軟質部材 21 新生面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅本 靖 福岡県北九州市八幡西区陣山2丁目2− 1 (72)発明者 柳田 裕二 福岡県北九州市小倉南区湯川新町3丁目 18−21 (72)発明者 松井 繁朋 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (72)発明者 山田 猛 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (56)参考文献 特開 昭54−131550(JP,A) 特開 昭63−97381(JP,A) 特公 昭49−32692(JP,B1)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬質金属から成る棒状又は筒状の硬質部
    材と、これよりも軟質な金属から成る筒状の軟質部材と
    を接合するための異材接合方法であって、上記硬質部材
    の先端部には、先細テーパ状のテーパ面と、テーパ面よ
    りも先端側の位置にエッジ部とをそれぞれ周設し、上記
    硬質部材と軟質部材とを略同軸上に配置すると共に、軸
    方向に加圧することによって上記エッジ部で上記軟質部
    材の内周部をその全周にわたって所定長さだけ切削して
    除去し、この切削除去によって環状の新生面を軟質部材
    に形成し、この新生面と上記テーパ面とを押圧、接触さ
    せることを特徴とする異材接合方法。
  2. 【請求項2】 上記硬質部材はステンレス鋼、銅又はそ
    の合金、チタン又はその合金のいずれかであり、上記軟
    質部材はアルミニウム又はその合金であることを特徴と
    する請求項1の異材接合方法。
  3. 【請求項3】 上記硬質部材はステンレス鋼であり、上
    記軟質部材は銅又はその合金あるいはチタン又はその合
    金であることを特徴とする請求項1の異材接合方法。
  4. 【請求項4】 上記軟質部材は硬質部材よりも高温に加
    熱されていることを特徴とする請求項1〜請求項のい
    ずれかの異材接合方法。
  5. 【請求項5】 上記軟質部材がアルミニウム又はその合
    金であり、150℃〜450℃、好ましくは200℃〜
    350℃に加熱されていることを特徴とする請求項
    異材接合方法。
  6. 【請求項6】 上記硬質部材のテーパ面のテーパ角度
    は、30゜以下、好ましくは10゜〜15゜であること
    を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの異材接合
    方法。
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