JP2832218B2 - 陰極吸収式シール形鉛蓄電池及びその充電方法 - Google Patents

陰極吸収式シール形鉛蓄電池及びその充電方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、陰極吸収式シール形鉛蓄電池(以下シール
鉛電池という)及びその充電方法に関するものである。
[従来の技術] 従来より鉛蓄電池はサイクル用途に多く用いられてお
り、標準的な充電方法は準定電圧充電方法である。
近年、陰極吸収式のシール鉛電池が実用化され、サイ
クル用としても用いられるようになってきた。シール鉛
電池の標準的な充電方法は、定電圧充電圧方法である。
[発明が解決しようとする課題] シール鉛電池をサイクル用で用いる場合、電解液の成
層化による容量低下という問題点がある。これは、充放
電サイクルと共に電解液比重が電池下部で高くなり、容
量が低下する現象である。
従来の電槽内の電解液がリッチな鉛電池では、電槽内
で極板間に直流電流を流し、水を電気分解してガス(酸
素と水素)を盛んに発生させるガッシングを行わせて電
解液を撹拌することにより、この成層化の現象を解消さ
せることができる。
しかしながら、電槽内の電解液が少ないシール鉛電池
では、ガッシングを起こさせると、ますます水が少なく
なって電解液比重が高くなってしまうので、ガッシング
を採用することができず、サイクル用途としては電解液
の成層化による容量の早期減少が最大の問題点である。
本発明の目的は、電解液が少なくても成層化による容
量低下を防止できるシール鉛蓄電池及びその充電方法を
提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記の目的を達成するための本発明の手段を説明する
と、下記の通りである。
請求項(1)に記載の発明は、陽極板と陰極板とが電
解液と共に電槽内に内蔵されていて、前記陽極板から発
生する酸素を前記陰極板で反応吸収させるシール鉛蓄電
池の充電方法において、前記電槽内下部に前記極板群か
ら絶縁して配置した交流通電用電極から前記電解液に交
流電流を流して該電解液を直接発熱させながら充電を行
うことを特徴とする。
請求項(2)に記載の発明は、陽極板と陰極板とこれ
ら極板間に介在されたセパレータとにより構成された極
板群が電解液と共に電槽内に内蔵されていて、前記陽極
板から発生する酸素が前記陰極板で反応吸収されるシー
ル鉛蓄電池において、前記電槽内下部には前記電解液に
交流電流を通電する交流通電用電極が前記極板群から絶
縁して配置されていることを特徴とする。
請求項(3)に記載の発明は、請求項(2)におい
て、前記交流通電用電極は前記極板群の下方部分の側方
で前記各極板に対して直交する向きに配置されているこ
とを特徴とする。
[作用] 請求項(1)のように、電槽内下部に極板群から絶縁
して配置した交流通電用電極から、充電時に電解液に交
流電流を流して該電解液を直接発熱すると、電槽内下部
の電解液の比重が低くなって上方へ移動し、該電解液の
対流が起こり、該電解液の成層化を防止しつつ、充電を
行うことができる。特にシール鉛電池は、電解液が制限
されており、電解液の抵抗が他の液電池に比べて高いの
で、交流通電時の発熱量が多く、本発明の工業的価値は
極めて大である。また、本発明では、水を電気分解する
ガッシングは行わせないので、水がますます少なくなっ
て電解液比重が高くなってしまうのを回避することがで
きる。
請求項(2)のように、電槽内下部に極板群から絶縁
して交流通電用電極を配置すると、電槽内下部での電解
液に対する交流通電が容易に行える。
請求項(3)のように、交流通電用電極を極板群の下
方部分の側方で各電極に対して直交する向きに配置する
と、交流電流を各電極間のセパレータの部分を利用して
通電することができる。従って、極板群が存在していて
も支障なく電槽内下部で電解液に通電できるようにな
る。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。
第1図は、本発明に係るシール鉛電池の一実施例にお
ける下方部分の横断図面を示したものである。該シール
鉛電池は、陽極板1と陰極板2とこれら極板1,2間に介
在されたセパレータ3とにより構成された極板群4が電
解液(図示せず)と共に電槽5内に内蔵されている。該
電槽5内の極板群4の下方部分の側方には、各電極1,2
に対して直交する向きで鉛板よりなる交流通電用電極6,
7が極板群4との間にセパレータ8,9を介して電気的に絶
縁して垂直向きで配置されている。
次に、このようなシール鉛電池に対する充電方法を説
明する。本実施例では、充電中に交流通電用電極6,7を
利用して電解液に交流電流を流し、該電解液を直接発熱
させる。この場合、各交流通電用電極6,7は各電極1,2に
対して直交する向きなので、各電極6,7間の各セパレー
タ3の部分を利用して電解液に通電を行うことができ
る。電解液が直接通電により発熱すると、電槽5内下部
の電解液の比重が低くなって、上方へ移動し、該電解液
の対流が起こり、該電解液の成層化を防止する。従っ
て、本発明によれば、電解液の成層化を防止しつつ充電
を行うことができる。
本発明による効果を確認するために、本発明による構
造と、従来例による構造で2V、200Ahのシール鉛電池を
それぞれ製作し、本発明による充電方法と従来例による
充電方法で充電を行い性能の比較を行った。各シール鉛
電池の極板高さは250mmであり、本発明のシール鉛電池
では、交流通電用電極6,7として高さが50mmの鉛板を電
槽5内下部にセパレータ8,9を介して極板群4をはさむ
形で設置した。
これら両タイプのシール鉛電池を「放電40A(0.2CA)
4時間、充電60A(0.3CA)終止電圧;2.45V/セル;16時
間、20℃」の条件で試験を行った。本発明による充電方
法では、充電中に電解液に10Armsの交流電流(60Hz)を
通電した。
第1図は、本発明方法による充電時と従来方法による
充電時における極板上部と下部の電解液比重の推移を示
す。図示のように本発明方法による充電によれば、極板
上部と下部の比重差が少なく、成層化を防止できること
が明らかとなった。
第3図は、本発明方法による充電時と従来方法による
充電時における放電容量の推移を示す。図示のように、
本発明方法による充電によれば容量低下は少なく、成層
化による容量低下を少なくできることが判明した。
上記実施例では、交流通電用電極6,7を極板群4の下
方部分の側方に設けた側について示したが、本発明はこ
れに限定されるものでなく、該交流通電用電極6,7は極
板群4の下の電槽5の底板上などに配置することもでき
る。
なお、電槽4内下部の電解液を発熱させる方法として
は、電槽4内下部にヒーター等を設置することも考えら
れるが、耐酸性を該ヒーター等に持たせる必要があり、
コスト的に実施が困難である。その点、本発明にように
電解液を直接発熱させる方法は効率が良く、コストも低
くすることが可能である。
[発明の効果] 以上説明したように本発明に係るシール鉛電池及びそ
の充電方法によれば、下記のような優れた効果を得るこ
とができる。
請求項(1)に記載の発明では、電槽内下部に極板群
から絶縁して配置した交流通電用電極から、充電時に電
解液に交流電流を流して該電解液を直接発熱させるの
で、電槽内下部の電解液の比重が低くなって上方へ移動
し、該電解液の対流が起こり、該電解液の成層化を防止
しつつ充電を行うことができる。特にシール鉛電池は、
電解液が制限されており、電解液の抵抗が他の液電池に
比べて高いので、交流通電時の発熱量が多く、本発明の
工業的価値は極めて大である。また、本発明では、水を
電気分解するガッシングは行わせないので、水がますま
す少なくなって電解液比重が高くなってしまうのを回避
することができる。
請求項(2)の発明では、電槽内下部に極板群から絶
縁して交流通電用電極を配置しているので、電槽内下部
での電解液に対する交流通電を容易に行うことができ
る。
請求項(3)の発明では、交流通電用電極を極板群の
下方部分の側方で各電極に対して直交する向きに配置し
たので、交流電流を各電極間のセパレータの部分を利用
して通電することができ、このため極板群が存在してい
ても支障なく電槽内下部で電解液に通電を行わせること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るシール鉛電池の一実施例の下方部
分における横断面図、第2図は本発明の充電方法と従来
の充電方法とによる極板上部と下部の電解液比重の変化
を示す特性線図、第3図は本発明の充電方法の従来の充
電方法とによる容量推移を示す特性線図である。 1……陽極板、2……陰極板、3……セパレータ、4…
…極板群、5……電槽、6,7……交流通電用電極、8,9…
…セパレータ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−245471(JP,A) 特開 昭61−54169(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 10/42 - 10/48 H01M 10/50

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極板と陰極板とが電解液と共に電槽内に
    内蔵されていて、前記陽極板から発生する酸素を前記陰
    極板で反応吸収させる陰極吸収式シール形鉛蓄電池の充
    電方法において、 前記電槽内下部に前記極板群から絶縁して配置した交流
    通電用電極から前記電解液に交流電流を流して該電解液
    を直接発熱させながら充電を行うことを特徴とする陰極
    吸収式シール形鉛蓄電池の充電方法。
  2. 【請求項2】陽極板と陰極板とこれら極板間に介在され
    たセパレータとにより構成された極板群が電解液と共に
    電槽内に内蔵されていて、前記陽極板から発生する酸素
    が前記陰極板で反応吸収される陰極吸収式シール形鉛蓄
    電池において、 前記電槽内下部には前記電解液に交流電流を通電する交
    流通電用電極が前記極板群から絶縁して配置されている
    ことを特徴とする陰極吸収式シール形鉛蓄電池。
  3. 【請求項3】前記交流通電用電極は前記極板群の下方部
    分の側方で前記各極板に対して直交する向きに配置され
    ている請求項(2)に記載の陰極吸収式シール形鉛蓄電
    池。
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