JP2832206B2 - 熱可塑性樹脂成形材料用の糸状複合材料及び該複合材料からの成形材料並びに該複合材料の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形材料用の糸状複合材料及び該複合材料からの成形材料並びに該複合材料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱可塑性樹脂成形材料の製造に有用な糸状
複合材料及びそれからの熱可塑性樹脂成形材料並びに該
複合材料の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、(繊維強化)熱可塑性樹脂成形品に導電性、摺
動性、耐摩耗性、静電防止性等の機能を付するために、
熱可塑性樹脂に充填材粒子、場合により更に補強用短繊
維を混合、混練して、熱可塑性樹脂中に充填材粒子、場
合により更に補強用短繊維を均一に分散させたペレット
を製造して成形材料とし、これを射出成形して成形品を
得ていた。
たゞこのような成形材料には、充填材の配合量を増加
すると混練が困難になるため、充填材を30〜40容量%程
度までしか配合できないという欠点があり、更に繊維強
化熱可塑性樹脂成形材料の場合には、混練処理におい
て、補強用短繊維が切断されて、繊維補強効果が低下す
るという欠点があった。
このような欠点を解決するために、例えば繊維状の導
電性フィラーを集束したものを、SBSブロック系エラス
トマーで被覆し、これを切断して熱可塑性樹脂と混合し
た導電性プラスチック成形材料(特開昭60−243128号公
報)や表面に有機リン化合物層を有する長繊維状導電性
充填材を束ねた表面に合成樹脂層を被覆形成一体化し、
ペレット状に切断してなるマスターペレットと、ペレッ
ト状の合成樹脂からなるナチュラルペレットとを主成分
とする導電性成形材料(特開昭60−192762号公報)等が
提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、このような長繊維状充填材を使用する成形
材料には、充填材の種類によっては、長繊維状のものが
入手困難であったり、あるいは高価であったりするとい
う欠点がある。
従って本発明は、充填材として粒子状のものを使用
し、しかも強いて混練処理を必要とせず、熱可塑性樹脂
と充填材及び場合により補強用繊維との混合割合を任意
に定量的に且つ均一に調整できると共に、容易に射出成
形することができて、導電性、摺動性、耐摩耗性、静電
防止性、電磁波遮閉性等の機能的物性及び機械的強度、
寸法安定性等の機械的物性に優れた成形品を得ることが
できる成形材料及びそれに使用する糸状複合材料とその
製造方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、充填材粒子を包含してなる熱可塑性
樹脂繊維束又は熱可塑性樹脂繊維/補強用繊維混合繊維
束を芯材とし、その周囲に熱可塑性樹脂からなる柔軟な
スリーブを設けたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形材
料用の糸状複合材料が提供され、また該糸状複合材料を
切断し、これを熱可塑性樹脂と混合したことを特徴とす
る熱可塑性樹脂成形材料が提供され、更にエアージェッ
トで熱可塑性樹脂繊維束又は熱可塑性樹脂繊維/補強用
繊維混合繊維束を解繊した後、該繊維束中に充填材粒子
を包含させ、得られた粒子包含繊維束を熱可塑性樹脂で
被覆して該繊維束の周囲にスリーブを形成させることを
特徴とする熱可塑性樹脂成形材料用の糸状複合材料の製
造方法が提供される。
本発明の熱可塑性樹脂成形材料用の糸状複合材料は、
充填材粒子を包含する熱可塑性樹脂繊維束又は熱可塑性
樹脂繊維/補強用繊維混合繊維束の周囲に熱可塑性樹脂
からなるスリーブを設けた構成としたことにより、熱可
塑性樹脂(繊維及びスリーブ)と充填材粒子及び場合に
より補強用繊維との割合を広範囲に定量的に設定するこ
とができ、且つ均一性に優れたものである。また、この
糸状中間材を切断して、これを熱可塑性樹脂と混合する
ことによって、強いて混練処理することなしに、所望の
割合で、熱可塑性樹脂中に充填材及び場合により補強用
繊維を均一に分散した、射出成形性の良好な本発明の成
形材料が得られ、該成形材料からは、射出成形によっ
て、容易に導電性、摺動性、耐摩耗性、静電防止性、電
磁波遮閉性等の機能的物性及び機械的強度、寸法安定性
等の機械的物性に優れた成形品が得られる。
なお、本発明者らは先に、不活性超微粉末を補強用繊
維含有量に基いて約0.01〜約10容量%包含してなる補強
用繊維束を芯材とし、その周囲に熱可塑性樹脂からなる
柔軟なスリーブを設けたことを特徴とする熱可塑性複合
材料用のプリフォームヤーン(特願昭62−202761号)を
提案したが、本発明の糸状中間材は、熱可塑性樹脂繊維
束ないし該繊維を含有する混合繊維束を芯材とする点に
おいて、補強用繊維束を芯材とする上記プリフォームヤ
ーンとは異なったものである。
先ず、本発明の熱可塑性樹脂成形材料用の糸状中間材
について、詳細に説明する。
本発明の糸状中間材において、芯材として使用される
熱可塑性樹脂繊維束又は熱可塑性樹脂繊維/補強用繊維
混合繊維束は、充填材粒子を包含するが、該粒子は上記
繊維間に浸透していて、該繊維をゆるく解繊した状態に
保持する。従って、該粒子は樹脂(繊維及びスリーブ)
中に均一に分散された形態を形成しており、該複合材料
(以下、中間材という)から成形材料を調製する際、該
粒子は混合樹脂中に容易に均一に分散される。
充填材粒子が繊維束の繊維間に効率良く浸透するため
には、該粒子の粒径は約1mm以下であることが好まし
く、特に約0.01〜約15μmの範囲が好ましい。
また、充填材粒子の繊維束中の包含量は、中間材基準
で約5〜約90容量%の範囲内で任意に選択され、約10〜
約80容量%の範囲が好ましい。該粒子の包含量が約90容
量%を超過すると、スリーブの被覆が困難になったり、
スリーブの破裂が発生したりすることがあり、また逆に
約5容量%未満では、充分な機能的物性及び(又は)機
械的物性を有する成形品が得られない。
本発明において用いられる充填材粒子は、例えば導電
性、摺動性、耐摩耗性、静電防止性、電磁波遮閉性等の
機能及び機械的強度、寸法安定性等の特性を成形体に付
与するためのものであり、その具体例としては、カーボ
ンブラック、黒鉛、活性炭等の炭素類の粉末;ガラス粉
末、タルク、ワラストナイト、カオリン、焼成カオリ
ン、炭酸カルシウム、硅酸カルシウム等の無機系化合物
の粉末;アルミナ、シリカアルミナ、酸化チタン等の酸
化物類の粉末;アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、亜
鉛、錫若しくはそれらの合金等の金属類の粉末;ポリテ
トラフルオロエチレン等の有機系の粉末等が挙げられ
る。
本発明の糸状中間材で用いられる熱可塑性樹脂繊維
は、成形材料の後加工における成形温度で完全に溶融す
る樹脂繊維であり、例えばポリアミド、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ弗
化ビニリデン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエ
ーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等のポリマ
ーの繊維が挙げられる。更に具体的には、ポリアミド繊
維としては、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン12、ナ
イロン6/66/12ターポリマーのようなホモ又はコポリマ
ーから得られる繊維が用いられ、またポリエステル繊維
としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレン−2.6−ナフタレート、
ポリオキシエトキシベンゾエート、全芳香族ポリエステ
ル等のホモポリマー又はこれらのコポリマーから得られ
る繊維が用いられる。
なお、熱可塑性樹脂繊維束は、一般的にはフィラメン
トのデニール数が、約0.1〜約2,000の範囲内で、フィラ
メント数が約1〜約500のもの、特にフィラメントのデ
ニール数が約1〜約500で、フィラメント数が約1〜約1
00のものが好ましい。
また、本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂成形材
料を得る場合には、糸状中間材の芯材として熱可塑性樹
脂繊維/補強用繊維混合繊維束が用いられるが、この場
合の補強用繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、ポリ
アミド繊維(アラミド繊維)、ボロン繊維、セラミック
繊維及び金属繊維等がある。
炭素繊維としては、石油ピッチ若しくはコールタール
ピッチを原料とし、紡糸用ピッチの調整、溶融紡糸、不
融化及び炭素化して得られるピッチ系炭素繊維並びにア
クリロニトリル(共)重合体繊維を耐炎化及び炭素化し
て得られるPAN系炭素繊維の何れも好適に用いられる。
また、ガラス繊維としては、非ストランド化ガラス繊
維、ストランド化ガラス繊維及びストランド化ガラス繊
維トウ等の何れも使用される。なお、セラミック繊維と
しては、炭化珪素繊維、窒化珪素繊維、窒化硼素繊維、
アルミナ繊維等が挙げられる。
また、糸状中間材で用いる補強用繊維束は、フィラメ
ントのデニール数が約0.05〜約600の範囲内で、フィラ
メント数が約50〜300,000のもの、特にフィラメントの
デニール数が約0.25〜約16で、フィラメント数が約100
〜約48,000のものが好ましい。
なお、この混合繊維束における熱可塑性樹脂繊維と補
強用繊維の使用割合(容量比)は、5:95〜95:5の範囲内
で任意に選択することができる。
糸状中間材においては、前記繊維束の周囲に熱可塑性
樹脂からなる柔軟な被覆(即ちスリーブ)が設けられる
が、このスリーブの肉厚は一般的には、約5〜約1,000
μmとするのが良く、特に約10〜約300μmとするのが
好ましい。スリーブの肉厚が約5μm未満では均一なス
リーブの形成が困難となるので好ましくなく、逆に約1,
000μmを超えると該中間材の柔軟性が損なわれる。
糸状中間材において、柔軟なスリーブ形成材として用
いる熱可塑性樹脂は、成形材料の後加工における成形温
度で完全に溶解する樹脂であり、例えばポリアミド、ポ
リエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、ポリ弗化ビニリデン、ポリアミドイミド、ポリイ
ミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイ
ド等のポリマーが挙げられる。更に具体的には、ポリア
ミドとしては、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン12、
ナイロン6/66/12ターポリマーのようなホモ又はコポリ
マーが用いられ、またポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2.6−ナフタレート、ポリオキシエトキシ
ベンゾエート、全芳香族ポリエステル等のホモポリマー
又はこれらのコポリマーが用いられる。
なお、スリーブ形成材として用いる熱可塑性樹脂とし
ては、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂と同一
のものであってもよいし、また、異種のものであっても
よい。
次に、本発明の熱可塑性樹脂成形材料用の糸状中間材
の製造方法について説明する。
本発明の糸状中間材の製造方法は、エアージェットで
熱可塑性樹脂繊維束又は熱可塑性樹脂繊維/補強用繊維
混合繊維束を解繊した後、該繊維束中に充填材粒子を包
含させ、得られた粒子包含繊維束を熱可塑性樹脂で被覆
し、該繊維束の周囲にスリーブを形成させることからな
る。
第1図及び第2図により、糸状中間材の製造方法を更
に詳細に説明する。
第1図において、樹脂繊維束1が巻かれたボビン(図
示せず)を解舒機2に、及び場合により補強用繊維束
1′が巻かれたボビン(図示せず)を解舒機2′に配置
し、該繊維束1及び場合により1′をネルソンタイプフ
ィードローラー15により一定速度で引き取りながら、
「解繊及び粒子付与装置」を通過させる。
この「解繊及び粒子付与装置」の詳細については第2
図に示されるが、該装置は解繊用エアージエットノズル
3、収束ローラー4、粒子用ホッパーフィダー5、粒子
槽6、攪拌機7、空気管8、排出空気管9、バッグフィ
ルター10、吸引機11等から構成されていて、エアージエ
ットノズル及び収束ローラーはエアーシールされてい
る。ホッパーフィダー5から粒子が粒子槽6に供給さ
れ、攪拌機7により攪拌されて、粒子槽6内に粒子層が
形成される。空気管8内の圧縮空気流がエアージエット
ノズル3から噴出し、繊維束1及び場合により1′を解
繊した後、該繊維束は粒子槽6内を通過し、該繊維束に
粒子が付与される。粒子が付着した繊維束は収束ローラ
ー4により解繊の程度がコントロールされ、一方過剰の
粒子は排出空気管9を通り、バッグフィルター10を介し
て吸引機11により吸引され、バッグフィルター10で捕集
された後、再使用される。この間繊維束には適当な張
力、例えば、2g以上の張力が印加するように調整され
る。
次に前記「解繊及び粒子付与装置」を通過した粒子付
与繊維束は熱可塑性樹脂押出機12とスリーブ被覆クロス
ヘッド13とから構成されるスリーブ被覆装置に送られ、
該押出機12に供給された熱可塑性樹脂によってその周囲
が被覆される。なお、被覆の際には樹脂繊維が溶融しな
いように注意が払われる。スリーブが設けられた糸状中
間材は、冷却装置14によって冷却固化され、ネルソンタ
イプフィードローラー15により一定速度で引き取られ、
ついで巻き取り装置16によって巻きとられる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂成形材料について説明す
る。
本発明の成形材料は、前記糸状中間材を切断した後、
これと熱可塑性樹脂とを混合することによって得られ
る。従って、本発明においては、前記糸状中間材を使用
するため、熱可塑性樹脂中に充填材粒子、更に場合によ
り補強用短繊維が均一に分散され、しかも強いて混練処
理を必要としない(混練処理を行なう場合でも混練の程
度は軽いものですむ)ため、多量の充填材粒子を熱可塑
性樹脂中に配合することができ、更に繊維強化熱可塑性
樹脂成形材料を得る場合には、混合工程における補強用
短繊維の切断が(殆ど)発生しない。
本発明においては、通常糸状中間材はカッティングマ
シンで約2〜約15mmの長さにペレット状に切断され(マ
スターペレット)、これとペレット状の熱可塑性樹脂
(ナチュラルペレット)とをブレンダー等を用いて混合
することにより、射出成形用ペレットが得られる。もち
ろん、糸状中間材の切断を射出成形機のホッパー上で行
ない、ナチュラルペレットとの混合を射出成形機のホッ
パー内で行なうこともできる。また、マスターペレット
とナチュラルペレットとを混合した後、混練機にて混練
し、ペレタイザー等で切断して、射出成形用ペレットを
得ることもできる。ただ、この場合も、通常の成形材料
と比べ、混練の程度は軽くてよい。
マスターペレットとナチュラルペレットとの混合割合
は、通常マスターペレット1重量部に対して、ナチュラ
ルペレット1〜15重量部である。
ナチュラルペレットを構成する熱可塑性樹脂は、後加
工における成形温度で完全に溶解する樹脂であり、その
具体例としては、前記スリーブ形成材として用いる樹脂
と同様に、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ弗化ビニリ
デン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイ
ミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリフェニレンサルファイド等のポリマーが挙げ
られる。更に具体的には、ポリアミドとしては、ナイロ
ン66、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6/66/12ター
ポリマーのようなホモ又はコポリマーが用いられ、また
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2.6−ナ
フタレート、ポリオキシエトキシベンゾエート、全芳香
族ポリエステル等のホモポリマー又はこれらのコポリマ
ーが用いられる。
本発明で用いるナチュナルペレットを構成する熱可塑
性樹脂としては、糸状中間材におけるスリーブ形成材な
いし熱可塑樹脂繊維を構成する樹脂と、同一のものであ
ってもよいし、また異種のものであってもよい。
本発明の成形材料を用いて射出成形することにより、
熱可塑性樹脂中に、所望量の充填材粒子を充分に均一に
分散させた、又は所望量の充填材粒子及び補強用短繊維
を充分に均一に分散させた、機能的物性及び機械的物性
に優れた成形品を得ることができる。
〔発明の効果〕
本発明の糸状中間材は、前記したように、充填材粒子
を包含する熱可塑性樹脂繊維束又は熱可塑性樹脂繊維/
補強用繊維混合繊維束を芯材とし、その周囲に熱可塑性
樹脂からなる軟柔なスリーブを設けたことから、 (イ)充填材として繊維状のものを使用する必要がな
く、入手容易で且つ安価な粒子状のものが使用できる、 (ロ)熱可塑性樹脂と充填材、更に場合により補強用繊
維との配合割合を、任意に定量的に設定できる、 (ハ)スリーブ中に均一に充填材粒子を分散させ且つ繊
維同志が密着せず離れた状態を保持できる、 という効果を生じる。
また、本発明の成形材料は、前記したように、前記糸
状中間材を切断して熱可塑性樹脂と混合したことから、 (ニ)混練処理を強いて必要とせず、例え混練処理を行
なう場合でも混練の程度が軽くてすむため、所望により
多量の充填材粒子を配合することができる、即ち熱可塑
性樹脂と充填材、更に場合により補強用短繊維との混合
割合を任意に特定することができる上に、前記糸状中間
材を使用したことから熱可塑性樹脂中に充填材粒子、更
に場合により補強用短繊維を均一に分散させることがで
きるので、導電性、摺動性、耐摩耗性、静電防止性、電
磁波遮閉性等の機能的物性及び機械的強度、寸法安定性
等の機械的物性に優れた成形体を得ことができる、 (ホ)混練処理を強いて必要とせず、例え混練処理を行
なう場合でも混練の程度が軽くてすむため、繊維強化熱
可塑性樹脂成形体を得る場合には、補強用短繊維の混合
工程における切断が(殆ど)なく、充分な繊維補強効果
を有する強固な機能的物性及び機械的物性に優れた成形
体を得ることができる、 という効果を生じる。
また、本発明の糸状中間材の製造方法は、エアージェ
ットで(混合)繊維束を解繊した後、該繊維束中に充填
材粒子を包含させ、得られた粒子包含繊維束を熱可塑性
樹脂で被覆して該繊維の周囲にスリーブを形成させると
いう構成にしたことから、 (ヘ)工程数が少く且つ簡単な装置を用いて実施するこ
とができる、 (ト)生産効率が高い、 という効果を生じる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1 中間材の芯となる繊維として、ナイロン6繊維束を用
いた。この繊維束はフィラメント数96本、デニール数45
0deであって、密度1.14g/cm3、引張強度5.6g/de、伸度4
0%であった。スリーブ用熱可塑性樹脂としては、ナイ
ロン6樹脂を用いた。この樹脂の密度は1.14g/cm3、曲
げ強度は10.4kgf/mm2、曲げ弾性率は286kgf/mm2であっ
た。また、充填材粒子としては炭酸カルシウム粉末を用
いた。この炭酸カルシウム粉末の密度は2.93g/cm3、平
均粒径は約15μmであった。
上記ナイロン6繊維束の巻かれたボビンを解舒機2に
配置し、ネルソンタイプフィードローラー15により一定
速度で引き取りながら、「解繊及び粒子付与装置」を通
過させた。この「解繊及び粒子付与装置」において、ホ
ッパーフィダー5から炭酸カルシウム粉末を粒子槽6に
供給し、攪拌機7で攪拌して粒子層を形成させておく。
空気管8中の圧縮空気流がエアージェットノズル3から
噴出し、そのジェット流により前記ナイロン6繊維束を
解繊した後、粒子槽6内を通過させ、該繊維束に炭酸カ
ルシウム粉末を付与した。炭酸カルシウム粉末が付着し
た繊維束は、収束ローラー4により解繊の程度をコント
ロールし、一方過剰の炭酸カルシウム粉末は排出空気管
9を通り、バッグフィルター10を介して吸引機11により
吸引され、バッグフィルター10で捕集した後、再使用し
た。この間、繊維には約30gの張力がかかるようセンサ
ーを用いて調整した。
次に、炭酸カルシウム粉末が付着した繊維束を、熱可
塑性樹脂押出機12とスリーブ被覆クロスヘッド13より構
成されるスリーブ被覆装置に送り、ここで上記のナイロ
ン6樹脂のペレットを押出機に供給して、該繊維束にス
リーブを形成し、冷却装置14によって冷却固化して、ネ
ルソンタイプフィードローラー15により一定速度で引き
取り、巻き取り装置16により巻き取った。押出機はスク
リュー径25mmで押出し速度を0.79/hrとし、クロスヘ
ッドダイの温度は260℃、引取り速度は100m/minに調整
した。
得られた糸状中間材のスリーブは、外径2mm、厚さ21
μmであり、充填材とナイロン6(繊維及びスリーブ)
の容量比は60:40であった。
得られた糸状中間材をカッティングマシーンで5mmの
長さにカットし、マスターペレットを得た。このマスタ
ーペレット1容に対し、ナイロン6樹脂のナチュラルペ
レット(前記のスリーブ形成材として用いたものと同じ
もの)2容を機械的に混合して、ホッパーに供給し、押
出機内でスクリューの回転により混合し、押出した。該
押出物をペレタイザーで切断して、射出成形用のペレッ
トを得た。得られたペレット中の充填材含有量は20容量
%であった。
得られたペレットを射出成形して成形品を得た。得ら
れた成形品は、ナチュラルペレットからの成形品に比べ
て、剛性、寸法安定性、耐熱性が向上した。また、該成
形品は表面品質も良好で、塗装密着性に優れており、メ
ッキも可能であった。
実施例2 中間材の芯となる繊維として、ポリフェニレンサルフ
ァイド(以下PPSと記す)繊維束とアクリロニトリル共
重合体から製造された炭素繊維束の両者を用いた。この
PPS繊維束はフィラメント数72本、デニール数600deであ
り、また炭素繊維束はフィラメント数12,000本、密度1.
76g/cm3、引張強度360kgf/mm2、張弾性率23.5×103kgf/
mm2、伸度1.5%であった。スリーブ用熱可塑性樹脂とし
ては、PPS樹脂を用いた。このPPS樹脂の密度は1.37g/cm
3で、曲げ強度は12.7kgf/mm2、曲げ弾性は350kgf/mm2
あった。また、充填材粒子としては黒鉛粉末を用いた。
この黒鉛粉末の密度は2.17g/cm3、平均粒径は約5μm
であった。
上記PPS繊維束の巻かれたボビンを解舒機2に、また
上記炭素繊維束の巻かれたボビンを解舒機2′に配置
し、実施例1と同様にして、上記両繊維束の混合繊維束
上に黒鉛粉末を含浸させ、その周囲にPPS樹脂のスリー
ブを形成させた。なお、このときの上記混合繊維束のPP
S繊維は10容量%、炭素繊維は90容量%であった。
得られた糸状中間材のスリーブは、外径2mm、厚さ16
μmであり、充填材、PPS(繊維及びスリーブ)及び炭
素繊維の容量比は20:20:60であった。
得られた糸状中間材をカッティングマシーンで5mmの
長さにカットし、マスターペレットを得た。このマスタ
ーペレット1容に対し、PPS樹脂のナチュラルペレット
(前記のスリーブ形成材として用いたものと同じもの)
2容を混合し、得られた混合ペレットを直接射出成形し
て成形品を得た。得られた成形品中の炭素繊維含有量は
20容量%、黒鉛含有量は7容量%であった。
得られた成形品は、導電性に優れると同時に潤滑性
(摩擦係数が低い)と耐摩耗性を兼備していた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の糸状中間材の製造に関する説明図であ
り、第2図はその製造で使用される「解繊及び粒子付与
装置」に関する説明図である。 1;樹脂繊維束、1′補強用繊維束、2,2′;解舒機、3;
解繊用エアージェットノズル、4;収束ローラー、5;粒子
用ホッパーフィーダー、6;粒子槽、7;攪拌機、8;空気
管、9;排出空気管、10;バッグフィルター、11;吸引機、
12;熱可塑性樹脂押出機、13;スリーブ被覆クロスヘッ
ド、14;冷却装置、15;ネルソンタイプフィードローラ
ー、16;巻き取り装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伝法谷 司 埼玉県川口市末広1丁目17番3号 株式 会社アクロス内 (72)発明者 上田 卓彌 埼玉県川口市末広1丁目17番3号 株式 会社アクロス内 (56)参考文献 特開 昭48−42035(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08K 7/00 - 13/08 C08J 5/00 - 5/10 B29B 11/00 - 11/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】充填材粒子を包含してなる熱可塑性樹脂繊
    維束又は熱可塑性樹脂繊維/補強用繊維混合繊維束を芯
    材とし、その周囲に熱可塑性樹脂からなる柔軟なスリー
    ブを設けたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形材料用の
    糸状複合材料。
  2. 【請求項2】請求項(1)記載の糸状複合材料を切断
    し、これを熱可塑性樹脂と混合したことを特徴とする熱
    可塑性樹脂成形材料。
  3. 【請求項3】エアージェットで熱可塑性樹脂繊維束又は
    熱可塑性樹脂繊維/補強用繊維混合繊維束を解繊した
    後、該繊維束中に充填材粒子を包含させ、得られた粒子
    包含繊維束を熱可塑性樹脂で被覆して該繊維束の周囲に
    スリーブを形成させることを特徴とする熱可塑性樹脂成
    形材料の糸状複合材料の製造方法。
JP1032222A 1989-02-10 1989-02-10 熱可塑性樹脂成形材料用の糸状複合材料及び該複合材料からの成形材料並びに該複合材料の製造方法 Expired - Lifetime JP2832206B2 (ja)

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