JP2831863B2 - 竪型焼却炉 - Google Patents

竪型焼却炉

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JP2831863B2
JP2831863B2 JP15222091A JP15222091A JP2831863B2 JP 2831863 B2 JP2831863 B2 JP 2831863B2 JP 15222091 A JP15222091 A JP 15222091A JP 15222091 A JP15222091 A JP 15222091A JP 2831863 B2 JP2831863 B2 JP 2831863B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力施設における雑
固体廃棄物等の、灰分の多い固体廃棄物を焼却するため
の竪型焼却炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所等においては、塩化ビニル
シート、ガムテープ、ネオプレン製グローブ等、灰分が
多い、放射性の雑固体廃棄物が大量に発生する。こうし
た放射性の雑固体廃棄物は、廃棄物をできる限り減容す
る為に、焼却した後、灰をドラムカン等に詰めて保管し
ている。
【0003】図3はこうした放射性雑固体廃棄物を焼却
するための竪型焼却炉を示す概略部分断面図である。縦
長の焼却炉本体2の上側には投入機1が設置され、焼却
炉本体2の側壁の上部に燃焼排ガスの排出口7が設けら
れ、焼却炉本体2の側壁の下部には、燃焼のための空気
を供給するための空気供給口3と、炉本体を昇温させる
ための熱風を供給する熱風供給口4とが設けられてい
る。焼却用空間2bの底部には可動性の底蓋14が固定さ
れ、底蓋14によって炉底が形成される。
【0004】焼却作業時には、焼却炉本体2内を予熱し
た後、投入機1によって可燃性の雑固体廃棄物6を投入
口2aから焼却用空間2bへと投入する。この固体廃棄物6
に着火し、主として焼却用空間2bの底部付近で焼却す
る。この際、空気供給口3から矢印Aのように空気を供
給するかまたは熱風供給口4から矢印Bのように熱風を
供給する。これにより、雑固体廃棄物6は焼却され、焼
却物5に変わり、可動性底蓋14の上に堆積する。焼却に
よって生じた排ガスは、排出口7から矢印Cのように炉
の外へと排出される。
【0005】ここで炉底に堆積した焼却物5は、完全に
灰化しているわけでなく、かなりの未燃部分を含んでい
る。また、焼却物5の堆積量が多くなってくると、空気
が未燃物に接触しにくくなるので、燃焼効率が非常に下
ってくる。そこで、例えば1日間焼却運転をした後、例
えば1時間程度焼却物5を残燃させてその灰化を促進さ
せ、容積を減少させた後、可動性底蓋14を開き、灰を灰
溜り室15へと落下させる。そしてここで灰を放冷した
後、ドラム缶16内へと充填する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
焼却炉では、焼却処理時には例えば900 ℃程度の高温で
炉底付近の温度は維持されるが、残燃時には炉底付近の
温度が200 〜300 ℃程度にまで低下するので、焼却用空
間2b内でこうした昇温と降温のサイクルを繰り返す必要
がある。しかし、炉底付近の温度を一旦低下させると、
次に再び焼却用空間2b内の温度を、焼却処理に適した高
温にまで上昇させるには、かなりの時間が必要であり、
非常に不経済である。一方、焼却運転を長期間、例えば
5時間以上続けると、焼却物5の堆積量が非常に多くな
って燃焼効率が大きく低下し、未燃部分が非常に多くな
り、かえって残燃に時間がかかるようになり、最終的に
灰の容積を減らすことも難しくなる。更に、可動性底蓋
14の表面にはタール等の未燃物、不完全燃焼物が付着、
堆積するので、長期間使用するうちに、可動性底蓋14で
炉底を閉じる際に表面堆積物が邪魔になることがある。
【0007】本発明の課題は、固体廃棄物の焼却運転を
長期間つづけても燃焼効率が低下せず、焼却物の残燃を
効率的に行うことができ、しかも焼却用空間の炉底を形
成する可動性底蓋への未燃物、不完全燃焼物の固着、堆
積を防止できるような竪型焼却炉を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、固体廃棄物を
焼却して焼却物に変える竪型の焼却炉本体;この焼却炉
本体の焼却用空間内へと前記固体廃棄物を投入する投入
機;前記焼却用空間の炉底を交互に形成する複数の可動
性底蓋;及び前記焼却物を残燃させるために前記焼却用
空間の下方に設けられた残燃室を有する竪型焼却炉であ
って、前記焼却用空間の底部に一つの前記可動性底蓋を
配置して前記炉底を形成した状態で前記固体廃棄物を焼
却し、この可動性底蓋を前記残燃室内へと移動させて前
記焼却物をこの残燃室へと落下させ、他の前記可動性底
蓋を前記焼却用空間の底部に配置して前記炉底を形成で
きるように構成された竪型焼却炉に係るものである。
【0009】
【実施例】図1は本発明の実施例に係る竪型焼却炉を示
す概略部分断面図である。図3に示した竪型焼却炉と同
一機能部材に同一の符号を付し、その説明は省略するこ
とがある。
【0010】この竪型焼却炉においては、縦長の焼却炉
本体2の下方に残燃室10を設ける。残燃室10内には一対
の可動性底蓋8A,8Bが収容されており、これら一対の可
動性底蓋8A,8Bによって、焼却用空間2bの炉底を交互に
形成する。残燃室10の下部は可動性底蓋14で塞がれ、可
動性底蓋14の下方に灰溜り室15が設けられている。残燃
室10の側壁には熱風供給口11とガス排出口12とが設けら
れる。各可動性底蓋8A,8Bの周面にはリング状のフラン
ジ9が設けられ、このフランジ9が焼却炉本体2の最下
端に直接、あるいはパッキンを介して接触する。
【0011】次に本実施例の竪型焼却炉の運転の手順等
を説明する。袋状の雑固体廃棄物6を投入機1から投入
口2aを通して焼却用空間2b内へと投入する。焼却用空間
2bの炉底部分へと矢印Aのように燃焼用の空気を供給す
るかまたは矢印Bのように熱風を供給する。雑固体廃棄
物6に着火し、焼却して焼却物5に変え、燃焼によって
生じる排ガスを排出口7から矢印Cのように炉の外へと
排出する。矢印Cのように排出された排ガスをセラミッ
クフィルターに通して塵を除き、除塵後の排ガスを高性
能微粒子フィルターに通して再度除塵する。次いで、こ
の排ガスを排ガスブロワによって大気中に放出する。
【0012】焼却用空間2bの底部には、まず一方の可動
性底蓋8Aを配置し、可動性底蓋8Aによって炉底を形成す
る。上記の焼却処理を一定時間、例えば3時間程度続け
て行うと、可動性底蓋8Aの表面13上に相当量の焼却物5
が堆積し、またある程度の未燃物、不完全燃焼物が表面
13に固着する。ここで、一方の可動性底蓋8Aを残燃室10
内へと移動させ、焼却物5を残燃室10内へと落下させ
る。次いで、他方の可動性底蓋8Bで焼却炉本体2の底を
塞ぎ、炉底を形成して図1に示す状態とする。
【0013】焼却用空間2bの底部に他方の可動性底蓋8B
を配置した状態で、再び上記のような焼却処理を一定時
間続ける。これにより、可動性底蓋8Bの表面13上に焼却
物5が堆積してくる。この間、熱風供給口11から矢印D
のように熱風(例えば500 ℃程度)を残燃室10内へと供
給し、残燃室10内に堆積した焼却物5中の未燃部分を更
に燃焼させ、その灰化を促進し、焼却物5の容積を減ら
す。これと共に、一方の可動性底蓋8Aの表面13に固着し
た固着物5aも更に残燃され、灰化し、残燃室10の底部に
落下する。そして、可動性底蓋14を開いて残燃後の灰を
灰溜り室15へと落下させ、ここで冷却した後、ドラム缶
16に収容する。
【0014】こうした竪型焼却炉によれば、残燃室10で
焼却物5を残燃させているので、焼却炉本体2内の温度
は高温のまま維持でき、したがって焼却処理の中断時間
が短かく、焼却運転を速やかに開始できる。このため、
焼却炉本体2の焼却運転の効率が非常に上がる。しか
も、所定時間毎に焼却用空間2bの底部に堆積した焼却物
5を残燃室10へと落下させるので、堆積量の増大による
燃焼効率の低下も防止できる。
【0015】更に、残燃室10内において、可動性底蓋8A
(又は8B)の表面13に固着した固着物5aも残燃させ、灰
化させるので、次にこの可動性底蓋8A(又は8B)で焼却
用空間2bの底を塞ぐときにも、固着物が邪魔になること
はない。また、可動性底蓋8A,8Bとして、スリットを多
数有する、目の細かい格子状のものを使用した場合に
は、矢印Dのように残燃室10内へと供給された熱風が、
更に可動性底蓋8A,8Bのスリットを通して焼却用空間2b
の底部へと向って吹き出すので、焼却用空間2b内で表面
13付近に堆積、固着した未燃物、不完全燃焼物を焼却の
段階で一層灰化させておくことができる。
【0016】図2は、可動性底蓋8A,8Bを残燃室10内で
移動させるのに適した機構の一例を示す概略図である。
可動性底蓋8A(8B)にはアーム18が固着され、アーム18
が回転軸23に固着されている。また、回転軸23に略扇形
状のアーム19が固着され、アーム19の端部が金具20を介
して、シリンダー22のピストン21に接続されている。ピ
ストン21が図2において左右方向に動くと、アーム19及
び回転軸23が回転し、これに追従してアーム18及び可動
性底蓋8A(8B)が回転する。
【0017】本発明に係る竪型焼却炉は、原子力発電所
等の放射性物質取り扱い施設から出る雑固体廃棄物の焼
却の他、有毒化学物質、有毒ガス、有毒微生物等の取り
扱い施設から出る固体廃棄物の焼却にも適用できる。
【0018】
【発明の効果】本発明に係る竪型焼却炉によれば、焼却
用空間の下方に設けた残燃室で焼却物を残燃させている
ので、焼却炉本体内で残燃させていた従来の炉と異な
り、焼却用空間の温度は高温のままで維持でき、従って
焼却処理の中断時間が短かく、焼却運転を速やかに開始
できるので、焼却炉本体における焼却運転の効率が非常
に上がる。
【0019】しかも、可動性底蓋を残燃室内へと移動さ
せて焼却物を焼却用空間から残燃室へと落下させ、他の
可動性底蓋を焼却用空間の底部に配置して炉底を形成す
るので、これを繰り返すことにより焼却物の堆積量の増
大による燃焼効率の低下も防止できる。
【0020】更に、可動性底蓋を残燃室内へと移動さ
せ、残燃室内で焼却物中の未燃部分、不完全燃焼部分の
燃焼を促進するので、可動性底蓋の表面に固着した固着
物も同時に残燃され、灰化される。従って、この可動性
底蓋で再び焼却用空間の底部を塞ぐときにも、表面の固
着物が邪魔になることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る竪型焼却炉を示す概略部
分断面図である。
【図2】可動性底蓋を移動させるのに好適な機構の一例
を示す概略図である。
【図3】従来例に係る竪型焼却炉を示す概略部分断面図
である。
【符号の説明】
1 投入機 2 焼却炉本体 2b 焼却用空間 5 焼却物 6 雑固体廃棄物 8A,8B 可動性底蓋 10 残燃室 11 熱風供給口 13 可動性底蓋の表面 15 灰溜り室

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体廃棄物を焼却して焼却物に変える竪
    型の焼却炉本体; この焼却炉本体の焼却用空間内へと前記固体廃棄物を投
    入する投入機; 前記焼却用空間の炉底を交互に形成する複数の可動性底
    蓋;及び前記焼却物を残燃させるために前記焼却用空間
    の下方に設けられた残燃室を有する竪型焼却炉であっ
    て、 前記焼却用空間の底部に一つの前記可動性底蓋を配置し
    て前記炉底を形成した状態で前記固体廃棄物を焼却し、
    この可動性底蓋を前記残燃室内へと移動させて前記焼却
    物をこの残燃室へと落下させ、他の前記可動性底蓋を前
    記焼却用空間の底部に配置して前記炉底を形成できるよ
    うに構成された竪型焼却炉。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002286215A (ja) * 2001-03-23 2002-10-03 Ngk Insulators Ltd 縦型円筒焼却炉

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002286215A (ja) * 2001-03-23 2002-10-03 Ngk Insulators Ltd 縦型円筒焼却炉

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JPH0560316A (ja) 1993-03-09

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