JP2831590B2 - 高周波加温治療装置 - Google Patents

高周波加温治療装置

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JP2831590B2 JP5146695A JP5146695A JP2831590B2 JP 2831590 B2 JP2831590 B2 JP 2831590B2 JP 5146695 A JP5146695 A JP 5146695A JP 5146695 A JP5146695 A JP 5146695A JP 2831590 B2 JP2831590 B2 JP 2831590B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体内に高周波を照射
し、誘電加熱により生体内の癌細胞を壊死壊滅させる高
周波加温治療装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば生体を挟んだ一対の電極か
ら高周波エネルギーを放射供給して、この生体内の患部
を加温治療する高周波加温治療装置が知られている(特
開昭62−15236号)。この高周波加温治療装置
は、例えば癌その他の腫瘍を構成する異常な細胞組織と
周辺の正常な細胞組織とを共に40℃以上の温度範囲で
加温すると、前者の異常な細胞組織が正常な細胞組織に
比して2.0℃〜2.5℃だけ高温になるという点に着
目し、正常な細胞組織を壊死させない43℃以下に保持
する一方、異常な細胞組織を45℃前後にまで上昇させ
て壊死壊滅させんとするものである。
【0003】図14は、従来の高周波加温治療装置の構
成を示す概略図である。従来の高周波加温治療装置10
0は、生体深所に患部102が存在する生体101の表
面に、該患部102を挟むようにして一対の電極板10
3,104を冷却パッド105,106を介して添接さ
せ、高周波発生源107から両電極板103,104に
数MHz乃至十数MHzの高周波エネルギーを供給する
ように構成されている。
【0004】なお、高周波発生源107と電極板10
3,104間には整合器108が設けられ、高周波発生
源107と負荷(電極板103,104で挟まれた冷却
パッド105,106及び生体101)とのインピーダ
ンス整合が取られ、高周波発生源107から出力された
高周波エネルギーが有効に負荷に供給されるようになさ
れている。
【0005】上記電極板103,104に高周波エネル
ギーが供給されると、電極板103と電極板104間に
高周波電界Eが形成され、この高周波電界Eにより生体
101の細胞が誘電加熱される。電極板103,104
間に形成される高周波電界Eは電極板103,104の
近傍に集中し、電極板103,104を直接、生体10
1に添接すると、生体101の表面部が生体101の患
部102よりも高い温度に加熱され、患者に火傷等を負
わせる危険性があるので、通常、上記冷却パッド10
5,106により生体表面部が冷却されるようになって
いる。
【0006】冷却パッド105,106は、生体101
の表面部に発生する熱を放熱するとともに、電極板10
3,104を生体101の表面から数cm離して生体1
01の表面部に集中する電気力線の密度を低減させ、誘
電加熱による温度上昇を抑制する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、実際に従来
の高周波加温治療装置100を用いて高周波加温治療を
行なった場合、冷却パッド5,6で生体表面部を冷却し
ていても、患者に対し、上記生体表面部の温度上昇と高
周波の電気的刺激とに起因する苦痛を与えることとなっ
ている。
【0008】冷却パッド105,106による生体表面
部の温度上昇の抑制は、生体2が固定されている場合は
有効であるが、実際の治療現場では治療中に患者が姿勢
を変えることが多く、生体101に対する電極板10
3,104及び冷却パッド105,106の接触状態が
常に変化するので、冷却パッド105,106のみで患
者が苦痛を感じない程度に生体表面部の温度上昇を抑制
することは困難である。
【0009】その一方、患者が苦痛を感じないように高
周波エネルギーの出力を抑制することも考えられるが、
このようにすると患部を所望の治療温度にまで上昇させ
ることが困難となり、治療の実効が得られなくなる。
【0010】また、高周波の電気的刺激は、電極板10
3,104に入力された高周波電流が電極板の周縁(エ
ッジ)部に集中し(エッジ効果)、電極板103,10
4のエッジ部近傍の高周波電界Eがその周囲より強くな
ることに起因すると考えられるが、従来の高周波加温治
療装置100は、高周波電流の伝送線路が電極板10
3,104で終端され、電極板103,104に入力さ
れた高周波電流がバイパスされる部分がないので、上記
エッジ効果を抑制することは困難で、高周波の電気的刺
激を低減することも困難である。
【0011】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、患部の誘電加熱効果を損なうことなく生体表面部の
温度上昇及び電気的刺激を抑制し、治療中における患者
の苦痛を軽減することのできる高周波加温治療装置を提
供供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
患部を挟んで生体表面に一対の電極を添接し、該電極間
に発生させた高周波電界により上記患部を誘電加熱する
高周波加温治療装置において、上記一対の電極に並列に
設けられる少なくとも1のインダクタンス部材を備えた
ものである。
【0013】また、請求項2記載の発明は、上記高周波
加温治療装置において、上記インダクタンス部材の両端
は、それぞれ上記一対の電極に直接、接続されているも
のである。
【0014】また、請求項3記載の発明は、上記高周波
加温治療装置において、誘電加熱による温度上昇を抑制
すべく各電極と生体間に介設される冷却パッドを備え、
上記インダクタンス部材は、その両端が上記冷却パッド
に接続され、該冷却パッドを介して上記電極に容量結合
されているものである。
【0015】なお、上記インダクタンス部材として金属
リボン若しくは短冊状のフレキシブル基板の表面に導電
膜を形成してなる導電性リボンを用いるとよい(請求項
4,5)。
【0016】
【作用】本発明によれば、一対の電極に挟持された生体
(等価的に抵抗と容量との直列回路を構成)と、該一対
の電極に直接、並列接続された金属リボン又は導電性リ
ボンからなるインダクタンス部材若しくは冷却パッドに
より容量結合させて並列接続された上記インダクタンス
部材との並列回路(並列共振回路)により高周波加温治
療装置の高周波発生装置に対する負荷インピーダンスが
構成される。そして、高周波発生装置で発生された高周
波エネルギーは、上記並列回路に供給され、インダクタ
ンス部材及び生体内に共振電流が流れる。
【0017】電極に流入した高周波電流の一部は、直接
若しくは冷却パッドを介してインダクタンス部材に流
れ、インダクタンス部材を設けないものに比して上記電
極のエッジ部を流れる高周波電流が低減される。これに
より電極が添接された生体表面部の電界の強さが弱めら
れ、上記生体表面部の誘電加熱による温度上昇及び高周
波の電気的刺激が低減される。
【0018】
【実施例】図1は、本発明に係る高周波加温治療装置の
概略構成を示す図である。高周波加温治療装置1は、生
体2内の癌細胞21を挟んで生体表面に添接される電極
3,4、該電極3,4と生体2間に介在され、生体表面
を冷却する冷却パッド5,6、上記電極3と電極4間に
接続されるインダクタンス部材7,8、上記電極3,4
に高周波エネルギーを供給する高周波発生装置9及びイ
ンピーダンス整合を行なう整合器10から構成されてい
る。
【0019】上記電極3,4は、直径数cm〜数十cm
の円盤状をなしている。また、上記冷却パッド5,6
は、厚さ2〜3cmで上記電極3,4よりも大きい径を
有する円盤状をなし、内部に蒸留水、生理食塩水等の冷
却水を循環させる循環路が設けられている。冷却パッド
5,6には冷却制御装置に接続された冷却管が接続さ
れ、この冷却装置により冷却水を循環させて冷却パッド
5,6の温度が6℃〜8℃に保持されるようになってい
る。
【0020】上記インダクタンス部材7,8は、適宜長
を有する短冊状の銅板若しくは銅編組線からなる銅リボ
ンで、両端が電極3,4の周面に電気的に接続されてい
る。なお、インダクタンス部材7,8は、患者への電極
3,4の装着容易性を考慮して、例えば電極3,4に接
続端子板を突設する一方、インダクタンス部材7,8の
両端に導電性クリップを取付け、該クリップを上記接続
端子板に挟み付けて電極3,4に着脱可能に取り付ける
ようにするとよい。
【0021】また、インダクタンス部材7,8は、等価
的に負荷インピーダンスを調整する機能を果たすもの
で、インダクタンス値の調整容易化及び電極3,4への
着脱容易性を考慮してリボン状の導体が用いられてい
る。
【0022】従来の高周波加温治療装置においては、高
周波発生装置9に対して電極3,4間に挟まれた生体2
が負荷として接続され、この負荷が高周波発生装置9の
内部回路と共振回路を構成するようになっているが、本
実施例では、図2に示すように、電極3,4間に挟まれ
た生体2のインピーダンスZLとインダクタンス部材
7,8のインダクタンスLeとの並列回路ZL′が高周
波発生装置9に対する負荷となり、この負荷ZL′が高
周波発生装置9の内部回路と共振回路を構成するように
なっている。
【0023】一般に、人体は半導体に属し、電気的には
抵抗Rと容量Cとの直列回路と取り扱うことができる。
従って、負荷ZL′は、抵抗R及び容量Cの直列回路と
インダクタンスLeとの並列回路(共振回路)として扱
うことができる。
【0024】なお、インダクタンス部材7及びインダク
タンス部材8は、図3に示すように、好ましくは電極
3,4において点対象の位置に設けるとよいが、これ以
外の位置に設けてもよい。また、本実施例では、2本の
インダクタンス部材7,8を用いているが、1本でもよ
く、3本以上であってもよい。
【0025】また、インダクタンス部材7,8は、高周
波に対してインダクタンスとして作用するものであれば
よく、上記銅板又は銅編組線の銅リボンに限られず、
鉄、真鍮、アルミニウム、ニッケル、白金等の金属製リ
ボン、若しくはフレキシブルな樹脂等からなる絶縁性基
板の表面に銅、白金、銀、金等の導電膜を形成してなる
導電性リボンを用いてもよい。
【0026】上記高周波発生装置9は、自励発振方式に
より、例えば8MHzの高周波を発生するもので、数1
0W〜1000Wの範囲で出力が変更可能になってい
る。また、上記整合器10は、例えばバリアブルコンデ
ンサ等の可変容量回路からなり、高周波周波発生装置9
から見た負荷インピーダンス(電極3,4に挾持された
生体1及び電極3と電極4間に接続されるインダクタン
ス部材7,8からなる負荷のインピーダンスZL′)を
可及的、高周波発生装置9の出力インピーダンスに整合
させるものである。
【0027】なお、通常、高周波加温治療においては、
患者が姿勢を頻繁に変更し、負荷インピーダンスZL
の変動が激しいので、実際の装置では電極3,4の入力
端に電気計が設けられ、該電力計の出力に基づき上記整
合器10が自動調整される。
【0028】図4は、上記高周波加温治療装置によりフ
ァントム(生体模型)を誘電加熱した場合の深さ方向に
おける上昇温度分布を示す図である。
【0029】同図は、30(縦)×30(横)×20
(高さ)〔cm〕のサイズを有する立方体のファントム
Fを用い、このファントムFの中心位置O(高さ方向の
中心線M上の上面から10cmの位置)を所定温度まで
誘電加熱した場合の高さ方向における上昇温度の分布を
示している。なお、ファントムFは筋肉等価の寒天
(0.2%の塩,4.0%の寒天,95.8%の水)で
構成されている。
【0030】同図において、横軸はファントムFの上面
からの深さd1〔cm〕であり、d1=20cmはファ
ントムFの下面に相当する。また、縦軸は上昇温度
(℃)であるが、説明の便宜上、各位置の上昇温度T
は、上記中心位置Oの上昇温度Tcを基準(ref)と
した上昇温度差Δt(=T−Tc)(℃)で表示してい
る。
【0031】分布は、電極3,4間をインダクタンス
部材7,8で接続したものであり、分布は、電極3,
4間をインダクタンス部材7,8で接続しなかったもの
である。
【0032】なお、ファントムFと電極3,4間にはそ
れぞれ冷却パッド5,6を介在させ、所要の冷却を行な
っている。また、電極3,4は直径φ=25cmの円盤
電極、インダクタンス部材7,8は10(幅)×750
(長さ)×0.07(厚さ)〔mm〕の銅リボンを用
い、発振周波数8MHz、発振出力1kWの発振条件で
実験を行なった。
【0033】同図から明らかなように、電極3と電極4
間をインダクタンス部材7,8で接続したものは、接続
しなかったものに比して、ファントムFの上面部及び下
面部(表面から略3cmの部分)における上昇温度が2
〜3℃低くなっている。このことから電極3,4間をイ
ンダクタンス部材7,8で接続すると、電極3,4が添
接された生体表面部の温度上昇を従来のもの以上に抑制
しながら、生体2内の患部21を有効に誘電加熱できる
ことが分かる。
【0034】また、電極3と電極4間をインダクタンス
部材7,8で接続すると、ファントムFの上面部及び下
面部のみの上昇温度が抑制されることから、電極3と電
極4間をインダクタンス部材7,8で接続すると、電極
3,4の近傍位置の電界の強さが低減されることが分か
る。
【0035】図5〜図8は、上記高周波加温治療装置に
よりファントムを誘電加熱した場合の横方向における上
昇温度分布を示す図である。図5は、電極3と電極4間
をインダクタンス部材7,8で接続しなかった場合、図
6〜図8は、それぞれ電極3と電極4間に接続されたイ
ンダクタンス部材7,8の長さLを50cm、85c
m、100cmとした場合である。
【0036】図5〜図8において、横軸はファントムF
の一方側面(図では左側面)からの距離d2〔cm〕で
あり、d2=30cmはファントムFの他方側面(図で
は右側面)に相当する。また、縦軸は誘電加熱による上
昇温度(℃)である。
【0037】分布は、ファントムFの中心位置Oを略
7℃上昇させたときの該中心位置Oを通る横方向の中心
線N上の温度上昇を示している。また、分布は、ファ
ントムFの中心位置Oを略7℃上昇させたときの上面か
ら深さ1.5cmにおける横方向の中心線N′(上記中
心線Nと平行な直線)上の上昇温度を示している。
【0038】なお、ファントムF及び電極3,4のサイ
ズ、発振周波数、発振出力及び冷却の条件は、図4の場
合と同一である。
【0039】電極3と電極4とをインダクタンス部材
7,8で接続しなかった場合(図5参照)、中心位置O
の上昇温度(略7℃)と上記中心線N′上の中心位置
O′(高さ方向の中心線Mと中心線N′との交点)の上
昇温度とを比較すると、図5のΔTOで示すように、中
心位置O′の方が中心位置Oに比して上昇温度が略1℃
高くなっている。これは、中心位置O′が電極3の近傍
位置で、電界の強さが中心位置Oより大きいからであ
る。
【0040】一方、深さが1.5cm及び10cmの両
端位置(d2=0cm,30cm)では、温度はほとん
ど上昇せず、上昇温度の差も見られない。これは、上記
両端位置が電極3と電極4とが対向する領域の外にあ
り、電気力線の密度が小さいため、有効に誘電加熱され
ないからである。この現象は、電極3と電極4間をイン
ダクタンス部材7,8で接続した場合も同様である(図
6〜図8参照)。
【0041】横方向の同一位置(左側面から同一距離の
位置)であって、深さ1.5cmにおける上昇温度T1
と深さ10cmにおける上昇温度T2との温度差をΔT
(=T1−T2)とすると、両端位置から3cm〜5c
mの内側位置(d2≒5cm,27cm)の温度差ΔT
E(略3℃〜5℃)は、中央(d2=15cm)の温度
差ΔTO(略1℃)よりも大きくなっている。これは、
上記内側位置が電極3,4のエッジに対向する位置で、
電気力線が電極3,4の内部よりエッジ部により多く集
中するエッジ効果のためである。
【0042】電極3と電極4とをインダクタンス部材
7,8で接続した場合、上記温度差ΔTO及び温度差Δ
Eを調べると、長さL=50cmのインダクタンス部
材7,8を用いたものは、インダクタンス部材7,8で
接続しなかったものと、ほとんど変わりがなく(図6参
照)、電極3と電極4間にインダクタンス部材7,8を
設ける優位性はないことが分かる。
【0043】一方、長さL=85cmのインダクタンス
部材7,8を用いたものは、インダクタンス部材7,8
で接続しなかったものに比して、中央位置の温度差ΔT
Oは略0.5℃小さくなり、電極3,4のエッジに対向
する位置(以下、エッジ位置という)の温度差ΔTE
略1/2(略1.5〜2.5℃)に低減され(図7参
照)、生体2の電極3,4の近傍位置の上昇温度が有効
に抑制されていることが分かる。
【0044】また、長さL=100cmのインダクタン
ス部材7,8を用いたものも、インダクタンス部材7,
8で接続しなかったものに比して、中央位置の温度差Δ
O及びエッジ位置の温度差ΔTEが小さくなり、生体2
の電極3,4の近傍位置の上昇温度が有効に抑制される
ことがわかる(図8参照)。ただし、その上昇温度の抑
制効果は、長さL=85cmのインダクタンス部材7,
8を用いたものより少し低くなっている(図7,図8参
照)。
【0045】以上の実験結果から、電極3と電極4とを
85cm前後の適当な長さLのインダクタンス部材7,8
で接続すると、生体2の患部21の誘電加熱効果を損な
うことなく電極3,4が添接された生体表面部の温度上
昇を抑制できることが分かる。
【0046】次に、上記実験結果が得られた理由につい
て検討する。前述したように、電極3と電極4とをイン
ダクタンス部材7,8で接続すると、高周波発生装置9
に対する負荷は生体2とインダクタンスLeとの並列回
路(共振回路)からなる負荷ZL′となるから、負荷
L′にはインダクタンス部材7,8と生体2内とを流
れる共振電流が流れる。
【0047】電極3と電極4とをインダクタンス部材
7,8で接続しない場合、高周波電流は電極板の電極板
のエッジ部に集中し、電極3電極4間に生じる高周波電
界は、電極板のエッジ部の近傍が強くなる。このエッジ
効果は、図5の実験結果でも明らかである。
【0048】一方、電極3と電極4とをインダクタンス
部材7,8で接続した場合、電極3,4に入力された高
周波電流は、インダクタンス部材7,8でバイパスされ
るため、電極板のエッジ部への集中が低減され、この分
エッジ効果が低減される。このエッジ効果の低減により
電極3,4が添接された生体2の表面部の高周波電界の
集中が軽減され、当該生体表面部における温度上昇が抑
制される。
【0049】なお、上記インダクタンス部材7,8の効
果は、発信周波数に関係した所定の共振電流が負荷
L′に流れることにより発揮されるから、インダクタ
ンス部材7,8は高周波発生装置9で発生される高周波
の周波数に関係した所定のインダクタンス値を有する必
要がある。長さ50cmのインダクタンス部材7,8を
用いた場合、有益な効果が見られなかったのは、インダ
クタンス部材7,8のインダクタンス値が不十分だった
からである。上記実験結果より、8MHzの高周波を用
いる場合は、インダクタンス部材7,8の長さは85c
m前後に設定するのが好ましい。
【0050】上記実施例では、インダクタンス部材7,
8の両端を直接、電極3,4に接続していたが、容量結
合させて電極3,4に接続するようにしても同様の効果
を得ることができる。
【0051】図9は、インダクタンス部材7,8の両端
を電極3,4に容量結合した第2実施例の一例を示す概
略構成図である。
【0052】同図は、図1において、インダクタンス部
材7,8の両端を冷却パッド5,6の側面に取り付けた
ものである。すなわち、図10に示すように、冷却パッ
ド5,6の側面適所に銅板等の金属板からなる導電板5
2,62を組み込み、この導電板52,62にインダク
タンス部材7,8の両端がそれぞれ接続されている。な
お、同図において、51,61は冷却パッド5,6に取
り付けられた冷却管である。
【0053】上記構成により、インダクタンス部材7,
8の両端は、図11の等価回路に示すように、導電板5
2と電極3間及び導電板62と電極4間に形成される容
量Coにより電極3,4に容量結合され、高周波的に接
続されている。
【0054】図12は、第2実施例に係る高周波加温治
療装置によりファントムを誘電加熱した場合の深さ方向
における上昇温度分布を示す図である。また、図13
は、同高周波加温治療装置によりファントムを誘電加熱
した場合の、上面から深さ8mmの横方向における温度
上昇を示す図である。
【0055】図12及び図13は、25(縦)×25
(横)×20(高さ)〔cm〕のサイズを有するファン
トムF、直径φ=25cmの円盤電極3,4、10
(幅)×70(長さ)×0.07(厚さ)〔mm〕の銅
リボンからなるインダクタンス部材7,8を用い、ファ
ントムFの材質、発振条件、冷却パッドの冷却条件及び
加熱条件は第1実施例の場合と同一条件で実験を行った
ものである。
【0056】また、図12において、横軸はファントム
Fの上面からの深さd1〔cm〕であり、縦軸は中心位
置Oの上昇温度Tcを基準(ref)とした上昇温度差
Δt(=T−Tc)(℃)である。また、図13におい
て、横軸はファントムFの一方側面(図では左側面)か
らの距離d2〔cm〕であり、縦軸は上昇温度(℃)で
ある。また、図12及び図13において、分布はイン
ダクタンス部材7,8がある場合、分布はインダクタ
ンス部材7,8がない場合である。
【0057】ファントムFの深さ方向における温度上昇
では、図12から明らかなように、冷却パッド5と冷却
パッド6間にインダクタンス部材7,8を設けた場合、
インダクタンス部材7,8を設けなかったものに比して
ファントムFの上面部及び下面部における上昇温度が1
〜2℃低くなる。これより冷却パッド5と冷却パッド6
間にインダクタンス部材7,8を設けた場合は、ファン
トムFの表面から内部まで均一に温度を上昇させること
ができることがわかる。
【0058】冷却パッド5と冷却パッド6間にインダク
タンス部材7,8を設けた場合、電極3と電極4間にイ
ンダクタンス部材7,8を設けた場合(図4参照)に比
してファントムFのエッジ部の上昇温度が高く、上昇温
度差Δtは小さくなるが、これはインダクタンス部材
7,8の両端が容量Coにより電極3,4に結合されて
いるため、インダクタンス部材7,8に流れる高周波電
流が小さくなるからと考えられる。
【0059】一方、ファントムFの表面部の横方向にお
ける温度上昇では、図13から明らかなように、冷却パ
ッド5と冷却パッド6間にインダクタンス部材7,8を
設けた場合、インダクタンス部材7,8を設けなかった
ものに比して上昇温度が全体的に略2.5℃低くなる。
【0060】また、電極3と電極4間にインダクタンス
部材7,8を設けた場合(例えば図7の結果)と比較す
ると、電極3と電極4間に設けた場合は、ファントムF
の両端部と中央部とにおける温度差ΔTE,ΔTOはそれ
ぞれΔTE≒3℃〜5℃、ΔTO≒略1℃であるのに対
し、冷却パッド5と冷却パッド6間に設けた場合は、フ
ァントムFの両端部と中央部とにおける温度差ΔTE
ΔTOはそれぞれΔTE≒4℃、ΔTO≒2.5℃とな
り、ファントムFの両端部における温度差ΔTEはあま
り変わらないが、中央部の温度差ΔTOは冷却パッド5
と冷却パッド6間に設けた方が1℃〜2℃程度低くな
る。
【0061】以上からインダクタンス部材7,8を直
接、電極3,4に接続するよりも冷却パッド5,6に接
続し、該冷却パッド5,6を介して容量結合させた方が
電極3,4のエッジ部への高周波電界の集中が緩和され
るとともに、電極3,4の近傍の高周波電界が全体的に
弱められ、生体2の電極3,4近傍の表面部と内部との
高周波電界の分布差が可及的小さくなることが分かる。
すなわち、電極3,4に挟まれた生体2の表面部と内部
深所との誘電加熱による上昇温度差が小さくなることが
わかる。
【0062】従って、インダクタンス部材7,8を冷却
パッド5,6を介して電極3,4に容量結合させた場合
は、生体2の表面部における誘電加熱及び高周波電界が
より抑制され、患者の熱的、電気的苦痛をより緩和する
ことができる。
【0063】なお、上記実験は筋肉等価の生体模型を用
いて行ったものであるが、出願人は、豚を用いて上記効
果の確認実験も行っている。かかる確認実験は、肝臓を
挟むように豚の腹部表面に冷却パッド5,6を介して、
長さ85cmのインダクタンス部材7,8で接続された
電極3,4(25cmφの円板電極)を添接し、該電極
3,4に8MHz,800Wの高周波を供給して上記肝
臓を約5分間誘電加熱したものである。
【0064】この確認実験により、誘電加熱による電極
3,4の下方位置(生体表面から2.5cmの深さの位
置)にある脂肪の温度上昇量(上昇温度−初期温度)が
肝臓の温度上昇量と同等若しくはそれ以下になることが
分かった。細胞組織の構成上、脂肪は肝臓より高周波抵
抗が大きく、誘電加熱され易いことが知られている。従
って、上記豚を用いた確認実験においてもインダクタン
ス部材7,8を設けることにより電極3,4が添接され
た生体表面部の温度上昇を有効に抑制できることが確認
できた。
【0065】また、インダクタンス部材7,8を冷却パ
ッド5,6に接続し、該冷却パッド5,6を介して電極
3,4に容量結合させたものも同様に実験したが、電極
3,4に接続した場合と同様に生体表面部の温度上昇を
有効に抑制することができた。
【0066】以上の結果から、実際の治療に上記高周波
加温治療装置1を適用すると、電極3,4が添接された
生体2の表面部の高周波電界の集中が低減されるため、
該生体表面部の誘電加熱による温度上昇が抑制されると
ともに、高周波の電気的刺激が軽減され、患者に熱及び
電気的刺激による苦痛を与えることなく高周波加温治療
を行うことができる。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
患部を挟んで生体表面に一対の電極を添接し、該電極間
に発生させた高周波電界により上記患部を誘電加熱する
高周波加温治療装置において、上記一対の電極に少なく
とも1のインダクタンス部材を並列に設けたので、上記
電極のエッジ部を流れる高周波電流が低減され、上記電
極のエッジ部に電界が集中するエッジ効果が低減され
る。これにより生体深所の患部における誘電加熱効果を
損なうことなく電極が添接された生体表面部の温度上昇
及び高周波の電気的刺激を抑制することができ、患者に
熱的、電気的刺激による苦痛を与えることなく効果的に
高周波加温治療を施すことが可能になる。
【0068】特に電極と生体間に冷却パッドを設け、イ
ンダクタンス部材の両端を該冷却パッドに接続し、該冷
却パッドを介して上記インダクタンス部材を上記電極に
容量結合したので、電極近傍の高周波電界の集中がより
緩和され、高周波加温治療における患者に対する熱的、
電気的刺激による苦痛をより和らげることができる。
【0069】また、上記インダクタンス部材を銅リボン
若しくは導電性リボンで構成したので、長さを調整する
ことにより容易にインダクタンス値が調整できるととも
に、生体を挟んだ状態における電極への装着脱が容易に
行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波加温治療装置の概略構成を
示す図である。
【図2】本発明に係る高周波加温治療装置の負荷インピ
ーダンスの等価回路を示す図である。
【図3】インダクタンス部材の取付位置を示す斜視図で
ある。
【図4】本発明に係る高周波加温治療装置によりファン
トムを誘電加熱した場合の深さ方向における上昇温度分
布を示す図である。
【図5】電極間にインダクタンス部材を接続しないでフ
ァントムを誘電加熱した場合の横方向における上昇温度
分布を示す図である。
【図6】電極間に50cmのインダクタンス部材を接続
してファントムを誘電加熱した場合の横方向における上
昇温度分布を示す図である。
【図7】電極間に85cmのインダクタンス部材を接続
してファントムを誘電加熱した場合の横方向における上
昇温度分布を示す図である。
【図8】電極間に100cmのインダクタンス部材を接
続してファントムを誘電加熱した場合の横方向における
上昇温度分布を示す図である。
【図9】本発明に係る高周波加温治療装置の第2実施例
の一例を示す概略構成図である。
【図10】第2実施例に係る高周波加温治療装置のイン
ダクタンス部材の取付構造を示す斜視図である。
【図11】第2実施例に係る高周波加温治療装置の負荷
インピーダンスの等価回路を示す図である。
【図12】第2実施例に係る高周波加温治療装置により
ファントムを誘電加熱した場合の深さ方向における上昇
温度分布を示す図である。
【図13】第2実施例に係る高周波加温治療装置により
ファントムを誘電加熱した場合の横方向における上昇温
度分布を示す図である。
【図14】従来の高周波加温治療装置の構成を示す概略
図である。
【符号の説明】
1 高周波加温治療装置 2 生体 21 癌細胞 3,4 電極 5,6 冷却パッド 51,61 冷却管 52,62 導体板 7,8 インダクタンス部材 9 高周波発生装置 10 整合器 F ファントム

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患部を挟んで生体表面に一対の電極を添
    接し、該電極間に発生させた高周波電界により上記患部
    を誘電加熱する高周波加温治療装置において、上記一対
    の電極に並列に設けられる少なくとも1のインダクタン
    ス部材を備えたことを特徴とする高周波加温治療装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高周波加温治療装置にお
    いて、上記インダクタンス部材の両端は、それぞれ上記
    一対の電極に直接、接続されていることを特徴とする高
    周波加温治療装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の高周波加温治療装置にお
    いて、誘電加熱による温度上昇を抑制すべく各電極と生
    体間に介設される冷却パッドを備え、上記インダクタン
    ス部材は、その両端が上記冷却パッドに接続され、該冷
    却パッドを介して上記電極に容量結合されていることを
    特徴とする高周波加温治療装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の高周波
    加温治療装置において、上記インダクタンス部材は、金
    属リボンであることを特徴とする高周波加温治療装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の高周波
    加温治療装置において、上記インダクタンス部材は、短
    冊状のフレキシブル基板の表面に導電膜を形成してなる
    導電性リボンであることを特徴とする高周波加温治療装
    置。
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