JP2831487B2 - 液晶表示素子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、２枚の電極基板間に電
圧を印加することにより表示パターンを照光せしめるネ
ガ表示タイプの液晶表示素子（以下、ＬＣＤと略称）に
係り、特にそのシール材に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のＬＣＤは図３に示す如く、ガラ
ス板等に透明電極をパターニングしてなる上電極基板１
および下電極基板２と、両電極基板１，２の対向面の周
縁部どうしを接着しているシール材３と、両電極基板
１，２の間でシール材３の内側に封入された液晶４とに
よつて基本的に構成されており、電圧無印加時にはこの
ＬＣＤの全面でバツクライト５は透過不能であるが、両
電極基板１，２の電極パターン間に所定の電圧を印加す
ると、その部分でバツクライト５がＬＣＤを透過するの
で、電極パターンに対応した表示パターンが照光される
ようになつている。そして、上記シール材３としては一
般に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられ、これ
を上電極基板１もしくは下電極基板２に帯状に印刷した
後、両電極基板１，２を重ね合わせて加圧・加熱するこ
とにより、これら両電極基板１，２が所定のギヤツプを
保つて積層・接着され、そこに液晶４を封入してＬＣＤ
が製造される。なお、かかるＬＣＤのギヤツプ（セルギ
ヤツプ）は、両電極基板１，２間に多数個介在させてあ
るガラススぺーサや樹脂スぺーサの粒径によつて規定さ
れる。

【０００３】ところで、このようなネガ表示タイプのＬ
ＣＤにあつては、電圧が印加される個所以外での光洩れ
を確実に防止しなければならないが、実際には、乳白色
を呈するシール材３が１０％程度の光透過率を有するた
め、このシール材３からの光洩れが表示品位を著しく損
なう要因となつていた。

【０００４】そこで従来、特開昭６１−２１５５２５号
公報に開示されている如く、予めシール材中にカーボン
粉を添加しておくことで、その光透過率を大幅に減じる
という提案がなされている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
提案は、カーボン粉の凝集によりシール材中に空洞が生
じてしまうので、この空洞部分で光洩れを起こしやす
く、これを回避するためにカーボン粉の添加量を増やす
と、シール材の印刷性が極端に悪くなるという不具合が
あつた。また、シール材中にカーボン粉が多く添加され
ている場合、該シール材の近傍で液晶の配向不良が惹起
される可能性があるので、信頼性を損なう要因となつて
いた。

【０００６】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、その目的は、シール材の印刷性や液晶の配向に
悪影響を及ぼすことなく該シール材からの光洩れを確実
に防止できるネガ表示タイプのＬＣＤを提供することに
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、シール材中に、カーボン粉を０．５〜１．０重量％
添加するとともに、粒径が両電極基板間のギヤツプ以下
で黒色を呈する黒色スぺーサを５〜１０重量％添加する
ことによつて達成される。

【０００８】

【作用】カーボン粉の添加量が１重量％以下で、かつ黒
色スぺーサの添加量が１０重量％以下であれば、シール
材の印刷性や液晶の配向にほとんど影響を及ぼさず、ま
た、カーボン粉の凝集によつて生じる空洞に黒色スぺー
サが入り込んでいくので、光洩れの原因となる該空洞が
少なくなつてシール材の遮光性が高まる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。

【００１０】本実施例では図１に示す如く、ＬＣＤの上
電極基板１と下電極基板２との間に介設されて両電極基
板１，２を接着するシール材３として、熱硬化性樹脂と
してのエポキシ樹脂６にカーボン粉７と黒色スぺーサ８
とを添加したものを用いた。ここで、黒色スぺーサ８
は、球状のジビニルベンゼン樹脂８ａの表面に着色剤８
ｂを塗布したもので、この着色剤８ｂは、アントラキノ
ン系の青の色素とアゾ系の赤紫の色素とアゾ系の黄の色
素との等分混合体である。また、この黒色スぺーサ８の
粒径は６μｍで、両電極基板１，２間のギヤツプ（セル
ギヤツプ）６．５μｍよりも若干小さく設定されてい
る。

【００１１】そして、カーボン粉や黒色スぺーサの添加
量が異なる複数種類のシール材について、それぞれＬＣ
Ｄを作製し、当該シール材を透過する光の透過率を測定
した。図２は、カーボン粉を１重量％添加し、黒色スぺ
ーサを０〜１０重量％添加した場合の測定結果を示して
いる。なお、図２中の測定値Ａは比較例で、カーボン粉
と黒色スぺーサのいずれをも添加しなかつた場合の測定
結果である。

【００１２】上記測定結果ならびにシール材の印刷性を
評価すると、まず、カーボン粉については、その添加量
が１重量％を越えると印刷性が劣化し始め、添加量が
０．５重量％より少ないと光透過率を十分に低減させる
ことができなかつた。また、黒色スぺーサについては、
添加量が１０重量％を越えると印刷性が劣化し始めるも
のの、図２にも示すようにカーボン粉と併用した場合、
添加量が５重量％以上で光透過率を１％以下に低減する
ことができた。

【００１３】したがつて、カーボン粉を０．５〜１．０
重量％添加するとともに、黒色スぺーサを５〜１０重量
％添加することにより、印刷性を損なうことなくシール
材の光透過率を激減させ、該シール材からの光洩れを確
実に防止することができる。このようにカーボン粉と黒
色スぺーサとの併用でシール材の遮光性が著しく高まる
のは、カーボン粉の凝集によつて生じる空洞に黒色スぺ
ーサが入り込むためであると考えられる。また、カーボ
ン粉の添加量が１重量％以下であることからシール材近
傍で配向不良を惹起する虞れがなく、よつて印刷性のみ
ならず信頼性も損なわれないという利点がある。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
ール材中にカーボン粉と黒色スぺーサとを適量添加する
ことで該シール材からの光洩れを確実に防止することが
でき、しかもカーボン粉の添加量が少ないのでシール材
の印刷性や液晶の配向への悪影響が回避でき、よつて生
産性や信頼性に支障をきたすことなくネガ表示タイプの
ＬＣＤの表示品位を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を説明するための要部断面図で
ある。

【図２】本発明の実施例に係る黒色スぺーサの添加量と
シール材の光透過率との関係を示す特性図である。

【図３】ＬＣＤの基本構成を説明するための断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 上電極基板 ２ 下電極基板 ３ シール材 ６ エポキシ樹脂 ７ カーボン粉 ８ 黒色スぺーサ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シール材を介して積層・接着された２枚
   の電極基板の間に液晶を封入してなり、両電極基板間に
   電圧を印加することにより表示パターンを照光せしめる
   液晶表示素子において、上記シール材中に、カーボン粉
   が０．５〜１．０重量％添加してあるとともに、粒径が
   上記両電極基板間のギヤツプ以下で黒色を呈する黒色ス
   ぺーサが５〜１０重量％添加してあることを特徴とする
   液晶表示素子。