JP2828433B2 - 強化された感染抵抗を有する筋肉内刺激リード - Google Patents

強化された感染抵抗を有する筋肉内刺激リード

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、様々な用途のため
の電気的筋肉刺激のための方法および装置に関し、特に
その強化された感染抵抗の点で長期間筋肉を刺激する埋
込み式リードの機能を向上するための方法および装置に
関する。本発明はさらに、調節された抗生剤の放出をで
きるようにした埋込み可能なリードの表面処理および機
械的設計に関する。
【0002】
【従来の技術】埋込み品(implant) および医療装置の使
用は、様々な臨床分野で広く受け入れられるようにな
り、過去30年間の間に大きな成長を示してきた。これら
の大部分の合成装置を臨床的に使用する場合、複雑さか
ら完全に開放されているわけではない。最近の臨床的経
験では、埋込み感染がしばしば非可逆的であり、埋め込
んだ物を取り除くことが必要である。装置に関連した感
染の発生は、埋込んだ人工装具を有する患者のほぼ1-10
% であり、埋込まれた材料の最も頻繁に起きる臨床的に
重要な合併症の一つである。
【0003】装置関連の感染症を低下するためのやり方
として、まず、手術室部分の改善および手術時の予防用
抗生剤の使用を含めた外科的技術の改善に焦点を合わす
ことであった。
【0004】感染の発生率が低下したとはいえ、装置関
連の感染はまだかなりの形式で生じている。最近の努力
は埋込み品自体の役割、したがって装置の感染抵抗を強
化するために材料の修正を益々強める傾向にある。
【0005】報告された技術の大部分は、材料から抗生
剤を放出して感染抵抗を強めることに関する。周囲の組
織へ適量の薬剤を選択的に伝達するための持続した抗生
剤放出装置は、感染の術後合併症を最小にすることにお
いて通常の予防的抗生剤治療に代わるものである。
【0006】ほとんどの計画が基材物質を抗生剤に含浸
させることに関するものであるが、ここに記載した技術
は表面グラフトマトリックスからの抗生剤の放出を調節
することに関する。このようなやり方は、基材材料が実
際的使用を妨げるレベルまで劣化することを阻止するで
あろう。
【0007】同様の技術が、メドトロニック社( Medtro
nic,Inc.)( 本発明の譲渡も同様である)により譲渡さ
れた米国特許第5,344,455 号に開示されている;しかし
ながら、現在開示されている技術と対照的に、抗生剤の
添加および放出についての調節は見られなかった。ここ
では、表面グラフトマトリックス組成物の調節が抗生剤
の添加および放出に関し有利であり、したがって細菌活
性および引き出される細胞毒性の点で有利であることを
示している。それゆえ、開示された技術は、米国特許第
5,344,455 号のものより向上している。
【0008】ここに開示した考えは、調節したコポリマ
ー組成物を有するコポリマー表面グラフトに関係する。
コポリマー表面グラフトは、好ましくは3-6 週間の期間
で薬剤を100%放出するように設計される。
【0009】本発明は一般に全ての種類の埋込み可能な
製品の改善された表面処理へ適用可能であるが、ここで
は特に埋込み可能なリード、さらに詳しくは筋肉刺激リ
ードに関して記載する。
【0010】先行技術の神経筋刺激技術の多くは運動機
能の回復へ適用されてきたが、器官の性能を向上するた
めに体の一つの領域から他の領域へ移植するものも含め
て、他のタイプの骨格筋もまた関連する。筋刺激装置の
一つの形は、米国特許第4,735,205 号(1988 年4 月18日
に、ジョアン シィ. シャクゥエスら( Juan C. Chachq
ues et al.)により出願され、メドトロニック社へ譲渡
されたもの)に記載されている。前記で同定した特許
は、同一のかなりの群の関連米国特許書類ならびに筋刺
激技術の背景の完全な同一性をもたらす他の刊行物を含
む。これらの参考文献は本出願において参考のためここ
に編入され、本発明を実施するための好適な方向付けの
情報を提供するものである。
【0011】強化された感染抵抗は、電気的な筋肉刺激
装置を肛門筋形成手段( anal dynamic myoplasty proce
dure) に使用する場合に特に重要である。これは、本発
明がとりわけ目指す問題である。昔は、このような手段
における感染率はほぼ20% であり、その半分が筋肉内リ
ード装置の近くまたはその内部に位置していた。本発明
は、埋込み研究において、装置に関係する感染合併症の
予防に効果的であることがわかっている特別な表面処理
を行った特定の改善された筋肉内リードに関する。
【0012】
【発明の構成および効果】本発明は、多数の異なった筋
肉埋込み位置、とりわけ大小便の失禁を直すための薄筋
または臀筋埋込みに使用するためおよびとりわけ肛門筋
形成手術における直腸筋埋込みに使用するための、電気
的筋肉刺激の方法および装置の最も好ましい実施態様に
関するものである。本発明はしかしながら埋込み製品の
一般に適用可能である。
【0013】本発明の関係において、この装置は選択さ
れた筋肉に埋込まれその筋肉を刺激する。滅菌分野の外
側に位置するパルス発生器は、電極へ正確な量の電流を
作り、これにより電極を介して選択された筋肉領域へ供
給される電流に対する最大筋肉反応を測定するために滅
菌分野の外側から閾値測定を行うことができる。これ
は、永久埋込み電極についての最適位置を測定するため
の相対的閾値測定を生み出す。刺激する筋肉電極の最も
良い埋込み位置を決めるために様々な配置が用いられ、
これらはさらに米国特許第5,425,751 号に詳しく記載さ
れており、これも参考としてここに編入する。埋込み位
置を選択すると、操作する刺激埋込み電極を筋肉組織へ
挿入して測定した最適位置で刺激する。
【0014】リードのデザインは、米国特許第4,735,20
5 号に記載されているように、露出した電極長さを調節
する可能性を保存するが、感染が生じるであろう場所の
デッドスペースの容積を最小限にする。特許第4,735,20
5 号の内容は参考として全部ここに編入される。
【0015】本発明の表面処理は、調節した比でモノマ
ーアクリル酸およびアクリルアミドの表面グラフトを含
む。コポリマー組成物の調節は、陽性に帯電した薬剤た
とえば抗生剤ゲンタマイシンの調節された添加および放
出に必要である;後者は記載した装置- 用途に好ましい
薬剤である。調節された添加および放出は、細胞毒性お
よび抗菌活性に関してインビトロおよびインビボ試験に
おいて非常に重要であることが示された。コポリマー表
面グラフトは、埋込み後3-6 週間の期間で薬剤の100%を
放出するように設計されるのが好ましい。ゲンタマイシ
ンの添加は、陽性に帯電した薬剤と陰性に帯電したコポ
リマーとをイオン的に相互反応させることにより達成さ
れる。ゲンタマイシンの放出プロフィールは主に表面グ
ラフトマトリックスの物理的形状により決められる。イ
オン交換はゲンタマイシンが放出されるであろうメカニ
ズムである。
【0016】ここで既に示したように、本発明の主な目
的は、感染抵抗を強化する特定の表面処理を提供するこ
とにより操作する刺激埋込み電極を含む埋込み可能な製
品の感染抵抗を強化することである。
【0017】米国特許第4,735,205 号において、電気的
筋肉刺激装置としてしばしば言及される代表的筋肉内リ
ード装置は、筋肉の電気的刺激のために7 欄および8 欄
に開示されている。前記特許の図4 は、実質的に本出願
の図1 として少なくとも一部がほぼ再現されており、他
の図面とともに本発明の改善を開示するために必要な背
景技術の情報および代表的装置を提供するものである。
【0018】図1 および2 において、これらはパルス発
生器と連結するようにした装置を示し、この装置は30で
示される筋肉内リードからなり、これは埋込まれる筋肉
を通って引き抜かれるの適するようにした縫い針32( 図
1 においてのみ示す)、非-導電性ライン33、電極34、
電極チップ35、リード本体36およびコネクター38を含む
装置である。電極35は、当該技術を熟知している外科医
により筋肉内へ挿入される縫い針32を付けた非- 導電性
ライン33により筋肉へ引き込まれ、この針は筋肉へ挿入
される。コネクター38は電極35が適当な位置で筋肉組織
( 図示せず)に埋込まれた後にパルス発生器の出力端部
の一つへ接続するようになっている。
【0019】図1 および2 に示す電極34は、電極チップ
35の末端部およびコネクター38の間に延びる一定長さの
コイル状のワイヤー導電体34( 図2 に最も良く示す)を
含む。電極本体のコイル状のワイヤー導電体34はプラチ
ナ- イリジウムまたは他の電極材料からなってもよい。
リード導電体は、コネクター38を支持する固定ディスク
46から延びる絶縁体チューブまたはカバー37で絶縁され
ている。
【0020】電極を筋肉へ埋込む前に、電極表面は、ラ
イン33を引っ張りそして固定ディスク46を保持すること
により電極本体から電極コイル34をスライドすることに
より完全に露出する。電極は、リミター45がコネクター
ピン47に当たった場合に完全に露出している( 図2)。コ
イル34は、最初にコネクターピン47を時計と反対回りに
回わすことによりロックを外される。筋肉に電極チップ
35を置いた後で、針32およびある長さのライン33をコイ
ル34の末端部で切り離す。代わりに、ある長さのライン
33を使用して筋肉へこれを結ぶかまたはクリップするこ
とにより電極を固定してもよい。電極長さは、電極コイ
ルをコネクター38の端部で保持しそして固定ディスク46
が筋外膜と接触するまでコネクター38を押すことにより
調節される。コイル34は、コネクターチップ47を時計回
りに回わすことにより再びロックされる。リードは、通
常はほとんど露出している使用される電極長さ( 動的薄
筋形成( dynamic graciloplasty)に対しては 25 mm) で
配られ、したがってほとんどの埋込みで電極調節は必要
ないであろう。ディスク46は、縫い糸または留め金を用
いて筋肉へ縫合されることができる。ディスク46は、内
部リード本体のキャビティおよび体液の間を動く液体が
自由に流れることを阻止するシールリング48( 図 2) を
有する;これは埋込み操作の段階で毛管作用によりリー
ド本体を通過する血液の量を最少化し、それゆえ場合に
より生じるかもしれないリードの汚染を少なくすること
ができる。また、リード本体の内腔におけるコーティン
グにより、放出される抗生剤が高い殺菌濃度に達し、細
菌がリード内腔の内側で発生することを阻止するであろ
う。
【0021】リードコネクターにおいて電極コイル34の
位置を固定するために使用されうる様々な変法があり、
たとえば次のようなものである;止めネジ式連結( 図示
せず)を用いて電極コイルをリードコネクターへ固定す
る。この連結技術により、リードコネクターは大きく重
くなる傾向にあり、欠点である。
【0022】図3のaおよびbで示す金属リング( ディス
ク)式連結を用いる。リードコネクター内に幾つかの固
定ディスク49を置く。これらのディスクの内側で、電極
コイル44は長手方向に自由に移動することができる。矢
印で示すように横の力を施すことによりディスクを回転
させることにより、ある程度コイルがロックされる(図3
のa) 。ロックされない位置を図3bに示す。コネクター
ピン47をリードコネクターに対して反対の方向に回転さ
せることにより、電極コイルをリードコネクターに固定
することができ、ピンはスクリュー式ネジのメカニズム
にしたがって長手方向に動き、コイルを締める。この動
きによりディスクが強制的に回転し、その結果機械的お
よび電気的にロックすることになる。電極コイルの長さ
を調節すると、残りの電極部分を鋏を用いて取り除くこ
とができる。全体のデザインは十分小さいのでリードコ
ネクターの内部に置くことができる。
【0023】装置の前記記載から明らかなように、一般
的に同軸状の相互に関係する構造の様々な要素からな
り、その際要素は本発明による表面処理で感染抵抗を強
化した内表面および外表面を有する。たとえば、リード
本体および固定ディスクは本発明によりこれらの内表面
および外表面上がコーティングされている。非- 導電性
ライン33またはコネクター38の絶縁部分のようなリード
の他の部分もまた同様に処理されうる。
【0024】表面処理は共有結合によりグラフトされた
アクリル酸およびそのコポリマーを含む。さらに詳しく
は、薬剤の調節された添加および放出に必要な調節され
たコポリマー比を使用することに関する。本発明の電極
使用に好ましい薬剤はたとえばゲンタマイシンのような
陽性に帯電した抗生剤である。インビボおよびインビト
ロ実験は細胞毒性に関して調節された添加および放出の
重要性を示した。リードまたは他の埋込み可能な装置を
埋込んだ後に続いて好ましくは4 週間で、薬剤の100%が
放出されるのが好ましい。コーティングは好ましくは外
装体をスライドするリード本体および固定ディスクの内
外表面に施される。
【0025】以下にさらに詳しく記載するように表面処
理またはコーティングは、単にイオン的付着によるだけ
でなくグラフトマトリックスへ抗生剤を調節可能に添加
するための方法、および同様に薬剤を調節可能に放出す
るための方法を提供するものである。
【0026】他のポリマー基材をここで使用してもよ
く、このようなもの全てがここでポリマー基材またはポ
リマー表面を有する製品として一般に呼ばれる。このよ
うな材料は他の点では生物学的に不活性な重合材料であ
る。
【0027】表面処理またはコーティング 本発明は、埋込み可能な製品を提供することを目指すも
のであり、特にその感染抵抗を強化する表面処理を行っ
た電気的筋肉刺激のための装置の提供を目指すものであ
る。
【0028】開発された技術は、基材材料上における水
溶性ポリマーの共有結合表面グラフトに関する。表面グ
ラフトは、すでに米国特許第5,229,172 号( メドトロニ
ック社に譲渡)に開示されているように、セリウムイオ
ン法により開始されるのが好ましい。セリウムイオンに
よる開始は基材表面へモノマーをグラフトするための最
も好ましい方法であるが、他のグラフト技術もまた使用
されうることが明らかである。他の開始方法の公知例は
コロナ放電、UV照射および電離線である。
【0029】ポリウレタンは本発明の関係において好ま
しいポリマー基材であり、基材材料いずれかのポリマー
表面、たとえばポリウレタンまたは公知の不活性生物適
合性ポリマー材料のいずれかであり、たとえばポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、
ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩
化ビニル、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリイソプレンおよびポリテトラフルオロエチレン
である。
【0030】さらに、基材材料は、金属表面、たとえば
チタンまたはタンタルまたは良く知られた生物適合性不
活性金属物質であり、たとえばIPG カン、血管内ステン
ト(stent) 等に見られるようなMP35N および316Lのよう
なステンレススチールを含む。
【0031】イオン的に結合した抗生剤ゲンタマイシン
を有するアクリル酸(AA)およびアクリルアミド(AAm) の
コポリマーグラフトが本発明の関係において好ましい実
施態様である。アクリル酸およびアクリルアミドのコポ
リマーグラフトは調節された組成を有し、抗生剤ゲンタ
マイシンの調節された添加および放出を確実にする。コ
ポリマーグラフトは、薬剤ゲンタマイシンの100%が埋込
み後3-6 週間の期間で放出されるように設計するのが好
ましい。
【0032】アクリル酸およびアクリルアミドは、コポ
リマー表面グラフトを構成する好ましいモノマーである
が、表面グラフトポリマーは他のビニル官能モノマーで
もよく、たとえばN-(3- アミノプロピル) メタクリルア
ミド(APMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEM
A)、2-アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン酸(A
MPS)およびこれらのコポリマーである。
【0033】したがって獲得された親水性グラフトポリ
マーは、帯電した抗生剤がイオン的に結合することので
きるマトリックスを形成する。グラフトポリマーはイオ
ン電荷を有するぶら下がり基を含み、そして抗生剤はグ
ラフトポリマーぶら下がり基とイオン的に反対の電荷を
有している。抗生剤のイオン結合は、所望の抗生剤の調
節されたpHの溶液に表面グラフト材料を単に浸漬するこ
とにより得られる。
【0034】表面グラフトポリマーは、基材へグラフト
重合することにより永久的に共有結合するであろう。こ
れらのグラフトポリマーは、抗生剤のものと異なる適当
な電荷を提供するように選択すると、これらのイオン的
性質により、選択された様々な抗生剤とイオン結合しや
すくなる。グラフトポリマーに対する抗生剤のイオン結
合は、所望の抗生剤の調節されたpHの溶液に表面グラフ
トポリマーを単に浸漬することにより得られうる。
【0035】特に、多数のグラフトコーティングが本発
明に使用されうる。最も好ましくは、セリウムイオンに
よる開始を経て基材表面へグラフトされたモノマーから
なる。陽イオンから陰イオンぶら下がり基を有するモノ
マーがグラフトされうる。前者の例は、N-(3- アミノプ
ロピル) メタクリレート(APMA)およびそのコポリマーで
あり、後者の主な例はアクリル酸(AA)およびそのコポリ
マーである。この技術を熟知している者にとって、化学
的修正技術により、陽イオン表面グラフトを化学的に陰
イオン表面グラフトへ転化しおよびまたは陰イオン表面
グラフトを化学的に陽イオン表面グラフトへ転化するこ
とができることは明らかであろう。これらの帯電した表
面グラフトマトリックスは帯電した抗生剤のイオン結合
をし易くする。表面グラフトポリマー組成物の調節は、
抗生剤の添加および放出において調節し易くする。
【0036】陰性に帯電した表面へ添加されうる陽イオ
ン抗生剤の例を、以下の表に示す。以下の表は完全では
なく、他の様々な陽イオン抗生物質も含まれうることは
明らかである。
【0037】
【表1】
【0038】陽性に帯電した表面へ添加されうる陰イオ
ン抗生剤の例を、以下の表に示す。以下の表は完全では
なく、他の様々な陰イオン抗生物質も含まれうることは
明らかである。
【0039】
【表2】
【0040】さらに、グラフトポリマーは、抗生剤の共
有結合に好適な化学的官能基を提供することができる場
合、抗生剤の共有結合がし易くなる。抗生剤の共有結合
は、抗生剤の殺菌活性を仲介したりまたは抗生剤の作用
機構を妨害するべきではない。ほとんどの抗生剤が細菌
細胞により摂取された場合殺菌活性を示すので、抗生剤
の効果を完全に阻止しないのであれば共有結合は非常に
低下するであろう。しかしながら、細胞膜の通過におけ
るこれらの作用により細菌を死滅する一群の抗生剤を区
別することができる。これらの抗生剤の共有結合は、強
化された感染抵抗を有する製品の開発に好適である。抗
生剤の後者の例は、ポリミキシンB 、コリスチン、グラ
ミシジンA である。
【0041】1: セリウムイオン開始表面グラフトコポ
リマー化 押出されたペレタン( Pellethane) 55D フィルムをIPA
において15分間超音波処理にてきれいにし、その後セリ
ウムイオン開始による表面グラフトを行った。FT-IR 研
究により、15分間のIPA 処理は、たとえばグラフト法を
妨害するかもしれない加工助剤ビス- ステアラミドワッ
クスから生じるいかなる表面汚染も除去するのに十分で
あることが示される。IPA クリーニング直後に、サンプ
ルを強制空気炉において50-60 ℃でほぼ5 分間乾燥し
た。一方、様々なモノマー比のアクリル酸モノマーおよ
びアクリルアミドモノマー、6mM 硝酸アンモニウムセリ
ウム(CAN) および0.06M 硝酸(HNO3)を含む、全モノマー
濃度40%bw からなる水性グラフト溶液を調製した。グラ
フトする前に、グラフト溶液を最大2 分間減圧に曝す処
理を行い、過剰の空気を除去した。
【0042】グラフトサンプル(10 x 1cm ストリップ)
は、きれいで乾燥したサンプルを適量のグラフト溶液に
入れることにより調製された。グラフト化は30℃で15-2
0 分間続け、その間溶液は攪拌しておく。
【0043】グラフト化に続いて、サンプルをDI水でリ
ンスしてグラフト化方法をストップしならびに形成され
た表面グラフトマトリックスをきれいにした。グラフト
サンプルを十分に綺麗にすることは、50-60 ℃で16- 18
時間、リン酸緩衝化食塩水溶液(PBS) 、pH =7.4 にて行
った。ESCAデータにより、表面グラフトコポリマーの組
成は使用されるモノマー比と非常によく一致することが
わかった。
【0044】2. アクリル酸およびアクリルアミドモノ
マーから調製される陰イオン表面グラフトのゲンタマイ
シン添加 55D ペレタンサンプルを、前記したように表面グラフト
化した。次いで、表面グラフトサンプルを、最低30分
間、0.01M MES 緩衝化水溶液、pH = 6.0に浸漬した。次
いで表面グラフトサンプルを、硫酸ゲンタマイシンの0.
01M MES 緩衝化水溶液、pH = 6.0に浸漬した。緩衝化硫
酸ゲンタマイシン溶液は一般に0.5mg/mlゲンタマイシン
塩基を含む。サンプル浸漬は、普通に30分間続いた;面
積に対する容量の比 2:1(ml : cm2)がゲンタマイシン添
加方法に一般に使用された。浸漬が完了するとサンプル
を除去し、5-10秒間DI溶液でリンスし、風乾しそして貯
蔵した。
【0045】3. 水溶液におけるゲンタマイシンの定量
分析 ゲンタマイシン含有水溶液、標準ならびにサンプルをTN
BS分析を用いて分析した。ゲンタマイシン含有溶液を、
0.1Mほう酸塩を添加してpH=9に調節し、その後サンプル
溶液1ml につき25μl の 0.03M水性TNBSを添加した。TN
BS誘導化反応を、室温で25-30 分間続け、その後415 nm
でUV吸収を測定し、対照波長として595nm を使用した。
【0046】4: アクリル酸およびアクリルアミドモノ
マーから調製された陰イオン表面グラフトにおけるゲン
タマイシンの定量分析 55D ペレタンサンプルを、前記したように表面グラフト
化しゲンタマイシンを添加した。次いで、表面グラフト
サンプルを添加するために使用されるゲンタマイシン溶
液を、TNBS分析によりゲンタマイシン含有量について分
析した。サンプル浸漬の前後におけるゲンタマイシン含
有量の差を測定し、添加されたゲンタマイシンの量を計
量するために使用した。添加されたゲンタマイシンの量
は一般にμg / cm2 として表される。
【0047】5. アクリル酸モノマーから調製された陰
イオン表面グラフトのゲンタマイシン添加におけるpHの
効果 55D ペレタンサンプルを、前記したようにアクリル酸モ
ノマーで表面グラフト化した。異なったpH値で緩衝化さ
れたゲンタマイシン貯蔵溶液を調製した。代表的には溶
液は0.01M の所望の緩衝剤を含む。pH範囲は、pH = 2 -
pH = 9 へ広がる。ゲンタマイシンを含まない相当する
緩衝化溶液における表面グラフトサンプルの浸漬後に表
面グラフトサンプルにゲンタマイシンを添加し、添加ゲ
ンタマイシンの量を前記したように調べた。
【0048】図4 に示すように、ゲンタマイシン添加が
pHにより調節されうることがわかった。ゲンタマイシン
添加の最適pH範囲がpH = 6 - pH = 8 へ広がる。
【0049】6. アクリル酸モノマーから調製される陰
イオン表面グラフトのゲンタマイシン添加における時間
の効果 55D ペレタンサンプルを、前記したようにアクリル酸モ
ノマーで表面グラフト化した。ゲンタマイシン添加を前
記のように行ったが、ただし浸漬時間において実行した
変化を除く。陰イオン表面グラフトマトリックスのゲン
タマイシン添加は、上記で検討したように測定された。
【0050】ゲンタマイシン添加は、最初の15分間の間
は直線状プロフィールで、ほぼ9.5:μg .cm2.min-1に等
しい粘度を有する。その後、ゲンタマイシン添加の粘度
が低下し、添加プロフィールは漸近的になった。20-30
分間の間、追加のゲンタマイシン添加は無視してよい。
【0051】7. アクリル酸モノマーから調製された陰
イオン表面グラフトからのゲンタマイシン放出における
表面グラフトマトリックスの架橋密度の効果 55D ペレタンサンプルを、前記したようにアクリル酸モ
ノマーで表面グラフト化したが、ただし表面グラフト共
重合の間に架橋剤としてメチレン- ビス- アクリルアミ
ドを追加した。表面グラフトサンプルはゲンタマイシン
を添加されており、そして添加ゲンタマイシンの量を前
記のように測定した。
【0052】ゲンタマイシン放出は、37℃でリン酸緩衝
化食塩液( PBS)にゲンタマイシン添加サンプルを浸漬す
ることにより行われた;一般に表面に対する容量の比1:
1(ml:cm2) が実験において使用された。所望の時点で、
サンプルを溶液から引き抜き、新しいPBS に浸漬した。
溶液サンプルをTNBS分析を用いてゲンタマイシン含有量
について測定した。
【0053】架橋密度を増加するとゲンタマイシン放出
が低下することが示された。これは明らかに予期したも
のと一致した。しかしながら、非架橋グラフトが所望の
6 週間の期間でゲンタマイシン100%を放出するわけでは
なく、所望のゲンタマイシン放出プロフィールすなわち
3-6 週間の期間でゲンタマイシン100%を放出することを
得るために、表面グラフトマトリックスの別の設計が開
発された。
【0054】8. アクリル酸およびアクリルアミドモノ
マーから調製された陰イオン表面グラフトのゲンタマイ
シン添加における表面グラフトマトリックスの帯電- 密
度の効果 セリウムイオン開始表面グラフトを前記のように実施し
た。表面グラフトマトリックスの帯電- 密度は、モノマ
ーアクリル酸およびアクリルアミドのモノマー比を変え
ることにより変化した。アクリル酸は陰イオンぶら下が
り基を含み、アクリルアミドは中性ぶら下がり基を含
む。したがってモノマー比を変えて、様々な電荷- 密度
を変えることで表面グラフトの調製ができるようにな
る。次いで、表面グラフトサンプルをゲンタマイシン添
加し、添加されたゲンタマイシンの量を前記のように測
定した。
【0055】結果を図5 に示す;表面グラフトマトリッ
クスのアクリルアミドフラクションが増加するとゲンタ
マイシン添加が低下するという結果を示す。これらの結
果は明らかであり、陽イオン抗生剤ゲンタマイシンと陰
イオン表面グラフトマトリックスの間のイオン相互反応
が薬剤固定化に対する推進力であることをここでも示
す。
【0056】9. アクリル酸およびアクリルアミドモノ
マーから調製された陰イオン表面グラフトからのゲンタ
マイシン放出における表面グラフトマトリック の帯電
密度の効果 一定の範囲の帯電密度の表面グラフト55D ペレタンサン
プルを、前記したように調製しゲンタマイシン添加し
た。ゲンタマイシン放出は、37℃でリン酸緩衝化食塩液
( PBS)にゲンタマイシン添加サンプルを浸漬することに
より行われた;一般に表面に対する容量の比1:1(ml:c
m2) が実験において使用された。所望の時点で、サンプ
ルを溶液から引き抜き、新しいPBS に浸漬した。溶液サ
ンプルをTNBS分析を用いてゲンタマイシン含有量につい
て分析した。
【0057】図6 から明らかなように、モノマーアクリ
ル酸およびアクリルアミドのモノマー比の変化がゲンタ
マイシン放出プロフィールの操作のための好ましい“
道具"でありこのため所望の放出プロフィールが達成さ
れると結論することができる。好ましい表面グラフトマ
トリックスはアクリル酸フラクション50-75%を含むアク
リル酸/ アクリルアミドコポリマーからなる。最も好ま
しくは、アクリル酸フラクションは65-75%の範囲であ
る。
【0058】10. 帯電密度を変えたゲンタマイシン添加
サンプルのインビトロ抗生剤活性の評価 一定の範囲の帯電密度の表面グラフト55D ペレタンサン
プルを、前記したように調製しゲンタマイシン添加し
た。抗生剤活性を“ ゾーン阻止( zone-of-inhibitio
n)"試験により測定した。イソセンシテスト寒天プレー
ト( Isosensitest agar plate )に、±104 個の黄色ブ
ドウ球菌( Staphylococcus aureus )/ 食塩水1ml の懸
濁液を使用して、細菌を播種した。次いで、試験物質を
塗布した(8mmディスク) ;一般に、ゲンタ- ネオ- セン
シタブ(Genta-neo-sensitab)( デンマーク国、タストラ
ップのロスコ ダイアグノスティカ( Rosco Diagnostic
a,Taastrup,Denmark) )、ゲンタマイシン添加錠剤を陽
性対照物として使用した。ゲンタマイシンを有しない表
面グラフトサンプルを陰性対照物として適用した。次い
で、寒天プレートを37℃で一晩培養する。次の日に培養
器からプレートを除去し、各サンプルの回りの細菌のな
いゾーンを測定する。細菌増殖および阻止の領域がはっ
きり視認される。この実験の結果を図7 に示す。アクリ
ルアミドフラクションが増加するとその結果として低下
するゲンタマイシン添加がより迅速な放出により相殺さ
れ、したがって殺菌活性において重要な影響はなかっ
た。
【0059】11. 帯電密度を変えたゲンタマイシン添加
サンプルのインビトロ細胞毒の評価 ゲンタマイシンはあまり多量に適用すると毒素を出すか
もしれないことが知られている。したがって現れた表面
グラフトサンプルがゲンタマイシンの放出のために細胞
毒の特徴を示すかどうかを調べることが非常に重要であ
る。
【0060】一定の範囲の帯電密度の表面グラフト55D
ペレタンサンプルを、前記したように調製しゲンタマイ
シン添加した。細胞毒性をバンリュインら(Van Luyn et
al.) の方法により調べた。簡単に言えば、この方法は
試験物質をヒト線維芽細胞のメチルセルロース培養物に
7 日間曝すことに関する;この試験方法は確立された試
験方法よりも一層感受性が高いと報告されている。
【0061】結果を図8 に示す。この試験はゲンタマイ
シンの毒性を確認する。投与量- 関連反応が同定され、
これはゲンタマイシンの放出速度を調節ししたがって細
胞毒現象が現れることを阻止することが設計された表面
グラフトマトリックスに必要であることを強調する。
【0062】実施例9-11に開示された結果は、表面グラ
フトマトリックスのコポリマー組成の調節の重要性を強
調する。好ましいコポリマーグラフト組成は、放出速
度、殺菌活性および生物適合性( 非- 細胞毒性)の間に
適当なバランスを有するように設計される。
【0063】12. インビボ性能の評価- 比較動物埋込み
試験 埋込み試験の概要 長さ±5cm のポリウレタンリードサンプル( 図9 参照)
を、臨床的に使用される埋込み可能なリードの代表的モ
デルとして使用し、そして同一物質を製造に使用した。
【0064】図9 は、臨床的に使用されるリード50を示
す。リードはテーパー状ポリウレタンチューブ52および
54、プラチナ- イリジウムコイル56、ポリプロピレンブ
ルーワイヤー58およびポリウレタン接着剤60を含む。リ
ードの直径もまた図に示されている。
【0065】表面処理された埋込み可能なリードサンプ
ルは、その内外ポリウレタン表面を、アクリル酸および
アクリルアミドモノマーから調製されたコポリマー表面
グラフトで塗布することにより作られた。コポリマー表
面グラフトはアクリル酸/ アクリルアミドコポリマー比
3:1 であり、したがってアクリル酸フラクションは75%
であった。表面グラフトマトリックスは浸漬方法により
ゲンタマイシンを添加された( 実施例2 参照) 。
【0066】リードサンプル埋込みをラットにて行っ
た。細菌接種は埋込みの時点で行った。比較研究におい
て、これらのリードサンプルのインビボ性能を対照リー
ドサンプル、硫酸ゲンタマイシンの水溶液で満たされた
リードサンプル、および隣接するゲンタマイシン添加コ
ラーゲンスポンジとともに埋込まれたリードサンプルの
ものと比較した。
【0067】動物モデルの記載:ほぼ3 カ月齢の雄AOラ
ットをエーテル麻酔した。ラットの毛を剃った感染して
いない背側で、皮膚を±1cm 切開し、皮下ポケットを背
骨と平行に作った。リードサンプルを有するシリンジを
皮下ポケットにおいて挿入し、リードサンプルをシリン
ジから外側に押し出し、後者を引っ込める。したがっ
て、リードサンプルは切り込み部位でブルーワイヤー端
部とともに無菌的に挿入された。皮下ポケットを閉じる
前に、埋込まれたリードサンプルに、ほぼ3 x 107 個の
黄色ブドウ球菌を含む細菌懸濁液10μl を注射すること
により細菌を用いた誘発反応を行った。その後、一本の
縫い糸で閉じた。ラット一匹当たり二つのリードサンプ
ルを背中の各々の部位で皮下埋込みした。
【0068】リードサンプルは、リードサンプル埋込み
後1 日、2 日、5 日、10日、3 週間および6 週間目に移
した。
【0069】埋込みおよび埋込み部位は所望の点の上で
綿棒を動かすことにより生菌について評価した;その
後、綿棒を血液寒天プレートと接触させる。血液寒天プ
レートを37℃で18時間インキュベーションし、続いて形
成した細菌コロニーを計測した。埋込み部位を、肉眼な
らびに顕微鏡により評価した。全ての埋込み品を注意深
く周囲の組織から切り出した。一般的には、移した検体
はグルタルアルデヒドにおいて浸漬固定され、等級の決
まったアルコールにおいて脱水し、そしてグリコールメ
タクリレートに埋め込む。半分にした細長い切片(2μm
) を、トルイジンブルーで一般的に染色した。
【0070】結果:検討したように、移した検体を細菌
計測および組織反応の組織構造について評価した。結果
を以下の表にまとめる。
【0071】
【表3】 記号の説明( 図9 参照) o = 外側組織夾膜封入 c = 組織夾膜 p = ポリウレタン e = 電極/ ブルーワイヤー a = 膿瘍
【0072】結果は、感染誘発に抵抗することにおける
表面処理リードサンプルの優れた性能を示す。以下の表
にまとめた結果により、接種した細菌の完全殺滅に最も
効果的であるばかりでなくより良い組織反応を引き起こ
すことを示す。後者は第一の重要な点であり、なぜなら
不適当な組織再生および治療が( 二次的)感染合併症の
確率を促進すると思われるからである。
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】13. 全装置埋込み研究- メドトロニックリ
ード4300型における技術の適用 埋込み研究の概要:表面処理した導電性リード( メドト
ロニックリード4300型)をウサギに埋込み、対照物に対
する効果を評価した。細菌接種を埋込み時に行った。移
植品は細菌計測および組織反応の組織構造について評価
された。
【0076】表面処理した導電性リードを、アクリル酸
およびアクリルアミドから調製されたコポリマー表面グ
ラフトで内外のポリウレタン表面を塗布することにより
調製した。コポリマー表面グラフトはアクリル酸/ アク
リルアミドコポリマー比3:1であり、したがってアクリ
ル酸フラクションは75% であった。表面グラフトマトリ
ックスは、浸漬方法によりゲンタマイシンを添加された
( 実施例2 を参照)。 動物モデルの開示 電極を、薄筋( M.gracilis)に埋込み、薄筋へ小さな固
定ループを縫い合わせた。シリコーンゴム製の固定スリ
ーブをブルーワイヤーの一部で電極の回りに固定した。
リードを腹部および脇腹の皮膚の下に孔を開け皮下組織
へコネクター端部を縫合した。電極を鼠蹊部の皮膚の下
にスリングに入れ、電極の長さを相殺した。
【0077】±3x107 個の黄色ブドウ球菌を含む細菌懸
濁液10μl を注射することにより、細菌を小さな固定ル
ープ近くに接種した。細菌接種は埋込みの時点で行っ
た。
【0078】電極を、電極埋込み4 日後、3 1/2 週間
後、および10週間後に移植した。埋込みおよび埋込み部
位を、所望のスポット上に綿棒を動かすことにより生菌
について評価した;その後、綿棒を血液寒天プレートに
接触させた。血液寒天プレートを37℃で18時間インキュ
ベーション後、形成した細菌コロニーを計測した。
【0079】埋込み部位は、肉眼および顕微鏡で評価さ
れた。全ての埋込み品を周囲の組織から注意深く切り出
した。代表的には、移植検体をグルタルアルデヒドにお
いて浸漬固定し、等級の決まったアルコールにて脱水
し、そしてグリコールメタクリレートに埋め込んだ。光
学顕微鏡での評価のために半分の長さの細長い切片(2μ
m ) をトルイジンブルーで普通に染色した。
【0080】結果:移植した電極は、細菌計測および組
織反応の組織構造について評価された。結果を以下の表
にまとめた。
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】結果は、感染誘発に抵抗することにおける
表面処理電極の優れた性能を示した。対照電極が広く感
染されるのに対し、埋込み後10日後でも変性した電極は
全く感染反応を示さず、非常に良好な組織完全体であっ
た。既に検討したように、後者が第一に重要であり、こ
れは不適切な組織再生および治療が( 二次的)感染合併
症の確立を促進するからであると思われる。
【0084】結果 最も好ましい形態において、表面変性技術は、アクリル
酸およびアクリルアミドモノマーから形成される陰イオ
ン表面グラフトマトリックスからの調節されたゲンタマ
イシン放出について発展してきた。考え方は、3-6 週間
の期間で薬剤を100%放出する調節されたコポリマー組成
を有するコポリマー表面グラフトに関する。
【0085】広い範囲にわたるインビトロ評価では、ゲ
ンタマイシンの添加および放出に関して表面グラフトマ
トリックス組成の調節の重要性が示され、さらに放出速
度、殺菌活性および生物適合性についての重要性が示さ
れた。インビボ実験では、感染合併症に抵抗する技術の
効果が示された。さらに、表面グラフトが好ましい組織
反応を引き起こすことが観察されそして示された。
【0086】好ましい表面グラフトマトリックスはアク
リル酸フラクション50-75%を含むアクリル酸/ アクリル
アミドコポリマーからなる。最も好ましくは、アクリル
酸フラクションは65-75%の範囲である。塩基性のすべて
の( ポリ)陽イオン薬剤は表面グラフトマトリックスに
おいて添加されることができ、本発明の範囲で最も好ま
しい薬剤は抗生剤ゲンタマイシンである。
【0087】製品の重合性表面または製品自体は、ポリ
ウレタンたとえばポリエーテルウレタンまたは良く知ら
れている不活性生物適合性重合材料たとえばポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、
ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩
化ビニル、シリコーン、ホリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリイソプレン、およびポリテトラフルオロエチレ
ンである。ポリウレタンが現在のところ本発明の関係に
おいて好ましいポリマー基材である。
【0088】さらに、基材材料は、金属表面たとえばチ
タン、ステンレススチールもしくはタンタルまたは公知
の生物適合性金属材料のいずれかである。
【0089】特許第5,344,455 号にしたがって、陽性に
帯電したサンプルはAPMAおよびAAMのコポリマーを用い
て作られ、一方陰性に帯電したサンプルはAMPSで調製さ
れる。実施例6 および7 を参照せよ。
【0090】前記実施例および開示は例示のためであり
網羅したものではない。これらの実施例および開示はこ
の技術における通常の知識を有する者に多くの変形およ
び変更を示唆する。全てのこれらの変形および変更は、
添付の請求の範囲内に含まれることを意図する。技術を
熟知している者は、ここに記載した特定の実施態様と等
価の別のものを認識することができ、この等価物はここ
に添付の請求の範囲に含まれると思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1 は本発明の使用を行いうる筋肉内リードの
一実施態様の模式図である。
【図2】図2 は固定ディスク、およびコネクター部位に
位置する電極コイルの締めつけメカニズムの模式断面図
である。
【図3】図3のaおよびbは金属リングを用いた締めつけ
メカニズムの原理を模式的に示す(aは締めている/bは締
めていない場合)。
【図4】図4 はpHの関数としてのゲンタマイシン添加を
示すグラフである。
【図5】図5 はコポリマー組成の関数としてのゲンタマ
イシン添加を示すグラフである。
【図6】図6 は陰イオン表面グラフトマトリックスから
のゲンタマイシン放出を示すグラフである。
【図7】図7 はコポリマー組成の関数としてのインビト
ロ殺菌活性を示すグラフである。
【図8】図8 はコポリマー組成の関数としてのインビト
ロ細胞毒性を示すグラフである。
【図9】図9 は臨床的に使用されるリードの代表的模式
図である。
【符号の説明】
30 リード 45 リミター 32 針 46 固定ディスク 33 導電性ライン 47 コネクターチ
ップ 34 電極コイル 48 シールリング 35 電極チップ 50 リード 36 リード本体 52 テーパー状ポ
リウレタンチューブ 38 コネクター 54 テーパー状ポ
リウレタンチューブ 46 固定ディスク 58 ブルーワイヤ
ー 60 接着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 パトリック・ティー・キャハラン オランダ王国 6166 カーエー ゲレー ン(番地なし) (72)発明者 ミシェル・エル・ペー・エム・ヴェルフ ーヴェン オランダ王国 6221 ベーデー マース トリヒト(番地なし) (72)発明者 リンダ・エル・キャハラン オランダ王国 6166 カーエー ゲレー ン(番地なし) (72)発明者 アントワーヌ・エヌ・イェー・カンプス オランダ王国 6287 エヌエー エイ ス・ヴィッテム,エイゼルヴェーク 36 アー (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61N 1/05

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極手段、パルス発生器と接続するのに
    適合するコネクター手段、電極手段とコネクター手段の
    間に延びる導電手段を含みそしてこの上に生物適合性ポ
    リマー絶縁材料の絶縁体を有し、前記ポリマー絶縁体が
    前記導電手段を囲むポリマー材料の内表面を有するキャ
    ビティを提供するものである埋込み可能な医療用電気リ
    ードにおいて、 ポリマー絶縁体の内表面におけるコーティングであっ
    て、第一の成分および第二の成分を含み、第一の成分が
    ポリマー絶縁材料の少なくとも一つの表面に維持される
    グラフトコポリマーであり、第二の成分が第一の成分と
    結合する抗生剤または抗菌剤を含むものであり:絶縁体
    のキャビティへ体液が自由に流れ込むことを阻止するた
    めのシール手段:とを含む改善された前記医療用電気リ
    ード。
  2. 【請求項2】 絶縁体がポリマー材料の外表面をも有
    し、また前記外表面においてもコーティングを有する請
    求項1 の医療用電気リード。
  3. 【請求項3】 コーティングがまたシール手段上にもあ
    る請求項1 の医療用電気リード。
  4. 【請求項4】 生物活性剤がグラフトコポリマーとイオ
    ン的に結合する請求項1 の医療用電気リード。
  5. 【請求項5】 ポリマー表面がポリウレタンである請求
    項1 の医療用電気リード。
  6. 【請求項6】 グラフトコポリマーが少なくとも二つの
    重合化ビニル官能性モノマーを含む請求項5 の医療用電
    気リード。
  7. 【請求項7】 ビニル官能性モノマーがアクリルアミド
    モノマーおよび陽性または陰性の電荷を有する第二のモ
    ノマーを含む請求項5 の医療用電気リード。
  8. 【請求項8】 第二のモノマーがアクリル酸である請求
    項7 の医療用電気リード。
  9. 【請求項9】 電極手段、パルス発生器との接続に適合
    するコネクター手段、電極手段とコネクター手段の間に
    延びる導電手段を含み、そしてこの上に生物適合性ポリ
    マー絶縁材料の絶縁体を有する埋込み可能な医療用電気
    リードにおいて、 ポリマー絶縁体におけるコーティングであって、コーテ
    ィングが第一の成分および第二の成分を含み、第一の成
    分はポリマー絶縁材料の少なくとも一つの表面に維持さ
    れたグラフトコポリマーを含み、第二の成分は第一の成
    分と結合した抗生剤または抗菌剤を含み、その際ポリマ
    ー表面はポリウレタンであり、グラフトコポリマーは少
    なくとも二つの重合化ビニル官能モノマー、アクリルア
    ミドおよびアクリル酸を含み、アクリル酸はグラフトコ
    ポリマーの50 - 75 % であるものである前記医療用電気
    リード。
  10. 【請求項10】 生物活性剤がゲンタマイシンである請
    求項9 の医療用電気リード。
  11. 【請求項11】 その上に生物適合性ポリマー絶縁材料
    からなる絶縁体を有する埋込み可能な医療用電気装置に
    おいて、 ポリマー絶縁体における抗- 感染コーティングであっ
    て、コーティングは第一の成分および第二の成分を含
    み、第一の成分はポリマー絶縁材料の内表面および外表
    面の両方に維持されるグラフトコポリマーを含み、グラ
    フトコポリマーはアクリルアミドおよび50 - 75 % のア
    クリル酸を含み、第二の成分は第一の成分と結合した陽
    性に帯電した抗生剤を含むもの:絶縁体を導電手段へシ
    ールするためのものであって、抗- 感染コーティングも
    備えたシール手段:を含む改善された前記装置。
  12. 【請求項12】 以下のもの:基端部および末端部を有
    する第一の長さの導電体;前記第一の長さの導電体を電
    気的に絶縁するための絶縁手段;医療装置に前記リード
    を電気的に結合するための導電体の前記第一の長さの前
    記基端部に固定的に接続したコネクター手段であって、
    内表面および外表面を有するもの;基端部および末端部
    を有する第二の長さの導電体を含む電極;前記第一の長
    さの導電体の末端部に前記第二の長さの導電体の基端部
    を固着するための手段;体組織へ前記第二の長さの導電
    体の少なくとも一部を挿入するために前記第二の長さの
    導電体の基端部へ固着するための手段;基端部、末端部
    および予め決められた長さを有する同軸絶縁スリーブで
    あって、前記スリーブは筋肉組織内に位置しない前記第
    二の長さの電気的導電体の残りのいずれの部分も電気的
    に絶縁するように前記リードを囲むものでり、該スリー
    ブは内表面およびスリーブ手段への体液の自由な動きを
    阻止するためにその基端部にシール手段を有するもので
    あり、その際スリーブ手段の内表面は該内表面上にグラ
    フトするグラフトコポリマーおよび該グラフトコポリマ
    ーと結合する生物活性剤を含むものを含む体組織および
    医療装置の間の電気的結合を確立するためのリード。
  13. 【請求項13】 薬剤がグラフトコポリマーとイオン的
    に結合する請求項12の装置。
  14. 【請求項14】 薬剤がグラフトコポリマーと共有結合
    する請求項12の装置。
  15. 【請求項15】 薬剤がゲンタマイシンである請求項12
    の装置。
  16. 【請求項16】 グラフトコポリマーおよび薬剤の組合
    せがさらに、コポリマーに関して薬剤の予め決められた
    添加レベルに作用するために第一および第二の成分の組
    合せの以下の点:薬剤の放出速度、薬剤の殺菌活性、薬
    剤の生物適合性、コポリマーにおけるモノマーの比、添
    加時のpH調節、添加時間の長さ、コポリマーにおける帯
    電密度およびコポリマーにおける架橋密度、の一つ以上
    の選択的バランスにより薬剤の調節された放出を行うよ
    うにすることが特徴的である請求項12の装置。
  17. 【請求項17】 薬剤がグラフトコポリマーとイオン的
    に結合する請求項16の装置。
  18. 【請求項18】 薬剤がグラフトコポリマーと共有結合
    する請求項16の装置。
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