JP2827491B2 - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量制御装置

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JP2827491B2 JP2260033A JP26003390A JP2827491B2 JP 2827491 B2 JP2827491 B2 JP 2827491B2 JP 2260033 A JP2260033 A JP 2260033A JP 26003390 A JP26003390 A JP 26003390A JP 2827491 B2 JP2827491 B2 JP 2827491B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は内燃機関の燃料噴射量制御装置に係り、詳
しくは吸気系の通路壁面等における燃料付着分及びその
蒸発分を補正しながら所要の燃料噴射量を制御する内燃
機関の燃料噴射量制御装置に関するものである。
[従来の技術] 従来、運転状態の内燃機関では、その吸気系に供給さ
れる燃料が吸気系の通路壁面等に付着したり、その付着
燃料が蒸発したりしている。そこで、吸気系における燃
料噴射量を制御するようにした制御装置においては、吸
気系の通路壁面等における燃料付着分やその蒸発分を補
正しながら所要の燃料量噴射量を決定するようにしてい
る。
例えば、特開昭63−215848号公報に開示された技術で
は、特にスロットル開度が変化するような運転過渡時
に、吸気系の通路壁面に燃料が付着することによる空燃
比の乱れを補正するために、各センサによって検出され
るスロットル開度及び機関回転数の検出値に基づき、定
常時での理論的な吸気圧力を演算し、その理論的な吸気
圧力に基づいて吸気系での燃料付着量の変化分を演算し
ている。そして、その燃料付着量の変化分を燃料付着補
正量として、その補正量によって基本噴射量を補正して
所要の燃料噴射量を決定するようにしている。
[発明が解決しようとする課題] ところが、前記公報の技術では、内燃機関の低負荷運
転域や低回転運動域では、微小な負荷変動(例えばスロ
ットル開度の微小変動)や微小な回転数変動に対して
も、燃料付着補正量が高感度に演算され、その補正量が
燃料噴射量に反映されることになった。このため、低負
荷運転域や低回転運転域では、スロットル開度が緩やか
に変化するだけの緩加速時や定常時でも、燃料付着補正
量によって燃料噴射量にバタツキ(周期的な変動)を生
じる虞があった。その結果、加速サージや定常サージを
引き起こし、ドライバビリティの悪化を招くという問題
があった。
この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであっ
て、その目的は、負荷変化率の大きい運転過渡時には、
吸気系における燃料付着量を確実に補正し、負荷変化率
の小さい定常時等には、吸気系における燃料付着量の補
正を解除してサージを防止することが可能な内燃機関の
燃料噴射量制御装置を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記の目的を達成するために、この発明においては、
第1図に示すように、内燃機関M1の吸気系M2に燃料を噴
射する燃料噴射手段M3と、吸気系M2における吸気量相当
値を測定する吸気量相当値測定手段M4と、内燃機関M1の
回転数を検出する機関回転数検出手段M5と、測定された
吸気量相当値と検出された内燃機関M1の回転数とに基づ
き、吸気系M2における定常時の燃料付着量を逐時演算す
る付着量手段M6と、今回演算された前記燃料付着量と前
回演算された燃料付着量との差分に基づき、基本燃料付
着補正量を演算する基本付着補正量演算手段M7と、演算
された基本燃料付着補正量に水温補正し、燃料付着補正
量を演算する付着補正量演算手段M13と、演算された燃
料付着補正量により基本噴射量を補正して、燃料噴射手
段M3からの所要の燃料噴射量を演算する噴射量演算手段
M8とを備えた内燃機関の燃料噴射量制御装置において、
内燃機関M1の負荷変化を検出する負荷変化検出手段M9
と、検出された負荷変化に基づいてその時々の負荷変化
量を演算する負荷変化量演算手段M10と、演算された基
本燃料付着補正量と演算された負荷変化量との関係が、
負荷変化量の大きさに反比例した不感帯内に基本燃料付
着補正量があるか否かを判断する不感帯域判断手段M11
と、判断結果が前記不感帯内でない場合には、噴射量演
算手段M8における燃料付着補正量による基本噴射量の補
正を許容し、判断結果が不感帯内である場合には、噴射
量演算手段M8における燃料付着補正量による基本噴射量
の補正を禁止する補正制御手段M12とを備えている。
[作用] 上記の構成によれば、第1図に示すように、内燃機関
M1の運転時において、吸気量相当値測定手段M4は吸気系
M2における吸気量相当値、例えば吸気流量や吸気圧を測
定する。又、機関回転数検出手段M5は内燃機関M1の回転
数、即ち機関回転数を検出する。
そして、付着量演算手段M6は測定された吸気量相当値
と検出された機関回転数とに基づき、吸気系M2における
定常時の燃料付着量を逐次演算する。
又、基本付着補正量演算手M7は、今回演算された燃料
付着量と前記演算された燃料付着量との差分に基づき、
基本燃料付着補正量を演算する。付着補正量演算手段M1
3は、演算された基本燃料付着補正量に水温補正し、燃
料付着補正量を演算する。
上記演算を受けて噴射量演算手段は、演算された燃料
付着補正量により基本噴射量を補正して、燃料噴射手段
M3からの所要の燃料噴射量を演算する。つまり、吸気系
M2における燃料噴射量が制御される。
この時、負荷変化検出手段M9は、内燃機関M1の負荷変
化を検出する。又、負荷変化量演算手段M10は、検出さ
れた負荷変化に基づいてその時々の負荷変化量を演算す
る。
そして、不感帯域判断手段M11は、付着補正量演算手
段M7にて演算された基本燃料付着補正量と、負荷変化量
演算手段M10にて演算された負荷変化量との関係が、負
荷変化量の大きさに反比例した不感帯内に基本燃料付着
補正量があるか否かを判断する。
そして、上記の判断結果を受けて、補正制御手段M12
は、判断結果が不感帯内でない場合には、噴射量演算手
段M8における燃料付着補正量による基本噴射量の補正を
許容する。一方、補正制御手段M12は、判断結果が不感
帯内である場合には、噴射量演算手段M8における燃料付
着補正量による基本噴射量の補正を禁止する。
よって、負荷変化量の大きい運転過渡時のような場合
には、噴射量演算手段M8において、基本噴射量が燃料付
着補正量によって補正されて燃料噴射量が決定される。
つまり、吸気系M2における燃料付着量を考慮した燃料噴
射制御が行われる。一方、負荷変化量の小さい運転通常
時のような場合には、噴射量演算手段M8において、燃料
付着補正量による基本噴射量の補正が解除される。つま
り、吸気系M2における燃料付着量を無視した燃料噴射量
制御が行われる。
[実施例] 以下、この発明を具体化した一実施例を第2図〜第10
図に基づいて詳細に説明する。
第2図はこの発明における内燃機関の燃料噴射量制御
装置を適用したガソリンエンジンシステムを示す概略構
成図である。車両に搭載された内燃機関としてのエンジ
ン1は吸気系を構成する吸気通路2と、排気系を構成す
る排気通路3とを備えている。吸気通路2の入口にはエ
アクリーナ4が設けられている。又、吸気通路2の途中
にはサージタンク5が設けられている。このサージタン
ク5の下流側には、エンジン1の各気筒(この場合は4
気筒)毎にそれぞれ連通する吸気マニホルド2a,2b,2c,2
dが設けられている。更に、各吸気マニホルド2a〜2dの
近傍には、燃料噴射手段としてのインジェクタ6A,6B,6
C,6Dがそれぞれ設けられている。一方、排気通路3の出
口側には三元触媒を内蔵してなる触媒コンバータ7が設
けられている。
そして、エンジン1は吸気通路2を通じてエアクリー
ナ4から外気を取り込む。又、その外気の取り込みと同
時に、エンジン1は各インジェクタ6A〜6Dから噴射され
る燃料を取り込む。又、エンジン1はその取り込んだ燃
料と外気との混合気を各燃焼室にて爆発・燃焼させて駆
動力を得た後、その排気ガスを排気通路3から触媒コン
バータ7を介して外部へ排出する。
この実施例において、エンジン1は独立スロットル式
のものであり、サージタンク5の下流側の各吸気マニホ
ルド2a〜2dには、スロットルバルブ8A,8B,8C,8Dがそれ
ぞれ設けられる。各スロットルバルブ8A〜8Dは、図示し
ないアクセルペダルの操作に連動して開閉される。そし
て、各スロットルバルブ8A〜8Dが開閉されることによ
り、各吸気マニホルド2a〜2dにおける吸気流量が調節さ
れる。
スロットルバルブ8A〜8Dの近傍には、その開度、即ち
スロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ21が
設けられている。このスロットル開度センサ21は、エン
ジン1の負荷変化に相当するスロットル開度TAの変化を
検出する負荷変化検出手段を構成している。又、サージ
タンク5の上流側には、吸気通路2を通過する吸気量相
当値としての実際の吸気流量(1秒間当たりの吸気流
量)GAを測定する吸気量相当値測定手段としての周知の
エアフローメータ22が設けられている。この実施例で
は、可動ベーン式のエアフローメータ22を使用してい
る。更に、排気通路3の途中には、排気中の酸素濃度を
検出する、即ち排気通路3における排気空燃比を検出す
る酸素センサ23が設けられている。又、エンジン1に
は、その冷却水の温度(冷却水温)THWを検出する水温
センサ24が設けられている。
エンジン1の各気筒毎に設けられた点火プラグ9A,9B,
9C,9Dには、ディストリビュータ10にて分配された点火
信号が印加される。ディストリビュータ10はイグナイタ
11から出力される高電圧をエンジン1のクランク角に同
期して各点火プラグ9A〜9Dに分配するためのものであ
る。そして、各点火プラグ9A〜9Dの点火タイミングは、
イグナイタ11からの高電圧出力タイミングにより決定さ
れる。
ディストリビュータ10には、その図示しないロータの
回転からエンジン1の回転数(エンジン回転数)NEを検
出する機関回転数検出手段としての回転数センサ25、同
じくロータの回転に応じてエンジン1のクランク角の変
化を所定の割合で検出する気筒判別センサ26がそれぞれ
取付けられている。この実施例では、1行程に対してエ
ンジン1が2回転するものとして、気筒判別センサ26は
360゜CAの割合でクランク角を検出するようになってい
る。
又、エンジン1に駆動連結された図示しないトランス
ミッションには、車速を検出するための車速センサ27が
設けられている。
そして、各インジェクタ6A〜6D及びイグナイタ11は電
子制御装置(以下単に「ECU」という)30に電気的に接
続され、同ECU30の作動によってそれらの駆動タイミン
グが制御される。このECU30は付着量演算手段、基本付
着補正量演算手段、付着補正量演算手段、噴射量演算手
段、負荷変化量演算手段、不感帯域判断手段及び補正制
御手段を構成している。又、ECU30にはスロットル開度
センサ21、エアフローメータ22、酸素センサ23、水温セ
ンサ24、回転数センサ25、気筒判別センサ26及び車速セ
ンサ27がそれぞれ接続されている。そして、ECU30はこ
れらエアフローメータ22及び各センサ21,23〜27からの
出力信号に基づき、インジェクタ6A〜6D及びイグナイタ
11を好適に制御する。
次に、ECU30の構成について第3図のブロック図に従
って説明する、ECU30は中央処理装置(CPU)31、所定の
制御プログラム等を予め記憶した読み出し専用メモリ
(ROM)32、CPU31の演算結果等を一時記憶するランダム
アクセスメモリ(RAM)33、予め記憶されたデータを保
存するバックアップRAM34等と、これら各部と外部入力
回路35、外部出力回路36等とをバス37によって接続した
論理演算回路として構成されている。
外部入力回路35には、前述したスロットル開度センサ
21、エアフローメータ22、酸素センサ23、水温センサ2
4、回転数センサ25、気筒判別センサ26及び車速センサ2
7等がそれぞれ接続されている。そして、CPU31は外部入
力回路35を介してエアフローメータ22及び各センサ21,2
3〜27からの出力信号を入力値として読み込む。
又、CPU31は、これら入力値に基づいて、外部出力回
路36に接続されたインジェクタ6A〜6D及びイグナイタ11
を好適に制御する。
次に、前述したECU30により実行される基本噴射量の
演算処理について第4図のフローチャートに従って説明
する。尚、このフローチャートのルーチンは所定時間毎
の定時割込みで実行される。
処理がこのルーチンへ移行すると、先ずステップ101
において、回転数センサ25及びエアフロメータ22の検出
値に基づき、エンジン回転数NE、実際の吸気流量測定値
である吸気流量GAをそれぞれ取込む。そして、ステップ
102において、取込まれたエンジン回転数NE及び吸気流
量GAにより、エンジン1の1回転当たりの単位吸気流量
GNを算出する。
次に、ステップ103において、以下の式(1)に従っ
て単位吸気流量GNを徐々に変化するようになまし処理
し、その処理結果を今回の処理周期におけるなまし測定
値GNSM1とする。
GNSM1←GNSM0+(GN−GNSM0)*KG1 …(1) ここで、GNSM0は前回の処理周期におけるなまし測定
値であり、KG1は単位吸気流量GNの脈動を抑えるために
予め定められたなまし係数である。
又、ステップ104において、回転数センサ25及びスロ
ットル開度センサ21の検出値に基づき、エンジン回転数
NE及びスロットル開度TAをそれぞれ取込む。そして、ス
テップ105において、取り込まれたエンジン回転数NE及
びスロットル開度TAより、予め定められた理論的な定常
吸気流量GNTAを算出する。この定常吸気流量GNTAは、エ
ンジン回転数NE及びスロットル開度TAをパラメータとし
て予め定められた図示しない3次元マップに従って求め
られる。
次に、ステップ106において、以下の式(2)に従っ
て定常吸気流量GNTAを徐々に変化するようになまし処理
し、その処理結果を今回の処理周期におけるなまし理論
値GNCRT1とする。
GNCRT1←GNCRT0+(GNTA−GNCRT0)*KG2 …(2) ここで、GNCRT0は前回の処理周期におけるなまし理論
値であり、KG2は所定のなまし係数である。又、なまし
測定値GNSM1には単位吸気流量GNにバタツキ(周期的変
動)がない程度のフィルタが必要である。従って、なま
し理論値GNCRT1のフィルタとしては、なまし測定値GNSM
1となまし理論値GNCRT1とがほぼ等しくなるような、な
まし係数KG2が選択されている。
そして、ステップ107において、以下の式(3)に従
って最終的は吸気流量(最終吸気流量)GNENDを算出し
て、その結果を今回の処理周期における最終吸気流量GN
ENDとする。
GNEND←GNSM1+(GNTA−GNCRT1) …(3) 即ち、定常吸気流量GNTAとなまし理論値GNCRT1との差
を、なまし測定値GNSM1に加算して最終吸気流量GNENDを
求める。
その後、ステップ108において、最終吸気流量GNEND
に、予め求められた噴射定数KINJを乗算した値を基本噴
射量TPとして求め、その後の処理を一旦終了する。
以上のようにして基本噴射量TPが求められる。又、後
述する処理において使用される最終吸気流量GNENDが合
わせて求められる。ここで、最終吸気流量GNENDについ
て、スロットル開度TAが変化するような運転過渡時にお
ける最終吸気流量GNENDの演算について第5図のタイム
チャートに説明する。
今、第5図(a)に示すように、時間t1においてスロ
ットル開度TAが急激に増大して変化すると、それに伴い
各気筒に実際に吸入される空気量も、同図(b)に示す
ように急激に増大して変化する。
このようにスロットル開度TAが変わるような運転過渡
時において、エアフロメータ22の測定値である吸気流量
GAに基づき求められる単位吸気流量GNは、第5図(c)
に示すように、吸気通路2内での吸気脈動やエアフロー
メータ22の出力変動等によってバタツキ(周期的変動)
を生じることがある。そして、単位吸気流量GNにバタツ
キがあっても、第5図(b),(c)に示すように、そ
の値のなまし処理によって求められるなまし測定値GNSM
は、各気筒への吸入空気量の変化に少し遅れて徐々にス
ムーズに変化する。
一方、エンジン回転数NEとスロットル開度TAによって
求められる定常吸気流量GNTAは、第5図(d)に示すよ
うに、各気筒への吸入空気量の変化に近似するように急
激に増大して変化する。又、その定常吸気流量GNTAをな
まし処理して求められるなまし理論値GNCRTは、第5図
(b),(d)に示すように、各気筒への吸入空気量の
立ち上がりに少し遅れて徐々にスムーズに変化する。
ここで、前述したように第4図のフローチャートのス
テップ106では、なまし測定値GNSMがなまし理論値GNCRT
とほぼ等しくなるように、なまし係数KG2が選択されて
いる。又、第4図(d)に斜線で示す部分が、定常吸気
流量GNTAとなまし理論値GNCRTとの差となっている。
そして、第5図(e)に示すように、最終吸気流量GN
ENDは定常吸気流量GNTAとなまし理論値GNCRTとの差を、
なまし測定値GNSMに対して加算した値として求められ
る。従って、吸気通路2内での吸気脈動やエアフローメ
ータ22の出力変動等によって生じるバタツキを排除した
最終吸気流量GNENDが得られる。
上記のように、この実施例の燃料噴射量制御装置によ
れば、吸気通路2内での吸気脈動等によってエアフロー
メータ22による実際の測定値にバタツキが生じても、そ
の測定値に基づいた単位吸気流量GNがなまし処理され
る。よって、吸気脈動等の影響を取り除いて徐々にスム
ーズに変化するなまし測定値GNSMを得ることができる。
又、各スロットルバルブ8A〜8Dの製品公差やその経時
変化等によって、各気筒への吸入空気量に影響を与える
吸気流洩れ量等に違いが生じた場合には、なまし測定値
GNSMは吸気流洩れ量等の違いに応じて変化した値とな
る。これに対し、スロットル開度TAとエンジン回転数NE
との関係から求められる理論的な定常吸気流量GNTAと、
そのなまし処理によって得られるなまし理論値GNCRTと
の差の値は、吸気流洩れ量等の違いに応じて変化するこ
とはない。従って、定常吸気流量GNTAとなまし理論値GN
CRTとの差と、なまし測定値GNSMとの加算によって得ら
れる最終吸気流量GNENDは、吸気流洩れ量を反映した値
となる。即ち、各スロットルバルブ8A〜8Dの製品公差や
その経時変化等の影響を受けて各気筒に実際に吸入され
る空気量と、理論的な定常吸気流量GNTAとが異なるよう
な場合、実際通りに最終吸気流量GNEND、実際の吸気流
量GA、定常吸気流量GNTAがそれぞれ等しくなることはな
く、吸気流洩れ量の違いを反映した最終吸気流量GNEND
を得ることができる。
つまり、スロットルバルブ8A〜8Dの製品バラツキやそ
の経時変化に伴う吸気流量GAの違いに応じて、常に適正
な最終吸気流量GNENDを得ることができる。そして、そ
の適正な最終吸気流量GNENDによって常に適正な基本噴
射量TPを得ることができる。
加えて、この実際例では、サージタンク5よりも下流
側にて、各気筒毎にスロットルバルブ8A〜8Dを設けてい
る。このため、エンジン1の運転時には、各気筒内に吸
入される空気量が各スロットルバルブ8A〜8Dを通過する
実際の吸気流量とほぼ等しくなり、エアフローメータ22
の測定による吸気流量GAに一時遅れが生じることはな
い。このため、スロットルバルブ8A〜8Dの開度変化が小
さい通常運転時には、エアフローメータ22の測定による
吸気流量GAを基本噴射量TPの演算にそのまま使用するこ
とができる。
次に、第4図のフローチャートにおいて求められた基
本噴射量TP及び最終吸気流量GNENDを使用して行われる
燃料噴射量制御について、第6図のフローチャートに従
って説明する。尚、このフローチャートのルーチンはEC
U30によって所定時間毎の定時割込みで実行される。
処理がこのルーチンへ移行すると、先ずステップ201
において、回転数センサ25の検出値に基づいてエンジン
回転数NEを取込むと共に、第4図のフローチャートで求
められた最終吸気流量GNENDを取込む。そして、ステッ
プ202において、取込まれたエンジン回転数NE及び最終
吸気流量GNENDにより、吸気マニホルド2a〜2dの壁面に
おける燃料付着量QMWを算出する。この燃料付着量QMW
は、各インジェクタ6A〜6Dから噴射される燃料の内、各
吸気マニホルド2a〜2dの壁面等に付着して残留する燃料
分を示すものである。又、この燃料付着量QMWは、第7
図に示すようにエンジン回転数NE及び最終吸気流量GNEN
Dをパラメータとして予め定められた3次元マップに従
って求められる。
次に、ステップ203において、取込まれたエンジン回
転数NEにより、回転数補正係数KNEを算出する。この回
転数補正係数KNEは、第8図に示すようなマップに従っ
て求められる。
そして、ステップ204において、以下の式(4)に従
って演算を行い、その演算結果を今回の処理周期におけ
る燃料付着補正量の減衰項QTRN1とする。
QTRN1←QTRN0*(1−KM1) +(QMW1−QMW0) *(1−KM2) …(4) ここで、QTRN0は前回の処理周期における減衰項であ
り、QMW1は今回の処理周期における燃料付着量、QMW0は
前回の処理周期における燃料付着量、KM1,KM2はそれぞ
れ適合値としての定数である。
続いて、ステップ205において、以下の式(5)に従
って演算を行い、その演算結果を今回の処理周期におけ
る基本燃料付着補正量FMW1とする。
FMW1←{(QMW1−QMW0)*KM3+QTRN1*KM4}*KNE …(5) ここで、QMW1,QMW0,QTRN1は前記ステップ204と同様で
あり、KM3は適合値としての定数、KNEはステップ203に
て求められた回転数補正係数である。
次に、ステップ206において、スロットル開度センサ2
1の検出値に基づき、エンジン1の負荷変化に相当する
スロットル開度TAの変化を取込む。そして、ステップ20
7において、今回の処理周期におけるスロットル開度TA1
と前回の処理周期におけるスロットル開度TA0との差の
絶対値を算出し、その算出結果をエンジン1の負荷変化
率に相当する開度変化分ΔTAとする。
そして、ステップ208において、以下の式(6)に従
って演算を行い、その演算結果を燃料付着補正量FMWの
不感帯域FMWFKとする。
FMWFK←KFK*1/(ΔTA+m) …(6) ここで、KFK,mはそれぞれ適合値としての定数であ
る。又、不感帯域FMWMKとは、第10図に示すように、ス
ロットルバルブ8A〜8Dの開度変化分ΔTAの大きさに反比
例した燃料付着補正量FMWの関係を予め定めてなる曲線
の内側の領域に相当している。
次に、ステップ209において、ステップ205にて求めら
れた基本燃料付着補正量FMW1の絶対値が、不感帯域FMWF
Kよりも小さいか否か、つまり第10図において、今回演
算されたの開度変化分ΔTAに対する基本燃料付着補正量
FMW1の関係が不感帯域FMWFKの中であるか否かを判断す
る。
そして、今回演算された開度変化分ΔTAに対する基本
燃料付着補正量FMW1の関係が不感帯域FMWFKの中である
場合には、ステップ210においてその基本燃料付着補正
量FMW1を「0」としてセットし、ステップ211へ移行す
る。又、今回演算された開度変化分ΔTAに対する基本燃
料付着補正量FMW1が不感帯域FMWFKの中でない場合に
は、そのままステップ211へ移行する。
ステップ209又はステップ210から移行してステップ21
1においては、水温センサ24の検出信号に基づき、冷却
水温THWを取込む。そして、ステップ212において、取込
まれた冷却水温THWにより水温補正係数KTHWを算出す
る。この水温補正係数KTHWは第9図のマップに従って求
められる。
又、ステップ213において、求められた水温補正係数K
THWに今回の処理周期における基本燃料付着補正量FMW1
を乗算し、その結果を今回の処理周期における最終的な
燃料付着補正量FMWとする。
そして、最後にステップ214において、第4図のフロ
ーチャートで求められた基本噴射量TPに適合値である定
数FK1を乗じ、燃料付着補正量FMWを加算して、その結果
を最終的な燃料噴射量TAUとして求め、その後の処理を
一旦終了する。
上記のように、この実施例の燃料噴射量制御装置で
は、各インジェクタ6A〜6Dから供給さる燃料が各吸気マ
ニホルド2a〜2dの壁面等に付着することを前提として、
その燃料付着分やその蒸発分を補正しながら所要の燃料
噴射量TAUを決定するようにしている。しかも、第10図
に示すように、エンジン1の負荷変化率に相当するスロ
ットルバルブ8A〜8Dの開度変化分ΔTAの大きさに反比例
した燃料付着補正量FMWの関係を予め定めてなる不感帯
域FMWFKを設けている。そして、その不感帯域FMWFKを基
準にして、燃料付着補正量FMWによる基本噴射量TPの補
正を行うか否かを判断している。
従って、負荷変化率の大きい、即ち開度変化分ΔTAの
大きい運転過渡時には、第10図に示すように不感帯域FM
WFKが狭くなり、燃料付着補正量FMWが微小であっても、
その補正量FMWによって基本噴射量TPが補正されて燃料
噴射量TAUが決定される。つまり、スロットル開度TAが
急激に変化するような運転過渡時には、吸気マニホルド
2a〜2dにおける燃料付着量QMWを考慮して基本噴射量TP
を確実に補正して燃料噴射量制御を行うことができる。
一方、負荷変化率の小さい、即ち開度変化分ΔTAの小
さい運転通常時には、第10図に示すように不感帯域FMWF
Kが広くなり、燃料付着補正量FMWが微小である場合に
は、その補正量FMWによる基本噴射量TPの補正が解除さ
れる。つまり、スロットル開度TAの変化が微小な運転通
常時には、吸気マニホルド2a〜2bにおける燃料付着量QM
Wを無視して燃料噴射量制御が行なわれる。即ち、エン
ジン1の低負荷運転域や低回転運転域において、スロッ
トル開度TAが微小に変動するような負荷変動や回転数変
動が微小な場合には、燃料付着補正量FMWによる基本噴
射量TPの補正が禁止されるのである。
従って、燃料付着補正量FMWが燃料噴射量TAUに反映さ
れなくなり、スロットル開度TAが緩やかに変化するだけ
の緩加速時や定常時には、燃料付着補正量FMWによって
燃料噴射量TAUがバタツクことがなくなる。その結果、
燃料付着補正量FMWが原因で加速サージや定常サージが
起こることがなくなり、ドライバビリティの悪化を防止
することができる。
又、この実施例の燃料噴射量制御装置では、基本燃料
付着補正量FMW1が水温補正係数KTHWによって補正される
前に、燃料噴射量補正量FMWが不感帯域FMWFKの中である
か否かを判断している。このため、燃料付着補正量FMW1
によって基本噴射量TPの補正を行うか否かの判断が、冷
却水温THWの影響を受けることがなくなる。従って、特
に冷却水温THWの低い時における燃料噴射量TAUがバタツ
ギを防止することができ、サージを防止して良好なドラ
イバビリティを得ることができる。
尚、この発明は前記各実施例に限定されるものではな
く、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を
適宜に変更して次のように実施することもできる。
(1)前記実施例では、吸気量相当値測定手段として可
動ベーン式のエアフローメータ22を使用したが、この他
に熱線式やカルマン渦式のエアフローメータを使用した
り、或いは吸気圧力を測定する吸気圧センサを使用した
りしてもよい。
(2)前記実施例では、負荷変化検出手段としてスロッ
トル開度の変化を検出するスロットル開度センサ21を使
用したが、エンジン回転数NEの変化を検出する回転数セ
ンサ25を使用することもできる。
(3)前記実施例では、燃料付着量QMWを算出するため
に、エアフローメータ22によって測定される吸気流量GA
に基づき別途算出される最終吸気流量GNENDを使用した
が、エアフローメータ22によって検出される吸気流量GA
を直接使用してもよい。
(4)前記実施例では、4気筒のエンジン1に具体化し
たが、それ以外の気筒数のエンジンに具体化してもよ
い。
(5)前記実施例では、独立スロットル式のエンジン1
に具体化したが、独立スロットル式ではない通常のエン
ジンに具体化することもできる。
[発明の効果] 以上詳述したようにこの発明によれば、演算された基
本燃料付着補正量と負荷変化量との関係が、負荷変化量
の大きさに反比例した不感帯内に基本燃料付着補正量が
あるか否かを判断し、その判断結果が不感帯内でない場
合には、燃料付着補正量による基本噴射量の補正を許容
し、判断結果が不感帯内である場合には、燃料付着補正
量による基本噴射量の補正を禁止しているので、負荷変
化量の大きい運転過渡時には、吸気系における燃料付着
量を確実に補正することができ、負荷変化量の小さい定
常時等には、吸気系における燃料付着量の補正を解除し
てサージを防止することができるという優れた効果を発
揮する。
特に、本発明では、水温補正を行う前の基本燃料付着
量に基づいて基本噴射量の補正を行なうか否かを判定し
ているため、水温が低い時の燃料噴射量のバタツキが防
止できる。
さらに、負荷変化量が微少な場合には、不感帯を広く
しているため、負荷変化量が穏やかに変化しただけで、
燃料付着量によって燃料噴射量がバタツクことを防止で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の基本的構成を示す図、第2図〜第10
図はこの発明を具体化した一実施例に係る図であって、
第2図は内燃機関の燃料噴射量制御装置を適用したガソ
リンエンジンシステムの概略構成図、第3図はその電気
的構成を示すブロック図、第4図はその燃料噴射量制御
装置により実行される基本噴射量の演算処理を説明する
フローチャート、第5図は運転過渡時における最終吸気
流量の演算を説明するタイムチャート、第6図は燃料噴
射量制御装置により実行される燃料噴射量制御を説明す
るフローチャート、第7図は燃料付着量を求めるための
エンジン回転数と最終吸気流量をパラメータとする3次
元マップ、第8図はエンジン回転数に対する回転数補正
係数を示すマップ、第9図は冷却水温に対する水温補正
係数を示すマップ、第10図はスロットルの開度変化分と
燃料付着補正量との関係における不感帯域を説明する図
である。 図中、M1は内燃機関、M2は吸気系、M3は燃料噴射手段、
M4は吸気量相当値測定手段、M5は機関回転数検出手段、
M6は付着量演算手段、M7は付着補正量演算手段、M8は噴
射量演算手段、M9は負荷変化検出手段、M10は負荷変化
率演算手段、M11は不感帯域判断手段、M12は補正制御手
段、1は内燃機関としてのエンジン、2は吸気系を構成
する吸気通路、6A〜6Dは燃料噴射手段としてのインジェ
クタ、21は負荷変化検出手段としてのスロットル開度セ
ンサ、22は吸気量相当値測定手段としてのエアフローメ
ータ、25は機関回転数検出手段としての回転数センサ、
30は付着量演出手段,付着補正量演算手段,噴射量演算
手段,負荷変化率演算手段,不感帯域判断手段及び補正
制御手段を構成するECUである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の吸気系に燃料を噴射する燃料噴
    射手段と、 前記吸気系における吸気量相当値を測定する吸気量相当
    値測定手段と、 前記内燃機関の回転数を検出する機関回転数検出手段
    と、 前記測定された吸気量相当値と前記検出された内燃機関
    の回転数とに基づき、前記吸気系における定常時の燃料
    付着量を逐次演算する付着量演算手段と、 今回演算された前記燃料付着量と前回演算された燃料付
    着量との差分に基づき、基本燃料付着補正量を演算する
    基本付着補正量演算手段と、 前記演算された基本燃料付着補正量に水温補正し、燃料
    付着補正量を演算する付着補正量演算手段と、 前記演算された燃料付着補正量により基本噴射量を補正
    して、前記燃料噴射手段からの所要の燃料噴射量を演算
    する噴射量演算手段と を備えた内燃機関の燃料噴射量制御装置において、 前記内燃機関の負荷変化を検出する負荷変化検出手段
    と、 前記検出された負荷変化に基づいてその時々の負荷変化
    量を演算する負荷変化量演算手段と、 前記演算された基本燃料付着補正量と前記演算された負
    荷変化量との関係が、前記負荷変化量の大きさに反比例
    した不感帯内に前記基本燃料付着補正量があるか否かを
    判断する不感帯域判断手段と、 前記判断結果が前記不感帯内でない場合には、前記噴射
    量演算手段における前記燃料付着補正量による前記基本
    噴射量の補正を許容し、前記判断結果が前記不感帯内で
    ある場合には、前記噴射量演算手段における前記燃料付
    着補正量による前記基本噴射量の補正を禁止する補正制
    御手段と を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装
    置。
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