JP2826710B2 - 2眼式立体画像表示方法 - Google Patents

2眼式立体画像表示方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は2眼式立体画像表示方
法に関し、特に、カメラなどにより撮影された複数の実
画像やコンピュータグラフィクスにより作成された複数
の画像をレンティキュラーレンズや偏光スクリーンなど
に投影することによって立体画像を表示するような2眼
式立体画像表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は偏光スクリーンを用いた従来の2
眼式立体画像表示装置を示す図であり、図7はレンティ
キュラーレンズを用いた2眼式立体画像表示装置を示す
図である。
【0003】図6において、CRTディスプレイ1,2
はその表示面が90度で直交するように設けられ、それ
ぞれの表示面に偏光板3,4が設けられる。さらに、C
RTディスプレイ1に表示された画像を通過させ、CR
Tディスプレイ2に表示されて画像を反射させるための
ハーフミラー5がCRTディスプレイ1,2のそれぞれ
の表示面に対して45度の角度で配置される。観察者7
は偏光眼鏡6をかけ、この偏光眼鏡6を介してCRTデ
ィスプレイ1,2に表示された視差のある画像を見るこ
とにより、立体表示を観察することができる。
【0004】一方、図7に示した例では、液晶ディスプ
レイ8の前面にレンティキュラーレンズ9が設けられ、
液晶ディスプレイ8に左右の視差のある画像が表示さ
れ、観察者7はレンティキュラーレンズ9を介して液晶
ディスプレイ8に表示された視差のある画像を見ること
によって、立体表示を観察することができる。
【0005】図8は立体画像の視点を説明するための図
である。立体感を得るためには、図8に示すように、呈
示画像には左右の眼の位置L,Rを視点として撮影され
た1組の画像、あるいは投影面Ps に射影したコンピュ
ータグラフィック画像が用いられる。また、投影面Ps
の左右画像の呈示範囲は一般に等しい。前述の図6およ
び図7に示した従来の方法を用いた場合、投影面Ps
りも奥にある物体O21,O22については正しく奥行感を
再現できる。すなわち、図8において正しい立体画像を
再現できる領域は面P1 を囲む太線枠内にある。しか
し、遮蔽物体の奥にある画像については、単眼のみに見
える部分を含んでいても、人間は通常周囲の部分の位置
関係から正しい奥行を推定できる。したがって、この場
合物体O22についても正しい奥行を知覚できると考えら
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、投影面P
よりも前方にある物体O11,O12については必ずし
も正しい奥行きを再現できない。具体的には、全体が表
示されている物体O11の奥行きは正しく知覚される
が、物体O12のように物体の一部が片眼のみに投影さ
れ、他方の眼には投影面上の画枠で遮蔽される状態で
は、その物体が本来の面Pに知覚されず、投影面P
と同一あるいは面Pと投影面Pとにまたがる傾いた
面上にあるように知覚される状態が生じる。そのため、
投影面よりも前方にある物体を含むシーンでは、本来投
影面より前方に飛び出して知覚されるべき物体が、周辺
部分において正しい奥行きに知覚されない画枠歪が生じ
るという問題点があった。
【0007】それゆえに、この発明の主たる目的は、上
述の立体感の画枠歪を除去し、投影面よりも前方の物体
の奥行感を正しく再現し得る2眼式立体画像表示方法を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
両眼視差表示画面である投影面に左右画像を呈示する2
眼式立体画像表示方法であって、仮想的に発生させた画
枠などの遮蔽物に変換して、左右の画像を表示するため
の画像信号を生成する際に、投影面よりも観測者側の空
間においては左右の視点と、投影面とによって生成され
る左右の視野空間の論理積により生成される空間のみを
左右の画像の生成領域とし、投影面以遠の空間において
は、左右それぞれの視点と投影面を結ぶ立体角内に生ず
る視野空間を左右それぞれの画像の生成領域として、投
影面以遠の物体の左右の画像の非対応点を除去すること
により、画枠歪を除去するように構成される。
【0009】請求項2に係る発明では、左右の画像を投
影したステレオ画像より個々の物体の視差を計算して請
求項1の空間を再構成する。
【0010】請求項3に係る発明は、両眼視差表示画面
である投影面に左右の画像を呈示する2眼式立体画像表
示方法において、左右の画像を投影して表示する際に、
投影面よりも手前に正しく融合して知覚されるように視
差を与えた遮蔽物の左右画像を仮想的に発生し、本来表
示すべき左右画像の一部分を仮想的に発生させた遮蔽物
に置換することにより、投影面上で左右画像の領域を一
致させることなく、投影面上において右眼用の画像は相
対的に左側の表示領域を拡大し、左眼用の画像は相対的
に右側の表示領域を拡大し、その結果として投影面より
も前方でありかつ遮蔽物よりも後方に存在する物体の左
右像を、自然界において前方にある遮蔽物に遮蔽された
物体を観視する場合と同様の単眼領域(両眼非対応領
域)を含んだ状態で表示することにより、投影面よりも
前方に存在する物体の奥行歪を除去あるいは減少するよ
うにしたものである。
【0011】
【作用】この発明に係る2眼式立体画像表示方法は、投
影面より前方にある物体に対し、画枠によって蹴られを
生じないように対応点を正しく計算するか、あるいはあ
たかも最前面隠蔽物体があるかのように見せかける方法
により、物体を正しい位置関係で知覚することができる
ようになり、従来問題であった奥行の歪を除去すること
が可能となる。
【0012】
【実施例】図1はこの発明の原理を説明するための図で
あり、図2は図1において例示した物体を左右の投影像
に展開した例を示す図であり、図3は撮影画像を削除す
る方法の原理を示す図である。図2において、左右の画
枠FL ,FR は、両眼融合されて投影面Ps 上に知覚さ
れる。一方、物体O12の右側すなわち、x3 〜x2の区
間は左右ともに画像が観測者に呈示されるが、x2 〜x
1 の区間は左眼の画像のみ呈示される。本願発明者らの
実験では、左眼の画像をx1 ,右眼の画像をx2 の点で
切断した場合、枠Fの有無にかかわらず、人間は左右画
面のそれぞれの左端点x1L,x2Rを本来の対応点でない
にもかかわらず対応点として知覚することが判明した。
その結果、物体O12は左側が視差0の面(投影面P
s 上)、一方右側は前面P1 にあると知覚され、全体と
して傾いて知覚される。この誤対応を防止するには、左
眼の画像IL のx1L〜x2L区間を削除する必要がある。
不要部分を表示から削除することにより、物体O12のx
3 〜x2 の区間のみが左右眼に対応して呈示されるた
め、物体O12は正しく前面P1 上に知覚される。このよ
うに、投影面Ps よりも前面P1 の物体の対応点のみを
表示させるためには、大きく分けて2通り方法がある。
【0013】第1の方法は、物体の位置が明らかである
コンピュータグラフィクスの場合、あるいは撮影された
画像から何らかの方法で左右の対応関係が求められる場
合に対応できる。図1において、a1 ,a2 ,c1 ,c
2 ,c3 ,c4 で囲まれる楔形の内部に入れば表示し、
それ以外の部分を削除する。すなわち、投影面Ps より
も観測者側の空間においては、左右の視点L,Rと投影
面Ps とによって生成される左右の視野空間の論理積に
より生成される空間のみを左右の画像の生成領域とす
る。なお、物体が投影面Ps よりも奥の面P2 にある場
合は、投影面Psに投影されるすべての部分を表示する
必要がある(通常の遮蔽条件)。ここでは、物体それぞ
れの奥行に対応して不要部分を削除することが可能とな
り、投影面Ps よりも手前の部分に存在する物体が正し
く配置される。
【0014】第2の方法は、物体の奥行き位置が明らか
でない場合に対応できる。図3において想定する最近接
面をPとする。図3では省略するが、投影面Pより
も前方の面にある物体O11,O12は、一般的に最近
接面Pよりも後方に存在する。最近接面Pに隣接す
る単眼領域PNL,PNRにあたかも遮蔽物体があるか
のように知覚させるために、単眼領域PNL,PNR
部分を撮影画像ではなく仮想的に発生させた画枠などの
遮蔽物(バーチャルフレームVF)に置換して投影面P
上に表示する。観察者がこの仮想的に発生させた画枠
などの遮蔽物を奥行きを含めて正しくPNL,PNR
位置に正しく知覚することが可能なようにするために
は、投影面P上に左右の対応画像が必要である。ただ
し、図3において、c,c,c,cで囲んで示
される領域は図1に示す従来方式と同じに示してあるの
で、新たに生成した画像のすべてを図示することはでき
ないが、図3におけるc,c,c′,c′(左
眼部分のみを図示する;右眼部分は投影面P上の左外
側に隣接する)およびc′,c′,c,c(右
眼部分のみを図示する;左眼部分は投影面P上の右外
側に隣接する)がこれに相当する。したがって、第2の
方法を実現するためには、図1に示した従来方法と比較
して表示面の大きさを少なくとも左右方向に拡大する必
要が生じるが、その結果として新たに生成した仮想的な
遮蔽物を最近接面Pの奥行きに人間に知覚させること
ができる。また、撮影画面に関して言えば、右眼用の画
像は相対的に左側の表示領域を拡大し、左眼用の画像は
相対的に右側の表示領域を拡大することになる。このよ
うにすることにより、投影面Pよりも前方かつ前記の
遮蔽物が存在する面Pよりも後方に存在する物体の左
右像を、自然界において前方にある遮蔽物に遮蔽された
物体を観視する場合と同様の単眼領域(両眼非対応領
域)を含んだ状態で表示することが可能になり、幾何学
的には通常の半遮蔽と同様の状態を作り出すことができ
る。
【0015】以上述べたように、投影面Ps より前方に
ある物体に対し、画枠によって蹴られを生じないよう
に対応点を正しく計算するか、あるいはあたかも最前
面隠蔽物体があるかのように見せかけるいずれかの方法
により、人間は物体を正しい位置関係で知覚することが
できるようになり、従来問題であった奥行の歪を除去す
ることが可能になる。
【0016】ここで、について完全に補正されなかっ
た場合の作用について説明する。まず、想定最前面より
もさらに物体が前に来た場合には、想定最前面の画枠が
従来方法における実投影面の画枠と同様の作用をするこ
とになる。この場合においても、従来方法に比べて投影
面が近接しているので奥行歪の量が減少する。次に、単
眼領域(C1 ,C2 ,C2 ′,C1 ′およびC4 ′,C
3 ′,C3 ,C4 )に画枠を表示するのではなく、単に
画像を削除した場合の効果について説明する。最前面P
1 上の物体は正しい位置関係になるが、最前面P1 より
も奥に位置する物体の場合、削除すべき部分を必要以上
に削除することになり、逆に画枠と接する部分が最前面
1 の面まで前に飛出て知覚される場合がある。このよ
うに、単に画像を一部削除しただけでは逆効果を生じる
が、想定最前面P1 を真の最前面と実投影面の中間に設
定することにより、歪の生じ方を前後方向の中間的な値
に設定することが可能となり、この場合も相応の歪低減
効果を期待することができる。
【0017】図4はこの発明の一実施例を示す図であ
る。次に、図4を参照して、あたかも撮影画像の最前面
に隠蔽物体があるかのように見せかける場合の実施例に
ついて説明する。図4において、投影面Ps は投影物体
と実物体の視差の急激な変化を避けるためにやや大きく
とってある。図4(b)に示す左右の画像IL ,IR
用いて、図4(a)の鳥瞰図に示すように、知覚的には
バーチャルフレームVFが実投影面Ps の前方空間に浮
かんでいるような状態を実現する。幾何学的に正しい隠
蔽条件を作り出すためにはバーチャルフレームVFの幅
(厳密には角度)を図3におけるc1 ,c1 ′(あるい
はc4 ′,c4 )と同一またはそれ以上にとる必要があ
る。しかし、バーチャルフレームVFの幅はそれ以下で
も実用上には差支えないと考えられる(幅の減少により
少しずつ物体が後退する)。
【0018】このように、バーチャルフレームVFを表
示することにより、バーチャルフレームVFよりも奥に
位置するすべての物体は実投影面Ps より手前にあって
も正しい奥行に知覚させることができる。
【0019】図5はこの発明の他の実施例を示す図であ
る。この図5に示した実施例は、左側のバーチャルフレ
ームVFL の左端および右側のバーチャルフレームVF
R の右端をそれぞれ枠だけではなく覆いのように見せか
けるように作成したものである。バーチャルフレームは
図5に示すものに限ることなく、その他の変形例も考え
られる。
【0020】なお、コンピュータグラフィック画像にお
ける領域削除については、計算により領域を判定する方
法を具体化すればよいので、その実施例についての説明
を省略する。
【0021】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、投影
面より前方にある物体に対して、投影面の画枠によって
蹴られを生じないように対応点を正しく計算するかある
いは最前面遮蔽物体、すなわちバーチャルフレームがあ
るかのように見せかける方法により、物体を正しい位置
関係で知覚することが可能となり、奥行の歪を除去する
ことができる。また、この発明を応用することにより、
実投影面と観察者の物理的な距離を大きくとりつつ適正
距離に仮想立体スクリーンを投影することができるの
で、大きな部屋に壁掛立体テレビを設置する場合などに
特に有効であると考えられる。また、この発明を実施す
るにあたり、バーチャルフレームの位置を観察者の好み
により可変できるようにすること、呈示する画像により
予め定められた位置に自動的に設定するようにするこ
と、画像の内容を計測して適応的に設定すること、コン
ピュータグラフィック/実写により枠(バーチャルフレ
ーム)の表示/非表示を自動的に切換えること、あるい
は枠の色,模様などを変化させることなどを考えること
ができる。
【0022】なお、上述の説明においては、全て2眼式
の立体画像表示方法の原理に基づいて説明したが、多眼
式レンティキュラーレンズ方式においても基本原理は同
じであるので、この発明を適用すれば、全く同様の効果
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の原理を説明するための図である。
【図2】図1において例示した物体を左右の投影像に展
開した例を示す図である。
【図3】撮影画像を削除する方法の原理を示す図であ
る。
【図4】この発明の一実施例を示す図である。
【図5】この発明の他の実施例を示す図である。
【図6】偏光スクリーンを用いた従来の2眼式立体画像
表示装置を示す図である。
【図7】レンティキュラーレンズを用いた従来の2眼式
立体画像表示装置を示す図である。
【図8】立体画像の視点を説明するための図である。
【符号の説明】
L 左眼 R 右眼 P1 ,P1L,P1R 投影面より手前の面 Ps 投影面 P2 ,P2L,P2R 投影面より奥の面 O111 上の物体 O121 とP1Lにまたがる物体 O212 上の物体 O222 とP2Lにまたがる物体 F 画枠 VF バーチャルフレーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 27/22 H04N 13/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両眼視差表示画面である投影面に左右の
    画像を呈示する2眼式立体画像表示方法において、 前記左右の画像を表示するための画像信号を生成する際
    に、前記投影面よりも観測者側の空間においては左右の
    視点と前記投影面とによって生成される左右の視野空間
    の論理積により生成される空間のみを左右の画像の生成
    領域とし、 前記投影面以遠の空間においては左右それぞれの視点と
    投影面を結ぶ立体角内に生ずる視野空間を左右それぞれ
    の画像の生成領域として、前記投影面以遠の物体の左右
    の画像の非対応点を除去することにより画枠歪を除去す
    ることを特徴とする、2眼式立体画像表示方法。
  2. 【請求項2】 前記左右の画像を投影したステレオ画像
    より個々の物体の視差を計算して前記空間を再構成する
    ことを特徴とする、請求項1の2眼式立体画像表示方
    法。
  3. 【請求項3】 両眼視差表示画面である投影面に左右の
    画像を呈示する2眼式立体画像表示方法において、 前記左右の画像を投影して表示する際に、投影面よりも
    手前に正しく融合して知覚されるように視差を与えた遮
    蔽物の左右画像を仮想的に発生し、本来表示すべき左右
    画像の一部分を仮想的に発生させた遮蔽物に置換するこ
    とにより、前記投影面上で左右画像の領域を一致させる
    ことなく、前記投影面上において右眼用の画像は相対的
    に左側の表示領域を拡大し、左眼用の画像は相対的に右
    側の表示領域を拡大し、その結果として投影面よりも前
    方でありかつ前記遮蔽物よりも後方に存在する物体の左
    右像を、自然界において前方にある遮蔽物に遮蔽された
    物体を観視する場合と同様の単眼領域(両眼非対応領
    域)を含んだ状態で表示することにより、投影面よりも
    前方に存在する物体の奥行歪を除去あるいは減少するこ
    とを特徴とする、2眼式立体画像表示方法。
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