JP2826259B2 - プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法Info
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Description
有しかつプレス加工性に優れた高張力冷延鋼板の製造方
法に関するものである。
燃費、さらには環境汚染対策などの面から、その軽量化
が進められている。具体的な手段の一つとして、鋼板の
高張力化による板厚の薄肉化があり、とくに引張り強さ
(T.S.)が 300 MPaから 400〜490 MPa 程度への強化は
設備改造の負担も小さいためにニーズが高い。しかしな
がら、高張力化は一般に、加工性, すなわち延性やr
値、伸びフランジ性の劣化をもたらすことが指摘されて
いた。また、薄肉化のためには、耐食性の向上も併せて
必要とされ、そのため良好なめっき処理性も要求され
る。現在、かかる自動車用鋼板のめっき処理としては、
コストが低い溶融亜鉛めっきが主流である。
化させことなく高張力化を図る試みが、以下に述べるよ
うに幾つか提案されているが、いずれも解決すべき課題
を残していた。 (1) 強化元素添加極低炭素鋼(例えば特開平3−199312
号公報) この鋼は、一般に強度−r値のバランスが良く、伸びフ
ランジ性も標準的であるが、延性はやや非力である。ま
た、熱延板が硬質であるにもかかわらず高圧下冷延(圧
下率:60%以上) を必要とするので、設備への負担が大
きい。さらに、極低炭素鋼に合金元素を多量に添加する
ので、溶融亜鉛めっきが極めて難しい。加えて、強化元
素、強冷延圧下、高温焼鈍などのためコスト高でもあ
る。
3415号公報) この鋼は、一般に強度−延性のバランスが良く、r値も
1.0程度であるが、マルテンサイトを含む複合組織とな
るために伸びフランジ性は低い。また、複合組織化のた
めに急冷を必要とするので、溶融亜鉛めっき処理には不
適である。さらに、第2相形成促進元素を十分添加でき
るT.S.:550 MPa 以上の鋼板は安定して製造できるが、
それ以下のT.S.では冷却速度の厳しい管理が必要であ
る。
好なr値を必要とする深絞り成形には鋼(1) が、また良
好な延性を必要とする張出成形には鋼(2) が、ただし穴
拡げ等の伸びフランジ加工が入る場合には鋼(1) が、使
用されることが多い。しかしながら、いずれの鋼板も溶
融亜鉛めっき処理性に難点を残していた。さらに、現実
の成形加工処理では、深絞り、張出しおよび伸びフラン
ジが混在した成形がほとんどであることから、各特性の
バランスがとれた鋼板が必要となるわけであるが、現在
までのところ、上記の要望を満足するバランスの良い鋼
板はまだ開発されていない。
問題解決の一助となる鋼板の有利な製造方法を提案しよ
うとするものであり、具体的には、T.S.:400 〜540 MP
a 程度の高い引張り強さを有し、また延性および深絞り
性に優れかつr値も比較的良好(0.9以上確保)で、しか
も溶融亜鉛めっきにも適した高張力冷延鋼板の製造方法
を提案することを目的とする。
である。 を含有し、残部は実質的にFeの組成になる鋼スラブを、
熱間圧延後、30〜48%の圧下率で冷間圧延し、ついで 7
50〜850 ℃の温度にて連続焼鈍を施すことを特徴とす
る、プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法
(第1発明)。 2.上記した第1発明において、鋼スラブの成分組成
が、さらに B:0.0005〜0.0050wt% を含有する組成であるプレス成形性に優れた高張力冷延
鋼板の製造方法(第2発明)。 3.上記した第1発明において、鋼スラブの成分組成
が、さらに Cu, Ni, Cr, Mo, Nb, TiおよびVのうちから選んだ1種
または2種以上:0.01〜2.0 wt%を含有する組成である
プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法(第3
発明)。 4.上記した第1発明において、鋼スラブの成分組成
が、さらに B:0.0005〜0.0050wt%並びに Cu, Ni, Cr, Mo, Nb, TiおよびVのうちから選んだ1種
または2種以上:0.01〜2.0 wt%を含有する組成である
プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法(第4
発明)。
の範囲に限定したことにある。というのは、C量が上記
の範囲では、通常の連続焼鈍炉(CAL)および連続溶
融亜鉛めっきライン(CGL)における冷却速度(2〜
25℃/s)でフェライト+パーライト型組織が形成され、
良好な強度−延性バランス、強度−伸びフランジ性バラ
ンスが得られるからである。また、Cが上記の範囲で
は、強化元素の粒界拡散による表面濃化が効果的に抑制
されるので、不めっき等のめっき欠陥も発生しにくくな
る利点もある。なお、C含有量が0.10wt%未満では、セ
メンタイトの析出ポテンシャルが不足するため、降伏伸
び(Y.El)が発生し易くなる。
方でr値の低下を招く不利がある。そこで、この発明で
は、上記したようなr値の低下を、以下に述べるよう
に、製造工程とくに冷延工程に工夫を加えることによっ
て改善したのであり、この点がこの発明の第2の特長で
ある。
n:0.6 wt%, Al:0.042 wt%, P:0.010 wt%, S:
0.0018wt%, N:0.0021wt%およびB:0.0009wt%を含
有し、残部が実質的にFeである組成の連続鋳造スラブ
を、スラブ加熱温度 (SRT):1200℃、熱延終了温度 (FD
T):890 ℃、コイル巻取り温度(CT):450 ℃の条件で熱
間圧延したのち、種々の圧下率で冷間圧延を施して最終
板厚:1.6 mmに仕上げ、ついで加熱温度:800 ℃、冷却
速度:10℃/sの条件下に連続焼鈍を施したのち、圧下
率:1.2 %の調質圧延を施して得た冷延板の、冷延圧下
率とr値との関係について調べた結果を示す。同図に示
したとおり、冷延圧下率が30〜48%の範囲であれば、r
値≧0.9 を確保することができる。
囲に制限することによってr値が改善される理由につい
ては、まだ明確に解明されたわけではないが、次のよう
に推察される。すなわち、一般に冷延圧下率を高くする
ほど (111)集合組織が焼鈍時に発達し、r値は上昇す
る。しかしながら、あるレベルたとえば低炭素鋼板では
圧下率が60〜70%を超えると、 (111)以外の集合組織が
焼鈍時に優勢になり、逆にr値は下降する。本成分系で
は、このr値が最大となる圧下率が40%付近にあるもの
と考えられる。
をそれぞれ、表2に示す条件下に製造し、得られた各
鋼板の材質を比較して表3に示す。なお、従来鋼は極
低炭素鋼、従来鋼は低炭素複合組織鋼である。ここ
で、T.S.、Y.S.、Elおよびr値とも、常法に従い、圧延
方向、圧延直角方向、圧延45°方向×2の平均値をとっ
た。また伸びフランジ性はサイドベンド伸び (SB) で表
した。すなわち、50mm×150mm の試験片を剪断後、無手
入れで長辺に沿って曲げて伸びを測定し、圧延方向およ
び圧延直角方向の平均値をとった。なお、強度−延性バ
ランスはT.S.×El、強度−伸びフランジ性バランスはT.
S.×SBで表した。
鋼に比べ、強度−延性バランスおよび強度−伸びフラ
ンジ性バランスが優れている。また、冷延圧下率、焼鈍
温度などについても、発明鋼の方が設備に負担がかから
ないという利点がある。また、発明鋼は、従来鋼に比
べ、強度−伸びフランジ性バランスおよびr値で優れ、
また、焼鈍後急冷を必要としない点でも有利である。
を前記の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.10〜0.25wt% 前述したとおり、Cを0.10wt%以上添加することによ
り、通常のCAL,CGLでフェライト+パーライト型
組織が形成されるため、優れた強度−延性バランスおよ
び強度−伸びフランジ性バランスが得られる。また、強
化元素の粒界拡散による表面濃化が効果的に抑制される
ので、めっき性も改善される。この点、C含有量が0.10
wt%に満たないと、セメンタイトの析出ポテンシャルが
不足して降伏伸び (Y.El) が発生し易く、一方0.20wt%
を超えると、r値、伸びフランジ性などの劣化を招く。
なお、最も材質バランスが良いC量の範囲は、0.12〜0.
18wt%である。
添加すると、熱延時に堅固な表面酸化物 (スケール) を
生成して酸洗工程が困難になるので、 3.0wt%以下の範
囲に限定した。なお、溶融亜鉛めっき鋼板とする場合に
は、不めっき防止の点から0.50wt%以下とするのが望ま
しい。
超えて添加すると、r値、伸びへの悪影響が顕著になる
ので、 2.0wt%以下の範囲で含有させるものとした。下
限については特に限定しないけれども、この元素は安価
であり、また溶融亜鉛めっき性への悪影響も少ないの
で、 0.4 wt %以上の添加が望ましい。
を必要とするが、添加コストを考慮して上限を0.20wt%
とした。
えて添加すると、脆性破壊を起こし易くなるので、 0.2
wt%以下に制限した。なお、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
とする場合には、合金化時における焼けむら防止の観点
から、0.04wt%以下とすることが望ましい。
で極力低減することが望ましく、 0.010wt%以下までの
低減が最低限必要である。とくに、0.0030wt%以下まで
低減した場合には、極めて優れた延性および伸びフラン
ジ性を得ることができる。
発明では、さらに以下の元素を添加することもできる。 B:0.0005〜0.0050wt% Bは、BNの形成により、フェライト+パーライト組織
の形成を促進し、時効の抑制および降伏伸び (Y.El) の
一層の低減に有効に寄与する。この効果を得るには、少
なくとも0.0005wt%の添加が必要であるが、0.0050wt%
を超えるとこの効果は飽和に達するだけでなく、r値の
低下を招くので、0.0005〜0.0050wt%の範囲で含有させ
るものとした。
wt% これらの元素はいずれも、強度の向上に有効に寄与する
が、0.01wt%に満たないと十分な効果が得られず、一方
2.0wt%を超えるとr値や延性の劣化を招くので、単独
添加または複合添加いずれの場合も0.01〜2.0 wt%の範
囲で含有させるものとした。
る。 ・鋳造工程 鋳造手段はとくに限定されることはないが、介在物が少
ない連続鋳造が好ましく、このときの鋳込み速度は 1.0
〜1.5 m/min 程度が好適である。 ・スラブ(再) 加熱温度 (SRT) スラブは、再加熱有りまたは再加熱なしで熱延しても、
どちらでも構わないが、熱延仕上げ温度:850 ℃以上を
確保するためには、1100℃以上で熱延を開始することが
望ましい。一方、製品の延性の面からは、熱延を1250℃
以下で開始する方が好適である。 ・熱延仕上げ温度 (FDT) 熱延仕上げ温度は、所定のr値を確保する上からは、 A
r3変態点以上すなわち850 ℃以上とするのが望ましく、
同じくr値確保の面から 950℃以下で熱延を終了するこ
とが望ましい。 ・コイル巻取り温度 (CT) この発明では、コイル巻取り温度はとくに制限されるこ
とはないが、延性および伸びフランジ性の面からは 500
℃以下の低温で巻き取る方が有利である。 ・冷延圧下率 既に述べたように、良好なr値を確保する上から、この
発明では冷延圧下率を30〜48%に限定することが肝要で
あり、かくして 0.9以上のr値が保証されるのである。 ・焼鈍温度 焼鈍温度は、再結晶温度以上、 Ac3点以下、とくに 750
〜850 ℃程度が好ましく、この温度範囲で焼鈍した場合
に、最も良好なr値が得られる。 ・焼鈍後冷却速度 焼鈍後冷却速度は、CALおよびCGLラインにおける
通常の条件である2〜25℃/s程度で問題はないが、Y.El
の抑制および延性・伸びフランジ性確保の面からは5〜
15℃/s程度が好適である。 ・めっき処理等 必要に応じて、上記の焼鈍に引き続きまたは焼鈍後再加
熱して、溶融めっき処理を施してもよい。めっき条件
は、常法に従えばよく、例えば溶融亜鉛めっき処理では
浴温:400 〜500 ℃程度が好ましい。また、溶融めっき
処理後に合金化処理を施すことにも問題ない。溶融亜鉛
めっきの合金化処理は、 500〜600 ℃が好適である。ま
た、電気めっき、有機被覆などの処理を焼鈍および/ま
たは焼鈍・溶融めっき処理の後に施してもよい。 ・調質圧延 調質圧延は、必須ではないが、板形状の改善およびY.El
の抑制の面からは 0.5〜1.5 %程度の圧延は有利であ
る。
5に示す条件下に処理し、冷延板とした。得られた各鋼
板の機械的諸性質について調べた結果を表6に示す。特
性の評価方法は、前掲表3の場合と同様である。
に従ったNo.1〜3(第1発明例)はいずれも、優れたT.
S.、El、r値および伸びフランジ性を示したが、冷延圧
下率が60%と適正範囲を超えたNo.4はr値が低かった。
また、No.1〜3の中では、低CT材であるNo.1〜2の方
が、No.3よりも延性および伸びフランジ性が一層優れて
いた。さらに、連続溶融亜鉛めっきラインを利用した場
合(No.2〜3)でも、何ら問題なくめっき処理を行うこ
とができた。B鋼も成分適合鋼であり、工程もこの発明
に従ったNo.5〜7(第2発明例)はいずれも、優れたT.
S.、El、r値および伸びフランジ性を示したが、冷延圧
下率が高すぎる(70%)No.8、および低すぎる(25%)
No.9はいずれも、r値が劣っていた。また、No.5〜7の
中では、低CT材であるNo.5〜6の方が、No.7よりも延性
および伸びフランジ性が一層優れていた。さらに、連続
溶融亜鉛めっきラインを利用した場合(No.6〜7)で
も、何ら問題なくめっき処理を行うことができた。ま
た、第1発明例であるNo.16 および第4発明例である N
o.10, 17は、優れたT.S.、El、r値および伸びフランジ
性を示した。さらに、第3発明例である No.11, 12, 18
も、優れたT.S.、El、r値および伸びフランジ性を示し
たが、低CTかつSが0.0030wt%以下であるA,B鋼を用
いた場合の方が、やや強度−延性バランスは良好であっ
た。
い場合(No.13)には、強度が不足し、Y.Elで示される時
効性も劣悪であった。また、C含有量が適正上限を超え
る場合(No.14)には、強度が過剰となり、延性、r値お
よび伸びフランジ性の劣化を招いた。とくにr値および
伸びフランジ性の低下が大きかった。さらに、S含有量
が 0.016wt%と適正上限を超えて多量に含有された場合
(No.15)には、延性の低下が大きかった。
T.S.が 400〜540 MPa と高く、また延性、深絞り性に優
れかつr値も比較的良好 (0.9 以上確保) で、しかも溶
融亜鉛めっき性にも優れた高張力冷延鋼板を安価に得る
ことができる。
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.10〜0.20wt%、 Si:3.0 wt%以下、 Mn:2.0 wt%以下、 Al:0.01〜0.20wt%、 P:0.2 wt%以下、 S:0.010 wt%以下 を含有し、残部は実質的にFeの組成になる鋼スラブを、
熱間圧延後、30〜48%の圧下率で冷間圧延し、ついで 7
50〜850 ℃の温度にて連続焼鈍を施すことを特徴とす
る、プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25038593A JP2826259B2 (ja) | 1993-10-06 | 1993-10-06 | プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25038593A JP2826259B2 (ja) | 1993-10-06 | 1993-10-06 | プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07102323A JPH07102323A (ja) | 1995-04-18 |
JP2826259B2 true JP2826259B2 (ja) | 1998-11-18 |
Family
ID=17207136
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP25038593A Expired - Fee Related JP2826259B2 (ja) | 1993-10-06 | 1993-10-06 | プレス成形性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法 |
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FR2844281B1 (fr) | 2002-09-06 | 2005-04-29 | Usinor | Acier a tres haute resistance mecanique et procede de fabrication d'une feuille de cet acier revetue de zinc ou d'alliage de zinc |
KR101918426B1 (ko) | 2014-11-12 | 2018-11-13 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 캔용 강판 및 캔용 강판의 제조 방법 |
JP6610067B2 (ja) * | 2015-08-05 | 2019-11-27 | 日本製鉄株式会社 | 冷延鋼板の製造方法及び冷延鋼板 |
-
1993
- 1993-10-06 JP JP25038593A patent/JP2826259B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH07102323A (ja) | 1995-04-18 |
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