JP2825554B2 - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents

塗料用樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、乾燥性と外観バランスがとれた、2液型ア
クリルウレタン塗料用樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
2液型アクリルウレタン塗料において、乾燥性の向上
はアクリルポリオールを主成分とする主剤に硝化綿やセ
ルロースアセテートブチレート(CAB)など、硬い樹脂
をフレンドするか、ポリオールの分子量を大きくすれば
実現できる。
しかし、この場合、塗料の粘度が高くなり、塗膜のフ
ロー性が低下するため外観は低下するし、作業性の点で
も劣る。また、硝化綿やCAB等は、アクリルポリオール
の組成物に制限があった。
外観のよい塗料を得るには、一般的には低分子量のア
クリルポリオールの様な塗膜のフロー性良好なハイソリ
ッド型が適用可能である。
しかし、アクリルポリオールが低分子量となると、乾
燥性は低下し、耐湿気性、耐落品性、耐候性の性能を低
下させる傾向にあった。
また、低分子量のため、塗装時、塗料がたれ易い欠点
を有していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
このように、乾燥性を上げれば外観が低下し、また外
観を上げれば、乾燥性が低下するという相反する傾向に
あり、乾燥性と外観のバランスのとれた塗料用樹脂組成
物が望まれた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上記の問題点を解決するため、鋭意検討し
た結果、2液型アクリルウレタン塗料において、主成分
であるアクリルポリオールとして、低分子量アクリルポ
リオールに高分子量アクリルポリオールを混合したもの
を用いることにより、乾燥性と外観のバランスがとれた
2液型アクリルウレタン塗料用樹脂組成物を開発でき、
漸く本発明を完成した。
即ち、本発明は、アクリルポリオールを主成分とする
主剤と、ポリイソシアネートである硬化剤とを使用時に
混合して用いる2液型アクリルウレタン塗料用樹脂組成
物において、該アクリルポリオールが、 (1)数平均分子量が7,000以下の低分子量アクリルポ
リオール(A)と (2)数平均分子量が10,000以上のアクリル高分子量ポ
リオール(B)を含有し、 (3)AとBの混合比率が、重量比で0.5≦(A)/
(B)≦9の範囲にある2液型アクリルウレタン塗料用
樹脂組成物である。
本発明に使用する低分子量アクリルポリオール(A)
としては、数平均分子量が7,000以下、好ましくは4,000
〜7,000が適当である。
低分子量アクリルポリオールの数平均分子量が4,000
未満では、十分な乾燥性が得られなく、7,000を越える
と外観が低下する傾向にある。
また、高分子量アクリルポリオール(B)としては、
数平均分子量が10,000以上、好ましくは、12,000〜20,0
00が適当である。
高分子量アクリルポリオールの数平均分子量が12,000
未満では、十分な乾燥性が得られなく、20,000を越える
と外観が低下し好ましくない。
低分子量アクリルポリオール(A)と高分子量アクリ
ルポリオール(B)の混合比率は重量比で、0.5≦
(A)/(B)≦9の範囲が適当である。
(A)/(B)が9を越えると、乾燥性が極端に遅く
なり、0.5未満では外観が低下する。
本発明で用いられるアクリルポリオールとしては、一
般にラジカル重合による溶液混合で合成された共重合体
が適当であり、例えば水酸基含有ビニルモノマーとアク
リル系モノマーを共重合させて得られる。
ここで水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えばア
クリル酸もしくはメタクリル酸と、炭素数2〜10のグリ
コールとのモノエステルが挙げられ、具体的には、ヒド
ロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリ
レート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシ
プロピルメタクリレート等を例示できる。
アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸も
しくはメタクリル酸のアルキル(炭素数1〜24)エステ
ル等が挙げられ、更にアクリル酸、メタクリル酸のよう
なカルボキシ基含有ビニルモノマー、アマイド系ビニル
モノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、スチレン
及びその誘導体、アクリロニトリル、ビニルトルエン、
塩化ビニル、酢酸ビニル等も併用できる。これらは単独
又は2種以上混合して使用される。
本発明において、上記アクリルポリオール単独が好ま
しいが、ポリエステルポリオール、エポキシポリオール
等他の成分も併用できる。
本発明で用いるアクリルポリオールとしては、その水
酸基価が好ましくは10〜150mg−KOH/g程度のもの、より
好ましくは30〜80mg−KOH/g程度のものを使用する。そ
の水酸基価が10mg−KOH/g未満では、得られる塗膜の耐
水性等が低下し、またそれが150mg−KOH/gを越えると、
密着性が低下する。
本発明に使用される硬化剤としてのポリイソシアネー
トとしては、通常用いられる公知のポリイソシアネート
なら何れも使用できる。
これ等ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサ
メチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシア
ネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアナト
メチル)シクロヘキサン(HXDI)等の、脂肪族又は脂環
族ジイソシアネート、或いは、トリレンジイソシアネー
ト(TDI)、ジフェニルメタンイソシアネート(MDI)、
p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジ
イソシアネート(XDI)、ジフェニルエーテルジイソシ
アネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジ
イソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)
等芳香族ジイソシアネート、又はクルードトリレンイソ
シアネート(クルードTDI)、ポリメチレンポリフェニ
レンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、トリフ
ェニルメタントリイソシアネート、トリス(フェニルイ
ソシアネート)チオフォスフェート等の芳香族ポリイソ
シアネート、及び上記のジイソシアネートモノマーのイ
ソシアヌレート変性体、ビューレット変性体、カルボジ
イミド変性体等のイソシアネート変性体が使用できる。
ポリオールとポリイソシアネートの配合比は、目的に
より種々選択できるが、本発明ではイソシアネート基
(NCO)と水酸基(OH)との当量比(NCO/OH)が0.7〜1.
5の範囲となるように構成するのが好ましい。
本発明の組成物には、更に錫化合物等の触媒を配合す
るのが好ましい。
上記の触媒としては、ウレタン化反応に通常用いられ
るものが使用できるが、錫系化合物が最も好ましい。
これらの化合物としては、例えば、ジブチル錫ラウレ
ート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、塩化
錫、テトラ−n−ブチル錫等が挙げられる。この中で
も、ジブチル錫ラウレートが特に好ましい。
上記触媒の配合量は、アクリルポリオール100重量部
当り、0.01〜0.5重量部程度が適している。
本発明では、更に、この種の塗料組成物に通常配合さ
れている着色顔料、体質顔料、アルミフレーク等の顔料
やレベリング剤、沈降防止剤等を必要により配合するこ
ともできる。
又、有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、セロ
ソルブアセテート等のエステル系溶剤が使用できる。
本発明の2液型アクリルウレタン塗料用樹脂組成物を
使用するに当っては、例えば、塗装粘度(フォードカッ
プ#4、20℃)が10〜20秒、好ましく13〜17秒になるよ
うに調整し、エアスプレー、エアレススプレー等の従来
公知の塗装方法に従い、硬化塗膜が10〜40μm程度にな
るように塗装するのがよい。
また、ベーポキュアー、ベーパーインジェクションキ
ュアー(VIC)等の塗装後、あるいは塗装時に、三級ア
ミン蒸気と接触させる塗装システムにも適応できる。
本発明によれば、従来の様に、アクリルポリオールを
主成分とする主剤に、硝化綿やセルロースアセテートブ
チレート(CAB)など、硬い樹脂をブレンドする必要が
ないので、塗料の粘度が比較的低くなり、塗膜のフロー
性が向上するため外観は極めて優れ、且つ、乾燥性の優
れた2液型アクリルウレタン系塗料用樹脂組成物を提供
できる。
〔実施例〕
以下、本発明を更に具体的に説明するため、実施例及
び比較例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。
以下において、「部」と「%」は重量基準である。
参考例1 低分子量アクリルポリオール(a)の調製 撹拌機、温度計、還流コンデンサー及び窒素導入管を
備えた4つ口フラスコに、窒素をパージした後、フラス
コにキシロール100部を仕込み130℃に加熱昇温した。次
に表−1に示す原料を5.5時間に渡り滴下して、1.5時間
後には110℃にて2時間保持して、固形分約50%のアク
リルポリオールを得た。
参考例2 高分子量アクリルポリオール(b)の調製 撹拌機、温度計、還流コンデンサー及び窒素導入管を
備えた4つ口フラスコに、窒素をパージした後、フラス
コにキシロール70部を仕込み100℃に加熱昇温した。次
に表−1に示す原料を5.5時間に渡り滴下して、滴下後
同じ温度でさらに5時間保持した後、キシロールを30部
加え、固形分約50%のアクリルポリオールを得た。
実施例1〜4及び比較例1〜4 ベースコート塗料の調製 ベースコート塗料を下記の様に配合した。
表−2のアクリルポリオール樹脂(固形分50%) 70部 酸化チタンCR−90(石原産業社製) 46.5部 シンナー(キシレン:トルエン:酢酸ブチル:メチルイ
ソブチルケトン=2:1:1:1) 30部 レジミックスRL−4(レベリング剤;三井東圧圧化学社
製) 0.07部 VIC5054(ジブチル錫ラウレート、アッシュランドケミ
カル社製) 0.07部 上記配合にて、ペイントシューカーにより1時間顔料
を分散した。
硬化剤は、オレスターNP1000(三井東圧化学社製、HD
Iの水アダクト体、不揮発分75%、イソシアネート基17
%)を、当量比がNCO/OH=1になるよう配合し、さらに
上記シンナーにて希釈し、フォードカップ#4にて14秒
/20℃に粘度調整し、ベースコート塗料を得た。
アクリルポリオール樹脂の配合例を表−2に示す。
この塗料をSPCC−SB#144処理鋼板(リン酸亜鉛処理
鋼板)に、VICシステムにて、膜厚30μmになるように
スプレーした。
得られた塗料と塗膜の性能を評価し、それらの結果を
表−3に示す。
性能評価は次のようにして行なった。
1)目視外観 塗膜外観の秀れているものを◎、劣るもの×とした。
2)光沢 塗膜の光沢は、60゜のグロスでの光沢計の数値(%)
を測定した。
3)乾燥性 ・指触乾燥:塗装後、塗膜を指で軽く触れ、べたつき感
がなくなるまでの時間(分)を測定する。
・完全硬化:塗装後、硬化する塗膜を指頭で軽く摩擦し
ても、その跡がつかなくなるまでの時間(分)を測定す
る。
4)密着性 JIS K5400のゴバン目セロハンテープ試験 〔発明の効果〕 本発明による2液型アクリルウレタン塗料用樹脂組成
物は、とりわけ乾燥性と外観の点で優れ、またそれらの
バランスがとれている。それに反して、従来の高分子ア
クリルポリオールを主剤とする該樹脂組成物(比較例
4)は、乾燥性は良好であるが外観は低下し、また、低
分子アクリルポリオールを主剤とする該樹脂組成物(比
較例3)は、外観に優れるが乾燥性では劣る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリルポリオールを主成分とする主剤
    と、ポリイソシアネートである硬化剤とを、使用時に混
    合して用いる2液型アクリルウレタン塗料用樹脂組成物
    において、該アクリルポリオールが、 (1)数平均分子量が7,000以下の低分子量アクリルポ
    リオール(A)と (2)数平均分子量が10,000以上の高分子量アクリルポ
    リオール(B)を含有し、 (3)AとBの混合比率が、重量比で 0.5≦(A)/(B)≦9の範囲にあることを特徴とす
    る2液型アクリルウレタン塗料用樹脂組成物。
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