JP2818114B2 - 摺動用窒化珪素焼結体 - Google Patents

摺動用窒化珪素焼結体

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JP2818114B2
JP2818114B2 JP6246778A JP24677894A JP2818114B2 JP 2818114 B2 JP2818114 B2 JP 2818114B2 JP 6246778 A JP6246778 A JP 6246778A JP 24677894 A JP24677894 A JP 24677894A JP 2818114 B2 JP2818114 B2 JP 2818114B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動特性に優れたセラミ
ックス材料に関する。詳しくは、潤滑油に対するぬれ角
が小さいので潤滑油が摺動部位に付着しやすく、低摩擦
係数で、摩耗が少ない、焼き付き限界の高い、摺動用の
窒化珪素焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素焼結体は金属材料と比べて高温
強度が高く、高硬度、高耐食性であるという特徴を生か
して、摺動用材料として高温、高負荷で、摺動速度が高
い摺動条件の用途に用いられて来た。例えば転がり軸受
けの転動体及び軌道輪、滑り軸受け、内燃機関のロッカ
ーアーム、圧延ローラー、金属切削工具、金型等に用い
られている。これらの用途で窒化珪素焼結体の摩擦係数
を低減し、摩耗を少なくし、焼き付き限界を高める為に
は摺動部に潤滑剤を供給する必要があり、従来、潤滑剤
の供給機構を簡略化し、給油のメンテナンスフリーを目
的として窒化珪素焼結体自体に潤滑効果を持たせ、摺動
特性を改善するさせる自己潤滑型窒化珪素焼結体の研究
が数多くなされて来た。
【0003】たとえば母材中に窒化硼素が分散している
ことを特徴とする摺動部材(特開昭59−2697
8)、固体潤滑剤である炭素、遊離炭素を含む炭化珪素
を充填物として含む低摩擦係数窒化珪素焼結体(特公昭
61−314)、非酸化物セラミックスをベースとして
カーボン及びテフロンからなる固体潤滑剤を埋設した材
料(特開昭59−208219)、セラミックスの気孔
部に固体潤滑材として鉛、錫、インジウムを含浸させた
材料(特開昭62−148385)、SiC、Si
34、またはサイアロンにBNまたは炭素の固体潤滑剤
を添加した材料(特開昭60−21864)、などがあ
る。
【0004】しかしこれらの材料は主に窒化珪素焼結体
に固体潤滑剤を添加し無給油で摺動部を機能させる事を
目的としたものであり、流体潤滑の環境下での使用に適
した窒化珪素焼結体を目指したものではなかった。すな
わち流体潤滑の環境下で摺動部に窒化珪素焼結体を使用
する場合、潤滑油を摺動部位に十分供給し、潤滑油切れ
を起こさないようにする必要があり、この際、窒化珪素
焼結体と潤滑油とのぬれ性が重要となるが、従来の単に
固体潤滑材を添加した窒化珪素焼結体は親油性に劣り、
必ずしも満足出来る特性が得られていなかった。更に従
来、流体潤滑環境下で、潤滑油との親油性の向上に着目
し、これを目指した窒化珪素焼結体の改良に関する研究
は極めて少ない。
【0005】特開平6−122555、特開平6−18
3841には、Siを含む非酸化物セラミックスを母相
とし、その中に遷移金属、又はその化合物のうち少なく
とも1種が分散している低摩擦セラミックスが開示され
ている。金属化合物を母相中に分散させることよって、
オイルとの吸着性を向上させ、低い摩擦係数で且つ高い
強度を持つセラミックスを実現しようとするものであ
る。しかしこの際、オイルとのぬれ性の向上という観点
からぬれ角を測定し、ぬれ角を小さくすることについ
て、十分な検討がなされていない。またぬれ性の向上に
有効な添加元素の選択もしくは、硫化物、窒化物、酸化
物等添加時の最適な化合物形態についての検討が十分で
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
従来技術を背景にしてなされたものであり、主に流体潤
滑環境下で使用する窒化珪素焼結体であって、潤滑油に
対するぬれ角が小さいので潤滑油が摺動部位に付着しや
すく、低摩擦係数で、摩耗が少なくて、焼き付き限界の
高い摺動用のセラミックス材料を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】流体潤滑下で使用する材
料の摺動特性を良好なものにするには、摺動部に潤滑油
が十分に付着し続ける必要があり、この為には潤滑油と
のぬれ性に優れた窒化珪素焼結体が好適であるという知
見に基づき本発明を完成するに至った。すなわちモリブ
デン、ニッケル、コバルト、タングステンの中から選ば
れた少なくとも1種以上の金属元素及び/又は該金属元
素の、窒化物、硫化物と窒化珪素粉末と焼結助剤とを含
む混合粉末を焼結して得られる窒化珪素焼結体であっ
て、窒化珪素粉末と該金属元素及び/又は該金属元素の
窒化物、硫化物から焼結反応により生成し、母相に対す
る金属化合物の総面積率が0.1〜30%で且つ潤滑油
に対するぬれ角が26度を超えない金属化合物が、少な
くとも窒化珪素焼結体の表面に微細に析出していること
を特徴とする流体潤滑の条件下で使用する摺動用窒化珪
素焼結体である。
【0008】本発明の窒化珪素焼結体は焼結過程におい
て母相のセラミックス中に金属化合物(以下析出物と記
す)が微細に析出しこれらの析出物の親油性が良いた
め、窒化珪素焼結体のぬれ性が向上するものと考えられ
る。 従来の固体潤滑剤を添加した自己潤滑性窒化珪素
焼結体は焼結後のポア部に固体潤滑剤を含浸等によって
添加するものが多く、本発明のように微細かつ均一に固
体潤滑剤が母相中に分散していない。従って潤滑油に対
するぬれ性の悪い母相の窒化珪素焼結体と親油性の固体
潤滑剤が入り混じった、表面状態になっており、材料全
体としては液体潤滑剤に対するぬれ性が必ずしも良好で
はなかった。また本発明の窒化珪素焼結体は焼結過程で
母相のセラミックス成分と添加した金属元素及び/又は
金属元素の、窒化物、硫化物が焼結反応を起こし、この
反応によって生成した析出物によって潤滑油に対するぬ
れ性の向上を計るものであり、従来の自己潤滑性の窒化
珪素焼結体の様に単に自己潤滑成分を母相中に埋め込ん
だものとは異なり摺動特性の向上に寄与する析出物が母
相と強固に結合しており、使用中に脱落しにくい。
【0009】本発明を構成するセラミックス粉末として
は、窒化硅素、炭化硅素、アルミナジルコニア、サイア
ロン、窒化硼素等が挙げられるが、高硬度なセラミック
材料で、焼結過程において添加元素との焼結反応によ
り、ぬれ角の小さな析出物を生成するものであれば必ず
しもこれらに限定されるものではない。特に構造用部材
としての用途で、強度、靱性、対磨耗性についてすぐれ
た特性が要求される場合は、窒化珪素系セラミックスで
ある窒化珪素、サイアロンが好適である。
【0010】金属元素としては母相のセラミックス成分
との焼結反応により潤滑油とぬれ性が良い金属化合物を
生成する、モリブデン、ニッケル、タングステン等が好
適であり、より好ましくはモリブデン、タングステン、
であるが、焼結過程において親油性の析出物を生成する
ものであれば必ずしもこれらの元素に限定されるもので
はない。また これらの金属元素は同時に2種以上を添
加してもよいし窒化物、硫化物、酸化物の形であっても
よい。また金属元素と金属元素の窒化物、硫化物、酸化
物を両方を添加してもよい。
【0011】セラミックス粉末は焼結性乏しい為、焼結
して構造部材とするには、通常焼結助剤が必要であり、
焼結助剤としては酸化イットリウム、酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ネオジウ
ム、酸化ランタン、酸化イットビリウム、酸化ストロン
チウム、酸化チタンの中から選ばれたものが好適であ
る。これらの焼結助剤は単体でもよいし複数種を同時に
添加してもよい。特に窒化硅素に対しては、酸化アルミ
ニウムと酸化イットリウムを添加することが望ましい。
焼結助剤の好ましい総添加量は、1〜12重量%であ
る。
【0012】添加された金属あるいは金属の窒化物、硫
化物は高温、高圧の焼結過程においてセラミックス粉末
と焼結反応し、潤滑油とのぬれ性の良い析出物を生成す
る。従来金属元素が不純物の形であるいは焼結助剤の一
部としてセラミックス粉末中に含まれる事はあったが、
これらの不純物は通常焼結性を害し、強度低下を招くケ
ースが多く、潤滑油に対するぬれ性の向上を目的として
積極的に1〜10wt%程度の金属元素、あるいはその
窒化物、硫化物を添加した事例はほとんど見あたらな
い。本発明では析出物の形状、最大直径及び総面積を適
切に設定することにより強度とぬれ性との両立を図っ
た。すなわち析出物の形状を略円形とし、その最大直径
を30μm以下、母相に対する析出物の面積率を0.1
〜30%とすることにより上記目標は達成される。より
好ましくは、最大直径は20μm以下、析出物の面積率
は0.5〜25%である。析出する析出物の形状が略円
形であり、析出物の最大直径は概ね30μm以下である
ので強度の低下が少ない。また析出物の面積率は0.1
%以下であるとぬれ性の向上が顕著でなく、30%を越
えると、ぬれ角はほぼ一定になりむしろ強度の低下が顕
著になるからである。
【0013】析出物の総面積率は焼結温度、焼結時間、
添加する金属元素、及び又はその窒化物、硫化物の種
類と添加量を適切に設定することにより制御することが
出来る。窒化珪素の場合、焼結は通常1600〜195
0度の温度範囲で行われる。焼結温度を高くし、焼結時
間を長くすると、析出物の粗大化起こり、特定の析出
物が成長するので面積率は大きくなる。添加する金属元
素、及び/又は、窒化物、硫化物は所定の析出量を得る
のに必要な量が添加される。添加量を多くすると析出物
の総数は多くなる。ぬれ角に最も大きな影響を及ぼすの
は析出物の面積率と添加元素の種類であり、本発明のセ
ラミックス材料に好適なぬれ角を得る為に焼結温度、焼
結時間、添加元素の種類と量を適宜設定すれば良い。
【0014】本発明の窒化珪素焼結体の成形方法として
は、通常知られている射出成形、スリップキャスティン
グ、プレス成形、ホットプレス、HIP、CIPを用い
ることが出来るが、ポアをなくし高密度な焼結体を得る
為には、ホットプレス、HIPが好ましい。しかし成形
出来る形状がシンプルなものに限定され、かつコストが
高くつくので、通常はプレス成形後にCIPを行うこと
が望ましい。但し必ずしもこの成形方法に限定されるも
のではない。
【0015】本発明の潤滑油とのぬれ性の良い析出物を
生成するには、窒化珪素粉末、焼結助剤、金属元素及び
/又は金属元素の窒化物、硫化物 の混合粉末を焼成す
ることにより達成されるが、金属珪素粉末より窒素雰囲
気中での窒化反応により焼結を同時に進める方法(反応
焼結)によっても達成することは、従来技術の転用の範
囲で、もちろん可能である。
【0016】摺動材料は主に摺動表面の性状により摺動
特性が決まるので、本発明のぬれ性の良い析出物は表面
及びその近傍に存在すれば十分である。しかし製造上表
面部のみに析出物を生成させるのが困難な場合は摺動部
材全体に析出物を生成させても良い。
【0017】
【作用】本発明の窒化珪素焼結体は、潤滑油に対するぬ
れ性の良い析出物が母相中に析出しているので潤滑油に
対するぬれ性にすぐれ、また析出物が極めて微細に分散
しているので摺動部に潤滑油が均一に行き渡り、保持さ
れ易い。よって流体潤滑の環境の基で使用した場合、摩
擦係数が低下し、磨耗が少なく、焼き付き限界を高める
ことが出来る。また析出物は母相のセラミックス粉末と
金属元素との焼結反応によって生成されるので析出物と
母相との結合が強固であり、析出物の脱落が起こりにく
く耐久性に優れる。母相中の析出物の断面形状は略円形
であるので破壊の起点となりにくく強度低下が少ない。
また析出物が微細かつ均一に分散し、その最大直径は3
0μ以下であるので強度の低下が少ない。更に析出物の
総面積率が0.1〜30wt%であるので、潤滑油に対
して十分なぬれ性を有し構造部材として使用した場合に
十分な強度を有する。通常知られている窒化珪素系焼結
体のぬれ角は30度以上であるが、本発明の摺動用窒化
珪素材料のぬれ角は24〜29度程度であり摺動特性に
優れる。一般の摺動用金属材料のぬれ角は25〜26度
程度であり、本発明のセラミックス材料は金属材料に匹
敵するぬれ性を有し流体潤滑の環境下で使用するのに適
した誠に有用な材料である。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、これらの実施例は本発明を限定するものではな
い。
【0019】実施例1 窒化硅素原粉(9S:電気化学工業製)に焼結助剤とし
て酸化イットリウム(日本イットリウム製)を5wt
%、酸化アルミニウム(住友化学製)を3wt.% 添加
し、金属元素としてモリブデン粉末(高純度化学製)を
添加した。これらの粉末をボールミルを用いてエタノー
ル中で混合、粉砕を行った。得られたスラリーをロータ
リーエバポレーターを用いて乾燥後、35×55mmの金
型にてプレス成形(200Kg/cm2)し、CIP
(圧力3t/cm2)を行い成形体を得た。この成形体
を詰め粉として窒化珪素と窒化硼素粉末を用いて、16
00〜1800゜Cの温度範囲で窒素雰囲気中で9気圧
の条件下で焼結した後、物性測定用に3×4×40mm
のJIS片を切り出し、ダイヤモンドペーストを用いて
ラップ仕上げを行い、面粗度 0.8Sのテストピース
を作製した。ぬれ角の測定は、20℃の恒温室にて、テ
ストピースに粘度0.0146P・S(170cst)
の潤滑油10W30を滴下し、滴下後瞬時からのぬれ広
がり状態をCCDカメラで撮影した。滴下による波打ち
現象の影響を無視する為、滴下後1秒後のぬれ角を画像
解析により求めた。母相の析出物の総面積率の測定は光
学顕微鏡で組織写真を撮りコンピューターで画像解析し
て求めた。
【0020】表1に種々の焼結条件で生成した析出物の
総面積率とぬれ角の値を示す。比較例1の何等金属元素
を添加しない場合と比べると窒化珪素にモリブデンを添
加し析出物を生成することによりぬれ角が著しく小さく
なることがわかる。析出物の総面積率が大きくなるとぬ
れ角は小さくなる。図1には表1に示した析出物の総面
積率とぬれ角との関係をグラフで示した。添加するMo
の量、焼結温度、焼結時間によって析出する析出物の大
きさ、数は種々に変化するが、ぬれ角は主に析出物の総
面積率に支配されることがわかる。析出物の総面積率が
15%程度まではぬれ角の低下に及ぼす効果が顕著であ
るが、15%を越えるとぬれ角の低下に及ぼす効果は小
さくなる。更に20%を越えるとぬれ角は総面積率にほ
とんど依存しなくなる。電子プローブマイクロアナライ
ザー(以降EPMA)による分析によると析出物はモリ
ブデン珪化物の混相状態又は単相状態であると思われ
る。析出物の珪素成分は窒化珪素が分解して生成したも
のと考えられる。
【0021】
【表1】
【0022】実施例2 実施例1と同じ方法で、金属元素のモリブデン粉末の代
わりに硫化物の二硫化モリブデン粉末を添加しテストピ
ースを作製した。ぬれ角と析出物の総面積率の測定は実
施例1と同じ方法で行った。表2に種々の焼結条件で生
成した析出物の総面積率とぬれ角の値を示す。析出物の
総面積率が大きくなるとぬれ角は小さくなることがわか
る。実施例1のモリブデン粉末を添加した場合と同じ
く、モリブデンを硫化物の形で添加しても焼結過程で類
似の成分の析出物を生成しぬれ性の向上が見られた。図
1には表2で示した析出物の総面積率とぬれ角との関係
をグラフに示した。モリブデンの添加化合物形態が異な
ってもぬれ角は、主に析出物の面積率に依存することが
わかる。
【0023】
【表2】
【0024】実施例3 実施例1と同じ方法で、金属元素としてニッケル粉末を
添加しテストピースを作製した。ぬれ角と析出物の総面
積率の測定は実施例1と同じ方法で行った。表3に種々
の焼結条件で生成した析出物の総面積率とぬれ角の値を
示す。析出物の総面積率が大きくなるとぬれ角は小さく
なることがわかる。図2には表3で示した析出物の総面
積率とぬれ角との関係をグラフで示した。ぬれ角は主に
析出物の総面積率に支配されることは明らかである。E
PMA分析から判断すると析出物はニッケル珪化物の混
相状態又は単相状態であると思われる。析出物の珪素成
分は窒化珪素が分解して生成したものと考えられる。
【0025】
【表3】
【0026】実施例4 実施例1と同じ方法で、金属元素としてコバルト粉末を
添加しテストピースを作製した。ぬれ角と析出物の総面
積率の測定は実施例1と同じ方法で行った。表4に種々
の焼結条件で生成した析出物の総面積率とぬれ角の値を
示す。析出物の総面積率が大きくなるとぬれ角は小さく
なることがわかる。図3には表4で示した析出物の総面
積率とぬれ角との関係をグラフで示した。ぬれ角は主に
析出物の総面積率に支配されることは明らかである。E
PMA分析から判断すると析出物はコバルト珪化物の混
相状態 又は単相状態であると思われる。析出物の珪素
成分は窒化珪素が分解して生成したものと考えられる。
【0027】
【表4】
【0028】参考例5 実施例1と同じ方法で、金属元素としてクロム粉末を添
加しテストピースを作製した。ぬれ角と析出物の総面積
率の測定も実施例1と同じ方法で行った。表5に種々の
焼結条件で生成した析出物の総面積率とぬれ角の値を示
す。析出物の総面積率が大きくなるとぬれ角は小さくな
ることがわかる。図4には表5で示した析出物の総面積
率とぬれ角との関係をグラフに示した。ぬれ角は主に析
出物の総面積率に支配されることは明らかである。EP
MA分析から判断すると析出物はクロム珪化物の混相状
態又は単相状態であると思われる。析出物の珪素成分は
窒化珪素が分解して生成したものと考えられる。
【0029】
【表5】
【0030】参考例6 実施例1と同じ方法で、金属元素としてマンガン粉末を
添加しテストピースを作製した。ぬれ角と析出物の総面
積率の測定も実施例1と同じ方法で行った。表6に種々
の焼結条件で生成した析出物の総面積率とぬれ角の値を
示す。析出物の総面積率が大きくなるとぬれ角は小さく
なることがわかる。図5には表6で示した析出物の総面
積率とぬれ角との関係をグラフに示した。ぬれ角は主に
析出物の総面積率に支配されることは明らかである。E
PMA分析から判断すると析出物はマンガン珪化物の混
相状態又は単相状態であると思われる。析出物の珪素成
分は窒化珪素が分解して生成したものと考えられる。
【0031】
【表6】
【0032】実施例7 実施例1と同じ方法で、金属元素としてタングステン粉
末を添加しテストピースを作製した。ぬれ角と析出物の
総面積率の測定も実施例1と同じ方法で行った。表7に
種々の焼結条件で生成した析出物の総面積率とぬれ角の
値を示す。析出物の総面積率が大きくなるとぬれ角は小
さくなることがわかる。図6には表7で示した析出物の
総面積率とぬれ角との関係をグラフに示した。ぬれ角は
主に析出物の総面積率に支配されることは明らかであ
る。析出物はタングステン珪化物の混相状態又は単相状
態であると思われる。析出物の珪素成分は窒化珪素が分
解して生成したものと考えられる。
【0033】
【表7】
【0034】参考例8 実施例1と同じ方法で、金属元素としてタンタル粉末を
添加しテストピースを作製した。ぬれ角と析出物の総面
積率の測定も実施例1と同じ方法で行った。表8に種々
の焼結条件で生成した析出物の総面積率とぬれ角の値を
示す。析出物の総面積率が大きくなるとぬれ角は小さく
なることがわかる図7には表8で示した析出物の総面積
率とぬれ角との関係をグラフに示した。ぬれ角は主に析
出物の総面積率に支配されることは明らかである。析出
物はTa2Si、Ta5Si3(α)、TaSi2 混相状
態であると思われる。析出物の珪素成分は窒化珪素が分
解して生成したものと考えられる。
【0035】
【表8】
【0036】参考例9 実施例1と同じ方法で、金属元素として二硫化タンタル
粉末を添加しテストピースを作製した。ぬれ角と析出物
の総面積率の測定も実施例1と同じ方法で行った。表9
に種々の焼結条件で生成した析出物の総面積率とぬれ角
の値を示す。析出物の総面積率が大きくなるとぬれ角は
小さくなることがわかる。図7には表9で示した析出物
の総面積率とぬれ角との関係をグラフに示した。タンタ
ルの添加化合物形態が異なってもぬれ角は、主に析出物
の総面積率に依存することがわかる。析出物は、タンタ
ル単体で添加した場合と同じで、Ta2Si、Ta5Si
3(α)、TaSi2 の混相状態であると思われる。析
出物の珪素成分は窒化珪素が分解して生成したものと考
えられる。
【0037】
【表9】
【0038】比較例10 実施例1と同じ方法でMo粉末を添加しないこと以外は
全く同じ方法でテストピースを作製し、実施例1に示し
た測定方法でぬれ角を測定した。焼結後の材料組織をE
PMAによる面分析をしたが、析出物は認められなかっ
た。表11にはぬれ角の値を示した。金属元素、及び/
又は金属元素の、硫化物、窒化物を添加した場合と比較
してぬれ角が著しく大きいことがわかる。
【表10】
【0039】図8は、実施例1のテストピースの光学顕
微鏡写真を示した。テストピースの表面は、ダイヤモン
ドベーストを用いてラップ仕上げを行った。倍率は10
0倍である。母相のセラミックス中に析出物が微細に分
散している様子がわかる。白く見える部分が析出物であ
り、黒く見える部分はポアである。この析出物がぬれ性
の向上に寄与するものと考えられる。
【0040】
【発明の効果】本発明の窒化珪素焼結体は母相中に潤滑
油に対してぬれ性の良い析出物が微細に分散しているの
で、潤滑油が付着しやすく、摩擦係数を小さくでき、磨
耗が少なく、焼き付き限界が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、実施例2におけるぬれ角と析出物と
の総面積率を示すグラフである。
【図2】実施例3におけるぬれ角と析出物との総面積率
を示すグラフである。
【図3】実施例4におけるぬれ角と析出物との総面積率
を示すグラフである。
【図4】参考例5におけるぬれ角と析出物との総面積率
を示すグラフである。
【図5】参考例6におけるぬれ角と析出物との総面積率
を示すグラフである。
【図6】実施例におけるぬれ角と析出物との総面積率
を示すグラフである。
【図7】参考例8、参考例9におけるぬれ角と析出物と
の総面積率を示すグラフである。
【図8】実施例1のテストピースの粒子構造を示す光学
顕微鏡写真である。
フロントページの続き (72)発明者 川上 泰伸 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式 会社 本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平6−183841(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/584

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モリブデン、ニッケル、コバルト、タン
    グステンの中から選ばれた少なくとも1種以上の金属元
    素及び/又は該金属元素の、窒化物、硫化物と窒化珪素
    粉末と焼結助剤とを含む混合粉末を焼結して得られる窒
    化珪素焼結体であって、窒化珪素粉末と該金属元素及び
    /又は該金属元素の窒化物、硫化物から焼結反応により
    生成し、母相に対する金属化合物の総面積率が0.1〜
    30%で且つ潤滑油に対するぬれ角が26度を超えない
    金属化合物が、少なくとも窒化珪素焼結体の表面に微細
    に析出していることを特徴とする流体潤滑の条件下で使
    用する摺動用窒化珪素焼結体。
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