JP2816477B2 - 固体電解質燃料電池 - Google Patents

固体電解質燃料電池

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JP2816477B2 JP1138365A JP13836589A JP2816477B2 JP 2816477 B2 JP2816477 B2 JP 2816477B2 JP 1138365 A JP1138365 A JP 1138365A JP 13836589 A JP13836589 A JP 13836589A JP 2816477 B2 JP2816477 B2 JP 2816477B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は固体電解質を介して空気などの酸化性ガス
と水素ガスなどの燃料ガスとの間で反応を生じさせるこ
とにより電力を得る燃料電池に関するものである。
従来の技術 この種の燃料電池として例えばイットリア安定化ジル
コニア(YSZ)を固体電解質としたものが知られてお
り、これは、YSZを挟んでペロブスカイト型ランタン系
複合酸化物などからなる多孔構造の酸素電極と、ニッケ
ルやニッケル合金あるいはNi−ZrO2サーメットなどから
なる多孔構造の燃料電極とを設け、高温状態で酸素電極
側に空気や酸素ガスなどの酸化性ガスを流す一方、燃料
電極側に水素ガスや一酸化炭素ガスなどの燃料ガスを流
すことによってYSZを介した酸化・還元反応によって電
力を得るものである。このような構造の単電池で得られ
る電圧は、高々1V程度に過ぎないので、実用に供するた
めには多数の単電池を直並列に接続する必要がある。そ
の場合、酸化性ガスと燃料ガスとが直接反応することを
避けるための各ガス流路のシールが容易なこと、小型化
を容易に図れること、製造および制御性に優れることな
どの要請を満すことが望まれ、そこで従来、シール性お
よび製造ならびに制御性を重視して円筒形の単電池を直
並列に接続した構造の燃料電池が研究・開発されてい
る。これは固体電解質を円筒形に形成するとともに、そ
の内周面に一方の電極、例えば酸素電極を形成し、かつ
外周面に他方の電極、例えば燃料電極を形成して単電池
を構成し、その単電池を、互いに同心状に配置した内部
集電子と外部集電子との間に複数本収容し、かつ並列に
接続してスタックとし、そのスタックを更に直並列に接
続した構造や、多数の単電池をマトリックス状に配置し
て互いに接続した構造などである。
発明が解決しようとする課題 円筒型単電池を使用した上述した構造の燃料電池で
は、各単電池を互いに平行で一定ピッチごとに配列して
支持することになるが、単電池の一方の端部は酸化性ガ
スもしくは燃料ガスのいずれか一方の供給端とし、中間
部の外周は他方のガスの雰囲気とする必要があるため
に、これら両者の区域を気密状態に隔絶し、その状態で
各単電池を支持することになる。そのための支持構造と
して隔壁を貫通させて単電池を配置するとともにその隔
壁に単電池を固定し、かつその貫通部をシールする構造
が最も一般的であるが、単一の隔壁にすべての単電池を
貫通させた場合には、その貫通部分の間に、隔壁の強度
を維持しかつシールのためのスペースを確保する必要が
あるために、単電池同士をある程度以上離さざるを得な
い。その結果、単電池同士の間の空間部分が、隔壁の強
度維持などの要請から大きくなるために、単位体積当り
の単電池の収容本数すなわち容積効率が低くなり、燃料
電池が大型化する不都合がある。
この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、円筒
型単電池を使用した燃料電池において単位体積当りの発
電量の増大を図ることを目的としたものである。
課題を解決するための手段 この発明は、上記の目的を達成するために、筒状の固
体電解質の内周面に第1の電極を設けるとともに外周面
に第2の電極を設けかつ一端部を気密状態に閉じた筒状
の複数の発電要素が、密閉容器内に、各々の開口端を配
列方向において交互に反対向きにして配列されるととも
に各発電要素がその開口端側で片持ち状に支持され、そ
れらの各発電要素に各々の開口端から第1のガス供給管
が挿入され、それらの第1のガス供給管の後端部が前記
密閉容器の軸線方向での両端部に気密状態に形成したガ
ス供給チャンバーに連通され、さらに各発電要素の少な
くとも中間部を気密状態に収容した密閉室が前記密閉容
器内に形成され、その密閉室に第2のガス供給管および
排気管が接続されていることを特徴とするものである。
作用 この発明の燃料電池では、密閉容器内に一端部を密閉
した複数本の円筒型の発電要素が配列され、かつ各発電
要素は隣接するもの同士の開口端が互いに反対向きとな
るよう配置されて各々の開口端側で片持ち状に支持され
ており、したがって各支持部分では、発電要素の配置密
度の半分程度の配置密度となり、その結果、発電要素の
配置密度を高くしても充分な支持強度あるいはシール性
が確保され、容積効率が高くなる。そして各発電要素で
は、第1のガス供給管からその内部に酸化性ガスもしく
は燃料ガスのいずれかが供給されるとともに、密閉室に
他方のガスが供給されることにより、固体電解質を介し
た酸化・還元反応が生じて電力を発生する。
実 施 例 つぎにこの発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図はこの発明の一実施例を示す断面図であって、
ここに示す例は発電要素として6本の円筒型単電池1を
使用して1本のスタック2を形成したものである。ここ
で使用されている単電池1について先ず説明すると、第
2図に示すように、イットリア安定化ジルコニア(YS
Z)などを素材として円筒形に形成された固体電解質3
の内周に、ペロブスカイト型ランタン系複合酸化物など
を素材とした酸素電極4が形成されるとともに、この固
体電解質3の外周にニッケル合金やニッケルとジルコニ
アとのサーメットなどを素材とした燃料電極5が形成さ
れた3層構造となっており、この単電池1の最外層の燃
料電極5と中間層の固体電解質3には、最内層の酸素電
極4に達する深さで軸線と平行なスリット6が形成さ
れ、このスリット6内にはニッケル合金などの導電性材
料からなるインターコネクタ7が、前記酸素電極4と接
触しかつ燃料電極5と非接触状態に設けられている。そ
して酸素電極3およびその外周に形成した固体電解質3
は第3図に示すように一端部が気密状態に閉じ、他方の
端部のみが開口した形状とされている。したがって単電
池1は、その内周側に酸化性ガス例えば酸素(O2)を流
す一方、外周側に燃料ガス例えば水素ガス(H2)を流す
ことにより固体電解質3の内外周側での酸素濃度の差に
起因する電気科学的な反応によって起電力を生じるよう
になっている。
上述した構成の6本の単電池1が中心電極8を中心に
円周上に配列され、その状態で密閉容器9の内部に収容
されている。その配列状態は第4図に示すとおりであ
り、中心電極8はニッケルやその合金もしくは導電性セ
ラミックなどの導電性材料からなる中実軸状もしくは中
空軸状の部材であって、その外周にはクッション性を付
与するための導電性緩衝材例えばニッケルフェルト10が
巻き付けられており、6本の単電池1は、そのインター
コネクタ5をそのニッケルフェルト10に密着させた状態
で中心電極8の外周に等配されている。これらの単電池
1の外周には導電性緩衝材例えばニッケルフェルト11が
配置され、その外周側に導電性テープ12を巻き付けるこ
とにより単電池1が結束されている。
上記の単電池1の支持構造は次のとおりである。6本
の単電池1のうち配列方向すなわち円周方向で1本おき
の3本の単電池1はその開口端を第1図の左側に向け、
また他の3本の単電池1はその開口端を第1図の右側に
向けて配置されており、それぞれ3本を1群とした各群
の単電池1は、その開口端部を保持板13に貫通させ、か
つ気密状態にシールして支持されており、一方の保持板
13を密閉容器9の一端部側に、他方の保持板13を密閉容
器9の他方の端部側に固定することにより、密閉容器9
内に互いに接近もしくは密着しかつほぼ平行に収容され
ている。なお保持板13は密閉容器9を形成する本体部9a
とその端部に取付ける円筒部材9bとの間に挟み付けるこ
とにより固定されている。したがって各単電池1は、一
方の一群の単電池1の間に他方の一群の単電池1を先端
部側(盲端部側)から差し込んだ状態に配置され、その
結果、それぞれの開口端および支持端は配列方向におい
て交互に反対向きとなっている。また密閉容器9内の中
間部には、左右一対の隔壁14で気密状態に仕切った密閉
室15が形成され、各一群の単電池1は各々の保持板13に
近い側の隔壁14を貫通して密閉室15内に挿入されてお
り、したがって密閉室15の内部で6本の単電池1を配列
した構造となっている。
密閉容器9の両端部のうち単電池1の開口端から離れ
た箇所に各保持板13と平行に他の隔壁16が設けられ、そ
の隔壁16を挟んで保持板13とは反対側に第1のガス例え
ば空気を供給するためのチャンバー17が形成されてい
る。なお、この隔壁16は前記円筒部材9bとその端部に固
定したキャップ部材9cとの間に挟み付けることにより固
定されている。そして各隔壁16には、それに近接する保
持板13側に開口している単電池1の内部に挿入されかつ
先端部が第3図に示すようにその単電池1の盲端近くま
で延出した第1のガス例えば空気を供給する空気供給管
18の後端部が貫通して固定されており、したがって空気
チャンバー17に供給した空気がここで各空気供給管18に
分配されて各一群の単電池1の内部に供給されるように
なっている。また隔壁16と保持板13との間が第1の残務
ガス例えば残務空気を外部に導き出す残務空気室19とさ
れ、各単電池1はその残務空気室19に開口し、反応の用
に供されなかった空気をここから外部に排出するように
なっている。
さらに前記密閉室15には第2のガス例えば燃料ガスを
供給する燃料ガス供給管20が前記各隔壁14を貫通して開
口しており、この密閉室15内の残務ガスを排出する排出
管21が密閉容器9の中間部外面を貫通して取付けられて
いる。
したがって上記の構造では、実質的な発電を行なう部
分では6本の単電池1が存在するが、それらの単電池1
を片持ち状に支持する保持板13の部分では第5図に示す
ように3本のみの単電池1が存在することになり、保持
板13に余裕があることにより充分なシール性および支持
強度が確保されている。なお、空気供給管18を貫通させ
た第2の隔壁16についても同様であって、充分なシール
性が確保されている。
なお、第7図に示すように、前記中心電極8は導電性
テープ12を非導通状態で貫通する導電板22によって、密
閉容器9の外部に設けた端子23に導通され、また単電池
1を結束している導電性テープ12は他の導電板24によっ
て、密閉容器9の外部に設けた端子25に導通されてい
る。
したがって上記の構成のスタック2では、各空気チャ
ンバー17に空気を送り込めば、ここから各空気供給管18
に空気が分配されて各単電池1内の先端部に供給され、
しかる後に単電池1の内面に沿って開口端側に向けて流
される。また燃料ガス供給管20から水素ガスなどの燃料
ガスを送り込めば、6本の単電池1が収容されている密
閉室15に燃料ガスが充満する。したがって各単電池1で
は固体電解質3を挟んだ内周側と外周側とでの酸素濃度
差に起因して固体電解質3を介した酸化・還元反応が生
じ、それに伴って酸素電極4が陽極となり、また燃料電
極5が陰極となるよう起電力が生じる。そしてその電力
は、中心電極8およびこれを導通させてある端子23と導
電テープ12およびこれを導通させてある端子25とを介し
て取出される。
こうして取出される電力は、温度や各ガスの濃度など
の反応条件が一定であれば、各単電池1の前記密閉室15
の内部での長さによってほぼ決まるが、上述した構造で
は、3本を一群とした各群の単電池1の支持端が互いに
反対側にあり、その支持端の寸法上の制約が密閉室15内
で単電池1の配置密度に影響を及ぼさずに各単電池1を
互いに密着する程度に接近させて配置できるので、容積
効率が高くなって単位体積当りの発電力が大きくなる。
なお、上記の実施例では6本の単電池1で1本のスタ
ック2を構成した例について説明したが、この発明は上
記の実施例に限定されるものではなく、スタックを構成
する単電池の本数は適宜に設定すればよい。またこの発
明における発電要素は上記の実施例で示した単電池に限
定されるものではなく、例えば多孔構造の支持管の外周
に酸素電極および固体電解質ならびに燃料電極の3層構
造の単電池を複数個形成し、それぞれをインターコネク
タで直列に接続した高電圧型のスタックであってもよ
く、その場合には、円筒状の複数本のスタックを密閉容
器に収容したモジュールとなる。さらにこの発明では、
各発電要素の内部にガス供給管を挿入するので、このガ
ス供給管を導電性材料とし、これを一方の電極とするこ
ともできる。したがってその場合には、上記の実施例で
示した中心電極は不要になる。
発明の効果 以上の説明から明らかなようにこの発明の固体電解質
燃料電池によれば、発電要素を片持ち状に支持する箇所
での寸法上の制約が発電要素の配置密度に影響しないの
で、発電要素を可及的に接近させて配置し、容積効率を
高くすることができ、その結果、単位体積当りの発電量
の増大を図ることができ、換言すれば小型で高出力の燃
料電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す断面図、第2図はそ
の単電池の一例を示す模式的な斜視図、第3図は単電池
の先端部分を示す断面図、第4図は第1図のIV−IV線に
沿う拡大断面図、第5図は第1図のV−V線に沿う拡大
断面図、第6図は第1図のVI−VI線に沿う拡大断面図、
第7図は中心電極およびと導電性テープと各端子とのそ
れぞれの接続状態を示す断面図である。 1……単電池、2……スタック、3……固体電解質、4
……酸素電極、5……燃料電極、9……密閉容器、13…
…保持板、14,16……隔壁、15……密閉室、17……空気
チャンバー、18……空気供給管、20……燃料ガス供給
管、21……排気管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹 正之 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (72)発明者 山之内 宏 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (72)発明者 永田 雅克 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−113561(JP,A) 特開 昭61−121268(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 8/00 - 8/02 H01M 8/08 - 8/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筒状の固体電解質の内周面に第1の電極を
    設けるとともに外周面に第2の電極を設けかつ一端部を
    気密状態に閉じた筒状の複数の発電要素が、密閉容器内
    に、各々の開口端を配列方向において交互に反対向きに
    して配列されるとともに各発電要素がその開口端側で片
    持ち状に支持され、それらの各発電要素に各々の開口端
    から第1のガス供給管が挿入され、それらの第1のガス
    供給管の後端部が前記密閉容器の軸線方向での両端部に
    気密状態に形成したガス供給チャンバーに連通され、さ
    らに各発電要素の少なくとも中間部を気密状態に収容し
    た密閉室が前記密閉容器内に形成され、その密閉室に第
    2のガス供給管および排気管が接続されていることを特
    徴とする固体電解質燃料電池。
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