JP2816337B2 - ワクチン アジュバント - Google Patents

ワクチン アジュバント

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改良されたワクチ
ンアジュバント処方、そのアジュバント処方製造の改良
方法、およびその改良処方の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アジュバントは、ワクチン中の特定の抗
原によって得られる免疫応答を改良するのに有用であ
る。一部の抗原はワクチンとしてアジュバントを用いな
いで投与されるが、効果的なアジュバントの非存在下に
は有用な免疫応答を刺激するのに十分な免疫原性を欠く
抗原は多い。アジュバントはまた、「自足」抗原から得
られる免疫応答を改良し、得られる免疫応答の増強また
は投与抗原量の減量が可能である。
【0003】実験動物に用いられる標準的なアジュバン
トにはフロインドのアジュバントがある。フロインドの
完全アジュバント(FCA)は鉱油とマイクロバクテリ
アの死菌を食塩水に含有するエマルジョンである。フロ
インドの不完全アジュバント(FIA)はマイクロバク
テリアを欠いている。FIAおよびFCAはいずれも著
しい体液性(抗体)免疫を誘導し、FCAはさらに高レ
ベルの細胞性免疫を誘導する。しかしながら、FIAも
FCAも、アジュバントの副作用のために、実験室以外
での使用は許容されない。鉱油は膿瘍や肉芽腫を生じる
ことが知られているし、結核菌(Mycobacter
ium tuberculosis)は結核の原因にな
る。
【0004】多数の天然化合物、たとえばグラム陰性菌
エンドトキシンのリピドA部分およびマイコバクテリア
のトレハロースジマイコレートがFCAおよびFIAの
代用として試みられてきた。また、リン脂質のリゾレシ
チンがアジュバント活性をもつことも明らかにされてい
る(B.Arnoldら:Eur.J.Immuno
l.,:363〜366,1979)。さらに、数種
の合成界面活性剤たとえばジメチルジオクタデシルアン
モニウムブロミド(DDA)およびある種の線状ポリオ
キシプロピレン−ポリオキシエチレン(POP−PO
E)ブロックポリマー〔プルロニック(Pluroni
TM)の登録商標名で市販されている〕がアジュバント
活性をもつことも報告されている(H.Snippe
ら:Int.Archs.Allergy Appl.
Immun.,65:390〜398,1981)。
R.HunterらはJ.Immunol.,127
1244〜1250(1981)に、POP−POEブ
ロックポリマーは、鉱油/水エマルジョンアジュバント
処方の界面活性剤成分として用いた場合、マウスで、ウ
シ血清アルブミン(BSA)に対する抗体の生成を増大
させると報告している。これらの天然および合成界面活
性剤はある程度のアジュバント活性を示すが、大部分、
FCAやFIAを用いて得られるほどの免疫増強作用を
示すことはない。
【0005】他のアプローチとして、マイコバクテリア
からのアジュバント作用はその細胞壁のムラミルペプチ
ドによることが明らかにされている。アジュバント活性
を残しているこの分子の最小フラグメントは、N−アセ
チルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミンであ
り、これはムラミルジペプチドまたはMDPとも呼ばれ
ている(Fllouzら:Biochem.Bioph
ys.Res.Commun.,59:4,1317,
1974)。多くのMDP類縁体が製造され、これらも
MDPと呼ばれている(たとえば、Audibert
ら:米国特許第4,158,052号、Audiber
tら:米国特許第4,220,637号、Audibe
rtら:米国特許第4,323,559号、Basch
angら:米国特許第4,323,560号、Basc
hangら:米国特許第4,409,209号、Bas
changら:米国特許第4,423,038号、De
rrien ら:米国特許第4,185,089号、H
artmannら:米国特許第4,406,889号、
Jones ら:米国特許第4,082,735
号、Jones ら:米国特許第4,082,73
6号、Le Francierら:米国特許第4,42
7,659号、Le Francierら:米国特許第
4,461,761号、Yamamuraら:米国特許
第4,314,988号、Yamamuraら:米国特
許第4,101,536号およびYamamuraら:
米国特許第4,369,178号参照)。これらの化合
物は水溶液として投与した場合、弱いながら免疫系に刺
激作用を示すが、結果は一般的に、FIAまたはFCA
で得られる特異的免疫応答には及ばない。
【0006】最近、グリコペプチド、非毒性POP−P
OEブロックポリマー、グリコールエーテルベース界面
活性剤、代謝性油状物、および緩衝食塩水からなるとく
に有効なアジュバント処方がAllisonらによって
米国特許第4,606,918号に報告された。この処
方は、FCAを用いて実験動物に達成される結果と同等
またはそれ以上に優れた強力な体液性および細胞性免疫
応答を誘導できる。しかしながら、この処方は、不安定
で放置すると分離(たとえばクリーミング)する傾向が
ある。本発明者らは、冷蔵しておくと抗原の一次応答増
強能が消失することを認めている。また、完全なアジュ
バント活性を保持した安定な、均一なエマルジョンを工
業的規模で製造することは困難であることも明らかにさ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、免疫増
強性グリコペプチドを非毒性N,N,N′,N′−テト
ラ(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン)−
1,2−ジアミノエタンブロックポリマー(テトラポリ
オール)と処方すると、先行技術におけるある種の欠
点、たとえば毒性および細胞性免疫刺激の欠如等を克服
したアジュバントエマルジョンが得られることを発見し
た。このアジュバントは、FCAおよびAllison
の組成物と同等のまたはそれ以上の活性を有する。本発
明の処方は製造が容易で、完全な活性を保持し、All
isonの組成物より優れた安定性を示す。テトラポリ
オールの非毒性の故に、このアジュバント処方は、鳥類
および哺乳類に投与する抗原の免疫原性を増強するため
のビークルとして安全に使用することができる。
【0008】本発明者らはまた、POP−POEブロッ
クポリマーまたはテトラポリマーのいずれかを用いたア
ジュバントエマルジョンのとくに有利な製造方法を発明
した。この方法によれば、処方の有効性は保持され、そ
の物理的安定性は増強し、冷蔵に対する感受性は低下す
る。とくに、このアジュバントは凍結させても、その有
効性を保持している。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明の要約 本発明の一態様は、連続水相中に分散された油状粒子を
有するエマルジョン型の、抗原の免疫原性を増強するア
ジュバントであって、非毒性テトラポリオールブロック
ポリマーのエマルジョン生成量、およびグリコペプチド
の免疫増強量からなる、アジュバントである。
【0010】本発明の他の態様は、連続水相中に分散さ
れた油状粒子を有するエマルジョン型の、抗原の免疫原
性を増強するためのアジュバントであって、非毒性テト
ラポリオールのエマルジョン生成量、所望により非毒性
代謝性油状物のエマルジョン生成量、グリコールエーテ
ルベースの界面活性剤のエマルジョン安定化量、水また
は水性溶液、および好ましくは式I
【化2】 (式中、RおよびR1 はそれぞれ独立にHまたは1個か
ら22個までの炭素原子を有するアシルであり、R2
アルキルまたはアリールであって所望によりハロ、ニト
ロまたは低級アルキルで置換されていてもよく、R3
H、アルキルまたはアリールであり、R4 はHまたは低
級アルキルであり、XはL−アラニル、L−α−アミノ
ブチリル、L−アルギニル、L−アスパラギニル、L−
アスパルチル、L−システイニル、L−グルタミニル、
L−グルタミル、グリシル、L−ヒスチジル、L−ヒド
ロキシプロリル、L−イソロイシル、L−ロイシル、L
−リジル、L−メチオニル、L−オルニチニル、L−フ
ェニルアラニル、L−プロリル、L−セリル、L−スレ
オニル、L−チロシル、L−トリプトファニルまたはL
−バリルであり、YはD−グルタミン、D−イソグルタ
ミンまたはD−イソアスパラギンである)で示される誘
導体およびその医薬的に許容される塩であるムラミルジ
ペプチドの免疫増強量からなるアジュバントである。
【0011】本発明の他の態様は、上述の型のアジュバ
ントであって、非毒性POP−POEブロックポリマー
のエマルジョン生成量の代わりにテトラポリオールを用
い、油状粒子の実質的にすべては約800nm未満、好
ましくは約300nm未満の直径を有するアジュバント
である。
【0012】本発明の他の態様は、本発明のアジュバン
トを免疫誘導量の抗原と配合したワクチンである。本発
明の他の態様は、ポリマー、油状物、界面活性剤および
水または水性溶液からなる最初の混合物を調製し、この
混合物を乳化して連続水相に分散された油状粒子を有
し、油状粒子の実質的にすべてが約800nm未満好ま
しくは約300nm未満の直径をもつ油中水型のエマル
ジョンを生成させ、エマルジョンを式Iのムラミルジペ
プチド誘導体と配合する本発明のアジュバントの製造方
法である。
【0013】本発明の他の態様は、上述のエマルジョン
を含有する第一の容器、およびムラミルジペプチド好ま
しくはN−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イ
ソグルタミンを水性溶液または懸濁液として含有する第
二の容器からなり、各容器の成分の濃度は両容器の内容
物の配合により本発明のアジュバントを生成するように
選択される、本発明のアジュバントを用時調製するため
のキットである。
【0014】本発明の化の態様は、上述のアジュバント
キットとは、免疫誘導量の抗原を第二の容器に加える
か、または第三の容器中に存在させる点で異なる本発明
のワクチンを製造するためのキットである。本発明の他
の態様は、本発明のワクチンを投与するこからなる、免
疫系を有する動物に免疫応答を誘導する方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】好ましい態様の詳細な説明 本発明の一態様は、連続水相中に分散された油状粒子を
有し、抗原の免疫原性を増強するためのエマルジョン型
のアジュバントであって、非毒性テトラポリオールまた
はPOP−POEブロックポリマーのエマルジョン生成
量、およびグリコペプチドの免疫増強量からなり、PO
P−POEブロックポリマーが存在する場合には油状粒
子の実質的にすべては約800nm未満の直径を有する
アジュバントである。
【0016】本発明の他の態様は、連続水相中に分散さ
れた油状粒子を有するエマルジョン型の、抗原の免疫原
性を増強するためのアジュバントであって、非毒性テト
ラポリオールのエマルジョン生成量、所望により非毒性
代謝油状物のエマルジョン生成量、グリコールエーテル
ベースの界面活性剤のエマルジョン安定化量、水または
水性溶液、および好ましくは式I
【化3】 (式中、RおよびR1 はそれぞれ独立にHまたは1個か
ら22個までの炭素原子を有するアシルであり、R2
アルキルまたはアリールであって所望によりハロ、ニト
ロまたは低級アルキルで置換されていてもよく、R3
H、アルキルまたはアリールであり、R4 はHまたは低
級アルキルであり、XはL−アラニル、L−α−アミノ
ブチリル、L−アルギニル、L−アスパラギニル、L−
アスパルチル、L−システイニル、L−グルタミニル、
L−グルタミル、グルシル、L−ヒスチジル、L−ヒド
ロキシプロリル、L−イソロイシル、L−ロイシル、L
−リジル、L−メチオニル、L−オルニチニル、L−フ
ェニルアラニル、L−プロリル、L−セリル、L−スレ
オニル、L−チロシル、L−トリプトファニルまたはL
−バリルであり、YはD−グルタミン、D−イソグリタ
ミンまたはD−イソアスパラギンである)で示される誘
導体およびその医薬的に許容される塩であるムラミルジ
ペプチドの免疫増強量からなるアジュバントである。
【0017】好ましい亜群は、テトラポリオールがテト
ロニック(登録商標)(TetronicTM)1501
であり、式Iのムラミルジペプチド誘導体はとくにN−
アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミ
ンであるアジュバントである。好ましい本発明の群は非
毒性代謝性油状物を包含し、油状物はスクアレンまたは
スクアランのアジュバントである。好ましい亜群はグリ
コールエーテルベース界面活性剤はツイーン(登録商
標)(TweenTM)80であり、水または水性溶液は
とくに等張性緩衝食塩水であり、油状粒子の実質的にす
べては約800nm未満、好ましくは約300nm未満
の直径を有するアジュバントである。他の好ましい亜群
はテトラポリオールがTetronicTM150であ
り、式Iのムラミルジペプチド誘導体はムラブチドであ
るアジュバントである。
【0018】本発明の他の態様は、連続水相中に分散さ
れた油状粒子を有する水中油型エマルジョンの、抗原の
免疫原性を増強するためのアジュバントであって、非毒
性テトラポリオール0.2〜49%、非毒性代謝性油状
物0〜15%、グリコールエーテルベース界面活性剤
0.05〜5%、水または水性溶液、および式Iのムラ
ミルジペプチド誘導体0.0001〜10%からなるア
ジュバントである(%は、ムラミルジペプチドの場合、
重量/容量であるほかは、容量/容量である)。好まし
い亜群は、テトラポリオールがTetronicTM15
01であり、式Iのムラミルジペプチド誘導体はとくに
N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグ
ルタミンであるアジュバントである。好ましい群は、非
毒性代謝性油状物を包含し、油状物はスクアレンまたは
スクアランのアジュバントである。
【0019】現時点において好ましい本発明の態様は、
連続水相中に分散された油状粒子を有する水中油型エマ
ルジョンの、抗原の免疫原性を増強するためのアジュバ
ントであって、TetronicTM1501、1〜10
%、TweenTM80約0.2%、等張性緩衝食塩水
(リン酸緩衝液、酢酸緩衝液またはその配合物)、およ
びN−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグ
ルタミン0.001〜10%からなり、油状粒子の実質
的にすべては約800nm未満、好ましくは約300n
m未満の直径を有するアジュバントである。
【0020】本発明の他の態様は、連続水相中に分散さ
れた油状粒子を有する水中油型エマルジョンの、抗原の
免疫原性を増強するためのアジュバントであって、非毒
性POP−POEブロックポリマーのエマルジョン生成
量、所望により非毒性代謝性油状物のエマルジョン生成
量、グリコールエーテルベース界面活性剤のエマルジョ
ン安定化量、水または水性溶液、および式Iのムラミル
ジペプチド誘導体の免疫増強量からなり、油状粒子の実
質的にすべては約800nm未満、好ましくは約300
nm未満の直径を有するアジュバントである。
【0021】好ましい亜群は、非毒性POP−POEブ
ロックポリマーがPluronic TML121であり、
式Iのムラミルジペプチド誘導体はとくにN−アセチル
ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミンである
アジュバントである。好ましい種類は非毒性代謝性油状
物を包含し、油状物はスクアレンまたはスクアランのア
ジュバントである。好ましい亜種はグリコールエーテル
ベース界面活性剤TweenTM80、水または水性溶液
はとくに等張性緩衝食塩水のアジュバントである。
【0022】本発明の他の態様は、連続水相中に分散さ
れた油状粒子を有する水中油型エマルジョンの、抗原の
免疫原性を増強するためのアジュバントであって、非毒
性POP−POEブロックポリマー0.2〜49%、非
毒性代謝性油状物0〜15%、グリコールエーテルベー
ス界面活性剤0.05〜5%、水または水性溶液、およ
び式Iのムラミルジペプチド誘導体0.0001〜10
%からなり、油状粒子の実質的にすべては約800nm
未満、好ましくは300nm未満の直径を有するアジュ
バントである(%は、ムラミルジペプチドの場合の重量
/容量を除き、容量/容量である)。
【0023】好ましい亜群は、POP−POEブロック
ポリマーはPluronicTML121であり、式Iの
ムラミルジペプチド誘導体はとくにN−アセチルムラミ
ル−L−スレオニル−D−イソグルタミンのアジュバン
トである。好ましい種類は非毒性代謝性油状物を包含
し、油状物はスクアレンまたはスクアランのアジュバン
トである。好ましい亜種はグリコールエーテルベース界
面活性剤TweenTM80のアジュバントである。現時
点で好ましい態様は、連続水相中に分散された油状粒子
を有する水中油型エマルジョンの、抗原の免疫原性を増
強するためのアジュバントであって、Pluronic
TML121、1〜10%、スクアランまたはスクアレン
1〜10%、TweenTM80約0.2%、等張性緩衝
食塩水、およびN−アセチルムラミル−L−スレオニル
−D−イソグルタミンからなり、油状粒子の実質的にす
べては約800nm未満、好ましくは約300nm未満
の直径を有するアジュバントである。
【0024】本発明の他の態様は、本発明のアジュバン
トを免疫誘導量の抗原と配合したワクチンである。適当
なワクチンは、連続水相中に分散された油状粒子を有す
る水中油型エマルジョンの、動物の予防接種ワクチンで
あって、抗原の免疫誘導量、非毒性テトラポリオールま
たは非毒性POP−POEブロックポリマーのエマルジ
ョン生成量、所望により非毒性代謝性油状物のエマルジ
ョン生成量、所望によりグリコールエーテルベース界面
活性剤のエマルジョン安定化量、水または水性溶液、ム
ラミルジペプチド、好ましくは式Iの誘導体の免疫増強
量からなるワクチンである。好ましい亜群はテトラポリ
オールを含有し、テトラポリオールはとくにTetro
nicTM1501であるワクチンである。好ましい種類
は、油状粒子の実質的にすべては約800nm好ましく
は約300nm未満の直径を有するワクチンである。好
ましい亜種は、式Iのムラミルジペプチド誘導体がN−
アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミ
ンのワクチンである。
【0025】他の好ましい亜種は、式Iのムラミルジペ
プチド誘導体がムラブチドのワクチンである。現時点に
おいて好ましい態様は、TetronicTM1501、
1〜10%、スクアランまたはスクアレン1〜10%、
TweenTM80約0.2%、等張性緩衝食塩水、およ
びN−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグ
ルタミン0.0001〜10%からなり、とくに、油状
粒子の実質的にすべては約800nm未満好ましくは約
300nm未満の直径を有するワクチンである。他の好
ましい亜群は、POP−POEブロックポリマーを包含
し、そのブロックポリマーはPluronicTML12
1であり、油状粒子の実質的にすべては約800nm未
満、好ましくは約300nmであるワクチンである。好
ましい種類は、式Iのムラミルジペプチド誘導体がN−
アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミ
ンのワクチンである。他の好ましい種類は、式Iのムラ
ミルジペプチド誘導体がムラブチドのワクチンである。
現時点で好ましい態様は、PluronicTML12
1、1〜10%、スクアランまたはスクアレン1〜10
%、TweenTM80約0.2%、等張性緩衝食塩水、
およびN−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イ
ソグルタミン0.0001〜10%からなるワクチンで
ある。
【0026】本発明の他の態様は、水相とエマルジョン
生成量の非毒性テトラポリオールまたはPOP−POE
ブロックポリマーを一緒に混合してエマルジョンを生成
させることからなる本発明のアジュバントまたはワクチ
ンの製造方法である。
【0027】本発明の他の態様は、非毒性テトラポリオ
ールまたは非毒性POP−POEブロックポリマー、所
望により非毒性代謝性油状物、所望によりグリコールエ
ーテルベース界面活性剤、および水または水性溶液から
なる最初の混合物を調製し、この最初の混合物を乳化し
て連続水相中に油状粒子が分散され、油状粒子の実質的
にすべては約800nm未満好ましくは約300nm未
満の直径を有する水中油型エマルジョンを生成させ、こ
のエマルジョンを式Iのムラミルジペプチド誘導体と合
することからなる本発明のアジュバントの製造方法であ
る。好ましい方法によれば、最初の混合物はマイクロフ
ルイダイザー(登録商標)(Microfluidiz
erTM)または他の適当な乳化技術を用いて乳化し、油
状粒子の実質的にすべては約800nm未満、好ましく
は約300nm未満の直径を有するエマルジョンを得
る。さらに好ましい方法によれば、式Iのムラミルジペ
プチド誘導体は水性溶液または懸濁液の形でエマルジョ
ンと合する。
【0028】本発明の他の態様は、水相中にテトラポリ
オールまたはPOP−POEポリマーのエマルジョンを
含有する第一の容器、およびグリコペプチドを含有する
第二の容器からなる、本発明のアジュバントの用時調製
用キットである。
【0029】本発明の他の態様は、水相中にテトラポリ
オールまたはPOP−POEブロックポリマーのエマル
ジョンを含有する第一の容器、および抗原を含有する第
二の容器からなり、グリコペプチドは第三の容器または
第一の容器もしくは第二の容器に存在させる、本発明の
ワクチンの用時調製用キットである。
【0030】本発明の他の態様は、連続水相中に分散さ
れた油状粒子を有する水中油型エマルジョンであって、
TetronicTM1501またはPluronicTM
L121、スクアランまたはスクアレン、所望によりT
weenTM80および等張性緩衝食塩水からなるエマル
ジョンを含有する第一の容器、および粉末状(好ましく
は凍結乾燥粉末)または水性溶液もしくは懸濁液として
N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグル
タミンを含有する第二の容器からなり、各容器中の成分
の濃度は、両容器の内容物の配合によりTetroni
TM1501またはPluronicTML121、1〜
30%、スクアランまたはスクアレン1〜30%、所望
によりTweenTM80約0.2〜5%、N−アセチル
ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン0.0
001〜30%、および等張性緩衝食塩水になるように
選択される、本発明のアジュバントの用時調製用キット
である。好ましいキットにおいては、Tetronic
TM1501が包含される。さらに好ましいキットにおい
ては、油状粒子の実質的にすべては約800nm未満、
好ましくは約300nm未満の直径を有する。他の好ま
しいキットはPluronicTML121を包含する。
【0031】本発明の他の態様は、連続水相中に分散さ
れた油状粒子を有する水中油型エマルジョンであって、
TetronicTM1501またはPluronicTM
L121、スクアランまたはスクアレン、所望によりT
weenTM80、および等張性緩衝食塩水からなるエマ
ルジョンを含有する第一容器、および粉末状(好ましく
は凍結乾燥粉末)または水性溶液もしくは懸濁液として
N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグル
タミンと免疫誘導量の抗原を含有する第二の容器からな
り、各容器中の成分の濃度は、両容器の内容物の配合に
よりTetronicTM1501またはPluroni
TML121、1〜10%、スクアランまたはスクアレ
ン1〜10%、所望によりTweenTM80約0.2
%、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソ
グルタミン0.0001〜10%、免疫誘導量の抗原お
よび等張性緩衝食塩水からなる処方を生成するように選
択される、本発明のワクチンの用時調製用キットであ
る。所望により、抗原を別の第三の容器中に入れること
もできる。好ましいキットにおいてはTetronic
TM1501が包含される。さらに好ましいキットにおい
ては、油状粒子の実質的にすべてが約800nm未満、
好ましくは約300nm未満の直径を有する。他の好ま
しいキットにおいては、PluronicTML121が
包含される。
【0032】上述のように、本発明のキットにおいては
グルコペプチドは粉末として存在させるのが適当であ
り、凍結乾燥粉末が好ましい。
【0033】本発明の他の態様は、PluronicTM
L121またはTetronicTM1501、1〜10
%、スクアランまたはスクアレン1〜10%、所望によ
りTweenTM80約0.2%、等張性緩衝食塩水、N
−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタ
ミン、および免疫誘導量の抗原からなるワクチンを投与
して、免疫系を有する動物に免疫応答を誘導する方法で
ある。
【0034】定義 「アルキル」の語は、1個から22個までの炭素原子を
有し、不飽和結合を含まない、直鎖状または分岐状の基
である。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、オクチ
ル、デシル、ドデシル、アイコサニル等を挙げることが
できる。「低級アルキル」は炭素原子1〜7個を有する
アルキル基であって、たとえばメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、3−メチル
ヘキシル、ヘプチル等である。「シクロアルキル」はシ
クロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロ
ヘキシル、シクロヘプチル等を意味する。
【0035】「アシル」の語は、式RCO−(式中、R
はHまたは上に定義したアルキルである)で示される基
である。「低級アシル」の語は、このような基で、Rが
Hまたは低級アルキルの基を意味する。アシルの例に
は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペ
ンタノイル、ヘキサノイル、アイコサノイル等が包含さ
れる。低級アシルの例には、ホルミル、アセチル、プロ
ピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル等が
包含される。
【0036】本明細書に用いられる「ハロ」の語は、フ
ルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。「ア
ルコキシ」の語は、式RO(式中、Rは上に定義した低
級アルキルまたはシクロアルキルである)で示される基
である。
【0037】「アリール」の語は、炭素原子6個〜12
個を含有する、炭素および水素のみかなる芳香族の基で
ある。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル等
を挙げることができる。
【0038】「医薬的に許容される塩」の語は、所望の
薬理学的活性を有し、生物学的にもまた他の点でも望ま
しくないことがない主体化合物の酸付加塩を意味する。
これらの塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸もしくは
リン酸のような無機酸、または酢酸、プロピオン酸、グ
リコール酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ
酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、クエン酸、安息
香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタン
スルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のような有機酸
から形成される。
【0039】本明細書において用いられる「処置」の語
は、鳥類または動物、とくにヒトにおける疾患の任意を
処置に指し、 (i)疾患が予測されるがまだその疾患とは診断されて
いない対象にその疾患が発症するのを予防すること (ii)疾患の阻害、すなわち進行を阻止すること (iii)疾患の緩解、すなわち疾患の退行(患者の免疫系
による抗原の認識がないため持続している疾患が、ワク
チンにより効果的に抗原を提供することで、退行する場
合をいう)
【0040】本発明でアリール基について用いられる
「置換されていてもよい」の語は、その基が非置換であ
るか、または1個から3個までのハロ、ニトロ、低級ア
ルキルもしくは低級アルコキシ基によって置換されてい
ることを意味する。任意の置換基は同種でも異種でもよ
い。
【0041】「ムラミルジペプチド誘導体」の語は、式
【化4】 (式中、R,R1 ,R2 ,R3 およびR4 はそれぞれ独
立にH、アルキル、アシルまたはハロ、ニトロもしくは
低級アルキルで置換されていてもよいアリールであり、
Xは1個または数個のアミノ酸であり、YはD−グルタ
ミン、D−イソグルタミンまたはD−イソアスパラギン
であって、エステル化またはアミド化されていてもよ
い)で示される化合物を包含する。式Iにおいて好まし
い化合物は、RおよびR1 がHまたは1個から22個ま
での炭素原子を有するアシルであり、R2 はメチルであ
り、R3 は水素であり、XはL−アラニル、L−α−ア
ミノブチリル、L−アルギニル、L−アスパラギル、L
−アスパルチル、L−システイニル、L−グルタミニ
ル、L−グルタミル、グリシル、L−ヒスチジル、L−
ヒドロキシプロリル、L−イソロイシル、L−ロイシ
ル、L−リジル、L−メチオニル、L−オルニチニル、
L−フェニルアラニル、L−プロリル、L−セリル、L
−スレオニル、L−チロシル、L−トリプトファニルま
たはL−バリルであり、YはD−グルタミンまたはD−
イソグルタミンである化合物である。
【0042】とくに好ましいMDPは、N−アセチルム
ラミル−L−α−アミノブチリル−D−イソグルタミ
ン、6−O−ステアロイル−N−アセチルムラミル−L
−α−アミノブチリル−D−イソグルタミン、N−アセ
チルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、
N−アセチルムラミル−L−バリル−D−イソグルタミ
ン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグ
ルタミン、N−アセチル−デスメチルムラミル−L−ア
ラニル−D−イソグルタミン、N−アセチルムラミル−
L−アラニル−D−グルタミンブチルエステル(ムラブ
チド)、N−アセチルムラミル−L−セリル−D−イソ
グルタミン、およびN−ブチリルムラミル−L−(α−
アミノブチリル)−D−イソグルタミンである。他の有
用なMDPは、N−アセチル−(n−ブチルムラミル)
−L−α−アミノブチリル−D−イソグルタミンであ
る。
【0043】「免疫増強量」の語は、本発明の処分の抗
原を投与した場合、MDPがなかったときに認められる
抗体力価レベルに比べて、抗体力価および/または細胞
性免疫を増大させるのに必要なMDP誘導体の量をい
う。予測されるように、各MDPは、他のMDPと異な
る有効用量範囲を有する。したがって、本発明の範囲内
に包含される各グリコペプチドに正確に適合する単一の
用量範囲を指示することはできない。しかしながら、免
疫増強量は本技術分野の熟練者には容易に決定できるも
のである。一般的に、グリコペプチドは0.001〜2
%の量を存在させるのが好ましい。さらに好ましい量は
0.005〜1%である。
【0044】「非毒性代謝性油状物」の語は、6個から
30個までの炭素原子を有する油状物で、アルカン、ア
ルケン、アルキン、それらの相当する酸およびアルコー
ル、そのエーテルおよびエステル、ならびにそれらの混
合物であるが、これらに限定されるものではない。油状
物は、植物油、魚油、獣油、また合成された油状物で
も、それらがアジュバントを投与した対象の体内で代謝
され、またその生体に毒性を示さないものであればよ
い。油状物が、それを投与された動物または鳥類によっ
て代謝されることは、膿瘍、肉芽腫または癌腫の生成を
回避するために必須である。ナッツ、種子および穀粒が
植物油の共通の原料である。本発明の範囲内に包含され
る合成油状物には「ネオビー」(登録商標)(Neob
eeTM,PVO International, In
c., Chemical Specialities
Division, 416 Division S
treet, Boongon, New Jerse
yから市販されている)等がある。鮫肝油は、スクアレ
ンとして知られている分岐状不飽和油、2,6,10,
15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,1
4,18,22−テトラコサヘキセンを含有するが、こ
れは本発明にとくに好ましい。スクアレンの飽和類縁体
であるスクアランも好ましい油状物である。スクアレン
およびスクアランを包含する魚油は市販品を容易に入手
できるし、また本技術分野において公知の方法により調
製できる。
【0045】非毒性代謝性油状物の「エマルジョン生成
量」は、テトラポリオールまたはPOP−POEブロッ
クポリマーの存在下にエマルジョンを生成する量であ
る。これらのアジュバントおよびワクチン処方の油状物
成分は、通常、1〜30%含有させるが、1〜10%が
好ましい。とくに約5%濃度の油状物を使用するのが好
ましい。
【0046】油状エマルジョン粒子のサイズについて用
いられる「実質的にすべて」の語は、粒子の70%以上
が指示したサイズ(たとえば800nmまたは300n
m)未満であること、好ましくは80%、とくに好まし
くは95%以上がそのサイズ未満であることを意味す
る。
【0047】これらのアジュバント組成物の水性部分
は、緩衝、等張性食塩水であることが好ましい。これら
の組成物は非経口投与が意図されるので、組成物と生理
学的液体との間のイオン濃度の差による投与後腫脹や組
成物の急速な吸収を防止するため、これらの溶液は張度
が正常の生理学的液体とほぼ同一になるように処方する
ことが好ましい。また、pHを正常の生理学的状態と適
合性に維持するため、食塩水は緩衝化することが好まし
い。また場合によっては、ある種の組成物成分たとえば
グリコペプチドの安定性を確保するために、pHを特定
のレベルに保持することも必要である。この場合、任意
の生理的に許容される緩衝剤を使用することができる
が、リン酸塩緩衝液を使用することがとくに便利である
ことが明らかにされている。リン酸塩緩衝液の代わり
に、任意の他の許容される緩衝液、たとえば酢酸塩、ト
リス、重炭酸塩、炭酸塩等を使用することもできる。リ
ン酸塩緩衝食塩水またはリン酸塩と酢酸塩の混合物で緩
衝化された食塩水の使用が好ましい。
【0048】「抗原」の語は、投与すると特定の抗体の
生成を刺激し、in vivoまたはin vitro
で特異的に対応の抗体と反応する物質、通常はタンパク
質、糖タンパク質、リポタンパク質、糖、多糖またはリ
ポ多糖を意味する。さらに、抗原は、その受容体をもつ
Tリンパ球の増殖を刺激し、そのリンパ球と反応して、
細胞性免疫と呼ばれる一連の応答を開始させることがで
きる。
【0049】本明細書において用いられる「抗原」の語
は、またハプテンと担体の配合物を包含する。ハプテン
は免疫学的特異性を決定する抗原分子または抗原性複合
体の部分であるが、担体の非存在下には免疫応答を刺激
するには十分ではない。通常、ハプテンは比較的小さな
ペプチドまたは多糖であり、天然の抗原のフラグメント
であってもよい。人工抗原においては、たとえばアルサ
ニル酸誘導体のような低分子量物質であってもよい。ハ
プテンはin vivoおよびin vitroにおい
て、対応抗体またはTリンパ球と特異的に反応する。ハ
プテンは通常、ワクチンとして形成する前に共有結合ま
たは非共有結合によって、たとえばウシ血清アルブミン
(BSA)またはキーホールリンペットヘモシアニン
(KLH)のような大きな担体分子に結合させる。たと
えば、ワクチンおよびアジュバントを試験するために用
いられる人工抗原には、BSAに共有結合させた2,4
−ジニトロフェノール(DNP)がある。本発明に使用
するのに適当な抗原には、B型肝炎(表面)抗原および
インフルエンザ(たとえばAまたはB)抗原がある。A
IDSおよびヘルペスに対する抗原も使用できる。
【0050】抗原の「免疫誘導量」の語は、本発明のア
ジュバントと投与した場合、有用な免疫応答を刺激する
のに十分な抗原の量を意味する。免疫誘導量を与えるの
に必要な抗原の量は、たとえば、抗原の濃度を変えた一
連の本発明のワクチンを調製し、このワクチンを適当な
実験運動(たとえばモルモット)に投与し、血清抗体力
価、抗原誘発皮膚腫脹等を測定することによって生じた
免疫応答を検定することにより、本技術分野の通常の熟
練者によれば容易に決定することができる。
【0051】本明細書において用いられる「テトラポリ
オール」の語は、N,N,N′,N′−テトラ(ポリオ
キシプロピレン−ポリオキシエチレン)−1,2−ジア
ミノエタンブロックポリマーを指す。これらの化合物
は、米国特許第2,979,528号に記載の方法によ
って製造することができ、またBASF−Wyando
tteから商品名TetronicTMの市販品を入手す
ることができる。
【0052】TetronicTMポリオールは、ポリオ
キシプロピレン(POP)部分の平均分子量と分子のポ
リオキシエチレン(POE)部分の総分子量に占める百
分率を示す3個または4個の数字で命名される。最初の
1個または2個の0ではない数字はPOP部分の平均分
子量を示し、TetronicTM304の場合の501
〜1000からTetronicTM1501の場合の6
500〜7000までの範囲がある。最後の数字はPO
Eの百分率を10%上昇ごとに示していて、Tetro
nicTM1501の10%からTetronicTM15
08の80%までの範囲がある。
【0053】これらの化合物の特性は、POP部分の分
子量と生成物中のPOE量によって決定される。本発明
の実施にあたり好ましいテトラポリオールは25℃で水
に比較的不溶で、低HLB値を有する。TLB値は好ま
しくは約5.0未満とすべきである。現時点で好ましい
テトラポリオールはTetronicTM1501、Te
tronicTM1301、TetronicTM1101
およびTetronicTM1502であり、さらにTe
tronicTM1501およびTetronicTM13
01が、とくにTetronicTM1501が好まし
い。必要な性質をもつ他の適当なテトラポリオールは米
国特許第2,979,528号に記載された方法を用い
て製造でき、これらは本発明の範囲内の均等物と考えら
れるものである。たとえば、POP分子量8,000、
POE含量8%のテトラポリオールが製造できる。必要
な性質は(i)低HLB値(≦5.0、好ましくは≦
2.0)、(ii) 水にほとんどまたは全く溶解しない、
(iii)グリコールエーテル−ベース界面活性剤の添加に
より安定なエマルジョンを生成する、(iv) 毒性がな
い、である。
【0054】「POP−POEブロックポリマー」の語
は、低分子量の反応性化合物、通常はプロピレングリコ
ールに、プロピレンオキシサイド、ついでエチレンオキ
サイドを順次添加して製造されるポリマーを指す。これ
らのブロックポリマーは米国特許第2,674,619
号(Lunsted)に記載された方法によって製造す
ることができ、BASF−WyandotteからPl
uronicTMの登録商標名で市販されている。これら
のポリマーの性質はPOP核の分子量と製品中のPOE
百分率によって決定される。POP部分はブロックポリ
マーに疎水性特性を付与し、POE部分は親水性特性を
付与する。好ましいブロックポリマーは適当なテトラポ
リオールを選択するために用いられたのと同じ基準によ
って決定される。本発明の実施に好ましいブロックポリ
マーはPluronicTML121およびL101であ
る。
【0055】PluronicTMポリオールは、前置さ
れる文字とそれに続く2または3個の数字によって命名
される。前置される文字(L、PまたはF)は各ポリマ
ーの物理的状態(液体、ペーストまたはフレーク状固
体)を示す。最初の1個または2個の数字はPOPベー
スの平均分子量であり、最後の数字はPOEの量を示
す。たとえば、PluronicTML101はポリオキ
シプロピレンベースの平均分子量3,250、分子の末
端に10%のポリオキシエチレンが存在する液体であ
る。好ましいブロックポリマーは約15°〜40℃の間
の温度範囲で液体のポリマーである。さらに、液体とペ
ースト、液体、ペーストとフレーク状固体、または液体
とフレーク状固体の混合物で、特定の温度範囲において
液体のポリマー混合物も本発明に有用である。
【0056】好ましいブロックポリマーは、分子量約
2,250〜4,300の範囲のPOPベースを有し、
POE量が1〜30%のポリマーである。さらに好まし
いポリマーは、POPの分子量が3,250〜4,00
0でPOE成分が10〜20%のポリマーである。Pl
uronicTMポリオールL101、L121およびL
122はこの定義内に含まれる。最も好ましいポリマー
は、POPの分子量が4,000、POE量が10%、
またはPOPの分子量が3,250、POE量が10%
ポリマー、たとえば、それぞれPluronicTMポリ
オールL121およびL101である。
【0057】テトラポリオールまたはPOP−POEブ
ロックポリマーの「エマルジョン生成量」とは、ミセル
またはエマルジョンを生成する量である。本発明の目的
においては、この量は0.2〜49容量%である。さら
に好ましい量は0.2〜20%であり、約1〜5%がも
っと好ましい。現時点で最も好ましい濃度は1〜2.5
%である。
【0058】「界面活性剤」の語は、エマルジョンを安
定化できる非毒性界面活性剤である。製薬科学において
一般的に使用できる乳化剤および懸濁剤は多数ある。こ
れらには、天然由来の物質、たとえばゴム、植物性タン
パク質、アルギン酸塩、セルロース誘導体、リン脂質
(天然または合成)等が包含される。ポリマー骨格に親
水性置換基を有するある種のポリマー、たとえばポビド
ン、ポリビニルアルコール、およびグリコールエーテル
ベース化合物は界面活性作用を有する。長鎖脂肪酸から
誘導される化合物は、本発明に使用できる乳化剤および
懸濁剤の第三の群である。上述の任意の界面活性剤が非
毒性である限り使用できるが、グリコールエーテルベー
ス界面活性剤が好ましい。
【0059】好ましい界面活性剤は非イオン性である。
これらには、ポリエチレングリコール(とくにPEG2
00、300、400、600および900)、Spa
TM、ArlacelTM、TweenTM、MyrjTM
BrijTM、(これらはすべて登録商標であり、IC
I,America’s Inc.,Wilmingt
on,Delawareから市販されている)、ポリオ
キシエチレン、ポリオーネ脂肪酸エーテル、ポリオキシ
エチレン含有密蝋誘導体、ポリオキシエチレンラノリン
誘導体、ポリオキシエチレン脂肪グリセリド、グリセロ
ール脂肪酸エステル、または12〜21個の炭素原子の
長鎖脂肪酸の他のポリオキシエチレン酸アルコールもし
くはエーテル誘導体が包含される。現時点で好ましい界
面活性剤はTweenTM80(別名、ポリソルベート8
0またはポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエ
ートとしても知られる)であるが、上述の任意の界面活
性剤が毒性を欠くことが明らかである限り適しているこ
とを理解すべきである。
【0060】「グリコールエーテルベース界面活性剤の
エマルジョン安定化量」は、通常、界面活性剤0.05
〜5%量を存在させることによって達成される。0.2
%〜1%の量が好ましい。
【0061】製法 本発明のアジュバントの成分は市販原料から得ることも
できるし、また本技術分野の通常の熟練者によれば製造
することも可能である。テトラポリーオールは米国特許
第2,979,528号に記載の方法によって製造でき
るし、またBASF−wyandotteからのTet
ronicTMの商品名での市販品を入手することもでき
る。POP−POEブロックポリマーは、米国特許第
2,674,619号(Lunsted)に記載された
方法によって製造でき、またBASF−Wyandot
teからのPluronicTMの商品名での市販品を入
手することもできる。
【0062】グリコールエーテルベース界面活性剤、P
EG200、300、400、600および900、S
panTM、ArlacelTM、TweenTM、Myrj
TM、BrijTM等はICI,America’s In
c.,Wilmington,Delaware等から
市販品を容易に入手できる。
【0063】非毒性代謝性油状物は様々な原料から入手
できる。たとえば、スクアランおよびスクアレンはAl
drich Chemical Co.から入手可能で
ある。MDPは、たとえばSigma Chemica
l Co.のようなメーカーからの市販品を入手できる
し、また、Audibert ら:米国特許第4,15
8,052号、Audibert ら:米国特許第4,
220,637号、Audibert ら:米国特許第
4,323,559号、Baschang ら:米国特
許第4,323,560号、Baschang ら:米
国特許第4,409,209号、Baschang
ら:米国特許第4,423,038号、Derrien
ら:米国特許第4,185,089号、Hartm
ann ら:米国特許第4,406,889号、Jon
es ら:米国特許第4,082,735号、J
ones ら:米国特許第4,082,736
号、Le Francierら:米国特許第4,42
7,659号、Le Francierら:米国特許第
4,461,761号、Yamamura ら:米国
特許第4,314,998号、Yamamura
ら:米国特許第4,101,536号、およびYama
muraら:米国特許第4,369,178号に開示さ
れている方法に従って製造できる。これらの記載はすべ
て参考として本明細書に導入する。
【0064】アジュバントは、ミキサーを用い、乳化に
よって製造される。アジュバントがテトラポリオールを
用いて実験室的規模で、直ちに使用するために製造され
る場合には、単に手で混合してもよい。たとえば、Tw
eenTM80および緩衝食塩水を、試験管中のスクアラ
ンとTetronicTM1501に2×濃度で添加し、
配合物をボルテックスミキサーを用いて混合し、エマル
ジョンを生成させる。これに抗原とMDPの緩衝食塩水
中2×溶液を加えて、完成ワクチンを形成させる。高速
剪断ミキサーたとえばGreecoホモジナイザーミキ
サーを用いることがさらに好ましく、より滑らかで均一
なエマルジョンが生成する。
【0065】好ましくは、アジュバントエマルジョン
は、テトラポリオールを用いた場合もPOP−POEブ
ロックポリマーを用いた場合も、抗原の添加前に「微小
流動化」する。これは、きわめて高速の剪断ミキサー、
たとえばマイクロフルイダイザー(Microflui
daizerTM,Microfluidics Cor
p.,Newton,MAから市販されている)を用い
て達成される。MicrofluidaizerTM
は、通常、100〜500mlバッチのエマルジョンが
調製される。エマルジョンは、エマルジョン粒子サイズ
が所望のレベル、好ましくは直径800nm未満、さら
に好ましくは約300nm未満、とくに好ましくは約2
00nm未満に達するまで約2〜10回、Microf
luidaizerTMを循環させる。
【0066】MicrofluidaizerTMは剪断
力、攪乱力および空洞化力を合わせもち、2つの流動化
流が相互作用室内で高速度で相互作用して、均一な小エ
マルジョン粒子を生成させる。Microfluida
izerTM以外の装置でも満足できるエマルジョンを製
造することが可能で、十分な安定性と十分に小さな粒子
サイズを生成できる任意のデバイスの使用も本方法の範
囲内であることを理解すべきである。通常、MDPは乳
化工程後に添加される。MDPおよび抗原の添加前にエ
マルジョンを保存する場合は、保存は冷蔵および/また
は窒素気相下に行われる。
【0067】生成したエマルジョンは本技術分野でよく
知られている様々な方法で検定できる。エマルジョンの
安定性は、エマルジョンを室温および冷蔵下に放置し、
ついで相への分離を観察することによって測定する。こ
の検定は、エマルジョンをたとえば4500gで2時間
遠心分離することによって加速できる。
【0068】粒子サイズは、たとえば光学顕微鏡、遷移
電子顕微鏡、およびレーザー光散乱技術、好ましくはレ
ーザー光量子相関スペクトロスコピー(PCS)によっ
て決定できる。PCS解析はたとえばNicomp20
0型レーザー粒子サイザーとTC−100型コンピュー
ターオートコリレーターを用いて実施できる。
【0069】生物学的活性は、標準実験室的方法、たと
えば試験アジュバント処方を用いて標準抗原(たとえば
BSAまたDNP−BSA)で標準実験動物(たとえば
モルモット)に予防接種を行う方法によって検定でき
る。追加免疫の期間および免疫感作を生じる期間が経過
後、動物に標準抗原を投与して、結果を測定する。応答
は、免疫応答の測定技術として容認されている任意の測
定法、たとえば標準抗原に対する血清抗体力価(体液性
免疫)または皮膚試験反応(細胞性免疫)によって定量
化する。
【0070】投与 一定の効果を生じるのに必要なMDP誘導体および抗原
の正確な量が、特定の化合物および抗原、処置対象の体
重、年齢および状態によって変動することは、本技術分
野の通常の熟練者には自明のとおりでる。したがって、
必要量を正確を述べることは不可能であるが、この量は
本技術分野の通常の熟練者には公知の方法を用いて容易
に決定することができる。
【0071】本発明のアジュバントおよびワクチンは一
般には注射によって、とくに筋肉内注射によって、好ま
しくは大きな筋肉に投与される。一般に、最初の予防接
種は、所望の抗原と本発明の処方を用いて行われる。ワ
クチンのブースター投与は数週後(通常2〜6週後、た
とえば4〜6週後)にMDP成分を含有するまたは含有
しない(好ましくは含有する)本発明のワクチンを用い
て行う。本発明の実施に際しては、一般にワクチン(以
下の例に記載するような)1〜2mlをヒト対象に投与
する。
【0072】
【実施例】以下の実施例は本技術分野の通常の熟練者に
対する参考のために示すものであって、いかなる意味に
おいても本発明を限定するものではない。
【0073】例 1(免疫原性) (A) 処方の製造 アジュバント処方は生物学的活性の検定のために次のよ
うに製造した。各エマルジョンは抗原の2×溶液と配合
する前に2×濃度に調製した。処方1 (Allison,米国特許第4,606,91
8号より):5.0%PluronicTML121、1
0%スクアラン、0.4%TweenTM80、リン酸緩
衝食塩水(pH7.4)、所要量;成分を試験管に取
り、ミルク状のエマルジョンが得られるまで、ボルテッ
クスミキサーで混合した。この処方は投与の直前に調製
した。
【0074】処方2(処方1を冷蔵):5.0%Plu
ronicTML121、10%スクアラン、0.4%T
weenTM80、リン酸緩衝食塩水(pH7.4)、所
要量;成分を試験管に取り、ミルク状のエマルジョンが
得られるまでボルテックスミキサーで混合した。この処
方は投与の1日前から冷蔵した。
【0075】処方3(本発明のテトラポリオール処
方):5.0%TetronicTM1501、10%ス
クアラン、0.4%TweenTM80、リン酸緩衝食塩
水(pH7.4)、所要量;成分を試験管に取り、ミル
ク状のエマルジョンが得られるまでボルテックスミキサ
ーで混合した。
【0076】処方4(本発明の微細流動化POP−PO
Eアジュバント):5.0%PluronicTML12
1、10%スクアラン、0.4%TweenTM80、リ
ン酸緩衝食塩水(pH7.4)、所要量;成分を試験管
に取り、ミルク状のエマルジョンが得られるまでボルテ
ックスミキサーで混合した。ついでこのエマルジョンを
MicrofluidaizerTMに4回通した。この
処方は、処方2とともに冷蔵した。
【0077】次に、各処方に固体N−アセチルムラミル
−L−スレオニル−D−イソグルタミン(Thr−MD
P)を500μg/ml濃度になるように加えて、完全
アジュバント濃厚液を生成させた。この濃厚液を次に2
×濃度の抗原溶液(食塩水中オバルブミン、1mg/m
l)と混合し、試験ワクチンを製造した。
【0078】(B) 生物活性 各試験ワクチン(0.2ml)を雌性モルモットに投与
した。投与4週後に、各動物に同じ試験ワクチン(ただ
しThr−MDPを含まない)をブースター投与した。
最初の投与から4週間後および6週後に採取した血清サ
ンプルの抗体力価を測定した。6週後、各動物にオバル
ブミンを皮内投与し、紅斑の直径および浸潤の評点を2
4時間後に判定し、細胞性免疫の指標とした。
【0079】結果を第1表および第2表に示す。各値
は、8匹の動物から得られた平均値である。抗体力価は
赤血球凝集によって測定した。浸潤は肉眼的に1〜3の
評価尺度で判定した(1は皮膚試験部位における弱い応
答、3はきわめて明瞭な腫脹である)。
【表1】
【0080】
【表2】 結果は、テトラポリオールアジュバントが抗原の免疫原
性の増強に有意に有効であること、また微細流動化PO
P−POEブロックポリマーアジュバントは少なくとも
対照処方と同等に有効で、優れた保存安定性を有するこ
とを示している。
【0081】例 2(物理的性質) 例1(A)において製造した処方について物理的性質を
調べた。 (A) 分離:各処方(1〜4)を4500×Gで30
分間遠心分離し、ついで放置して層に分離させた。生じ
た分離量を、全体に対する上層を占める容量の百分率で
記録し、評価した。処方1〜3では約10%が分離し、
処方4での分離は約1%未満であった。
【0082】(B) 粒子サイズ:粒子サイズの分布
は、光学顕微鏡(Leitz Ortholux II
POL−BK偏光顕微鏡)、遷移電子顕微鏡(TEN、
Hitachi HS 8−1型使用)およびレーザー
光子相関分光系(PCS、Nicomp200型レーザ
ー粒子サイザーとTC100コンピューター自動相関
器)で解析した。粒子サイズ分布は最上層と最下層で測
定した。TEMおよびPCSで解析したサンプルは解析
前に1:100またはそれ以上に希釈した。結果は処方
1〜3で、粒子サイズ<0.1μm〜約25μm、処方
4で<0.1μm〜約0.3μm(300μm)の範囲
であった。
【0083】例 3(処方) アジュバント処方例を次のように調製した。 (A) TetronicTM/Thr−MDP: TetronicTM1501 2.5g スクアラン 5.0g TweenTM80 0.2g Thr−MDP 250.0mg リン酸緩衝食塩水 全容100.0mlとする TetronicTM1501、スクアランおよびTwe
enTM80にリン酸緩衝食塩水(PBS)85mlとと
もに適当な容器に取り、機械ミキサー(Greerco
Homogenizer−Mixer, #IL−79
型、Greerco Corp.,Hudson,Ne
w Hampshire)により約4750rpmで約
30〜60分間混合する。ついでThr−MDP(N−
アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミ
ン)と残りのPBS 15mlを撹拌下に加え、本発明
のアジュバント処方を得る。
【0084】(B) 同様に、上述の(A)と同じく処
理するが、Thr−MDPの代わりにN−アセチルムラ
ミル−L−α−アミノブチリル−D−イソグルタミン
(Abu−MDP)、6−O−ステアロイル−N−アセ
チルムラミル−L−α−アミノブチリル−D−イソグル
タミン(Abu−MDPステアレート)、N−アセチル
ムラミル−L−バリル−D−イソグルタミン(Val−
MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−
イソグルタミン(MDP)、N−アセチルデスメチルム
ラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(desM
e−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−
D−グルタミンブチルエステル(ムラブチド)、n−ブ
チリルムラミル−L−(α−アミノブチリル)−D−イ
ソグルタミン、およびN−アセチルムラミル−L−セリ
ル−D−イソグルタミン(Ser−MDP)を用いて相
当するアジュバント処方を調製する。
【0085】(C) PluronicTM/Thr−M
DP PluronicTML121 2.5g スクアラン 5.0g TweenTM80 0.2g Thr−MDP 250.0mg リン酸緩衝食塩水 全容100.0mlとする PluronicTML121、スクアランおよびTwe
enTM80にリン酸緩衝食塩水(PBS)85mlとと
もに適当な容器に取り、機械的ミキサー(たとえばGr
eerco Homogenizer−Mixer)に
より約4,750rpmで約5〜10分間混合する。つ
いでThr−MDP(N−アセチルムラミル−L−スレ
オニル−D−イソグルタミン)と残りのPBS 15m
lを撹拌下に加える。次に得られたエマルジョンをMi
crofluidizerTM(Microfluidi
cs Corp.)を通して少なくとも4回処理して、
本発明のアジュバント処方を得る。また、MDPは微細
流動化工程後に添加してもよい。
【0086】(D) 同様に、上述の(C)と同じく処
理するが、Thr−MDPの代わりにN−アセチルムラ
ミル−L−α−アミノブチリル−D−イソグルタミン
(Abu−MDP)、6−O−ステアロイル−N−アセ
チルムラミル−L−α−アミノブチリル−D−イソグル
タミン(Abu−MDPステアレート)、N−アセチル
ムラミル−L−バリル−D−イソグルタミン(Val−
MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−
イソグルタミン(MDP)、N−アセチルデスメチルム
ラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(desM
e−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−
D−グルタミンブチルエステル(ムラブチド)、N−ブ
チリルムラミル−L−(α−アミノブチリル)−D−イ
ソグルタミン、およびN−アセチルムラミル−L−セリ
ル−D−イソグルタミン(Ser−MDP)を用いて相
当するアジュバント処方を調製する。
【0087】(E) 同様に、上述のAおよびBで製造
したアジュバント処方を、CおよびDに記載した微細流
動化によってさらに改良し、相当する微細流動化Tet
ronicTM処方を調製する。
【0088】(F) TetronicTM/ムラブチド TetronicTM1501 2.0g スクアラン 6.0g BrijTM80 0.3g ムラブチド 300.0mg リン酸緩衝食塩水 全量100.0mlとする この処方は上述のAおよびEに記載したようにして調製
する。
【0089】(G) 同様に、上記A〜Fに記載したよ
うに操作するが、Pluronic TML121またはT
etronicTM1501の代わりにPluronic
TML101またはTetronicTM1301を用い
て、相当するアジュバントを調製する。
【0090】(H) PluronicTM/Ser−M
DP濃厚液 PluronicTML121 2.5g スクアラン 5.0g TweenTM80 0.2g Ser−MDP 250.0mg リン酸緩衝食塩水 全量100.0mlとする PluronicTML121、スクアラン、およびTw
eenTM80をPBS(全量50mlとする)とともに
適当な容器に取り、機械的ミキサー(Greerco
Homogenizer−Mixer)により約475
0rpmで約5〜10分間混合する。生成したエマルジ
ョンをついでMicrofluidizerTMに4〜1
0回通して処理し、エマルジョン濃厚液を得る。Ser
−MDPおよび残りのPBSは第二の成分として提供
し、用時調製用アジュバントの2成分キットを製造す
る。使用に際しては、所望量の抗原をSer−MDP溶
液に加え、生じた溶液をエマルジョン成分と激しく混合
する。
【0091】(I) 同様に、上記A〜Gに記載した成
分を用いて上記Hのように操作し、相当するアジュバン
トキットを調製する。
【0092】(J) ワクチン:本発明のワクチンは上
述の処方のいずれかに適当量の抗原を添加することによ
り調製する。適当な抗原には、B型肝炎、インフルエン
ザ(たとえばAまたはB)、AIDSおよびヘルペスの
抗原が包含される。ワクチンには所望により、2種以上
の抗原を含有させることもできる。たとえば、ジフテリ
ア、百日咳および結核の抗原を単一の処方で同時投与す
ることができる。
【0093】製造を容易にするために、使用するPBS
の小部分をアジュバントの調製に使わないで残してお
き、たとえば上述のアジュバントを100mlでなく9
0mlを用いて調製し、残したPBSは抗原の溶解また
は懸濁に使ってもよい。抗原/PBS溶液をついで(わ
ずかに)濃いエマルジョンと混合し、最終のワクチンを
調製する。また、さらに好ましくは、2倍の濃度のアジ
ュバントエマルジョン(MDPを含まない)を2倍の濃
度の抗原/MDP溶液と混合する。
【0094】例 4(新たに調製したエマルジョンと凍
結エマルジョンの比較) 10%v/vスクアラン、5%v/v Pluroni
TML121および0.4%ポリソルベート80をリン
酸緩衝食塩水中に含有する2倍濃度の微細流動化エマル
ジョンを、処方4(例1)のように調製して試験に用い
た。一方のエマルジョンは使用まで7日間凍結保存し、
他方は新たに調製して室温に保存した。ワクチンを調製
した日に、新鮮なまたは解凍したエマルジョンにThr
−MDPを添加した。8匹の雌性モルモットからなる群
を免疫処置にワクチンを使用する直前に、2ロットのエ
マルジョンに等容の2倍濃度のオバルブミンを加えた。
ワクチン構成成分の最終濃度は、リン酸緩衝食塩水9
2.33%、スクアラン5%、PluronicTML1
21、2.5%、ポリソルベート80、0.17%、T
hr−MDP250μg/ml、オバルブミン1.0m
g/mlであった。
【0095】第0日および第28日にモルモットにそれ
ぞれワクチン0.2mlを接種し、第28日および第4
2日に採血を行い、第42日にオバルブミン10μgで
皮膚試験を実施した。
【0096】得られた結果は以下に示すように、凍結材
料の効果は新たに調製したエマルジョンの場と同等であ
ることを示している。
【表3】 a力価は、検定条件で光学密度の読みが0.5吸収単位
なるような血清の希釈度の逆数のlog3 で示す。b
均血清希釈度の逆数で示した力価
【0097】
【表4】 a応答を示さず、皮膚試験を実施しなかった動物1匹が
含まれている
【0098】例 5(肝炎ウイルスワクチン) B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)0.5μgま
たは0.1μgを微細流動化アジュバント(例1処方4
に従って調製、冷蔵しない)に取るかまたはalum
(市販されている肝炎ワクチン)に吸着させたワクチン
を各群8匹の雌性ハートレーモルモットに皮下接種し
た。食塩水中HBsAgおよびalumに吸着されたH
BsAgはMerck Sharp and Dohm
e Research Laboratoriesから
提供された。アジュバントプレパレーションは92.3
3%PBS、5%スクアラン、2.5%Pluroni
c L121、0.17%ポリソルベート80、100
μg/ml Thr−MDPおよび1.0μg/mlま
たは0.2μg/ml HBsAgからなる。各動物に
は第0日および第4週にワクチン0.5mlを投与し
た。第4,6および15週に採血を行った。抗体力価は
ELISA法によって測定した。本発明のワクチンの方
がはるかに優れていた。
【0099】
【表5】
【0100】例 6(インフルエンザウイルスワクチ
ン) 材料および方法 6〜7週齢の雌性BALB/cJマウス10〜11匹を
1群とし、1987〜1988インフルエンザ季節に製
造された3価ワクチンを皮下に接種した。使用されたイ
ンフルエンザウイルスは、A/Taiwan,A/Le
ningradおよびB/Ann Arborであっ
た。抗原濃度は赤血球凝集素(HA)のμg数で示す。
ワクチンは、本発明の微細流動化アジュバント〔2.5
%PluronicTML121、5.0%スクアラン、
0.17%ポリソルベート80、500μg/ml T
hr−MDP、(0.1μg/mlインフルエンザ)9
2.33%PBSを含有し、例1の処方4のように調製
された。冷蔵していない〕0.1ml中に各株のHA
0.01μgがマウスに投与されるように希釈した。1
群のマウスにはインフルエンザ抗原を含まないアジュバ
ント(Thr−MDPを含む)を投与した。各群のマウ
スは次にように予防接種された。 1)対照−アジュバントのみ 2)アジュバント中各株0.01μg 3)アジュバント中各株0.01μg
【0101】第1群および第2群は0および3週に予防
接種を行い、第3群は0週にのみ予防接種を実施した。
各マウスから、逆眼窩叢を介してエーテル麻酔下、3,
5および9週に50μlの血液を採取した。血清は群ご
とにプールした。13週目にエーテル麻酔下にマウスを
放血させ、血清は個々におよびプールして保存した。
【0102】以下の表には13週の全群からの血清につ
いて測定した平均力価を示す。0.01μgの用量レベ
ルでは、1回接種群と2回接種群の間で、抗−A/Ta
iwanまたは抗−A/Leningradの力価につ
いて有意差は認められなった。しかしながら、1回接種
群で誘導された抗−B/Ann Arborの力価は2
回接種群に比して有意に低かった(群2と3の比較)。
【0103】
【表6】 a力価は光学密度0.5吸収単位を与える血清希釈度の
逆数のlog3 であるb 試験した最低希釈は1/27すなわち1/33 であっ
c 2匹の血清は力価3.1および3.2を示し、一方残
りのB血清では抗体は検出されなかった
【0104】例 7 例4のオバルブミンワクチンを、TweenTM80を含
めないほかは、例1の処方4と同様にして調製した。
【0105】例 8 例4のオバルブミンワクチンを、PluronicTM
121を1.25%しか含有させなかったほかは、例1
の処方4と同様にして調製した。
【0106】例 9(他のワクチン) 例4のオバルブミンワクチンを、オバルブミンの代わり
に以下の抗原を用いるほかは、例1の処方4と同様に操
作してワクチンを調製した。
【0107】HIV(ヒト免疫不全症ウイルス) プラスモジウム・イエリー(Plasmodium y
oelli)ペプチド インフルエンザウイルス(AおよびB型) アデノウイルス 単純ヘルペスウイルス1型糖タンパク室gD1 黒色腫抗原(マウスおよびヒト) 口蹄疫ウイルス B型肝炎ウイルス表面抗原 A型肝炎ウイルス パラインフルエンザ3糖タンパク質 SIV(シミアン免疫不全症ウイルス) ジストママンソニセルカリア 葉酸ヒドラーゼ ポリオウイルス マウスイデイオタイプ抗体 細菌性トキソイド ヒト腫瘍関連抗原 シミアンレトロウイルス(1および2型ペプチド) D型シトロウイルス パラサイト抗原 LHRH マウスIgGペプチド ウシ流産菌タンパク質 HIVタンパク質 線維芽細胞成長因子(αおよびβ) IL−6 単純ヘルペスウイルス2型初期遺伝子22 ネコ白血病ウイルス (ワクチン中のMDP重量は試験する動物種によってわ
ずかながら変動させた。一部の場合、エマルジョンは抗
原およびMDP添加前に冷蔵されていない)
【0108】例10 2.5%Tetronic 1501 5%スクアラン 0.2%Tween 80 リン酸緩衝食塩水所要量 250μg/ml Thr−MDP オバルブミン からなる微細流動化アジュバント中のオバルブミンワク
チンを例1の処方4と同様にして調製した(冷蔵しな
い)。
【0109】体重350〜400gの雌性Sim:(H
A)モルモット8匹の群を使用した。動物の頂部の皮下
に、上記処方0.2mlを注射した。各動物は第0日に
OA200μgおよびThr−MDP50μg、第28
日にOA50μgおよびThr−MDP50μgを投与
された。第28日および第42日に心臓穿刺によって採
血し、第42日には皮内にOA10μgを投与して皮膚
試験を行った。皮膚試験における直径と浸潤は24時間
および42時間後に測定した。抗体力価は、ELISA
による受動赤血球凝集によって測定した(以下参照)。
【0110】
【表7】
【0111】
【表8】
【0112】例11 上述の試験では、重大な副作用は全く認められなかっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ノエレーン エルバ バイヤーズ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サ ニーベイル,サイラキュース ドライブ 1092 (72)発明者 チェリング−チ フ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サ ラトガ,シャドウ オウクス ウェイ 14050 (72)発明者 デボラ マリリン リドゲイト アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロ ス アルトス,アーボレダ ドライブ 325 (72)発明者 フィリップ ルイズ フェルグナー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ラ ンチョ サンタ フェ,ラス パロマス 5412 (72)発明者 リンダ チェリル フォスター アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サ ニーベイル,カロリナ アベニュー 733 (72)発明者 ウィリアム アルフレッド リー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロ ス アルトス,アンダーソン ドライブ 749 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 39/39 A61K 39/00 A61J 3/00 BIOTECHABS(STN) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続水相中に分散された油状粒子を有す
    るエマルジョン型の、抗原の免疫原性を増強するための
    アジュバントにおいて、非毒性テトラポリオールブロッ
    クポリマーのエマルジョン生成量、およびグリコペプチ
    ドの免疫増強量からなるアジュバント
  2. 【請求項2】 連続水相中に分散された油状粒子を有す
    るエマルジョン型の、抗原の免疫原性を増強するための
    アジュバントにおいて、非毒性テトラポリオールのエマ
    ルジョン生成量、所望により非毒性代謝性油状物のエマ
    ルジョン生成量、グリコールエーテルベースの界面活性
    剤のエマルジョン安定化量、水または水性溶液、および
    式I 【化1】 (式中、RおよびR1 はそれぞれ独立にHまたは1個か
    ら22個までの炭素原子を有するアシルであり、R2
    アルキルまたはアリールであって所望によりハロ、ニト
    ロ、または低級アルキルで置換されていてもよく、R3
    はH、アルキルまたはアリールであり、R4 はHまたは
    低級アルキルであり、XはL−アラニル、L−α−アミ
    ノブチリル、L−アルギニル、L−アスパラギニル、L
    −アスパルチル、L−システイニル、L−グルタミニ
    ル、L−グルタミル、グリシル、L−ヒスチジル、L−
    ヒドロキシプロリル、L−イソロイシル、L−ロイシ
    ル、L−リジル、L−メチオニル、L−オルニチニル、
    L−フェニルアラニル、L−プロリル、L−セリル、L
    −スレオニル、L−チロシル、L−トリプトファニルま
    たはL−バリルであり、YはD−グルタミン、D−イソ
    グルタミンまたはD−イソアスパラギンである)で示さ
    れるムラミルジペプチド誘導体またはその医薬的に許容
    される塩の免疫増強量からなる特許請求の範囲第1項に
    記載のアジュバント
  3. 【請求項3】 テトラポリオールはN,N,N′,N′
    −テトラ(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレ
    ン)−1,2−ジアミノエタン ブロックポリマー(テ
    トロニック1501)である特許請求の範囲第1項また
    は第2項のいずれか一つに記載のアジュバント
  4. 【請求項4】 非毒性代謝性油状物としてスクアレンま
    たはスクアランを含有する特許請求の範囲第3項に記載
    のアジュバント
  5. 【請求項5】 グリコールエーテルベース界面活性剤は
    ポリオキシエチレンソルビタンモノオリエート(ツイー
    ン80)である特許請求の範囲第3項または第4項のい
    ずれか一つに記載のアジュバント
  6. 【請求項6】 水または水性溶液は等張性緩衝食塩水で
    ある特許請求の範囲第3項から第5項までのいずれか一
    つに記載のアジュバント
  7. 【請求項7】 式Iのムラミルジペプチド誘導体は、N
    −アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタ
    ミン、N−アセチルムラミル−L−α−アミノブチリル
    −D−イソグルタミン、6−O−ステアロイル−N−ア
    セチルムラミル−L−α−アミノブチリル−D−イソグ
    ルタミン、N−アセチルムラミル−L−バリル−D−イ
    ソグルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−
    D−イソグルタミン、N−アチセル−デスメチルムラミ
    ル−L−アラニル−D−イソグルタミン、N−アセチル
    ムラミル−L−アラニル−D−グルタミンブチルエステ
    ル、N−アセチルムラミル−L−セリル−D−イソグル
    タミン、またはN−ブチリルムラミル−L−α−アミノ
    ブチリル−D−イソグルタミンである特許請求の範囲第
    1項から第6項までのいずれか一つに記載のアジュバン
  8. 【請求項8】 式Iのムラミルペプチド誘導体は、N−
    アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミ
    ンである特許請求の範囲第7項に記載のアジュバント
  9. 【請求項9】 式Iのムラミルジペプチド誘導体は、N
    −アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミンブ
    チルエステルである特許請求の範囲第7項に記載のアジ
    ュバント
  10. 【請求項10】 連続水相中に分散された油状粒子を有
    する水中油型エマルジョンの、抗原の免疫原性を増強す
    るためのアジュバントにおいて、非毒性テトラポリオー
    ル0.2〜49%、非毒性代謝性油状物0〜15%、グ
    リコールエーテルベース界面活性剤0.05〜5%、水
    または水性溶液、および式Iのムラミルジペプチド誘導
    体0.0001〜10%からなる特許請求の範囲第1項
    から第9項までのいずれか一つに記載のアジュバント
  11. 【請求項11】 連続水相中に分散された油状粒子を有
    する水中油型エマルジョンの、抗原の免疫原性を増強す
    るためのアジュバントにおいて、N,N,N′,N′−
    テトラ(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン)
    −1,2−ジアミノエタン ブロックポリマー(テトロ
    ニック1501)、1〜10%;スクアランまたはスク
    アレン1〜10%;ポリオキシエチレンソルビタンモノ
    オリエート(ツイーン80)0.2%;等張性緩衝食塩
    水;およびN−アセチルムラミル−L−スレオニル−D
    −イソグルタミン0.0001〜10%からなる特許請
    求の範囲第10項に記載のアジュバント
  12. 【請求項12】 連続水相中に分散された油状粒子を有
    する水中油型エマルジョンの、動物を免疫感作するため
    のワクチンにおいて、抗原の免疫誘導量および特許請求
    の範囲第1項から第11項までのいずれか一つに記載の
    アジュバントからなるワクチン
  13. 【請求項13】 水相とエマルジョン形成量の非毒性テ
    トラポリオールブロックポリマーを一緒に混合してエマ
    ルジョンを生成させることからなる特許請求の範囲第1
    項から第12項までのいずれか一つに記載のアジュバン
    トまたはワクチンの製造方法
  14. 【請求項14】 エマルジョン生成後、混合物にグリコ
    ペプチドを添加する特許請求の範囲第13項に記載の方
  15. 【請求項15】 エマルジョンに抗原を添加してワクチ
    ンを生成させる特許請求の範囲第13項または第14項
    のいずれか一つに記載の方法
  16. 【請求項16】 水相中テトラポリオールポリマーのエ
    マルジョンを含有する第一の容器、およびグリコペプチ
    ドを含有する第二の容器からなる、特許請求の範囲第1
    項から第11項までのいずれか一つに記載のアジュバン
    トを用時調製するためのキット
  17. 【請求項17】 連続水相中に分散された油状粒子を有
    し、エマルジョンはN,N,N′,N′−テトラ(ポリ
    オキシプロピレン−ポリオキシエチレン)−1,2−ジ
    アミノエタン ブロックポリマー(テトロニック150
    1)、スクアランまたはスクアレン、ポリオキシエチレ
    ンソルビタンモノオリエート(ツイーン80)および等
    張性緩衝食塩水からなる、水中油型エマルジョンを含有
    する第一の容器、ならびにN−アセチルムラミル−L−
    スレオニル−D−イソグルタミンを含有する第二の容器
    からなり、各容器の成分の濃度は両容器の内容物の配合
    によりN,N,N′,N′−テトラ(ポリオキシプロピ
    レン−ポリオキシエチレン)−1,2−ジアミノエタン
    ブロックポリマー(テトロニック1501)、1〜3
    0%、スクアランまたはスクアレン1〜30%、ポリオ
    キシエチレンソルビタンモノオリエート(ツイーン8
    0)0.2〜5%、N−アセチルムラミル−L−スレオ
    ニル−D−イソグルタミン0.0001〜30%、およ
    び等張性緩衝食塩水からなる処方を生成するように選択
    される、本発明のアジュバントを用時調製するための特
    許請求の範囲第16項に記載のキット
  18. 【請求項18】 水相中テトラポリオールブロックポリ
    マーのエマルジョンを含有する第一の容器、および抗原
    を含有する第二の容器からなり、グリコペプチドは第三
    の容器または第一もしくは第二の容器中に含有させた、
    特許請求の範囲第12項に記載のワクチンの用時調製用
    キット
  19. 【請求項19】 連続水相中に分散された油状粒子を有
    し、エマルジョンはN,N,N′,N′−テトラ(ポリ
    オキシプロピレン−ポリオキシエチレン)−1,2−ジ
    アミノエタン ブロックポリマー(テトロニック150
    1)、スクアランまたはスクアレン、ポリオキシエチレ
    ンソルビタンモノオリエート(ツイーン80)および等
    張性緩衝食塩水からなる、水中油型エマルジョンを含有
    する第一の容器、ならびにN−アセチルムラミル−L−
    スレオニル−D−イソグルタミンおよび免疫誘導量の抗
    原を含有する第二の容器からなり、各容器の成分の濃度
    は両容器の内容物の配合によりN,N,N′,N′−テ
    トラ(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン)−
    1,2−ジアミノエタン ブロックポリマー(テトロニ
    ック1501)、1〜10%、スクアランまたはスクア
    レン1〜10%、ポリオキシエチレンソルビタンモノオ
    リエート(ツイーン80)0.2%、N−アセチルムラ
    ミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン0.000
    1〜10%、抗原の免疫原性量、および等張性緩衝食塩
    水からなる処方を生成するように選択される、本発明の
    ワクチンを用時調製するための特許請求の範囲第18項
    に記載のキット
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