JP2815369B2 - 乳カードの製造法及びこの乳カードを用いた軟質チーズの製造法 - Google Patents

乳カードの製造法及びこの乳カードを用いた軟質チーズの製造法

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JP2815369B2 JP63206268A JP20626888A JP2815369B2 JP 2815369 B2 JP2815369 B2 JP 2815369B2 JP 63206268 A JP63206268 A JP 63206268A JP 20626888 A JP20626888 A JP 20626888A JP 2815369 B2 JP2815369 B2 JP 2815369B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、固定化乳酸菌を使用して乳カードを製造す
る方法及び該乳カードを用いて軟質チーズを製造する方
法に関する。
〔従来の技術〕
ナチュラルチーズは、一般に乳汁に凝乳酵素を加える
か、又は乳汁を酸性化して得た乳カードから、ホエーを
排除したものを熟成又は非熟成して生産される。乳汁を
凝固させるための凝乳酵素としては仔牛レンネットが主
として用いられ、この外に最近では、ある種のかびの生
産した微生物レンネットが一部で用いられている。レン
ネット等の凝乳酵素を使用しないチーズでは、乳カード
を得る方法として乳酸菌の生産する酸が利用される。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、ナチュラルチーズの製造において、乳カー
ド調製には、多大の時間を要し、例えばカッテージチー
ズでは乳カードの生成に5〜20時間を要している。また
従来のようにレンネットや乳酸菌をそのまま原料乳中に
添加すると、これら酵素に基づく保存熟成中の蛋白分解
により苦みが生じるなどの欠点があり、よりよい風味の
チーズを得ることが望まれている。
さらにレンネットは、比較的高価なものであり、従来
のようにただ一度だけ、回分的に使用するのではなく、
連続的に所望のチーズを製造することも希求されてい
る。
本発明者らは、これらの点を解決すべく鋭意研究を行
った結果、乳酸菌を固定化することにより驚くべきこと
に乳酸菌が乳に作用して酸を産生することなく、プロテ
アーゼ等の凝乳酵素のみが作用し、かかる酵素が液状乳
に良好に作用し、軟質チーズ用に適した乳カードが得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、乳汁を凝固させて乳カードを得るさいに、
レンネット、あるいは微生物レンネットのような凝乳酵
素を用いず、かつまた乳酸菌の生産する酸を利用するこ
ともなく、固定化乳酸菌のプロテーゼの作用で、乳汁を
凝固せしめて乳カードを製造する方法及びこれを用いて
軟質チーズを製造する方法に関する。
すなわち、本発明は、固定化乳酸菌を液状乳に作用さ
せて、乳カードを生ぜしめることを特徴とする乳カード
を製造する方法及びこの乳カードを用いて軟質チーズを
製造することを特徴とする軟質チーズの製造法である。
さらに詳しくは、乳酸菌を生菌のまま、あるいは物理的
処理により菌体を破壊し、包括固定化法で固定化した乳
酸菌を、牛乳、脱脂乳、クリーム、還元全乳、還元脱脂
乳、還元部分脱脂乳等の液状乳に作用させたのち固定化
乳酸菌を除き、加熱処理を行って乳カードを製造する方
法及びこの乳カードをカッテージチーズ、クワルク又は
その他の軟質チーズの原料として用いて軟質チーズを製
造することを特徴とする軟質チーズの製造法である。さ
らに本発明は、固定化乳酸菌を複数のカラムに入れて液
状乳を連続的に作用させたのち加熱処理を行なって乳カ
ードを製造する方法である。
本発明では、食品用として使用される衛生上無害の乳
酸菌、例えば、チーズ用、ヨーグルト用或いはつけもの
等の植物性発酵食品用等として使用されている菌、具体
的にはStreptococcus lactis,Streptococcus cremori
s、Streptococcus diacetilactis,Streptococcus therm
ophilus,Lactobacillus lactis,Lactobacillus bulgari
cus,Lactobacillus casei,Lactobacillus plantarum,La
ctobacillus acidophilus,Leuconostoc cremoris,Pedio
coccus acidilactici,Pediococcus halophilus等の中か
ら一種又は二種以上を選んだものが用いられ、これらの
乳酸菌を乳酸菌増殖用液体培地で培養して固定化用乳酸
菌として用いられる。
乳酸菌を固定化するためには菌体濃度をできるだけ高
くすることが好ましいがそのためには、培養完了液を遠
心分離するか、又は濾過して濃厚菌体液を調製すると便
利である。この菌液に、あらかじめ滅菌しておいたアル
ギン酸ナトリウム、カッパカラギナン、寒天、ゼラチ
ン、コラーゲン、ポリアクリルアミド等の包括固定化剤
を加えて包括固定化法により固定化乳酸菌を作る。なお
この際、濃厚乳酸菌溶液を超音波処理、あるいは放射線
処理を行なって菌体を破壊したものを固定化してもよ
い。
このようにして得た固定化乳酸菌に一定量の全乳、脱
脂乳、クリーム、還元全乳、還元脱脂乳、還元部分脱脂
乳等の液状乳を加え、適温で混合しながら反応させる。
この際の反応温度は、固定化に使用した乳酸菌の増殖適
温とは無関係に選ぶことができる。
さらに連続反応を行なうために固定化乳酸菌を複数の
カラムにつめ連続的に乳汁と反応せしめる方式をとるこ
ともできる。
なお、固定化乳酸菌と乳汁の反応では乳酸は殆んど生
産されないきわめて優れた利点があり、その結果乳汁の
pH低下はわずかである。
固定化乳酸菌と乳汁とを一定時間(1〜2hrs)反応せ
しめたのち、固定化乳酸菌を除き、乳汁を静置して乳カ
ードを得るか、あるいは加熱して乳カードを生成せしめ
る。遠心分離、又は濾過によりホエーを分離して得た乳
カードは、カッテージチーズやクワルク又はその他の軟
質チーズの製造原料として使用される。更に、この乳カ
ードはプロセスチーズの組織改良剤としても用いられ
る。
〔発明の効果〕
本発明の方法で乳カード及び軟質チーズを製造するこ
との利点は次のように要約できる。
(1)本願は固定化乳酸菌を凝乳酵素として使用するも
のであるが、乳カード調製に要する時間を著しく短縮せ
しめることができる。カッテージチーズを例にとると、
乳カード生成に5〜20時間を要していたものが本発明の
方法によるときは1〜2時間で乳カードの生成が可能で
ある。
(2)乳カード生成のさいに加熱殺菌が行なえるで、汚
染菌の排除が容易である。
(3)乳酸菌の選別と組み合わせにより、還元乳の使用
も可能となる。
(4)固定化乳酸菌は反復使用すれば、生産コストが低
下する。
(5)レンネットや、乳酸菌生菌が乳カード中に含まれ
ないので、これらに基づく保存中の異臭味発生がない。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1 Streptococcus lactis ATTC−19435を、乳酸菌増殖用
液体培地(M−17,又はMRS培地)に接種し、30℃で16時
間静置培養する。遠心分離して上澄の培地部分を捨て、
沈澱した菌体部分を集める。滅菌水で2回洗浄遠沈す
る。この濃厚菌体部に、滅菌した3%アルギン酸ナトリ
ウムを等量混合したのち、0.05M−CaCl2中に滴下して平
均粒径約5mmの球状の固定化乳酸菌を得た。この固定化
乳酸菌1kgに還元脱脂乳10kgを加え、50℃で1時間撹拌
を続ける。冷却し、固定化乳酸菌を除いて得た還元脱脂
乳を80℃5分加熱して乳カード1.8kgを生成せしめる。
なお、固定化乳酸菌を50℃で1時間反応せしめて得た還
元脱脂乳のpHは6.3であり、生産された酸はわずかであ
った。遠心分離して得た乳カードを細切したのち、数回
洗浄し、乳カードに対して1.5%の食塩を添加し、容器
に詰めてカッテージチーズとした。このさい風味物質と
して、コショウ、ピメント、ストロベリー、オレンジ等
を添加することもできる。
実施例2 Streptococcus cremoris ATCC−19257を乳酸菌増殖用
液体培地(M−17,又はMRS培地)に接種し、0.5N−NaOH
を注加して培地のpHを6.2に保ちつつ、嫌気条件下で撹
拌しながら30℃で15時間培養する。遠心分離して菌体部
分を集め、滅菌した中性のリン酸緩衝液で洗浄し、遠心
分離する。この濃厚菌体部分を超音波処理して菌体を破
壊したのち、等量の3%カッパカラギナン溶液と混合
し、5%KCl液中に滴下して平均粒径約4mmのビーズ状固
定化乳酸菌を得る。このようにして得た固定化乳酸菌1k
gに、殺菌済み牛乳20kgを加え、45℃で2時間撹拌し反
応させる。冷却し、固定化乳酸菌を除いて得た殺菌全乳
を75℃で10分間加熱して乳カード4.0kgを生成させた。
なお、固定化乳酸菌を45℃で2時間反応させて得た殺菌
全乳のpHは6.2であり、生産された酸はわずかであっ
た。遠心分離して得た乳カードを容器に入れてクワルク
とする。このさい殺菌したナッツ類、肉加工品等を呈味
物質として添加することもできる。
実施例3 Pediococcus acidilactici ATCC−25742を乳酸菌増殖
用液体培地(MRS培地)に接種し、37℃で24時間静置培
養する。静置して沈澱した菌体成分を集め滅菌水で2回
洗浄する。この濃厚菌体部に、滅菌した2%アルギン酸
ナトリウムを等量混合し、0.1M−CaCl2中に滴下して平
均粒径約6mmのビーズ状の固定化乳酸菌を得る。このよ
うにして得た固定化乳酸菌1kgをガラスカラムに詰め、
還元部分脱脂乳20kgを30℃で約1時間循環通流する。1
時間循環通流後のpHは6.2であり、生産された酸はわず
かであった。この通流液を85℃1分加熱して乳カード3.
8kgを生成せしめ、遠心分離してホエー部分を除き、容
器に入れクワルクとした。
実施例4 Lactobacillus casei ATTC−393を乳酸菌増殖用液体
培地(MRS培地)に接種し、30℃で16時間静置培養す
る。遠心分離して上澄の培地成分を捨て、沈澱した菌体
部分を集め、滅菌水で洗浄する。等量の3%カッパカラ
ギナン溶液を混じ冷却し、2%KCl中に浸漬してゲル化
させたのち、サイコロ状に細切して固定化乳酸菌を得
る。この固定化乳酸菌1kgをガラスカラムに充填し、還
元全乳20kgを1時間循環通流する。1時間循環通流後の
pHは6.3であり、生産された酸はわずかであった。通流
液を80℃,5分加熱して乳カード4.1kgを生成せしめ、濾
布で濾過し、ホエーを排除する。滅菌水で洗浄したの
ち、乳カードに対して1.0%の食塩を加え、容器に入れ
てカッテージチーズとした。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定化乳酸菌を液状乳に2時間以内作用さ
    せたのち、加熱処理をして、乳カードを生成せしめるこ
    とを特徴とする乳カードの製造法。
  2. 【請求項2】液状乳が牛乳、脱脂乳、クリーム、還元全
    乳、還元脱脂乳、還元部分脱脂乳である請求項1記載の
    乳カードの製造法。
  3. 【請求項3】固定化乳酸菌が包括固定化法で固定化した
    乳酸菌である請求項1記載の乳カードの製造法。
  4. 【請求項4】固定化乳酸菌が乳酸菌の生菌又はその破壊
    物を固定化したものである請求項1記載の乳カードの製
    造法。
  5. 【請求項5】固定化乳酸菌を液状乳に回分的に作用させ
    る請求項1記載の乳カードの製造法。
  6. 【請求項6】固定化乳酸菌を液状乳に連続的に作用させ
    る請求項1記載の乳カードの製造法。
  7. 【請求項7】請求項1記載の乳カードをカッテージチー
    ズ、クワルク又はその他の軟質チーズの原料として用い
    て軟質チーズを製造することを特徴とする軟質チーズの
    製造法。
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