JP2814666B2 - ゴルフクラブの製法 - Google Patents

ゴルフクラブの製法

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合
金を用いてなるゴルフクラブヘッドの製法に関し、特定
の温度範囲で行う熱間鍛造加工を利用することにより、
伸びと耐破壊応力に優れ、疲労特性が良好であるととも
に、割れやしわを生じさせることなくライ角とロツト角
の修正ができるものに関する。
「従来の技術」 従来、伸びと耐破壊応力に優れた熱弾性型マルテンサ
イトを生ずる合金をゴルフクラブのヘッド用として用い
る技術が、特開昭59−222172号明細書において特許出願
されている。
この特許出願においては、Cu−Zn系、Cu−Al系、Cu−
Sb系、Cu−Si系、Ni−Zn系、NiTi、NiAl合金などの熱弾
性型マルテンサイト変態を生ずる合金を使用し、鋳造法
によってゴルフクラブヘッドを製造する技術の開示がな
されている。
そこで、前記の熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる
合金を用いてアイアン型のゴルフクラブヘッドを製造し
ようとする場合、製造可能な方法として以下に示す3通
りの方法が考えられる。
機械加工法 熱弾性型マルテンサイトを生ずる合金からなるブロッ
クを作製し、このブロックに切削あるいは研削などの機
械加工を施し、ゴルフクラブヘッド状に加工して製造す
る方法。鋳造法 熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金の溶湯を用
意し、この溶湯をゴルフクラブヘッド状の成形空所を有
する鋳型に鋳込んで製造する方法。
粉末冶金法 熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金の粉末を用
意し、この粉末を型に入れて加熱し加圧して焼結し、目
的の形状のゴルフクラブヘッドを製造する方法。
「発明が解決しようとする課題」 ところが、に記載した機械加工法では、加工コスト
がかかり過ぎ、量産性も低くなる問題がある。しかも、
熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金のブロックか
らゴルフクラブヘッドを削り出す場合、合金ブロックの
結晶組織がランダムな方向に配向し、得られた製品毎に
結晶組織の方向性に違いが生じているので、打球時のゴ
ルフクラブヘッドの変形状態が製品毎に異なることにな
り、安定したボール追従性を得られない問題がある。
また、に記載した鋳造法では、鋳造時の偏析を生じ
易く、一部柱状晶が発生するので、結晶粒度分布が不均
一になり易く、強度と疲労特性に問題を生じるおそれが
ある。
また、鋳造時の条件によって柱状組織が発達すること
があるが、この柱状組織の発達方向は鋳型の形状と溶湯
の冷却条件などによって左右され、通常はゴルフクラブ
のフェース面に直角な方向になることが多い上に、その
方向性も不揃いであることが多いために、打球時のゴル
フクラブヘッドの変形状態が製品毎に異なることにな
り、鋳造法で得られたゴルフクラブヘッドでは十分に安
定したボール追従性が得られない問題がある。
更に、通常、ゴルフクラブにおいては、使用者の好み
に合わせて、あるいは、製造時の不適性の修正などのた
めに、ホーゼルの角度を調整し、ライ角とロフト角を修
正することがなされている。
ところが、熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金
を用いて鋳造法で得られたゴルフクラブヘッドの結晶粒
のサイズは、0.5〜5mmであって比較的大きいために、ホ
ーゼルの曲げ角度修正のための力を加えると、ホーゼル
とヘッド本体の接合部分の結晶粒界に曲げ応力が集中
し、冷間加工であっても熱間加工であっても、前記接合
部分に亀裂やしわが入って欠陥品となる問題があった。
に記載した粉末冶金法では、組成は均一になるもの
の、ボア等の欠陥が導入され易く、強度と疲労特性がや
はり問題になるおそれがある。しかも、粉末冶金法で得
られたゴルフクラブヘッドにおいては、微細な粒子が結
合された粒状組織を示し、粒界には微細な空隙が多数、
無秩序に存在するので、製品毎に打球時の変形状態が変
化することになり、安定したボール追従性のゴルフクラ
ブが得られない問題がある。
本願発明は前記課題を解決するためになされたもの
で、打球時の安定したボール追従性を発揮できるととも
に、強度と疲労特性に優れたゴルフクラブを提供するこ
と、更にはライ角とロフト角の修正が容易にできるゴル
フクラブの製法を提供することを目的とする。
「課題を解決するための手段」 ヘッド本体とホーゼルをCu−Zn系、Cu−Al系、あるい
はNi−Ti系の熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金
で一体成形してなり、前記合金の金属組織が繊維状であ
って、この繊維状組織が、繊維状結晶直径500μm以
下、繊維状結晶の長さ/直径で表されるアスペクト比3
以上とされ、かつ、繊維状組織と該ヘッド本体のフェー
ス面とのなす角度を繊維状結晶全長の40%以上で30゜以
下にするようにフェース面と略平行に配向されてなるゴ
ルフクラブの製法であって、400℃を超える1200℃以下
の温度範囲でホーゼルを曲げ加工してホーゼルの曲げ角
度を調節し、ライ角とロフト角を修正することを特徴と
する。
「作用」 Cu−Zn系、Cu−Al系、あるいはNi−Ti系の熱弾性型マ
ルテンサイト変態を生ずる合金であって、金属組織が繊
維状であり、この繊維状組織が、繊維状結晶直径500μ
m以下、繊維状結晶の長さ/直径で表されるアスペクト
比3以上とされ、かつ、繊維状組織とヘッド本体のフェ
ース面とのなす角度を繊維状結晶全長の40%以上で30゜
以下にするようにフェース面と略平行に配向されてなる
合金を400℃を超える1200℃以下の温度範囲で鍛造加工
してヘッド本体を製造するので、熱弾性型マルテンサイ
ト変態を生ずる合金の硬度を低くした加工容易な状態で
ヘッド本体が製造される。
更に、400℃を超える1200℃以下の温度範囲で加熱し
てホーゼルを曲げ加工することにより、熱弾性型マルテ
ンサイト変態を生ずる合金の硬度を低くした加工容易な
状態で亀裂やしわを生じさせることなくホーゼルの角度
を調節することができ、ライ角とロフト角の修正が可能
になる。
ヘッド本体のうち、少なくともフェース部を熱弾性型
マルテンサイト変態を生ずる合金から形成しているの
で、超弾性特性と疲労特性に優れる。
得られたヘッド本体において、熱弾性型マルテンサイ
ト変態を生ずる合金の繊維状組織がフェース面に略平行
に配向されているので、フェース部が打球点を中心とし
て均一に変形してボールを飛ばすのでボールに対する追
従性が優れ、打球コントロールが容易なゴルフクラブが
得られる。
以下に本願発明を更に詳細に説明する。
第1図と第2図は本願発明を実施して製造されたアイ
アン型ゴルフクラブヘッドの一例を示すもので、この実
施例のゴルフクラブヘッドHでは、ヘッド全体が熱弾性
型マルテンサイト変態を生ずる合金から構成されてい
る。
このゴルフクラブヘッドHにおいて、1はホーゼル、
2はヒール、3はフェース部のフェース面、4はトウ、
5はソールをそれぞれ示している。
熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金は、その
(マルテンサイト)逆変態温度以上の温度領域で応力を
付加した場合、歪の増加とともに母相中マルテンサイト
相が応力誘起される。その後応力を除荷すると、歪の減
少とともに誘起されたマルテンサイト相が母相に逆変態
するために形状が回復し、いわゆる超弾性効果を示す。
つまり、超弾性効果とは熱弾性型マルテンサイト変態
を生ずる合金に、弾性限度以上の応力を加え、見掛け上
組成変形させても、応力を除荷すると、塑性歪が解消
し、元の形状に戻る効果である。熱弾性型マルテンサイ
ト変態を生ずる合金の復元可能な歪量が通常のバネ材料
よりも極めて(1桁程度)大きいものである。
熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金について更
に補足説明すると、この合金に作用する応力と歪との間
には、第3図に示すようなヒステリシスループを示す関
係があり、第3図A点が超弾性伸びを示す。なお、これ
に対し、一般の金属材料の応力と歪の関係では、第4図
に示すように、A′点が弾性伸びを示し、B点は塑性伸
びを示し、それらの値は熱弾性型マルテンサイト変態を
生ずる合金の超弾性伸びよりも遥かに小さい。
即ち、超弾性伸びとは、熱弾性型マルテンサイト変態
を生ずる合金に応力を加えて一般の金属材料の伸び、例
えば約0.5%以上にひずませた場合に回復可能な伸びを
示す。従って超弾性特性の優れた材料とは、超弾性伸び
の大きな材料となる。
今日、熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金とし
て、Cu系、Ni系、Ag系などの各系のβ相の合金、あるい
は化合物NiTi、およびNiAlなどが知られている。ここ
で、使用できる熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合
金として具体的に、Cu−Zn系の4.5%Zn−Cuあるいは4
%Al−26%Zn−Cu、Cu−Al系の12.5Al−Cuまたは4.03%
Ni−13.4%Al−Cu、Ni−Ti系の55〜57%Ni−Ti、63.51
%Ni−Alなどを例示することができる。
次にゴルフクラブヘッドHの製造方法について説明す
る。
前記の熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金を用
いてゴルフクラブヘッドHを製造するには、第5図に示
すような熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金塊か
らなる丸棒7を用意する。なお、ここで用いる合金塊
は、角柱状、あるいは、ブロック状など、丸棒以外の形
状でも良い。また、この合金塊の製法は、鍛造性、鋳造
法、粉末冶金法などいずれの方法でも良い。また、その
組織、状態はどのような状態でも良い。
次に、この丸棒7を400℃を超える1200℃以下の温度
範囲で熱間鍛造して第6図に示すようにゴルフクラブヘ
ッドHの形状に加工する。
この熱間鍛造を行う場合、第5図に示す丸棒7の径方
向に鍛造装置のダイスを打ち付けて第6図に示すように
変形されてゴルフクラブヘッドを製造する。即ち、丸棒
7の一端部側でゴルフクラブヘッドHのトウ4側を形成
するように、丸棒7の他端側でゴルフクラブヘッドHの
ホーゼル1側を形成するように、丸棒7の中央部でフェ
ース部を形成するように鍛造加工する。
以上のように鍛造加工することでフェース部のフェー
ス面3に対してほぼ平行に熱弾性型マルテンサイト変態
を生ずる合金の繊維状組織を配向させることができる。
この理由は、鍛造加工する際に、丸棒7の金属組織が第
6図の矢印に示す方向に変形するので、この変形に沿っ
て合金の金属組織が繊維状に揃うためである。
更に、鍛造加工によりゴルフクラブヘッドHを製造す
る場合、フェース面3を含む部分の肉厚が他の部分の肉
厚(例えば、トウ4側の肉厚とヒール2側の肉厚)に比
較してより薄くなるように加工することが好ましい。
このように鍛造加工することで、フェース面3を含む
フェース部の鍛造比を他の部分の鍛造比より大きくする
ことができ、この結果、ゴルフボールの打球時に最も応
力のかかるフェース面3に対して略平行に熱弾性型マル
テンサイト変形を生ずる合金の繊維状組織を配向させる
ことができる。このように繊維状組織を配向させること
で、打球時にフェース面3が形成した場合、フェース面
3が打球点を中心としてその左右側で均一に変形するの
で、フェース面3のボール追従性を向上させることがで
きる。
なお、前記繊維状組織(繊維状結晶)において、その
粒径(繊維の直径)は500μm以下が好ましく、50μm
以下がより好ましい。粒径の調節には、型鍛造による鍛
造比を調節すれば良い。型鍛造により鍛造比を大きくし
て粒径の小さな結晶を作り、再結晶温度(約800℃)以
上に加熱する熱処理により結晶を成長させて粒径を調節
することもできる。
また、繊維状組織のアスペクト比{繊維状結晶の長さ
(l)/直径(d)}は3以上が好ましく、10以上がよ
り好ましい。
更に、繊維状組織とフェース面3とのなす角度αは、
0≦α≦30゜の範囲が好ましく、繊維状組織の全長lの
約40%以上が前記のαで示す範囲に入っていれば有効で
ある。従って繊維状組織がフェース面3に略平行とは、
繊維状組織の全体がフェース面3に対して完全に平行に
なっている状態から、各繊維状組織の全長lの約40%以
上が、フェース面3とのなす角度を30゜以下にしている
場合までを含むものとする。
「製造例」 NiTi合金の丸棒を用い、この丸棒を600℃において第
5図に示すように径方向外方からダイスで叩いて加工す
る鍛造加工を行ってゴルフクラブヘッドを製造した。
第7図は、このゴルフクラブにおけるフェース面3の
トウに近い側の断面における金属組織写真の模式図であ
る。第7図に示される筋状の多数の曲線aは微細な細長
い結晶粒が繊維状に連なった状態を示している。
これに対し第8図は、ステンレス鋼(17−4PA)を用
い、鋳造法によって作製された従来のゴルフクラブヘッ
ドDにおいて、フェース面のトウに近い部分の断面にお
ける金属組織写真の模式図である。このゴルフクラブヘ
ッドDの断面組織では、不定形の結晶粒が多数混在した
状態を示している。このステンレス鋼からなる従来のゴ
ルフクラブヘッドは、平均結晶粒径が約1mmと大きく、
粒度分布も不均一である。
これに対し、本願発明による第7図に示すゴルフクラ
ブヘッドHにあっては、フェース面3と略平行に平均結
晶粒径20μmの微細な繊維状組織が発達している。
以上のことから、第5図と第6図を基に説明したよう
に鍛造加工することで、フェース面3に対して略平行に
熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金の金属の繊維
状組織を配向できることが明らかとなった。
第9図は、熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金
(NiTi合金)の高温域における硬度変化を測定した結果
を示す。第9図に示す結果から、前記合金は、400℃近
傍から硬度が低下し始め、600℃以上で1/10程度の硬度
まで低下することが判明した。従って前記合金を鍛造加
工する場合の温度は400℃を超えることが好ましく、600
℃以上がより好ましいことが明らかとなった。なお、熱
間鍛造時の上限の温度は、NiTi合金の融点以下とするこ
とが必要であるので、1200℃以下に設定することが必要
である。
第10図は熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金
(NiTi合金)の高温域における伸びを測定した結果を示
す。第10図に示す結果から、400℃以上に加熱すること
で、熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金の伸びが
増加し、加工性が向上することが判明した。
第11図は、NiTi合金製の前記ゴルフクラブヘッドにお
ける平均結晶粒径と超弾性伸びの関係を示したものであ
る。第11図によれば、平均結晶粒径を500μm以下にす
ることで超弾性伸びを2%以上にできることが明らかで
あるとともに、平均結晶粒径を50μm以下にすることで
超弾性伸びが4%以上を示すことが明らかになった。
第12図は、NiTi合金製の前記ゴルフクラブヘッドに2
%の歪が加わるように繰り返し歪ませた場合の疲労特性
を示したものである。第12図から、平均結晶粒径を500
μm以下にすることで104回以上の耐久性を有するゴル
フクラブヘッドを製造できることが明らかになった。
第13図は前記ゴルフクラブヘッドの引張り強さと繊維
状組織のアスペクト比の関係を示したものである。第13
図から、アスペクト比を3以上にすることで引張り強さ
を向上できることが明らかとなった。
第14図は前記ゴルフクラブヘッドの飛距離とアスペク
ト比の関係を試打結果から算出したものである。第14図
から、アスペクト比を3以上とすることで飛距離が向上
することが明らかとなった。
以上の結果をまとめると、本願発明方法を実施するこ
とで以下の特性を有するゴルフクラブヘッドを製造でき
ることが判明した。
引張り強さ 80kg/mm2以上 超弾性伸び 5%以上 疲労特性(歪0.5%時) 104回以上 これに対し、ステンレス鋼製の従来のゴルフクラブヘ
ッドにおいては以下の特性が得られた。
引張り強さ 50kg/mm2 弾性伸び 1.5%以上 疲労特性(歪0.5%時 102回以上 以上のことから本願発明方法の実施によって、従来の
ゴルフクラブよりも飛距離が長く、引張り強さが大き
く、疲労強度も高いゴルフクラブを製造できることが判
明した。
続いて、前述のように製造されたゴルフクラブヘッド
のホーゼルに曲げ加工を施し、ライ角(第1図に符号Q
で示す角度)とロフト角(第2図に符号Rで示す角度)
の修正を行う試験を行った。ここで一般に、ライ角とロ
フト角の修正角度は、最大でもライ角10゜、ロフト角5
゜であるので、この修正試験では、ライ角の修正角度を
15゜に設定し、ロツト角の修正角度を10゜に設定し、割
れやしわを生じることなく修正が可能であるかどうかに
ついて試験を行った。
修正試験にあたり第1の修正試験として、修正時(曲
げ加工時)の加熱温度を300℃に設定し、ゴルフクラブ
ヘッドの平均結晶粒径を第1表に示す如く20〜1000μm
の各値にそれぞれ変えたゴルフクラブヘッドについて試
験を実施した。粒径の調節には、型鍛造により鍛造比を
大きくして粒径の小さな結晶を作り、再結晶温度以上に
加熱する熱処理により結晶を成長させて粒径を調節する
手段を用いた。
また、第2の修正試験として平均結晶粒径500μmの
ゴルフクラブヘッドについて、修正時(曲げ加工時)の
加熱温度を第2表に示す如く20〜1200℃の各値に設定し
た場合について修正試験を実施した。
以上の結果を第1表と第2表に示す。
第1表と第2表において、○印のものは、曲げ加工部
分に割れやしわなどを全く発生させることなく実用上問
題のない形状にホーゼルを曲げることができたものであ
り、×印で示すものは曲げ加工部分に割れやしわを生じ
たものである。
第1表と第2表に示す結果から、曲げ加工時の加熱温
度を400℃を超える1200℃以下の温度範囲に設定し、平
均結晶粒径を500μm以下とすれば、割れやしわを生じ
ることなくホーゼルを曲げ加工することができ、ライ角
とロフト角の修正を容易にできることが判明した。
ところで、以上の説明においては、アイアン型のゴル
フクラブヘッドに本願発明を適用した例について説明し
たが、本願発明をウッド型のゴルフクラブヘッドに適用
しても良いのは勿論である。ウッド型のゴルフクラブヘ
ッドに本願発明を適用する場合は、ヘッド本体の打球点
となるべき部分、およびその周囲の部分、即ち、フェー
ス部に熱弾性型マルテンサイト変態生ずる合金からなる
金属板を取り付けるようにゴルフクラブヘッドを構成
し、この金属板において、前記合金の繊維状組織がフェ
ース面に略平行になるように鍛造してゴルフクラブヘッ
ドを製造すれば良い。また、アイアン型のゴルフクラブ
を製造する場合、ヘッド全体を熱弾性型マルテンサイト
変態を生ずる合金で製造しなくとも、フェース部のみを
この合金で製造しても差し支えない。
「発明の効果」 以上説明したように本願発明は、400℃を超える1200
℃以下の温度範囲でCu−Zn系、Cu−Al系、あるいはNi−
Ti系の熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金塊を熱
間鍛造加工するので、この合金の硬度を低くして加工し
易い状態として鍛造することができ、鍛造法によりゴル
フクラブヘッドを製造することができる。これにより、
緻密な結晶粒を有し、引張り強さと超弾性伸びと疲労特
性に優れたゴルフクラブヘッドを得ることができる。ま
た、合金の金属組織が繊維状であって、この繊維状組織
が、繊維状結晶直径500μm以下、繊維状結晶の長さ/
直径で表されるアスペクト比3以上とされ、かつ、繊維
状組織とヘッド本体のフェース面とのなす角度を繊維状
結晶全長の40%以上で30゜以下にするようにフェース面
と略平行に配向されてなる合金からヘッド本体を構成す
るので、超弾性伸びに優れ、疲労特性に優れるととも
に、引張強さに優れさせることができる。従って、従来
のゴルフクラブに比較して飛距離を伸ばすことができる
とともに、耐久性を向上させたゴルフクラブを提供する
ことができる。
また、本願発明の方法によれば、ヘッド本体とホーゼ
ルの結合部分を400℃を超える1200℃以下の温度範囲に
加熱して硬度を下げた状態でホーゼルの曲げ加工を行う
ので、亀裂やしわを生じさせることなくゴルフクラブヘ
ッドのライ角とロフト角の修正ができるようになる。
更に、平均結晶粒径500μm以下の緻密な結晶粒の超
弾性合金からなるヘッドに前記温度範囲で曲げ加工する
ので、曲げ加工部分の結晶粒界に応力を集中させること
が少なくなり、硬度を下げた状態で曲げ加工できるの
で、亀裂やしわを生じさせることなくライ角とロフト角
を修正できる。
従って、使用者の好みに合わせたライ角とロフト角を
有し、熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金製のゴ
ルフクラブを提供できるとともに、ライ角とロフト角を
設計値と異なって製造した場合であってもこれらを容易
に修正できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本願発明方法を実施して得られたゴルフクラブ
ヘッドの一例を示す正面図、 第2図は同ゴルフクラブヘッドの一例を示す側面図、 第3図は熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金の歪
と応力の関係を示す線図、 第4図は一般金属材料の歪と応力の関係を示す線図、 第5図は本願発明のゴルフクラブヘッドの素材となる丸
棒を示す斜視図、 第6図は本願発明のゴルフクラブヘッドの製造方法を説
明するための側面図、 第7図は同ゴルフクラブヘッドの一例の一部を断面とし
た場合の金属組織の模式図、 第8図は従来のステンレス鋼製のゴルフクラブヘッドの
一部を断面とした場合の金属組織の模式図、 第9図は熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金の温
度と硬さの関係を示す線図、 第10図は熱弾性型マルテンサイト変態を生ずる合金の温
度と伸びの関係を示す線図、 第11図は本願発明のゴルフクラブヘッドの平均結晶粒径
と超弾性伸びの関係を示す線図、 第12図は同ゴルフクラブヘッドの平均結晶粒径と疲労特
性の関係を示す線図、 第13図は同ゴルフクラブヘッドのアスペクト比と引張り
強さの関係を示す線図、 第14図は同ゴルフクラブヘッドのアスペクト比と飛距離
の関係を示す線図である。 H……ゴルフクラブヘッド、1……ホーゼル、 2……ヒール、3……フェース面、4……トウ、5……
ソール、Q……ライ角、R……ロフト角、7……丸棒、
a……繊維状組織。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A63B 53/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヘッド本体とホーゼルをCu−Zn系、Cu−Al
    系、あるいはNi−Ti系の熱弾性型マルテンサイト変態を
    生ずる合金で一体成形してなり、前記合金の金属組織が
    繊維状であって、この繊維状組織が、繊維状結晶直径50
    0μm以下、繊維状結晶の長さ/直径で表されるアスペ
    クト比3以上とされ、かつ、繊維状組織と該ヘッド本体
    のフェース面とのなす角度を繊維状結晶全長の40%以上
    で30゜以下にするようにフェース面と略平行に配向され
    てなるゴルフクラブの製法であって、 400℃を超える1200℃以下の温度範囲でホーゼルを曲げ
    加工してホーゼルの曲げ角度を調節し、ライ角とロフト
    角を修正することを特徴とするゴルフクラブの製法。
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