JP2005066336A - 鍛造アイアンゴルフクラブ - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐久性および加工性が改善された鍛造キャビティバッククラブおよび特大クラブを提供する。
【解決手段】
この鍛造クラブは薄い耐久性のある打撃フェースを具備し、比較的大きなキャビティ容積を有する。このクラブは大きな回転慣性モーメントを有しセンタから外れた打撃に起因する飛距離および精度のペナルティを最小化する。約0.100インチの打撃フェースを持つロングアイアンが実現できる。また、ステンレス鋼を鍛造した後アニーリング処理して所望の硬度および延性を実現する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、全般的にはゴルフクラブに関し、より具体的には、アイアンクラブに関する。
クラブセット中の個々のゴルフクラブヘッドの打撃フェース面積および重量は典型的にはロングアイアンからショートアイアンになるにつれて徐々に増大する。したがって、ロングアイアンのクラブヘッドの打撃フェース面積はショートアイアンより小さく、平均的なゴルファーが一貫してうまく打つことはより難しくなる。これは、通常のクラブヘッドでは、少なくとも小さな打撃フェースの小さなスイートスポットによる。
平均的なゴルファーが一貫してクラブヘッドのスイートスポットを打てるようにするために、いわゆるキャビティ構造のヘッドを具備して周囲のウエイトを大きくした多くのゴルフクラブを入手できる。他の最近の傾向は、とくに、ロングアイアンにおいて、クラブヘッドの全体サイズを大きくすることである。これら各特徴により、スイートスポットのサイズが大きくなり、この結果、若干センターからずれてボールが当たってもスイートスポットに当たり、より遠くに、よりまっすぐにボールが飛ぶようになる。ゴルフクラブヘッドのサイズを最大化しようとするときにゴルフクラブ設計者にとって難問になるものは、ゴルフクラブの全体の重さを望ましくかつ有益なものに維持することである。例えば、3番アイアンのクラブヘッドを大きく重くすると、平均的なゴルファーがクラブを適切に振ることが困難になる。
一般に、これらクラブの重心は、クラブヘッドの底部および背面に移動されている。これにより、平均的なゴルファーがボールをより速く空中に打ち出してボールをより遠くへ打つことができる。さらに、クラブヘッドの慣性モーメントが増大されていて、センターから離れてヒットしても距離や精度のうえでさほどペナルティを受けない。クラブヘッドの全体の重量を増大させることなく、ウェイトを下方かつ後方に移動させるために、材料すなわち質量がクラブヘッドのある領域から他の領域に移動させられる。クラブヘッドのフェースから材料を取るために、1つの解決手法は、薄型のフェースを生成することであった。このタイプの構成の例は、特許文献1、特許文献2に見い出すことができる。
アイアンクラブ(ウェッジクラブも含まれる)は、インベストメント鋳造法、機械加工(machining)または鍛造により製造される。鍛造クラブヘッドは、その卓越した競技特性により熟練したアマチュアゴルファーやプロゴルファに切望されている。その反面、鍛造可能な合金は展性があり、典型的には降伏強さが小さい。この欠点のために、鍛造クラブのフェースは薄くすることができない。
購入可能な鍛造アイアンクラブは典型的にはマッスルバック(肉厚で補強したもの)例えばTiteist(商標)Forged670、680、690シリーズ、Mizuno MP−33(商標)アイアンおよびKenneth SmithのRoyalSignet(商標)クラブである。RoyalSignet(商標)マッスルバッククラブはクラブのウエイトを中央のスイートスポット近くに集中させ、慣性モーメントを小さくしてしまう。鍛造キャビティバックのアイアンクラブも、比較的薄い打撃フェースを具備する中くらいのサイズのクラブとして入手可能であり、例えば、Titleist(商標)690−CB、Hogan Apex Edge ProまたはRoyal Signet(商標)Titaniumがある。Hogan Apex Edge Proアイアンは炭素鋼から鍛造した単一ピースのクラブであるが、Hogan CFTクラブは鋳造ボディにスタンプ製フェースを取り付けている。Royal Signet Titaniumクラブは鋳造ステンレス鋼クラブに鍛造チタン製フルフェースインサートを用いて補強している。
したがって、鍛造アイアンクラブヘッドを改良することが依然望まれている。
米国特許第4928972号明細書 米国特許第6045456号明細書
この発明は鍛造アイアンクラブヘッドの競技特性や加工特性を維持しつつ強度を改善することを目的としている。
この発明は鍛造ゴルフクラブに向けられている。
この発明は、クラブヘッド全体が金属製インゴットから鍛造されるゴルフクラブに向けられている。
また、この発明は、鍛造アイアンゴルフクラブに向けられている。
さらに、この発明は特大(oversize)の鍛造アイアンクラブに向けられている。
この発明は、また、ホーゼル、フロントおよびバックを具備するクラブヘッドを有するアイアンゴルフクラブに向けられており、バックは、周囲部材により画定されるキャビティを有し、フロントはこのキャビティに相応する位置で反対側に設けられた打撃ゾーンを有する。クラブヘッドは展性金属、例えば、ステンレス鋼から鍛造により製造され、その後、好ましくはアニーリングされる。キャビティおよび実質的に平坦のフロントフェースが、第1の部分とより厚い強化部分とを有する打撃ゾーンを構成する。強化部分の厚さは第1の部分の厚さの約1.2倍から約3倍である。
第1の部分は打撃ゾーンの全体面積の約50%から約90%を占め、より好ましくは、打撃ゾーンの全体面積の約60%から約80%を占める。周囲部材において好ましくはクラブヘッドの底部の方が頂部の方より厚くなっている。
この発明は、また、単一ピースまたは複数ピースの鍛造ステンレス鋼からなるクラブヘッドを有するアイアンゴルフクラブに向けられている。クラブヘッドはホーゼルと、フロントと、キャビティを規定するバックとを含み、フロントはキャビティと反対側に位置する打撃ゾーンを含み、キャビティ領域により画定される。キャビティは約10cc以上の容積を有する。この発明のアイアンのセットは、図11に曲線Aで示すものと等しいか大きいものとして定義されるキャビティ容積を有する。より好ましくは、セットを通じてキャビティ容積は図11の曲線Bで示すものと等しいか大きい。好ましくは、鍛造ステンレス鋼は鍛造の後アニーリングされる。
この発明はさらに次のようなアイアンゴルフクラブに向けられている。すなわち、このアイアンゴルフクラブは鍛造金属から製造されたクラブヘッドを有し、このクラブヘッドは、ホーゼルと、フロントと、キャビティを規定するバックとを有し、フロントは、キャビティに相応してその反対側に配置される打撃ゾーンを有し、打撃ゾーンは約2.2平方インチ以上の面積を有し、キャビティは約9cc以上の容積を有する。このようなアイアンの好ましいセットでは、平均打撃ゾーンの面積は約2.25平方インチ以上であり、平均キャビティ容積は約9cc以上である。より好ましくは、打撃ゾーンの面積は約2.4平方インチ以上であり、平均キャビティ容積は約12cc以上である。
この発明はさらにつぎのようなアイアンゴルフクラブに向けられている。すなわち、アイアンゴルフクラブは鍛造金属から製造されたクラブヘッドを有し、このクラブヘッドは、フロントフェースとキャビティを規定するバックとを有し、フロンとフェースはキャビティと反対側に打撃ゾーンをを有し、この打撃ゾーンはクラブセットにおいて約0.2インチ未満の最小厚さを有する。寄り好ましくはこの厚さは、約30°未満のロフト角(LA)のクラブでは、約0.13インチ未満である。
この発明はさらにつぎのようなゴルフクラブに向けられている。すなわち、このゴルフクラブは、鍛造金属から製造されたクラブヘッドを有し、このクラブヘッドはホーゼルと、フロントと、キャビティを規定するバックとを有し、フロントは、このキャビティに相応する位置で反対側に位置づけられる打撃ゾーンを有し、この打撃ゾーンは次の式で表されるアスペクト比を有する。
AR>=−((]1/4.5)×LA)+25
ここで、アスペクト比は打撃ゾーンの面積をその最小厚さで割ったものとして定義される。
展性または鍛造金属は好ましくは90,000psi以下の降伏強さを有し伸び率が約30%を越えるステンレス鋼である。より好ましくは、この金属は、85,000psi以下の降伏強さを有し極限伸び率が約15%から約21%を有する。鍛造金属は好ましくは10%を越えるクロムを含む。
アイアンゴルフクラブは1番から9番アイアンのいずれでも良いし、ピッチングウェッジ、サンドウェッジおよりギャップウェッジでも良い。
この発明は鍛造アイアンクラブヘッドの競技特性や加工特性を維持しつつ強度を改善することができる。
この発明の実施例のクラブヘッド10が図1〜図7に示される。また図16はこの実施例のキャビティ構成の詳細を示している。クラブヘッド10は、フロント12、バック14、トップ16、ソール18、ヒール20、トウ22およびホーゼル24を有する。クラブヘッド10は単一ピース鍛造物である。すなわち、単一のインゴットから鍛造され、フェースインサートを含んでいない。あるいは、ステンレス鋼ボディおよびステンレス鋼インサートから構成される。ボディは鍛造され、インサートは鍛造ないしスタンプ処理される。シャフト(図示しない)がホーゼル24においてクラブヘッド10と連結され、グリップ(図示しない)がシャフトの突端に設けられる。フロント12の溝は明瞭にするために図では省略している。フロント12は打撃ゾーン26を有し、打撃ゾーン26は好ましくは後方のキャビティ領域により画定され、図2および図3に最も良く示されるように上方部分28および強化部分30の反対側に位置している。クラブヘッド10は「キャビティバック」クラブである。すなわち、クラブヘッドの質量の実質的な部分がクラブヘッドの周囲32の周辺のバックサイドに位置する。以下さらに説明するように、キャビティバックデザインにより、クラブはより大きな回転慣性モーメントを有するようになり、センタからずれた打撃により生じるクラブヘッドの回転傾向を阻止する。周囲32の中において、上方部分28が打撃ゾーン26の最も薄い部材である。フロント12の最小厚さは上方部分28にある。強化部分30は、上方部分28より厚く、打撃ファースを構造的に支持する。上方部分28と強化部分30とが一緒になって伝統的な「マッスルバック」鍛造クラブと類似する。クラブヘッド10はまたキャビティ内にマッスルバックを含むような顕著な外観を有する。強化部分30は窪み34を具備してより特異な構造としても良い。
さらに、周囲32内の質量分布はソール18に向かってバイアスされている。この結果、クラブヘッド10の重心はフェースの幾何学中心の後方かつ下方となっている。幾何学中心はフロント12の垂直中心線と水平中心線の交点として定義することができる。あるいは溝領域の中点として定義することができる。図3、図4および図7に最も良く示されるように、周囲32の頂部の厚さは周囲32の底部の厚さより実質的に薄い。重心が打撃フェースの幾何学中心より下方かつ後方にある場合、クラブはゴルフボールをより高い軌道で打ち上げ、より長い飛距離を実現する。
この発明の他の実施例が図8に示される。図17はこの実施例のキャビティ構成の詳細を示している。この実施例は図1〜図7の実施例と実質的に類似している。ただし、このクラブヘッドは「特大」(oversize)クラブヘッドである。ここで用いられるように、特大クラブヘッドは、これに限定されないが、寸法の上で従来のクラブヘッドより大きなクラブヘッド、従来のクラブヘッドよりも大きな「スイートスポット」を有するクラブヘッド、および相対的に大きなキャビティ容積を有するキャビティバッククラブヘッドを含む。キャビティ容積は、打撃ゾーン26のバックの表面、すなわち、部分28および30を組み合わせた表面と、周囲ウエイト32の内部表面と、周囲32の外側エッジ36により形成される仮想平面または局面とにより囲まれる3次元形状の中の容積として定義される。外側エッジ36は図7に最も良く表される。図8のクラブヘッドは、そのキャビティ容積の相対的な相違に基づいて、図1〜図7のクラブヘッドの特大版である。このキャビティ容積の相違は、図3および図8の周囲32の厚さ38び相違により最も良く示される。図15はこのクラブの断面図であり、上方部分28の厚さt1および強化部分30の厚さt2を示している。
つぎの表はこの発明のクラブの好ましいキャビティ容積を示す。
以上の2つの実施例のクラブヘッド10のキャビティ容積がクラブヘッドのロフト角に応じてどのように変化するかを図11にプロットする。図11、図13および図14に示されるように、曲線Aはこの発明の特大でないクラブの特性を示し、曲線Bはこの発明の特大のクラブの特性を示す。図11は、特大クラブのキャビティ容積が常にその他のクラブのキャビティ容積より大きいことを示す。さらに、ロフト角(LA)が約32°未満のクラブでは、キャビティ容積が約10cm(cc)を越えている。すべてのクラブについてキャビティ容積は少なくとも約8ccである。特大クラブでは、キャビティ容積はすべてのクラブについて少なくとも約12ccであり、好ましくは約13ccより大きい。さらに、以下で検討されるように、この発明の特大クラブのより大きなキャビティ容積により、所望の大きな回転慣性モーメントを得ることができる。
この発明の一側面によれば、展性ステンレス鋼が鍛造プロセスに好ましい材料である。典型的には、その柔らかさから、鍛造には炭素鋼が用いられてきた。しかしながら、炭素鋼はさびるので、防護用にクロムメッキを行なう必要がある。クロムメッキは延性がないのでひびが生じやすい。これによりライ、ロフト、撓み性に限界がある。クロムメッキはまたゴルフクラブ製造者が仕上げのヘッドを研磨して重量、形状および/またはソール構造を適合化する上で制約となっていた。なぜならば、薄いクロムメッキがはがれてしまうからである。
好ましいステンレス鋼は約90,000未満の降伏強さを有し、約13%を越える伸び率を有する。より好ましくは、材料は約85,000未満の降伏強さを有し、約15%〜約21%の極限伸び率を有する。好ましいステンレス鋼はまた約25HRC(Hardness Rockwell C scale)のロックウェル硬度を有する。適切なステンレス鋼は、410ステンレス鋼を含み、この化学組成は、86.98%Fe、11.3%Cr、0.723%Mn、0.366%Si、0.297%Ni、0.11%C、0.034%P、0.033%Cu、0.03%Mo、0.02%V、0.017%S、0.01%Alである。他の適切なステンレス鋼は403ステンレス鋼であり、この化学組成は、86%Fe、12.3%Cr、最大1%のMn、最大0.5%のSi、最大0.15%のC、最大0.04%のP、および最大0.03%Sである。
410ステンレス鋼から製造された鍛造クラブヘッドは約14.2から約17.3HRCの範囲の硬度を有する。鍛造プロセスは複数の鍛造ステップを含んで良く、各鍛造ステップの後に他のステップ、例えば、研磨、サンドブラスト、リムービングフラッシュ、およびトリミングを行なう。例えば、先行鍛造ステップを行なった後、研磨および/あたはサンドブラスタを行いその後複数回ラフな鍛造ステップを行なう。さらに研磨およりサンドブラストを行なった後、溝を切り、またはスタンプし、(複数の)精密鍛造ステップを行なって鍛造プロセスの仕上げを行なう。
この発明の他の側面によれば、鍛造クラブヘッドをさらにアニーリング(加熱)処理してその硬度を約40HRC未満、好ましくは約90HRB未満、より好ましくは約80HRB未満にする。1実施例においては、クラブを柔らかくして特注処理しやすくし、その硬度は約90HRB未満である。一例では、鍛造クラブヘッドを約90分間、約1050°Cに加熱してその後約120分間約650°Cにする。
鍛造後加熱処理により、鍛造クラブヘッドを任意の所望の硬度にできる。有利なことに、クラブヘッドが固すぎてロフトやライを容易にカスタマイズできないという課題を、硬度を増加することにより解決する。アニーリング処理した鍛造金属の硬度は、有利なことに、鋳造材料、例えば、Titleist(商標)DCIアイアンのようなハイエンドの鋳造クラブに用いられる鋳造431ステンレス鋼または鋳造8620炭素鋼の硬度と同じ範囲である。これら材料の物理特性を以下に示す。
したがって、この発明では、クロムメッキの柔らかい炭素鋼より良好な、延性および展性を有する鍛造ステンレス鋼を選択し、鍛造クラブヘッドをアニーリング処理することにより、厚い打撃フェースの問題を解消できる。
アニーリングステップにより実現される他の利点は、鍛造材料の結晶性構造が改善されることである。図9(a)および(b)に示されるように、鍛造クラブヘッドは比較的小さなグレインサイズであるが、図10(a)および(b)に示されるようにグレインサイズが著しく改善される。大きなグレインサイズの微細構造の金属はより大きな延性を有する。好ましくは、グレインサイズは約10μmから約50μmより大きい。上述の表に示されるように、アニーリングした鍛造410SSの伸び率は鋳造431SSの伸び率に近づく。431ステンレス鋼の化学組成は、82%Fe、15−17%Cr、1.25−2.5%Ni、最大1%のMn、最大1%のSi、最大0.2%のC、最大0.04%のP、最大0.03%のSである。
さらに、鍛造アニーリング410SSの曲げ加工性は17−4 PH SSを上回る。これは、アイアンクラブに広く用いられ、鋳造431SSと類似する他の金属である。他の適切な材料には、これに限定されないが、鍛造403SS、431SS、416SS、303SS、304SS、329SS、316SS、259SS、Nitronic 40、Nitronic 50およびNitronic 60が含まれる。適切なステンレス鋼は少なくとも10%のCrを有する。鍛造プロセスおよびアニーリングプロセスを調整して所望の硬度、引張り強さおよび延性を上述したプロセスに従って容易に得ることができる。
この発明のアイアンクラブの打撃ゾーンの最小厚さは鋳造アイアンクラブの厚さと同様の範囲にすることができる。1実施例では、打撃ゾーン26の厚さを、約0.100インチ未満することにできる。この発明の発明者らはロングアイアンすなわち1番、2番および3番アイアンについて約0.098インチの厚さの打撃ゾーンを有するクラブを製造した。他の実施例、具体的には2ピースの実施例、すなわち、鍛造ボディと鍛造またはスタンプインサートを具備する実施例では、0.060インチの厚さである。
打撃ゾーン26の最小厚さはクラブのアスペクト比、すなわち、打撃ゾーン26のその最小厚さに対する比、の観点から特徴づけることができる。図2を参照すると、フロント12内の打撃ゾーン26の面積は、打撃ゾーン26の長さLと打撃ゾーン26の平均高さとの積として評価される。2つの代表的な高さH1およびH2が示されている。換言すれば、打撃ゾーン26は、フロントにおいて、キャビティバックの上方部分28および強化部分30の反対の相応する領域である。最小厚さt1は上方部分28内で測定される。定義されたアスペクト比は打撃ゾーン26をカバーし、部分28の面積は、打撃ゾーン26の全面積の約50%から約90%を構成し、より好ましくは約60%から約80%を構成する。強化部分30の厚さは、上方部分28の厚さの約1.2倍から約3倍である。上方部分28(t1)および強化部分30(t2)の相対厚さを図15に示す。
ここで用いられるように、クラブ番号1〜9、ピッチングウェッジ(PW)、サンドウェッジ(SW)はゴルフクラブの業界において広く受け入れられている記述である。アイアンクラブセットは典型的には3番アイアンからPWまでの範囲、または5番アイアンからPWまでの範囲であり、カスタムオーダの他のクラブも含めることができる。また、製造業者は、同一セット内の種々のクラブを異なる態様、例えばキャビティバック/マッスルバックのセットで製造することができることにも留意されたい。アイアンクラブにはまたギャップウェッジが含まれても良い。これらクラブは、また、他の特性、例えばこれに限定されないがロフト角により規定されても良い。打撃ゾーン26の面積は図12に示され、上方部分28の最小厚さは図13に示され、打撃ゾーン26の面積と最小厚さの間のアスペクト比は図14に示される。図12および図14において、曲線Aはこの発明の通常のクラブの打撃ゾーン26の面積およびアスペクト比を示し、曲線Bはこの発明の特大クラブの打撃ゾーン26の面積およびアスペクト比を示す。
図12はこの発明の通常のクラブおよび特大クラブの大きな打撃ゾーンを示し、これは大きなフェース面積に加えて大きなキャビティ容積に起因する。図13は、最小厚さが約0.200インチ以下、より好ましくは約0.130インチ未満の薄型単一ピースステンレス鋼鍛造フェースを、約35°未満のLAにおいて示す。図14はこの発明のクラブのアスペクト比(AR)を示し、有益なことに、大きな打撃領域および薄いフェースを持つことを示す。ARは
AR>=((1/4.5)×LA)+25
で表される。図14において線分Cはこの式を表す直線である。
ゴルフクラブの回転慣性モーメント(「慣性」)は当業界では周知であり、多くの文献で検討されており、これらには米国特許第4420156号が含まれる。詳細はこれを参照されたい。慣性が小さすぎると、センタから外れた打撃により過剰に回転する傾向がある。慣性が大きくなれば回転質量が」大きくなり、センタからずれた打撃があっても回転は少なくなり、この結果、センタから外れた打撃であっても、飛距離を伸ばし意図した軌道に近づく。慣性は、図1に示すように、クラブヘッドの重心を通る垂直軸(Iyy)の周りで測定され、またクラブヘッドの重心のまわりの水平軸(Ixx)で測定される。クラブヘッドがy−軸の周りを回転する傾向は、y−軸から外れた打撃により引き起こされた回転の量を表す。同様に、クラブヘッドがx−軸の周りを回転する傾向は、重心を通るx−軸から外れた打撃により引き起こされた回転の量を表す。IxxおよびIyyが大きければ回転傾向を抑制し、センタからずれた打撃をより許容できる。
慣性はまた図1に示されるようにシャフト軸(Isa)の周りでも測定される。まずフェースがアドレス位置にセットされ、フェースがスクゥエアにされ、、メジャーメントの前に、ロフト角およびライ角をセットする。どのようなゴルフボールの打撃も、クラブヘッドをシャフト軸周りに回転させる傾向がある。打撃がセンタからトウ側にずれると、シャフト軸周りにより多く回転させる傾向がある。打撃がセンタからヒール側にずれると、シャフト軸周りの回転傾向は小さくなる。Isaが大きいと、回転傾向が小さくなり、打撃フェースをコントロールしやすくなる。大きなIxx、IyyおよびIsaはハイエンドの鋳造アイアンクラブで実現されてきた。この発明によれば、このおうなことをハイエンドの鍛造アイアンクラブで実現できる。
上述したように、クラブヘッドの打撃ゾーンの厚さは2番アイアンで約0.100インチにすることができ、サンドウェッジ(SW)で約0.150インチにすることができる。ウエイトはクラブヘッドの周囲に移動し、ソールは約0.540インチから約0.780インチの厚さにすることができ、トップは約0.180インチから約0.380インチ、より好ましくは約0.240インチから約0.320インチの厚さにすることができる。この発明のクラブの具体的な慣性をコンピュータ支援デザイン(CAD)を用いて計算すると以下のようになり、十里あの鍛造マッスルバック(周囲ウエイティングなし)の慣性と比較される。比較例はTitleist(商標)670鍛造アイアンである。
上述のように、この発明の特大クラブの比較的大きなキャビティ容積により、大きな慣性モーメントがとくにIsaおよびIyyに得られる。
重心の位置も上にリストされている。GC−yは、クラブをアドレス位置に配置したときの地面からの距離である。CG−xは同様に配置したときのフェースの中心からの距離である。CG−saは同様に配置したときのシャフト軸からの距離である。重心は、打撃フェースの幾何学中心よりも後方かる下方に位置する。幾何学中心は、先に述べたように、溝またはスコアラインの領域の中点として定義できる。この発明の慣性モーメントが比較例のクラブの慣性モーメントより大きいことは極めて明らかである。
以上説明したこの発明の実施例がこの発明の目的を実現することは明らかであるが、種々の修正や他の実施例を当業者が容易に実現できることが明らかである。また、上述の任意の実施例の特徴またはエレメントを単独でまたは他の実施例と組み合わせて用いることができる。特許請求の範囲は、この発明の趣旨に適合する、このような修正や変更をもカバーすることを意図していることを理解されたい。
この発明の実施例のクラブヘッド(明瞭にするために溝を省略した)を示す正面図である。 図1のクラブヘッドの背面図である。 図1のクラブヘッドのアイソメトリック背面図である。 図1のクラブヘッドの平面図である。 図1のクラブヘッドのソールを示す図である。 図1のクラブヘッドのヒールを示す図である。 図1のクラブヘッドのトウを示す図である。 この発明の他の実施例のクラブヘッドのアイソメトリック背面図である。 この発明のクラブヘッドに用いて最適な鍛造金属の微細構造の拡大写真の図である。 図9の鍛造材料をアニーリングした後の微細構造の拡大写真の図である。 この発明のクラブヘッドのキャビティ容積を示すグラフである。 この発明のクラブヘッドの打撃ゾーンの面積を示すグラフである。 この発明のクラブヘッドの打撃ゾーンの最小厚さの例を示すグラフである。 図12の打撃ゾーンの面積および図13の打撃ゾーンの最小厚さの間のアスペクト比を示すグラフである。 図8のクラブの断面図である。 図1の実施例のキャビティの構造を説明する図である。 図8の実施例のキャビティの構造を説明する図である。
符号の説明
10 クラブヘッド
12 フロント
14 バック
16 トップ
18 ソール
20 ヒール
22 トウ
24 ホーゼル
26 打撃ゾーン
28 上方部分
30 強化部分
32 周囲
34 窪み
36 外側エッジ

Claims (33)

  1. ホーゼル、フロントおよびバックを具備するヘッドを有するアイアンゴルフクラブであって、上記バックが周囲部材により画定されるキャビティを含み、上記フロントが上記キャビティと相応する位置で反対側に設けられた打撃ゾーンを含み、クラブヘッドがステンレス鋼から鍛造され、その後アニーリング処理されたことを特徴とするアイアンゴルフクラブ。
  2. 上記バック上に配置される第1部分おより強化部分が上記キャビティに隣接され、上記強化部分が上記第1部分より厚い請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  3. 上記第1部分が上記強化部分の頂部に配置される請求項2記載のアイアンゴルフクラブ。
  4. 上記強化部分の厚さが上記第1部分の厚さの約1.2倍から約3倍である請求項2記載のアイアンゴルフクラブ。
  5. 上記第1部分は上記打撃ゾーンの全面積の約50%から約90%を占める請求項2記載のアイアンゴルフクラブ。
  6. 上記第1部分は上記打撃ゾーンの全面積の約60%から約80%を占める請求項5記載のアイアンゴルフクラブ。
  7. 上記周囲部材はクラブヘッドの底部で頂部より厚くなる請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  8. 上記ステンレス鋼の降伏強さは約90,000psi未満であり、伸び率は約13%より大きい請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  9. 上記ステンレス鋼の降伏強さは約85,000psi未満であり、極限伸び率は約15%〜約21%である請求項8記載のアイアンゴルフクラブ。
  10. 上記ステンレス鋼は約10%を越えるクロムを含む請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  11. 上記鍛造後にアニーリング処理されたステンレス鋼のグレインサイズは約10μmを越える請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  12. 上記鍛造後にアニーリング処理されたステンレス鋼のグレインサイズは約10μm〜約50μmの間である請求項11記載のアイアンゴルフクラブ。
  13. 上記クラブヘッドは単一のクラブヘッドである請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  14. 上記クラブヘッドはさらに鍛造フェースインサートを具備し、上記フェースインサートがステンレス鋼から製造される請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  15. 上記クラブヘッドはさらにスタンプ処理フェースインサートを具備し、上記フェースインサートがステンレス鋼から製造される請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  16. 上記クラブヘッドは約90ロックウェル硬度B未満の硬度を有する請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  17. 上記ステンレス鋼は、410ステンレス鋼、403ステンレス鋼、431ステンレス鋼、416ステンレス鋼、303ステンレス鋼、304ステンレス鋼、329ステンレス鋼、316ステンレス鋼、259ステンレス鋼、Nitronic 40、Nitronic 50およびNitronic 60からなるグループから選択される請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  18. 上記クラブヘッドは、1〜9番アイアン、ピッチングウェッジ、サンドウェッジおよびギャップウェッジからなるグループから選択される請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  19. 上記クラブヘッドにシャフトおよびグリップが取付可能である請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  20. 上記キャビティの容積が約8ccより大きい請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  21. 上記キャビティ容積は、ロフト角が約32°より小さいときには、約10ccより大きい請求項20記載のアイアンゴルフクラブ。
  22. 上記キャビティの容積が約12ccより大きい請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  23. 上記キャビティの容積が約13ccより大きい請求項22記載のアイアンゴルフクラブ。
  24. 上記キャビティの容積が図11の曲線Aの値以上である請求項20記載のアイアンゴルフクラブ。
  25. 上記キャビティの容積が図11の曲線Bの値以上である請求項23記載のアイアンゴルフクラブ。
  26. シャフト軸周りの回転慣性モーメントが500Kg・mmより大きい請求項22記載のアイアンゴルフクラブ。
  27. シャフト軸周りの回転慣性モーメントが550Kg・mmより大きい請求項26記載のアイアンゴルフクラブ。
  28. シャフト軸周りの回転慣性モーメントが600Kg・mmより大きい請求項27記載のアイアンゴルフクラブ。
  29. シャフト軸周りの回転慣性モーメントが650Kg・mmより大きい請求項28記載のアイアンゴルフクラブ。
  30. 上記打撃ゾーンの最小厚さが約0.51cm(約0.2インチ)より小さい請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
  31. ロフト角が約35°未満のときには上記打撃ゾーンの最小厚さが約0.33cm(約0.13インチ)より小さい請求項30記載のアイアンゴルフクラブ。
  32. 上記最小厚さが約0.254cm(約0.1インチ)である請求項30記載のアイアンゴルフクラブ。
  33. 上記打撃ゾーンは、
    アスペクト比>=−(1/4.5)×ロフト角°)+25
    ただし、アスペクト比は打撃ゾーンの面積(平方インチ)を最小厚さ(インチ)で割ったものである。
    を満たす請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
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