JP2812873B2 - 骨計測方法 - Google Patents

骨計測方法

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JP2812873B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、骨の計測方法に関す
る。更に詳細には、本発明は被検骨に放射線を照射する
ことにより得られる透過放射線像に基づく影像から得ら
れる骨の透過放射線量に関するパターンを測定し、骨評
価パラメータ特に海綿骨評価パラメータを合理的かつ精
度よく計測する骨計測方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】人間の骨の発育状態、老化度の確認、又
は骨粗鬆症、骨軟化症等の骨病変の種類の判定やその症
状の進行度、治療時の効果の確認等の種々の骨計測を行
う場合がある。
【0003】人間の骨には、皮質骨と海綿骨に分類され
る。皮質骨は緻密な骨組織であり、四肢の長管骨骨幹部
に代表され、パイプ状の形をとる。海綿骨は骨梁という
網目状に分布する骨組織であり、長管骨の骨端部や、脊
椎、手根骨、踵骨、距骨、足根骨等にみられる。皮質骨
に比べ、海綿骨は、その骨組織が血管系を含む軟部組織
に接する面積が大きいため、骨の代謝回転が早く、骨の
病気あるいは治療による変化が早いという特徴をもつ。
【0004】かかる骨計測の方法としては、被検骨にX
線照射して得られたX線写真フイルムを用いてそのフイ
ルムにおける影像の濃淡をマイクロデンシトメーターに
より測定して骨計測を行うMD法(「骨代謝」第13
巻、187―195頁(1980年)、「骨代謝」第1
4巻、91―104頁(1981年)等参照)、被検骨
にガンマ線を照射して、透過したガンマ線の量を検出器
により測定して骨計測を行うフォトン・アブソープシオ
メトリー、被検骨にX線照射して得られた透過X線の量
を検出器により測定する方法等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法において得られる透過放射線量のパターンには、
原理上皮質骨の情報と海綿骨の情報が混在し、皮質骨を
多く含む領域と海綿骨を多く含む領域を区別して測定し
ているとは言えなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで発明者等は、皮質
骨、海綿骨についての客観的、定量的な評価方法につい
て鋭意研究した結果、被検骨に放射線を照射することに
より得られる透過放射線像に基づく影像から得られる透
過放射線量パターンにおいて被検骨に応じて骨幅に基づ
く所定の領域でのみ該透過放射線量パターンを演算処理
し、骨計測を行うことで皮質骨を多く含む領域と海綿骨
を多く含む領域を区別して精度よく測定することが可能
になり該目標が達成できることを見いだし本発明に到達
した。
【0007】即ち本発明は、被検骨の放射線撮影により
得られる影像を用いて該被検骨についての骨計測を行な
う方法において、該被検骨についての影像の被検部で骨
計測を行なう方法において、該被検骨についての影像の
被検部で単数又は複数の異なる計測ラインに沿って該被
検骨の透過放射線量に関するパターンを測定する工程
と、該パターンにおける該被検骨の骨幅の1/3〜1/
2の範囲で骨幅の中央から割り振った海綿骨を多く含む
部分領域でのみ該パターンを演算処理して該被検骨の計
測を行う工程を有することを特徴とする骨計測方法を提
供するものである。
【0008】さらに本発明の方法には、該被検骨の骨計
測が、厚さが変化している標準物質と共に撮影された被
検骨のX線写真フイルムに光を照射して得られる透過光
量を検知する影像読み取りによるものであって、演算処
理して被検骨の計測を行う工程が該X線フイルムから得
られる標準物質の厚みと透過光量の関係に基づいて該パ
ターンを標準物質の厚みに変換することを含むものであ
る骨計測方法が含まれる。なお、本発明は被検骨が橈骨
の場合に好ましく適用される。
【0009】以下に、本発明の骨計測方法について、必
要に応じて図面を用いながら更に詳細に説明する。
【0010】即ち本発明にいう放射線としては、X線や
ガンマ線が好ましく用いられる。また本発明の影像入力
としては、被検骨にX線やガンマ線等放射線を照射し透
過放射像に基づくX線写真フイルムやX線やガンマ線な
どの透過強度センサーにより得られる影像を入力するた
めのものである。該入力された映像において関心領域
(ROI)を所定の方法で決定することで被検骨周辺の
単数又は複数の異なる測定ラインに沿って該被検骨の透
過放射線量パターンを得て、該パターンの各々に対して
所定の領域に対してのみ被検骨の計測を行うためのコン
ピュータ手段を用いてパターン処理を行い計測を行うも
のである。
【0011】ここで、所定の方法としては骨頭部のわか
り良い突部2点をピックしてその中点を求め次に骨幹部
の2点ピックし、その中点を求めそれらを結び骨軸とし
これに対する垂線を骨頭部の2点の中点又はいずれか1
点からの距離を基に決め該ラインの近傍で等間隔、平行
している複数の測定ラインをROIとする方法がある。
【0012】このコンピュータ手段には演算を行うMP
Uと該演算を含む骨計測のためのプログラムが入力され
たROM及び、演算一時記憶のためのRAMから構成さ
れている。
【0013】ここで所定の領域の決め方について述べ
る。骨は先に述べたように皮質骨と海綿骨に分類でき
る。しかし、従来の測定では図1の骨幅D全体について
の透過放射線量に関するパターンすべてについて骨密度
を計算していたので皮質骨あるいは海綿骨を区別して計
測することは不可能であった。そこで我々は該透過放射
線量に関するパターンにおいて図1におけるxなる所定
の領域でのみ演算を行う方法を考案した。即ち、被検骨
が例えば橈骨遠径端における例では、皮質骨、海綿骨の
割合は図2のように変化する。よって海綿骨の割合をで
きるだけ多くとるには、領域を狭くする必要がある。例
えば、海綿骨を多く含む領域を測定するには図3の領域
についてパターン処理すればよいことになる。
【0014】しかしながら該領域を狭くすれば骨の性質
による位置によるデータの変動や測定系の感度バラツキ
等による測定ラインのズレによるデータ変動が大きくな
り測定精度(CV)の低下をまねく。これを図4に示
す。
【0015】そこで、図2、図4に示すように海綿骨の
割合とCVはトレードオフの関係になっていて、逆に言
えば、測定に要求される骨の割合が決まれば精度は決ま
り、精度が決まれば骨の割合が決まる。これらを我々は
合理的に決定することで海綿骨を多く含む領域で高い精
度での測定を可能とした。この領域の決定には図5で示
す骨幅Dに基づく値を利用するのが好適である。ここで
図5に示すとおり、皮質骨の測定に用いられるd(ピー
ク、ピークキョリ)を用いた場合、海綿骨が多い領域で
はこのdが明確でない場合が多いので好適とは言えな
い。橈骨長さの1/8部位では図6のような骨分布にな
っているが海綿骨を測定したいときはDの1/3領域を
とれば図2、図4より海綿骨の割合50%でCV2%以
下で測定できることがわかる。尚、図2は、骨幅の半分
についてのみ模式的に示したものである。
【0016】本発明を実施する骨計測装置の好ましい実
施態様例を図7に示す。即ち、自動読み取り4部1はラ
インセンサー(CCD)をフイルム移動方向に直角に並
べてX線写真フイルムの上面又は下面から帯状光源(L
ED)によりフイルムを照射し、その透過光をラインセ
ンサー上に焦点を結ぶように配置したロッドレンズによ
り集光し、そのX線フイルム濃度に応じた透過光の強度
等の信号を得るようにすると同時にラインセンサー及び
帯状光源と直角方向に微少移動することのできるパルス
モータを用いた微少フイルム走行手段を具備している。
【0017】フイルムフィードコントローラーはかかる
X線写真フイルムの特定部位にしぼって透過光の検知を
可能にしたり、フイルムを所定の速度で間欠的に走行さ
せることを制御するための制御手段である。CCDドラ
イバーは、CCDに蓄積されたデータを所定のタイミン
グで取り出せるように制御する機能を有するものであ
る。又はLEDコントローラは、X線写真フイルムの濃
淡のレベルに合わせて光源の強さを調節するための光源
の光強度調節手段である。
【0018】該被検骨の影像において骨頭部2点と骨幹
部2点を指定する手段としては、骨の影像を表示するC
RTなる画像表示手段とその表示をもとにポイント入力
手段としてのキーボードやライトペンなどが考えられ
る。さらにそれぞれの中点を結んで骨軸を求める手段と
しては該処理内容が記憶されているROM及び演算・一
時記憶のためのRAMから構成されるコンピュータ手段
があげられる。
【0019】さらに該骨頭部2点のいずれかの点又はそ
の中点を基準に該骨軸に沿って所定の距離だけ離れた位
置に骨軸に垂直な基準測定ラインを設定する手段と該基
準測定ライン又はその近傍の単数又は複数の測定ライン
に沿って該被検骨の透過放射線量に関するパターンを得
る手段及び該パターンを用いて所定の演算処理を行い該
被検骨の骨計測を行う手段としてはこれらの処理内容が
記憶されているROM及び演算・一時記憶のためのRA
M及びCPUから構成されるコンピュータ手段があげら
れる。
【0020】被検骨と標準物質を共に撮影されたX線写
真フィルムに光を照射して得られる透過光量のパターン
において、被検骨部の透過光量を標準物質部の透過光量
と比較することが被検骨を標準物質厚さに変換すること
ができ、撮影条件によるX線写真フィルム濃度の違いに
よる誤差を小さくできる。ここで標準物質とは厚みが連
続的に変化するスロープ状ものや1mmピッチで厚みが
変化するステップ状のものが考えられる。スロープ状の
場合は被検骨部の透過光量と標準物質部の透過光量の直
接比較で厚み変換する方法が考えられる。ステップ状の
標準物質へ厚さ変換をする時は、被骨部の透過光量が標
準物質ステップ間のそれに対応する場合各ステップの透
過光量を一次補間したりスプラインで補間したりして変
換する方法が考えられる。これらの演算処理手段として
は上述のROM、RAM、及びCPUからなるコンピュ
ータ手段があげられる。
【0021】図8は、図7における骨計測データ処理部
2におけるCRTなる画像表示手段に拡大されて表示さ
れた橈骨の例である。11が表示画面であり、12が橈
骨であり、13、14、15、16が骨計測のため必要
とされる基準ポイントの位置を示すものである。具体的
には13、14の中点と15、16の中点を結びこれに
垂線を13から所定の位置、例えば第2中手骨長さの1
/2にとり基準測定ラインとするのが位置再現性を確保
するのに好適である。
【0022】図7における自動読み取り部1によって読
み取られたデータ群がデータ処理部2におけるイメージ
入出力部及びイメージメモリーから主としてなる影像記
憶手段によって記憶されて、記憶された影像に関するデ
ータ群は、CRCT及びCRTから主としてなる画像表
示手段によって図9に示す如き拡大された被検骨のパタ
ーンとして表示される。
【0023】更に本発明の計測装置に含まれる演算手段
としては、ポイント入力手段例えば、カーソルキー等に
より入力された基準ポイントを基準として、影像記憶手
段に記憶された被検骨の影像における測定すべき所定の
位置を決定し、かかる所定位置での被検骨の影像及び厚
さの変化している標準物質の影像に関する記憶データ群
を用いて標準物質の厚みに変換して骨測定のための演算
を行うことができるものであればいかなるものであって
もよい。その例としては骨計測のための演算プログラム
が入力されたROM及び演算・一時記憶のためのRAM
から構成されるマイクロコンピューター手段があげられ
る。
【0024】また、被検骨についての影像の被検部で単
数又は複数の異なる計測ラインに沿って、該被検骨の透
過放射線量に関するパターンを測定するための手段及び
該被検骨の骨幅に基づいて、予め定められた部分領域で
のみ該パターンを演算処理して該被検骨の計測を行う手
段として、これらの処理・演算プログラムが入力された
ROM及び演算・一時記憶のためRAMから構成された
マイクロコンピュータ手段があげられる。
【0025】演算の内容は具体的例を示すために、図9
に例示された如き橈骨遠位端の所定の測定ラインでの記
憶データをパターンとして表示したものである。即ちD
が骨巾を示し、これに基づいて決定された骨幅の1/3
の領域での骨密度分布が表現されている。
【0026】なお、図7のRS232C及びMODEM
は、骨計測装置の手段を介した骨評価システムに用いる
場合の通信手段に連結されて通信機能を付与するための
ものであり、PIOはディジタル制御入力をコンピュー
ターシステムへ入出力するためのインターフェイスとし
て機能するものである。
【0027】上述した本発明の具体例ではX線写真フィ
ルムを用いたものを示したが、X線イメージセンサーに
直接X線を照射して画像化する装置等にも本発明は容易
に適用できる。
【0028】かかる本発明を実施する装置の場合の、X
線撮影から骨計測までの流れを模式的に図10に示す。
X線源20からのX線を被検骨19と共にX線イメー
ジセンサーに直接を照射して画像化する装置において
は、従来のX線撮影法におけるX線写真フィルムを挟み
込んだカセッテの代わりにイメージングプレート21を
使用してX線撮影を行い、レーザー光照射手段22およ
び光検知センサー23により該イメージングプレート2
1に蓄積記録されたX線情報にレーザー光を照射するこ
とでX線強度に比例した情報を光信号として読み取るこ
とができる。画像処理装置25によって読み取った光電
情報をA/D変換して被検骨のX線像24を得て、該X
線像をもとに、前記の如き本発明における骨計測方法と
同等な骨計測を行うことができる。
【0029】また本発明には、被検骨にガンマ線を照射
して得られる透過ガンマ線量に基づいて影像を検出して
骨計測を行うフォトン・アブソープシオメトリーによる
ものも含まれる。
【0030】
【発明の効果】本発明により皮質骨、海綿骨量を精度よ
く合理的に計測できる計測方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の骨計測の例示。
【図2】被検骨中の海綿骨の比率の例示。
【図3】海綿骨についての骨計測の例示。
【図4】計測領域と計測精度の関係の例示。
【図5】本発明における骨計測の例示。
【図6】橈骨における骨計測の例示。
【図7】本発明を実施する骨計測装置の具体例の模式
図。
【図8】本発明における骨計測ライン設定の例示。
【図9】本発明における骨計測の例示。
【図10】本発明を実施するX線イメージセンサー上で
被検骨にX線照射して画像化する装置の例示。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 6/00 - 6/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検骨の放射線撮影により得られる影像
    を用いて該被検骨についての骨計測を行う方法におい
    て、該被検骨についての影像の被検部で単数又は複数の
    異なる計測ラインに沿って該被検骨の透過放射線量に関
    するパターンを測定し、該パターンにおける該被検骨の
    骨幅の1/3〜1/2の範囲で骨幅の中央から割り振っ
    た海綿骨を多く含む部分領域でのみ該パターンを演算処
    理して該被検骨の計測を行うことを特徴とする骨計測方
    法。
  2. 【請求項2】 該被検骨が橈骨である請求項1の骨計測
    方法。
  3. 【請求項3】 該被検骨の骨計測が、厚さが変化してい
    る標準物質と共に撮影された被検骨のX線写真フイルム
    に光を照射して得られる透過光量を検知する影像読み取
    りによるものであって、演算処理して被検骨の計測を行
    う工程が該X線フイルムから得られる標準物質の厚みと
    透過光量の関係に基づいて該パターンを標準物質の厚み
    に変換することを含むものである請求項1の骨計測方
    法。
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