JP2793502B2 - 骨塩量測定方法および装置 - Google Patents

骨塩量測定方法および装置

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JP2793502B2
JP2793502B2 JP6082040A JP8204094A JP2793502B2 JP 2793502 B2 JP2793502 B2 JP 2793502B2 JP 6082040 A JP6082040 A JP 6082040A JP 8204094 A JP8204094 A JP 8204094A JP 2793502 B2 JP2793502 B2 JP 2793502B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高精度で骨塩量を測定
できる骨塩量測定方法および骨塩量測定装置に関し、特
に投影プロファイルの左右のエッジの補正方法に特徴の
ある測定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】人間の骨の発育状態、老化度の確認、又
は骨粗鬆症、骨軟化症等の骨病変の種類の判定やその症
状の進行度、治療時の効果の確認等の種々の骨塩量計測
を行う場合がある。
【0003】かかる骨塩量計測の方法としては、MD法
やDIP法などが知られている。MD法は、人間の両手
の中央にアルミスケール(スロープまたは階段状のアル
ミニウム板)を置いてX線撮影を行い、この撮影済みX
線フィルムから計測専用装置を用いて骨塩量を解析する
方法である。解析は、第2中手骨の中央をマイクロデン
シトメータで走査し、得られた濃度をアルミスケール濃
度に換算して、骨塩量に関する種々の指標を得る。一般
にそれらの指標の内、MCI(骨皮質幅の骨幅に対する
割合)とΣGs/D(骨幅あたりの骨陰影度)が最もよ
く用いられる。MD法の詳細は、“X線像による骨萎縮
度判定の試み、井上他、骨代謝第13巻、1980−
3.”等を参照されたい。
【0004】また、DIP法は、アルミスケールと共に
人間の両手を撮影したX線フィルムを、DIPシステム
の透過照明装置の上に置き、第2中手骨の画像を測定用
ビデオカメラを通じて高分解能画像処理装置に送り、M
D法と同等の骨量に関する種々の指標を自動解析によっ
て得る方法である。DIP法はMD法を改良した方法で
あり、MD法に比べて測定精度は落ちるものの、測定時
間はMD法の1/10以下に短縮される。DIP法の詳
細は、“新しい骨量測定法−DIP法とは?、林、Bo
ne&Joint Vol.3 No.5.”等を参照
されたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】MD法による骨塩量の
解析手法を具体的に説明すると次のようになる。まず第
2中手骨の中央に対してマイクロデンシトメータを走査
させながら、光を照射して得られる透過光の強度を測定
し、その走査された部位に対応した透過光の強度または
吸光度の線図を所定のチャート紙上に記入する。さらに
第2中手骨と共にX線撮影されたアルミスケールに対し
てマイクロデンシトメータを走査させ、得られた透過光
の強度または吸光度の線図についてもチャート紙に記入
する。このようにして得られたチャート紙上における第
2中手骨に関する吸光度とアルミスケールに関する吸光
度の各々の線図を、デジタイザを用いてコンピュータに
入力し、各点での第2中手骨の吸光度をアルミスケール
濃度に換算する。このようにして得られた図を用いて、
対象部位での骨形態を表す種々の指標がコンピュータ内
で計算され、計算結果が出力される。以上のようにMD
法による骨塩量の解析は、チャート紙上に第2中手骨に
関する吸光度などの線図を記入する必要があり非常に手
間がかかり問題であった。
【0006】これに対して、DIP法による解析処理
は、チャート紙に線図を記入する代わりに測定用ビデオ
カメラで第2中手骨の画像を撮影して高分解能画像処理
装置に送っている。このため、非常に高速に解析を行う
ことができる。ところが、DIP法は精度面で以下の問
題があった。つまり、DIP法による解析は、測定用ビ
デオカメラを用いているため、X線フィルムエッジが線
源の大きさによりわずかにボケたり、撮像光学系による
ボケの影響で撮影が不鮮明になる恐れがあった。又、X
線フィルムのSN比が悪い場合もあり、データにノイズ
成分によるゆらぎがあったりした。このため、解析で得
られる指標の一つであるMCI(Metacarpal Index)の
値を予め小さな値に計算されるように補正して対処する
必要があった。しかしながら、この補正によってもMD
法なみに精度が上げることはできなかった。
【0007】本発明は、このような従来の骨塩量計測方
法の問題を解決して、MD法と同等の精度でDIP法と
同等の高速計測を行うことのできる骨塩量測定方法およ
び骨塩量測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の骨塩量測定方法は、被検骨を透過した放射
線の撮影像である透過放射線像の長手方向のほぼ中心を
通る軸に垂直な直線上で放射線吸収特性に基づく投影プ
ロファイルを測定することにより、この投影プロファイ
ルから被検骨の骨塩量を算出する骨塩量測定方法におい
て、 (a)投影プロファイルを微分して、最大微分値と左極
大値の区間および右極大値と最小微分値の区間を算出す
る第1の工程と、(b)両区間内の投影プロファイル上
に少なくとも3点ずつのデータを選択する第2の工程
と、(c)選択された少なくとも3点のデータから最小
二乗法を用いて曲線パターンを両区間で求め、これらの
曲線パターンで投影プロファイルのエッジ領域を適正化
し、適正化された適正プロファイルから被検骨の骨塩量
を算出する第3の工程とを備える。
【0009】また、本発明の骨塩量測定装置は、(a)
被検骨に放射線を照射することにより得られる透過放射
線像を撮影する撮影手段と、(b)撮影手段によって撮
影された前記被検骨の透過放射線像を入力し、この透過
放射線像の長手方向のほぼ中心を通る軸に垂直な直線上
で放射線吸収特性に基づく投影プロファイルを測定する
測定手段と、(c)測定手段によって測定された投影プ
ロファイルを微分して、最大微分値と左極大値の区間お
よび右極大値と最小微分値の区間を算出する第1の演算
手段と、(d)第1の演算手段で算出された両区間内の
投影プロファイル上に少なくとも3点ずつのデータを選
択する選択手段と、(e)選択手段で選択された少なく
とも3点のデータから最小二乗法を用いて曲線パターン
を両区間で求め、これらの曲線パターンで投影プロファ
イルのエッジ領域を適正化し、適正化された適正プロフ
ァイルから被検骨の骨塩量を算出する第2の演算手段と
を備える。
【0010】
【作用】本発明の骨塩量測定方法によれば、被検骨を透
過した放射線の撮影像である透過放射線像の長手方向の
ほぼ中心を通る軸に垂直な直線上で放射線吸収特性に基
づく投影プロファイルを測定すると、被検骨は中央部と
周辺部で放射線吸収特性が異なるため、測定された投影
プロファイルは中央が陥没した山形の形状となる。この
投影プロファイルは、被検骨に放射線を照射するための
放射線源の大きさによるボケや、被検骨の透過放射線像
を撮影するための撮影撮像光学系によるボケのため、特
に左右のエッジ部分に誤差が生じ易い。
【0011】そこで、第1〜第3の工程で左右のエッジ
の補正を行っている。まず、第1の工程で、投影プロフ
ァイルを微分して、最大微分値と左極大値の区間および
右極大値と最小微分値の区間を算出している。これらの
区間が高精度の情報を含んでおり誤差が少ないからであ
る。次に、第2の工程で、両区間内の投影プロファイル
上に少なくとも3点ずつのデータを選択する。最低3点
の位置データがあれば、投影プロファイルの適正化が行
えるからである。さらに、第3の工程で、選択された少
なくとも3点のデータから最小二乗法を用いて曲線パタ
ーンを両区間で求め、これらの曲線パターンで投影プロ
ファイルのエッジ領域を適正化して、左右のエッジの補
正を行う。そして、適正化された適正プロファイルから
被検骨の骨塩量を算出する。
【0012】また、本発明の骨塩量測定装置は、本発明
の骨塩量測定方法を適用した装置である。つまり、被検
骨の透過放射線像が撮影手段で撮影され、撮影された透
過放射線像の長手方向のほぼ中心を通る軸に垂直な直線
上で放射線吸収特性に基づく投影プロファイルが測定手
段で測定される。投影プロファイルは第1の演算手段に
与えられ、最大微分値と左極大値の区間および右極大値
と最小微分値の区間が算出される。そして、算出された
区間データは選択手段に与えられ、両区間内の投影プロ
ファイル上に少なくとも3点ずつのデータが選択され
る。さらに、選択された各データは第2の演算手段に与
えられ、最小二乗法によって投影プロファイルのエッジ
領域が適正化される。このように適正化された適正プロ
ファイルから被検骨の骨塩量が算出される。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例について添付図面を
参照して説明する。図1は、本実施例に係る骨塩量測定
装置の外観を示す斜視図である。同図に示すように本実
施例の骨塩量測定装置は、画像計測部10と画像解析部
20とから構成されている。画像計測部10は、X線フ
ィルム11を撮影する高解像度のビデオカメラ12と、
ビデオカメラ12を制御するカメラコントロールユニッ
ト13と、X線フィルム11を上部に載置して裏面から
照射する高周波点灯蛍光灯14と、X線フィルム11を
高周波点灯蛍光灯14の上部に載置させるフィルムロー
ディングステージ15とを備えている。ビデオカメラ1
2、カメラコントロールユニット13および高周波点灯
蛍光灯14は暗箱16の中に配設され、フィルムローデ
ィングステージ15は暗箱16の外から高周波点灯蛍光
灯14上部に導入できるよう配設されている。また、画
像解析部20は、ビデオカメラ12の出力画像を解析す
るコンピュータ21と、解析に必要なデータを入力する
キーボード22、マウス23と、解析結果を表示するモ
ニタ24と、解析結果を出力するプリンタ25とを備え
ている。
【0014】図2は、本実施例の骨塩量測定装置の構成
を示すブロック図である。暗箱15には、前述した機器
(ビデオカメラ12〜高周波点灯蛍光灯14)以外に、
X線フィルム11の周辺部を覆うマスク17と主電源回
路18が配設されており、主電源回路18はカメラコン
トロールユニット13および高周波点灯蛍光灯14に電
力を供給している。主電源回路18は、さらにコンピュ
ータ21およびモニタ24の各電源部211 ,241
も電力を供給している。コンピュータ21には、ビデオ
カメラ12の出力画像を取り込む画像取込装置21
2 と、取り込んだ画像を記憶するメインメモリ21
3 と、解析プログラム等が格納されたハードディスクユ
ニット214 とが内蔵されている。さらに画像解析結果
等を記録するフロッピーディスクユニット215 と、モ
ニタ24に表示する画像データを一時的に記憶するビデ
オRAM216 と、画像解析結果等をプリンタ25から
出力させるためのプリンタI/F(インタフェース)2
7 と、各機器(ハードディスクユニット214 〜プリ
ンタI/F217 )を制御するマイクロプロセッサ21
8 とが内蔵されている。
【0015】このような構成の測定装置を用いた骨塩量
測定方法について、図3〜図6を参照して説明する。ま
ず、X線フィルム11の上にアルミスケール30と両手
掌を載せ、50KV、100mA、平均0.05秒でX
線撮影を行う(図3(a))。X線フィルム11を自動
現像装置で現像すると、中央にアルミスケール30のX
線像、左右に手骨のX線像が得られる。X線像が焼き付
けられたX線フィルム11はフィルムローディングステ
ージ15に載置され、暗箱16内の高周波点灯蛍光灯1
4上面に導入される。高周波点灯蛍光灯14の照射によ
ってX線フィルム11上に手骨及びアルミスケール30
のX線像が浮かび上がり、これらのX線像は高周波点灯
蛍光灯14上部のビデオカメラ12で撮影される(図3
(b)、ステップ100:図6)。撮影されたX線像の
画像データは画像取込装置212によって取り込まれ、
メインメモリ213 に記憶される。
【0016】次に、マイクロプロセッサ218 の制御の
下、ハードディスクユニット21に格納された解析プ
ログラムが起動され、メインメモリ21に記憶され
た画像データの解析が行われる。まず、画像データ中の
アルミスケール画像の輝度が読み取られる(ステップ1
10:図6)。アルミスケール30には、10:1のス
ロープが付いており(空間的に10mmの距離が1mm
Alの厚さが増すことに相当する)、この幾何学的な条
件によってどの輝度値がアルミ厚に換算すると何mmの
厚さに相当するかが計算され、計算結果より変換テーブ
ルが作成される。そして、この変換テーブルに従ってメ
インメモリ213 上の画像データのすべての輝度データ
がアルミ厚に換算した輝度データに変換される(図3
(c)、ステップ120:図6)。
【0017】次に、メインメモリ213 上の画像データ
はビデオRAM216 上に移され、モニタ24に表示さ
れる。ここで操作者がマウス23を操作して、モニタ2
4に表示された画像データ中の所望の測定部位(通常は
右手第2中手骨)の上下の端を指定すると、指定した2
点の中間に特定の幅を持った(通常は全長の10%の幅
とする)測定ウインドウがモニタ24に表示される(図
4(d)、ステップ130:図6)。
【0018】この測定ウインドウに対応したメインメモ
リ213 上の画像データに対して、骨長手方向と直交す
る投影プロファイルが複数本読み出され、これらの投影
プロファイルがメインメモリ213 の画像データと異な
る領域に記憶される(図4(e))。読み出される投影
プロファイルの本数は通常30〜40本程度である。投
影プロファイルをグラフにすると、中央が陥没した山形
の形状となる(図5(f)、ステップ140:図6)。
【0019】そして、メインメモリ213 から投影プロ
ファイルが一本ずつ読み出され、それぞれの投影プロフ
ァイルの空間的な左右のエッジ点と輝度方向におけるバ
ックグラウンドのオフセット分が検出される。この検出
値よりΣGs(図中斜線部)が求められ、ΣGsをエッ
ジ間距離Dで除算することにより、ΣGs/Dが算出さ
れる(図5(g))。ΣGs/Dは、骨塩定量に用いる
骨密度パラメータの一つである。さらに、その他の骨密
度パラメータであるMCI,ΔGsmax ,ΔGsmin
D,dがそれぞれ算出される(ステップ150:図
6)。これらの骨密度パラメータは、図7に示すよう
に、投影プロファイルのグラフから求められる。これら
の骨密度パラメータの概要を次に示す。
【0020】 ΣGs/D : 骨部分輝度平均値(単位[mmAl]) MCI : 中手骨指標(MCI=(D−d)/D) ΔGsmax : 骨部分最大輝度値 ΔGsmin : 骨部分最小輝度値 D : 骨部分幅 d : 骨部分ピーク間隔 算出された骨密度パラメータは投影プロファイルごとに
計算され、さらに、測定精度を向上させるため、各々の
パラメータごとに平均化して、測定シートという電子フ
ァイルとしてハードディスクユニット214 もしくはフ
ロッピーディスクユニット215 に記録される。さら
に、必要に応じて算出された骨密度パラメータのデータ
をプリンタ25から出力させることもできる。ステップ
100〜ステップ150までの処理は、操作者がキーボ
ード22あるいはマウス23を用いて、処理終了の入力
を行うまで繰り返される(ステップ160:図6)。
【0021】本実施例の特徴は、図4(g)に示した工
程での、投影プロファイルの左右のエッジ点の検出法に
ある。つまり、本実施例の検出法を用いれば、従来のD
IP法で問題となっていたビデオカメラ12で撮影する
ことによる撮影画像のエッジのボケをほぼ完全に補正す
ることができるのである。このエッジ検出法の原理につ
いて、図8,9を参照して説明する。図8は第2中手骨
の構造モデルの透過放射線像をアルミ厚で換算する処理
を示す図である。また、図9はデータ処理区間の求め方
を示す図である。
【0022】第2中手骨の構造モデルとして、円筒形状
の骨のモデル(図8(a))を用いる。この骨のモデル
に対して上部からX線を照射すると、左右対象な輝度分
布を持つ透過放射線像(図8(b))がX線フィルム1
1上に得られる。次に、X線フィルム11の輝度とアル
ミ厚との関係からなる変換テーブル(図8(c))に透
過放射線像を通すことにより、投影プロファイル(図8
(d))が得られる。このようにして得られた投影プロ
ファイルのエッジを求めればよいが、実際のエッジは、
X線源の大きさによるボケや撮像光学系によるボケのた
め、なまった状態になってしまう(図9(a))さらに
充分なSNが得られない場合が多く、ショットノイズが
重畳した状態になっている。本実施例の方式は、投影プ
ロファイルの微分最大値と左極大値の区間(図9(b)
(c)のaの区間)と、右極大値と微分最小値の区間
(図9(b)(c)のbの区間)とが、骨測定に必要な
大局的かつ高精度な情報を含んでいることに着目し、こ
れらの各区間の少なくとも3点のデータを用いてエッジ
を算出している。
【0023】このエッジ算出の具体的な処理の流れを図
10のフローチャートを用いて説明する。まず、図6の
ステップ140で作成した投影プロファイルを微分し
て、微分最大値と左極大値の区間、および右極大値と微
分最小値の区間を算出する(ステップ170)。これら
の区間が高精度の情報を含んでおり誤差が少ないからで
ある。次に、それぞれの区間から投影プロファイル上に
少なくとも3点ずつのデータを選択する(ステップ18
0)。最低3点の位置データがあれば、投影プロファイ
ルの適正化が行えるからである。さらに、選択された少
なくとも3点のデータから最小二乗法を用いて曲線パタ
ーンを両区間で求め、これらの曲線パターンで投影プロ
ファイルのエッジ領域を適正化して、左右のエッジの補
正を行う。そして、適正化された適正プロファイルから
骨密度パラメータを算出する(ステップ190)。この
ように適正プロファイルから骨密度パラメータを算出し
ているので、エッジのボケやノイズによるゆらぎに対す
る補正がほぼ完全に行え、極めて正確な画像解析を行う
ことができる。
【0024】次に、より具体的な第2中手骨の構造モデ
ルとして、楕円形状のモデルを用いた例を図11に示
す。楕円形状の構造モデルを図11(a)に、アルミ厚
換算した投影プロファイルを図11(b)にそれぞれ示
す。ここで、楕円形状のモデルを用いたのは、縦軸がア
ルミ厚換算した時点で、空間座標系である横軸とアルミ
換算厚み輝度の縦軸ではスケールが異なるためである。
【0025】このモデルを式にすると、 x2 /a2 +y2 /b2 =1 …… となるが、これが成立するのは図11(b)のa´とb
´の区間だけである。式を、 y=b/a(a2 −x2 1/2 …… の様に変形し、このy座標よりアルミの厚みをlとした
場合、yの2倍がlの大きさとなる。そこで式のyに
2lを代入すると、 l=2b/a(a2 −x2 1/2 …… となる。さらに式を変形すれば、 l2 =4b2 /a2 (a2 −x2 ) …… となる。この式のx2 をpに、l2 をqにそれぞれ置
き換えると、 q=−Ap+B …… が得られる。この式にa´,b´の区間データを用い
てフィッティングすれば理想モデルの式が求まるが、実
際にはエッジがなまるため、この区間を用いることがで
きない。従って、先に述べた図8(b)のaとbの区間
で最小2乗法を用いて式を求め、式から式を求め
ればよい。
【0026】最小2乗法は複数の点(少なくとも3点)
から直線式あるいは曲線式を近似する最も一般的な手法
である。具体的には、複数点(xi ,yi )から一つの
直線 y=ax+b までのy軸に平行な直線に沿っての距離di の平方の和
【0027】
【数1】
【0028】を最小にするようなa,bの値を求めて、
直線式を得るものである。曲線式についても同様であ
る。
【0029】実際の投影プロファイルには、主として筋
肉組織のアルミ換算の厚みがバックグラウンド(背景
部)として重畳されている。したがって、左右のエッジ
を算出して骨密度パラメータを求めるためには、投影プ
ロファイルから背景部を取り除かなければならない。こ
の処理の概要を図12のフローチャート、及び図13,
14のグラフに示す。
【0030】図13に示すように、背景部は左右で非対
称に傾いている場合が多い。したがって、微分最大値の
左側及び微分最小値の右側のそれぞれ一定距離以上離れ
た部分の区間で、左右別々に背景部の境界を成す直線を
最小2乗法により求め、これらを直線L1,L2とする
(ステップ200:図12)。さらに、これらの直線と
微分最大値及び微分最小値の垂線の交点の高さをL-OFFS
ET,R-OFFSETとし、微分最大値でのアルミ換算厚みl1
からL-OFFSETを差し引いた値を式のlに代入して最小
2乗法にて式の係数(a,b)を求めることにより、微
分最大値を通る曲線L3が得られる。同様に、微分最小
値でのアルミ換算厚みl2 からR-OFFSETを差し引いた値
を式のlに代入して最小2乗法にて式の係数(a,
b)を求めることにより、微分最小値を通る曲線L4が
得られる(ステップ210:図12)。
【0031】そして、図14に示すように、直線L1と
曲線L3の交点P1と、直線L2と曲線L4の交点P2
とを求め、P1とP2とを結んで直線L5とし、P1と
P2との間隔をDとする(ステップ220:図12)。
曲線L3,L4及び直線L5と投影プロファイルとで囲
まれた図中の斜線部分をアルミ換算厚の総和ΣGsとす
る。ここで本方式では、微分最大値と微分最小値の区間
では投影プロファイルを積分して区間内の面積を算出
し、P1 と微分最大値の区間では曲線L3と直線L5で
囲まれた面積を、微分最小値とP2 の区間では曲線L4
と直線L5で囲まれた面積をそれぞれ算出し、このよう
に算出した値を加算することにより、総和ΣGsを求め
ることができる。そして、総和ΣGsをエッジ間距離D
で除算することにより、ΣGs/Dが算出される。さら
に、その他の骨密度パラメータであるMCI,ΔGs
max ,ΔGsmin ,D,dがそれぞれ算出される(ステ
ップ230:図12)。
【0032】なお、本発明は上記実施例に限定されるこ
となく、種々の変形が可能である。例えば、X線フィル
ム11を用いる代わりに、被検骨にX線やγ線の放射線
を照射して得られる透過放射線量自体を二次電子増倍管
等の検知手段によって検知された画像データをコンピュ
ータ20で入力してもよい。また、X線撮影装置(図示
せず)にイメージセンサを設け、そのセンサからの画像
信号をA/D変換して得られる画像データをコンピュー
タ20で入力してもよい。
【0033】さらに、測定部位として通常は右手第2中
手骨が用いられるが、上腕骨、撓骨、尺骨、大腿骨、脛
骨、腓骨等の長骨であってもよい。
【0034】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明であれ
ば、放射線画像のようなノイズを含んだ画像に対しても
測定された投影プロファイルの内、比較的誤差の少ない
最大微分値と左極大値の区間および右極大値と最小微分
値の区間のデータを用いて、投影プロファイルを適正化
し、適正化されたプロファイルを用いて被検骨の骨塩量
を算出している。
【0035】このため、被検骨に放射線を照射するため
の放射線源の大きさによるボケや、被検骨の透過放射線
像を撮影するための撮影撮像光学系によるボケのために
投影プロファイルのエッジ部分に誤差を含んでいる場合
でも、被検骨の骨塩量のパラメータであるΣGs/Dや
MCIをMD法と同等の精度で算出することができる。
【0036】また、投影プロファイルは撮影された透過
放射線像に基づいて測定しており、所定のチャート紙上
に吸光度の線図を記入する必要がないので、DIP法と
同等の高速計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る骨塩量測定装置の外観を示す斜
視図である。
【図2】本実施例の骨塩量測定装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【図3】本実施例の骨塩量測定方法を示す概念図であ
る。
【図4】本実施例の骨塩量測定方法を示す概念図であ
る。
【図5】本実施例の骨塩量測定方法を示す概念図であ
る。
【図6】本実施例の骨塩量測定方法を示すフローチャー
トである。
【図7】投影プロファイルを示す図である。
【図8】第2中手骨の構造モデルの透過放射線像をアル
ミ厚で換算する処理を示す図である。
【図9】データ処理区間の求め方を示す図である。
【図10】エッジ算出の具体的な処理の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図11】楕円形状の構造モデルの透過放射線像をアル
ミ厚で換算する処理を示す図である。
【図12】投影プロファイルから背景部を取り除いて骨
密度パラメータを求める処理を示すフローチャートであ
る。
【図13】バックグラウンドを有する投影プロファイル
を示す図である。
【図14】適正化された投影プロファイルを示す図であ
る。
【符号の説明】
10…画像計測部、11…X線フィルム、12…ビデオ
カメラ、13…カメラコントロールユニット、14…高
周波点灯蛍光灯、15…フィルムローディングステー
ジ、16…暗箱、17…マスク、18…主電源回路、2
0…画像解析部、21…コンピュータ、211 ,241
…電源部、212 …画像取込装置、213…メインメモ
リ、214 …ハードディスクユニット、215 …フロッ
ピーディスクユニット、216 …ビデオRAM、217
…プリンタI/F、218 …マイクロプロセッサ、22
…キーボード、23…マウス、24…モニタ、25…プ
リンタ、30…アルミスケール。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検骨を透過した放射線の撮影像である
    透過放射線像の長手方向のほぼ中心を通る軸に垂直な直
    線上で放射線吸収特性に基づく投影プロファイルを測定
    することにより、この投影プロファイルから前記被検骨
    の骨塩量を算出する骨塩量測定方法において、 前記投影プロファイルを微分して、最大微分値と左極大
    値の区間および右極大値と最小微分値の区間を算出する
    第1の工程と、 前記両区間内の前記投影プロファイル上に少なくとも3
    点ずつのデータを選択する第2の工程と、 選択された少なくとも3点のデータから最小二乗法を用
    いて曲線パターンを前記両区間で求め、これらの曲線パ
    ターンで前記投影プロファイルのエッジ領域を適正化
    し、適正化された適正プロファイルから前記被検骨の骨
    塩量を算出する第3の工程とを備えることを特徴とする
    骨塩量測定方法。
  2. 【請求項2】 前記第3の工程では、前記最大微分値と
    前記最小微分値の区間の左右の外側の前記投影プロファ
    イル上にそれぞれ複数点のデータを選択し、これらのデ
    ータから最小二乗法を用いて左右の背景の直線パターン
    をそれぞれ求め、これらの直線パターンと前記適正プロ
    ファイルとの2つの交点を左右のエッジとして、これら
    のエッジ間の適正プロファイルから前記被検骨の骨塩量
    を算出していることを特徴とする請求項1記載の骨塩量
    測定方法。
  3. 【請求項3】 被検骨に放射線を照射することにより得
    られる透過放射線像を撮影する撮影手段と、 前記撮影手段によって撮影された前記被検骨の透過放射
    線像を入力し、この透過放射線像の長手方向のほぼ中心
    を通る軸に垂直な直線上で放射線吸収特性に基づく投影
    プロファイルを測定する測定手段と、 前記測定手段によって測定された前記投影プロファイル
    を微分して、最大微分値と左極大値の区間および右極大
    値と最小微分値の区間を算出する第1の演算手段と、 前記第1の演算手段で算出された前記両区間内の前記投
    影プロファイル上に少なくとも3点ずつのデータを選択
    する選択手段と、 前記選択手段で選択された少なくとも3点のデータから
    最小二乗法を用いて曲線パターンを前記両区間で求め、
    これらの曲線パターンで前記投影プロファイルのエッジ
    領域を適正化し、適正化された適正プロファイルから前
    記被検骨の骨塩量を算出する第2の演算手段とを備える
    ことを特徴とする骨塩量測定装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の演算手段では、前記最大微分
    値と前記最小微分値の区間の左右の外側の前記投影プロ
    ファイル上にそれぞれ複数点のデータを選択し、これら
    のデータから最小二乗法を用いて左右の背景の直線パタ
    ーンをそれぞれ求め、これらの直線パターンと前記適正
    プロファイルとの2つの交点を左右のエッジとして、こ
    れらのエッジ間の適正プロファイルから前記被検骨の骨
    塩量を算出していることを特徴とする請求項3記載の骨
    塩量測定装置。
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