JP2812757B2 - インビボでアロマターゼを阻害する5α―ジヒドロ―19―ノルエチステロン及びその誘導体を含有する組成物 - Google Patents

インビボでアロマターゼを阻害する5α―ジヒドロ―19―ノルエチステロン及びその誘導体を含有する組成物

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JP2812757B2 JP50302189A JP50302189A JP2812757B2 JP 2812757 B2 JP2812757 B2 JP 2812757B2 JP 50302189 A JP50302189 A JP 50302189A JP 50302189 A JP50302189 A JP 50302189A JP 2812757 B2 JP2812757 B2 JP 2812757B2
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由男 大澤
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 技術分野 本発明は、酵素アロマターゼのインビボ阻害剤として
の、5α−ジヒドロ−19−ノルエチステロン(5α−DH
NET)及びそのアシル誘導体を含有する組成物に関す
る。この酵素阻害効果の結果として、本発明組成物は、
女性化乳房のような内分泌依存症およびエストロゲン依
存性乳癌もしくは子宮癌の予防および治療に使用するこ
とができる。
従来技術の説明 アロマターゼは、アンドロゲンのエストロゲン転換す
なわちエストロゲン生化学合成の最終芳香族化段階を触
媒する酵素であり、複数のモノオキシゲネーションを用
いる一連の反応段階を触媒する膜結合複合系である。該
系が複雑であることから、芳香族化の正確な道筋又は反
応メカニズムは未だに解明されておらず、また純粋な酵
素の単離もなされていない。ヒト胎盤アロマターゼには
少なくとも2つの別個の形態が知られている。Osawa an
d Higashiyama,in Microsomes,Drug OxidationsおよびC
hemical Carcinogenesis(Coon,M.J.et al),volume 1,
pp.225−228,Academic Press,London and New York(19
80)を参照されたし。
アロマターゼ作用をもつ物質すなわちエストロゲン
は、生殖、発育に不可欠であるのみならず、エストロゲ
ン依存性癌の発達をも促す。
ヒト乳癌のほぼ1/3は、該乳癌の成長に女性ホルモン
エストロゲンを必要とし、腫瘍から該ホルモンをなくし
た場合には退行する。したがって、エストロゲンの源を
排除することは乳癌および子宮癌のように内分泌依存症
の癌の治療に有効な方法である。
卵巣は閉経期前の女性の主要なエストロゲン源であ
り、卵巣切除(卵巣の摘出)は進行性乳癌の経閉期前患
者に古くから行なわれている治療法である。経閉期後の
患者の場合、エストロゲン生合成部位は、脂肪、皮膚、
筋肉のような周辺組織および腫瘍そのものであり、そこ
でアンドロゲンのエステロゲンへの転換がアロマターゼ
によって触媒される。これら周辺組織は外科的方法によ
る摘出の対象とならないが、そのアロマターゼ活性はア
ロマターゼ阻害剤の使用により抑えることができる。乳
癌治療薬として使用されているいくつかの薬剤、例えば
アミノグルテチミド、テストロラクトン、4−ヒドロキ
シアンドロステンジオンはアロマターゼ阻害物質であ
る。しかしながら、これらの薬剤は特に薬効が高いとい
うわけでもなく、有害な副作用をもたらす。したがっ
て、内分泌依存型腫瘍の発生、発達を抑制する、長期間
治療にあっても副作用のない薬剤の出現が望まれてい
る。この点、5α−DHNETは、インビボ薬理学的研究に
よって特に価値のあることが判明している。
エストロゲン量の不均衡に附随する別の症状は、女性
化乳房として知られている。これは、男性の胸を大きく
する病的状態をいう。女性化乳房において、通常の又は
異常な原因により、血漿又は胸部そのものにおける活性
アンドロゲンのエストロゲンに対する正常比率が逸脱す
ることにより前記胸部肥大がおこるものと考えられてい
る。ジエチルスチルベストロールを与えた男性胸部の組
織変化は臨床女性化乳房のそれに似ていることから、女
性化乳房はエストロゲン効果の結果であるという概念が
産まれた。正常男性のエストラジオール形成は、主とし
て周辺組織で循環アンドロゲンをエストロゲンに転換す
ることにより生じる。女性化は、エストラジオールに対
するテストステロンの生成比率が著しく減少した場合に
起こる。これはまた、テストステロン生成もしくはその
作用が減少するか、エストロゲン生成が増大するか、又
は両方が同時に生起する場合にもみられる。アロマター
ゼ阻害物質は、女性化の症状がその男性におけるエスト
ロゲン形成の増大に附随するものである場合、女性化乳
房に対し抑制効果を示す。
5α−DHNETは、避妊薬プロゲストゲンすなわちノル
エチステロンの還元生成物である。該化合物の構造式は
次のとおりである。
5α−DHNETは、液体アンモニア中のリチウムを用いる
還元によりノルエチステロンから中間物質として合成さ
れた公知化合物である(A.Bowers,H.J.Ringold and E.D
enot,J.Am.Chem.Soc.80,6115−6118(1958))。Bowers
et alはこの化合物についての用途を全く明らかにして
いない。ノルエチステロンと違って、5α−DHNETは、
4位の二重結合が飽和されているためアロマターゼによ
って芳香族化されない。したがって、これを患者に投与
したとしても、エストロゲン様物質に転換されるという
逆効果はみられない。この化合物は、ヒトにおけるノル
エチステロンの主要な還元代謝産物であるところ、該ノ
ルエチステロンは、長期間に亙る基礎研究の後、避妊用
ピルの主成分として過去30年間生殖可能年齢の女性に広
く投与されてきたものである。このことから、前記化合
物はたとえ長期間に亙りヒトの治療に用いたとしても安
全であることが判る。
多数の基質類似物が、インビトロでアロマターゼの拮
抗阻害物質として評価されてきている(Schwarzel et a
l.,Endocrinology(Baltimore)92,866−880(1973)参
照)。4−ヒドロキシアンドロステンジオンが、ラット
のエストロゲン依存性乳癌の退行を惹起することが明ら
かにされている(Brody et al.,Endocrinology(Baltim
ore)100,1684−1695(1977)参照。
一般に、不可逆性阻害物質が、選択的に酵素に指向し
て標的とするなら、インビボの使用に一層効果的である
と考えられている。メカニズム上の不活性化剤または自
殺不活性化剤は、酵素の活性部位に共役結合を形成して
不可性逆阻害の高度な選択性を達成せんとするが、この
ような化合物が標的酵素によって作用を受ける前ではそ
れらは比較的非反応性であり、そのため他の細胞成分と
無差別に共役結合を形成することはない。実際、それら
は潜在的な反応作用基をもつが、これは標的酵素の通常
の触媒活性により反応種に変わる。この活性化は酵素−
阻害剤複合体の形成後に起こるため、活性化された阻害
剤は、酵素の活性部位又はその近傍で該酵素の反応性基
に結合する共役結合を形成するようになり、酵素が選択
的に不活性化されるようになるのである。化合物ノルエ
チステロン(17α−エチニル−19−ノルテストステロ
ン)はアロマターゼの自殺不活性化剤である。5α−DH
NETがアロマターゼのインビボ阻害剤となることが判明
した。この阻害作用は反応メカニズム上で生起するもの
と考えられる。
5α−DHNETは、従来、非常に弱いインビトロアロマ
ターゼ阻害剤であることが判っており(Y.Osawa,Y.Osaw
a,C.Yarborough & L.Borzynski,Biochem Soc.Transact
ions,656−659(1983)参照)、ヒト胎盤アロマターゼ
をインビトロで部分的に阻害するには50μM濃度が必要
であった。ヒト胎盤アロマターゼのインビトロアッセイ
における6α−および6β−ブロモアンドロステンジオ
ンそれぞれ0.0082μMおよび0.056μMと比較すると
(S.J.Santner,H.Rosen,Y.Osawa & R.J.Santen,J.Ster
oid Biochem.20,1239−1242(1984))、5α−DHNETは
インビトロアッセイにおいて1000倍も劣るアロマターゼ
阻害剤である。
下記実施例に示すように、5α−DHNETのインビボに
おける強いアロマターゼ阻害能と乳癌の発達、発生抑制
能は、従来のインビボ研究からの推定で全く予想されて
いなかったことであり、また推測もされ得なかったこと
である。実際、インビトロ研究では5α−DHNETが本来
不活性であることが判っており、インビボ活性をもつ候
補となり得なかったものである。このように、アロマタ
ーゼのインビボ阻害剤および或る種の内分泌依存性癌の
治療、同癌の発生抑制に有用である5α−DHNETの性質
は、本発明によって初めて明らかにされたものである。
一般に、種々の化合物はインビトロでアロマターゼ阻害
物質であることからインビボ活性をもつ潜在的な候補と
考えられているが、インビトロ活性があるからといっ
て、これから直ちにインビボ活性があるとはいえない。
本発明の要旨 本発明の目的は、アロマターゼのインビボ阻害用組成
物を提供することである。
本発明の他の目的は、アロマターゼのインビボ阻害方
法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、内分泌依存症の治療又は
予防方法を提供することである。
本発明は、更に、内分泌関連症の治療又は予防用組成
物を提供することも目的とする。
これらの目的および以下の記載から明らかとなるその
他の目的は、5α−DHNETおよびそのアシル化誘導体を
含有する組成物の提供により達成される。本発明組成物
は、前記したように、アロマターゼの阻害剤としてイン
ビボ活性を有していることが知見された。更に、このよ
うな組成物は、適当な動物モデルにおいて内分泌関連癌
に対しインビボ活性を発揮することが示された。特に、
乳癌と子宮癌は本発明組成物を用いる治療対象である。
その他の内分泌依存症、例えば女性化乳房、早発青春
期、子宮内膜症および女性化副腎腫瘍も同様に、本発明
の組成物で治療可能又は予防可能である。また、本発明
は、5α−DHNET又はその誘導体の適当な投与量をもっ
て、ヒトなどの哺乳動物の治療を含む前記諸症状の治療
方法を提供する。
図面の簡略説明 本発明およびその多くの作用効果のより完全な理解
は、下記の詳細な説明を添附図面を参照しながら理解す
ることにより容易となる。
添附図面中、第1図は、ラットの発情周期に及ぼす5
α−DHNETの効果を示す。
第2図は、ラットの発情周期に及ぼす6β−ブロモア
ンドロステンジオンの効果を示す。
第3図は、ラット卵巣アロマターゼ活性に及ぼす5α
−DHNETのインビボ効果を示す。
第4図は、ラット卵巣アロマターゼ活性に及ぼす6β
−ブロモアンドロステンジオンのインビボ効果を示す。
第5図は、ラット卵巣アロマターゼ活性に及ぼす6α
−ブロモアンドロステンジオンのインビボ効果を示す。
第6図は、BUF/NラットのNMU−誘発乳癌の発達に及ぼ
す5α−DHNETのインビボにおける効果を示す。
第7図は、BUF/NラットのNMU−誘発乳癌に及ぼす5α
−DHNETのインビボにおける効果を示す。
第8図は、NMU−誘発BUF/Nラットに対する5α−DHNE
Tの投与スケジュールを示す。
第9図は、NMU−誘発BUF/Nラットの乳房腫瘍に及ぼす
5α−DHNETおよび卵巣摘出の効果を示す。
第10図は、NMU−誘発乳癌のBUF/Nラットの生存率に及
ぼす5α−DHNETおよび卵巣摘出の効果を示す。
第11図は、NMU−誘発BUF/Nラットに対する5α−DHNE
Tの投与スケジュールを示す(プロトコールII)。
第12図は、NMU−誘発BUF/Nラットの乳房腫瘍に及ぼす
5α−DHNETの効果を示す(プロトコールII)。
第13図は、NMU−誘発BUF/Nラットに対する5α−DHNE
Tの投与スケジュールを示す(プロトコールIII)。
第14図は、NMU−誘発BUF/Nラットの乳房腫瘍に及ぼす
5α−DHNETの効果を示す(プロトコールIII)。
第15図は、ラット卵巣アロターゼ活性に及ぼす5α−
DHNET、5α−DHNETアセテート、および5α−DHNETブ
チラートのインビボ効果を示す。
好適実施態様の説明 本発明は、5α−DHNETおよびそのアシル化誘導体が
インビボで酵素アロマターゼを阻害し得ることを知見し
たことに基づくものである。
5α−DHNETおよびその関連誘導体の化学構造式は次
のとおりである。
(式中、R1はH又はC1〜20アシルである。) 好ましいアシル化化合物はC1〜7又はC5〜20アシ
ル基を有しており、より好ましくはC1〜4又はC
5〜10アシル基を有している。5α−DHNETのアシル誘
導体は、例えばアセテート、プロピオネート、ブチレー
ト、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエー
ト、ノナノエート、デカノエート、ドデカノエート、テ
トラデカノエート、ヘキサデカノエート、オクタデカノ
エート、エイコサノエート、パルミトレート等々であ
る。アシル部分は、直鎖であっても分枝鎖であってもよ
く、1つ又はそれ以上の環式アルキル置換基を含んでい
てもよい。アシル基のアルキル部分は更に3つまでの二
重結合、好ましくは0〜2の二重結合、特に好ましくは
0〜1の二重結合を有することもできる。二重結合をも
つアシル基はcis又はtrans配置を採り得る。
アシル誘導体はプロドラッグのように作用する。すな
わち、アシル部位は酵素その他の作用によりインビボで
分子から開裂し、活性5α−DHNETに変わる。このよう
に、プロドラッグとして作用するこれらのアシル誘導体
は持続性の活性を生じる。更に、アシル誘導体はそれ自
身でも内分泌依存症に活性があり、インビボでアロマタ
ーゼを阻害し得る。
本発明化合物の調製は、Ringold,J.Am.Chem.Soc.80,6
115−6118(1958)に記載の方法に基づいてなし得る。
この合成経路に含まれる各反応は、基本的な有機化学合
成に基づき当業者が容易に最適化し得るものである。溶
媒、温度、その他の反応条件の選択は予備的な実験をし
なくとも容易に定まる。5α−DHNETのアシル化誘導体
は、有機化学合成の分野で当業者に周知のアシル化方法
により調製し得る。
本発明化合物は、インビボで全く非毒性である。例え
ば、SDラット(SPF)に対する5α−DHNETの最少至死量
は5,000mg/Kgよりも多い。したがって、本発明化合物お
よび本発明組成物をもってしては、宿主毒性は問題とな
らない。
アロマターゼすなわちエストロゲン合成酵素は、コレ
ステロールからエストロゲンへの一連の生合成経路にお
ける最終段階を触媒する酵素複合体である。Bellino an
d Osawa,Biochemistry,13,1925−1931(1974)を参照。
少なくとも2つの型の酵素複合体がヒト胎盤から単離さ
れている。T.Higashiyama and Y.Osawa,Fed.Proc.Fed.A
m.Soc.Exp.Biol.42,1836(Abst.458)(1983);Y.Osawa
and T.Higashiyama in Microscomes,Drug Oxidations
and Chemical Carcinogenesis(M.J.Coon et al.,ed
s.)Vol.1,225−228,Academic Press,London and New Y
ork(1980);Y.Osawa et al.,J.Steroid Biochem.15,44
90452(1981);Y.Osawa et al.in Microsomes,Drug Oxi
dations and Drug Toxicity(R.Sato and R.Kato,ed
s.)315−316,Japan Scientific Society Press,Tokyo
(1982);and Y.Osawa et al.,Cancer Res.42(Supp
l),3299s−3396s(1982)を参照。
5α−DHNETおよびその関連アシル化誘導体のインビ
ボにおけるアロマターゼ阻害能を測定する方法は、下記
の実施例に示す。
内分泌関連症特にエストロゲン依存性の乳癌と子宮癌
および女性化乳房に苦しむヒト等の哺乳動物の治療は、
医薬的に許容可能なキャリア又は希釈剤の存在下に医薬
的に有効量の1つ又はそれ以上の本発明化合物を投与す
ることによりなし得る。家族の一員が内分泌依存症にな
ったことのある同家族の他の一員のように、内分泌依存
症に陥る蓋然性が極めて高い哺乳動物もまた、予防に有
効量の本発明組成物を投与することにより処置すること
ができる。
Macklinは、乳癌患者の母方および父方の祖母、伯母
(叔母)およびその母線および姉妹にも乳癌の発生率が
高いことを1959年に明らかにしている(Macklin,M.T.,C
omparison of the Number of Breast Cancer Deaths Ob
served in Relatives of Breast Cancer Patients,and
the Number of Expected on the Basis of Mortality R
ates,J.Natl.Cancer Inst.22,927−951(1959))。
米国癌学会の試算によると、1987年に米国だけで、13
0,000人の新しい乳癌患者が発生し、米国婦人がその生
涯において乳癌になるおそれは約10人に1人に近づいて
いるとしている。乳癌による死亡は米国だけで1987年に
41,300人になるといわれている。
Black et alは、1970年から1984年にかけて浸潤性乳
癌患者1000人以上を調査した最近の研究(M.M.Black an
d R.E.Zachrau,Family History and Hormones in Stepw
ise Mammary Carcinogenesis,Annals New York Academy
of Sciences,464,367−377(1986))において、無秩
序に選択した20〜39才の乳癌患者のうち47%に陽性の家
族歴(FH)があることを報告している。より詳しくは、
同患者の36%の祖母及び/又は伯(叔)母(G/A)は乳
癌患者であった。G/A陽性患者の比率は10才年齢が増え
るごとに低下の傾向をみせ、60才又はそれ以上の患者で
は4%にまで低下している。若年層のG/A陽性婦人の顕
著なその他の特徴は、経口避妊薬を使用しているという
ことである。65%のG/A陽性乳癌患者は、41%のG/A陰性
患者に対比して経口避妊薬を使用していた(p<0.0
1)。経口避妊薬は経口で効力のあるエストロゲン含ん
でいる。FHに関連する相違は、若い婦人の乳房柔組織に
及ぶホルモンの効果に関係するものと思われる。データ
は、乳房柔組織が若いときに特に悪性変形に敏感である
婦人の集団が存在していることを示している。このよう
な感受性は特に祖母又は伯(叔)母が乳癌であった婦人
層にみられる。そのような家族関連性は、経口避妊薬の
形態にある女性性ホルモンに対する異常な感受性を含む
ものと考えられる。更に、そのような感受性は社会的よ
りもむしろ遺伝的に決まるものと思われる。というの
は、それに含まれる親族は等しく父方が同じであるか又
は母方が同じであるからである。したがって、母方およ
び父方の祖母および伯(叔)母および母親および姉妹に
乳癌FHのある生殖活性年齢の婦人は、乳癌発生の低下を
図るべく5α−DHNET治療の好対象とされるグループで
あると思われる。
Black et alはまた回顧的事例コントロール研究も行
ない、乳腺系の異常な変化がどの程度乳癌発達の危険性
と関連しているかを調べた(Black,Barclay,Cutler Han
key,and Asire,Association of Atypical Characterist
ics of Benign Breast Lesions with Subsequent Risk
of Breast Cancer,Cancer,29,338−343(1972))。彼
らが第1に見い出したことは、良性の病変におけるある
程度の腺異常をもつ婦人は異常の全くない婦人に比べて
5倍の乳癌発生率の危険があることである。乳癌は、識
別可能な前駆的病変すなわち前癌状態の乳腺症、潜在癌
を含む段階的現象であると思われる。したがって、良性
の病変においてある程度の腺異常が認められる婦人もま
た、前駆的病変を変形から浸潤性乳癌に変化するのを阻
止すべく、5α−DHNET治療の好対象として選択され得
る。
動物研究において、卵巣摘出ラットは非摘出コントロ
ールに比べて数ヶ月経過後にはかなりの体重増加をもた
らすが、5α−DHNET治療ラットはコントロールのラッ
トに比べて顕著な体重変化を示さなかった。
正常な4日周期ラットに単一の5α−DHNET注射(50m
g/Kg体重)をした場合、4〜6周期の間(16〜24日間)
発情周期の停止が認められた。一方、ごま油のみ投与し
たコントロールラットおよび同投与量の6β−ブロモア
ンドロステンジオン(インビトロで有効なアロマターゼ
阻害剤、R.M.Budnick & T.L.Dao,Steroids,35,533−54
1(1980);S.J.Santner,H.Rosen.Y.Osawa and R.J.Sant
en,J.Steroid Biochem.20,1239−1242(1984);Y.Osaw
a,M.J.Coon and Y.Osawa,Fed.Proc.,45,1749,A−1564
(1986))を投与した群では、後述の実施例1に示すよ
うに、前記周期に影響が認められなかった。4日周期ラ
ットを5α−DHNETで4日間治療すると、実施例2に示
すように、卵巣アロマターゼ活性の67%抑制(p<0.00
05)が認められた。5α−DHNETのインビボ作用を、上
記各文献に記載されているようにインビトロでアロマタ
ーゼ阻害効果のある6α−ブロモアンドロステンジオン
(10%だけの抑制)と6β−ブロモアンドロステンジオ
ン(72%の抑制)の各作用と比較した。
一般に、治療上有効なアロマターゼのインビボ阻害効
果を発揮するのに充分な量の医薬的に許容可能なキャリ
ア又は希釈剤を本発明化合物に含有せる。
組成物の一部として、医薬的に併合可能な結合剤及び
/又は補剤を含有せることもできる。活性物質はまた、
所望の作用を減じない及び/又は所望の作用を補うよう
な他の活性物質と混合してもよい。本発明の活性物質は
任意のルート、例えば経口、非経口、静脈内、皮内、皮
下又は局所に液体又は固体の形態で投与することができ
る。
本発明化合物の好ましい投与形態は経口である。経口
組成物は一般に不活性な希釈剤又は食用のキャリアを含
む。該組成物はゼラチンカプセルに封入してもよいし、
錠剤にしてもよい。経口の治療投与の目的のため、前記
化合物に賦形剤を加えてもよいし、錠剤、トローチ、カ
プセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェーフ
ァー、チューインガムなどの形態で使用してもよい。活
性物質の量は、個々の剤形に応じて変えることができ
る。
錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは次の内容物を
含むことができる。微結晶性セルロース,トラガカント
ゴムもしくはゼラチンのような結合剤、デンプンもしく
はラクトースのような賦形剤、アルギン酸,プライモゲ
ル,コーンスターチのような崩壊剤、ステアリン酸マグ
ネシウムもしくはステロテスのような潤滑剤、コロイド
状二酸化ケイ素のような滑走剤、およびサッカロースも
しくはサッカリンのような甘味剤又はペパーミント、サ
リチル酸メチルもしくはオレンジ香料のような芳香剤を
添加することができる。単一投与形態がカプセルである
場合、上記した物質に加え、脂肪オイル(たとえばごま
油)のような液体キャリアを含有し得る。他の単一投与
形態は、投与剤の物理的形態例えばコーティングのよう
なものを変形するための他の種々の物質を含有すること
ができる。すなわち、錠剤もしくはピルは砂糖、セラッ
クもしくは他の溶腸性コーティング剤で被覆してもよ
い。シロップは、本発明の活性化合物の他に、甘味剤と
してのサッカロース、ある種の防腐剤、染料、着色剤お
よび芳香剤を含有してもよい。これらの種々の組成物を
形成する際に用いる物質は、医薬的に純粋であるべきで
あり、各使用量において非毒性でなければならない。
非経口の治療投与の目的のために、活性成分を溶液又
は懸濁液に含有させることができる。
前記溶液又は懸濁液はまた次のような成分も含むこと
ができる。すなわち、注射用の水,生理食塩水,不揮発
油,ポリエチレングリコール,グリセリン,プロピレン
グリコールもしくは他の合成溶剤のような無菌希釈剤、
ベンジルアルコールもしくはメチルパラベンのような抗
菌剤、アスコルビン酸もしくは重亜硫酸ナトリウムのよ
うな酸化防止剤、エチレンジアミンテトラ酢酸のような
キレート剤、酢酸塩,クエン酸塩もしくはリン酸塩のよ
うな緩衝剤、および塩化ナトリウムもしくはデキストロ
ースのような強壮性調節剤である。非経口調剤物は、ア
ンプル、使い捨て用注射又はガラスもしくはプラスチッ
ク製の多投与用バイアルに封入し得る。
投与量は治癒すべき病状の程度又は内分泌依存症に陥
る危険度に応じて変更し得るが、本発明化合物の投与を
必要とする主体に、患者1人につき1日当り1〜500mg
の本発明化合物の有効な経口、非経口、静脈内投与量を
投与するときに良い結果が得られる。得に好ましい有効
量は、患者1人につき1日当り約5〜250mgである。最
も好ましい有効量は、患者1人につき1日当り約10〜15
0mgである。これらの投与量範囲は、本発明組成物のア
ロマターゼインビボ阻害量又は抗−(内分泌依存症)量
を意味する。しかしながら、特別の主体の場合には、特
定量の投与量がその個人の要求に応じて調合されるべき
であり、前記化合物投与の専門的判断と監督がなされる
べきであることを理解されたい。更に、ここに記載の投
与量はあくまでも例示的にのみ記載したのであって、本
発明範囲を何ら限定するものでもないことも理解された
い。投与量は一度に投与してもよいし、小量に分けて適
当な時間間隔をあけて何回も投与してもよい。
本発明は上に一般的に説明したとおりであるが、以下
実施例を参照して本発明を更に詳しく説明する。実施例
は本発明の説明のためにのみ記載したものであって、本
発明範囲もしくは本発明の実施の態様を限定するもので
はない。
実施例 実施例の概括 内分泌依存性乳癌の発達に及ぼす5α−DHNETの効果
を、N−ニトロソメチルウレア(NMU)で誘発した乳癌
のBUF/Nラットで評価した。少なくとも1つの腫瘍(2cm
もしくはそれより大)をもつラットに3週間に亙り毎日
5α−DHNETを50mg/Kg体重/日投与した。該腫瘍の全容
積および数を測定した。実施例3に示すように、5α−
DHNETは乳癌発達を著しく抑制したが、非治療動物は急
速な腫瘍発達が認められた。乳癌の発生および発達に関
する5α−DHNETの予防効果は、発癌物質を投与した動
物に、乳癌の徴候が表われる前1週間に亙り、50mg/体
重/日の5α−DHNETを与えることにより評価した。卵
巣摘出は、この動物モデルの場合、乳癌の発生および致
死率が低くなることが知られている(P.M.Gullino,H.M.
Pettigrew,and F.H.Grantham,J.Natl.Cancer Institut
e,54,401−409(1975))。実施例4〜6に示すよう
に、種々の時期に投与した5α−DHNETは、すべての場
合において、卵巣完全摘出の場合と同じように効果的
に、乳癌の発生および致死率を大巾に低下させることが
判明した。
乳癌発達の予防を図る5α−DHNET治療の第1のプロ
トロール下での最初のNMU注射後98日目に観察した結果
によると、実施例4に示すように、コントロールグルー
プの腫瘍発生率は100%(16/16)、卵巣摘出グループの
腫瘍発生率は38%(16/16)であったのに対し、5α−D
HNET治療グループの腫瘍発生率は13%(2/16)であっ
た。最初のNMU注射後180日目の致死率は、5α−DHNET
治療グループ、卵巣摘出グループおよびコントロールグ
ループそれぞれについて25%(4/16)、31%(5/16)お
よび69%(11/16)であった。したがって、これらのイ
ンビボ研究から、5α−DHNETは乳癌の予防および治療
に有効且つ安全に使用し得ることが判明した。
5α−DHNETの生物学的効果 実施例 1 発情周期に及ぼす5α−DHNETの影響 通常の4日発情周期を示すBUF/N近親交配の雌ラット
(50〜80日齢)を、毎日の腟スミアテストに選択した。
ステロイドサンプルの微粉をごま油に懸濁させ(30mg/m
l)、発情期前日に50mg/Kg体重の単一投与で皮下注射し
た。少なくとも3発情周期の間、正常な発情性が戻るま
で腟スミアを毎日調べた。5α−DHNETを単一注射した
結果を第1表に示し、6β−ブロモアンドロステンジオ
ンで得られた結果を比較のため第2図に示した。5α−
DHNETは、テストしたすべての動物(4/4)に少なくとも
4周期の間発情周期の停止をもたらした。これと対照的
に、インビトロでアロマターゼの阻害に効力があること
が知られている6β−ブロモアンドロステンジオンは、
発情周期に何の影響も及ぼさなかった。
実施例 2 卵巣アロマターゼ活性に及ぼす5α−DHNETのインビボ
効果 通常の4日発情周期を示すBUF/N近親交配の雌ラット
(50〜80日齢)に発情日から始めて4日間、5α−DHNE
T(30mg/mlごま油懸濁液)を1日当り50mg/Kg体重の用
量で1日2回皮下注射した。コントロールグループには
同様の方法でごま油を注射した。最後の注射から3〜4
時間後に、両方の卵巣を摘出した。卵巣の組織粉末懸濁
液の105,000×g沈澱画分をアロマターゼアッセイに使
用した。アロマターゼ活性は3H−水法(F.L.Bellino,S.
S.H.Gilani,S.S.Eng,Y.Osawa and W.L.Duax,Biochemist
ry,15,4730−4736(1976))で調べた。沈澱した卵巣酵
素調製物を0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.5)中で均質化し、
0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.5)中の[1β−3H,4−14C]
アンドロステンジオン(3.18×105dpm3H,1.18×104dpm
14C,100.2ng)、NADPA(1mg)およびBSA(5mg)と共に
全容積1.5mlで37℃,30分間インキュベートした。トリク
ロル酢酸溶液(0.2mlの10%水溶液)を加えて酵素反応
を停止させた。活性炭を混合物に加え、回転後の上澄を
綿で栓をした使い捨てピペットに通した。液体シンチレ
ーション分光光度計で濾液の3Hと14Cを同時に計測し
た。1β−3H標識アンドロゲンから得られる3H−水は定
量的にエストロゲン形成に対応する。5α−DHNET,6β
−ブロモアンドロステンジオン(6β−BRA)および6
α−ブロモアンドロステンジオン(6α−BRA)を用い
たインビボでのアロマターゼ抑制アッセイの結果を第3,
4および5図にそれぞれ示す。5α−DHNETは卵巣アロマ
ターゼの67%を抑制したが、6β−ブロモアンドロステ
ンジオンのそれは72%、6α−ブロモアンドロステンジ
オンのそれは非常に低く10%であった。
実施例 3 乳癌の発達に及ぼす5α−DHNETの効果 Gullino et alによって開発されたヒト乳癌の動物モ
デル(P.H.Gullino,H.M.Pettigrew and F.H.Grantham,
J.Natl.Cancer Inst.,54,401−414(1975))を5α−D
HNETの評価のために使用した。3%酢酸で濡らしたN−
ニトロソメチルウレア(NMU)を蒸溜水に溶かし(10mg/
ml)、BUF/N近親交配の雌ラットに50mg/Kg体重の用量で
3回静脈注射した。最初の静脈注射は生後50日目であ
り、第2回目および第3回目の静脈注射は最初の投与後
それぞれ4週間および8週間であった。腫瘍の発生は毎
日目視観察し、1週間に3回乳房域を触診することによ
って調べた。腫瘍サイズの増大は、皮下塊をバーニアー
・キャリパー測定器で測った。腫瘍の最長径と最小径の
平均値の1/2を、腫瘍容積を推定する式4/3πr3のr値と
みなした。少なくとも1つの腫瘍(2cm又はそれより
大)をもつBUF/N雌ラットに、ごま油中の5α−DHNETを
毎日、50mg/Kg体重/日の用量で3週間腹腟内投与し
た。腫瘍の数と大きさを、12匹の治療動物および13匹の
ベヒクル(ごま油)のみを投与したコントロール動物に
ついてモニターした。腫瘍の平均的な当初の容積は、コ
ントロールグループおよび治療グループそれぞれの場合
5.10mlおよび5.53mlであった。結果を第6図、第7図お
よび第1表に示す。コントロールグループの腫瘍は急速
に発達していたが、治療グループの75%(9/12)では明
らかに発達阻止の徴候が認められた。死亡率は、コント
ロールグループ(3週間で5/13)よりも治療グループ
(4週間で3/12)で低かった。5α−DHNETの投与を止
めた後は、約半数の反応動物はそれ以後3週間の間腫瘍
の発達が認められなかったが、残りのものはゆるやかな
腫瘍発達が認められた。平均的な腫瘍の相対的な大きさ
(容量)を第7図で比較した。この第7図はまた、5α
−DHNET治療により腫瘍発達が抑制されたことを示して
いる。治療後における各腫瘍の観察の概要を第1表に示
す。9匹のコントロールラットに24個の新生腫瘍が発生
したが、11匹の治療ラットでは7個だけであった。コン
トロールラットでは3週間で98%の腫瘍が発達し、2%
(1/53)だけが退行したにすぎなかったが、治療グルー
プでは初期に認められた腫瘍の13%が3週間で消失し、
腫瘍の42%が退行した。
実施例 4 乳癌発生に及ぼす5α−DHNETの効果 乳癌の発生を低下させる5α−DHNETの予防効果を実
施例3と同じ動物モデルを用いて評価したが、投与プロ
トコールは変更した。5α−DHNET投与の最初のプロト
コールおよび卵巣摘出(OVX)を第8図に示す。ベヒク
ルのみを投与したコントロールは実施例3のようにして
用意した。コントロール、OVX、5α−DHNET投与の各グ
ループにおいて、N−ニトロソメチルウレア(NMU)(5
0mg/Kg,水溶液、iv)を50日齢のBUF/Nラットに0,4およ
び8週目に与えた。卵巣摘出は4週間目に行なった。4
週目から始めて1週間の間、毎日50mg/Kg体重/日の用
量でごま油懸濁液中の5α−DHNETを腹腟内投与した。
各動物における腫瘍の発生、その数、発生部位を毎日記
録した。結果を第9図、第10図および第2表に示す。コ
ントロールグループでは、最初のNMU注射後98日目に100
%の動物(16/16)に腫瘍の発生が認められた。この時
点における5α−DHNET治療グループおよび卵巣摘出グ
ループの腫瘍発生率はそれぞれ13%(2/16)および38%
(6/16)であった。両グループは次第に発生率を増加さ
せ、最初のNMU注射後180日目には5α−DHNETグループ
およびOVXグループは、第9図に示すように、それぞれ5
0%(8/16)および56%(9/16)の乳癌発生をみた。5
α−DHNETグループおよび卵巣摘出グループの死亡率は
コントロールのそれよりも激減していた。180日目の5
α−DHNET治療グループおよび卵巣摘出グループの死亡
率は、コントロールグループの69%に比べて、それぞれ
25%および31%であった。腫瘍発生の平均的な潜在期間
は、コントロール、OVXおよび5α−DHNETの各グループ
でそれぞれ72日、101日および116日であった。腫瘍をも
つ動物1匹あたりの腫瘍の平均数はコントロール、OVX
および5α−DHNETの各グループでそれぞれ6.6、2.0お
よび1.8であった。このことは、腫瘍検出前に長期に亙
り5α−DHNETを投与した場合には、乳癌の発達がかな
り抑えられることを示すものである。
実施例 5 乳癌発生に及ぼす5α−DHNETの効果 特に調整したプロトコールに限らなくとも、5α−DH
NET剤が一般症例に有効であることを確認するため、乳
癌に及ぼす5α−DHNETの予防および抑制効果を更に調
べた。NMUの単一投与のみを50日齢のBUF/Nラットに与
え、NMU注射後6週間目に卵巣摘出を行なった。5α−D
HNETグループには第11図に示すように、6週目から始め
て1週間50mg/Kg体重/日の用量で本剤を投与した。実
施例4のようにしてモニターした。結果を第12図に示
す。41週間の観察後、腫瘍発生率はコントロール、5α
−DHNETおよびOVXの各グループでそれぞれ65%、33%お
よび38%であった。腫瘍をもつラット1匹当りの腫瘍の
平均数はコントロール、5α−DHNETおよびOVXの各グル
ープでそれぞれ2.6、1.5および1.0であった。
実施例 6 乳癌発生に及ぼす5α−DHNETの効果 乳癌に及ぼす5α−DHNET効果の普遍性を評価するた
め、プロトコールを更に変更した。第13図に示すよう
に、NMU注射の単一投与から3週目に5α−DHNET治療を
ラットに行なった。卵巣摘出もNMU注射後3週目に行な
った。結果を第14図に示す。37週間モニターした後の腫
瘍発生率はコントロール、5α−DHNETおよびOVXの各グ
ループでそれぞれ87%、38%および19%であった。腫瘍
動物1匹当りの腫瘍の平均数はコントロール、5α−DH
NETおよびOVXの各グループでそれぞれ2.8、1.5および1.
0であった。結果は、いずれの段階で5α−DHNETを投与
しても乳癌発達の抑制に効果的であり、且つ、一般的方
法で使用し得ることを示している。
実施例 7 ラット卵巣アロマターゼ活性に及ぼす5α−DHNET、5
α−DHNET Acおよび5α−DHNET Butのインビボ効果 卵巣アロマターゼ活性に及ぼすインビボ効果をアセテ
ート(C2)およびn−ブチレート(C4)でテストした。
結果を第15図に示す。17α−アルコール(5α−DHEN
T)のアシル誘導体は、卵巣アロマターゼのインビボ不
活化について、正常周期のBUF/Nラットに同じ用量(50m
g/Kg体重/日)を投与した場合、ほぼ同じような効果を
示した。実験方法は前述の実施例と同じである。ごま油
のみを与えたコントロールグループに比べて、アセテー
ト(5α−DHNET Ac)およびブチレート(5α−DHNET
But)はそれぞれ68.2%および79.4%の不活化を示した
が、もとの化合物は67.9%の不活化を示した。N−ブチ
レートの場合に若干よい結果が得られたのは、ごま油に
対するその溶解性が高いためであり、体内における滞留
時間が長いことを示している。しかし、この理論はほん
の1つの可能性にすぎない。アシル化誘導体によい結果
が得られるということについては、この説明のみに限定
されるものではない。
上記した内容に照らし、本発明をいか様にも変形し且
つ変更することももちろん可能である。したがって、請
求の範囲に記載した範囲内で、本発明は本明細書に明記
している以外にも実施可能であると理解されたい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大澤 由男 アメリカ合衆国、ニユー・ヨーク・ 14127、オーチヤード・パーク、エルム ハースト・ドライブ・145 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/505 C07J 1/00 CAS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アロマターゼのインビボ阻害量の下記一般
    (式中、R1は水素又はC1〜20アシルである)で表わさ
    れる化合物と医薬的に許容可能なキャリア又は希釈剤と
    を含有する、哺乳動物におけるアロマターゼのインビボ
    阻害用組成物。
  2. 【請求項2】R1が水素である請求項1の組成物。
  3. 【請求項3】前記組成物を経口用に調剤する請求項1の
    組成物。
  4. 【請求項4】前記組成物の単位投与量が1人の患者につ
    き1日当り1〜500mgとなるように前記化合物を含有す
    る請求項1の組成物。
  5. 【請求項5】抗−(内分泌依存症)に治療上有効量の下
    記一般式 (式中、R1は水素又はC1〜20アシルである)で表わさ
    れる化合物と医薬的に許容可能なキャリア又は希釈剤と
    を含有する、哺乳動物における内分泌依存症の治療又は
    予防用組成物。
  6. 【請求項6】前記内分泌依存症が乳癌である請求項5の
    組成物。
  7. 【請求項7】前記内分泌依存症が子宮癌である請求項5
    の組成物。
  8. 【請求項8】前記内分泌依存症が女性化乳房、早発青春
    期、子宮内膜症および女性化副腎腫瘍からなる群から選
    択される請求項5の組成物。
  9. 【請求項9】R1がC5〜20アシルである請求項1の組成
    物。
  10. 【請求項10】R1がC6〜20である請求項1の組成物。
  11. 【請求項11】次の一般式 (式中、R1はC5〜20アシルである)で表わされる化合
    物。
  12. 【請求項12】R1がC6〜20である請求項11の化合物。
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