JP2812005B2 - 望遠レンズ - Google Patents

望遠レンズ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真用カメラやビデオカ
メラ等に好適な望遠レンズに関し、特にフォーカスの際
の収差変動を良好に補正したライカ版35mmフィルム
用に換算して焦点距離300〜400mm、Fナンバー
4程度の良好なる光学性能を有した例えばオートフォー
カスカメラに好適な望遠レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に撮影レンズにおけるフォーカスは
撮影レンズ全体を移動させたり若しくは撮影レンズの一
部を移動させたりして行なっている。このうち撮影レン
ズが長焦点距離を有する望遠レンズの場合はレンズ系が
大型となり、又高重量となる為、レンズ系全体を移動さ
せてフォーカスを行なうのが機構的に困難である。
【0003】この為、望遠レンズでは一部のレンズ群を
移動させてフォーカスを行なっているものが多い。この
うちレンズ系の前方レンズ群以外の比較的小型でしかも
軽量のレンズ系中の中央部分、又は後方部分の一部のレ
ンズ群を移動させてフォーカスを行なったリヤーフォー
カス式のものが例えば特開昭50−139732号公
報、特開昭54−70827号公報、特開昭54−55
474号公報等で提案されている。
【0004】このうちレンズ系中の1番目と2番目の広
い空気間隔を境にして全体として3つのレンズ群に分け
たとき、物体側より順に正の屈折力の第1群、正の屈折
力の第2群、そして負の屈折力の第3群より成り、該第
3群を光軸上移動させてフォーカスを行なったリヤーフ
ォーカス式の望遠レンズが例えば特開平1−10722
7号公報で提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年一眼レフカメラに
おいてはオートフォーカスを用いたものが多くなってき
ており、フォーカスに要する時間の短縮化、即ちフォー
カスの高速化と省電力化が要望されている。
【0006】リヤーフォーカス方式を用いた場合では、
特に無限遠物体から至近物体までフォーカスする際のフ
ォーカス用のレンズ群の移動量が少ないことが要求され
る。
【0007】一般にフォーカスの際の移動量を少なくす
る為には各レンズの屈折力を強めれば良い。
【0008】しかしながら屈折力を強めるとフォーカス
の際の収差変動、特に球面収差の変動が大きくなり、こ
れを良好に補正するのが大変難しくなってくるという問
題点が生じてくる。
【0009】本発明はフォーカスの際のレンズ群の移動
量が比較的少なく、かつ無限遠物体から至近物体に至る
物体距離全般にわたり良好に収差補正を行った高い光学
性能を有した望遠レンズの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の望遠レンズは、
物体側より順に正の屈折力の第1群、正の屈折力の第2
群、そして負の屈折力の第3群の3つのレンズ群を有
し、該第3群を光軸上移動させてフォーカスを行い、該
第i群の焦点距離をfi、全系の焦点距離をfとしたと
き 1 < f1/f < 1.2 ‥‥‥‥‥(1) 0.6< f2/f1< 0.9 ‥‥‥‥‥(2) −0.6< f3/f <−0.4 ‥‥‥‥‥(3) なる条件を満足することを特徴としている。
【0011】
【実施例】図1〜図3は各々本発明の数値実施例1、
2、3のレンズ断面図、図4〜図6は本発明の数値実施
例1、2、3の諸収差図である。収差図において(A)
は無限遠物体、(B)は撮影倍率−0.15のときを示
している。図中L1は正の屈折力の第1群、L2は正の
屈折力の第2群、L3は負の屈折力の第3群、SPは絞
りである。
【0012】本実施例では第3群L3を矢印の如く像面
側へ移動させることにより無限遠物体から至近物体への
フォーカスを行なっている。
【0013】尚、レンズ系を3つのレンズ群に分けると
きはレンズ系中の1番目と2番目の広い空気間隔を境に
して分けている。
【0014】本実施例では前述の如く第1群、第2群、
そして第3群の屈折力を設定することにより第3群でフ
ォーカスをするときの移動量を少なくしつつ、物体距離
全般にわたり収差変動を良好に補正し、高い光学性能を
得ている。
【0015】次に前述の各条件式の技術的意味について
説明する。
【0016】条件式(1)は第1群の正の屈折力を適切
に設定し、主にレンズ全長の短縮化を図りつつ、諸収差
をバランス良く補正する為のものである。
【0017】条件式(1)の下限値を越えて第1群の屈
折力が強くなりすぎると倍率色収差及び軸外下光線によ
るコマ収差の補正が難しくなってくる。又上限値を越え
て第1群の屈折力が弱くなりすぎるとレンズ系全体のテ
レフォトタイプが弱くなりレンズ全長が長くなってくる
ので良くない。
【0018】条件式(2)は第1群と第2群の正の屈折
力の配分を適切に設定し、主に前玉レンズ系の有効径の
縮少化を図りつつ、第3群でフォーカスをするときの移
動量を少なくする為のものである。
【0019】条件式(2)の下限値を越えて第2群の屈
折力を強くしていくと物体から入射した光束が収束する
まで所定の長さが必要となり、前玉レンズ系が増大し、
操作性の悪化及び重量が増大してくる。又上限値を越え
て第2群の屈折力が弱くなってくると、即ち第1群の屈
折力が強くなってくると本発明の目的の1つであるフォ
ーカス用の第3群の移動量は減少するが、条件式(1)
で説明したように倍率色収差や軸外下光線によるコマ収
差の補正が難しくなってくるので良くない。
【0020】条件式(3)は第3群の負の屈折力を適切
に設定し、主にフォーカスを行なう際の移動量を少なく
しつつ収差変動を良好に補正する為のものである。
【0021】条件式(3)の下限値を越えて第3群の屈
折力が強くなりすぎるとフォーカスの際の移動量は少な
くなるが条件式(1),(2)を満足しても、尚諸収
差、特に球面収差の変動を良好に補正するのが難しくな
ってくる。又上限値を越えて第3群の屈折力が弱くなり
すぎるとフォーカスの際の移動量が増大してくるので良
くない。
【0022】尚、本実施例において開口絞りSPは第3
群の前側又は後側のいずれに配置しても良いが、絞り込
んだときの光量分布や画質からすれば第3群の前側に配
置するのが良い。
【0023】本発明によれば第1群と第2群を前述の条
件を満足する正の屈折力のレンズ群より構成することに
より、各々の屈折力を強めずに、更に絞りより隔った第
1群の屈折力をあまり強くしないのでフォーカス用の第
3群の移動量を少なくしている。
【0024】本発明において更にフォーカスの際の諸収
差の変動を少なくし、画面全体にわたり良好なる光学性
能を得るには各レンズ群を次の如く構成するのが良い。
【0025】(イ)前記第2群は物体側より順に物体側
に凸面を向けた正の第21レンズと像面側に凹面を向け
たメニスカス状の負の第22レンズを有していること。
【0026】物体距離が変わると第2群に入射する光束
の入射角度が変化するが、前述の如く物体側に凸面を有
する正の第21レンズ及び像側に強い凹面を有するメニ
スカス状の負の第22レンズの順に配置することによ
り、物体距離が変わることによる光束の変化があっても
各レンズ面で発生する収差量の変化が各々打ち消し合
い、結果として物体距離による諸収差の変動を良好に補
正している。
【0027】(ロ)前記第3群は物体側より順に両レン
ズ面が凸面の正の第31レンズと両レンズ面が凹面の負
の第32レンズを有していること。
【0028】第3群に強い負の屈折力を与えると第3群
の部分系の残存収差を小さく押えなければ物体距離変化
による収差変動が除去できない。そこで第3群を前述の
如く構成し、物体距離変化による収差変動を良好に補正
している。特に第3群のレンズ構成は部分系の球面収
差、コマ収差及び色収差を補正するのに最も適し、しか
も最小限のレンズ枚数で達成できる形状である。球面収
差、コマ収差の残存量が少なければ他の収差変動をも防
ぐ効果があるのは良く知られている。
【0029】(ハ)前記第31レンズの材質の屈折率と
アッベ数を各々N31,ν31、前記第32レンズの材
質の屈折率とアッベ数を各々N32,ν32としたとき 0.14<N31−N32 ‥‥‥‥‥(4) 20<ν32−ν31 ‥‥‥‥‥(5) なる条件を満足すること。
【0030】第3群の2つのレンズの材質を条件式
(4),(5)を満足するものを用いることにより諸収
差をバランス良く補正し、特に高次収差の発生を効果的
に防止している。
【0031】尚、本発明において第3群の2つのレンズ
は貼り合わせレンズより構成しても、又独立に構成して
も良い。
【0032】又、本発明において第3群の像面側に正の
屈折力のレンズ郡を配置し、歪曲収差を良好に補正する
ようにしても良い。
【0033】後述する数値実施例1〜3はライカ版35
mmサイズのカメラに用いたときの300〜400mm
の例を示したが、更に短い焦点距離の使用では像面側に
正の屈折力の第4群を配置すれば軸外収差を良好に補正
することができるので好ましい。
【0034】次に本発明の数値実施例を示す。数値実施
例においてRiは物体側より順に第i番目のレンズ面の
曲率半径、Diは物体側より第i番目のレンズ厚及び空
気間隔、Niとνiは各々物体側より順に第i番目のレ
ンズのガラスの屈折率とアッベ数である。
【0035】又、前述の各条件式と数値実施例における
諸数値との関係を表−1に示す。 数値実施例 1 f= 294.83 FNo=1:4.0 2ω= 8.3 ° R 1= 111.51 D 1= 11.51 N 1=1.49700 ν 1= 81.6 R 2= -275.82 D 2= 1.00 R 3= 102.17 D 3= 8.10 N 2=1.48749 ν 2= 70.2 R 4= 685.63 D 4= 5.95 R 5= -342.39 D 5= 4.00 N 3=1.80610 ν 3= 41.0 R 6= 136.76 D 6= 54.59 R 7= 64.71 D 7= 6.33 N 4=1.49700 ν 4= 81.6 R 8= 915.27 D 8= 0.26 R 9= 45.35 D 9= 3.00 N 5=1.61484 ν 5= 51.2 R10= 35.85 D10= 20.53 R11= (絞り) D11= 2.00 R12= 219.09 D12= 3.43 N 6=1.80518 ν 6= 25.4 R13= -383.31 D13= 1.70 N 7=1.62230 ν 7= 53.2 R14= 54.94 数値実施例 2 f= 298.00 FNo=1:4.0 2ω= 8.4 ° R 1= 111.71 D 1= 11.66 N 1=1.49700 ν 1= 81.6 R 2= -278.57 D 2= 1.00 R 3= 99.34 D 3= 8.18 N 2=1.48749 ν 2= 70.2 R 4= 584.06 D 4= 6.09 R 5= -343.30 D 5= 4.00 N 3=1.80610 ν 3= 41.0 R 6= 130.77 D 6= 54.73 R 7= 69.49 D 7= 6.61 N 4=1.49700 ν 4= 81.6 R 8= -8933.42 D 8= 0.26 R 9= 45.46 D 9= 3.00 N 5=1.61484 ν 5= 51.2 R10= 36.45 D10= 20.68 R11= (絞り) D11= 2.00 R12= 207.71 D12= 3.52 N 6=1.80518 ν 6= 25.4 R13= -359.55 D13= 2.00 R14= -294.88 D14= 1.80 N 7=1.65844 ν 7= 50.9 R15= 56.71 数値実施例 3 f= 395.00 FNo=1:4.0 2ω= 6.3 ° R 1= 145.85 D 1= 14.80 N 1=1.49700 ν 1= 81.6 R 2= -385.76 D 2= 1.30 R 3= 135.18 D 3= 9.66 N 2=1.49700 ν 2= 81.6 R 4= 697.91 D 4= 9.49 R 5= -461.48 D 5= 5.20 N 3=1.80610 ν 3= 41.0 R 6= 184.28 D 6= 71.15 R 7= 94.12 D 7= 8.13 N 4=1.49700 ν 4= 81.6 R 8= ∞ D 8= 0.27 R 9= 57.86 D 9= 3.90 N 5=1.61484 ν 5= 51.2 R10= 47.35 D10= 24.37 R11= (絞り) D11= 2.60 R12= 300.28 D12= 3.95 N 6=1.80518 ν 6= 25.4 R13= -364.84 D13= 2.60 R14= -303.60 D14= 2.34 N 7=1.65844 ν 7= 50.9 R15= 75.36 表 − 1
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば前述の如く各レンズ群の
屈折力等を設定することにより、フォーカスの際のレン
ズ群の移動量が比較的少なく、かつ無限遠物体から至近
物体に至る物体距離全般にわたり良好に収差補正を行っ
た高い光学性能を有した望遠レンズを達成することがで
きる。
【0038】特に本発明によれば (イ)オートフォーカスに際し高速化される。 (ロ)フォーカス用のレンズ群の移動量の減少により省
電力化が行なえる。 (ハ)フォーカス用のレンズ群の移動量の減少により手
動のフォーカス環の回転量が減らせるので迅速な操作が
可能となる。
【0039】等の特長を有した望遠レンズを達成するこ
とができる。
【0040】又、本発明によれば従来と同程度のフォー
カス用のレンズ群の移動量を与えると近接撮影距離を近
くすることが可能で、しかも従来の望遠レンズよりも近
接時の画質劣化が少ない望遠レンズが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の数値実施例1のレンズ断面図
【図2】 本発明の数値実施例2のレンズ断面図
【図3】 本発明の数値実施例3のレンズ断面図
【図4】 本発明の数値実施例1の諸収差図
【図5】 本発明の数値実施例2の諸収差図
【図6】 本発明の数値実施例3の諸収差図
【符号の説明】
L1 第1群 L2 第2群 L3 第3群 SP 絞り S サジタル像面 M メリディオナル像面 d d線 g g線

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側より順に正の屈折力の第1群、正
    の屈折力の第2群、そして負の屈折力の第3群の3つの
    レンズ群を有し、該第3群を光軸上移動させてフォーカ
    スを行い、該第i群の焦点距離をfi、全系の焦点距離
    をfとしたとき なる条件を満足することを特徴とする望遠レンズ。
  2. 【請求項2】 前記第2群は物体側より順に物体側に凸
    面を向けた正の第21レンズと像面側に凹面を向けたメ
    ニスカス状の負の第22レンズを有していることを特徴
    とする請求項1の望遠レンズ。
  3. 【請求項3】 前記第3群は物体側より順に両レンズ面
    が凸面の正の第31レンズと両レンズ面が凹面の負の第
    32レンズを有していることを特徴とする請求項1の望
    遠レンズ。
  4. 【請求項4】 前記第31レンズの材質の屈折率とアッ
    ベ数を各々N31,ν31、前記第32レンズの材質の
    屈折率とアッベ数を各々N32,ν32としたとき 0.14<N31−N32 20<ν32−ν31 なる条件を満足することを特徴とする請求項3の望遠レ
    ンズ。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項記載の望
    遠レンズを有することを特徴とするカメラ。
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