JP2811818B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、リチウム二次電池、特に極板を捲回する円
筒形リチウム二次電池の信頼性に関するものである。
従来の技術 従来、この種のリチウム二次電池は高電圧・高エネル
ギー密度を有し、かつ貯蔵性,耐漏液性などの信頼性に
優れるため、広く民生用電子機器の電源に用いられてい
る。
リチウム二次電池では負極にリチウム、正極には負極
から溶出したリチウムイオンを収納できる反応席をもっ
た、結晶構造が層状あるいはトンネル構造を有する遷移
金属の酸化物やカルコゲン化合物が検討されており、充
放電でリチウムイオンが電解液を介し、正,負極の間を
移動する。この種のリチウム二次電池のうち、円筒形の
ものについて現在盛んに開発研究が試みられている。
一般にリチウム二次電池の場合、その負極充填容量は
正極の容量に対して数倍になるように構成している。こ
れは、この電池の充放電反応に負極リチウムの消耗反応
が含まれるためであり、予め過剰に負極を充填し、サイ
クル寿命を確保している。
発明が解決しようとする課題 上記円筒形リチウム二次電池のうち渦巻形電極を持つ
電池では一般に、正極と負極の間に両極板より幅の広い
帯状のセパレータを介し、それらを渦巻状に捲回して極
板群としている。従来、負極の集電はリボン状のリード
をリチウム負極の側面に圧着して行っている。
上記のような従来の負極リード板を用いて円筒形リチ
ウム二次電池を試作し、充放電サイクル試験を行なっ
た。試験は定電方式で、予め設定した充電終止電圧と放
電終止電圧間でサイクルさせるものである。ところが試
験総数100個のうち、57個で第1図に示すようにサイク
ル途中に充放電曲線に異常が見られた。またそのうち35
個の電池第2図に示すようにサイクル途中で充放電容量
が急激に減少し、その後、容量がほとんど出なくなっ
た。そこで充放電曲線の異常や充放電容量の減少等の不
良の有無にかかわらず、全部の試験電池を同一サイクル
の充電状態で試験を停止し、分解した。その結果上記不
良のみられた電池の負極リード板圧着部でリード板の角
(エッジ)と接するリチウムに亀裂が入り、わずかな部
分でつながっているような状態となっていた。またサイ
クル試験中に上記不良が見られなかった電池についても
同様の亀裂がより短いが、見られた。これは負極の捲回
方向に対して平行に切ったリードの断面に角(エッジ)
を有するためである。すなわち現状のリード形状ではリ
ードの角(エッジ)がリチウムに食い込んだ状態で充放
電を行っており、充放電をくり返すにつれて、上記箇所
に一種の金属疲労と思われる亀裂が生じたと考えられ
る。すなわちサイクル途中における充放電曲線の乱れは
負極リードがリチウム負極とつながったり離れたりした
ためであり、充放電容量の急激な減少は負極リードがリ
チウム負極から完全に分離したためと思われる。また10
0サイクル時点で上記充放電特性における不良が見られ
なかった電池においても、更にサイクルが進むにつれて
不良が発生する可能性がある。
以上のことから現状では信頼性に乏しいと言わざるを
得ない。
本発明は上記課題を解決し、電池の信頼性を確保する
ことを目的とするものである。
課題を解決するための手段 本発明のリチウム二次電池は、負極の集電をリボン状
の金属板からなるリードをリチウム負極の捲回方向に対
して垂直に圧着して行うもので、リードは負極との接触
面に対し角(エッジ)を有しない形状とするものであ
る。例えば、負極の捲回方向に対して平行に切ったリー
ドの断面を楕円形もしくは小判形とするのである。
作 用 本発明の前記の形状を有するリードを用いると、リチ
ウム負極とリードとの接触部におけるリチウムへのリー
ドの食い込みを抑えることができる。すなわち充放電を
繰り返してもリチウムとリードの接触部におけるリチウ
ムの亀裂や切断を防ぐことができ、上記リチウムの亀裂
による充放電曲線の乱れや上記リチウムの切断による充
放電容量の急激な減少を防ぐことができる。以上のこと
から上記課題であった信頼性の向上をはかれるものであ
る。
実施例 以下、本発明の実施例について説明する。第3図は実
施例に用いた円筒形リチウム二次電池の縦断面図であ
る。図で正極板1は五二酸化クロム(Cr2O5)を生活物
質とする正極合剤をチタニウム製のエキスパンデッドメ
タルからなる芯材に充填し、乾燥したものである。4は
芯材と同材質からなる正極リード板で芯材にスポット溶
接したものである。負極板2は金属リチウムからなり、
その側面に負極リード板5が圧着されている。3は三次
元的空孔構造(海綿状)を有するポリオレフィ系(ポリ
プロピレン,ポリエチレンまたはそれらの共重合体)の
微孔性フィルムからなるセパレータである。また電極体
は正極1と負極2間に両極板より幅の広い帯状のセパレ
ータ3を介在して全体を渦巻状に捲回して構成する。さ
らに上記電極体の上下それぞれにポリプロピレン製の絶
縁板6,7を配してケースに挿入し、ケース8の上部に段
部を形成させた後電解液を注入し、封口板9で密閉して
完成電池とする。
本実施例では負極に圧着したリード板の形状において
第4図aに示すように負極の捲回方向に対して平行に切
った断面に角を有する一般的な長方形である現行のもの
を用いた電池(aと呼ぶ)、上記断面がbのように亀甲
形多角形であるものを用いた電池(bと呼ぶ)、上記断
面がcのように楕円形であるものを用いた電池(cと呼
ぶ)、上記断面がdのように小判形であるものを用いた
電池(dと呼ぶ)を各々100個ずつ試作し、すべての電
池について充放電サイクル試験を行った。この場合の試
験条件は20℃において、100mAの定電流で充電終止電圧
を3.8V、放電終止電圧を2.0Vとして行うものである。試
験は100サイクル目の充電状態まで行った。試験結果は
次の3通りのものとなった。1.サイクル途中で充放電容
量が急激に減少し、その後充放電容量がほとんど0とな
った。2.サイクル途中で充放電曲線に異常が見られた。
3.異常なし。但し、1の電池は全数2の現象を伴ってい
た。以上の3つのタイプ別にa,b,c,dそれぞれでの発生
数を表にしたものを次表に示す。
次にa,b,c,dの電池全数を分解し、リチウム負極と負
極リードの接触状態を観察した。その結果充放電試験で
1の現象が見られたaの電池(a−1と示す。以下同
様)の負極では全数リチウム負極からリードが分離して
いた。またa−2,b−2ではリチウム負極がリードと接
する箇所に亀裂を生じており、分離しかけてた。a−3
でもa−2よりは軽度ではあるがリチウム負極に亀裂が
見られ、b−3では亀裂こそ見られなかったが、リチウ
ム負極にややリードの食い込んだ跡が見られた。c−3,
c−4では亀裂は元より、リードの食い込み跡さえ見ら
れなかった。
以上の結果から本発明によりリチウム負極のリードが
角(エッジ)を有しない形状であることが大きな効果を
持つことがわかった。また、従来のリードの断面が長方
形(a)のものに比べ断面が多角形(b)のものも効果
を有することがわかった。
なお、実施例では正極活物質に五二酸化クロムを用い
たが、他の例えば二酸化マンガン,三硫化モリブデン,
酸化バナジウム(V2O5,V6O13,V3O8),二酸化チタン,
オキシリン酸銅,酸化バナジウム(V2S5),リチウムマ
ンガン複合酸化物,他の酸化クロム等であってもよい。
発明の効果 このように、本発明では信頼性に優れたリチウム二次
電池を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は充放電異常を示す電池の代表的な充放電曲線
図、第2図は充放電異常を示す電池の代表的なサイクル
特性図、第3図は円筒形リチウム2次電池の代表的な構
造を示す断面図、第4図中、a,bは従来の電池における
リチウム負極の捲回方向に対して平行に切った負極リー
ドの断面図であり、c,dは本発明の電池におけるリチウ
ム負極の捲回方向に対して平行に切った負極リードの断
面図である。 1……正極、2……負極、3……セパレータ、4……正
極リード板、5……負極リード板、6……上部絶縁板、
7……下部絶縁板、8……ケース、9……封口板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 2/20 - 2/34 H01M 10/40

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解液にリチウム塩を溶解した有機溶媒を
    備え、正極と負極金属リチウムをセパレータを介して捲
    回した電池であって、負極の集電はリボン状の金属板か
    らなるリードをリチウム負極の捲回方向に対して垂直に
    圧着して行い、前記リードが負極との接触面に角(エッ
    ジ)を有しない形状であることを特徴とするリチウム二
    次電池。
  2. 【請求項2】負極の捲回方向に対して平行に切ったリー
    ドの断面が楕円形であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載のリチウム二次電池。
  3. 【請求項3】負極の捲回方向に対して平行に切ったリー
    ドの断面が小判形であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載のリチウム二次電池。
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