JP2810965B2 - 積層体、人工歯根および歯冠 - Google Patents

積層体、人工歯根および歯冠

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JP2810965B2 JP15751489A JP15751489A JP2810965B2 JP 2810965 B2 JP2810965 B2 JP 2810965B2 JP 15751489 A JP15751489 A JP 15751489A JP 15751489 A JP15751489 A JP 15751489A JP 2810965 B2 JP2810965 B2 JP 2810965B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、生体親和性を有するリン酸カルシウム系セ
ラミックスを異種材料と接合して構成される積層体と、
人工歯根および歯冠とに関する。
<従来の技術> 生体の欠損部分の機能および形態を修復するために、
種々の補填・修復材が用いられている。
生体用の補填・修復材としては、人工歯根、歯冠、人
工骨、人工関節等の人工骨に類するものが代表的に挙げ
られる。
これらの人工骨類には、機械的強度、靭性、生体内で
の安定性などが要求され、また、生体との親和性が高い
ことが好ましい。さらに、人工骨類はそれぞれの患者に
合わせてオーダーメードされる必要があるため、成形が
容易であることも重要である。
なお、生体親和性とは、周囲の生体組織との馴染みの
よさを意味する。例えば、生体親和性が高い材料は、周
囲の組織から異物と判定されることが少なく、特に人工
骨類に用いられた場合は、周辺の造骨を促進して自身と
骨組織とを強固に結合することができる。
現在用いられている人工骨類材料のうち、機械的強
度、生体内安定性が高いものとしては、Ti、Zr等の金
属、これらを含む合金、あるいはアルミナ、窒化ケイ
素、ジルコニア等のセラミックスが挙げられる。
ところが、機械的強度、生体内安定性が高いこれらの
材料は、生体親和性が低い。このため、治癒期間が長く
なり、また、生体との接着性も不十分である。また、上
記材料の成形は焼結、鍛造、鋳造、溶融などにより行な
われるが、その際の温度が1500℃前後から2000℃以上と
高いため、成形が容易ではない。
一方、生体親和性が高い材料としては、バイオガラ
ス、アパタイト(特に水酸アパタイト)、第3リン酸カ
ルシウム、リン酸カルシウム結晶化ガラスなどが知られ
ており、骨は有機成分を除くとほぼアパタイトから構成
されているため、アパタイトの生体親和性は特に良好で
ある。
ところが、生体親和性が高いこれらの材料は、機械的
強度および靭性が比較的低い。例えば人工歯根では、咀
嚼時に通常30kg/cm2程度、最大300kg/cm2にも達する圧
力が加わるため、アパタイト製の人工歯根は耐久性に不
安がある。また、アパタイトの成形は焼結により行なわ
れ、そのときの温度は900〜1200℃程度であるため、や
はり成形が容易とは言い難い。さらに、緻密で強度の高
いアパタイト焼結体を得るためにはHIPなどを利用すれ
ばよいが、HIPを用いる場合、任意の形状に成形するこ
とが困難である。
このような事情から、機械的強度、靭性、生体親和性
および成形の容易さを兼ね具えた材料が求められてい
る。
人工骨類に要求されるこのような性質を満足するため
に、種々の複合材料が提案されている。
例えば、Ti等の高強度基材表面にプラズマ溶射により
アパタイト被覆を形成した材料、バイオガラスを金属基
材表面に接着した材料、ムライト等のウィスカーで強化
された繊維強化アパタイト、ジルコニアとアパタイトと
の混合焼結体、リン酸カルシウム結晶化ガラス内または
表層に熱処理によりアパタイトを析出させたもの等であ
る。
<発明が解決しようとする課題> 上記複合材料のうち、Ti等の高強度基材表面にアパタ
イト被覆を形成した材料は、強度および生体親和性が共
に良好であるが、基材の成形性の低さは何ら改善されて
いない。
また、プラズマ溶射では、極めて高温のプラズマ炎が
基材表面に噴射されるため、耐熱性の高い基材しか用い
ることができない。さらに、プラズマ溶射はコストが高
い。
なお、上述したような生体用補填・修復材に限らず、
ペースメーカ等の生体内に留置される機器、透析用シャ
ント等の経皮埋入機器などにもアパタイト等の生体親和
性材料を被覆することが好ましいが、これらの機器にお
いても、アパタイト膜を低温でしかも強固に形成するこ
とが望まれている。
本発明はこのような事情からなされたものであり、リ
ン酸カルシウム系セラミックスと異種材料とが、低温に
おいて強固に接合された積層体と、機械的強度、生体親
和性および成形性が高く、しかも低コストにて得られる
人工歯根および歯冠とを提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは、このような目的を達成するために、セ
ラミックスの超塑性現象に着目した。
セラミックスの成形方法としては、上記したように焼
結、溶融などが挙げられ、金属加工と同様に鍛造、押し
出し、圧延などの塑性加工も試みられている。しかし、
セラミックスの塑性加工には融点の60%程度以上の高温
が必要であり、材料によっては2000℃にも達する。
ところが、超塑性を示すセラミックスは、Journal of
the JSTP vol.29 no.326(1988−3)、セラミックス2
4(1989)No.2、鉄と鋼第75巻(1989)第3号等に記載
されているように、焼結温度あるいは鍛造温度よりもは
るかに低い温度、例えば500℃程度低い温度において低
応力で巨大な延性を示す。
従来、超塑性を示すセラミックスとして知られている
代表的な材料は、Y−TZP(Yttriastabilized Tetragon
al ZrO2 Polycrystals)、ZrO2−Al2O3系であり、その
塑性変形を利用して、押し出し加工、薄板成形などが試
みられている。また、超塑性により同材質同士を拡散接
合する試みもなされている。
しかしながら、アパタイト、第3リン酸カルシウム等
のリン酸カルシウム系セラミックスが超塑性を示すとい
う報告はなされていない。
本発明者らは、リン酸カルシウム系セラミックスに関
して研究を重ねた結果、これらが超塑性を示すことを知
見し、下記(1)〜(7)の本発明を完成した。
(1)リン酸カルシウム系セラミックスと、異種材料と
が、超塑性加工により接合されてなることを特徴とする
積層体。
(2)前記異種材料が、金属、セラミックス、ガラスま
たはこれらの複合材料である上記(1)に記載の積層
体。
(3)少なくとも一部が生体内に留置されて用いられる
上記(1)または(2)に記載の積層体。
(4)基材表面に超塑性加工によりリン酸カルシウム系
セラミックスが接合されていることを特徴とする人工歯
根。
(5)前記基材が金属、セラミックス、ガラスまたはこ
れらの複合材料である上記(4)に記載の人工歯根。
(6)基材表面に超塑性加工によりリン酸カルシウム系
セラミックスが接合されていることを特徴とする歯冠。
(7)前記基材が金属、セラミックス、ガラスまたはこ
れらの複合材料である上記(6)に記載の歯冠。
以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明におけるリン酸カルシウム系セラミックスとし
ては、種々のものを用いることができるが、特にアパタ
イトまたは第3リン酸カルシウムが好ましい。
化学量論組成Ca10(PO46X2(ただし、Xはヒドロキ
シ基またはハロゲン原子)であり、特にヒドロキシアパ
タイトまたはフッ化アパタイトが好適である。
また、アパタイトのCa/P原子比は1.6〜1.75が好まし
い。
なお、これらアパタイトと同様、第3リン酸カルシウ
ムCa3(PO4も好ましい。
本発明ではこれらリン酸カルシウム系セラミックスの
焼結体を用いるが、この焼結体には、焼結助剤等とし
て、全体の5重量%以下の範囲内にて、Al2O3、SiO2、M
gOさらにはCaO等が含有されていてもよい。
本発明の積層体中のリン酸カルシウム系セラミックス
焼結体の平均グレインサイズは、2μm以下であること
が好ましい。
平均グレインサイズは、走査型電子顕微鏡によって測
定すればよく、具体的には平均グレイン面積から、これ
を円と仮定してその平均直径を求め、これを平均グレイ
ンサイズとする。
この場合、平均グレインサイズが10μmを超えると、
超塑性の発現が不十分となる。
なお、平均グレインサイズは1μm以下であることが
好ましく、その下限は一般に0.005μm程度であること
が好ましい。
本発明に用いる焼結体の平均グレインサイズは、後述
の超塑性加工によってもほぼ保持されるので、加工前の
焼結体の平均グレインサイズは、加工後、すなわち積層
体中のそれとほぼ同等である。
ただし、本発明の積層体を、一軸性の応力によって圧
縮して形成した場合、通常は、グレインの変形およびグ
レイン間の配向が認められるものである。
本発明の積層体は、以下のようにして製造されること
が好ましい。
まず、所定のグレインサイズの焼結体を作製する。焼
結体の形状および寸法は、目的に応じて決定すればよく
特に制限はない。また、焼結体の平均グレインサイズ
は、目的とする積層体の10〜100%程度のものとする。
焼結体作製に際して用いる原料としては、前述のアパ
タイトや第3リン酸カルシウムを用いることが好まし
い。
これらは、各種脊椎動物の骨や歯などから回収された
天然物であってもよく、また各種湿式法や乾式法で製造
された合成品であってもよい。
本発明では、これらの方法で得られたアパタイトや第
3リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウム系セラミッ
クスの原料粉末を焼結し、超組成を示す焼結体を得る。
用いる原料粉末は、BET値で1〜100m2/g程度であるこ
とが好ましい。
なお、前述のとおり、これらには焼結助剤等が含有さ
れてもよい。
次いで、この原料粉末を成形する。
成形に際しては、1〜3000kg/cm2程度にて一軸プレス
した後、1000〜10000kg/cm2程度にて冷間静水圧プレス
(CIP)すればよい。
この後焼結する。
焼結は、一般に、700〜1200℃にて0.05〜30時間程度
行う。焼成に際しては、材料を緻密化するためホットプ
レスあるいは熱間静水圧プレス(HIP)を行うことが好
ましく、圧力は50〜5000atm程度とすることが好まし
い。また、雰囲気は、不活性ガス中、エア中、水素中、
真空中等いずれであってもよい。
なお、この焼成に際し、700〜1350℃程度にて、0.05
〜30時間程度の仮焼を行ってもよい。
このようにして、好ましくは相対密度99.5%以上をも
ち、上記の平均グレインサイズを有する焼結体が得られ
る。
次いで、この焼結体とリン酸カルシウム系セラミック
ス以外の異種材料とを積層し、超塑性加工により接合す
る。
すなわち、所定の温度で圧接し、拡散ないし固相接合
するものである。
加工温度は、600℃以上で、焼結温度より50℃低い温
度までの温度にて行うが、一般に600〜1200℃とするこ
とが好ましい。
このときの圧縮速度、加圧力、変形量は加工方法によ
っても異なるが、通常、圧縮速度0.01〜50mm/min程度に
て、加圧力1〜70MPaとし、変形量は真ひずみで0.1〜1.
5程度となる。
圧接を行なうには、積層物を型およびパンチを用いて
圧接したり、基材材料をパンチとして型中にてリン酸カ
ルシウム系セラミックスを押し出し、逆押し出し等によ
って圧接したりすればよい。あるいは、圧延、引張を、
押し出し等と複合して圧接を行なうこともできる。
このような超塑性加工は、必要に応じ何回かくり返す
こともできる。
このような超塑性加工により、リン酸カルシウム系セ
ラミックス焼結体と異種材料とは接合され、その接合強
度は、異種材料の材質によっても異なるが、200〜1000M
Pa程度が得られる。
得られた積層体中のリン酸カルシウム系セラミックス
のグレインサイズは、前述のとおり変化することもあ
る。ただし、グレインは、粒界に沿ってすべり、またグ
レインの変形をともない、グレインの配向が観察される
ことがある。
本発明に用いる前記異種材料の材質に特に制限はな
く、本発明が適用される対象に応じて、各種セラミック
ス、各種金属、各種ガラス、これらの複合体、その他各
種材質等から選択することができる。
すなわち、複合する材料は、圧接に際して塑性変形を
示すものであっても示さないものであってもよい。ま
た、超塑性変形を示すものであってもよい。超塑性変形
を示すものでは、3種以上の接合も可能である。
この場合、接合する材料は通常、例えば機械的強度が
高く、基材として機能するものであることが好ましい。
このような本発明の積層体は、少なくとも一部が生体
内に留置されて用いられるもの、例えば、人工歯根、歯
冠等の歯科材料、人工骨、人工頭蓋骨、人工耳小骨、人
工顎骨、骨置換材料、人工関節、人工鼻軟骨、骨折固定
用材料、人工弁、人工血管などに好ましく適用でき、ま
た、透析用シャント等の経皮埋入機器、ペースメーカー
等の生体内埋め込み機器、その他、生体内留置機器等の
医療機器にも好ましく適用することができる。
以下、本発明の積層体を、人工歯根および歯冠に適用
する場合について説明する。
本発明の人工歯根および歯冠は、上記のようにして得
られたリン酸カルシウム系セラミックス焼結体を、超塑
性加工により基材表面に接合することにより製造され
る。
第1図に、本発明の好適実施例である人工歯根および
歯冠を示す。
第1図は、歯槽骨51に埋入された人工歯根1に、緩衝
材3を介して接着材4、5により歯冠2が接着された状
態を示す。
人工歯根1は、歯根基材11表面に歯根被覆層12を有
し、人工歯根1の外周側面には、必要に応じて突起13が
形成される。
突起13は、歯槽骨51と人工歯根1との間に間隙を形成
する作用を有する。人工歯根1は、歯槽骨51と直接結合
するのではなく、人工歯根1の周囲に形成される新生骨
と結合する。このため、突起13を設けることにより新生
骨の成長が促進され、人工歯根1と歯槽骨51とを強固に
結合させることができる。
突起13の形状に特に制限はなく、人工歯根1の周側面
にリング状あるいは螺旋状に存在してもよく、孤立した
突起を複数設けてもよい。
突起13の高さは、100〜3000μm程度とすることが好
ましい。
歯根基材11の形状および寸法に特に制限はなく、目的
とする人工歯根1の形状および寸法に応じて適当に決定
すればよい。
歯根基材11は、機械的強度や靭性が高い材料で構成さ
れることが好ましい。このような材質としては、多結晶
アルミナ、単結晶アルミナ(サファイア)、ジルコニ
ア、チタニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素な
どの各種高強度セラミックス、あるいは、チタン、ニッ
ケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、コバルト−
クロム合金、白金、金などの貴金属の合金、ステンレス
などの各種金属、さらにはこれらの複合材が挙げられ、
これらのうち高強度セラミックスまたは金属が好まし
く、特にチタン、チタン合金、ジルコニア、単結晶アル
ミナ(サファイア)が好ましい。
歯根基材11の製造方法に特に制限はなく、その構成材
質に合わせて、焼結、鋳造などの方法から適当な方法を
選択すればよい。
歯根基材11表面には、歯根被覆層12が設けられる。
歯根被覆層12は、上記のようにして製造されたリン酸
カルシウム系セラミックスから構成され、超塑性加工に
より歯根基材11と接合されたものである。
超塑性加工は、目的とする人工歯根1の形状および寸
法に応じた型を用い、リン酸カルシウム系セラミックス
焼結体を、歯根基材11により上記型中に押し出すことに
より行なわれる。
このとき、焼結体、歯根基材および型は、焼結体が超
塑性を示す温度に加熱されている必要がある。
このような押し出し成形に用いるリン酸カルシウム系
セラミックス焼結体は、薄板状であることが好ましい。
この場合、複数の薄板を用いてもよい。複数の薄板を用
いた場合、薄板同士は超塑性により接合して界面では結
晶構造が連続するため、接合は極めて強固である。
超塑性加工時の保持温度、圧縮強度等の各種条件は、
上記と同様であり、また、得られる変形量も上記と同様
である。
なお、用いる薄板の厚さは、0.001〜10mm程度であ
り、目的とする歯根被覆層12の厚さおよび外形形状に応
じて適当に決定すればよい。
このような押し出し成形により、リン酸カルシウム系
セラミックス焼結体は型の内部形状に沿って超塑性変形
すると同時に歯根基材11と隙間なく接合し、歯根被覆層
12が形成されることになる。
このように超塑性を利用して接合された歯根基材11と
歯根被覆層12との接合強度は、200〜1000MPa程度であ
る。
なお、突起13を有する人工歯根1のように外形形状が
複雑な人工歯根を作製する場合、このような押し出し法
では成形が困難となることもある。この場合、型を分割
して用いてもよい。
また、まず表面が平滑な歯根被覆層を押し出し成形に
より形成し、次いで突起13等の複雑形状部分の母型を有
する型を用いて、型押し法により成形を行なうこともで
きる。
なお、第1図では歯根基材11の側面は平滑に構成され
ているが、突起13等を有する歯根基材11を用いることも
できる。このような歯根基材11を用いて型押し成形を行
なうと、リン酸カルシウム系セラミックス薄板の塑性変
形量を少なくすることができ、成形が容易となる。
これらの方法に用いられる型の材質は、超塑性加工時
の加熱に耐えられるものであればよく、例えば、グリス
トバライト系セラミックス、リン酸塩系セラミックス等
の通常の歯科用埋没材、SiO等のセラミックス、各種金
属等を用いればよい。
このようにして形成される歯根被覆層12は、人工歯根
1の少なくとも生体と接触する表面、例えば第1図にお
いては、歯槽骨51、歯肉上皮52および上皮下結合組織53
と接触する表面に存在していることが好ましい。
歯根被覆層12の厚さは、好ましくは0.001〜5mm、より
好ましくは0.01〜2mmである。
このような構成を有する人工歯根1の形状に特に制限
はなく、円柱状、楕円柱状、角柱状、ブレード状等のい
ずれであってもよい。
人工歯根1の寸法は、通常、最大径2〜20mm、高さ3
〜50mm程度であり、各種規格に基づいて決定すればよ
く、また、必要に応じ適当な寸法としてもよい。
なお、本発明は、第1図に示すような1ピース型に限
らず、ポストコアを有する2ピース型の人工歯根、ある
いは3種以上の構成部材を有する多ピース型の人工歯根
にも適用することができる。これらの人工歯根において
も、少なくとも生体と接触する表面にリン酸カルシウム
系セラミックスの被覆層が存在していればよい。
次に、歯冠2について説明する。
歯冠2は、歯冠基材21の表面に歯冠被覆層22を有して
構成される。
歯冠被覆層22は、上記のようにして製造されたリン酸
カルシウム系セラミックスから構成され、超塑性加工に
より歯冠基材21と接合さたものである。
超塑性加工は、目的とする歯冠2の形状および寸法に
応じた型を用い、薄板状のリン酸カルシウム系セラミッ
クス焼結体を、歯冠基材21により上記型中に押し出す。
なお、薄板状の焼結体は、複数枚用いてもよい。
超塑性加工時の保持温度、圧縮速度等の各種条件は、
上記と同様であり、また、得られる変形量および接合強
度も上記と同様である。
なお、用いる薄板の厚さは、目的とする歯冠被覆層22
の厚さおよび外形形状に応じて適当に決定すればよい。
このような押し出し成形により、型の内部形状に沿っ
て薄板は超塑性変形し、歯冠被覆層22が形成される。
歯冠基材21の形状に特に制限はなく、例えば、人工歯
根が嵌入する穴部を底面に有する柱状または錐状等であ
ってもよく、あるいはこれらを組合せた形状であっても
よい。
歯冠基材21の上面は平坦であってもよいが、目的とす
る歯冠形状に近似した形状に成形されていることが好ま
しい。
すなわち、歯冠の形状は、例えば切歯用であるが臼歯
用であるかによって大きく異なるため、切歯あるいは臼
歯に近似した形状に成形された歯冠基材を用いれば、リ
ン酸カルシウム系セラミックス焼結体の変形量が少なく
て済み、成形が極めて容易になる。この場合、歯冠が適
用される患者の個体差に基づく分だけの成形を、超塑性
により行なうことになる。また、この場合、歯冠基材は
オーダーメードする必要がなく、焼結、鋳造等により製
造された規格品でよいので、生産性が低下することはな
い。
さらに、このような薄板の押し出し成形の他、型押し
法により成形を行なうこともできる。
型押し法では、歯冠形状に近似的に成形されたリン酸
カルシウム系セラミックス焼結体を用い、この焼結体を
型押しする。この場合、超塑性による変形量は極めて少
なくて済み、成形が容易となる。
なお、この場合、歯冠形状に仮成形された焼結体では
なく、円柱状、楕円柱状、角柱状等の焼結体を用いるこ
ともできる。
また、この場合、歯冠基材21の形状に制限はない。
歯冠基材21の材質は、歯根基材の材質として上記した
ものから選択すればよい。
これらの方法に用いられる型は、人工歯根の製造に用
いられる型と同様の材質で形成すればよい。
このようにして形成される歯冠被覆層22は天然歯に近
似した外観を有し、また、生体親和性を有するため、審
美性を高めるためおよび歯肉上皮52に悪影響を与えない
ために、歯冠基材21の全面を覆っていることが好まし
い。
また、歯冠被覆層22の厚さは、0.001〜5mm程度とする
ことが好ましい。
このような構成を有する歯冠2は、第1図に示される
単冠式に限らず、二重冠式の外冠に適用することもでき
る。
人工歯根1および歯冠2は、緩衝材3を介して接着材
4、5により接着されることが好ましい。
緩衝材3は、咀嚼、歯ぎしり等の際に人工歯根1に加
わる衝撃を緩和する作用を有する。緩衝材3を介して歯
冠2を接着することにより、歯冠2に天然歯と同程度の
動揺を保証することができる。
緩衝材3は、合成ゴム等で形成され、厚さは0.01〜4m
m程度であることが好ましい。
接着材4、5には、通常の歯科セメントを用いればよ
い。
なお、本発明の人工歯根は、第1図に示されるように
歯冠と組合せる形態で用いられる骨内インプラント等の
他、天然歯内に人工歯根を埋入する歯内骨内インプラン
トにも好適である。
また、総入れ歯用、部分入れ歯用およびフリースタン
ディング用のいずれにも好適である。
本発明の人工歯根および歯冠を使用するに際し、これ
らと組合せて用いられる歯冠および人工歯根は、必ずし
もリン酸カルシウム系セラミックスの被覆を有している
必要はなく、通常の歯冠および人工歯根と組合せた場合
でも本発明の効果は実現する。
<実施例> 以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を更に詳
細に説明する。
[人工歯根の作製] 湿式法によって得られたBET値80m2/gのヒドロキシア
パタイト(Ca/P=1.67)を、50kg/cm2にて一軸プレスし
たのち、2900kg/cm2でCIPを行なった。
次いで、これを大気中で1000℃で2時間仮焼したの
ち、Arガス、1000℃、2000atm、2時間の条件でHIP焼成
し、薄板状焼結体を得た。
得られた薄板状焼結体の寸法は、25mm×20mm×4mmで
あった。また相対密度は99.9%、平均グレインサイズは
0.64μmであった。
この薄板を、歯根基材により金型中に押し出し、成形
した。歯根基材には、直径2mm、高さ18mmのチタン製円
柱を用いた。
成形時の保持温度は1000℃、焼結体の圧縮速度は1.0m
m/min、加圧力は60MPaとし、変形量は真ひずみで0.5の
条件とした。
このような成形により、歯根基材表面にヒドロキシア
パタイト製の被覆層が厚さ2mmに形成された。歯根基材
と被覆層との接合強度は、350MPaであった。
なお、成形後の平均グレインサイズは1.0μmであ
り、グレインの変形と配向が認められた。
[歯冠の作製] 上記と同様にして、ヒドロキシアパタイトの薄板状焼
結体を得た。ただし、寸法は、25mm×20mm×4mmとし
た。
この焼結体を、歯冠基材によりCaO−TiO2−ZrO2−MgC
l2系セラミックスの型中に押し出し、成形した。歯冠基
材は、イットリウム添加ジルコニアを標準的な臼歯形状
に成形したものを用いた。成形時の条件は、上記と同様
とした。
このような成形により、歯冠基材表面にヒドロキシア
パタイト製の被覆層が厚さ1〜2mmに形成された。歯冠
基材と被覆層との接合強度は、350MPaであった。
なお、成形後の平均グレイサイズは1.0μmであり、
グレインの変形と配向が認められた。
<発明の効果> 本発明によれば、リン酸カルシウム系セラミックスと
異種材料とが強固に接合された積層体が実現し、しか
も、このような接合を比較的低温で行なうことができ
る。
また、本発明によれば、機械的強度、生体親和性およ
び成形性が高い人工歯根および歯冠を、低コストにて実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、歯槽骨に埋入された人工歯根と、この人工歯
根に接着された歯冠とを示す断面図である。 符号の説明 1……人工歯根 11……歯根基材 12……歯根被覆層 13……突起 2……歯冠 21歯冠基材 22……歯冠被覆層 3……緩衝材 4、5……接着材 51歯槽骨 52……歯肉上皮 53……上皮下結合組織
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 北村 弘樹 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 A61C 8/00 A61C 5/08 - 5/11

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リン酸カルシウム系セラミックスと、異種
    材料とが、超塑性加工により接合されてなることを特徴
    とする積層体。
  2. 【請求項2】前記異種材料が、金属、セラミックス、ガ
    ラスまたはこれらの複合材料である請求項1に記載の積
    層体。
  3. 【請求項3】少なくとも一部が生体内に留置されて用い
    られる請求項1または2に記載の積層体。
  4. 【請求項4】基材表面に超塑性加工によりリン酸カルシ
    ウム系セラミックスが接合されていることを特徴とする
    人工歯根。
  5. 【請求項5】前記基材が金属、セラミックス、ガラスま
    たはこれらの複合材料である請求項4に記載の人工歯
    根。
  6. 【請求項6】基材表面に超塑性加工によりリン酸カルシ
    ウム系セラミックスが接合されていることを特徴とする
    歯冠。
  7. 【請求項7】前記基材が金属、セラミックス、ガラスま
    たはこれらの複合材料である請求項6に記載の歯冠。
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