JP2810208B2 - フィルム自動巻戻機能を兼ねたプレビュー機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は設定絞り値での被写体の状態を確認するため
に絞りを予め設定絞り値に絞り込む絞り機構の駆動源に
モータの一方向の回転力を利用し、逆方向の回転力をフ
ィルムの巻戻しに用いるプレビュー機構に関する。

（従来の技術および発明が解決しようとする課題） 開放測光を行う一眼レフカメラには予め設定した絞り
値に絞り込む機構が設けられている。

これは、設定した絞り値で撮影したときの焦点深度等
を確認するために必要である。

この機構は所望の絞りに設定したとき絞りに連動する
絞りピンがセットされ、この絞りピンを開放方向に付勢
力が与えられている絞りリングによって押上げておき、
絞りリングを付勢力に抗して回転させることにより、設
定絞り状態を作り出すものである。

従来は交換レンズ等に設けられているノブ等を押すこ
とにより絞り込んでいた。

本発明の目的はモータの一方向の回転を利用して上記
絞り込み機構の絞り込みを行うとともに、このモータの
逆方向の回転をフィルム巻戻し時の駆動源に用いること
により、カメラ内蔵のモータの効率的な使用を可能にし
たフィルム自動巻戻機能を兼ねたプレビュー機構を提供
することにある。

（課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために本発明によるフィルム自動
巻戻機能を兼ねたプレビュー機構はプレビュー操作ボタ
ンと、モータと、巻戻しボタンの操作によりまたはフィ
ルムが終了撮影枚数に達したとき、巻戻し信号を出力す
るスイッチと、前記プレビュー操作ボタンが操作された
ときは前記モータを一方向に回転させ、前記スイッチよ
り巻戻し信号が入力したときは逆方向に回転させる制御
信号を出力する制御回路と、前記モータが一方向に回転
したとき、モータ出力を絞り駆動機構部に連結し、逆方
向に回転したとき前記絞り駆動機構部から切り離してフ
ィルム巻戻し機構部に連結するクラッチ機構部とを有
し、前記プレビュー操作ボタンが操作されたとき、前記
絞り駆動機構部を介して絞りリングを回転させ絞り込み
を行い、前記巻戻し信号が入力したとき、前記フィルム
巻戻し機構部を介してスプールを巻戻すように構成して
ある。

このような機構によれば、限られたカメラのスペース
内でモータの効率的使用ができるとともにカメラの撮影
条件の確認が撮影者が加える力ではなく、カメラ自体の
駆動源によって円滑に行われる。

（実施例） 以下、図面を参照して本発明をさらに詳しく説明す
る。

第１図は本発明によるフィルム自動巻戻機能を兼ねた
プレビュー機構の機構部の実施例を示す図で、第１図
（ａ）はカメラ底部付近の機構の平面図，第１図（ｂ）
は第１図（ａ）の矢印方向から見た側面図である。この
図はプレビュー動作時の状態を示すもので、プレビュー
時に機能する機構部分を中心に記載したものである。

モータ１の時計方向の回転はギャ2,3および４によっ
て減速され、ギャ５に伝達される。ギャ５はギャ４の軸
に回転可能に取りつけられたレバー16の他端に設けられ
た軸5aに取りつけられている。

軸5aは案内溝６に案内され溝内を移動可能である。レ
バー16は案内溝６内を軸5aが移動したときギャ４と５の
軸間を一定に保つためのものである。

モータ１の時計方向の回転はギャ５に時計方向の回転
として伝達される。そのため、軸5aは案内溝６の上方に
位置づけられ、ギャ５とギャ10とが噛合した状態とな
り、ギャ５の回転がギャ10に伝達される。

クラッチ機構部はこれらギャ4,5および10,ギャ12（巻
戻し動作時に連結されるギャ），レバー16ならびに案内
溝６によって構成される。ギャ10は軸18に回転可能に取
りつけられ、カム９と一体に回転可能である。ギャ５が
時計方向に回転するとカム９は反時計方向に回動する。

カム９の外周は、一周の約1/3が中心から最小距離
に，同じく1/3が傾斜部分に，そして残りの約1/3が中心
から最大距離になっており、最大距離部分から最小距離
部分に急激に落ち込む形状となっている。

カム９の外周には一端が軸８に回転可能に取りつけら
れたカム従動レバー７に植設されたカム従動レバーピン
7aが当接されている。

カム従動レバー７は図示しないバネにより反時計方向
に付勢されている。

絞りが開放状態ではカム従動レバーピン7aは第１図
（ａ）に示すように中心から最小距離であるカムの外周
面の位置にあり、カムの傾斜部分を登ることにより絞り
込みが行われ、中心から最大距離であるカムの外周面に
達したとき絞り込みが完了し、外周の最大距離部分から
最小距離部分に落ち込むことによって元の開放側位置に
復帰する。

カム従動レバー７の先端部7bはＬレバー20を係止して
いる。

第２図はカム従動レバーから絞りピンまでの伝達機構
の実施例を示す図で、第２図（ａ）は連結部材付近を第
１図の右方向から見た場合を、第２図（ｂ）は絞りリン
グを正面から見た場合をそれぞれ示している。

カム従動レバー７は上述したように回転可能に軸止さ
れたＬレバー20の先端部を係止している。Ｌレバー20の
他方端はリンクレバー21に回転可能に連結され、リンク
レバー21は絞りリング駆動レバー22のほぼ中央部に回転
可能に連結されている。絞りリング駆動レバー22の一端
は回転可能に軸止され、他方端は絞りリング24の絞りリ
ングピン23を係止している。

実線で描かれている絞りリング駆動レバー22,リンク
レバー21およびＬレバー20は絞りリングが開放側になっ
ているときの位置である。

また、２点鎖線で描かれている上記レバー20,21およ
び22は絞りリングが絞り込み側になっているときの位置
である。

絞りリング24は反時計方向に付勢されており、絞りリ
ング24の絞りリングピン23が上述したように絞りリング
駆動レバー22の先端に当接することによって反時計方向
の移動が規制されている。

一方、絞りリング24の内周に設けられた突起部24aは
絞りピン26の時計方向の移動を規制している。

図示しない絞りは絞りピン26の位置によって絞り値が
定まるようになっており、絞りピン26は絞りリング24よ
り解放されたとき、絞りセット位置まで移動するように
なっている。

カム従動レバー７が２点鎖線の位置に移動すると、絞
りリング駆動レバー22は反時計方向に回転し、絞りリン
グ24を時計方向に回転させる。

このとき絞りリング24の突起部24aはカメラの最小絞
りの位置まで移動する。

これに伴い、絞りピン26も突起部24aの時計方向の移
動に追従するが、絞りセット位置に達するとその位置で
止まり、絞りは設定した絞り値になる。

このようにして絞り込み動作が完了した後、さらに同
じ方向すなわち時計方向にモータ１が回転すると、カム
従動レバーピン7aはカムの外周の最大距離位置から最小
距離位置に落ち込むので、カム従動レバー７は実線の位
置に戻り、それに伴い連結部材も実線の位置に戻る。そ
のため、絞りリング24は付勢力により反時計方向に回転
し、絞りピン26を開放側に移動させる。

以上の一連の動作によりプレビュー動作が終了する。

第３図は第１図のプレビュー機構のフィルム巻戻し動
作状態を示すもので、フィルム巻戻し時に機能する機構
部分を中心に記載したものである。

モータ１が反時計方向に回転すると、ギャ2,3および
４によって減速され、ギャ５に反時計方向の回転が伝達
される。そのため、ギャ５とギャ10の噛合は解かれ、軸
5aは案内溝６を下降し、案内溝６の下方に位置づけら
れ、ギャ５とギャ10が噛合した状態が形成され、ギャ５
の反時計方向の回転がギャ12に伝達される。

ギャ12の回転はギャ13を介し、さらにリンク軸45に固
定されたギャ14に伝達される。リンク軸45はカメラの上
部にこの回転を伝達するもので、リンク軸45の回転はそ
の上端に固定されたギャ46,さらにギャ47,48を介してス
プール49に伝達される。

上記動作によりフィルムの巻戻しが行われる。

第４図は本発明による機構を作動させるための回路部
の実施例を示す図である。

プレビュースイッチ31はカメラの上カバーの上部等に
設けられている。

プレビュースイッチ31が操作されオンされると、カメ
ラ全体の制御を司るCPU（１）32はコマンドを各モータ
制御を司るCPU（２）33に送信する。CPU（２）33はモー
タドライブ回路34に対し、モータ１を逆転（モータ出力
軸側から見た場合）させるための制御信号を送出し、モ
ータドライブ回路34の駆動信号によってモータ１は逆転
（第１図ではモータ出力軸の反対方向から見ているので
時計方向の回転になる）させられる。モータ１の逆転開
始時すなわち絞りが開放側にあるときはカムの下部に設
けられているプレビュー開スイッチ36（第１図および第
３図では図示せず）がオン状態になっている。モータ１
が逆転し、一定量回転すると、プレビュー開スイッチ36
はオフ状態となる。この状態は絞り込み開始の直前の状
態である。さらに回転すると、同様にカムの下部に設け
られているプレビュー閉スイッチ37（第１図および第３
図には図示せず）がオン状態となる。このプレビュー開
および閉スイッチ36および37のオンオフ情報はCPU
（２）33に入力される。

一方、モータ１の逆転にしたがってカム９の回動によ
り絞りリング24が付勢方向と逆方向に回転するので、エ
ンコーダ38（第１図には図示していない）より絞りパル
ス信号が発生し、CPU（２）33に入力される。

CPU（２）33はプレビュー閉および開スイッチ36およ
び37ならびにエンコーダ38からの情報に基づき、モータ
１を逆転させたり、ブレーキをかけたりする等の制御を
行う。

プレビュー閉スイッチ37がオン状態になると、絞り込
みは完了し、モータ１が停止する。

つぎに、プレビュースイッチ31が撮影者によってオフ
されると、この信号はCPU（ａ）32を介してCPU（２）33
に送られ、さらにモータ１は同じ方向に回転する。プレ
ビュー閉スイッチ37が再度の回転によりオフ状態になる
とその信号によってモータ１は停止しカム従動レバーは
元の位置，すなわち開放位置に復帰する。

つぎにフィルム巻戻し動作について説明する。巻上げ
時はスプロケット52が巻き上げモータ42によって駆動さ
れる。

撮影者が巻戻しボタン51を押すと、スイッチ50がオン
するとともにスプロケット52の軸も押されてスプロケッ
ト52はモータ42の出力伝達軸からはずれて空回りの状態
となる。

スイッチ50のオン信号は巻戻し信号としてCPU（２）3
3に入力される。

CPU（２）33はこの巻戻し信号を受けると、モータド
ライブ回路34を制御して、モータ１を正転させる。

モータ１の正転により、モータ出力軸は絞り駆動機構
側のギャから巻戻し駆動側のギャに接続され、フィルム
の巻戻しが行われる。

フィルムの巻戻しが完了すると、アパーチャへフィル
ムが引き出されているか否かを検知するスイッチ等（図
示してない）よりフィルム巻戻し完了信号が、CPU
（２）33に入力する。CPU（２）33は、この巻戻し完了
信号により、モータ１を正転方向から逆方向に回転さ
せ、カム９を回動させて絞りを開放側に復帰させる。

フィルム巻戻しが完了した後、このように絞りを開放
位置に復帰させるのはギャ５がギャ12に噛合した状態が
維持され、巻上げ動作に支障が生じるのを回避するため
である。

なお、プレビュースイッチが操作されているときに、
巻戻しボタンが押された場合は、プレビュー動作に優先
して上記巻戻し動作がなされ、巻戻し完了信号により、
一旦絞りが開放位置に復帰し、その時点でもプレビュー
スイッチが依然として操作されているときは再度プレビ
ュー動作が行われる。

この実施例では撮影者が巻戻しボタンを押して巻戻し
を行う機構について説明したが、フィルムが所定の撮影
枚数に達したとき自動的に巻戻し信号を発生するような
機構に適用しても良い。

CPU（２）33は上記の制御の他にシャッタおよびミラ
ーアップのチャージを行うモータ40の制御等も行う。

（発明の効果） 以上、説明したように本発明はプレビュー操作ボタン
が操作されたとき、モータの一方向の回転により絞り駆
動機構部を作動させて絞りリングを回転させ絞り込みを
行い、巻戻し信号が入力したとき、モータを逆方向に回
転させてモータの出力軸を絞り駆動機構部から切り離し
て巻戻し駆動機構部に接続し、その逆方向の回転をスプ
ールに伝達するように構成したものである。

したがって、本発明によれば、設定絞り値に予め絞り
込むプレビュー動作とフィルム巻戻し動作を一つのモー
タで行え、限られたカメラのスペース内でモータを効率
的に使用できるとともに、カメラの撮影条件の確認が撮
影者が加える力ではなく、カメラ自体の駆動源によって
円滑に行なえるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第３図は本発明によるフィルム自動巻戻機
能を兼ねたプレビュー機構の機構部の実施例を示す図
で、それぞれプレビュー動作時およびフィルム自動巻戻
し動作時の状態を示している。第２図はカム従動レバー
から絞りピンまでの伝達機構の実施例を示す図、第４図
は本発明による機構を作動させるための回路部の実施例
を示す図である。 1,40,42……モータ 2,3,4,5,10,12,13,14……ギャ ６……案内溝 ７……カム従動レバー ９……カム 15……ボディ 16……レバー 18……軸 20……Ｌレバー 21……リンクレバー 22……絞りリング駆動レバー 23……絞りリングピン 24……絞りリング 25……鏡胴 26……絞りピン 31……プレビュースイッチ 32,33……CPU 34……モータドライブ回路 36……プレビュー開スイッチ 37……プレビュー閉スイッチ 38……エンコーダ 39……チャージモータドライブ回路 41……巻き上げモータドライブ回路 45……リンク軸 46,47,48……ギャ 49……スプール 50……スイッチ 51……巻戻しボタン 52……スプロケット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G03B 17/00 G03B 7/00 - 7/28 G03B 9/00 - 9/07

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プレビュー操作ボタンと、モータと、巻戻
   しボタンの操作によりまたはフィルムが終了撮影枚数に
   達したとき、巻戻し信号を出力するスイッチと、前記プ
   レビュー操作ボタンが操作されたときは前記モータを一
   方向に回転させ、前記スイッチより巻戻し信号が入力し
   たときは逆方向に回転させる制御信号を出力する制御回
   路と、前記モータが一方向に回転したとき、モータ出力
   を絞り駆動機構部に連結し、逆方向に回転したとき前記
   絞り駆動機構部から切り離してフィルム巻戻し機構部に
   連結するクラッチ機構部とを有し、前記プレビュー操作
   ボタンが操作されたとき、前記絞り駆動機構部を介して
   絞りリングを回転させ絞り込みを行い、前記巻戻し信号
   が入力したとき、前記フィルム巻戻し機構部を介してス
   プールを巻戻すように構成したことを特徴とするフィル
   ム自動巻戻機能を兼ねたプレビュー機構。