JP2810089B2 - 電子回路板の活線挿入方法 - Google Patents

電子回路板の活線挿入方法

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JP2810089B2
JP2810089B2 JP1057722A JP5772289A JP2810089B2 JP 2810089 B2 JP2810089 B2 JP 2810089B2 JP 1057722 A JP1057722 A JP 1057722A JP 5772289 A JP5772289 A JP 5772289A JP 2810089 B2 JP2810089 B2 JP 2810089B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、システム稼動中のままで電子回路板を活線
挿抜する保守方式に係り、特に電子回路板をマザーボー
ドに挿入した時に発生する電源電圧の擾乱により他の稼
動中の電子回路板の誤動作を防止するのに好適な電子回
路の活線挿入方法に関する。
〔従来の技術〕
電子回路板の高集積化が進むにつれ、電子回路板内に
設けられている電源ノイズ吸収用バイパスコンデンサの
容量は増す傾向にある。このため、システム稼動中のま
まで電子回路板をマザーボードに活線挿入する場合、該
電子回路板内に設けてあるバイパスコンデンサへの突入
電流により電源擾乱が発生し、他の稼動中の電子回路板
が誤動作することにもなる。従来、この電子回路板の活
線挿入時の電源擾乱による影響を防ぐ方法としては、例
えば特開昭62−76800号公報に記載されているように、
トランジスタ等を用いて電子回路板のバイパスコンデン
サに流入する突入電流を制御する方法が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術では、直流電源と負荷の間に半導体素子
が入るため、電圧降下が生じ、特に多数の電子回路板を
実装する場合、各電子回路板毎に電圧のバラツキが生じ
る等の問題があった。また、コンデンサの充電特性を利
用して突入電流を小さくする方法であるため、大容量の
コンデンサを実装する必要があり、電子回路板の実装面
においても問題があった。
本発明の目的は、これらの問題を解決し、活線挿入時
に生じる電源擾乱による誤動作を簡単に防止することの
できる電子回路板の活線挿入方法を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明の活線挿入方法
は、活線挿入する電子回路板へのマザーボードからの給
電を、時間をずらして少なくとも2段階で行い、第1段
階では、他の稼動中の電子回路板へ影響を与えずに、活
線挿入する電子回路板のバイパスコンデンサへ充電を完
了させ、第2段階で該電子回路板に通常給電することを
特徴とする。
具体的方法としては、マザーボードの給電路を誘導リ
アクタンス素子を用いて交流的に2系統に分離し、誘導
リアクタンス素子のある側の給電路のコネクタ端子は時
間的に早く接続する端子(第1端子)とし、他の給電路
のコネクタ端子は時間的に遅く接続する端子(第2端
子)とし、電子回路板には例えば電子部品とは別に整流
素子を設け、電子回路板への活線挿入時、まず、前記第
1端子より整流素子を介して該電子回路板のバイパスコ
ンデンサへ充電を行い、このとき稼動中の電子回路板か
ら流出する電流を前記整流素子及び誘導リアクタンス素
子で阻止し、次に、前記第2端子より通常給電を行う。
〔作 用〕
前記具体的方法では、時間的に早く給電を開始する長
い給電端子(第1端子)より電子回路板のバイパスコン
デンサに流入する突入電流により過渡的に電圧降下が発
生し(外部電源が給電線の誘導リアクタンスの作用で過
渡的な電源供給が不可のため)、他の稼動中の電子回路
板から活線挿入した電子回路板にむかって電流が流出し
ようとするが、他の稼動中の電子回路板の第1端子から
の流出は整流素子からの整流作用によって阻止され、第
2端子からの流出は給電系統が誘導リアクタンス素子に
よって交流的に分離されているため、過渡的な電流は誘
導リアクタンス素子により阻止される。これにより、第
1端子から活線挿入する電子回路板のバイパスコンデン
サへの事前充電が、他の稼動中の電子回路板に影響をお
よぼさないで行え、その後の第2端子による通常給電時
には、既にバイパスコンザンサの充電が完了しているた
め、突入電流は発生しない。また、整流素子がカツトオ
フするため、電圧降下も発生しない。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例について図面により説明す
る。
第1図は本発明の一実施例を説明する図である。第1
図中、1は外部電源、4はマザーボード、12と13は電子
回路板である。ここで、電子回路板12が活線挿入対象の
回路板、電子回路板13は稼動中の回路板であるとする。
外部電源1とマザーボード4の間は電源給電線2、電
源帰路線3によって接続され、給電線2の一方にはフェ
ライトコア等の誘導リアクタンス素子11が挿入されてい
る。マザーボード4は、電源給電線2と接続される電源
層8及び電源帰路線3と接続されるグランド層10からな
り、給電線2に誘導リアクタンス素子11の挿入された側
の電源層(長端子用電源層)9−1には長い給電端子
(長端子)5を、他の電源層(短端子用電源層)9−2
には短い給電端子(短端子)6をそれぞれ設け、さら
に、グランド層10には長いグランド端子7を設ける。電
子回路板12,13には、長端子用給電層14、ダイオード等
の整流素子15、短素子用給電層16、電子部品17、グラン
ド層20等が実装されている。18は等価電気抵抗、19は等
価容量リアクタンス(以下、パスコンと称す)であり、
電源ノイズ吸収用として一般に実装されているものであ
る。
次に、第1図の動作を説明する。電子回路板12をマザ
ーボード4に活線挿入する時、先ず、マドーボード4の
長端子5、グランド端子7と電子回路板12の長端子用給
電層14、グランド層20がそれぞれ接続し、長端子5より
長端子用給電層14、ダイオード15を経由してパスコン19
に突入電流が流入し、マザーボード4の長端子用給電層
9−1に過渡的な電気降下が発生する。これにより、稼
動中の電子回路板13のパスコン19より長端子用給電層9
−1へ放電しようとするが、短端子用給電層16、ダイオ
ード15、長端子用給電路14、長端子5の経路はダイオー
ド15の整流作用による放電電流が遮断される。また、該
電子回路板13の短端子用給電層16、短端子6、短端子用
電源層9−2、電源給電線2、フェライトコア11、電源
給電線2の経路は、フェライトコア11の誘導リアクタン
ス作用により、放電電流が阻止される。このようにし
て、稼動中の電子回路板13の電源電圧(短端子用給電層
16の電圧)は短端子6によって安定した電圧を確保する
ことが可能となる。次にマザーボード4の短端子6と電
子回路板12の短端子用給電層16が接続し、電子回路板12
の給電が開始されるが、既にパスコン19の充電が完了し
ているため、突入電流による電圧降下は発生せず、稼動
中の電子回路板13の電源電圧に影響することはない(厳
密にはダイオード15の順方向電圧降下分の充電が行われ
るが、実用上の影響はない)。また、短端子6による給
電により、ダイオード15の両端の電圧が同一となり、ダ
イオード15がカットオフし、通常給電は短端子6のみか
ら行われるため、電源電圧の降下も発生しない。
第2図は本発明の他の実施例を説明する図である。こ
れは第1図のダイオード15の代りにリレー素子を用いた
もので、21がリレーコイル、22がリレー接点(常閉接
点)である。また、6′は短端子、16′は短端子用給電
層であり、その他は第1図と同一構成である。
第2図の動作は以下の通りである。電子回路板12をマ
ザーボード4に活線挿入する時、まずマザーボード4の
長端子5、グランド端子7と電子回路板12の長端子用給
電層14、グランド層29がそれぞれ接続し、長端子5より
長端子用給電層14、常閉リレー接点22を経由してパスコ
ン19に突入電流が流入し、マザーボード4の長端子用給
電層9−1に過渡的な電圧降下が発生する。これによ
り、稼動中の電子回路板13のパスコン19より長端子用給
電層9−1へ放電しようとするが、該稼動中の電子回路
板13では、短端子6′、短端子用給電層16′、リレーコ
イル21、グランド層20、グランド端子7の経路によって
リレーコイル21が給電され、リレー接点22が開いている
ため、短端子給電層16、リレー接点22、長端子給電層1
4、長端子5の経路はリレー接点22により放電電流が遮
断される。また、短端子用給電層16、短端子6、短端子
用電源層9−2、電源給電線2、フェライトコア11、電
源給電線2の経路は、第1図と同様にフェライトコア11
の誘導リアクタンス作用により、放電電流が阻止され
る。次に、マザーボード4の短端子6と電子回路板12の
短端子用給電層16が接続し、電子回路板12の給電が開始
される。この時、既にパスコン19の充電が完了している
ため、突入電流による電圧降下は発生せず、稼動中の電
子回路板13の電源電圧に影響することはない。また、マ
ザーボード4の短端子6′と電子回路板12の短端子用給
電層16′も接続し、リレーコイル21が給電されるため、
活線挿入した電子回路12のリレー接点22は開となる。以
上、第1図及び第2図の実施例においては、2系統の給
電を誘導リアクタンス素子11によって交流的に分離し、
1台の外部電源1にて実現しているが、小容量の電源を
長端子5用の電源として別に用意し、外部電源1を短端
子6用の電源とすることで、誘導リアクタンス素子を用
いずに実現することも可能である。
第3図は本発明の参考例を説明する図である。第1図
及び第2図と同様に、1は外部電源、2は電源給電線、
3は電源帰路線、4はマザーボード、12は活線挿入対象
の電子回路板、13は稼動中の電子回路板である。本参考
例では、マザーボード4は電源層8とグランド層10から
なり、電源層8には、一番長い給電端子(長端子)5、
二番目に長い給電端子(中端子)30、一番短い給電端子
(短端子)6をそれぞれ設け、グランド層10には、長端
子5と同じ長さのグランド端子7を設ける。なお、第1
図や第2図の誘導リアクタンス素子11は使用しない。電
子回路板12,13には、長端子電源層14と中端子用電源層2
9と短端子用電源層16の各電子回路板電源層、グランド
層20、抵抗27、活線挿入専用容量性リアクタンス素子
(以下、コンデンサと称す)28、及び電子部品17等が実
装されている。
第3図の動作は以下の通りである。電子回路板12をマ
ザーボード4に活線挿入する時、先ず、マザーボード4
の長端子5、グランド端子7が電子回路板12の長端子用
電源層14、グランド層20とそれぞれ接続し、長端子5よ
り長端子用電源層14、電気抵抗27を経由してコンデンサ
28に充電を行う。この時、電気抵抗27により突入電流は
抑制されるため、マザーボード4の電源層8に電圧降下
が発生せず、稼動中の電子回路板13の電源電圧には影響
しない。次に、中端子30と中端子用電源層29が接続し、
中端子30によりコンデンサ28を電源層8に接続して放電
の準備を行う。この時、コンデンサ28は充電が完了して
いるため、突入電流による過渡的な電圧降下は発生せ
ず、稼動中の電子回路板12の電源電圧には影響しない。
最後に短端子6と短端子用電源層16が接続し、短端子6
により給電が開始されるが、この時、電子回路板12のパ
スコン19に流入する突入電流は、コンデンサ28から中端
子用電源層29、中端子30、電源層8、短端子6、短端子
用電源層16を経由して放電され、電源層8の過渡的な電
圧降下を抑制することが可能となる。稼動中の電子回路
板13のパスコン19およびコンデンサ28からも放電は行わ
れるが、放電路のインピーダンスが、活線挿入する電子
回路板12のコンデンサ28に比べて大きいため、実用上の
影響はない。この影響は、電子回路板の搭載数が多くな
るにつれてコンデンサ28の容量が大きくなるため、さら
に小さくなる。
〔発明の効果〕
本発明の電子回路板の活線挿入方法によれば、以下の
ような効果が得られる。
(1)電子回路板の活線挿入時に発生する電源擾乱によ
る、他の稼動中の電子回路板の誤動作を容易に防止でき
る。
(2)給電系統に半導体素子を介さないため、電圧降下
による電力損失、電子回路板毎の電圧のバラツキもな
く、信頼性の高いオンライン保守、増移設が提供でき
る。
(3)第1図や第2図の実施例では、電子回路板へ搭載
する部品も、大容量の容量リアクタンス素子等を必要と
しないため、実装が容易で、部品点数も少なくなり、比
較的安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は各々本発明の電子回路板の活線挿入
方法の各実施例を説明する図、第3図は本発明の参考例
を説明する図である。 1……外部電源、2……電源給電線、 3……電源帰路線、4……マザーボード、 5……長い給電端子(長端子)、 30……中間の給電端子(中端子)、 6,6′……短い給電端子(短端子)、 7……長いグランド端子、8……電源層、 9−1……長端子用電源層、 9−2……短端子用電源層、10……グランド層、 11……誘導リアクタンス素子、 12……活線挿入する電子回路板、 13……稼動中の電子回路板、 15……ダイオード(整流素子)、 14……長端子用給電層、 29……中端子用電源層、 16,16′……短端子用電源層、 17……電子部品、18……等価電圧抵抗、 19……等価容量リアクタンス(パスコン)、 20……グランド層、21,22……リレー、 27……抵抗素子、 28……容量リアクタンス素子。
フロントページの続き (72)発明者 星 綾太郎 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社 日立コンピュータエレクトロニクス内 (56)参考文献 特開 平1−253995(JP,A) 特開 平2−139996(JP,A) 特開 平3−171214(JP,A) 特公 昭60−16824(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 7/14 G06F 1/18 G06F 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バイパスコンデンサを含む電子部品を実装
    し、マザーボードにコネクタを介して接続して該マザー
    ボードより給電を受けて動作する電子回路板をマザーボ
    ードに活線挿入する方法であって、 マザーボードの給電路を誘導リアクタンス素子を用いて
    交流的に2系統に分離し、前記誘導リアクタンス素子の
    ある側の給電路のコネクタ端子は時間的に早く接続する
    第1端子とし、他の給電路のコネクタ端子は時間的に遅
    く接続する第2端子とし、電子回路板には電子部品とは
    別に整流素子を設け、 電子回路板への活線挿入時、活線挿入する電子回路板へ
    の給電を時間をずらして2段階で行い、第1段階では、
    活線挿入する電子回路板のバイパスコンデンサへ前記第
    1端子より前記整流素子を介して充電を行い、このとき
    稼動中の電子回路板から流出する電流を前記整流素子及
    び前記誘導リアクタンス素子で阻止し、第2段階で前記
    活線挿入する電子回路板に前記第2端子より通常給電を
    行うことを特徴とする電子回路板の活線挿入方法。
  2. 【請求項2】前記整流素子の代りにリレー接点を設け、
    該リレー接点を、前記第1端子より電子回路板をバイパ
    スコンデンサへ充電を行う期間では閉じ、第2端子より
    通常給電を行う期間では開とすることを特徴とする請求
    項(1)記載の電子回路板の活線挿入方法。
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