JP2809408B2 - 暑中吹付コンクリート及び暑中吹付コンクリート工法 - Google Patents

暑中吹付コンクリート及び暑中吹付コンクリート工法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、暑中吹付コンクリート及び暑中吹付コンク
リート工法、特に、地山壁面やトンネル等の施工に用い
られる暑中吹付コンクリート及びその工法に関する。
<従来の技術とその課題> 従来、吹付コンクリート工法としてはセメント、砂、
砂利及び急結剤を前もつて混合し、ノズル手前で水を加
える方法、いわゆる乾式吹付工法と、セメント、砂、砂
利及び水を混練りし、生コンクリートを作り、急結剤を
ノズル手前で添加する方法、いわゆる湿式吹付工法等が
用いられている(特開昭61−92263号公報など)。
しかしながら、特に湿式吹付工法においては、コンク
リート混練温度が25℃以上の高温の場合(このコンクリ
ートを暑中コンクリートという)、セメントの水和反応
が促進されることにより、急結添加後のコンクリートの
凝結が著しく早くなり、そのために作業時間がとれない
など吹付性状が悪化する課題があつた。
上記課題を解決するため冷却水を使用したり、骨材を
冷却したり、混合機等を散水により冷却したりして練り
上がり温度の上昇を抑えていた(コンクリート・ジャー
ナル,vol.4,No.6,Jun.1966など)。
しかしながら、特に夏場など気温が高くなる気候条件
下では、それほどの効果は期待されないこと、冷却に要
する経費が多大であることなどの課題があつた。
本発明者らは、これら課題を解決すべく種々検討した
結果、コンクリートに特定の材料を混合することによ
り、高温でも常温でも凝結硬化性状と同様の吹付コンク
リート性状が得られる知見を得て本発明を完成するに到
つた。
<課題を解決するための手段> 即ち、本発明は、粉体急結剤と混和剤として有機酸類
を含有してなる暑中吹付コンクリートであり、粉体急結
剤と混和剤として有機酸類及びアルカリ金属炭酸塩を含
有してなる暑中吹付コンクリートであり、コンクリート
に該粉体急結剤と混和剤とを混合し、25℃以上の練り上
がり温度で練り上げ、吹付けることを特徴とする暑中吹
付コンクリート工法である。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明に係る急結剤とは、吹付コンクリートに使用さ
れる急結剤で、例えば、カルシウム−アルミネート系
(カルシウムアルミネート30〜80重量部、アルミン酸塩
10〜60重量部及び炭酸塩10〜30重量部などからなるも
の)、仮焼明バン石とアルミン酸塩系(仮焼明バン石50
重量部以上、アルミン酸塩1〜30重量部、炭酸塩5〜30
重量部及び石灰0.1〜25重量部などからなるもの)及び
アルミン酸塩及び炭酸塩からなるもの等が好ましい。
これら、急結剤の使用量は、セメント100重量部に対
し、2〜10重量部が好ましい。2重量部未満では急結性
が弱く、10重量部を越えると長期の強度の伸びが期待で
きない。
本発明に係る有機酸類としては、酒石酸・リンゴ酸・
グルコン酸−クエン酸等のオキシカルボン酸、グリセリ
ン酸やグリコール酸等のジカルボン酸、ジケトグルコン
酸やピルビン酸等のケトカルボン酸、カプロン酸・吉草
剤・酪酸・酢酸等の脂肪酸、ペルセイトール・ソルビト
ール・グリセロール・エチレングリコール等の糖アルコ
ール及びグリコヘプトース・グルコース・マンノース・
シヨ糖等の糖類又はこれらのアルカリ塩等が挙げられ
る。有機酸類のアルカリ塩とはナトリウム塩やカリウム
塩等である。そのうち、クエン酸、グルコン酸又は酒石
酸のナトリウム塩が好ましい。
有機酸類の使用量は、セメント100重量部に対して0.0
5〜0.5重量部が好ましい。0.05重量部未満だと遅延効果
が弱く、0.5重量部を越えて使用すると凝結が遅延さ
れ、吹付けたコンクリートが剥離したり、リバウンド量
が増加する傾向にあるので好ましくない。
本発明に係るアルカリ金属炭酸塩(以下アルカリ塩と
いう)とは、カリウムやナトリウム等のアルカリ塩であ
る。
本発明においては、有機酸類とアルカリ塩とを併用す
ることは有効である。
有機酸類とアルカリ塩を併用する場合の使用量は、有
機酸100重量部に対し、アルカリ塩500重量部以下が好ま
しい。
本発明に係るコンクリートとは、セメントと骨材に、
本発明の急結剤と有機酸類及び有機酸類とアルカリ塩
(以下混和剤という)からなるもので、単位セメント量
340〜400kg/m3、細骨材比S/a=55〜70%及び水セメント
比W/c=55〜65%からなるものである。
本発明に使用するセメントは特に限定されるものでな
く、各種ポルトランドセメントや各種混合セメント等が
使用できる。
また骨材も特に限定されるものではない。
本発明の暑中吹付コンクリートが吹付コンクリートと
して効果を発揮するコンクリート練り上り温度は25℃以
上であり、好ましくは30℃以上である。
25℃未満では混和剤が働きすぎて硬化不良を起こしや
すい。
本発明法で吹付けた暑中コンクリートの凝結硬化性状
へ常温下でのと同様である。
<実施例> 以下実施例をあげて更に本発明を説明する。
実施例1 ASTM603−65Tに準じて、モルタルのプロクター凝結試
験を温度別に実施した。
セメント100重量部、細骨材300重量部、水60重量部及
び表−1に示す混和剤をモルタルミキサーで1分間混練
り後、急結剤7重量部投入し、10秒間混練りし、4×4
×16cmの型枠に詰め、プロクター試験機(針頭1/40i
n2)により、1〜10分までの抵抗値を測定した。結果を
表−1に併記する。
尚、プロクター抵抗値の始発は500p.s.i、終結は4,00
0p.s.iである。
<使用材料> セメント:アンデスセメント社製、普通ポルトランドセ
メント 細骨材 :新潟県姫川産天然砂、5m/m下、FM=2.62 急結剤 :電気化学工業社製、商品名「デンカナトミツ
クType−5」 混和剤A:クエン酸 〃 B:クエン酸ナトリウム 〃 C:グルコン酸 〃 D:グルコン酸ナトリウム 混和剤E:クエン酸/炭酸カリウム=1/3 実施例2 高さ7.5m、幅11m、R5.6mの馬てい形トンネルに長さ方
向1.5m掘削し、W/c=60%、S/a=60%及び単位セメント
量360kg/m3の生コンクリートに、混和剤Aをセメント10
0重量部に対し0.1重量部混合したものと、混合していな
いものを、練り上り温度35℃で練り上げ、吹付機で圧送
し、添加機より空気圧送した急結剤をノズル手前で混合
し、吹付厚20cmの吹付施工を行つた。
その結果、混和剤無添加のものは、天端が約500程
剥離落下したが、混和剤混合の本発明法のものは落下も
なく良好であつた。
<発明の効果> 本発明により、吹付コンクリートの練り上り温度が高
温であつても、凝結硬化性状が改善され良好な施工が可
能となつた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C04B 24:04) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 28/02 C04B 24/04 C04B 22/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉体急結剤と混和剤として有機酸類を含有
    してなる暑中吹付コンクリート。
  2. 【請求項2】粉体急結剤と混和剤として有機酸類及びア
    ルカリ金属炭酸塩を含有してなる暑中吹付コンクリー
    ト。
  3. 【請求項3】コンクリートに請求項第1項又は第2項に
    記載の粉体急結剤と混和剤とを混合し、25℃以上の練り
    上がり温度で練り上げ、吹付けることを特徴とする暑中
    吹付コンクリート工法。
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JP4592839B2 (ja) * 1999-02-17 2010-12-08 電気化学工業株式会社 吹付材料及び吹付工法
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Title
笠井芳夫・小林正几編「セメント・コンクリート用混和材料」第1版(昭61.5.15)技術書院 P.323〜340 5.凝結硬化時間調節剤

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