JP2808168B2 - エバポパージシステムの故障検出方法 - Google Patents

エバポパージシステムの故障検出方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、燃料タンクからの燃料蒸発ガスをキャニス
タに吸着させて、機関運転時に蒸発ガスを吸気系にパー
ジするようにしたエバポパージシステムにおける故障検
出方法に関する。
(従来の技術) この種のエバポパージシステムにおいては、キャニス
タの劣化や配管外れ等により蒸発ガスのパージ不良を生
ずることがあり、かかる故障を検出し得るようにするこ
とが望まれている。ところで、特開昭63−186955号公報
により、エバポパージシステムを備える電子制御燃料噴
射機関において、機関のアイドリング時と低負荷運転時
とにおける空燃比フィードバック補正係数の差からエバ
ポパージガス濃度を検出し、ガス濃度が所定値以上のと
き、燃料噴射量を減量補正するようにしたものが知られ
ており、この濃度検出の手法を用いてエバポパージシス
テムの故障を検出することが考えられる。
(発明が解決しようとする課題) 上記手法では、キャニスタのベーパー吸着量が少な
く、低負荷運転時における蒸発ガスのパージ量が少量に
なった場合には、フィードバック補正係数の変化が小さ
くなり、故障ではないのに故障と判定する可能性があ
る。
本発明は、以上の点に鑑み、可燃性ガスセンサを用い
てエバポパージシステムの故障を正確に検出し得るよう
にした方法を提供することをその目的としている。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成すべく、本発明の方法では、キャニス
タと吸気系間のパージ通路に可燃性ガスセンサを設け、
暖機後の所定運転時に蒸発ガスのパージを一時的に停止
し、パージ停止中の前記センサの出力とパージ中の前記
センサの出力との差に基づいてエバポパージシステムの
異常の有無を判別するようにした。
(作 用) 可燃性ガスセンサによりパージ通路内の燃料蒸発ガス
(エバポパージガス)の濃度が直接検出されるため、パ
ージ停止中とパージ中のガス濃度の差が微小であっても
これを感度良く検出でき、故障がなければパージ中のセ
ンサ出力はパージ停止中のセンサ出力を上回り、その偏
差から正確に故障の有無を判別できる。
尚、キャニスタを交換すると、キャニスタに蒸発ガス
が充分吸着されるまでは、パージ中もパージ通路内の蒸
発ガス濃度が増加せず、エバポパージシステムが正常で
あるのに異常であると誤検知するおそれがある。そのた
め、キャニスタを交換してからの機関の運転回数をカウ
ントし、この運転回数が所定数に達するまではエバポパ
ージシステムの異常の有無の判別を中止し、誤検知を防
止することが望ましい。
(実施例) 第1図を参照して、(1)は電子制御燃料噴射式エン
ジンを示し、エアクリーナ(2)に連なる吸気通路
(3)にスロットル弁(4)を介設すると共に、その下
流側に燃料タンク(5)から燃料ポンプ(6)を介して
供給される燃料を吸気通路(3)内に噴射する燃料噴射
弁(7)を設け、該噴射弁(7)を車両に搭載するマイ
クロコンピュータから成る電子制御回路(8)により開
閉制御し、エンジンの運転状態を表す種々のパラメータ
に基いて演算される適量の燃料を噴射せしめるようにし
た。エンジン(1)の排気通路(9)にはO2センサ(1
0)が設けられており、エンジンの所定の運転状態では
該センサ(10)からの信号に基づいて、混合気の空燃比
が一定になるように燃料噴射のO2フィードバック制御を
行なう。
該エンジン(1)には、エバポパージシステムが組込
まれており、これを詳述するに、活性炭を充填したキャ
ニスタ(11)の流入側の通路(12)を燃料タンク(5)
内の上部空間に連通させると共に、該キャニスタ(11)
の流出側のパージ通路(13)を、スロットル弁(4)が
全閉状態から所定開度以上開かれたときに吸気負圧を受
けるような位置に開設した吸気通路(3)のパージポー
ト(14)に連通させ、燃料タンク(5)からの燃料蒸発
ガスをキャニスタ(11)に吸着させて、スロットル弁
(4)を所定開度以上に開いてのエンジン運転時にキャ
ニスタ(11)から吸気負圧によって蒸発ガスを吸気通路
(3)にパージするようにした。前記パージ通路(13)
の上流端に位置するキャニスタ(11)の出口部には、吸
気通路(3)から負圧通路(15)を介して導かれる吸気
負圧によって開弁されるダイヤフラム式のパージ弁(1
6)が設けられており、該負圧通路(15)に前記電子制
御回路(8)によって制御される電磁式の制御弁(17)
を介設し、そのソレノイド(17a)への通電で弁体(17
b)が下動したとき、該負圧通路(15)の連通が断たれ
て、パージ弁(16)の負圧室(16a)が該制御弁(17)
に備えるエアフィルタ(17c)を介して大気開放され、
パージ弁(16)が閉じられて、蒸発ガスのパージが停止
されるようにした。
又、前記パージ通路(13)に、蒸発ガスの濃度を検出
する可燃性ガスセンサ(18)を介設し、該センサ(18)
の出力信号を前記電子制御回路(8)に入力し、後記す
る如くエバポパージシステムの故障を検出するようにし
た。
該センサ(18)は、白金コイルを芯金としてその回り
に貴金属触媒を担持する多孔質アルミナを焼結して成る
素子を備えるもので、該素子を組込んだブリッジ回路へ
の電圧印加により白金コイルのジュール熱で素子を所定
の作動温度に加熱したとき、素子に接触する可燃性ガス
が触媒作用により素子表面で酸化し、このときに発生す
る反応熱による温度上昇で白金コイルの抵抗値が上昇し
て、ブリッジ回路の出力電圧が上昇し、これが出力信号
として取り出されるように構成されている。第3図に該
センサ(18)の出力特性が示されており、空気中のガソ
リン濃度にほぼ比例してセンサ出力が変化する。
次に、電子制御回路(8)におけるエバポパージシス
テムの故障検出プログラムを第2図を参照して説明す
る。
尚、このプログラムで用いる各種タイマやフラグの内
容は、下表の通りであり、各フラグはイグニッションス
イッチのオフ時に全て0にリセットされ、又t1の設定時
間は、エンジンの暖機に必要な時間合わせて設定される
もので、低温時に長く高温時に短くなるようにエンジン
冷却水の水温に応じたテーブル値として記憶されてい
る。
上記プログラムでは、先ず始動モードか否かを判別し
()、始動モードのときはt1をテーブルから読出され
る水温TWに応じた設定時間にセットし()、始動後t1
の経時動作を開始し、設定時間が経過してt1の残り時間
が0になったとき()、キャニスタ交換後のトリップ
数nT(1トリップはイグニッションスイッチを入れて走
行してからスイッチを切るまで)が所定回数nTS(例え
ば5回)以上になったか否かを判別し()、nT≧nTS
のときには水温TWが設定温度TWS(例えば50℃)以上か
否かを判別し()、TW≧TWSであれば次にF2が1か否
かを判別する()。当初はF2=0であり、このときは
クルーズ中か否かを判別するのステップに進む。この
ステップでは、O2フィードバック制御中でエンジン回転
数Neと吸気負圧PBが夫々所定範囲(例えば2000rpm<Ne
<4000rpm,310mmHg<PB<610mmHg)に存し、更にスロッ
トル開度θthと車速Vが夫々所定値以上(例えばθth
4゜、V>8km/h)であり、且つ電気負荷の変動がなく
而もエアコンやブレーキのオン、オフの切換えが行なわ
れていないときにクルーズ中と判定し、クルーズ中のと
きはt2の計時動作を開始し、設定時間(例えば5秒)が
経過してt2の残り時間が0になったか否かを判別し
()、t2=0になるまでの間可燃性ガスセンサ(18)
の出力VHCを読込んでその平均値VHC1を算出し()、
次にt3のセットを行なった後()、F1が1か否かの判
別を行なう()。当初はF1=0であり、このときは制
御弁(17)のソレノイド(17a)に通電してパージを中
止する()。t2=0になる前にクルーズ状態でなくな
ったときは、のステップからのステップに進んでF1
=1か否かの判別が行なわれ、ここで「NO」と判定され
て、t2とt3のセットが行なわれ()、結局のステ
ップで算出される値VHC1は、クルーズ状態がt2の設定時
間継続したときのその間のセンサ出力の平均値となり、
その間パージは中止される。
t2=0になると、F1が1に書き換えられ()、の
ステップに進んだところで「YES」と判定されて、前記
ソレノイド(17a)への通電が停止され、パージが行な
われる()。又、のステップからのステップに進
む間に、前記平均値VHC1に所定値△VHCを加えた判別基
準値VHC2を算定して()、現在の可燃性ガスセンサ
(18)の出力VHCが基準値VHC2を上回っているか否かを
判別し()、VHC>VHC2になったときのステップでF
2を1に書き換えてのステップに進む。一方、VHC≦V
HC2のときはt3の経時動作を開始し()、設定時間が
経過してt3の残り時間が0になってもVHC>VHC2になら
ないとき、のステップに進んで故障を表示すべくF3
1に書き換え、更にのステップでF2を1に書き換えた
後のステップに進む。
尚、始動後t1の設定時間が経過するまでは、のステ
ップから→→→の経路でのステップに進み、
又nT<nTSのときは、のステップからのステップに
進んでF1を1に書き換えた後→の経路でのステッ
プに進み、この判別処理が繰返されて故障の判別は行な
われない。これは、キャニスタ交換後キャニスタ(11)
に蒸発ガスが充分に吸着される前に故障判別した場合の
誤動作を防止するためである。尚、キャニスタの交換作
業は安全のためバッテリを外してから行なうようにして
おり、バッテリ外しをキャニスタの交換とみなして、バ
ッテリ外し後のトリップ数nTに基づいてのステップで
の判別を行なうようにした。
TW<TWSのときは、のステップからのステップに
進んでt2のセットを行ない、のステップでのt2の計時
動作に備える。
又、上記したのステップでの故障判別が行なわれ
て、のステップでF2が1に書き換えられると、次回
からはのステップから→→の順に進んでパージ
が続行される。
尚、故障判別の正確性を向上させるためには、上記実
施例の如くクルーズ判定用ののステップを設けること
が望ましいが、原理的にはのステップを省略しても良
い。但し、この場合には、パージポート(14)にパージ
に必要な負圧が作用している状態、即ちスロットル開度
が所定開度(例えば4゜)以上開いている状態における
センサ出力VHCに基づいてのステップでの判別が行な
われることを保証するため、と或いはとのステ
ップの間に、スロットル開度が所定開度以上か否かの判
別を行なうステップを入れることが望ましい。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、請求項1の発明によ
れば、可燃性ガスセンサを用いることによりパージ通路
中の蒸発ガス濃度を高感度で検出でき、パージ中とパー
ジ停止中のセンサ出力の差に基いてエバポパージシステ
ムの故障を正確に検出できるようになり、更に請求項2
の発明によれば、キャニスタの交換後の誤検知を防止で
き、信頼性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法の実施に用いる装置の1例のブロッ
ク図、第2図は故障検出のためのプログラムを示すフロ
ーチャート、第3図は可燃性ガスセンサの出力特性を示
すグラフである。 (1)……エンジン (5)……燃料タンク (8)……電子制御回路 (11)……キャニスタ (13)……パージ通路 (16)……パージ弁 (17)……制御弁 (18)……可燃性ガスセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−130256(JP,A) 実開 昭60−128959(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02M 25/08 F02M 25/08 301

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料タンクからの燃料蒸発ガスをキャニス
    タに吸着させて、機関運転時に蒸発ガスを吸気系にパー
    ジするエバポパージシステムにおける故障検出方法であ
    って、前記キャニスタと吸気系間のパージ通路に可燃性
    ガスセンサを設け、 暖機後の所定運転時に蒸発ガスのパージを一時的に停止
    し、パージ停止中の前記センサの出力とパージ中の前記
    センサの出力との差に基づいてエバポパージシステムの
    異常の有無を判別することを特徴とするエバポパージシ
    ステムの故障検出方法。
  2. 【請求項2】キャニスタを交換してからの機関の運転回
    数をカウントし、この運転回数が所定数に達するまでは
    エバポパージシステムの異常の有無の判別を中止するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のエバポパージシステム
    の故障検出方法。
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