JP2804704B2 - 関数演算システム - Google Patents

関数演算システム

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JP2804704B2
JP2804704B2 JP5214568A JP21456893A JP2804704B2 JP 2804704 B2 JP2804704 B2 JP 2804704B2 JP 5214568 A JP5214568 A JP 5214568A JP 21456893 A JP21456893 A JP 21456893A JP 2804704 B2 JP2804704 B2 JP 2804704B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータシステム
における三次元空間格子点の変数関数値を算出する関数
演算システムに関する。
【0002】近年、コンピュータの高速化に伴い、理論
化学計算を利用して様々な材料分子についてその特性を
予測することにより材料の設計を支援しようとする演算
システムが徐々に普及しつつある。このシステムは分子
設計支援システムと呼ばれ、グラフィックディスプレイ
装置等の表示装置を具備し、理論化学計算の結果を容易
に解析できるように、計算結果を三次元的に視覚化する
ものである。この分子設計支援システムにおいては、計
算結果を高速に表示装置へ視覚化するため、空間領域内
の格子点における関数の計算値を、視覚化に先だち高速
に算出することが要求されている。
【0003】
【従来の技術】従来、分子設計の演算システムは、材料
分子の特性を予測して材料設計を行う場合の理論化学計
算に使用されるもので、計算結果をディスプレイ等の表
示装置で三次元的に視覚化して容易に解析を行うもので
ある。
【0004】この分子設計の演算システムは、理論化学
計算によって得られた電子の情報である多変数関数を表
示装置で視覚化する場合に、表示を行う三次元空間領域
内の各格子点における関数の演算を行う。この場合、シ
ステムの高速な操作性を維持するため、標準では三次元
空間領域内の格子点数を少なくし多変数関数の演算数を
減らすことにより、多変数関数の高速な三次元視覚化を
実現していた。
【0005】ところが、格子点の数が減少されることに
より、視覚化される図の精緻さに欠けることとなること
から、精緻な表示図が要求される場合に備えて、外部入
力手段を設けることにより、格子点数を増やすことがで
きるようにしていた。
【0006】ここで、各格子点における関数計算につい
て説明する。
【0007】いま、格子点において計算を行なおうとす
る関数Ψが、三次元空間座標x,y,zを独立変数とす
る関数であり、同様に三次元空間座標x,y,zを独立
変数とするN個の関数χi の一次結合により構成されて
いるものとする。また、この関数χi が各独立変数から
なる一変数関数の積で表せるものとすると関数Ψ(x,
y,z)は次式(1)(数1)のように表される。
【0008】
【数1】
【0009】ここで、fi ,gi ,hi はx,y,zを
独立変数とする一変数関数であり、また、ci は、一般
に理論化学計算により得られる情報から導出される値で
ある。
【0010】三次元格子の空間領域をxmin から
max ,ymin からymax ,zmin からz max とし、各
座標の格子点数をLx ,Ly ,Lz ,格子幅をΔx,Δ
y,Δzとする。
【0011】この場合、空間領域内の全格子点の関数値
を得るためには、少なくとも全格子点にあたるLx y
z 回の初等関数演算が必要であり、実際にはΨの中に
複数の初等関数を含んでいることが多いため、さらに多
くの演算が必要となる。
【0012】また、表示を行う場合、可視性の判断、す
なわち、陰線処理や陰面処理を行う必要があり、上記式
(1)(数1)中、多変数関数の空間座標の微分関数値
を算出しなければならない。この微分関数値は、式
(1)(数1)の関数における等値面に垂直な法線ベク
トルの成分を表わし、視線方向を示すベクトルとの内積
をとることによって表わされる。
【0013】ここで、図13に、可視性判断を説明する
ための図を示す。図13において、11は多変数関数の
等値面の断面図であり、12は等値面上の第1の法線ベ
クトル、13は等値面上の第2の法線ベクトル、14は
視線方向を示す視線ベクトルである。
【0014】そして、上記の式(1)(数1)の微分関
数の式は以下式(2)(数2)のように示される。
【0015】
【数2】
【0016】すなわち、可視性判断は、視線ベクトルと
法線ベクトルとの内積の正負により可視性の判断を行う
もので、第1の法線ベクトル12と視線ベクトル14の
内積が負の場合には可視と判断され、第2の法線ベクト
ル13と視線ベクトル14との内積が正の場合には不可
視と判断されるものである。
【0017】この場合、上記の式(1)(数1)と同様
に、三次元空間領域内の全格子点における微分関数値を
算出しなければならず、少なくとも全格子点数の3倍に
あたる3Lx y z 回の初等演算を行うことが必要と
なる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のように
分子設計において理論化学計算で得られた分子情報の精
緻な図を表示するために外部入力手段で格子点を増やす
ことは、多変数関数やその中の一変数関数、及び視覚化
のための微分関数の演算数が全格子点数に比例すること
から、一辺の格子点数を2倍にすれば演算数が3乗にあ
たる8倍にまで増えることとなり、視覚化までに多くの
計算時間が費やされてシステムの操作性に大きな支障を
きたすという問題がある。特に、扱う分子数が十〜数十
原子以上になると、関数がより複雑となり、さらに多く
の初等関数の演算が必要となって膨大な計算時間を要す
るという問題がある。
【0019】そこで、本発明は上記課題に鑑みなされた
もので、演算時間の短縮化を図り、システムの操作性を
向上させる関数演算システムを提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題は、三次元空間
領域上における空間座標の複数の格子点を連続させて三
次元表示を行う表示手段と、該各格子点の空間座標を、
独立変数とする多変数関数により得るにあたり、予め、
該多変数関数を所定数の一変数関数の積に置き換えて該
各一変数関数を演算しておき、該各一変数関数の関数値
に基づいて該多変数関数を演算する演算手段と、該演算
手段により予め演算された一変数関数の関数値を所定配
列で格納し、該演算手段による該多変数関数の演算の際
に、該格納した該一変数関数の関数値が読み出される記
憶手段と、を含む構成とすることにより解決される。
【0021】
【作用】上述のように、表示手段により三次元表示を行
う場合の各格子点における関数値を、空間座標を独立変
数とする多変数関数を演算して得る場合に、予め、多変
数関数を一変数関数の積に置き換えて、該各一変数関数
を演算しておきその関数値を記憶手段に所定配列で格納
する。そして、演算手段が多変数関数を演算を行う際に
格納された一変数関数の関数値を読み出して行うもので
ある。
【0022】これにより、最終的に三次元空間の各格子
点における関数値を得る演算には初等関数が含まれない
ことから、演算時間の短縮化を図ることが可能になると
共に、システムの操作性を向上させることが可能とな
る。
【0023】
【実施例】本発明の第1実施例の構成を図1に示す。図
1における関数演算システム21は、プロセッサ22、
記憶手段である記憶装置23、分子軌道計算手段24、
データベース25、及び表示手段である表示装置26に
より構成される。なお、プロセッサ22、分子軌道計算
手段24及びデータベース25により演算手段を構成す
る。
【0024】プロセッサ22は、後述するように、分子
設計における理論化学計算の多変数関数、一変数関数及
び微分関数等の演算を行う。
【0025】記憶装置23は、プロセッサ22で予め計
算されたx,y,zの各座標のN個の一変数関数、及び
これらの微分関数の関数値をそれぞれ格納する。
【0026】分子軌道計算手段24は、プロセッサ22
で計算される一変数関数の各原子に属する原子軌道の演
算に必要な定数(C,α,後述する)を得るもので、そ
の定数はデータベース25に保持される。
【0027】そして、表示装置26は、プロセッサ22
の演算により得られた関数値により、三次元空間領域の
格子点で三次元表示する。
【0028】次に、図2に、第1実施例における演算処
理のフローチャートを示す。ステップST1の理論化学
計算を行うに際し、ステップST2でプロセッサ22に
空間領域、格子数(Lx ,Ly ,Lz )が入力される。
そして、上述の式(1)(数1)における全格子点での
関数Ψを算出するに先立って、ステップST3で予めx
座標において格子幅ごとにf1 (xmin ),f1 (x
min +Δx),…,f1(xmax )を計算し、ステップ
ST4でそれぞれの関数値を記憶装置23上の配列m1
x 〔1〕,m1 x 〔2〕,…,m1 x 〔Lx 〕に格納す
る。また、ステップST3はf2 ,f3 ,…,fN に対
しても同様にして計算を行ない、ステップST4でそれ
ぞれの関数値を配列m2 x ,m3 x ,…,mN x に格納
する。
【0029】一方、y,z座標においてもx座標と同様
に、ステップST5〜ST8によりプロセッサ22を用
いて各格子点ごとにgi ,hi を計算し、記憶装置23
上の配列mi y ,mi z に格納しておく。なお、f
i (x)等の各関数の計算については後述する。この場
合、初等関数の演算数はN(Lx +Ly +Lz )回であ
り、格納するのに必要な記憶装置23の容量はN(Lx
+Ly +Lz )語である。
【0030】そして、ステップST9が各関数のすべて
について計算が終了したことを判別すると、ステップS
T10で記憶装置23に格納された後、全格子点での関
数値Ψの算出が行われる。
【0031】例えば、三次元格子点で(lx ,ly ,l
z )と表される空間座標を(x’,y’,z’)とすれ
ば、その点における関数Ψの値は記憶装置23上の配列
を用いて、次式(3)(数3)のようにして得られる。
【0032】
【数3】
【0033】式(3)(数3)より明らかなように、関
数Ψには初等関数の演算を一切含まないことから、全格
子点における関数Ψの値を極めて高速に得ることができ
る。
【0034】なお、式(1)(数1)の関数χが各独立
変数からなる一変数関数の積で表わせない場合であって
も、一般に多変数関数は次式(4)(数4)に示すよう
に各変数からなる一変数関数の積の一次結合として展開
できることが知られている。
【0035】
【数4】
【0036】実際には、式(4)(数4)に示したよう
な無限項の展開は、計算機で取り扱うことができないの
で、近似的にM項で打ち切るとすると、式(4)(数
4)は次式(5)(数5)のようにして書くことができ
る。
【0037】
【数5】
【0038】式(5)(数5)を式(1)(数1)に代
入することにより、Ψは次式(6)となり、式(1)
(数1)と同型となるため、本実施例を適用できる。た
だし、式(6)(数6)中でc”k =ci c’j であ
る。
【0039】
【数6】
【0040】このように、式(5)(数5)は、式
(1)(数1)に比べ展開領域はM倍となり、全格子点
を算出するための演算回数はNM(Lx +Ly +Lz
となるが、従来方式の演算回数Lx y z に比べると
計算時間の面で著しく有利である。
【0041】従って、多変数関数が各変数からなる一変
数関数の積、またはその一次結合で表される性質を利用
し、記憶装置23に各変数の格子幅ごとの関数値を格納
し用いることにより、三次元空間領域内の全格子点にお
ける関数値の高速演算が実現できる。これにより、分子
設計支援システムにおいて、分子の電子的情報を実時間
性を損なうことなく得ることができ、グラフィックディ
スプレイ装置などの表示装置26を用いたシステムの操
作性を向上させることができる。
【0042】そこで、H2 分子を例にして説明する。図
3に、H2 分子の分子図を示す。
【0043】いま、H2 分子を構成する各原子をH1
2 とし、座標をそれぞれ(x1 ,y1 ,z1 ),(x
2 ,y2 ,z2 )とすると、各原子に属する原子軌道φ
1 ,φ2 は次式で与えられている。
【0044】φ1 =c'1G(α1 ,r1)+c'2
(α2 ,r1)+c'3G(α3 ,r1) φ2 =c'4G(α4 ,r2)+c'5G(α5 ,r2)+c'6
G(α6 ,r2) この場合、c'1,c'2,…,c'6及びα1 ,α2 ,…,
α6 は上述のように分子軌道計算手段24において用い
られる定数であり、図3に示すようにr1 ,r 2 はそれ
ぞれ各原子核座標と任意の座標との距離を表す。また、
関数Gは次に示される指数関数である。
【0045】G(α,r)=exp (−αr2 ) 一方、分子軌道Ψは、分子軌道計算手段24によって、
上記原子軌道φ1 ,φ 2 の一次結合として得られるの
で、結局次式のように関数Gに対しても同様に一次結合
で表される。
【0046】Ψ=c”1 φ1 +c”2 φ2 =c1 G(α1 ,r1 )+c2 G(α2 ,r1 )+c3
G(α3 ,r1 )+c4 G(α4 ,r2 )+c5 G(α
5 ,r2 )+c6 G(α6 ,r2 ) 上式でc”1 ,c”2 は分子計算手段24により計算さ
れ、データベース25に出力されるものである。また、
1 ,c2 ,…,c6 は簡便のため書き改めたものであ
り、実際にはc”とc’の積から容易に算出できる。
【0047】ところで、
【0048】
【数7】
【0049】関数Gは次式(8)(数8)のようにして
各独立変数からなる一変数関数の積で表現できる。
【0050】
【数8】
【0051】従って、関数の格子空間領域をxmin から
max ,ymin からymax ,zminからzmax ,また、
格子数がLx ,Ly ,Lz で、格子幅がΔx,Δy,Δ
zであるとき、次のようにしてプロセッサ22で演算を
行なった後、記憶装置23上の次式(9)(数9)で表
わされる配列mi x ,mi y ,mi z に格納する。
【0052】
【数9】
【0053】ここで、x' i ,y' i ,z' i はi=
1,2,3のときx1 ,y1 ,z1 であり、i=4,
5,6のときx2 ,y2 ,z2 である。
【0054】任意の格子点(l’x ,l’y ,l’z
における空間座標を(x’,y’,z’)とすれば、そ
の座標における関数Ψの値は、記憶装置23上に格納さ
れた配列mi x ,mi y ,mi z を用いると、次式(1
0)(数10)のようにして得られる。
【0055】
【数10】
【0056】空間領域内の全格子点について関数Ψの計
算を行なったとき、式(10)(数10)は指数関数の
演算を含まないため、極めて高速に算出することができ
る。
【0057】本実施例における本発明の方式と従来の方
式による指数関数演算の回数を比較した例を、表1に示
す。表1から明らかなように、本発明による場合は、格
子数が増えれば増えるほど、従来の方式に比べ有利であ
ることがわかる。
【0058】
【表1】
【0059】なお、以上述べた高速演算は、多変数関数
が各独立変数からなる一変数関数の積で表わされる場合
のみに適用されるものではない。例えば、上述の原子軌
道φ 1 ,φ2 が上述のように次式(11)(数11)の
指数関数で表されるとき、
【0060】
【数11】
【0061】x,y,zの一変数関数の積に表せること
はできないが、最小二乗法などを用いて、式(11)
(数11)を以下の式(12)(数12)のように近似
的に関数Gで展開すれば、容易に上記高速演算方式を適
用できる。
【0062】
【数12】
【0063】なお、式(12)(数12)でnの値を大
きくすると、関数の近似度が高くなる。
【0064】ここで、定数Ci ,αi は、分子軌道計算
手段24において例えば最小二乗法により決定される。
具体的には次式(13)(数13)によりすべてのiに
ついての最小値より求めることができる。
【0065】
【数13】
【0066】なお、Nは規格化定数であり、rは座標間
の距離を表わす。
【0067】次に、上述の一変数関数の演算について説
明する。図4に、一変数関数演算のフローチャートを示
す。一変数関数は、従来と同様に予め用意されている関
数ライブラリにより初等関数の演算が行なわれるもの
で、上述の式(11)(数11)及び式(12)(数1
2)の指数関数で表わされ、関数値は前述のように記憶
装置23に格納されている。まず、ステップST11で
使用される指数関数の変数の範囲がtmin からtmax
あるとし、変数の刻み幅をΔtとすると、はじめに次式
(14)(数14)のように指数関数を計算し、ステッ
プST12で指数関数表として記憶装置23上の配列m
1 ,…,mLt に格納する。
【0068】
【数14】
【0069】ここでLt =(tmax −tmin )/Δt+
1であり、指数関数における全区間数を示す。
【0070】式(14)(数14)における指数関数の
概数値は、ステップST13でt=ζ1 1 でt<t
max と判別されると、ステップST14で指数関数表の
2つの指数関数値から次式(15)(数15)のように
線型補間して得られる。
【0071】
【数15】
【0072】ここで、lは整数値であり、lとtl は l=(t−tmin )/Δt+1 tl =tmin +(l−1)Δt δt=t−tl で求められる。なお、ステップST13でt>tmax
判別されると、ステップST15でf(t)=0とす
る。
【0073】式(15)(数15)に示されるように、
直接指数関数値を計算することなく、単純な加減乗除に
より指数関数の概数値が得られることから、結果的に格
子点上の関数Ψを高速に算出される。
【0074】更に精度の高い指数関数の概数値は、指数
関数表の項目数を増やすことにより、すなわち、表を大
きくすることによって実現できる。
【0075】また、同じ項目数の指数関数表で精度を高
くするためには、指数関数表から補間法の一種であるス
プライン関数を作成し、そのスプライン関数値を算出す
ることにより実現できる。ここで、スプライン関数は、
曲線全体をいくつかの小区間に分けた場合に、各小区間
で多項式関数を採用し、それらが全体として、できるだ
け滑らかに結合させるものである。
【0076】例えば、指数関数表から三次のスプライン
関数を作成すると、指数関数表の各区間を各々異なる三
次関数で結合させるため、指数関数表からあらかじめ三
次関数の係数を算出し、各係数を記憶装置23内の配列
1 , i ,c2 , i ,c3 , i (i=1,…,Lt
1)に格納しておく。
【0077】この配列を用いて、式(13)(数13)
における指数関数の概数値は次式(16)(数16)の
ようにして得られる。
【0078】
【数16】
【0079】上記式(16)(数16)において、lと
l 及びδtは上記ステップST14と共に説明した式
により得られる。
【0080】ところで、変数の範囲におけるtmin は、
式(11)(数11)及び式(12)(数12)におい
ては常にζi >0であり、原子座標と任意の空間座標と
の距離ri =(√{(x−xi 2 +(y−yi 2
(z−zi 2 })はri ≧0であって、r→0におい
てtが最小値をとり、tmin =0となる。
【0081】ここで、図5に、変数範囲のtmax の決定
のフローチャートを示す。いま、ステップST16でコ
ンピュータで扱えることのできる0に最も近い正の浮動
小数点の値をfmin (tmin =0)とすれば、ステップ
ST17で式(15)(数15)から exp (−t’max )=fmin t’max =log e min として、t’max を得られる。
【0082】一般に、浮動小数点の内部表現はコンピュ
ータにより異なるので、t’max の値も異なる。
【0083】次に、ステップST18で式(15)(数
15)中のすべてのζi に対して空間領域の頂点である
8つの座標について、ζi i を計算し、そのときの最
大値をt”max とする。さらに、ステップST19で先
のt’max とt”max を比較し、ステップST20,S
T21により小さい方の値をtmax に設定する。
【0084】このようにすることによって、t’max
t”max の場合には、指数関数表において実際の指数関
数計算で使用されない余分な情報をとり除くこととな
り、記憶装置23の容量を有効に活用できる。また、
t’max <t”max の場合には、指数関数計算において
変数がtmax を越えるため、式(15)(数15)や式
(16)(数16)に適用することができないが、この
ときは実際の指数計算でもアンダーフローが起きる状況
であるため、指数関数の概数値は0とおくことができ
る。
【0085】このように、指数関数を多く含む関数につ
いて、断続的に変化させた変数値における関数値をあら
かじめ指数関数表として記憶装置23上に格納し、実際
の指数関数値は、指数関数表から補間し算出することに
よって、高速に指数関数の概数値を得ることができ、従
って指数関数を多用する関数も同時に高速に算出するこ
とができる。
【0086】そこで、前述と同様にH2 分子を例にとれ
ば、H2 分子について、ある空間領域の全域に対して、
以下に示す関数Ψの計算がなされるものとする。
【0087】 Ψ=c1 exp (−ζ1 1 )+c2 exp (−ζ2 2 ) 上記計算式で、c1 ,c2 は理論化学計算により得られ
る。また、ζ1 ,ζ2 は、理論化学計算に先立って決定
される。r1 ,r2 は任意の座標x,y,zと図3に示
すH2 とH1 の距離である。
【0088】この場合、ある空間領域に対する計算時間
は、従来比として、線型補間の場合は0.64倍、スプライ
ン補間の場合は0.75倍となる。
【0089】次に、可視性判断の演算について説明す
る。図6に視覚性演算のフローチャートを示す。図7に
おいて説明したように、表示を行うためには陰線処理や
陰面処理を行う必要があり、式(2)(数2)の微分関
数の演算を行う必要がある。
【0090】本発明では、前述のように多変数関数は一
変数関数の積で表わされることから、一変数関数の関数
値を算出すると共に、これらの微分関数の関数値をも算
出して記憶装置23に予め格納しておくものである。
【0091】すなわち、図6において、ステップST3
0の理論化学計算を行う際、ステップST31でプロセ
ッサ22に空間領域、格子数(Lx ,Ly ,Lz )を入
力することは、図2と同様である。
【0092】続いて、ステップST32でx座標におい
て格子幅ごとにf1 (xmin ),f 1 (xmin +Δ
x),…,f1 (xmax )をプロセッサ22で予め計算
し、同様にf2 ,f3 ,…,fN について計算を行うと
共に、これらの微分演算fi ’(x)=dfi /dxに
ついて計算を行う。そして、ステップST33でこれら
を記憶装置23上の配列m1 x (m1 x 〔1〕,m1 x
〔2〕,…,m1 x 〔Lx〕),m2 x ,m3 x ,…,
N x 及びm1 x ,m2 x ,m3 x ,…,m N
x に格納する。
【0093】同様にして、ステップST34〜ST37
により、y,z座標においても各格子点ごとにgi ,h
i 及びgi ’,hi ’を計算し、記憶装置23上の配列
i y ,mi z 及びmi y ,mi z に格納する。
【0094】上記のステップST32〜ST37は、ス
テップST38で総ての格子点について計算されたと判
別されるまで繰り返され、総ての格納が終了した後に、
ステップST39で全格子点での関数Ψの微分値
Ψ’x ,Ψ’y ,Ψ’z を算出するものである。
【0095】これらの初等関数の演算数は2N(Lx
y +Lz )回であり、格納するのに必要な記憶装置2
3の容量は2N(Lx +Ly +Lz )語である。
【0096】このように、あらかじめ必要とされる初等
関数の演算を行なっておき、記憶装置23に格納してお
くことにより、例えば、三次元格子点で(lx +ly
z)と表される空間座標を(x,y,z)とすれば、
その点における関数Ψのx,y,z各座標に関する微分
関数Ψ’の値は記憶装置23上の配列を用いて、次式
(17(数17)のようにして得られる。
【0097】
【数17】
【0098】上記式(17)(数17)は初等関数の演
算を一切含まないため、全格子点における関数Ψの微分
関数の値は、従来方式に比べて極めて高速に得ることが
できる。
【0099】なお、上記の関数χが、各独立変数からな
る一変数関数の積で表せない場合については、前述の式
(4)(数4)〜式(6)(数6)と同様である。従っ
て、空間座標に関する微分関数は式(2)(数2)と同
様に次式(18)(数18)で表される。
【0100】
【数18】
【0101】ただし、上記式(18)(数18)でC’
k =ci j である。
【0102】上記式(18)(数18)は式(2)(数
2)に比べ、展開項数はM倍となり、全格子点における
微分関数値を算出するためには、2NM(Lx +Ly
z)回の演算回数が必要であるが従来方式の演算回数
3Lx y z に比べると計算時間の面で著しく有利で
ある。
【0103】このように、多変数関数が各独立変数から
なる一変数関数の積、またはその一次結合で表される性
質を利用し、記憶装置23に各変数の格子幅ごとの関数
値及び微分関数値を格納し用いることにより、三次元空
間領域内の全格子点における微分関数値の高速演算が実
現できる。
【0104】ここで、図3のH2 分子の場合を例に説明
すると、得られた式(9)(数9)のmi x 〔lx 〕,
i y 〔ly 〕,mi z 〔lz 〕について、微分を行い
式(19)(数19)を得て記憶装置23上の配列
i x ,mi y ,mi z に格納する。
【0105】
【数19】
【0106】上記式(19)(数19)において、
i ,Yi ,Zi はi=1,2,3のときx1 ,y1
1 であり、i=4,5,6のときx2 ,y2 ,z2
ある。また、G’は関数Gの微分関数であり次式で表さ
れる。
【0107】 G'(α,r)=dG(α,r)/dr=−2αrexp(−αr2 ) =−2αrG(α,r) 任意の格子点(lx ,ly ,lz )における空間座標を
(X,Y,Z)とすれば、その座標における微分関数
Ψ’x ,Ψ’y ,Ψ’z の値は、記憶装置23上に格納
された配列mi x ,mi y ,mi z およびmi x ,m
i y ,mi zを用いると、次式(20)(数20)
のようにして得られる。
【0108】
【数20】
【0109】空間領域内の全格子点について関数Ψの計
算を行なったとき、上式は指数関数の演算を含まないた
め、極めて高速に算出することができる。
【0110】本実施例における本発明の方式と従来の方
式による指数関数演算の回数を比較した例を、表2に示
す。表2から明らかなように、本発明による場合は、格
子数が増えれば増えるほど、従来の方式に比べ有利であ
ることがわかる。
【0111】
【表2】
【0112】なお、上記実施例では、分子設計支援シス
テムに適用する場合を示したが、これに限らず表示装置
の三次元空間領域上に三次元表示を行うための総ての演
算に適用することができるものである。
【0113】ところで、よりリアリティのある描画を行
なうためには、描画対象物の隠線処理過程が必須であ
り、種々の方法が提案されている。例えば、ソリッドモ
デルの描画には、表示装置の解像度に合わせてメモリ上
に描画対象の奥行きの座標やその点における明度/輝度
を保持するZバッファ法等がある。しかし、このZバッ
ファ法では、解像度の大きな描画を行なう場合、多くの
記憶装置の容量を必要とし、また描画方法がソリッドモ
デルに限られ、ワイヤフレームモデルに適用できないな
どの問題点がある。
【0114】さらに、前記実施例の如く多変数関数を一
変数関数の積の一次結合に置き換えて高速に演算する方
式は、隠線処理過程の場合のように、一軸が操作者の視
線方向に沿う座標系においては、座標系の回転が伴うた
め、そのままでは適用できない。
【0115】多くのモデルに適用可能な隠線処理を行な
うには、分子の座標系における関数値の他に、操作者の
視線方向を一軸とする座標系での関数値の算出も行なう
必要がある。しかし、分子軌道計算等の結果から得られ
る複雑な関数でこの様な算出を行なうには、非常に多く
の計算時間を要するのが常である。そのため、実時間性
が要求される分子設計支援システムにおいて、実時間に
リアルな関数を描画することは、実質的に不可能だっ
た。
【0116】上記問題点に鑑み、本発明の第2実施例で
は、分子の電子的情報を表示装置に描画する際、実時間
性を損なわないような操作性を提供するために、多変数
関数を一変数関数の積の一次結合に置き換え、さらにユ
ニタリ変換装置を用いて関数を構成している初等関数の
一次結合係数をその関数形にしたがって、それぞれ一次
変換を施す。これにより、操作者の視線方向を一軸とす
る座標系における関数値を高速に演算することが可能と
なる。
【0117】又、上記問題点に鑑み、後述する本発明の
第3実施例では、分子の電子的情報を表示装置に描画す
る際、実時間性を損なわないような操作性を提供するた
めに、多変数関数を一変数関数の積の一次結合に置き換
え、三次元格子点上の関数値を高速に算出する。更に、
操作者の視線方向を一軸とする座標系における関数値
は、前座標系で得られた格子点における関数値から補間
(内挿)法により推定値を得、これに置き換える。これ
により高速な演算が可能となる。なお、多変数関数は、
例えばスカラ関数やベクトル関数である。
【0118】多変数関数Ψ(x,y,z)=a(定数)
となる等値面上のある点の可視性を判断するには、ま
ず、その点を含む面の法線ベクトル(グラディエント)
と視線方向(視線ベクトル)の単位ベクトルのスカラ積
をとり、その値が0以上のとき不可視とする。スカラ積
が負の場合、さらに、その点から操作者の視線方向に沿
って関数値を算出し、障害面(その点を隠す他の等値
面)があるかどうかを調べる。障害面が存在しない場合
に、はじめて可視と判断される。図7に具体例を示す。
等値面48上の点44における法線ベクトル47は、視
線ベクトル42との内積が0以上となるため、不可視で
ある。また、等値面48上の点43,45はともに、そ
の法線ベクトルと視線ベクトルとの内積が負となるが、
点43は操作者41から見て手前に他の等値面と交差す
る点46が存在するため、不可視となる。
【0119】操作者の視線方向に沿った関数値の計算
は、視線方向と多変数関数の座標系の一軸が一致する場
合、第1実施例の如き多変数関数を一変数関数の積の一
次結合に置き換える方法を利用することにより高速な算
出が可能である。しかし、図8に示すように、視線方向
と多変数関数の座標系の一軸が一致しない場合(例え
ば、多変数関数の等値面を回転させる場合など)、第1
実施例の高速演算をそのまま適用することはできない。
なお、図8中、50は操作者41の表示装置26の画面
に対する視線方向を一軸とする座標系X’、51は多変
数関数の座標系X、53は座標系51における格子点の
例、54は等値面(Ψ=a)を表わす。
【0120】第1実施例の高速演算をそのまま適用でき
ないのは、以下の理由による。
【0121】すなわち、いま座標系Xにおいて多変数関
数Ψが、次式(21)(数21)のように一変数関数の
積の一次結合に置き換えられるものとすると、
【0122】
【数21】
【0123】操作者の視線方向をz軸とする座標系X’
でΨを書き表わすと、次のように X’=UX となり、座標系X’は座標系Xでユニタリ変換される。
このため、式(21)(数21)のΨは、座標系X’で
表わすと、通常は一変数関数の積の一次結合に置き換え
ることができない。
【0124】しかし、第2実施例では、分子軌道計算等
で多用される多変数関数Ψが次式(22)(数22)の
ように
【0125】
【数22】
【0126】で表わされ、さらにχが χ(x,y,z)=(x−xi ) Nx(y −yi Ny(z
−zi Nz exp(−α|r−ri 2) で表わされていると、次式(23)(数23)のよう
に、座標系X’の一変数関数の積に置き換えられること
に注目した。
【0127】
【数23】
【0128】上記式(23)(数23)で、ci ’は以
下で詳しく説明するように、関数形にしたがって、ユニ
タリ変換を施すことにより得られる。なお、式(23)
(数23)で、fi ' ,gi ' ,hi ' はそれぞれ、 fi ' (x’)=(x’−xi ’)Nxexp(−α
(x’−xi ’)2 ) gi ' (y’)=(y’−yi ’)Nxexp(−α
(y’−yi ’)2 ) hi ' (z’)=(z’−zi ’)Nxexp(−α
(z’−zi ’)2 ) で表わされる。又、例えば、式(22)(数22)に次
の関数を含むとき、 χPx=(x−xi )exp(−α|r−ri 2 ) χPy=(y−yi )exp(−α|r−ri 2 ) χPz=(z−zi )exp(−α|r−ri 2 ) 式(22)(数22)においてそれぞれの一次結合係数
をcP =(cPx,cPy,cPz)とすれば、座標系X’に
おける一次結合係数cP ’は、後述する図9に示すユニ
タリ変換装置67を用いて次のように得られる。
【0129】cP ’=UcP さらに、式(22)(数22)に次のような関数を含む
場合には、 χdxx=(x−xi 2 exp(−α|r−ri 2 ) χdxy=(x−xi )(y−yi )exp(−α|r−
i 2 ) χdyy=(y−yi 2 exp(−α|r−ri 2 ) χdyz=(y−yi )(z−zi )exp(−α|r−
i 2 ) χdzz=(z−zi 2 exp(−α|r−ri 2 ) χdzx=(z−zi )(x−xi )exp(−α|r−
i 2 ) 一次結合係数cd は上記と同様にユニタリ変換装置67
を用いて次のように変換する。
【0130】cd ’=UUcd 一般に、上記χ(x,y,z)に関する式でNx +Ny
+Nz が同じ値を持つ関数群がある場合、一次結合係数
cはユニタリ変換装置67で次のように変換する。
【0131】c’=U(Nx+Ny+Nz)c 以上のようにして、一次結合係数cを、部分的に(関数
形にしたがって)ユニタリ変換装置67で変換し、新た
な一次結合係数c’を算出する。こうして得られたc’
は、予め隠線処理に先だって図9に示す記憶装置23上
の配列cpに格納しておく。
【0132】次に、座標系X’の、三次元格子点におい
て、式(23)(数23)のfi ’,gi ’,hi ’の
値を算出しておく。つまり、fi ’(x’),x’=x
min,xmin +Δx,・・・,xmax を計算し、記憶装
置23上の配列Mx に格納し、さらに、gi
(y’),hi ’(z’)についても同様な計算を行な
い、配列My ,Mz に格納する。
【0133】実際、ある等値面上の点(x0 ’,
0 ’,z0 ’)が可視かどうかの判断は、前述のよう
に、等値面上の法線(グラディエント)と視線ベクトル
の内積を計算した後、それが負である、つまりその面が
操作者側を向いているとわかった場合、既に記憶装置2
3上に格納されている配列cp,Mx ,My ,Mz を利
用し、以下のようにして行なう。
【0134】まず、座標系X’のxy平面(つまり、操
作者の視線方向に垂直な面)上で、(x0 ’,y0 ’)
に最も近距離にある格子点を求め、これを(xG ’,y
G ’)とする。次に、z0 ’より手前(操作者側)にあ
って、最も近距離にある格子点を求め、これをzG ’と
する。
【0135】次に、次式(24)(数24)において、
z=zG ’,zG ’+Δz,・・・,zmax ’と変化さ
せることにより、視線方向のΨ値を算出する。
【0136】
【数24】
【0137】このとき、Ψの値が他の等値面を横切った
場合、つまり、 Ψ(xG ',yG ',z+NΔz)<α<Ψ(xG ',yG ',
z+(N+1)Δz) または、 Ψ(xG ',yG ',z+NΔz)>α>Ψ(xG ',yG ',
z+(N+1)Δz) が成立したとき、等値面上の点(x0 ’,y0 ’,
0 ’)は不可視と判断される。
【0138】従って、本実施例によれば、多変数関数の
等値面における隠線処理過程が高速に行なえるため、例
えば分子設計支援システム等においてなされる分子の電
子的情報の描画を、実時間性を損なうことなく高速に得
ることができ、表示装置などを利用したシステムの操作
性が向上する。
【0139】本発明の第2実施例の構成を図9に示す。
図9に示す関数演算システム61は、プロセッサ22、
記憶装置23、データベース25、表示装置26、ユニ
タリ変換装置67及び隠線処理装置69により構成され
る。分子軌道計算手段24の図示は省略する。
【0140】ユニタリ変換装置67は、データベース2
5から得られた分子座標系X及び一次結合係数cに基づ
いて、cをc’に変換する。この変換により得られた新
たな一次結合係数c’は、記憶装置23上の配列cpに
格納される。
【0141】次に、プロセッサ22は、上記式(23)
(数23)に従って、fi ’,gi’,hi ’を計算
し、記憶装置23上の配列Mx ,My ,Mz に格納す
る。
【0142】その後、隠線処理装置69により上記の如
き隠線処理を行ない、視線方向の関数値探索を高速に行
なって、最終的に表示装置26により隠線処理を施され
た画像を表示する。
【0143】図10に、図9の実施例における演算処理
のフローチャートを示す。ステップST41は、ある等
値面上の点(x’,y’,z’)を求める。ステップS
T42は、点(x’.y’.z’)が位置する等値面上
の法線(グラディエット)と視線ベクトルとの内積を計
算する。ステップST43は、この内積の値が0より大
であるか否かを判別する。ステップST43の判別結果
がNOであると、ステップST44で不可視とみなされ
て、処理は終了する。
【0144】他方、ステップST43の判別結果がYE
Sであると、ステップST45で点(x’,y’,
z’)に対する格子点(xG ’,yG ’,zG ’)を算
出する。ステップST46は、z=zG ’に設定し、ス
テップST47は、上記式(24)(数24)に基づい
てΨa を計算する。又、ステップST48は、z=z+
Δzに設定する。
【0145】ステップST49は、z<zmax であるか
否かを判別する。ステップST49の判別結果がNOで
あると、ステップST50で可視とみなされて、処理は
終了する。
【0146】他方、ステップST49の判別結果がYE
Sであると、ステップST51で上記式(24)(数2
4)に基づいてΨb を計算する。ステップST52は、
Ψa<a<Ψb 又はΨb <a<Ψa であるか否かを判別
する。ステップST52の判別結果がNOであると、ス
テップST53でΨa =Ψb に設定し、処理がステップ
ST48へ戻る。ステップST52の判別結果がYES
であれば、ステップST54が不可視とみなし、処理が
終了する。
【0147】次に、本発明の第3実施例を説明する。
【0148】上記の如く、座標系X’は座標系Xでユニ
タリ変換されるため、式(21)(数21)のΨは座標
系X’で表わすと、特殊な場合を除いて一変換関数の積
の一次結合に置き換えることができない。
【0149】そこで、第3実施例では、図11に示すあ
る等値面上の点55について、操作者41の視線方向に
沿った別の点56の関数値を次のようにして求める。つ
まり、いま、上記の点56の座標を(xF ,yF
F )とし、その近傍にある格子点4点を選択する。図
11中、図8と同一部分には同一符号を付し、その説明
は省略する。格子点の座標を、それぞれ(x1 ,y1
1 )(x2 ,y2 ,z2)(x3 ,y3 ,z3 )(x
4 ,y4 ,z4 )とし、また各点における関数値をそれ
ぞれΨ1 ,Ψ2 ,Ψ3 ,Ψ4 としたとき、次の等式 Ψ1 =c1 1 +c2 1 +c3 1 +c4 Ψ2 =c1 2 +c2 2 +c3 2 +c4 Ψ3 =c1 3 +c2 3 +c3 3 +c4 Ψ4 =c1 4 +c2 4 +c3 4 +c4 を成立せしめる係数c1 ,c2 ,c3 ,c4 を決定する
ことを考える。これらの係数は、上式が線形であること
を考慮すると、四元連立方程式を解くことにより容易に
得られる。つまり、実際には次の行列(数25)
【0150】
【数25】
【0151】の逆行列をとり、
【0152】
【数26】
【0153】との積をとることにより得られる。
【0154】係数を決定したのち、次の計算を施すこと
により点56上の関数値ΨF の推定値が得られる。
【0155】ΨF =c1 F +c2 F +c3 F +c
4 また、上記の等式でなく、次式 Ψ=c1x2+c2y2+c3z2+c4xy+c5yz+c6zx+c7x +c8y
+c9z +c10 のような二次式を用いて係数c1 ,c2 ,・・・を決定
することも同様に可能である。この場合、点56の近傍
の格子点は10点必要となり、上記の一次式より計算時
間を要するが精度の高い推定値が得られる。
【0156】以上の操作は、3,4,・・・次式にして
も適用可能であるが、高次にするほど、近傍の格子点の
情報が必要となり、したがって計算時間を要するため、
適当な次数の選択が望ましい。
【0157】従って、本実施例によっても、多変数関数
の等値面における隠線処理過程が高速に行なえるため、
例えば分子設計支援システム等においてなされる分子の
電子的情報の描画を、実時間性を損なうことなく高速に
得ることができ、表示装置などを利用したシステムの操
作性が向上する。
【0158】本発明の第3実施例の構成を図12に示
す。図12に示す関数演算システム71は、プロセッサ
22、記憶装置23、データベース25、表示装置2
6、隠線処理装置69及び逆行列生成装置79により構
成される。分子軌道計算手段24の図示は省略する。
【0159】プロセッサ22は、データベース25から
得られた分子座標等の情報から、得ようとする空間座標
(xF ,yF ,zF )の近傍の格子点座標(x1
1 ,z 1 ),(x2 ,y2 ,z2 ),(x3 ,y3
3 ),(x ,y4 ,z4 )を選択し、各座標におけ
る関数値Ψ1 ,Ψ2 ,Ψ3 ,Ψ4 ,・・・と共に記憶装
置23に格納する。これらの空間座標(xF ,yF ,z
F )の近傍の格子点及び関数の個数は、補間(内挿)す
る関数に係数がいくつあるかによって決まる。例えば、
上記の場合のように1次式であれば4点、2次式であれ
ば10点となる。
【0160】逆行列生成装置79は、これらの記憶装置
23上の値に基づいて、補間する関数の係数c1
2 ,c3 ,c4 ,・・・を決定する。又、プロセッサ
22は、座標(xF ,yF ,zF )における関数値の推
定値ΨF を算出する。
【0161】最後に、隠線処理装置69により隠線処理
を行ない、この隠線処理を施された画像が表示装置26
に表示される。
【0162】なお、上記各実施例の説明より明らかな如
く、各実施例においては、多変数関数が少なくとも二つ
以上の一変数関数の積の一次結合に置き換えられても良
く、一変数関数の積に近似的に置き換えられても良い。
又、一変数関数は、初等関数又は初等関数の組合わせで
も良い。
【0163】更に、上記第2及び第3実施例では本発明
が分子設計支援システムに適用されているが、これらの
実施例は流体、熱伝導、その他のコンピュータ支援シス
テム等の、種々な多変数関数の可視可が要求される分野
にも応用可能である。
【0164】以上、本発明を実施例により説明したが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、種
々の変形及び改良が本発明の範囲内で可能であることは
言うまでもない。
【0165】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、予め、多
変数関数を一変数関数の積に置き換えて、該各一変数関
数を演算しておきその関数値を記憶手段に所定配列で格
納することにより、演算時間の短縮化を図ることがで
き、システムの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成図である。
【図2】第1実施例における演算処理のフローチャート
である。
【図3】H2 分子の分子図である。
【図4】一変数関数演算のフローチャートである。
【図5】変数範囲のtmax の決定のフローチャートであ
る。
【図6】視覚性演算のフローチャートである。
【図7】可視性の判断の具体例を説明する図である。
【図8】操作者と描画物の座標系が異なる場合を説明す
る図である。
【図9】本発明の第2実施例の構成図である。
【図10】第2実施例における動作を説明するフローチ
ャートである。
【図11】本発明の第3実施例において操作者と描画物
の座標系が異なる場合を説明する図である。
【図12】第3実施例の構成図である。
【図13】可視性判断を説明するための図である。
【符号の説明】
21 関数演算システム 22 プロセッサ 23 記憶装置 24 分子軌道計算手段 25 データベース 26 表示装置 67 ユニタリ変換装置 69 隠線処理装置 79 逆行列生成装置

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表示手段(26)の画面に三次元空間領
    域上における空間座標の複数の格子点を連続させて三次
    元表示させるために、 該各格子点における関数値を、空間座標を独立変数とす
    る多変数関数により得るにあたり、予め、該多変数関数
    を所定数の一変数関数の積に置き換えて該各一変数関数
    を演算しておき、該各一変数関数の関数値に基づいて該
    多変数関数を演算する演算手段(22,24,25)
    と、 該演算手段(22,24,25)により予め演算された
    一変数関数の関数値を所定配列で格納し、該演算手段に
    よる該多変数関数の演算の際に、該格納した該一変数関
    数の関数値が読み出される記憶手段(23)とを含む関
    数演算システム。
  2. 【請求項2】 前記演算手段(22,24,25)にお
    いて演算される前記多変数関数は、少なくとも二つ以上
    の前記一変数関数の積の一次結合に置き換えられる請求
    項1記載の関数演算システム。
  3. 【請求項3】 前記演算手段(22,24,25)にお
    いて演算される前記多変数関数は、前記一変数関数の積
    に近似的に置き換えられる請求項1又は2記載の関数演
    算システム。
  4. 【請求項4】 前記記憶手段(23)は、前記一変数関
    数の関数値及び該一変数関数を構成する初等関数の関数
    値を記憶する請求項1乃至3記載の関数演算システム。
  5. 【請求項5】 前記演算手段(22,24,25)にお
    いて、前記記憶手段(23)に記憶された前記初等関数
    の関数値を、変数範囲を浮動小数点の内部表現より求め
    て補間し、該初等関数の概数値を得る請求項4記載の関
    数演算システム。
  6. 【請求項6】 前記演算手段(22,24,25)にお
    いて、前記記憶手段(23)に記憶されている前記一変
    数関数の関数値を補間して該一変数関数の概数値を得る
    請求項4記載の関数演算システム。
  7. 【請求項7】 前記演算手段(22,24,25)にお
    いて、前記初等関数の概数値より前記一変数関数の概数
    値を算出する請求項5記載の関数演算システム。
  8. 【請求項8】 前記演算手段(22,24,25)にお
    いて、前記初等関数を、線型補間により所定の変数値に
    対して該初等関数の概数値を算出する請求項4記載の関
    数演算システム。
  9. 【請求項9】 前記演算手段(22,24,25)にお
    いて、前記初等関数よりスプライン関数を作成し、所定
    の変数値に対するスプライン関数値を得て、該初等関数
    の概数値を得る請求項4記載の関数演算システム。
  10. 【請求項10】 前記演算手段(22,24,25)に
    おいて、前記一変数関数の各座標に関する微分関数値を
    演算し、前記記憶手段(23)に格納し、前記多変数関
    数の各座標に関する微分関数値を得る請求項1乃至3記
    載の関数演算システム。
  11. 【請求項11】 前記多変数関数は、分子設計における
    理論化学計算により得られる分子情報である請求項1乃
    至10記載の関数演算システム。
  12. 【請求項12】 前記分子情報は、分子軌道計算に基づ
    く演算により得られる請求項11記載の関数演算システ
    ム。
  13. 【請求項13】 前記分子情報は、分子が含まれる電子
    の情報である請求項11又は12記載の関数演算システ
    ム。
  14. 【請求項14】 前記多変数関数の等値面を前記表示手
    段(26)の画面に投影する際、該多変数関数の座標系
    をX、該表示手段(26)の画面に対する視線方向を一
    軸とする座標系をX’とすると、 前記記憶手段(23)は、前記演算手段(22,24,
    25,67,79)により演算された、一変数関数及び
    その一変数関数の各座標X,X’に関する関数値及び微
    分関数値の、各座標X,X’の格子幅毎における値を格
    納し、 該記憶手段(23)に格納された値に基づいて可視/不
    可視の判断を含む隠線処理を行なう隠線処理手段(6
    9)を更に含む請求項1乃至13記載の関数演算システ
    ム。
  15. 【請求項15】 前記多変数関数は、スカラ関数又はベ
    クトル関数である請求項14記載の関数演算システム。
  16. 【請求項16】 前記演算手段(22,24,25,6
    7)は、前記座標系X及び前記一変数関数を構成してい
    る関数の一次結合係数に基づいて、該一次結合係数をそ
    の関数形により新たな一次結合係数に一次変換するユニ
    タリ変換手段(67)を有する請求項14又は15記載
    の関数演算システム。
  17. 【請求項17】 前記演算手段(22,24,25,7
    9)は、前記座標系Xにおける任意の格子点に関する関
    数値を、該任意の格子点と同一視線方向上の別の格子点
    の近傍にある複数の格子点における関数値により補間し
    て得た該別の格子点に関する関数値の推定値により近似
    する請求項14記載の関数演算システム。
  18. 【請求項18】 前記演算手段(22,24,25,7
    9)は、前記補間をする関数の係数を逆行列を用いて決
    定する逆行列生成手段(79)を有する請求項17記載
    の関数演算システム。
  19. 【請求項19】 前記演算手段(22,24,25,7
    9)は、前記推定値を線形な関係式、一次式又は二次以
    上の式により近似する請求項17又は18記載の関数演
    算システム。
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