JP2799508B2 - 無段変速機のライン圧制御装置 - Google Patents

無段変速機のライン圧制御装置

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JP2799508B2 JP20601189A JP20601189A JP2799508B2 JP 2799508 B2 JP2799508 B2 JP 2799508B2 JP 20601189 A JP20601189 A JP 20601189A JP 20601189 A JP20601189 A JP 20601189A JP 2799508 B2 JP2799508 B2 JP 2799508B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は無段変速機のライン圧制御装置に関するもの
である。
「従来の技術」 無段変速機においては、エンジンから入力トルクは、
直接にあるいはトルクコンバータを介して、プライマリ
プーリに伝達され、該プライマリプーリの出力は、ベル
トを介してセカンダリプーリに伝達されるようになって
おり、プライマリプーリに対するセカンダリプーリのプ
ーリ比を変更することにより、変速比が制御される。両
プーリのプーリ比を変更するために、プライマリプーリ
のプライマリ室あるいはセカンダリプーリのセカンダリ
室の一方の室へのライン圧の供給、排出を変速比制御手
段により制御しており、このような無段変速機の油圧制
御装置は、例えば、特開昭62−4645号に示されている。
上記公報の装置においては、ポンプ油圧は、ライン圧
制御弁により調圧されてライン圧とされ、該ライン圧
は、変速比制御弁により、無段変速機のプライマリプー
リのプライマリ室に供給されたり、あるいは、該プライ
マリ室から排出されたりする。また、制御ユニットにお
いては、変速比、エンジントルクから目標ライン圧が算
出され、この目標ライン圧に応じたデューティ比の信号
は、ライン圧制御用ソレノイド弁に供給され、該ライン
圧制御用ソレノイド弁は、該信号に基づいてデューティ
圧を生成する。このデューティ圧は、前記ライン圧制御
弁に作用し、該デューティ圧により、ライン圧制御弁か
らのライン圧は、適切に制御されることとなる。
「発明が解決しようとする課題」 従来のライン圧制御装置において、シフトダウン時に
は、プライマリ室のライン圧は、変速比制御弁を介して
排出される。一方、シフトアップ時には、ライン圧制御
弁からのライン圧は、変速比制御弁を介してプライマリ
室に供給される。このシフトアップ時についてい考える
と、変速比制御弁のライン圧を導入するポートには、ラ
イン圧制御弁からのライン圧の脈動を低減するためのオ
リフィスが設けられているので、ライン圧制御弁からの
ライン圧は、該オリフィスによりその供給速度が遅くな
り、変速応答性が低下するという問題がある。
本発明の目的は、脈動低減用オリフィスによるシフト
アップ時の変速応答性の低下を補い、脈動の低減と及び
変速応答性の向上との両立を図ることができる無段変速
機のライン圧制御装置を提供することにある。
「課題を解決するための手段」 本発明は、入力トルクが伝達されるプライマリプーリ
と、及び、該プライマリプーリの出力が所定の定数比で
伝達されるセカンダリプーリと、を有する無段変速機
と、 該無段変速機への入力トルクに対応してライン圧を制
御するライン圧制御手段と、及び 前記無段変速機のプライマリプーリ及びセカンダリプ
ーリの一方のプーリーへの前記ライン圧の供給、排出を
制御して無段変速機の変速比を制御する変速比制御手段
と、を含み、 前記変速比制御手段のライン圧を導入するポートに
は、脈動低減用のオリフィスが設けられている無段変速
機のライン圧制御装置であって、 シフトアップ検出手段が設けられ、 前記ライン圧制御手段は、該シフトアップ検出手段に
よるシフトアップの検出時に、入力トルクに対応して設
定されるライン圧よりも高いライン圧に変更するように
構成されていることを特徴とする。
「作 用」 本発明においては、シフトアップ検出手段によりシフ
トアップが検出されると、ライン圧制御手段からのライ
ン圧は、入力トルクに対応して設定されるライン圧より
も高いライン圧に変更される。この高められたライン圧
が変速比制御手段を介して前記一方のプーリに供給され
るので、変速比制御手段のライン圧導入ポートに脈動低
減用オリフィスが設けられていたとしても、ライン圧制
御手段からの高いライン圧は、変速比制御手段を介して
一方のプーリに急速に供給されることとなる。従って、
脈動低減用オリフィスによるシフトアップ時の変速応答
性の低下を補い、脈動の低減と及び変速応答性の向上と
の両立を図ることができる。
「実施例」 以下、本発明の実施例による制御装置を添付図面を参
照して説明する。
まず、第1図には、無段変速機Zの全体構成がスケル
トンにて示され、また、第2図には、第1図に示された
無段変速機Zの油圧回路Qが示されている。ここでは、
先に、第1図を参照して無段変速機Zの全体構成を説明
し、しかる後において、第2図を参照して油圧回路Qの
構成を説明する。
無段変速機Zの全体構成 無段変速機Zは、前輪駆動車用の無段変速機であっ
て、エンジンAと、該エンジンAの出力軸1に連結され
たトルクコンバータBと、前後進切換機構Cと、ベルト
伝動機構Dと、減速機構Eと、差動機構Fと、を備えて
いる。
〔トルクコンバータB〕
トルクコンバータBは、エンジン出力軸1に結合され
たポンプカバー7の一部側に固定されており該エンジン
出力軸1と一体的に回転するポンプインペラ3と、該ポ
ンプインペラ3と対向するようになっておりポンプカバ
ー7の内側に形成されたコンバータ室7a内に回転自在に
設けられたタービンランナ4と、前記ポンプインペラ3
及びタービンランナ4の間に介設されトルク増大作用を
行うステータ5と、を有している。また、タービンラン
ナ4は、タービン軸2を介して、後述する前後進切換機
構Cの入力メンバであるキャリア15に連結され、また、
ステータ5は、ワンウェイクラッチ8及びステータ軸9
を介して、ミッションケース19に連結されている。
更に、タービンランナ4とポンプカバー7との間に
は、ロックアップピストン6が配置されている。このロ
ックアップピストン6は、タービン軸2にスライド可能
に取り付られており、ロックアップ室10内への油圧の導
入あるいは排出により、ポンプカバー7と接触して該ポ
ンプカバー7と一体化されるロックアップ状態と、ポン
プカバー7から離間するコンバータ状態と、を選択的に
実現するようになされている。そして、ロックアップ状
態においては、エンジン出力軸1とタービン軸2とが流
体を介することなく直結され、一方、コンバータ状態に
おいては、エンジントルクは、エンジン出力軸1から流
体を介して、タービン軸2に伝達される。
〔前後進切換機構C〕
前後進切換機構Cは、トルクコンバータBのタービン
軸2の回転をそのまま後述するベルト伝動機構D側に伝
達する前進状態と、トルクコンバータBのタービン軸2
の回転をベルト伝動機構Dに逆転状態で伝達する後進状
態と、を選択的に設定するものであり、この前後進切換
機構Cは、ダブルピニオン式のプラネタリギヤユニット
で構成されている。すなわち、タービン軸2にスプライ
ン結合されたキャリア15には、サンギヤ12に噛合する第
1ピニオンギヤ13と、リングギヤ11に噛合する第2ピニ
オンギオ14と、が取り付けられ、該両ピニオンギヤ13、
14は、噛合している。なお、サンギヤ12は、後述するベ
ルト伝動機構Dのプライマリ軸22に対してスプライン結
合されている。
更に、リングギヤ11とキャリア15との間には、この両
者を断接するクラッチ16が設けられ、また、リングギヤ
11とミッションケース19との間には、リングギヤ11をミ
ッションケース19に対して選択的に固定するためのブレ
ーキ17が設けられている。
従って、クラッチ16を締結してブレーキ17を開放した
状態においては、リングギヤ11とキャリア15とが一体化
されるとともに、リングギヤ11がミッションケース19に
対して相対回転可能とされるため、タービン軸2の回転
により、リングギヤ11が回転すると、ピニオンギヤ14、
13を介して、プライマリ軸22のサンギヤ12が回転させら
れる。このとき、プライマリ軸22の回転方向は、タービ
ン軸2の回転方向と同一である(前進状態)。
これに対して、クラッチ16を開放してブレーキ17を締
結した状態においては、リングギヤ11がミッションケー
ス19側に固定されるとともに、リングギヤ11とキャリア
15とが相対回転可能となるため、タービン軸2の回転に
より、キャリア15が回転すると、ピニオンギヤ14、13を
介して、プライマリ軸22のサンギヤ12が回転させられ
る。このとき、プライマリ軸22の回転方向は、タービン
軸2の回転方向と逆である(後進状態)。
このように、前後進切換機構Cにおいては、クラッチ
16とブレーキ17との選択作動により、前後進の切換が実
行されるものである。
〔ベルト伝動機構D〕
ベルト伝動機構Dは、上述した前後進切換機構Cの後
方側に同軸状に配置されたプライマリプーリ21と、該プ
ライマリプーリ21に対して平行に離間配置されたセカン
ダリプーリ31と、前記両プーリ21、31間に張設されたベ
ルト20と、から構成されている。
まず、プライマリプーリ21は、プライマリ軸22上に一
体的に設けられ所定径を有する固定円錐板23と、プライ
マリ軸22に対してその軸方向に移動可能に設けられ所定
径を有する可動円錐板23と、から構成されている。そし
て、固定円錐板23の円錐状摩擦面及び可動円錐板24の円
錐状摩擦面により、略V字状断面を有するベルト受溝21
aが構成されている。
また、可動円錐板24の内側面24a側には、円筒状のシ
リンダ25が同軸状に固定されている。更に、シリンダ25
の内面側には、プライマリ軸22に固定されたピストン26
が油密的に嵌挿されており、該ピストン26と前述したシ
リンダ25と可動円錐板24との三者により、プライマリ室
27が構成されている。なお、プライマリ室27には、後述
する油圧回路Qから作動油が導入される。
そして、プライマリプーリ21において、プライマリ室
27に導入される作動油により、可動円錐板24が軸方向に
移動させられ、該可動円錐板24と固定円錐板23との間隔
が増減させられると、ベルト20に対するプライマリプー
リ21の有効径が調整されるようになっている。
次に、セカンダリプーリ31は、基本的には、上述した
プライマリプーリ21と同様の構成を有するものであり、
プライマリ軸22に対して離間して平行に配置されたセカ
ンダリ軸32上に一体的に設けられた固定円錐板33と、セ
カンダリ軸32上に移動可能に設けられた可動円錐板34
と、から構成されている。そして、対向する固定円錐板
33の円錐状摩擦面及び可動円錐板34の円錐状摩擦面によ
り、略V字状断面を有するベルト受溝31aが構成されて
いる。
更に、可動円錐板34の内側面34a側には、円筒状のシ
リンダ35が同軸状に固定されている。また、シリンダ35
の内面側には、セカンダリ軸32に固定されたピストン36
が油密的な嵌挿されており、該ピストン36と前述したシ
リンダ35と可動円錐板34との三者により、セカンダリ室
37が構成されている。なお、セカンダリ室37には、プラ
イマリプーリ21側と同様に、油圧回路Qから作動油が導
入される。
そして、セカンダリプーリ31においては、プライマリ
プーリ21と同様に、セカンダリ室37に導入される作動油
により、可動円錐板34が固定円錐板33に対して接近させ
られたり離されたりすると、ベルト20に対するセカンダ
リプーリ31の有効径が調整されるようになっている。
〔作動〕
以下、無段変速機Zの作動を説明する。
エンジンAからトルクコンバータBを介して伝達され
るトルクは、前後進切換機構Cにおいて、その回転方向
が前進方向あるいは後進方向に設定された後、ベルト伝
動機構Dに伝達される。
ベルト伝動機構Dにおいて、プライマリプーリ21のプ
ライマリ室27内への作動油の導入あるいは排出により、
プライマリプーリ21の有効径が調整されると、該プライ
マリプーリ21に対してベルト20を介して連結されたセカ
ンダリプーリ31では、プライマリプーリ21に追随した状
態で、セカンダリプーリ31の有効径が調整される。そし
て、プライマリプーリ21の有効径とセカンダリプーリ31
の有効径との比により、プライマリ軸22とセカンダリ軸
32との間の変速比が決定される。
なお、セカンダリ軸32の回転は、更に、減速機構Eに
より減速された後、差動機構Fに伝達され、該差動機構
Fから前車軸(図示せず)に伝達される。
油圧回路Q 次に、第2図に示される油圧回路Qは、前述した無段
変速機ZにおけるトルクコンバータBのロックアップピ
ストン6と、前後進切換機構Cのクラッチ16及びブレー
キ17と、ベルト伝動機構Dのプライマリプーリ21及びセ
カンダリプーリ31と、の作動を制御するために設けられ
ており、該油圧回路Qは、エンジンAにより駆動される
オイルポンプ40を備えている。ここで、オイルポンプ40
は、制御要素としてのプライマリ室27、セカンダリ室37
等に供給される共通の制御元圧を提供する圧力源として
規定されている。
前記オイルポンプ40から吐き出される作動油は、ま
ず、ライン圧調整弁41において所定のライン圧に調整さ
れた後に、ライン101を介してセカンダリプーリ31のセ
カンダリ室37に供給され、また、ライン101から分岐さ
れたライン102を介してプライマリプーリ21のプライマ
リ室27に供給される。
前記ライン圧調整弁41におけるライン圧制御は、その
パイロット室41aに導入されるパイロット圧により行わ
れる。このライン圧調整弁41は、スプール41bと、該ス
プール41bを付勢するスプリング41cと、を備えるととも
に、オイルポンプ40からの吐出油が導かれる調圧ポート
41dと、オイルポンプ40のサクション側に連通するドレ
インポート41eと、を備えている。前記パイロット室41a
には、ライン102から分岐した後レデューシング弁42に
より所定圧に減圧された作動油が、パイロット圧とし
て、ライン103を介して導入される。そして、このライ
ン圧調整弁41においては、スプール41bは、その一方の
端部にかかるライン101内の油圧と、他方の端部にかか
るスプリング41cの付勢力及びパイロット室41a内に導入
されるパイロット圧の合力と、の釣り合いに応じてスラ
イドして、ドレインポート41eの調圧ポート41dに連通さ
せあるいは連通遮断させ、これにより、パイロット圧に
応じたライン圧が発生させられるものである。
また、ライン圧を制御するパイロット圧は、ライン10
3に設けられた第1電磁ソレノイド弁51のデューティ比
を電気的に制御することにより調整されるものである。
なお、第1電磁ソレノイド弁51の制御内容に関しては、
後述する。
また、ライン102には、切換弁44からのパイロット圧
を受けて作動する変速比制御弁43が設けられている。そ
して、無段変速機Zの変速比の制御は、この変速比制御
弁43によりプライマリプーリ21のプライマリ室27への作
動油の供給、排出を制御することによって、行われる。
この変速比制御弁34は、スプリング43bにより常時一方
側に押圧付勢されたスプール43aを備えるとともに、ラ
イン102に連通するライン圧導入ポート43cと、ドレイン
ポート43dと、スプール43aに関してスプリング43bと反
対の端面側に形成されたパイロット室43fに開口するパ
イロットポート43eと、スプリング43b側に開口し且つ後
述するシフト弁45を介してライン圧が導入されるリバー
スポート43gと、を有している。
そして、前進時(シフト弁45がD、2、1の何れかの
シフト位置にあるとき)には、変速比制御弁43のリバー
スポート43gからの作動油は、シフト弁45を介してドレ
インされるので、スプール43aは、パイロット室43fに導
入されるパイロット圧を受けて軸方向にスライド可能な
状態になる。従って、スプール43aによりライン圧導入
ポート43cとドレインポート43dとが選択的にプライマリ
室27に連通せしめられることによって、プライマリ室27
への作動油の給排制御が行われ、これにより、変速比制
御が実行されることになる。
一方、後進時には、シフト弁45からの作動油は、リバ
ースポート43gから導入されるので、スプール43aは、該
作動油を受けて図中右方向へ一杯に押し付けられた状態
で保持される。従って、パイロット室43fに導入される
パイロット圧のいかんにかかわらず、プライマリ室27と
ドレインポート43dとは、常時連通し、これにより変速
比は、最低変速比の状態で保持される。
ここで、変速比制御弁43へのパイロット圧の供給系
は、2系統設けられ、これらを後述する切換弁44により
選択使用するように設定されている。この切換弁44は、
スプール44aと、該スプール44aを一方側へ押圧付勢する
スプリング44bと、を備えており、切換弁44において、
スプール44aに関してスプリング44bと反対側の端部に開
口させられたパイロットポート44cは、ライン103から分
岐したライン105に接続され、これにより、スプール44a
の一端に、レデューシング弁42で減圧されたパイロット
圧が作用するようにしている。切換弁44の中間部には、
ライン105に連通する第1パイロット圧導入ポート44d
と、ピトー圧発生手段(PI)に連通する第2パイロット
圧導入ポート44eと、変速比制御弁43のパイロットポー
ト43eにライン104を介して連通するパイロット圧供給ポ
ート44fと、が設けられている。
そして、第1パイロット圧導入ポート44dに連通する
ライン105には、第2電磁ソレノイド弁52が設けられ、
該第2電磁ソレノイド弁52の作動状態に応じて、第2電
磁ソレノイド弁52により調圧された油圧と、エンジンの
回転速度に対応して発生するピトー圧と、が選択的に変
速比制御弁43のパイロット室43fにパイロット圧として
供給され、これにより、所定の変速比制御が行われるよ
うにしている。なお、第2電磁ソレノイド弁52及び切換
弁44を用いた変速比制御については後述する。
なお、前記ライン圧調整弁41により調圧された作動油
は、ライン106を介して切換弁45のポート45aに導入され
る。このポート45aに供給された作動油は、後進変速段
設定時には、ライン107を介して、ブレーキ17のブレー
キ室62に供給され、また、前進変速段設定時には、ライ
ン108を介して、クラッチ16のクラッチ室61に供給さ
れ、これにより、前記前後進切換機構Cが後進あるいは
前進作動状態にされる。ライン107とライン108との間に
は、アキュムレータ18が1つ設けられ、該1つのアキュ
ムレータ18により、クラッチ16及びブレーキ17の両方の
締結ショックを効果的に緩和するようになされている。
また、前記ライン圧調整弁41で調圧された作動油は、
クラッチ圧調整弁46で所定のクラッチ圧に調圧された
後、ライン109を介して、ロックアップピストン6のロ
ックアップコントロール弁47に導入される。このロック
アップコントロール弁47に導入された作動油は、該ロッ
クアップコントロール弁47のパイロット圧が第3電磁ソ
レノイド弁53により制御されることによって、ロックア
ップ締結側(LOCK)あるいはロックアップ解除側(UNLO
CK)に選択的に供給される。
また、第2図において、符号48は、リリーフ弁を示し
ている。
以上のように構成された油圧回路Qにおいて、以下、
変速比制御弁43の制御を説明する。
まず、前記第2電磁ソレノイド弁52の制御範囲と切換
弁44の作動との関係について説明する。第2電磁ソレノ
イド弁52は、第3図に示されるように、そのデューティ
比が0〜100%に変化し、これに対応して、ライン105内
の油圧(パイロット圧)は、0〜P1までの範囲で変化さ
せられることができる。
切換弁44は、そのパイロットポート44cに作用する油
圧に応じて、そのスプール44aが軸方向に移動して、第
1パイロット圧導入ポート44dと第2パイロット圧導入
ポート44eとを選択的にパイロット圧給ポート44fに連通
させるように構成されている。ここで、第1及び第2パ
イロット圧導入ポート44d、44eとパイロット圧供給ポー
ト44fとの相対位置は、パイロット圧の大きさ、すなわ
ち、第2電磁ソレノイド弁52のデューティ比に対応し
て、以下のように設定している。
第2電磁ソレノイド弁52のデューティ比がD1〜D2%の
範囲内であるとき、すなわち、パイロット圧がP0〜P2
範囲内であるときには、スプール44aは、第2図の上段
と下段とにそれぞれ示された位置の中間に位置し、第1
パイロット圧導入ポート44dがパイロット圧供給ポート4
4fに連通し、一方、第2パイロット圧導入ポート44e
は、閉塞状態とされている。
また、第2電磁ソレノイド弁52のデューティ比がO〜
D1%の範囲内、すなわち、パイロット圧がP0〜P1の範囲
内であるときには、第2図の上段に示されるように、ス
プール44aが右方向に一杯に移動し、第1パイロット圧
導入ポート44dが閉塞状態とされ、一方、第2パイロッ
ト圧導入ポート44eがパイロット圧供給ポート44fに連通
するようにされる。このように、第1及び第2パイロッ
ト圧導入ポート44d、44eとパイロット圧供給ポート44f
との相対位置は、第2電磁ソレノイド弁52のデューティ
比、すなわち、ライン105内の油圧に応じて相対的に設
定される。
なお、第2電磁ソレノイド弁52による変速制御につい
て説明すると、第4図に示されるような予め各シフト位
置毎に車速(すなわちセカンダリプーリ31の回転速度)
及びスロットル開度をパラメータとして設定した目標プ
ライマリプーリ回転数マップに基づいて、現在の運転状
態に対応する目標プライマリプーリ回転数と、実際のプ
ライマリプーリ回転数と、の偏差から、目標とする変速
比を算定し、この変速比を達成すべく、第2電極ソレノ
イド弁52により切換弁44を介して変速比制御弁43へのパ
イロット圧を調整し、これにより、プライマリ室27への
作動油の給排を制御することにより、変速制御が実行さ
れる。
次に、第1電磁ソレノイド弁51の制御動作について、
以下に説明する。
第1電磁ソレノイド弁51は、第5図に示されるよう
に、弁ハウジング70を備えている。この弁ハウジング70
内には、流路71が形成されており、該流路71の一端は、
ライン103から分岐した分岐ライン72の終端に連通接続
されるとともに、流路71の他端は、リザーバタンク74に
導かれる戻りライン73の始端に連通接続されている。弁
ハウジング70内には、流路71内に突出して該流路71を閉
塞する閉塞位置と、流路71から引き込まれて該流路71を
開放する開放位置と、の間で往復動可動な弁体としての
プランジャ75が配設されている。このプランジャ75は、
コイルスプリング76により、閉塞位置に向けて偏倚する
ように弾性付勢力を受けている。一方、プランジャ75の
中間部分の周囲は、制御ユニット78により通電制御され
る電磁コイル77により、取り囲まれている。そして、電
磁コイル77が通電されることにより、プランジャ75に
は、電磁付勢力が与えられ、コイルスプリング76に抗し
て、プランジャ75は、開放位置に移動させられる。
なお、以上のように構成される電磁ソレノイド弁51に
おいて、デューティ比は、1サイクルの時間(TCYCLE
当たりの、通電時間(TON)の比率(TON/TCYCLE)から
定義されるものである。
そして、上記電磁ソレノイド弁51、及び、他の電磁ソ
レノイド弁52、53は、第6図に示されるように、制御ユ
ニット78に接続されており、該電磁ソレノイド弁51、5
2、53は、制御ユニット78により、駆動制御されるもの
である。
次に、第6図を参照して、油圧回路Qの電気制御回路
Rについて説明する。
電気制御回路Rは、第1、第2、第3電磁ソレノイド
弁51、52、53をデューティ制御する制御ユニット78を有
している。この制御ユニット78には、運転者の操作によ
るシフト位置(D、1、2、R、N、P)を検出するシ
フト位置センサ82からのシフト位置信号aと、プライマ
イ軸22の回転数NPを検出するプライマリ回転数センサ83
からのプライマリプーリ回転数信号bと、セカンダリ軸
32の回転数NS(すなわち車速)を検出するセカンダリ回
転数センサ84からのセカンダリプーリ回転数信号cと、
エンジンAのスロットル開度TVOを検出するスロットル
開度センサ85からのスロットル開度信号dと、エンジン
aのエンジン回転数NEを検出する回転数センサ86からの
回転数信号eと、トルクコンバータBにおけるタービン
軸2の回転数NTを検出するタービン回転数センサ87から
のタービン回転数信号fと、が入力されている。
これらの入力された信号a、b、c、d、e、fに基
づいて、制御ユニット78は、第1、第2、第3電磁ソレ
ノイド弁51、52、53のデューティ比を算出するように構
成されている。
制御ユニット78は、第1電磁ソレノイド弁51に関して
は、下式(1)に示されるように、トルクコンバータB
からの入力トルクすなわちタービントルクTTに変速比HH
を掛けた値の関数として規定されたライン圧Pを達成す
るデューティ比を、第1電磁ソレノイド弁51に出力する
ように設定されている。
P=f(TT×HH) ……(1) ここで、変速比HHは、無段変速機Zにおけるセカンダ
リ軸32の回転NSのプライマリ軸22の回転数NPに対する割
合(HH=NS/NP)として規定されている。また、タービ
ントルクTTは、エンジンAからのエンジン出力トルクTE
にトルク比HTを掛けることにより得られるものである
(すなわちTT=TE×HT)。ここで、エンジントルクT
Eは、エンジン回転数NEとスロットル開度TVOとの関係か
ら規定される値である。
従った、前記(1)式のライン圧Pは、最終的に、下
式(2)として規定されるものである。
P=f(TE×HT×) 次に、第7図に示されるフローチャートを参照して、
制御ユニット78による第1電磁ソレノイド弁51の制御を
説明する。
まず、ステップS10において、シフト位置センサ82か
らの検出信号aに基づいて、シフト位置を読み込む。ス
テップS12において、ステップS10で読み込まれたシフト
位置を判断し、パーキング位置(P)またはニュートラ
ル位置(N)すなわち非走行位置であると判断される場
合には、ステップS14において、無段変速機Zのタービ
ントルクTTを0に設定する。
一方、ステップS12において、シフト位置が、後進位
置(R)または前進位置(D、1、2)すなわち走行位
置であると判断される場合には、ステップS16に進み、
ここで、エンジン回転数センサ86からの回転数信号eに
よりエンジン回転数NEと、スロットル開度センサ85から
のスロットル開度信号dによりスロットル開度TVOと、
を読み込む。ステップS18において、ステップS16で読み
込まれたエンジン回転数NEとスロットル開度TVOから、
第8図に示される相関関係に基づいて、エンジンAから
のエンジン出力トルクTEを算出する。
ステップS20において、タービン回転数センサ87か
ら、トルクコンバータBのタービン軸2の検出信号fに
より、タービン回転数NTを読み込み、トルクコンバータ
Bにおける出力回転数として規定する。ステップS22に
おいて、ステップS20で読み込まれたタービン回転数NT
と、ステップS16で読み込まれたエンジン回転数NE(す
なわちトルクコンバータBへの入力回転数)と、の割合
から、トルクコンバータBにおける速度比HS(=NT/
NE)を算出する。
ステップS24において、ステップS22で読み込まれたト
ルクコンバータ速度比HSから、第9図に示される相関関
係に基づいて、トルク比HTを算出する。この第9図から
明らかなように、トルク比HTは、速度比HSが0、すなわ
ち、車両の停止状態において、最大の値「2」に設定さ
れ、速度比HSが0から徐々に大きくなるにつれて、
「2」から徐々に減じられる。そして、速度比HSが約0.
8になると、トルク比HTは、「1」にサチュレート(飽
和)し、以後、この「1」に維持されるように設定され
ている。
ステップS24で算出されたトルク比(HT)から、ステ
ップS26において、無段変速機ZのタービントルクTT
算出される。すなわち、このタービントルクTTは、ステ
ップS18において算出されたエンジン出力トルクTEに、
上述したトルク比HTを掛けることにより算出されるもの
である。なお、ステップS14のところで述べられたよう
に、非走行状態においては、このタービントルクTTは0
に設定されている。
ステップS28において、プライマリ回転数センサ83か
らのプライマリ回転数信号Bにより、プライマリ軸22の
回転数NPを読み込み、セカンダリ回転数センサ84からの
セカンダリ回転数信号cにより、セカンダリ軸32の回転
数NSを読み込む。ステップS30において、ステップS28で
読み込まれたプライマリ軸22の回転数NP及びセカンダリ
軸32の回転数NSから、変速比HH(=NS/NP)が算出され
る。
以上のようにしてタービントルクTT及び変速比HHを算
出した後、ステップS32において、これらのタービント
ルクTT及び変速比HHから、第10図に示される相関関係に
基づき、セカンダリ室37に作用する目標セカンダリ圧を
算出する。ステップS34において、この目標セカンダリ
圧をライン圧Pとし、ステップS36において、このライ
ン圧Pを規定するデューティ比を算出し、ステップS38
において、このデューティ比情報を有する制御信号を、
第1電磁ソレノイド弁51に出力し、これにより、一連の
制御動作を終了する。
以上のようにして、無段変速機Zに入力されるタービ
ントルク(入力トルク)TTは、トルクコンバータBにお
けるトルク比HTを加味した状態で、規定されている。こ
の結果、ライン圧Pを規定するために基礎となるタービ
ントルクTTは、より実際に無段変速機Zに入力されるト
ルクに即した値となる。従って、セカンダリプーリ室37
に供給される油圧を制御するライン圧Pは、ベルト20の
伝達トルクに応じて適正に規定された値となり、セカン
ダリプーリ31とベルト20との間に、滑りが発生すること
が確実に防止され、オイルポンプの損失、ベルトの耐久
性等の点で向上されることになる。
本発明の実施例による無段変速機のライン圧制御装置 第11図(a)、(b)、(c)には、ライン圧と変速
時間との関係が示されている。
第11図(a)においては、ライン圧が6kg/cm2にされ
ており、このときには、プライマリ室27の油圧が6kg/cm
2になるまでに12秒かかる。それゆえ、LOWからO/Dまで
のシフトアップに12秒かかることとなる。
第11図(b)においては、ライン圧が13kg/cm2にされ
ており、このときには、プライマリ室27の油圧が13kgcm
2になるまでに10秒かかる。それゆえ、LOWからO/Dまで
のシフトアップに10秒かかることとなる。
第11図(c)においては、ライン圧が20kg/cm2にされ
ており、このときには、プライマリ室27の油圧が20kg/c
m2になるまでに8秒かかる。それゆえ、LOWからO/Dまで
のシフトアップに8秒かかることとなる。
ここで、ライン圧は、入力トルク(タービントルク)
TTに対応して設定され、通常の場合、6〜15kg/cm2であ
り、通常走行状態では軽負荷領域が多いため、約10kg/c
m2程度である。このような範囲のライン圧でシフトアッ
プを行うと、第11図(a)、(b)から分るように、約
10秒以上かかってしまう。
そこで、本発明の実施例においては、前記第2、6図
を参照して説明すると、シフトアップ検出手段によりシ
フトアップが検出されると、第1電磁ソレノイド弁51が
制御され、ライン圧調整弁41からのライン圧は、入力ト
ルクに対応して設定されるライン圧(例えば10kg/cm2
よりも高いライン圧(例えば20kg/cm2)に変更される。
この高められた20kg/cm2のライン圧が変速比制御弁43を
介してプライマリ室27に供給されるので、変速比制御弁
43のライン圧導入ポート43Cに脈動低減用オリフィス43
C′が設けられていたといても(第2図参照)、ライン
圧調整弁41からの高い20kg/cm2のライン圧は、変速比制
御弁43を介してプライマリ室27に急速に供給され、これ
により、10秒以内の変速時間を確実で達成できる。
従って、脈動低減用オリフィス43C′によるシフトア
ップ時の変速応答性の低下を補い、脈動の低減と及び変
速応答性の向上との両立を図ることができる。
なお、ライン圧を高くすると、オイルポンプ40(第2
図参照)の負荷が大きくなるので、シフトアップ時には
ライン圧を高くするが(例えば20kg/cm2)、シフトダウ
ン時、定常走行時には、入力トルクに対応して設定され
る通常のライン圧にする。
次に第12図のフローチャートに基づいて、本発明の実
施例による無段変速機のライン圧制御装置について説明
する。なお、第12図において、ステップS10〜S32及びS3
4〜S38については、前述した第7図のフローチャートと
同一であるので説明を省略し、新たなステップS33−10
〜S33−16について説明する。
まず、ステップS32に続くステップ33−10において、
制御ユニット78(第6図参照)内に設けられ得るシフト
アップ検出手段によりシフトアップか否かが判断され
る。ステップS33−10において、シフトアップでないと
判断されると、ステップS34に進む。
一方、ステップS33−10において、シフトアップであ
ると判断されると、ステップS33−13に進み、シフト位
置、セカンダリ回転数NS、及びスロットル開度TVOから
目標プライマリ回転数NPOが前記第4図に基づいて算出
され、ステップS33−14において、偏差|NP−NPO|がαよ
り大きいか否かが判断される。ここでNPはステップS28
で読み込まれた実際のプライマリ回転数であり、NPO
ステップS33−13で算出された目標プライマリ回転数で
あり、αは比較のための正の所定値である。
ステップS33−14において、|NP−NPO|>αでないと判
断されると、ステップS34に進むが、|NP−NPO|>αであ
ると判断されると、ステップS33−16に進む。ステップS
33−16において、目標セカンダリ圧×K|NP−NPO|が新た
に目標セカンダリ圧にされる。ここで、目標セカンダリ
圧はステップS32で算出されており、Kは係数であり、K
|NP−NPO|>1である。このようにして新たな高圧の目
標セカンダリ圧が算出された後、ステップS34に進む。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明によれば、脈動低減用オ
リフィスによるシフトアップ時の変速応答性の低下を補
い、脈動の低減と及び変速応答性の向上との両立を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ベルト式無段変速機の構成を概略的に示すス
ケルトン図、 第2図は、第1図に示される無段変速機の油圧回路の構
成を示す回路図、 第3図は、第2図に示される油圧回路に備えられた電磁
ソレノイド弁におけるデューティ比とパイロット圧との
相関関係を示すグラフ図、 第4図は、無段変速機における変速特性を示すグラフ
図、 第5図は、電磁ソレノイド弁の構成を示す断面図、 第6図は、油圧回路の電気制御回路の構成を示す回路
図、 第7図は、制御ユニットによる制御手順を示すフローチ
ャート図、 第8図は、エンジン回転数とスロットル開度とから規定
されるエンジン出力トルクの関係を示すグラフ図、 第9図は、トルクコンバータ速度比とトルク比との関係
を示すグラフ図、 第10図は、速度比とタービントルクとから規定される目
標セカンダリ圧の関係を示すグラフ図、 第11図(a)、(b)、(c)は、ライン圧と変速時間
との関係の示すグラフ図、及び 第12図は、本発明の実施例による無段変速機のライン圧
制御装置のフローチャート図である。 Z……無段変速機、 A……エンジン、 B……トルクコンバータ、 C……前後進切換機構、 D……ベルト伝動機構、 E……減速機構、 F……差動機構、 Q……油圧回路、 R……電気制御回路、 20……ベルト、 21……プライマリプーリ、 22……プライマリ軸、 23……固定円錐板、 24……可動円錐板、 27……プライマリ室、 31……セカンダリプーリ、 32……セカンダリ軸、 33……固定円錐板、 34……可動円錐板、 37……セカンダリ室、 40……オイルポンプ、 41……ライン圧調整弁、 42……レデューシング弁、 43……変速比制御弁、 44……切換弁、 51……第1電磁ソレノイド弁、 52……第2電磁ソレノイド弁、 78……制御ユニット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力トルクが伝達されるプライマリプーリ
    と、及び、該プライマリプーリの出力が所定の変速比で
    伝達されるセカンダリプーリと、を有する無段変速機
    と、 該無段変速機への入力トルクに対応してライン圧を制御
    するライン圧制御手段と、及び 前記無段変速機のプライマリプーリ及びセカンダリプー
    リの一方のプーリーへの前記ライン圧の供給、排出を制
    御して無段変速機の変速比を制御する変速比制御手段
    と、を含み、 前記変速比制御手段のライン圧を導入するポートには、
    脈動低減用のオリフィスが設けられている無段変速機の
    ライン圧制御装置であって、 シフトアップ検出手段が設けられ、 前記ライン圧制御手段は、該シフトアップ検出手段によ
    るシフトアップの検出時に、入力トルクに対応して設定
    されるライン圧よりも高いライン圧に変更するように構
    成されていることを特徴とする無段変速機のライン圧制
    御装置。
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